特別講演Ⅱ
第37回米国核医学会報告
久田欣一
(金沢大学)
第37回年次大会として今回はワシントンDCコ ンベンションセンターで開催された。数年前にも 使用されたおなじみの場所であり、恒例のパター ンにより会は粛々と進められた。今回は2カ月後 にもモントリオールでの世界核医学会を控えてい ることでもあり、日本からの出席は例年の'/3位 で、ヨーロッパからの出席者も少ない様に見えた。
古いアメリカの友人の姿は段々減ってきて時代の 移り変わりを感じさせたが、流石層の厚いアメリ
カ核医学会だけあって、参加者の数,発表者の質 から見ても着実な核医学の進歩を確信することが できた。
1.99mTc心筋イメージング剤
イタリアのミラノ大学と米国シンシナティ大学 で共同研究中の99mTc-Q3の臨床画像が発表され た(図1)。続々と発表される心筋イメージング 用剤を創始者のDeutchは教育講演で図2の如く 分類を行っていた。即ち、99mTcの存在形式は
1価から7価まであり、種々の化合物が作られ今 後も考案されるであろうが、 ̄股に陽イオンを形 成するものは心筋に長く取り込まれ、中性のもの は一旦は心筋に高く取り込まれてもwashoutが 速い。Q3はnonreducibleTc(Ⅲ)cationsであり、
Tc(1)cationsであるCardio'iteと同様に使用でき ると思われる。それぞれのメーカー名は図3から 窺う事ができる。
2.薬剤負荷心筋血流イメージング
201Tl心筋イメージングの臨床的価値を高める ため運動負荷を行うのが普通であるが、次第に薬 剤負荷の頻度が多くなってきている。理由は基準 化しやすく再現`性が良いこと、患者の忍耐力.協 力と無関係で、抗狭心症薬の影響を受けず、心筋/
肺比がより高く、冠血流の増加がより大きいから である。従って適応としては冠動脈疾患が疑われ ていて、運動が充分出来ない人、頭蓋内または大 動脈に動脈瘤を有する人、ペースメーカー埋め込 み例、ベータブロッカー,カルシウム拮抗薬など の抗狭心症薬服用中の患者が対象となる。禁忌と しては喘息、低血圧、2度以上の房室ブロック、
アミノフイリン,カフェインの使用、洞不全症候 群があげられる。従来ジピリダモールが使われて いたが、最近になってアデノシンの使用が提唱ざ
れている。アデノシン作用機序の詳細は図4の如 くであるが、要するに投与されたアデノシンは主 として血管内皮細胞のA2レセプターを刺激し、
平滑筋を弛緩させ、腎の前糸球体細血管を除く全 ての細血管の拡張をもたらすのであろう。非常に 作用が強力で、infusionを中止すると113秒で元 に戻る点がコントロールしやすく、魅力なのであ ろう。実際の検査プロトコールを図5に示す。ア デノシンのinfusion量を段階的に増加し、4分後 に201Tlを注射し更に3分間はinfusionを継続し て、中止後直ちにearlyスキャン、3-4時間後 delayedスキャンを行っている。副作用は実際に は1%程度で、運動負荷に比し軽微で、何時でも 中止でき回復も早く全例SPECTが可能であった
(607例)。
3.PET薬剤SPECT薬剤を追う
l23LMIBGが心筋の交感神経支配を追求する のに優れたトレーサであることは既に周知となっ たが、PETでも同じ事を行うためのトレーサと してl1C-m-Hydroxyephedrineが提唱きれ、図6 のごとく拡張型心筋症における交感神経denerva‐
tionを示した症例が報告された。
4.1231脳イメージング剤
SPECT用剤で血流を示すトレーサとしては可 成り出揃ってきたが、未だ代謝のトレーサはPET に頼らざるを得ない(図7)。神経伝達系を追求 するトレーサは曽って11C’'8Fで合成したもの の、現在では殆ど全てが図8の如く1231でも可 能となってきたのでSPECTの将来は極めて楽し みである。既にヨーロッパではD2レセプターの リガンドであるl23LIBZMは市販されるに至り、
米国でも臨床治験中である。
5.SPECT装置の進歩
放射性トレーサの優劣を別にしても、SPECT の画像はPETに比して解像力や定量性が悪いと の一般的認識であったが、小生の依頼で東芝が製 作した三検出器型SPECTGCA9300の臨床画像 はその認識を一変させた感がある。事実Prof Wagnerの90,SNMHighlightで図9がImageof theYearとして紹介されたのは大変光栄であった。
更にMRIとの比較(図10)もWagnerは引用し てくれた。解像力(半値幅)は59mmで市販品.
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血.中クリアランスは早く、注射後5分以内に注 射量の3%が心筋に取り込まれ、5時間までは右 意なwashoutを認めない。
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▲図299mTc-心筋イメージング剤の分類
(DrDeutch教育講減より) △図3開発中の各社99m1Tc-心筋イメージング剤
(DrDeutch教育誰減より)
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△図4アデノシン作用機序 ▲図5実際のアデノシン負荷検在プロトコール
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としては世界最高性能を誇っている。
今年は特にSpECTの進歩ぶりが目立ち、Triad
(Trionix社),Prism(Picker社)の三検出器 型SpECTも展示きれていたが、臨床画像はGCA 9300より可成り見劣りしていた。Trionix社は 二検出器型SPECTのBiadをmobileSPECTとし て病院車に搭載しており、研究としては図11のよ うなHemisphericalSPECTのアイデアが発表さ れ、そのFWHMは全ての方向に48mmでPET を上廻ろ。動物専用として、コリメータ交換で FWHMがマウスで1mm、ラットで2mm、犬で 5mmのSPECTの発表も注目を引いた。
最後にモノクローナル抗体による癌の内部照射 療法も着実に進歩してきているが、99mTcHIG (humannonspecificpolyclonalimmunoglobulin)に よる炎症,膿瘍の局在診断が突如として出現した 感がある。今後各社からキットの発売が期待され
(ヨーロッパは既に市販、米国も治験中)、炎症,
膿瘍への67Gacitrateの応用は近く終焉を迎える 事が予想された。
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