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粘土鉱物の表面荷電モデル

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2016 年 2 月 10 日,12 日

粘土鉱物の表面荷電モデル

―カオリナイトのリン酸吸着と分散凝集動態―

環境資源学専攻 地域環境学講座 土壌保全学 小杉 重順

1.はじめに

肥料として農耕地に施与されたリン酸は土壌中の粘土鉱物に化学的に強く吸着され,鉱物表面の 荷電量を変化させる。粘土鉱物の持つ荷電は土壌中の栄養塩類の吸着動態や,土壌コロイドの分散 凝集性に影響を与える。本研究では粘土鉱物へのリン酸吸着動態,リン酸吸着が粘土鉱物の表面荷 電特性および分散凝集動態に与える影響を測定し,その数理的なモデル化を試みた。

2.方法

試料として純度の高い入来カオリナイトを用いた。試料は粒子径がストークス径で 2μm 以下に なるよう分画して用いた。試料懸濁液を遠心洗浄により所定の pH(3,4,5,6,7),所定の NaCl 濃度(1mM,10mM)に平衡させた。リン酸吸着実験では濃度 0.03~1[mM P]の NaH2PO4溶液を用い,

Na 平衡後のカオリナイトに固液比 1:25 でリン酸溶液を添加し 24 時間振盪した。振盪後の液相中 のリン酸濃度をモリブデン青法により測定しリン酸吸着量を計算した。また同条件の粘土懸濁液を 用い,顕微鏡電気泳動法によるゼータ電位の測定,動的光散乱法による懸濁液中の粒子径の時間変 化モニタリングを行った。粒子径の増加速度から懸濁液の安定度比を計算した。解析では 1pKモデ ルにより粘土鉱物の表面荷電モデルを作成し,吸着実験結果のモデルによる再現を試みた。また DLVO 理論に基づき粒子間の相互作用ポテンシャルエネルギーを計算し,分散凝集性を評価した。

3.結果と考察

1)カオリナイトのリン酸吸着特性 リン酸吸着量は pH5-6 で極大値を示し,それより pH が上昇 しても低下しても減少した。リン酸の吸着によりゼータ電位は負へ増加した。

2)リン酸吸着がカオリナイトの分散凝集動態に与える影響 pH3-4 ではリン酸吸着量,電解質濃 度に関わらず安定度比は常に 1 であり,カオリナイトは急速凝集状態にあった。それ以上の pH で は pH の増加により安定度比が増加した。これは変異荷電量の変化によるゼータ電位の負への増加 に対応しており,分散・凝集の境となるゼータ電位はおよそ-40mV であった。電解質濃度の低下,

リン酸の吸着によっても安定度比は増加した。ゼータ電位から相互作用ポテンシャルエネルギーを 計算した結果,カオリナイトは理論で予測されるよりも凝集的であることが明らかとなった。

3)カオリナイトの表面荷電モデル 変異荷電部位のほかに永久負荷電部位も加味したモデルを 作成することでリン酸吸着量変化の定性的な評価に成功した。モデルから計算された表面電位と分 散凝集動態を比較した結果,カオリナイトの分散凝集性は永久負荷電部位の持つ負電位の影響を強 く受けるという可能性が示唆された。またモデルからカオリナイトへのリン酸吸着には pH の変化 による表面電位の変化のほかに,リン酸イオンの形態変化,リン酸吸着部位であるアルミノール基 の形態変化も関わっていることが予想された。

4.まとめ

カオリナイトのリン酸吸着特性,分散凝集動態はpHや電解質濃度の影響により変化した。また リン酸吸着はカオリナイトに負荷電を与え分散性を増加させた。表面荷電モデルを作成することで,

これらの変化を理論的に記述・考察した。

参照

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