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Academic year: 2021

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(1)

(476)  奈医誌.(J. Nara Med. Ass.) 45, 476~486 , 1994 

マウス臆腔内接種法による Haemoρhilusinfluenzae 中心とした混合感染モデルの実験的研究

奈良県立医科大学耳鼻咽喉科学教室

矢 形 礼 貴

STUDIES OF EXPERIMENTAL MIXED INFECTION WITH H. INFLUENZAE  AND OTHERS IN MICE USING THE METHOD OF VAGINAL INOCULATION 

REIKI Y AKA 

artm t0/ Otor古問olaryngologyNara Medical University  Received Sptember8, 1994 

Abstract:  The intravaginal inoculation model in threeweekold female ddY mice was  used for the study of mixed bacterial infection 

Neither Escherichia  coli  nor Enterococcus faecalis  alone  induced vaginitis:  it  was  c1eared within four or five days after inoculation. 

However, preinoculation with Haemoρhilus influenzae (serotype b) was able to induce  apparent vaginal infection when either of the two bacteria was inoculated intravaginally on  the following day. 

Also in the case of Pseudomonαs aeruginosa, only preinoculation with H influenzae  (serotype b) induced apparent vaginitis upon inoculation with P. aeruginosa on the follow ing day 

It is  speculated that H influenzae (serotype b) may destroy the mechanical barrier of  the vaginal epithelium, possibly thereby inducing a local compromised condition on the  mucosal epithelium. 

lndex Terms 

Haemoρhilus  influenzae, mixed infection, intravaginal  inoculation, local  compromised  condition 

緒 言

近年医学の進歩より抗生剤,抗癌剤,免疫抑制剤が多 用されることによってcompromisedhostとなり,従来 は弱毒または非病原性と言われていた菌による感染症が 日和見感染症として問題視されるようになってきている.

また,各種compromisedhostにおける感染症では複数 菌による混合感染が多く複数菌感染症も問題視されるよ

うになってきている.

HaemoPhilus influenzaeCH. influenzae)は上部気道粘 膜感染,肺炎,中耳炎,小児の髄膜炎の起炎菌として重

要で特にseroypebがよく見い出されるといわれており,

咽頭常在菌のーっとも考えられている.

上気道などの粘膜を感染の場とする病原菌が組織へ進 入する際,その感染経路はまず粘膜上皮でなくてはなら ない.その可能性を検索するためには組織侵入性をそデ ノレとした粘膜感染実験モデルが必要である.

粘膜を感染の場とした感染実験モデノレとしては,マウ ス陸腔内を利用した幼弱マウス(3週齢〉の赤痢菌の感染 モデノレが既に確立されている. この感染モデノレで、は,組 織学的に盤粘膜剥離と粘膜下組織における好中球の著明 な浸潤がKC+株にのみ強く認められ,KC+株とKC一株と

(2)

マウス腹腔内接種法によるHaemophilusinfluenzae

中心とした混合感染モデルの実験的研究 (477) 

の病原性の差を示す非常に有効な感染モデノレである1).

また,淋菌及びCampylobacterjejuniの感染モデノレは5 週齢マウスのear1yestrous stageの腹腔を用いること により確立されている2).

今回著者はこの感染実験モデ、ノレの方法を踏襲し,マウ ス陸粘膜を利用してH.influenzaeserotypebEs cherichia  coli (E.  coli)またはEnterococcusfaecalis (E.  faecalis)との混合感染モデノレを作製し ,E. coliまたはE. faecalisのみの単独感染と混合感染の差について腫腔内 菌量及び粘膜組織病変の比較検討を行った.

また,Pseudomonas aeruginosa(P. aeruginosa)につし、

てもP.aeruginosa単独感染とH.influenzaeとの混合 感染の比較を行った.

実験材料及び実験方法

H. influenzaeのマウス臆腔内単独接種実験 1.実験動物

実験動物は3週齢のddY雌マウス〔日本Fレア〕を使 用した(n=30).

2.使用菌株

奈良医大の臨床材料から分離したserotypeb株を使 用した.

SM耐性株の作製はストレプトマイシン(以下SM 略〕を200μg/ml含有したチョコレート寒天培地でgra dint法により SM耐性株を誘導した.

SM感受性株, SM耐性株の両者ともファディレク ト・ヘモフィノレステト(フアノレマシア〉にてserotypeb あることを確認して使用した.

3.菌株の保存

菌株は5% skim milkにチョコレート寒天培地に増 殖した菌体を懸濁し, 5X150mmの小試験管に分注し ‑800Cで保存した.

4.菌の培養

接種に使用する菌は,‑80oCに保存された菌株をチョ コレート寒天培地にて3TC24時間培養した後使用した.

5.睦腔内接種及び菌の回収(Fig.1) 

腹腔内への接種はまずグルコン酸クロノレヘキシジン5

(W!V)をしみこませた綿で盤関口部を清拭し, %重 曹水で腹腔内を洗浄し,次に生理食塩水で盤内を洗浄し た後,細L、滅菌綿棒で鹿内の水分を拭い取り,白金耳で チョコレート寒天培地上の瓦 influenzaeを採取して陸 内に1白金耳〔約108colonyforming unit)接種した.そ して菌接種後経目的に白金耳で腔躍内を擦過してチョコ レート寒天培地に塗布し腫内の菌の生着状態を調べた.

6.組織標本の作製

Thr巴巴wekoldddY mice wrused. Vaginas werwashedwith 1% sodium bicarbonae.

↓ 

Vaginas wrwashedwith physiological saIine. 

↓ 

Th saline remaining  in  the  vaginal  lumen  was  removed with striIcottonwool 

A loopful of H. influenzae (serotype b) was inoculat ed into the vagina. 

↓ 

On the foIIowing day, loopful of thotherbacteria  was inoculated into the vagina. 

(E.  coli, E. faecalis, P aeruginosa) Fig. 1. Method of experiment 

腹腔内接種したマウス陸を経目的に採取して10%ホ

ノレマリン溶液にて固定し,パラフィン包埋後,へマトキ シリン・エオジン(HE)染色標本を作製した.

11.  E.  coli及びE..rαecαlisのマウス腿腔内単独接 種実験

1.実験動物

H. influenzae単独接種法と同じ3週齢幼弱マウスを 使用した(E.coli単独接種,E. faecalお単独接種それぞ n30).

2.使用菌株

E. coli, E. faecalis共にマウスの糞便から分離した.

3.菌株の保存

菌株はドノレセットの卵培地(日本水薬〉に接種し, 40 にて保存した.

4.菌の培養

接種に使用する菌は, tryptic  soy  agar(Difco  lab.,  Detroit, USA) (以下TS培地と略〉に3n24時 間 培 養 後使用した.

5.腹腔内接種法及び菌の回収

H. influenzae単独接種の方法に準じ,盤腔内に 1白金 耳接種した.陸腔内に接種後経目的に白金耳で腔腔内を 擦過してTS培地に塗布し,腹腔内の菌の有無を調べた.

盤内の菌の有無のみでなく,腔から回収された菌の量も 調べたが,この場合,菌量は(十十十十), (十十十),

(++),  (+)  (ー〉で表わし,それぞれの目安はPhoto Iに示してある.

6.組織標本の作製

H. influenzae単独接種の方法に準じ, HE染色標本を 作製した.

川 .H. influenzaeE.coliまたはE.faecalis

(3)

の混合接種実験 1.実験動物

H. influenzae, E. coli, E. faecalisそれぞれを単独接 種した場合と同じく 3週齢の幼弱マウスを使用した (H. influenzaeE.coliの混合接種,H. influenzae E. faecalisの混合接種それぞれn=40).

2.使用菌株

H. influenzae, E. coli, E. faecalis単独接種と同じ菌 株をそれぞれ使用した.

3.菌の培養

H. influenzae, E..coli, E. faecalis単独接種と同じ方 法で個々の菌を培養した.

4.腹腔内の接種法及び菌の回収(Fig.1) 

まず1%重曹水で陸腔を洗浄し,次に生理食塩水で洗 浄した.その後細い滅菌綿棒で盤内の水分を拭い取り,

白金耳でストレプトマイシン〔以下SMと略〉非合有チ ヨコレート寒天培地上のSM耐性または感受性H. in fluenzaeを採取して陸内に1白金耳接種した.H.  in

fluenzaeを接種した翌日,白金耳で固型培地から採取し E.coli, E.faecalisのうちの一つを鹿内に 1白金耳接 種した.接種後経目的に白金耳で陸腔を擦過してSM 有 チ ョ コ レ ー ト 寒 天 培 地 に 接 種 し てSM耐 性H. in fluenzaeの消長を調べ, TS培地にも接種してE.coli たはE.jecalisの盤腔内での有無を調べた. (但しSM 感受性のH. influenzaeを接種した場合は, SM感受性 H. influenzaeSM含有培地には生育しないのでTS

培地のみに接種し ,E. coli, E. faecalisの消長のみを調 べた • E. coli, E. faecalisの消長をTS培地で調べたの は,E. coli, E. faecalisともにTS培地で良く生育し,

し か も 瓦 influenzaeTS培地では生育できないから である.)ここでSM感受性株のみでなく,SM耐性のH.

influenzaeを も 使 用 し た の はSM含 有 培 地 に はSM 性菌のみしか生育せず,SM耐性H.influenzaeの消長が 簡単に判別できるからである.

5.組織標本の作製

H. influenzae単独感染の方法に準じ, HE染色標本を 経目的に作製した.

IV. P.  aeruginosαl室 内 単 独 接 種 及 びP. uginosαH.influenzaeとの混合接種実験

1.実験動物

前記実験と同じく 3週齢のddY雌マウスを用いた (P.  aeruginosa単独接種はn5, H.  influenzaeP. aeruginosaの混合接種はn=4).

2.使用菌株

P. aeruginosaは水道水より分離じた.

3.菌の培養

接種に使用する菌は, TS培地に3724時間培養後 使用した.

4.睦腔内接種及び菌の回収

前記の方法に準じ, m室内を擦過してTS培地に接種し Tこ.

l H.influenzae s室内単独接種実験

1.  "7ウス陸腔内よりのH.iluenzaerecovery. マウスE室内のH.influenzaeE室内接種後10日自には すべてのマウス陸腔より消失した.SM耐性株と感受性 株にマウス陸への生着度に差は認められなかった.

2.マウス躍の肉眼的には著明な変化は認められなか った.

3.マウス陸の組織学的所見

H. influenzae接 種7日目のHE染色像では粘膜上皮 の軽度の探嫡,粘膜下浮腫,及び軽度の細胞浸潤を認め (Photo.2). 

11. E. coli及 びE.faecαlis1室内単独接種実験 1.  "7ウス陸腔よりのE. coli及 びE. faecalis recovery 

Fig.  2及 びFig.4に示すように,マウス腹腔内のE coliは単独接種Lた場合,接種4‑ 5日目には躍腔から 消失している.Fig.  2(0)E.coliを単独接種した場 合の屋内のE.coliの有無を菌量の大きさに関係なく表 している.Fig.  4は腔から回収されたE.coliを菌量別 にグラフ化したものである.

U

UHgbECUUM

(%)  100  90  80  70  60  50  40  30  20  10 

αer

(478) 

Da ys after inoculation of E. coli 

Fig.  2.  Recovery ratofE. coli from mouse vaginas  (e‑. .‑e); inoculated  with H. influenzae  and E.  coli  (n30)

(0一一0): inoculatd with  E.  coli  alon

(n20)

(4)

マウス控腔内接種法によるHaemoPhilusinfluenzae

中心とした混合感染モデルの実験的研究 (479) 

4 5 6  

Days after inoculation of E.coli 

Fig.  3.  Recovery rate of E. coli from vaginas inoculated with H. infuenzae.  Mixed infection with H. influenzae and E. coli.(n= 10) 

(%)  100 

h、吋 E

ゃ~

qso 

(%)  100 

Mh v.

o g g p g o υ ω

50 

2 3 4  

Days after inoculation of E.coli 

Fig.  4.  Recovery  rate  of E.  coli  from  vaginas  inoculated with E.  coli alone. (n= 10) 

(%)  100 

90  80  70 

D4 60 

~同~ 50 40 

Eω 30 20  10 

Days after inoculation of E. faecalis  Fig.  5.  Recovery  rat of E.  faecalis from  mous

vagmas. 

(e‑‑e) ; inoculated  with H.  influenzae  and E. faecalis (n30)

に‑ーや); inoculated with E. faecalis alone  (n20)

Fig.5及びFig.7に示すように,マウス陸腔内のE. Jecalisは単独接種した場合,接種 4日目頃には陸腔か

ら消失している.Fig 5(0)Ejecalisを単独接種 した場合の腫内のE.faecalisの有無を菌量の大きさに 関係なく表している.Fig.7は 陸 か ら 回 収 さ れ たE jec.目的を菌量別にグラフ化したものである.Fig.  4, 

(5)

(%)  100 

O4

ω~ 50 

2 t ω  

(480)  矢 形 礼 貴

(%)  100 

23 

'o  36  50 

qP 

ω.(

Days after inoculation of E. faecalis 

Fig.  6.  Recovery rate of E. faecalis from vaginas inoculated with H. influenzae  Mixed infection with H. influeηzae and E. faecalis. (n=10) 

Fig.  7のそれぞれの菌量の目安はPhoto.1に示してあ る.

2.マウス躍の肉眼的所見

マウス躍は肉限的には著明な変化は認めなかった.

3.組織学的所見

E. coli, E. faecalisいずれの菌を接種しでも盤粘膜に 著明な変化は認めなかった.(Photo. 3, 4) 

111.  H. influenzaeE.coliまたはE.fαeicαlis の混合接種実験

マウス陸腔よりのE.colirecovery.

Fig.  2(e)はE.coliを 丘 influenzaeと混合接種 した場合,つまり ,H. influenzaeを盤内に接種した翌日 にE.coliを陸内に接種した場合の腔内のE.coliの有無 を菌量の大きさに関係なく表している.Fig.  3H.in fluenzaeと混合接種した場合の陸から回収されたE.

coliを菌量別にグラフ化したものである.

Fig.  2に示すように, E. coliH influenzaeと混合 接種した場合,E.coli接種後7‑8日程度まで盤より回 Fig.  7.  Recovery ratofE.  faecalis from vaginas  収され,しかも 2‑4日目のrcoveryした菌量をE inoculated with E. faecalis alone. (n = 10)  coli単独接種と比較すると腔内で生育しているE coli

の菌量が H influenzaeと混合接種した場合の方が多く,

特に3日目以降に著しい差を認めた.

2.マウス麿腔よりのEfaecalisreovery

‑ m  

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参照

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