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農 学 部 家 畜 病 理 学 教 室

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(1)

2 0 10 年

農 学 部 家 畜 病 理 学 教 室

(2)

′ ウ ノ

JF

n y・ 牡一

Qn

′一l

獣医免疫病理学 の講義 を受 けた

北里大学 獣医学部 当時

6

年生

墨 貼美 さん 画

(3)

31

年の思い」 に寄せて

岩手大学名誉教授 大 島 寛 一

退職記念 にエ ッセイ集 を出版す るので、巻頭言 をとのご要請 を岡田先 生か ら頂戴 し、祝意 をこめて喜 んで承諾 した までは良かったのですが、

正確 な中身 も知 らないで 目次だけか らの コメ ン トとな り、お引 き受け し た身の粗忽 さを悔やんでいます。

大部分 は講座主任 としての重責 を果た される中での珠玉 と拝察いた し ますが、充実 と変革 を前面 に打 ち出す岩手大学 に籍 を置 き、その職責 に 精魂 を傾 け られる中で、同時に不断に専 門性 の強化発展 を志 向す る日本 の獣医病理学会 を背負 う重鎮 として、 さまざまな葛藤の中で得 られた貴 重 な足跡の一端が示 されているのではないか とも考 え られ、 ご出版が心 待 たれる次第です。

改めて先生のご退職 をお祝い申し上げ、 ご健勝 と一層の ご発展 を祈念 申し上げます。

平成

211

1月

25

‡・.

I:.;ll..

(4)

はじめに

北海道大学の助手 として

9

年、岩手大学助教授 として

14

年、教授 として

17

年間 の教員生活、計

40

年 を周囲の皆 さんにご迷惑 をおかけ しなが ら大過 な く退職で き ることをこの上な く感謝 しています。 この間 どんなことをして きたのか 自分な りに 総括 したい と思いこの冊子 を作 りました。大学院生時代 は恩師の北海道大学故藤本 鮮教授 をは じめ数々の先生がたのご指導 をいただ きなが ら鶏の痛であるマ レック 病の研究 をしました。岩手大学に着任 してか らは大島寛一名誉教授の もとで牛 白血 病の研究に携 わ りました。教授 になってか らは、研究 に加 えて大学院生の指導、獣 医病理学会や鶏病研究会の活動、文部科学省の委員 などで多 くの時間を費や しまし た。最近の

1

0年 間は岩手大学 に創設 された ミュー ジアムの活動 に携 わ りました。

この間に数えきれない多 くの先生方や事務職員お よび学生の皆様 に出会い、お世話 にな りました。 この記念誌 をそれ らの皆 さんに感謝の気持ちを込めて捧げたい と思 います。

本誌では私の研究 を紹介 した総説 を

2

編、各種会報、単行本 に寄せた寄稿文、お よび国際学会等で海外 に旅行 した ときの体験 をまとめた旅行記 を中心 に掲載 しまし た。 また前任の大島寛一名誉教授が提案 された 「 特殊疾病研究セ ンター」は残念 な が ら実現 しませんで したが、その構想 を記録 に留めるため添付 しました。

家族全員で

1

年間生活 したアメリカ留学では、海外 に多 くの友人を作 ることがで き、研究の上だけでな く、その後の私 と家族の歩みに大 きな転機 とな りました。 し か しこの留学体験 をまとめた適当な文章が見当た りませんで したので数枚のスナ ッ プを写真集 に添 えることに しました。我が病理学教室の学生 さんとは文字通 り 「同 じ釜の飯 を食 う伸」で、毎朝夕のお茶会や季節行事のお花見、魚釣 り、温泉旅行、

忘年会、離散会など楽 しい思い出が多 くあ ります。その写真 を集めて巻末の写真集 に掲載 しました。 ご笑覧いただければ幸いです。

岩手大学着任以来

31

年間にわた り私 と教室 を支 えて きて くださった沼宮内茂先 生、研究室の女房役 を務めて くださった御領政信准教授、学生の相談役 を担 って く ださった佐 々木 淳助教、資料の整理 を手伝 って くださった倉持 好女史お よび教 室の学生の皆様全員に感謝 します。

岩手大学 には伝統があ り、大学 まるごと地域 に根 ざしたすぼ らしい大学です。 ま す ます良 き人材 を輩出す る大学 として発展するよう祈念 してお礼の言葉 といた しま す。

∴ こ

(5)

目 次

牛 白血病の病理発生か らみた拡大防止対策

マ レック病お よび七面鳥ヘルペスウイルスの構造 とその起病性 ・‑‑‑‑‑‑‑‑‑・‑

8

Ⅰ.総説

Ⅱ. 寄稿文

連合獣医学研究科 とともに

20

年余

JCVP

の現状 と課題 理事長 を退任するにあたって 石川啄木の妻の生家の井戸復元整備

賢治のことをもっと知 りたい

13

回 日本野生動物医学会大会 を終 えて 岩手大学 ミュージアム開設 1年

設立

20

周年 を迎えて

「 獣医病理学用語集 :日本獣医学会病理分科会編

,1994

」ので きるまで ‑・ ‑‑‑‑‑‑‑

衛星通信 による学部 レベルの交換授業 主がお入 りようなのです

岩手大学獣医学科の標本室収蔵 目録作成 第‑回目の学位受領者 を送 り出 して 研究室だより

Ⅲ. 旅行記

鳥インフルエ ンザ発生国 :タイとベ トナムの現状 近 くて遠い国 第

21

回アジア獣医師連合大会 ( ソウル) モロッコを訪ねて

「 綿羊 と山羊の病気 と生産性のための国際学会」に参加 して 一綿羊 と山羊の国 ヨルダンー

イン ドで感 じたこと

「 発展する中国 と砂漠の中の大学」

7

回中国獣医病理学会参加報告 (1‑

2)

ジャカランダの咲 くところ ザ ンビアの 3カ月‑(1‑2)

Ⅳ.

その他

「 標本室へ ようこそ」あ とが き

「 岩手大学産業動物分子病態研究施設」設置計画書 ( 莱)

「 競走馬疾病 カラーア トラス」序文

MedicalPhotograph&IllustrationContest

171821232428303234364043444549515561687992949697980416r=

(6)

牛白血病の病理発生か ら みた 拡大防止対策

お か だ こうす け

岡田 幸助

岩手大学農学部 獣医学課程担当 ( 〒

020‑8550

岩手県盛岡市上田3‑

18‑8)

(E‑mail:kosuke@iwateu.ac

. j p)

「 最近,牛 白血病 の発症が多 く,野外 で大 きな問 題 となっている。また,典型的な白血病の臨床所見, 血液所見が得 られず,解剖 によって初めて診断され

る例が増 えている。従 って,現場では別の病名で死 廃事故処理がなされている症例が多いのではないか と感 じているので,最新の牛の白血病 に関する情報 を知 りたい」との声 を聞いた。私 どものこれまでの 研究を中心 にその知見 を紹介 したい。

散発型牛白血病

牛 白血病 には地方病性牛 白血病

(BBL)

と散発型牛 白血病

(SBL)

があ り

,sBL

には子牛型,胸腺型,皮 膚型がある1 5 ) 0

子牛型牛白血病

子牛型は

2

歳以下の子牛,主 として生後

6

カ月以 内の子牛 に発生する。全身 リンパ節が同時 に球形 に 腫大 し,発熱 を伴 う。多 くは急性 に経過する。子牛 型では全身 リンパ節の均一な腫大,骨髄 における腫 癌の浸潤,肝臓,牌臓の腫大,心臓,腎臓,子宮‑

の腫療浸潤が見 られる。子牛型 には B 細胞 由来腺癌

と T 細胞由来腫虜の

2

種類がある。

胸腺型牛白血病

( 青春期)胸腺型 白血病 は生後

6‑25

カ月の若年 に 多 く見 られるO胸腺型は T 細胞腫癌で,頚部の胸腺 が巨大 に腫大する。子牛型病変 を随伴するものが多

く中間型 と呼ばれる症例 もある。

皮膚型牛 白血病

6

・川

皮膚型 は

T

細胞腫疫で,全 身に脱毛 を伴 うじんま しん棟 の発疹 または丘疹が形成 され,痴皮 を伴 う。

皮膚型では表皮 に多発性の腫蕩結節 を形成 し,治癒 と再発 を繰 り返す。 自然 に治癒することがある。そ の機序 としては経皮膚排除機構お よび腫癌免疫が考 えられている。

SBL の新分類

モノクローナル抗体 を用いて免疫組織化学検査お よびフローサイ トメ トリー分析 を行い,散発型牛 白 血病 ( 子牛型

3

例,胸腺型

2

軋 中間型

3

例)の牛の 腫癌細胞 の表現型 を調べた。子牛型 3例 と中間型 2 例 は免疫組織化学 的検査 と,B‑

B2+,slgMお よび MHC

クラスⅡ 十に対するフローサイ トメ トリー分析 において B 細胞系列 に対 し陽性であった。胸腺型

2

家畜診療

,55

2

,101‑107.(2008) 1

(7)

牛白血病の病理発生からみた拡大防止対策

子牛 艶B鰍 抱リンパ 臓

MliC II CDllb MliC n

cD2 CD5

ALC cD5

回 1 散発型牛白血病および地方病性牛白血病の腫癌細胞に発現する分化抗原

例 と利

開塾 1

例 は免疫組織学的検査 とフローサ イ ト メ トリー分析 においてCD2†,CD 5 +,CD6 ↓お よび cD8 . であ ったo この結果か ら,sBL にはB お よびT 細胞 の両系列 が存在することが示 された ( 図 1) o i ) その後 の症例 の検 索 でSBL で は5 イ ダ 摘 ゞ B 細目抱 由 来 ( ち‑ 2 細胞 タイプ)で

,9

例が未熟 な

T

細胞 に由来 して いた。sBL の症例 で は,未熟 なT細胞 タイプの恩番 はB‑ 2 細胞 タイプよりも若齢であった。B細胞 に由来 す る リンパ腫 は

T

細胞 由来の もの と形態学的 に輿 な っていたoT細胞性膿脇 では,腫癌細胞 の核 は円形 で,細胞質の辺縁 は明瞭で

,

膿癌細 粒は散発的 に存 在 し増殖 していた。T細胞 と比べ ,B細胞 の領域 は 不明瞭であったo Lか し,臆癌細胞の表現型 と組織 学 的な分類 には関連性 が なか った

o

sBL で は,a‑ 2

タイプ と

T

タイプの細胞 が肝臓 ,腎臓 ,

腺 に腺癌 を形成 し

,T

細胞 タイプの腺癌 の 1例 は皮膚 に形成 していた。2 0 )

以上,胸腺 型 と子牛型 の中間型が存在 し,腺癌細 胞 のPhe not yp eが明かになった現在 ,両者 を

T

リンパ 腫 とBリンパ腺 に再分類 したほ うが よい と考 えるO す なわちsBL を 1歳未浦 の子牛 aL l . B 細胞 リンパ腫 , 3 歳未満の若齢型 T

胞 リンパ腺 お よび皮膚 塑T 細胞

2

家畜診療 , 5 5 巻2 号,1 01 ‑1 0 7 . ( 2 00 8)

リンパ腫 に分類す るのが安当である と思われた02 0 )

S

BLにお ける C‑ myb の発現

我 々はsBL( 子 牛型 2頭 ,胸腺型

3

頭 お よび中間

1頭) 6 頭 と EBL5 頭 についてC‑ mJ ′ b のe xon

9

に対 す るRT‑ PCR で隼 C‑ myb 遺伝子発現 を調べ た。C ‑ myb mRNAはBoCD8 シ ングル 陽 性Tリンパ腫 を含 む散発 型牛 リンパ腫 ( 胸腺要望の

1

頭 を除 く)のほとんど全 て に発現 した。反対 に,EBL の成熟型Bリンパ腫 では 発現 しなか ったO この結果か ら

,C

一 myb 発現 は牛 リ ンパ腫 の腺癌細胞分化 に密接 に関連 していることが 示唆 された。 なお胸腺型の 1例 ではe xon

9

に変異が 観察 された

O 2)

E

BL腫癌細胞の由来

人やマ ウスで は,通常 のB‑ 2 細胞 は獲得免疫 に働 き,常 に骨髄の多機能幹欄胞か ら pr o B,pr e B 細胞 を 経 て末梢 に供給 される0‑万

,B‑la

細胞 は腸管や肺 を感染か ら守 る 自然免疫 に関与 し,未熟個体 の主体 を占め るB, S M包であ る

O

骨髄 か らで はな く比較的分 化 した状態で 自己増殖 に よ りその数 を維持 し,B‑ 2

よ りも寿命が長い とされている。

(8)

牛 白血 病 の 病 理 発 生 か らみ た 拡 大 防 止 対 策

感染 ・癌化

アプ リンパ節

注射針 匪 空室 茎 ≡ 参 牛 固 唾 血液 国 璽傘 牌臓

直腸検査 全身各臓器

葉. . 抗体検査 塗抹 ・鏡検 図 2 EBL の病理発生

BLV は各種 リンパ球に感染 し.徐々に細胞の選択が行 われ,単一クローンのみが増殖 ・癌化する。癌化 した異 型細胞がリンパ節,牌臓および全身各所の臓器に移動 し て腫癌形成にいたる。診断は血液中の BLV 抗体,異型細 胞を観察 して判断する

腫癌細胞 の表現型 を調べ るため,EBL の牛1 0頭 を 免疫組織学的染色 とフローサ イ トメ トリーによ り検 査 した。腫蕩細胞 は主 にMHC クラス Ⅱ 十

(

1

0/10)

,

BoCDllb'(9/10),IgGl'(8/10),B‑B2'(8/10)

,

BoC

D5

'(7/1

0

)

お よび

Alightchain'(7/10)

を発現

していたO‑頭 の腺癌細胞 だけがs

lgM+

を発現 して い た (

1/10)

。 10頭 す べ て の腫 癌 細 胞 がI

gG2

,

BoCD3,BoCD4,BoCD8,WClN2

,お よびI

L‑2R

α

に陰性であった。

これ らの腫蕩細胞 の表現型 はすべ てわずか に異 な ってお り,牛 白血病一 誘発性 リンパ腫 は多様 な表現 型 を発現す ることが示唆 された。 さらに, 2 頭 の牛 か ら採取 された腫癌細胞 はBo

CD5

お よびBoCDl l

b

を 共発現 した

(B‑1a

細胞).その一方で,その うち

2

頭 はBoCDll

b

のみ を発 現 し(

ち‑1b

細胞 ),一頭 で は

BoCD5

BoCDl

l

b

の両方 に対 して陰性であった ( 過 常 の

B

細胞)。そのため,BLV 誘発性 リンパ球細胞 は,

ち‑la,B‑1b

お よび通常 のB 細胞 に由来す る と結論づ

け られた1 8 )( 図 1)。

またEBL33 例 を牛 白血球の 白血球分化抗原 に対す る

6

種 のモ ノクローナル抗体 を用 いて免疫組織化学 的 に調査 した。EBL では

B‑1a

細胞 タイプは1 7例

,B‑

1b

細胞 タイプは1 0例,B‑

2

細胞 タイプは

6

例 であ っ た。BBL 症例 のB‑

1a

細胞 タイプの平均 年齢 は8.

6

歳,

B‑1b

細胞 タイプは6.

5

歳,B‑

2

細胞 タイプは4.

5

歳であ

った。EBL ではB‑

1a

B‑

l

b

の腫癌 は リンパ節 を越 え

て心臓 と第四 胃に発 生 し,ち‑

2

タイプは肝臓 に発生 す る傾 向があった

2

0

)

0

B‑1a

細胞 か ら由来す る ものが最 も多数 で あ った が, これはB‑

1

細胞 が長命 でBLV による発癌が長い 潜伏期 を必要 としていることと関連 あるか もしれな い.EBL は牛 白血病 ウイルス

(BLV)

の感染‑T,B 細胞 の感染‑BoCD5 陽性T 細胞 の増殖‑ ポ リクロナ ルB 細胞 の増殖‑成熟B 細胞 の腫癌化 と進行 してい く。す なわち最初 T 細胞 お よび B 細胞 に感染す る ( ポ リクローナル感染)が,病態がすすむ につれモ ノク ローナルな細胞が増殖 し,腫癌化す るのである。

EBL 腫癌細胞の形態

腫蕩組織 は腫癌細胞 の形態学的特徴 か ら

3

型 に分 類 された。 (

1

)び漫性混合細胞型 は小型で くびれの ある核 を有す るリンパ球様細胞 と大型の免疫芽球様 リ ンパ 球細 胞 か らな り,核 分 裂像 は希 で あ った。

(2

)び漫性大細胞型 は円形核 を有す る大型の免疫芽 球様 リンパ球細胞か らな り,核分裂像 は希であった。

(3

)び漫性大型陥凹型 は くびれのある核 を有す る大 型免疫芽球様 リンパ球細胞 か らな り,核分裂像 は少 数であった

4)0

腫癌細胞の転移

牛 白血球分化抗原 に対す るモ ノクローナル抗体 を 用いた免疫細胞化学検査 とフローサイ トメ トリーに よって,成牛のEBL 症例 と正常牛 ( 成牛 と若齢牛)か ら採取 した末梢血 リンパ球

(PBL)

と肝臓 におけるT リンパ球s

ubpopulation

を調べ た。EB L雁息牛 と正常 な成 牛 のPBLと牌 臓 の両 方 にお い て,Tリンパ球

subpopulation(CD

3

+,CD4+,CD8

'お よび wcl+γ8

T

リンパ球)の割合 は正常 な若齢牛の もの よ りも有意 に低 か った。EBL に雁思 した成牛 のPBL におけるこ れ らのT リンパ球s

ubpopulation

の割合 は,正常 な成 牛 よ りも低 かったが,牌臓 では逆であった。 この こ とか ら,肺臓 では腫癌免疫が生 じていることが示唆

家畜診療

,55

巻2 号,

101‑107.(2008) 3

(9)

牛白血病の病理発生からみた拡大防止対策

3 C143

発現腫癌細胞を指標 としたリンパ節の腫癌化の進展 斜線,網掛け.黒色は

C143

陽性細胞の密度 を表現 している。

( a)正常 リンパ節では陽性細胞が周縁洞およびリンパ液胞にみられる O ( b) 次第に陽性細胞が増殖 し.( C) 傍 皮質 領域にも浸潤,( d)遂にリンパ腫 となる

される。諏織学 的検査 によ り,肺臓 では液胞 の過形 成が な く,腺癌細胞の増殖 は赤碑髄 で始 まっている ことが判明 したO結論 として,腹膜 は

EBL

リンパ球 の形質転換 ( 鷹癌化)には じめに関与す る臓器ではな く,末梢血か ら移動 して くる腺癌細胞 は転移性 であ ることが分 かった 1 9 )(

図 2)0

EBL

の牛 の臆 癌性

B

紬 抱上 に出現 す る膿癌 関連抗 原 に対す るモノクローナル抗体

cl43

を,鷹癌細胞の マーカー として使用 して リンパ節 における膿癌化 の 進展 を調べ た

oEBL

の動物

14

頭か ら採取 した脆癌組 織 と浅 頚 リンパ 節 の免 疫組織 化 学 的検 査 に よ り,

cl43

陽性細胞 と関連 して, リンパ節構造 の変化 にお いて形態学的に定義で きる

3

つのステージが明 らか となった :(1)リンパ節構造 に明 らかな変化 を伴 わ ず

,cl43

性細胞が周縁洞 に存在す る状態 ;

(2)

リ ンパ節腫 大の前 に, これ を変形 させ る陽性細胞が リ ンパ節構造 に波及 して存在する状態 ; (3) 陽性細胞

4

畜 診療

,55巻2

,10卜107.(2008)

が リンパ節の至 る所 に存在 し, リンパ節腫大の臨床 症状が明 らかで, リンパ節構造 の全体的 な崩壊 を伴 う状態。 この結果か ら,教 も早期 のステージでは牛 白血病 ウイルス によって形質転換 した リンパ球 また は末梢血 中の脹疹細胞 は周縁洞領域 に基族 し,その 後液胞 内に増殖,浸潤 し, リンパ腫 の臨床症状 を発 現す ることが示唆 された8 ) 0

BL

Vプロウイルス を有す る癌化 した末梢血

B

リン パ球が輸入 リンパ管 か ら侵入 して辺縁洞 で増殖 し始 め, リンパ洞 を中心 に増殖 した 膿癌 細胞 が液胞や梁 柱 を圧迫 しなが ら広 が り,ついには リンパ腫 を形成 す るとい う過程が明 らかになった (

図3

)0

組織における細胞の分布

EBL

の 白血球特

抗原 に対 す るモ ノク ローナル抗

体 を用 いた免疫組織化学的検査 によ り

,EBL

の牛 か

(10)

牛白血病の病理発生からみた拡大防止対策

ら 採 取 し た リ ン パ 球 と腫 癌 か ら リ ン パ 球 s ub po pul a t i o n の分布 を調べた。プロウイルスを持つ 腺癌細胞の浸潤 と増殖の範囲,お よび白血球特異抗 原の異 なる発現 に基づいて リンパ節の病変は

3

タイ プに分 け られた。液胞 における B‑ B 2 十,s l gM+ 細胞 の数は腫癌細胞増殖中に減少 した 。wcl 陽性の CD4 お よび cD8 陽性

α/

βT 細胞お よび γ/

∂T

細胞 も,腫 蕩細胞が浸潤 した領域で減少 した。ほとんど全ての 腫癌細胞 は B‑ B2 お よび I gM 陽性であった。 しか し, 追‑ B2 お よび/ または I gM 陰性細胞 または淡 く染色 され

る細胞 は仝症例 においてわずかであった 。wCl + 細 胞 は腫 蕩 組 織 中 に認 め られ なか った。 しか し, cD4+ お よび cD8 十 細胞 は腫蕩組織の至 る所 に認め ら れ,腫癌免疫 におけるこれ らの細胞の役割 を示唆 し ている

3)

肉眼病変

EBL では全身 リンパ節,胃壁,心臓,牌臓,血 リ ンパ節,腎臓,子宮,肝臓,腸壁,脊髄周囲脂肪織 にリンパ腫が認め られる。体表 リンパ節の腫大,眼 球突出,直腸検査 により内腸骨 リンパ節の腫大 など 骨盤腔内に腰痛 を触知する。 これ らの臓器 ・組織 は 腫癌免疫の届 かない ところ と考 えることもで きる。

削痩,後躯麻痔の見 られることもある2 0 ) 0

発症 とは

ウイルス感染牛の多 くは臨床 的になん ら症状 を示 さない。 これを非 白血性牛

(A

L)とい う。 また末梢 血中の リンパ球が数カ月にわた り高値 を示す持続性 リンパ球増多症

(pL)

の牛がいる。 しか しなが ら感 染牛のすべてが

DL

を示すわけではな く ,60% 以上が

AL

で異常が見 られない。長期 にわたる潜伏期 を経 て,全身 リンパ節や各種臓器 に B 細胞性 リンパ腫が 形成 される 。EBL は 5‑ 8 歳の牛 に見 られる 。BLV 感染 においては,感染 した牛すべてが腫虜 を形成す

るのでな く

, 1

%以下 しか腫虜 を形成 しない。発症

牛では末梢血中に未熟 または異常 リンパ球の出現 と 増数が見 られる。発病牛の診断には,ウイルス学的, 血清学的に BLV の感染 を確認 した上で,末梢血中の 異型 リンパ球の検出が有力な手段 となる

7

) 0

非白血性白血病

なぜ,特徴 的な白血病の症状 な く剖検 によ り体 内 に腫癌の発見 される症例が存在するのか。

岩手大学において牛の白血病剖検例 9 4 例 中 ,EC の 血液学的診断基準 により非 白血性 白血病 と診断 され た1 0 例 について検索 した。 この うち

3

例 は血液学的 に末梢血 中に異型細胞が1 . 5‑3. 6% とほ とん ど認め られず非 白血病健康牛 と区別 しがたい ものであ り, 他の

7

例 は末梢血中の単核増多 を示 さないが異型細 胞が流血 中に 9. 5‑28% とかな り高率 に見 られる も のであった。病理学的検索の結果, これ らの腫蕩病 巣は白血性 白血病のそれ と本質的には異なるもので はな く, また腺癌細胞の微細構造 において もそれ ら の もの と本質的な差 は認め られなかった。 しか し検 索例全例 を通 じて,牌臓 における腫癌細胞の増殖が ほ とんど認め られなかったことは非 白血性 白血病の 共通所見 として取 り上げられた。

末梢血 中に異型細胞 を認めない

3

例 においては, 1例 は比較的初期 を思わせ るもので病巣の分布 に乏 しかったが,他 の

2

例 はかな り強い病巣が認め られ た。いずれ もリンパ節洞 における腫癌細胞の浸潤増 殖が他の例 と異 な り,洞内にび漫性かつ疎 に分布 し て見 られ,これが末梢血 中への異型細胞の流出を妨 げているかの ように思わせ る所見 を得た。 これ らの 結果か ら本病の診断に際 して,血液学的診断基準 を 応用するにあた り血液像の詳細 な観察が必要である ことが確認 された 1 4 ) 0

ウイルス感染

EBL は BLV に起因 し,感染様式 は殆 ど水平伝播で, 1割程度が垂直伝播 による。 このウイルスは 1 969 年

家畜診療, 5 5 巻2 号

,101‑1

0

7.

( 2 0 0 8)

5

(11)

牛白血病の病理発生からみた拡大防止京寸策

図4

年白血病 ウイルス コンカナバ リン

A

涛加増秦 細胞の電子顕微鏡写桑

.

一一 ・㌦̲

感染牛 感放する 感 染 しない

200m

5

アブによるウイルスの伝播 ウイルスはアブの 体内では増殖 しないので牛群 を一定距離離すと

ウイルスの伝播は防止できる イラス ト:森 命

Mllle

l ・ らによって発見 されたo この ウイルス はBリ ンパ球好性 の レ トロウイルスである。発病 は

4‑6

歳 に多 く,感染率 は常 に汚教派 となる。感免牛 の診 断 にはウイルス抗原 に よるゲル内沈 降反応 な どが利 用 される

7

,1 6 )( 図

4

) O

伝播様式

ElL

の予 防 は ウイルス感染牛 の隔離 と淘汰が主体 となる。 ウイルスの媒介 には野外 で はアブに よる機 械 的伝播 が重要 である。 ウイルス は アブの体 内では 増殖せず, リンパ球が破壊 され る ような条件 で は失 活す るので,野外 で陽性牛群 と陰性 牛群 を一定距離 維す こ とで感染 を十分予 防で きる。

一方,注射針 に付 着 した血液 に よって も感教す る ので牛群 の集 団検診 ,予 防接種 な どで は注意 しなけ

6

家畜診療

,55巻2号,101‑107.(2008)

ればな らない

H1 3 5( 図

5)

ワクチン

BL

Vの

env

遺伝子 を組 み込 んだDNA 組 み換 え ワク チニアウイルス に よる ワクチ ンやペ プチ ドワクチ ン の開発 が試 み られたo

BL

Vエ ンベ ロープ塘 タンパ ク ( gp6 0) を発現 す る リ コンビナ ン トワクチニ アウイルス

(rvv)

を接種 す る と

BL

Vの複 製が抑 制 され ることがわか っている羊 と 牛 で リンパ球増殖反応 を調べ た

。BL

V未感染 であ る か

BL

Vキ ャ リアで あるか に関わ らず

,rv

vを接種 さ れた動物 に リンパ 球増殖 反応 の増 強が認 め られた。

これ らの反応 は末梢血 リンパ球 の

BLV

の発育 と逆 に 相 関 してい た。 それ とは対 照 的 に,液性免疫反応 と

BL

Vの発育 との間 に明 らか な相 関性 は認 め られなか ったO これ らの結 果 か ら

,rv

vは主 に細胞性免疫 の 増強 を介 して

BL

V顎 製 の抑 制効果 を与 える こ とが示 唆 された

'

'

)

0

しか し,現実 に我 が 国ではDNA 舶 み換 え ワクチニ ア ウイルス に よる ワクチ ンの実用化 は極 めて困難 で ある。

EBL の防疫対策 7・16)

対策 に王道 はない。

(1)発生実態 の的確 な把握 と病牛 の精査 個体 ご とに過去 の経歴 ,臨床経過 ,病性 の進行状 況 を的確 に把接 して症例 の蓄積 を して,摘発技術 の 向上 をはか らなけれ ばな らない。

(2)汚染実態 の抱腹 は避 けて連れ ない。

(3)漸 争化へ の誘導

新規導入 牛は抗体 陰性 を確認 し,陰性 牛群 の保護

をはか らなければな らない。陽性牛 の管理 に工夫 を

こ ら し

,

同居 率への感染 の防止 に心掛 け,早期淘汰

を指導す る。 1 頭 1針 ,直腸検査手袋 を 1頭 1枚使

用 す るこ と。放牧 にあた ってはアブが伝播 す るこ と

を踏 まえ,時 間差放牧,牛群 の隔離 につ とめるこ と。

(12)

牛白血病の病理発生からみた拡大防止対策

(4

)清浄牛群の作出

陽性牛か ら生 まれた子牛の陽性率が低いのでこれ らの子牛 を有効 に活用 して,必要な検査 を行いなが ら,清浄牛群 に移行 させることは可能である

5,L2)O

(5

)行政対応

平 成

10

年 4 月 よ り牛 白血病 の届 出が義務づ け ら れ,その数 を見て も発生が広がっていることは明 ら かである。 しか し,近年BLV 感染牛の全国調査 はな されてお らず,不明の ままである。 日本 の現状 は, かな り深刻で,憂慮 される事態である。発生状況が 分か らない現状では何 も対策が とれない。そこでま ず行政対応 として牛 白血病の実態調査 を行 うことを 提案 したい。かつてデ ンマークでは牛 白血病の発生 で苦 しんでいた。 しか し1

959

年か らの取 り組みで

1991

年には

BLV

感染牛 フリーを宣言 している。イギ リスは1

999

年,スウェーデ ンでは

2001

年 よ りフリー を宣言 している1 7 ) 。我が国における国家 レベルの対 応 を切 に望む。

謝 辞

これ らの研 究 は引用文献 にあ る通 り岩手県畜産 課,北海道大学,帯広畜産大学,理化学研究所,ワ ㌧ シン トン州立大学,東亜燃料株式会社等 との共同研 究であ り記 して感謝する。

引用文献

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JpnJVet i42,297309(1980)

16)小 沼

操 , メアス ソテ ィ :家盲診療,47 ,

163173(2000)

17)小沼

操 :臨床獣医

22(3),1519(2004) 18)w

UD

,TAKAHASHIK,MuRAKAMIK eta

1

..・Vet lmmunollmmunopathol,55,6372(1996)

19)w

UD

,TAKAHASHIK,LIUN,etal.:IComp path01120,117127(1999)

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aI .:

IVetMedSci

,

65:599606(2003)

家盲診療,

55

2

,10ト 107.(2008) 7

(13)

マ レ ック病 お よび七 面 鳥 ‑ ル ペ ス ウイ ル ス の構 造 とそ の起 病 性

岡 田 率 助 *

マ レック病

(MD)

は ニ ワ ト リの伝染性腫疹性疾患 で,臨床的には麻痔 を特徴 とし,損耗率 も高い.七 面鳥

‑ルペス ウイルス

(HVT)

MD

の ワクチ ンとして,

1

0年程前か ら広 く応用 され

,MD

の予防に輝か しい成果 をお さめた.筆者は過去

10

数年間,北海道大学比較病 理学教室において藤本 肝教授御指導 の もとで,主 に病 理形態学 の立場か ら,特 に電子顕微鏡 ( 瑠窮) を用 いて 本病 の本態解明に努 力 して きた.本稿では

MD

の原因 ウ イルスが どの ような形態を しているか,それは どの よう に して増殖す るのか, ニワ トリの体 の車に入 って どの よ うな病変を作 るのか,そ して どの ように して臆癌が形成 され るのかに的な しぼ って,紙数 に も限 りがあるので, 自家所見を中心に筆者 の理解す るところを解説 してみた い.

MD

が ニワ トリ白血病群か ら分離独立 されたい きさ つにつ いては総説4 0 ) 杏

,MD

の病理形態学 につ いては藤 本 の総説

1

0 ・

1

⊥ ) をお読みいただければ率である.

1 . マ レ・ . Jク病 ウイルス

(MDV)

な らびに

HV

での形態発生

1)

成 熟 粒 子 の 形 態

MD

は‑ルペ ス ウイルス B 群に属す る

MDV

に よって 起 こることが明 らかに されている7 ) .い っぼ う,一見健康 な七面鳥か ら分離 された

HVT25・64)

MDV

と共通抗原 を持ち ニワ トリに起病性がないために

,MD

の ワクチ ン

として利用 されている

5O).

筆者 ら

4

8

)

は両 ウイルスの逓徴 形態 とその形態発生につ いて検討 した.両 ウイルスは基 エンベロ‑プ(スパイク)

カプシド(カブソメア)

1 MDV

大型成熟粒子 の模型図

* 岩手大学放学部 ( 盛岡市上

田3‑18‑8)

8 E

川状会

誌,34,463‑471.(198

1)

写 英 1 核膜燈 内におけ る小型の エ ソべ ロープを 搾 った

MDV

粒子 4 7)

本的には同‑形態を示 し,エ ンベ ロープを持つ粒子は以 下の

2

種籾存在 した. ‑つは直径

190‑230nm

で細胞 質小胞体内,細胞質封入体 内または細胞外に 存 在 した ( 図 1). 他の一つは直径

140‑170nm

で核膜腰 に存在 した( 写

其 1).

両者の中心には 直径 1

00nm

20

面体 のカプシ ドが存在 し,その カプシ ドは

162

個 のカブ ソメ アか らな っていた. さらにカプシ ドの中心には コアが存

Gr。。p‡ a

皿 傘 .,k

i

12 MDV

お よび

HVT

のさまざまな コアの形

態に よるカプシ ドの分 析4 7 )

(14)

マレック病および七面鳥ヘルペスウイルスの構造とその起病性

英2 MDV

および

HVT

の コアの立体模型4 7 ) 在 した. この コアについては後で詳 しく述べ る.大型成 熟粒子は カプシ ドとエ ンベ ロープの間に電子密度 の高い 物質を多義 に含み,エ ンベ ロープの表面 にス/ くイ ク状の 突起を持 っていた.

2)

傾斜装置に よるコアの立体構造の検討

感染細胞 の核内には直径 3 0nm の小型核内粒子 ( s m‑

a l lnuc l e arpar t i c l e ) とカプシ ドとコアか らなる未熟粒子 が多数認め られた

46).

筆者が特 に興味を持 ったのは, こ れ ら未熟粒子の コアが図 2 の ようにさまざまな形態を示 す ことであ った4 7 ) .第一 印象 として, これ らの コアの多 形性はそれぞれの ウイルスの成熟過程 を示 しているので はないか と考えた,そ こでまず, これ らの ウイルス コア を電折 の試料僚斜装蔭を用 いて角度の異 なる写英を 2 枚 と り,ステ レオス コープの下で立体視す る方法 に よ り, その立体像を検討 し ,1 97 2年 に 発 表 し た

48)

. 当時, pe c ul i ars ha pe dco r e( 奇妙な形 の コア)と呼んだ 2 個 の 蔽交す る ドーナツ状 リング( 以下,円辞林 と呼ぶ) が

MD

V の コアの立体 モデルであると考えた.い っぽ う,われ われ とはば同時に ア メ リカの FuRLONG ら1 8 )が He r pe s s i mpl e x l塑 1 で, その コアは写其 2 の ような 1 個 の門塀 体 とそれを

通す る 1 個 の電子密度の低 い円柱状物か ら なると報告 し,その後 N AZERl AN31 ) に よ り

MDV

で も, その ような同様形態 の コアのモデルが発表 された.われ われは当時開発 されたばか りの傾斜装置に よる観察を行 なってお り,か な りの 自信があ ったが,当時は 2 万位に しか傾斜 されていなか った4 6 ・ 4 9 ) .三 次元構造の確証 には 4 方位 に傾斜 させ ることが必要である.サ ンプルを 4 万 位に傾斜 させて観察 した結果,写英 3のご とく門柱 と円 環体か らなるコアが確認 された

47).

3)

コンピュー ターによるコア断面像の再生 次に コンピューターに よる立体構造 の再構 築 を 試 み たl

2・49)

.その原理 は近年医学 の分野で脳添血等 の際,也 血部位を的確 に診断 し,大 いに威 力を発揮 しているコ

ピューター トモグラフィ

‑ (CT

スキ ャン) とよく似 て いる. これは身体 のい ろ い ろ な角皮か らⅩ線像を撮影

英 3 4

万位 に傾斜 させ ることに よ り生 じた

HVT

コア投形像の変化4 7 )

し,それを コンビ. a‑クーで処理 し,身体 の断面像をブ ラウン管上 に表示 しようとい うものであ る. 電 顕像 も電 子線を線源 とした投彫像であ り,それか ら断面像を再生 す ることは理論上可能ではあるが

,電

厨 の試料 の傾斜角 度は実用上 ±36 0程度であ り ,1 800全域 にわた って観 察がで きない.そ こで,逐次近似法l )または ma xi mum e nt r opy法

2)

とい う計節方法を用 いて処理 した.検索方法 としてはまずサ ソプルを傾斜 させ ることに よ り , ‑360

‑ +36 0まで 3 0間隔で計 25枚 の写真 を線形 し,検索 したい部分 につ いてデ ンシ トメーターで フィル ム上 の濃 度を測定 した.次に大型計算機に よ り 62×6 2 の画素か らなる断面像を計罪 し , Fl yi ngSpotSc a ne r2 8) のブラウ ン管上に断面像を再生 させた.写

其4ほHVT

感染細胞 核 内の未熟粒子の中央部 の断面像を コソピューターで再 生 させた もので,図 3 はその摸. a i ) 膠 である.傾斜角度に 制限があるため再生像 の上お よび下の部分 の再生が不十 分 であるが,中心 よ り円柱状物 , 円環体お よびカブ ソメ アか らなるカプシ ドが再生 され,写真 2 のモデルが確証 された.

4)

コ ア の 発 育 過 程

以上 よ り全ての カプシ ドは電子密度 の商い門塀体 ない し背 の有無に よ り

3

群 に分け られ る ように思われた ( 図

2)

47 ) .

第 1

群は門塀体を欠 くもので, 全 カ プ シ ドの 33%を占めた.

第 2

1個 または

2

個 の門塀体を持つ もので 37% であ った. これ らの コアはいずれ も門塀体 と円柱か らなるコアの切片 の闘 1万 とPuる方 向に よるも の と思われた.例えば図 2 の dとeほ同 じ も のを横 と上 か ら見た ものである. さらに g

,h

も上か ら見 ると

e

で あろ う . Cは写基 2 の ような コアが斜断 された ものであ る.核 内の未熟粒子は通常第 1群 または第

2

群 に 属 し

日獣会誌, 34. 46 3‑4 71 . ( 1 9 8 1 )

9

(15)

マレック病および七面鳥ヘルペスウイルスの構造とその起病性

写真

4

コソ ピューターで再生 させた

HVT

カプシ ドの断面像1 )

3 HVT

カプシ ド断面像の模型回 た.

第 3

群は電子密度の高い コアを食む もので

,30%

の カプシ ドが この群に属 し,エ ンベ ロープを持 った粒子は 通常 この コアを有 していた. これ もやは り円柱状物 と門 塀体 よ りな り,第 2 群 よ りも門塀体の太 さが太い

.

iは上 か ら,jと k は横か ら見た ものであろ う.

FuRLONG

ら1 8 ) に よると,超薄切片の

EDTA処理

に よ り,中心の円柱 状物は タンパ クを,門塀体は

DNA

をそれぞれ含む と述 べている.

MDV

DNA

の体積はその分子畳か ら計算 すると

1.1105nm3

になる.しか し第

2

群の門塀体の体 積は

4.

1

0

4

nm

3 で, もし第

2

群の門塀体を

DNA

と した場合

, MDV‑DNA

の一部 しか含み得ないことに なる.第

3

群の コアの体1 釦

ま2.0×10

5

nm

aで

DNA

の体 積を十分お さめることがで きる.エ ンベ ロープを持 った 成熟粒子の コアが第 3 群であったこととも考え合わせ,

舞 3

群のコアがその成熟形であることが示唆された

47).

5)

カプシ ド内での

DNA

線維の状態

10

日猷 会

誌,34,4631471.(1981)

次に門塀体のさらに微細 な構造を見たい と思い,厚 さ

10nm

の細 い門塀体を持つ コアを選び,写英をず らしな が ら重ね焼 きした ところ,太 さ

20‑30A

の細線維が螺 旋状にか らまっているように見えた4 8 ) .それ の レザ ー 光線を用いた光回折装勘 こよる回折を行な って見た とこ ろ, 4 個の特徴的なスポ ッ トが現われ螺旋を措いている ことが示唆された4 8 ) .

ところで

,MDV

DNA

の長 さは計測 されていない が,計算に よると約

37pm

以上であることが わかる.

これほ ど長い線維が直径わずか

100nm

のカプシ ド内に どのように してつ まっているかは生物学上の大 きな問題 で もある.‑つの可能性 として,図

4

の ように直径

20A

DNA

線維 ( 二重螺旋か らなる) が‑アピン状に折れ まが り,それがさらに よじれて前述の二重螺 旋 状 を 呈 し, タン/ iク質の円柱の回 りを何

10

回 も取 り巻いてお さめ られているとい うことが想像 された ( 図 5).事実核 膜腰内のエ ンベ ロープを持 った ウイルス粒子 は 一 般 に de ns eな コアを持つ と記我 されているが

32)

,注意深 く観 察 してみると,写真 1 の ように細 い門塀体 と同 じような 幅の帯が多数か らみあっているように見えた4 7 ) .

1 ==>000 0く フ

2

: 冒

3

図4

‑ルベス ウイルス

DNA

線維のよじれ方の仮説

( 刀d ○

0

) :

尊重 寺牽尊重

図5 MDV

および

HVT

の コアの形成過程の仮説

(16)

マレック病および七面鳥ヘルペスウイルスの構造とその起病性

6)

小型横内粒子 とコアの関係

小型核内粒子は M DV 7 ) , HVT8 4 ) お よびその他の‑

ルペスウイルス

2

7 ) で観察 されている.いっぽ う,図 2 のb の ように中心が十文字にぬけた カプシ ドは HVT で c r ‑ os s ‑ s hape d c aps i d と呼ばれ3 4 ) , M DV4 8 ) やその他の‑

ルペスウイルス 2 4 ) で も観察 されている. c r

o

s s ‑ s hape dc a ‑ ps i d はカプシ ド内に

6

個の小型核内粒子を入れた もので あることが, コンピューターに よる立体再生で確かめ ら れた 2 , 4 4 ) .これ ら小型核内粒子は 3 H チ ミジ ンで ラベルさ れないが

45)

,電顕酵素抗体法で抗原性を有す る 8 8 ) ことか ら一種のタンパ ク質であると考え られ る. これ らは PE‑

RDUE

ら5 4 )が ウマの‑ルぺ スウイルスで考えているよう に,おそ らく前述の コア内の円柱状物になるのではない か と思われ る( 図 5).

7)

核か ら細胞質へのカプシ ドの移動

次に核内で形成 された カプシ ドが どの ように して大型 成熟粒子になるか とい う点について述べたい.まず小型 のエ ンベ ロープを持 った粒子は,多 くの他の‑ルペスウ イルスで も報告 されているように9 ) , 核内の未熟粒子が 内側核膜か ら発芽す ることに よって作 られ る. ここでい くつかの疑問点にぶつか る.一つは この小型のエ ンベ ロ ープを持 った粒子は細胞質や細胞外では見 られないが, この粒子は どうなるのであろ うか,次に細胞質に多数の 裸 のカプシ ド ( 未熟粒子)が観察 され るが , 核内で形成

された カプシ ドが どの ように して細胞質に出現す るので あろ うか,第

3

に大型成熟粒子 とどの ような関係がある のか,等 々である.多数の写真を撮影 している過程で,こ のエ ンベ ロープが再び外側核膜 と融合 してエ ソベ T ]‑プ をぬ ぎ, カプシ ドだけが細胞質に移動す ると思われ る像 に遭遇 した4 5 ) . この ような脱エ ソべ T l‑プについてはカ エルの‑ルペスウイルスで報告 されている

61)

. もし脱エ ンベ ロープが存在す るとす ると,小型のエ ンベ ロープを 持 った粒子が細胞質や細胞の外で見 られず,また核膜 の 崩壊がないのに細胞質に も多数の裸 のカプシ ドが見 られ る理 由が大変 よく理解で きる.その他 ,( 1 ) 核膜孔か ら 漏れ出るとい う考えや,(

2)

核膜 の崩壊部か ら移動す る とい う説3 7 )もあるが,( 1 ) については穴の直径が ウイル スよ りやや小さいか同 じ程度であ り,またその写真を示 した人 もない.ただ しウイルス感染後期については,核 膜 の崩壊が観察 され る場合 もあ り

,(2)の可能性 もある.

脱エ ンベ ロープの像が きわめてまれに しか観察 されない のは,その過程が極めて短時間に進行す るため と考えて いる,

8)

細月 包質におけるエンベ ロープ獲得様式

ウイルス感染細胞の細胞質に小胞体に似た属平褒状の 2 重険で,薙内にスパイ ク状の構造が認め られ る特異な 膜様構造物が認め られた( 図

7

FS)

4 5 ) .筆者 ら

45)

はこ れを 鮎 s t t e ne ds ac k と呼んだが,細胞質内のカプシ ドは

l L ヒ

‑ 一 J L sOSru!^Pa]q

er%

0

6 12 2 4

・ ニ し

0

6 12 2 4

1

?o

oL

r 1 ; O o

o

k 1 ;0 j

T ) mear r e rp ur s el a b e l I ' n g( h 「 )

6

HV T 感染細胞の電顕オー トラジオグラフィー結果. 8 H チ ミジンで

1

時間パルスラベルした後の各塾 ウイルス粒子のラベルされた数 ( %) の経時的変化4 5 ) . ( 図 7 の記号および本文参照)

日獣会誌

,34,463‑471.(1981) 11

(17)

マレック病および七面鳥ヘルペスウイルスの構造とその起病性

その部位で電子密度 の高い物質 とエ ンベ ロープを独得 し ていた. この電子密度の高い物質は電顕切片の酵素処理 に よ り一種 のタンパ ク質であるとア ヒルの‑ルペス ウイ ルスで証 明 されている8 ) .

以上,電顕写其 の形態学的所見か ら,感染細胞 内での ウイルス発育過程を追 うことがで きたが,実際に ウイル スがその ような動 きを しているか どうか

, 3H

チ ミジ ン で ラベル した HVT について電顕 オー トラジオ グラフ ィ

‑に よ り確認 した 45 ) .方法 としてほ感免細胞

1時間 ラ ベル した後,アイ ソ トープを含 まない

Cold

のチ ミジ ン で洗い

, 6,12,24

時間後にそれぞれ ラベルされた ウイ ルスの数を算えた.

図6

A,

a

,C

は核内のカプシ

であるが,時間 とともに ラベル された ウイルス粒子が減 少 した.核膜艇 の小型 のエ ンベ ロープを持 った ウイルス 粒子

(D)

6

時間 日が最高で,その後減少 している, それに対 し,細胞質 内のカプシ ド

(E)

や細胞質や細胞 外の大型成熟粒子 (F 〜 Ⅰ)は時間 と共 に ラベルされた ものが増加 し, ウイルスは核か ら細胞質 に移行 してい く ことが証 明 された4 5 ) .

9)

紬 脂 質 封 入 体

‑ルペス ウイルス感教 において,核内封入体 のみなら

ず,細胞質封入体の存在が報告 されてい る

30)

.筆者 らの観 察の結果, 細胞質封入体は カプシ ドと

dense

な物質

38)

( 図

7

F)

の躯 った もの, または限界膜 に 包 まれ大型 成熟粒子が プ ー ル された もの (

図7

のH) であ り,お そ らくライ ソゾームとして運命をた どる もの と思われた 4 5 )

10)

ウイルスの形態発生ま とめ

7

に以上述べた ウイルスの発育過程 を模式 図にまと めた.核 内で複製 された

DNA

と細胞質で合成 された数 種 の ウイルスタンパ ク質は核 内で ウイルス粒子に合成 さ れ る.形態学 的には カプシ ド内で

6

個 の小型核 内粒子か ら円柱状物が作 られ,その回 りを

DNA

線維が螺旋状に よじれなが ら何回 も取 り巻 きコアが形成 され る(

図 5)

. で き上が った未熟粒子 (コアを含 んだ カプシ ド) は内側 核膜で発芽 して,小型 のエ ソベ ロ…プを持 った粒子 ( 図

7

の D) になる.それ らは脱エ ンベ ロープす るか,または カプシ ドが核膜 の破れ 目か ら出て細胞質に殊 のカプシ ド

(

図 7

E)

が出現す る.次 にそれ らは

nattencd sack

dense

な物質に包 まれ エ ンベ ロープ とスパイ クを牲 得 して大型成熟粒子 ( 図

7

G)

になる.

L 望 け M D V お よ び H V T 発 育 過 程 の 仮 説

12

日獣会誌

,34,463‑471.(198

1 )

参照

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