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帰 国 子 女 の 言 語 習 得 ・喪 失 過 程

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(1)

〔共 同研 究 〕

帰 国 子 女 の 言 語 習 得 ・喪 失 過 程

子 明 敏

雅 敏 克

條 黒 藤

上 石 伊

第1章 帰 国 子 女 の 言語 習 得 ・喪 失 過 程 に関 す る研 究

一学 習 期 間 と言 語 習得 能 力 の 相 互 関 係 に よ る考 察 一一

上 條 雅 子

は じ め に

帰 国 子 女 が習 得 した言 語 を維 持 し,伸 ばす た め に,1989年 か ら3年 間 に わ た っ て横 浜 市 研 究 助 成 金 に よ り 「帰 国 子 女 の言 語 習得 ・喪 失 過 程」

に 関す る研 究 を行 な った 。 この研 究 結 果 を,第 一 段 階 と して,ま ず,下 記 の項 目に つ い て,考 案 した分 析 モ デ ル(表H)に よ って考 察 す る。

1「 帰 国 子 女の 言語 習得 ・喪 失過 程 」 分 析 モ デ ル

II基 礎 調 査 の 回答 内容 分 析概 要(言 語 習 得 ・維 持 ・喪 失) 一 小 学 生 低 学 年

IIIケ ー ス ・ス タデ ィ1観 察 授 業 に関 す る 一考 察 一 子 女 の バ イ リンガ リズ ム と言 語 維 持 の 問題 点

IV第 二 言語 維 持 ・再 習 得 のた め の教 授 法 ・テ キ ス ト等 に関 す る示 唆

この研 究 に お け る主 要 な研 究 資 料 は,「 帰 国 子 女 の言 語 習 得 ・喪 失 過 程 」 に関 す る研 究 の た め の 基 礎 調 査 表 の 回答(356人)及 び この 回 答 者 の うち,研 究 者 の要 望 に応 じた25人 の ケー ス ・ス タデ ィ と して の研 究 授 業 で あ る。 基 礎 調 査 表 配 布 対 象者 は帰 国 子 女 で あ る。 基 礎 調査 表 は横 浜

(2)

IO2

市 教 育 委 員 会 の協 力 に よっ て,帰 国子 女 が 多 く在 籍 す る横 浜 市 内 の公 立 小 学 校 に500部 配 布 して356部 回 収 され た。 回収 率 は71.2%で あ った 。 回 答 者 は低 学 年202人,高 学 年154人 で あ った が,回 答 者 の 中 に は小学 校 入 学 前 に海 外 に行 った 子 女 も含 まれ て い た。 第 一 段 階 の研 究 と して,ゆ え に,回 答 者 を幼 稚 園児,小 学 校 低 学 年,小 学 校 高学 年 そ れ ぞ れ 三 つ の レ ベ ル に分 け,共 同研 究 者3人 が 各 人 そ れ ぞ れ の 研 究 分 野 を中 心 に研 究 す

る。 筆 者 は この研 究 トピ ッ クを,バ イ リソ ガ リズ ム と 言語 問 題 の観 点 か ら,小 学 校 低 学 年 を対 象 に行 な う。

1「 帰 国 子 女 の 言 語 習 得 ・喪 失 過 程 」 分 析 モ デ ル

子 女 が 第 君 語 を 習 得(維 持 ・喪 失 ・再 習 得 ・促 進)す る 要 因 を,表 1‑1の 分 析 モ デ ル に 示 さ れ て い る縦 軸 の 要 素[子 女 自身 Φのの 言 語 適 応 性 (a),言 語 交 流 関 係(b),言 語 環 境(c)]と 横 軸 の 概 念[言 語(A),文 化(B),教

育 機 関(C)]で あ る と仮 定 した 。 表11(言 語 習 得 要 因 分 析 モ デ ル)の 言 語 習 得 要 因 の 相 関 関 係 を 図 式 化 した も の が 図1‑1(言 語 習 得 要 因 相 対 関 係)で あ る。 す な わ ち 子 女 の 第 二 言 語 習 得(維 持 ・喪 失 ・再 習 得 ・促 進) は,子 女 自身 の 言 語 適 応 性,言 語 交 流 関 係,言 語 環 境 と 子 女 の 置 か れ た 文 化 的 背 景 及 び準 備 さ れ た 教 育 機 関(あ る い は これ に 準 じ た 指 導)と の 相 関 関 係 に よ っ て 考 察 で き よ う。

「帰 国 子 女 の 言語 習 得 ・喪 失 過 程 」 の た め の 基 礎 調 査 は,調 査1(海 外 と 日本 の 学 校 と生 活),調 査II(海 外 の 学 校 と生 活),調 査III(帰 国 後 の 学 校 と生 活)で 構 成 さ れ て い る。 この 調 査 は,言 語 の 習 得 ・喪 失 ・維 持 ・ 再 習 得 ・促 進 そ れ ぞ れ の 要 因(表1‑1)を 考 察 す る こ と を 意 図 して 作 成

され た 。 調 査1の 文 脈 は,言 語 習 得 に 関 す る背 景,す な わ ち,子 女 自身 Φのと学 校(C)に つ い て の 情 報 で あ る 。 調 査IIの 文 脈 は 言語 の 習 得 と維 持 に 関 す る要 因,す な わ ち,子 女 自身(M)と 言 語(A),文 化(B),教 育 機i関(C)の 内 容 を,子 女 自 身0のの 言 語 適 応 性,言 語 交 流 関 係,言 語 環 境 との 関 連 性 に つ い て 行 な っ た 質 問 で あ る。 調 査IIIの 文 脈 は 言 語 の 維 持 ・喪 失 ・再 習 得 ・ 促 進 に 関 す る 要 因,す な わ ち,子 女 自 身 αのと 言 語(A),文 化(B),教 育 機 関 (C)の 内 容 を,子 女 自身 Φのの 言 語 適 応 性,言 語 交 流 関 係,言 語 環 境 との 関 連 性 に つ い て 行 な っ た 質 問 で あ る。

分 析 モ デ ル に よ る基 礎 調 査 表 の 回 答 内 容 の 分 析 に よ っ てs子 女 の1)

(3)

表1‑1

帰 国 按 の 言 語 脅得 ・喪 失過 程 。3 言 語 習 得 要 因 分 析 モ デ ル

M子 A言 語(習 得 ・

喪 失 ・再 習 得 ・促 進)

a

ぐ'

個 性

積 極 性 消 極 性 開 放 性 閉 鎖 牲 明 朗 惟 陰 気 性 独Af.f.性 依 存 性 忍 耐 ノ

努 力

能 力(外 国 語 ・日 本 聴 く

話 す 読 む 淋 く

パ イ リ ン ガ リズ ム

b

鴇 .

相r(瞬 籍) 先 生

父 ・llナ 兄 弟 友 人 隣 人 r伝 家 庭 教 師

使 月Fl語 ・i1語

c

場 所(外 国 ・ 日

本)

学 校 ぐサ ーわ ス ク … ル)

家 庭

近 所 ・

̲.zミュ ニ テ ィ

『 ㎜

言語 能 力 判 定 能 力 試験

B異 文 化(轡 得 ・患 考 ・行 動) 内 容

喜怒 哀 楽 表 現

将 来 の職 種

C教 蓄(学 校 ・そ の 他) (外 国 。 日 本)

内 容 テ キ ス ト

科 目 宿 題 教 科 書

成 績 レポ ー一 副 教 科 書

津F丘砺 重旨!」 ミ ワークフック

#=.格f虻 ζ ノ ー ト

表 現 方法

自 分 の 意 見 ・説 明 す る こ と 冗,淡 ・ き 嘆 り 文イ

形 態

授 業 ・休 み 時 間 TVラ ジ オ

外 国 訪 問

̲L一

図1‑1言 語 習 得 要 因 相 対 関 係 促 進 ・ 再習 得

率メ 失

習 得 Ar語 轟 得過 程

ノ・1、 \!

B文 化 《

ニー … … 、三》c教 臓 関

亀㍉../

鴨w葛a.,.!/

\‑㍉ ぎK....一

b繍 交欄 戚 ぐ 僧 、"・一》/・ 瀟 環境

\選/

Mr女

(4)

io4

第 二 言 語 習 得(維 持 ・喪 失 ・再 習得 ・促 進)の 理 想 モデ ル,2)第 二 言 語 習 得(維 持 ・喪 失)過 程,3)第 二 言 語 習 得(維 持 ・喪 失)に 関 す るバ イ

リン ガ リズ ム,4)第 二 言 語 習 得(維 持 ・喪 失)の 問題 点 及 び5)第 二 言 語 習得(維 持 ・喪 失)に 関 す る指 導 方 法,教 育 資 料 及 び テ キ ス ト編纂 に

関 す る事 柄 が 示 唆 で き るで あ ろ う。

II基 礎 調 査 の 回 答 内容 分 析 概 要(言 語 習得 ・維 持 ・喪 失 要 因)

基 礎 調 査 の 回 答 内 容 分 析 の概 要 を 下 記3項 目につ い て,「 帰 国 子 女 の 言 語 習 得過 程 に関 す る研 究 」 基 礎 調 査 表 の 回答(統 計 資 料)に 基 づ い て 行 な う。

1外 国語 習得過程(外 国語習得 に要す る期間)

2外 国語 が維持 で きる能力(外 国語習得能力 のあ る子女)と 期 間 3外 国語 を喪失す る 可能性 のあ る言語能 力(外 国語習得能 力が極 め て

低 い子女)と 期間

1外 国語 習得 過 程

言 語 習 得 内 容 は 聴 く,話 す,読 む,書 く,総 合 理 解 に つ い て 考 察 す る。 言 語 習 得 に 要 す る 期 間 は,子 女 の 言語 習 得 能 力 の 平 均 値 と し て 子 女 の 回 答 最 高 率 を 選 ん だ 。

1)外 国 語 を 聴 い て 理 解 す る 力 に つ い て

(1)教 師 の 発 語(伝 言,指 示,宿 題/レ ポ ー ト,授 業)に 関 し て,子 女 に要 し た 理 解 の 期 間 と子 女 数 最 高 率 は,伝 言(1か 月 ・33%),指 示

(1か 月 ・46%),宿 題/レ ポ ー一 ト(6か 月 ・37%),授 業(6か 月 ・38%) で あ っ た 。 こ の 統 計 か ら,教 師 の 発 語 に 関 す る 子 女 の 理 解 過 程 の 内 容 は 伝 言,指 示,宿 題/レ0ト,授 業 の 順 序 で あ っ た 。 子 女 に と っ で 一番 理 解 が 難 し か っ た の は授 業 に お け る 教 師 の 発 語 で,こ の 理 解 に1か 月 か ら6か 月 か か っ た 了 女 は,全 体 の93%で あ った 。 これ は,約93%の 子 女 が6か 月 で 教 師 の 発 語 が 理 解 で ぎ る よ うに な る と い え る。

(2)友 人 の 話 す 現 地 語(授 業 中 の 話,休 み 時 間 の 話,冗 談)が 理 解 で き る 過 程 は,休 み 時 間 の 話(3か 月 ・32%),授 業 中 の 話(1/6か 月 ・ 30%),冗 談(6か 月 ・30%)の 順 序 で あ っ た 。 子 女 に と っ て 一番 理 解 が

(5)

帰国子女の言語習得 ・喪失過程m5 難 し か っ た 冗 談 が1か 月 か ら6か 月 で 理 解 で き た 子 女 は 全 体 の67%で

あ っ た 。

以 上 の 考 察 か ら,子 女 は 外 国 語 を 聴 く力 は1か 月 な い し6か 月 で 教 師 の 授 業 に つ い て の 発 語 が 理 解 で き ,友 人 の 話 す 現 地 語 の 冗 談 は6か 月 で 理 解 で き る よ うに な る。 子 女 が 現 地 語 で 総 体 的 内 容 を 聴 い て 理 解 で き る に は6か 月 を要 し,こ れ に 相 当 す る 子 女 は,約30%で あ る と考 え る こ と は 妥 当 で あ ろ う。

2)外 国 語 を 話 す 力 に つ い て

(1)教 師 の 質 問(授 業,子 女 自 身,家 族 ,日 本 に 関 す る こ と,そ の 他)に 対 し て,子 女 が 返 答 に 要 した 期 間 と子 女 の 回 答 最 高 率 は,子 女 自 身 の こ と(3か 月 ・32%),家 族 の こ と(3/6か 月 ・28%) ,授 業 の こ と(6か 月 ・33%),日 本 の こ と/そ の 他(1年 後 ・30%)で あ っ た。 こ の 統 計 か ら,教 師 の 質 問 に 対 し て 子 女 が 返 答 で き る過 程 は

,子 女 自身 の こ と,家 族 の こ と,授 業 の こ と,日 本 の こ と/そ の 他 の 順 序 で あ っ た 。 日本 に 関 す る こ と及 び そ の 他 に つ い て の 質 問 に 答 え る こ とが 子 女 に と っ て 一番 難 し く,こ れ に1か 月 か ら1年 か か っ た 子 女 は,全 体 の75%で あ っ た 。

② 子 女 が 五 つ の カ テ ゴ リ ー(は い ・い い え で 答 え る,自 分 の 意 見 を 言 う,冗 談 が 言 え る,説 明 を す る)に つ い て 現 地 語 で 話 せ る よ うに な る 過 程 は,き ま り文 句(1か 月 ・66%),は い ・い い え で 答 え る(1か 月 ・ 65%),自 分 の 意 見 を 言 う(6か 月 ・32%) ,冗 談 が 言 え る(1年 ・44%), 説 明 を す る(1年 ・36%)の 順 序 で あ っ た 。 現 地 語 で 説 明 を す る こ とが 子 女 に と っ て … 番 難 し く,こ れ に1か 月 か ら1年 か か っ た 子 女 は,全 体

の82%で あ っ た 。

同 上 の カ テ ゴ リー に つ い て 現 地 語 で 楽 に 話 せ る よ うに な る過 程 は,は い ・い い え で 答 え る(1か 月 ・56%)と き ま り文 句(1か 月 ・46%)の 順 序 が 同 上 と入 れ 替 わ り,自 分 の 意 見 を 言 う(6か 月 ・30%) ,冗 談 が 言

え る(1年 ・42%),説 明 を す る(2年 以 上 ・28%)の 順 序 は 同 じで あ っ た 。 し か し,現 地 語 で 楽 に 説 明 す る こ とが 子 女 に と っ て 一 番 難 し く,2 年 以 上 か か っ た 子 女 が … 番 多 く28%で,結 局 子 女 全 員 が これ に1か 月 か

ら2年 か か っ た こ と に な る。

子 女 が 現 地 語 で 話 せ る よ うに な る に は1年 か か る が,楽 に 話 せ る よ う

(6)

Io6

に な るに は2年 か か る こ とに な る。

3)外 国語 を読 む 力

帰 国後 の 外 国語 学 習 方 法(外 国語 で読 書 を した)に つ い て,外 国語 の

表1塗 言語習得 に要 す る平均期 間 とこれ に相 当す る子女数 率(小 学校低 学 年)

困 難 度(易 し い 一・難 し い) 最 も困難 1」t均

教師の 発語

内容 伝 言 一一 指 示 一・ 宿 題 ・ レ ポ ー トa授 業 授業

6か 月

;30

期間

1カ ・ナj1カ ・月6カ ・月6カ ・月 1〜6か 月

子 女 33%46%37%38% 93%

友 人の 内容 休 み 時 間 授 業 中 冗 談 冗談 期間

τ

3カ ・月1〜6カ ・月6カ ・月 1〜6か 月

子 女 32%30%30% 67

教師に 内容 自 分 自 身 → 家 族 → 授 業a日 本 ・そ の 他 日 本 ・そ の 他 {

1年 82%

期間 3か 月6か 月6か 月1年 1か 月 〜1年

子女 32%28%33%30%

̲皿

75%

普通 に 内容 は い ・ き ま り 一・ 意 見 ・ 冗 談 ・ 説 明

iい い え 文句

説 明

期 間

r‑一

1か 月1か 月6か 月!年1年 1か 月 〜1年

楽 に

f女 65%6b%32%44%36% 82%

T一

期間 1か 月6かjjl年2年

r女 30%42%28%

二̲f:

両冗

内容 短 い 文 章 一テ 普 通 の 文章 普通の文 章

1年 82%

期間 6か 月1年 1か 月 〜1年

子 女 38%34% 82%

圭臼

内容 単 語 一・ 短 い 文 章 普 通 の 文 章 一・長 い 文 章 普通 の文章

1年 82%

期間 6か 月6か 月1年2年 以 ヒ 1か 月 〜1年

子 女 40%38%341垢35% 82%

A 現 地 子 女 レベ ル,

外 国 語 習 得 に 要 す る 平 均 期 間,子 女数 率,レ ベ ル:1/3%のf女 が 現 地 校 で1 年 間 就 学 す る とCレ ベ ル,2年 間 就 学 す る とBレ ベ ル,

る とAレ ベ ル に 到 達 で き る こ と が ア測 さ れ る 。

B二 楽 に な る レ ベ ル,Cレ ベ ル:か ろ う じ て

2年 〜3年 ヒ就学す

(7)

帰 国 子 女 の 言 語 習 得 ・喪 失 過 程Io7

学 習 を し た と答 え た 子 女76%(222/293人)中,外 国 語 で 読 書 を した 子 女 は14%(13/222人)で あ る 。 現 地 語 で 少 な く と も,短 い 文 章(6か 月 ・38%)あ る い は普 通 の 文 章(1年 ・34%)が 書 け る と答 え た 子 女 に は 外 国 語 を 読 む 力 が あ る,と 仮 定 し て よか ろ う。 外 国 語 を読 む 力 は,ゆ え に,6か 月 か ら1年 か か る とみ な さ れ る 。 これ に 相 当 す る 子 女 は 前 者 が53%,後 者 が82%で あ る。

4)外 国 語 を書 く力

現 地 校 で の 使 用 語 で 書 く(単 語 を 並 べ る だ け,短 い 文 章 ,普 通 の 文 章,長 い 文 章)こ と に 関 して,こ れ に 要 した 期 間 と 子 女 の 割 合 は ,単 語 を並 べ る だ け(6か 月 ・40%),短 い 文 章(6か 月 ・38%) ,普 通 の 文 章 (1年 ・34%),長 い 文 章(2年 以 上 ・35%)で あ った 。 平 均 的 な 一 般 子 女 と して 普 通 の 文 章 が 現 地 語 で 書 け る よ うに な る に は1年 か か り,34%

の 子 女 が これ に 相 当 す る。1年 以 内 に 書 け る よ うに な っ た 子 女 を 含 め る と,82%の 子 女 が1年 後 に 普 通 の 文 章 が 現 地 語 で 書 け る よ うに な る。

5)外 国 語 の 総 合 的 理 解

以 上 の 考 察 か ら̲.̲...子 女 が 現 地 語 を 総 合 的 理 解 に 習 得 で き る に は, 現 地 校 で 少 な く と も1年 学 習 した 子 女 で あ り,こ の うち1/3の 子 女 が

これ に 相 当 す る。 そ の 他 の 条 件 は ,現 地 校 で1年 以 上 学Ciし,こ れ が 長 くな れ ば な る ほ ど こ の 可 能 性 は 高 くな る と推 察 で ぎ る。 また ,こ れ は 言 語 関 与 因 と の 相 対 関 係 に よ っ て 言 語 習 得 の期 間 と子 女 の 割 合 が 変 わ る。

上 記 外 国 語 習 得 過 程 に お け る考 察 を ま とめ た も の が 表r2で あ る。 低 学 年 児 が 外 国 語 を 習 得 す る 際 の 目安 と な り得 よ う。

2外 国語が維持 で きる能 力 と期 間(外 国語習得能 力の ある子女)

外 国 語 を維 持 で ぎ る言 語 習得 能 力 は,聴 くf話 すr読 む,書 く,総 合 理 解 に つ い て考 察 す るが,習 得 した 言語 を維 持 で き る能 力 を示 す と想 定 した質 問 と子 女 の 回 答 率 を選 ん だ。 これ に要 す る言 語 轡 得 期 間及 び可 能 性 の あ る子 女 の 回 答 率 につ い て も,言 語 能 力 を示 す と想 定 した 一番 目 と

∴ 番 目に短 い 習得 期 間 と子 女 の回 答 率 を選 ん だ。

1)外 国語 を聴 く力 に つ い て

(1>教 師 の発 語(授 業,宿 題,レ ポ ー ト}指 示,伝 言)に 関 す る理 解 が1か 月 か ら3か 月 で で き る子 女 は,授 業 につ い て55%(143人 中) }宿

(8)

IO8

題53%(105人 中),レ ポ ー ト46%(76人 中),指 示72%(152人 中),伝 言61%(141人 中)で あ っ た 。 教 師 の 発 語 が1か 月 か ら3か 月 で で き る

子 女 は,全 体 の 約46%に 相 当 す る と い え よ う。

② 友 人 が 話 す 現 地 語(授 業 中 の 話,休 み 時 間 の 話,冗 談)に つ い て の 理 解 が,1か 月 な い し3か 月 で で き た 子 女 は,授 業 中 の 話59%(142 人 中),休 み 時 間 の 話63%(149人 中),冗 談37%(133人 中)で あ っ た 。 友 人 が 話 す 現 地 語 が1か 月 か ら3か 月 で 理 解 で き る子 女 は,子 女 に と っ て 冗 談 が 一 番 難 し か っ た こ と か ら,全 体 の 約37%で あ る とい え る。

以 上 の 考 察 か らr外 国 語 を 聴 く力 に 関 し て 外 国 語 を 維 持 で き る 子 女 は,1か 月 な い し3か 月 で 総 体 的 内 容 の 外 国 語 を 聞 い て 理 解 す る力 を マ ス タ ー し,こ れ に 相 当 す る 子 女 は,約37%で あ る と考 え る こ と は 妥 当 で あ ろ う。

2)外 国 語 を 話 す 力 に つ い て

(1)教 師 の 質 問(授 業,子 女 自 身,家 族,日 本 に 関 す る こ と,そ の 他)に 対 す る返 答 が,1か 月 か ら3か 月 で で き る子 女 は,授 業47%(93 人 中),子 女 自 身52%(98人 中),家 族47%(96人 中),日 本 に 関 す る こ

と22%(91人 中),そ の 他36%(57人 中)で あ り,教 師 の 質 問 に 全 体 の 約22%の 子 女 が 答 え る こ と が で き る よ うに な っ た 。

② 現 地 語 で 話 せ る よ うに な っ た 五 つ の カ テ ゴ リー(は い ・い い え で 答 え る,ぎ ま り文 句,自 分 の 意 見 を 言 う,冗 談 が 言 え る,説 明 を す る)

の 中 か ら,外 国 語 を 維 持 で き る 能 力 と し て,現 地 語 で 楽 に 話 せ る よ うに な っ た と い う質 問 の 回 答 は,言 語 維 持 能 力 と し て 現 地 人 に 近 い 言 語 能 力 で あ る とみ な した 。 現 地 語 で1か 月 か ら3か 月 で 楽 に話 せ る よ うに な っ た 子 女 は,(は い ・い い}で 答 え る こ と)は 除 き,き ま り文 句82%(139 人 中),自 分 の 意 見 を 言 う30%(142人 中),冗 談 が 言 え る26%(112人 中),説 明 を す る31%(89人 中)で あ っ た 。 冗 談 が 言 え る,と 答 え た 子 女 の 回 答 率 が こ の 中 で 一 番 少 な か った こ と か ら,現 地 語 で1か 月 か ら3 か 月 で 楽 に 話 せ る よ うに な る子 女 は,全 体 の26%で あ る とみ なす 。

3)外 国 語 を 読 む 力 に つ い て

帰 国 後 の 外 国 語 学 習 方 法 の 質 問 に 対 し て,外 国 語 の 学 習 を した と答 え た 子 女76%(222/293人)中,外 国 語 で 読 書 を し た 子 女 は14%(13/222 人)で あ った 。 現 地 語 で 普 通 の 文 章(1か 月6か 月 ・26%)及 び 長

(9)

帰国子女の言語習得 ・喪失過程 ・。g い文 章(1か 月一 一6か 月 ・24%)が 書 け る と答 えた 子 女 に は外 国語 を 読 む 力 が あ る,と 仮 定 して よか ろ う。 外 国語 を読 む 力 に関 して外 国語 の 維 持 能 力 が あ る とみ な され る子 女 は,1か 月 か ら6か 月 で 現 地 語 を読 め る よ うに な り,こ れ に相 当 す る子 女 は全 体 の約 四 分 の一(24%)で あ る

と想 定 で き よ う。

4)外 国語 を 書 く力

現 地 校 に行 った 当初,現 地語 で長 い文 章 を よ く書 け た 子 女 とだ いた い 書 け た 子女 を 合 わ せ る と,151人 中8%で あ った 。 普 通 の 文 章 が よ く書 け た 子 女 とだ い た い書 けた 子 女 を合 わ せ る と,150人 中9%で あ った。

同 じ く,短 い 文 章 が よ く書 け た 子 女 とだ い た い書 け た 子 女 を 合 わ せ る と,149人 中14%で あ った。 現 地 校 に行 って1か 月 か ら6か 月 後 に普 通 の文 章 あ るい は長 い文 章 を書 け る よ うに な った子 女 には

,現 地 語 を維 持 す る能 力 が あ る とみ な した。 前 者 に相 当 す る子 女 は90人 中26% ,後 者 に 相 当 す る子 女 は79人 中24%で あ った。 この統 計 か ら,外 国語 を維 持 す る こ とに 関 して能 力 の点 か ら1か 月 か ら6か 月 で普 通 の 文 章 あ るい は長 い 文 章 を書 け る よ うに な った 子 女 は,全 体 の約 四 分 の…(24%)で あ る と 想 定 で ぎ よ う。

5)外 国 語 の総 合 的 理 解

TOEFL,英 語 検 定 試 験 な どは,外 国 語 の 総 合 的 理 解 を示 す 試 験 で あ る。 外 国 語 能 力 試 験 の 受験 に対 す る質 問 の 回 答 者144人 中,そ の 他 の 試 験 も含 め て・6%の 子 女 がTOEFL,英 語 検 定試 験3級 ・4級 の試 験 を 受 けた 。

以上 の 考 察 か ら,現 地 語 を総 合 的 に1か 月 か ら6か 月 で マ ス タ ーで き る能 力 の あ る子 女 は,子 女 の回 答 率 の最 小 数 を とる と,全 体 の約 四分 の

…一で あ る と考 え られ る

しか し,言 語 を維 持 で き る可能 性 の あ る子 女 は,前 述 した 言 語 習 得 過 程 に 関 す る項 を参 照 す る と,現 地 校 で 少 な くと も2年 学 習 した 子 女 で あ り,こ の うち(6%か ら35%)の 子 女 に この 可能 性 が あ る とい え よ う。 そ の他 の条 件 は,現 地 校 で2年 以 上 学 習 し,長 くなれ ぽ な るほ ど この可 能 性 は高 くな る と推 察 で き る。 また,こ れ は言 語 関与 因 との 相 対 関 係 に よ っ て言 語 が 維 持 で き るか ど うか が 変 わ る。

(10)

IIO

3外 国 語 を喪 失 す る可 能 性 の あ る言 語 能 力 と学 習期 間

子 女 が 習 得 した 言 語 を 喪 失 す る可 能 性 の あ る 言 語 能 力 は,言 語 習 得 に 最 も長 い 期 間 を 要 した 子 女 を対 象 と し て 考 察 した 。

1)外 国 語 を 聴 い て 理 解 す る 力 に つ い て

(1)教 師 の 発 語(授 業,宿 題,レ ポ ー ト,指 示,伝 言)に 関 す る 理 解 に2年 以 上 か か った 子 女 は,授 業 に つ い て1%(143人 中),宿 題 に つ い て2%(105人 中),レ ポ ー ト に つ い て7%(76人 中),指 示 に つ い て 1%(X52人 中),伝 言 に つ い て1%(141人 中)で あ っ た 。 子 女 の 回 答 率 の 最 大 数 を と る と,全 体 の 約7%の 子 女 が こ れ に 相 当 す る。

(2>友 人 が 話 す 現 地 語(授 業 中 の 話,休 み 時 間 の 話,冗 談)に つ い て の 理 解 が,2年 以 上 か か っ た 子 女 は,授 業 中 の 話 に つ い て2%(142人 中),休 み 時 問 の 話 に つ い て1%(149人 中),冗 談 に つ い て6%(133人 中)で あ っ た 。 子 女 の 回 答 率 の 最 大 数 を と る と,全 体 の 約6%の 子 女 が

これ に 相 当 す る 。

外 国 語 を 聴 く力 に 関 し て 習 得 した 言 語 を 喪 失 す る 可 能 性 の あ る 子 女 は,以 上 の 考 察 か ら総 体 的 内 容 の 外 国 語 を 聞 い て 理 解 す る の に2年 以 上 か か っ た 子 女 で,こ れ に 相 ・rす る子 女 は,約7%で あ る と考 え られ る。

2)外 国 語 を 話 す 力 に つ い て

(1)教 師 の 質 問(授 業,子 女 自 身,家 族,日 本 に 関 す る こ と,そ の 他)に 対 す る返 答 が で き る ま で1年 以 上 か か っ た 子 女 は,授 業 に つ い て

5%(93人 中),子 女 自 身 に つ い て6%(98人 中),家 族 に つ い て8%

(96人 中),El本 に 関 す る こ と に つ い て25%(91人 中),そ の 他 に つ い て 11%(57人 中)で あ っ た 。 教 師 の 質 問 に返 答 が で き る ま で1年 以 上 か か

る子 女 は,全 体 の 約25%で あ る と考 え られ る 。

② 現 地 語 で 話 せ る よ うに な ったf%つ の カ テ ゴ リー(は い ・い い え で 答 え る,き ま り文 句,自 分 の 意 見 を 言 う,冗 談 が 言}る,説 明 をす る) の 中 か ら,習 得 した 言 語 を 喪 失 す る 可能 性 の あ る 子 女 は,現 地 語 で 話 せ

る よ うに な る ま で1年 あ る い は2年 以 上 か か った 子 女 で あ る とみ な す 。 は い ・い い え で 答 え る こ と に2年 か か っ た 子 女 は0%(163人 中)で あ っ た が,1年 後 に答 え る こ とが で き る よ うに な った 子 女 は1%で あ っ た 。 以 下,2年 以 上 か か っ た 子 女 に つ い て,き ま り文 句 は1%(139人 中),

自分 の 意 見 を 言 う8%(142人 中),冗 談 が 言 え る19%(1ユ2人 中),説 明

(11)

帰国子女の言語習得 ・喪失過程 … を す る18%(89人 中)で あ っ た 。 従 っ て,現 地 語 で1年 か ら2年 か か っ て 話 せ る よ うに な る 子 女 は,全 体 の 約19%で あ る とみ な され る

。 3)外 国 語 を 読 む 力 に つ い て

現 地 校 に 行 っ て 短 い 文 章 を 書 く の に2年 以 上 か か っ た 子 女 は10%

(110人 中),普 通 の 文 章 に18%(90人 中),長 い 文 章 に35%(79人 中)で あ った 。 こ の 時 点 で 外 国 語 を 読 む 力 が つ い て い る 子 女 は

,こ の 期 間 で 帰 国 した 時 に 外 国 語 を 喪 失 す る 可 能 性 が 高 い と い え よ う。

4)外 国 語 を 書 く力

現 地 校 に 行 っ て 文 章 を 書 くの に2年 以 上 か か っ た 子 女 は

,習 得 した 言 語 を 喪 失 す る 可 能 性 が あ る とみ な す 。 単 語 を 並 べ る だ け に2年 以 上 か

表1‑3言 語 習 得 ・維 持 ・喪 失 に要 す る期 間 と これ に相 当 す る子 女 数 率(小 学 校 低 学 年)

1か 月 3か 月i6か 月il

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習得 聴 く

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話す

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読む

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一一:… ・一,一一…

書 く

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総 合理解

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維持 聴 く ・‑37%̲ii

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総合理解 i

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読む

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総 合理 解

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習 得: f女 の回答最高率 を示す言語 習得期 間を習 維 持: '番 目 と=番 目 に短 い 言 語 習 得 期 間

喪 失1 番 長 く か かっ たra語 習 得 期 間

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(12)

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か った子 女 は7%(124人 中),短 い文 章 に10%(110人 中),普 通 の文 章 に18%(90人 中),長 い文 章 に35%(79人 中)で あ った 。 この統 計 か ら, 習 得 した 言 語 を喪 失 す る可 能 性 が あ る とみ な され る子 女 は,短 い文 章 を 書 くの に2年 以上 か か った 全 体 の約10%相 当 の子 女 で あ る と想 定 で き よ

う。

以 上 の考 察 か ら,習 得 した総 合 的 内 容 の 言語 を喪 失 す る可 能 性 が あ る とみ な され る子 女 は,総 合 的 内 容 の言 語 習 得 に2年 以 上 か か り,こ れ に 相 当す る子 女 は全 体 の約 四 分 の 一 で あ る と考 え られ る。

しか し,現 地 校 で2年 以 上学 習 し,こ れ が 長 くなれ ぽ な る ほ ど この可 能 性 は低 くな る こ とは あ り得 る。 これ は言 語 関 与 因 との相 対 関 係 に よ っ

て変 わ る。

外 国語 習得 過 程,外 国 語 が維 持 で き る能 力,外 国語 を喪 失 す る可能 性 の あ る言 語 能 力 に関 す る考 察 の結 二果,言 語 習得,維 持,喪 失 に要 す る平 均 的 期 間 と これ に相 当す る子 女数 率 を ま とめ た もの が表1‑3で あ る。

IIIケ ー ス ・ス タ デ ィ1研 究 授 業 に 関 す る 考 察 一 子 女 の バ イ リン ガ リ ズ ム と言 語 維 持 の 問 題 点

「帰 国 子 女 の 言 語 習 得 ・喪 失 過 程 」 に 関 す る研 究 の 基 礎 調 査 の 回 答 者 の 中 か ら,研 究 授 業 に 応 ーじた 子 女 は,小 学 生21人 と中 学 生4人,合 計25人 で あ った 。 研 究 授 業 は,神 奈 川 大 学 に お い て,1990年2月26日 よ り3月 2口 ま で 月 曜 日か ら土 曜 口の 毎 日,午 後5時 か ら6時 ま で,毎 回1時 間 を3人 の 研 究 者 が 交 互 に 行 な っ た 。JETプ ロ グ ラ ム の ア シ ス タ ン ト・

ジ ョセ ブ ・マ ル リン も,研 究 者 の ア シ ス タ ソ トと し て 参 加 した 。

研 究 授 業 を 行 な うに あ た り,研 究 者,研 究 者 の ア シ ス タ ソ ト,ジ ョセ ブ ・マ ル リン,参 加 者 及 び 参 加 者 の 父 兄 を 加 え て2月17日 土 曜 日の 午 後 2時 か ら 懇 談 会 を 開 催 し て,お 互 い の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン を 図 る と 共 に,参 加 者 の 外 国 語 の 維 持 度 を 観 察 し,研 究 授 業 に つ い て の 説 明 を 行 な っ た 。

1研 究授業の プ ログ ラム

1)参 加 した子 女 の プ ロ フ ァイ ル

研 究授 業 に応 じた 子 女 の特 徴 は,習 得 した外 国語 を維 持 ・再 習得 ・伸

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帰国子女の言語習得 ・喪失過程II3 ぽ し た い 意 志 の あ る 子 女 ま た は 子 女 の 父 兄 で あ っ た こ とで あ る

。 参 加 者 の 滞 在 国 は,1人 が ドイ ッで あ っ た 以 外 は 英 語 圏 で あ っ た

。 ドイ ツ に 滞 在 し た 子 女 も,国 際 学 校 で 英 語 に よ る 授 業 を 受 け て い た。 参 加 者 の 年 齢 滞 在 期 間,言 語 環 境 も異 な る こ と か ら,彼 等 の 英 語 維 持 能 力 に 大 き な 差 が 見 られ,研 究 授 業 の 内 容 と指 導 の 困 難 が 予 測 さ れ た。25人 の 参 加 者 は 横 浜 市 内 各 地 か ら 来 て お り,参 加 日 も参 加 者 の 都 合 に 応 じ た た め に・ 毎 回 の 参 加 者 の 人 数 が 異 な り,グ ル ー プ の メ ン バ ー も異 な っ た 。

2)授 業 資 料

研 究 授 業 プ ロ グ ラ ム の 目的 は,子 女 が 習 得 した 外 国 語 の 内 容,喪i失 度,バ イ リン ガ リズ ム,維 持 度 を チ ェ ック した 上 で ,子 女 の 言 語 再 習 得 の 可 能 性 を 見 る こ と で あ っ た 。 小 学 校 低 学 年 で あ っ た た め に

,教 授 内 容 は 総 合 的 に全 学 科(国 語,算 数 ,理 科,社 会,音 楽,ゲ ー ム)に わ た っ た 。 教 授 資 料 と し て,各 教 科 の テ キ ス ト,算 数 と 国 語 に 関 す る カ ー ド, テ ー プ,ビ デ オ を 使 用 し た 。 テ キ ス トは,ア メ リカ の 小 学 校 低 学 年(1 年 一一3年)の テ キ ス トと学 年 相 当 の 副 教 材(問 題 集)の ・部 を 用 い た

。 3)言 語 指 導 内 容 ・方 法

言 語 内 容 は 全 教 科 を 通 じ て,話 す,聞 く,読 む ,書 くを 中 心 に,発 音T単 語,語 句,文 章,理 解 度 な ど を テ ー プ,ビ デ オ ,ペ ー パ ー テ ス ト

で チ ェ ッ ク した 。 指 導 言語 に は英 語 を 用 い て ,で き る だ け 生 徒 が 発 語 で ぎ る雰 囲 気 を 作 り,会 話 を 中 心 に 進 め た 。 テ キ ス トの コ ピ ー を 配 布 し て,質 問 の 形 式 で テ キ ス トの 内 容 を 把 握 させ た 後 で,生 徒 に 内 容 を 自分 の 言 葉 で 説 明 させ た 。 最 後 に テ ス ト形 式 の 問 題 練 習 を 行 な い,生 徒 と教 師 が 一緒 に 解 答 の 正 否 を チ ェ ッ ク した 。 児 童 の 発 語 と読 む こ とを 中 心 に テ ー プ に と り,授 業 の … 部 を ビデ オ に と っ て 指 導 の 参 考 に す る と共 に

, 言 語 維 持 ・再 習 得 研 究 の 資 料 と し た 。

2雷 語再習得経過

参 加 者 の 中 で2人(外 国滞 在1年)を 除 い て ど うに か総 合 的 に英 語 を 維 持 して い た。 下 記 に,言 語 喪 失 と言 語 維 持 二 つ の ケー ス につ い て,研 究 授 業 を通 して 言語 再 習 得 の過 程 の概 要 を述 べ る。

1)言 語 喪 失 の ケ ー ス:英 国 滞 在1年 ,小 学2年 生双 子 の 兄 弟 (1)背 景

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114

日本 の小 学 校 に入 学 す る前 に5歳 の 双 子 の 兄 弟 に1年 間 外 国 経 験 を さ せ る 目的 で,母 親 が2人 を 同伴 して4月 に渡 英 した 。 英 国 の小 学 校 は5 歳 で 始 ま る。 兄 弟2人 は ロ ン ドソの公 立 小学 校 に5月 か ら… 年 生 と して 受 け入 れ られ,9月 か ら翌 年4月 まで2年 生 と して存 学 した 。 兄 弟2人

は 日本 人 補 習 校 に 入 る年 齢 に達 し てい なか った が 、 も しそ うで あ った と して も,母 親 は2人 を 日本 人 補 習 校 に入 れ る意 志 は な か った。 母 親 と双 子 の 兄 弟 は1年 後 に帰 国 し,兄 弟2人 は5月 に 日本 の 小学 校1年 に転 入

した 。 研 究 授 業 に参 加 した時2人 は小 学 校2年 生 で あ り,帰 国 後 約1年 が経 過 して い た。

言 語 環 境:兄 弟 は 日常 生活 及 び小学 校 で 英 語 に ふれ る環 境 に置 か れ て いた。 母 親 の交流 関 係 に は 日本 人 よ りも英 国 人 が 多 く・ 兄 弟2人 は母 親 の交 流 関 係 に影 響 を受 け た。 小 学 校 に は 兄 弟 の 他 に 日本 人 児 童 が1人 だ け在 学 して い た が,女 の 子 で上 級 生 で あ り兄 弟 との交 流 は少 な か った 。 9月 に 小学2年 に進 級 す る準 備 と して,兄 弟2人 は夏 休 み に サ マ ー ・ス ク ール や キ ャ ンプ に入 れ られ た。

言 語 交 流 対 人 関 係:英 国 の友 達 との 交 流 が 多 く,兄 弟 と教 師 と の コ ミュ ニ ケ ー シ ョソ も ス ム ー ズで あ った。 英 国 の小 学 校1年 は学 校 に慣 れ る準 備 期 間 で,事 実 上 の学 習 は2年 生 か ら始 ま る。9月 に満6歳 に な っ た 児童 が2年 に入 学 して くる ケ ース も多 く,学 習 に関 して 兄 弟 は他 の 児 童 と同 じ レベ ル で 出発 で きた。 日本 人 以外 の 外 国 人 も多 か った が,外 国 人 に特 別 な英 語 指 導 は なか った 。 しか し,コ ソ ピ ュ ー タ ーを使 った ゲー ムに よ る英 語 や 算数 の学 習 は外 国人 児 童 の学 習 を 容 易 に した。 担 任 教 師 は授 業 中 に簡 単 な 日本 語 や 日本 の事 情 に つ い て話 す こ ともあ り,兄 弟 の 母 親 に折 り紙 な ど 日本 の文 化 を ク ラ スの 児童 に紹 介 す る機 会 を 与 えた ・ 学 校 と家 庭 との連 絡 事 項 は,日 本語 や ア ラ ビァ語 な ど幾 つ か の外 国語 で 用 意 され て い た。

言 語 適 応 性:兄 弟 は2人 共,開 放 的 だ が,忍 耐 力 は 余 りな く依 存 性 が 強 い。 しか し,母 親 が2人 の 兄弟 を 日本 語 と英 語 の バ イ リン ガル 習 得 を 目的 とせ ず,英 語 を 日常 生活 の一 環 と して楽 し く学 び,生 活 に適 応 す る こ とに専 念 させ た こ と及 び上記 に述 べ た 担 任 教 師 の配 慮 に よ って,2人 の 兄弟 は あ ま りフ ラス トレー シ ョソを感 じ る こ とな く,英 語 に適 応 して い った よ うで あ る。1年 間 の外 国滞 在 に よ る兄 弟 の英 語 の 総 合理 解 と英

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帰国子女の言語習得 ・喪失過程III 語 習得 能 力 は普 通 で あ る。

帰 国後 の言 語 維 持:英 国 滞 在 期 間 が1年 で,し か も5歳 で あ った た め に,帰 国 した時 点 で 兄 弟 は英 語 の基 礎 を まだ 習得 して い なか った。 母 親 は英 国 の小 学 校 で用 い た テ キ ス ト,子 供 の本,英 語 の ス トー リー ・音 楽 の カセ ッ ト ・テ ー プ な どを持 ち帰 り,兄 弟 の 英 語 を維 持 す る こ とに興 味 を持 って い る。 しか し,帰 国 後1年 間 この研 究授 業 に参 加 す る まで,2 人 の 兄弟 が 習得 した英 語 を維 持 す る特 別 な努 力 は しなか った 。 帰 国 当初

2人 の兄 弟 は英 語 を頻 繁 に使 った が,日 本 人 の友 達 に か らか わ れ た の で 次第 に英 語 を使 う頻 度 が減 って い った。 家 で は時 々簡 単 な単 語 や き ま り 文 句 を 自然 に使 うこ とが あ る。

異 文 化 適 応:人 種 や肌 の色 に関 して,外 国 人 に対 す る 異和 感 は持 って い な い そ うで あ る。2人 の 兄 弟 が 在 学 して い る小 学 校 で 帰 国 女 子 が 海 外 か ら持 ち帰 った 品hが 展 示 され て い る 「ワー ル ド ・ル ー ム」 に は頻 繁 に 出 入 りし,外 国 の文 化 に興 味 を示 して い る。2人 共 将 来 機 会 が あ れ ぽ再 度 渡 英 した い とい う希 望 を持 って い る。

(2)研 究 授 業 に お け る言 語 習 得 過 程

兄 弟 はわ ず か の単 語 と語 句 を維 持 して いた が,教 師 の簡 単 な質 問 を 聞 い て その 意 味 を理 解 し,こ れ に答 え る こ とす ら困 難 で,会 話力 を始 め と

して文 章 を 読 む 力,書 く力 もな く,英 語 で 行 な う授 業 につ い て い け る英 語 能 力 は な か った。 英 国 で1年 間 習 得 した初 歩 の英 語 さ え殆 ど喪 失 して いた た め に,当 初 戸 惑 い が感 じ られ た 。 しか し,他 の 児童 や 教 師 の英 語 を聴 き・ 英 語 で答 え ざ る を得 ない 環 境 に置 か れ ,範 単 な・Yes,No・ の返 事,数 字,単 語 な ど,少 しず つ 習得 した英 語 を取 りも どす か に見 えた。

英 語 で聴 く力 と文 章 を読 む 力 が な い た め に,算 数 の応 用 問 題 社 会 で地 図 を見 な が ら説 明す る こ とはで きな か った。

英 語 に よ る授 業 に つ い て い け なか った こ と,家 か ら大 学 まで の距 離 が 遠 い こ と も理 由 に挙 げ られ よ うが,授 業 へ の 参 加 は消 極 的 で参 加 予 定 日 数 の半 分 も出席 しなか った 。

(3)バ イ リソ ガ リズ ム

5歳 か ら6歳 まで の1年 間 を 英 国 の小 学 校 で過 ご した の み で,帰 国後 日本 の 小学 校1年 生 に1年 間在 学 してい る。研 究 授 業 の後 兄 弟2人 と母 親 を交 えた 日本 語 に よる会 語 か ら,日 本語 力 は… 般 日本 人 の学 年 相 当 で

(16)

116

あ る と思 わ れ た 。

英 語 に 関 して2人 が維 持 して い る こ とは,英 国 の発 音,ア ル フ ァベ ッ トと数 字,限 られ た単 語 と き ま り文 句,ご く簡 単 な質 問 に対 す る̀Yes, No'で 答 え る こ とな どで,こ れ は初 歩 の段 階 にす ぎ な い。 教 科 を英 語 で 学 習 す る総 合 的 な理 解 力 は な くsこ の意 味 で は英語 喪 失 の段 階 で あ る と 言 え よ う。 従 って,日 常 レベ ル の 会話 に お い て さ え,2人 は バ イ リン ガ ル に達 して い な い。

(4)言 語維 持(再 習 得)の 問 題 点

兄 弟2人 の英 語 を維 持 で き なか った 問題 点 は,ま ず,2人 の 基礎 調 書 に よ る と1年 で英 語 が 習得 で ぎた に して も,英 語 を維 持 で きる に は少 な くと も6か 月 まで の 間 に英 語 を習得 す る能 力 が な か った こ と,1年 以 ヒ 現地 校 に在学 して い な か った こ と,長 い 文章 を読 み,書 くこ とが で き る 英 語 の 基 礎 を習 得 で ぎ る学 年 で は な か った こと,従 って英 語 喪 失 の 可能 性 が あ る レベ ル に 属 し て い た こ とで あ る(表1‑3)。 この 他 に,兄 弟2 人 の言 語 適 応 性 と して,英 語 に 興 味 は あ るが 授 業 参 加 へ の消 極 性,忍 耐 力 と努 力 の 欠乏,母 親 へ の 依 存 性 が 挙 げ られ る。 更 に帰 国後 英 語 を維 持 す る対 人 関 係 と言 語 環 境 対 策 が 皆 無 で あ った こ とで あ る(表1‑1)。 母 親 と兄 弟2人 は未 だ に英 語 に 興 味 を持 ち,英 語 の再 習 得 を願 っ て い る が,研 究 授 業1年 を経 過 した現 在 に お い て も,英 語 再 習 得 に対 す る対 策 が何 も と られ て い な い。

表!‑3に よ る と2人 の 英語 再 習 得 は不 可 能 に近 い 。 英 語 再 習 得 の 可能 性 が あ る とす れ ぽ,か れ らの英 語 の発 音 の維 持,英 語 と異 文 化 に対 す る 興 味,異 文 化 へ の適 応 性,開 放 性 は英 語 再 習得 の 基 礎 と して プ ラス に働 くで あ ろ う。 これ が プ ラ ス に働 くか 否 か は,上 に述 べ た 英 語 再 習 得 に対 す る対 策 が と られ るか,あ る い は,中 学 校 に入 学 して英 語 再 習 得 に対 す

る興 味 が倍 増 す れ ぽ1こ れ が動 機 とな るか ど うか で あ ろ う(表1‑1)。

2)言 語 維 持 の ケー ス ニ英 国滞 在2年,小 学3年 生 の 女 子 (1)背 景

子 女 は5歳 か ら7歳 まで の2年 間,父 親 の仕 事 の関 係 で家 族 に 同伴 し て英 国 に滞 在 した 。渡 英 した2月 に5歳 で あ った子 女 は英 国 の公 立 小学 校1年 に編 入 し,小 学3年 生 の1月7歳 の時 に帰 国 した。 帰 国後 日本 の 小 学 校2年 に編 入 した。 研 究 授 業 に参 加 した 時 に は3年 生 で,帰 国 後1

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帰国子女の言語習得 ・喪失過程IIア 年 が経 過 して い た。

言 語 環 境=子 女 は学 校 及 び 日常 生 活 に お い て,英 語 だ けで な く,日 本 語 に も接 す る環 境 に あ った 。 英 国 の 小 学 校 に は 日本 人 子 女 も幾 人 か お

り,6歳 か らは土 曜 日の午 前 中 に 日本 人補 習 校 に通 った。

言 語 交 流 関 係:週 日は英 国人 の友 達 との 交 流 が 多 か った が,土 曜 日に は 日本 人 の友 達 と交 流 す る機 会 が あ り,英 国 人 及 び 日本 人 の教 師 と友 達 との コ ミュニ ケ ー一シ ョソは ス ムー ズ で あ った。

言 語 適 応 性:バ イ リン ガル の 言 語 環 境 と言 語 交 流 関 係 に 恵 まれ た 中 で,無 理 な く英 語 を維 持 で き る総 合 的 な英 語 力 を 習得 してお り,英 語 に 対 す る興 味 を 持 ち続 け て い る。 この 言 語 適 応 性 は,子 女 の お と な しい が,落 ち着 いた 性 格,物 事 を 自分 の意 志 で 決 め て実 行 す る独 立 性 }忍 耐 力 と努力 に よ る もの で,後 述 す る研 究rに お け る言 語 習 得 過 程 及 びそ の後 の言 語 維 持 に も現 わ れ て い る。

異 文 化 適 応 性:友 達,教 師,隣 人 との交 流 で英 国 の 習慣a思 考,行 動 に適 応 して い る。

帰 国後 の 言語 維 持:母 親 と子 女共 に英 語 の維 持 に熱 心 で あ る。 帰 国 後 の1年 間,家 で は 好 ん で 英 語 の ス トー リーを 読 み ,英 語 の テ ー プ を 聞 き,テ レ ビで英 語 の ス トー り一を見 た り,英 国 の友 達 と文 通 す る こ と に よ って か ろ うじて英 語 を維 持 して きた。

研 究 授 業 を動 機 と して,そ の後 外 国人 の指 導 に よ る帰 国 子 女 英 語 維 持 ク ラ ス で 週1回,英 語 教 室 で 週2回 英 語 を 学 び,更 に,家 で はNHK テ レ ビ放 送 で基 礎 英 語 を勉 強 している。この結 果 英 語 検 定 試 験4級 に合 格 し,来 た る9月 に は英 語検 定 試 験3級 に挑 戦 し よ うと して い る。 小学 校 で は バ ス ケ ッ ト ・ク ラ ブに属 して 隔 日早 朝練 習 に励 ん で い る。 母 親 は英 語 を維 持 す る環 境 を準 備 して子 女 に助 言 はす るが,こ れ を実 行 す る こ と につ い て は 」汝 の意 志 に任 せ て い る。

(2)言 語 習得 過 程

会 話=習 得 した イギ リス英 語 の 発 音 は そ の ま ま維 持 してお り,英 語 で コ ミュニ ケ ー シ ョンをす る英 語 力 と文化(習 慣 ・思 考 ・行 動)は 維 持 し て お り,会 話 に無 理 が な く自然 で あ った 。

単 語:習 得 した 単 語 の数 は 限 られ て いた が,外 国 で一 度 習得 した 単 語 とそ うで な い単 語 の 区 別 がつ い た こ と は,帰 国 後1年 の 間 に忘 れ た単 語

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118

の再 習得 は容 易 で あ り,新 しい単 語 の習 得 に対 して も効 果 的 で あ る と見 えた。

語 句:習 得 した 語 句 の維 持 力 は 習 得 した 単 語 の数 と ほ ぼ 比 例 して い た 。

文 章:(テ キ ス トの文 章 の 内 容 に 関 して 国 語,算 数,ゲ ー ム,音 楽 に 比 べ て 理 科 で は新 しい単 語 が 多 く,社 会 で は新 しい語 句 が 多 か った 。) 習 得 し て い な か った 単 語,語 句 が あ っ て も テ キ ス ト(国 語,理 科r算 数,社 会,音 楽,ゲ ー ム)及 び子 供 の学 習 関係 の読 み物 の 内容把 握 が 可 能 で あ った こ とは,総 合 的 な英 語 の理 解 力 を維 持 して い た こ とを示 す。

内容:算 数 の 内容 は既 に 習得 した もの で,語 句 と文 章 の理 解 に少 々困 難 が 見 られ た が,子 女 の質 問 に よ って 問 題 を理 解 し,問 題 の解 答 は ほ と ん どで きた 。 社 会 で は地 理 の理 解 を取 り上 げた 。 家 か ら近 所 と学 校 へ の 地 図 を見 て説 明 を 求 め る問題 は,子 女 の文 章 理 解 と 自然 の表 現 力 を 見 る に は適 した 内 容 で あ った。 子 女 の身 近 な関 心 で もあ った ことか ら,単 語 や語 句 に問題 が あ っ て も,あ る程 度 問題 を想 像 で き る利 点 で 子女 は楽 し

く学 習 した 。 理 科 で は野 原 の虫 に つ い て,野 原 に い る虫 の 絵 を見 なが ら 虫 の 特 徴 に関 す る ク イズ に よ って 虫 の特 徴 の 正否 を当 て る形 式 の学 習 で

あ った 。 興 味 あ る内容 で あ った が,虫 の特 徴 とい う知識 の問 題 で忘 れ て いた りr習 って い な い 虫 も あ り,期 待 よ り解 答 率 は低 か った 。

読 む 力=忘 れ た単 語 と語 句,あ る い は新 しい単 語 と語 句 が あ った に も 拘 らず,授 業 で使 用 した テ キ ス トを読 む 力 は維 持 して い た。

聴 く力:単 語 の 問 題 以 外 に問 題 は な く,聴 く力 は まだ維 持 して いた。

書 く力 二聴 く,話 す,読 む 力 に対 して,書 く力 に 関 し て単 語 の綴 りを 発 音 す る よ うに綴 る こ とが多 くr文 章 の 流 れ に ぎ こち な さが 目立 った 。 当 初 はrl数 がす くな か った が,躊 躇 す る こ とな くす ぐに 自然 に英 語 の 授 業 に は入 って これ た。1口 も休 まず,積 極 的 に授 業 に参 加 した。 授 業 で取 り扱 った 中 で イ ギ リス で 習 得 した 単 語,語 句 は か な り再 習 得 で き た。 新 しい 単 語,語 句 及 び学 習 した 事 柄 は,時 間 内 に ほ とん ど習 得 し た。

(3)バ イ リソガ リズ ム

日本 語 は 日本 語 の社 会 環 境 で5歳 まで に 覚 えた母 国 語,英 語 は10歳 以 前 に習 得 した 第 二 言 語 で,二 言 語 能 力 は母 国 語 が優 勢 で あ る。 英 語 は英

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帰国子女の言語習得 ・喪失過程IIg 語 の社 会 環 境 で 第 二 言 語 と して学 校 で学 習 し9日 常 生 活 で は無 意 識 に 英 語 と 日本 語 を用 い た が,日 本 語 と英 語 の二 言 語 は同 じ概 念 と して認 識 す る こ と よ り も,同 格 と して 認 識 す る こ との ほ うが 多 か った と考 え られ る。 日本 語 と 英語 は そ れ ぞ れ 一 貫 したc子供 レベ ル の バ イ リン カル'で あ る。 子 女 に とっ て英 国社 会 で は 日本語 が,日 本 社 会 で は英 語 が 子 女 の バ イ リソ ガ リズ ム の発 展 を妨 げ て い る。 子 女 は 日本 語 文 化 の ア イデ ン テ ィ テ ィを有 す るc子供 レベ ル の バ イ リソ カル'で あ る。

こ の レ ベ ル で,そ れ ぞ れ の 言 語 を単 独 に用 い る こ とは で き「る。 しか し,必 要 に応 じて いず れ の 言語 で も交 互 に用 い る こ とが で きる最 小 限 の 言 語 能 力 につ い て は 限 度 が あ る と思 わ れf更 に考 察 が必 要 で あ る。

(4>英 語維 持 の問 題 点

子 女 は 言 語 を維 持 で き る能 力 が あ り(表 ユー3),2年 間 の 英 国 の 小 学 校 に お け る学 習 は 子 女 の 言 語 維 持 を可 能 に し て い る。 言 語 適 応 性 が あ り,帰 国後 の言 語 維 持 の項 で 述 べ た よ うに少 な くと も家 庭 と英 語 ク ラ ス に お い て英 語 を学 習す る言 語 環 境 が あ りT限 られ て は い るが 外 国 人 教 師 と帰 国子 女 との言 語交 流 関 係 もあ る。 更 に,維 持 して い る英 語 能 力 を評 価 す る英 語 検 定 試 験4級 に合 格 して い る(表1‑1)。

しか しなが ら,子 女 の英 語 能 力 は帰 国 当 時 よ り低 い。 帰 国後1年 間 に 外 国 人教 師 に よる英 語 ク ラス に お いて英 語 を学 習 す る言 語 環 境 が なか っ た こ と は,子 女 の バ イ リン ガル の発 展 に マ イ ナ スで あ った 。 日本 語 社 会 に お い て,子 女 の英 語 維 持 と促 進 は英 国社 会 に お け る英 語 習 得 とは異 な る。 子 女 の言 語 適 応 性 に 問題 は な い。 ゆ えに,英 語 が よ り促 進 す るた め に外 国人 の友 達 との交 流 や外 国訪 問 な どに よ り外 国語 の 言 語環 境 を よ り 多 く準 備 し,言 語 交 流 関 係 を増 す こ とが 必 要 で あ ろ う。

IV第 二 言 語 維 持 ・再 習 得 の た め の テ キ ス ト,資 料,教 授 法 に 関 す る 示 唆

帰 国 子 女 の 調 査 表 と研 究 授 業 の 考 察 に よ っ て,英 語 維 持 ・再 習 得 の た め の テ キ ス ト,資 料,教 授 法 に 関 し て 示 唆 で き る こ とを 幾 つ か 挙 げ て み た い 。

(Dテ キ ス ト,資 料

帰 国 子 女 の た め の テ キ ス トは,ま ず,個 人 の 英 語 習 得 ・維 持 ・喪 失 レ

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ベ ル を 調 べ て,子 女 に 適 切 な テ キ ス トを 選 択 す る。ESLの テ キ ス トで は な く,英 語 を 母 国 語 とす る テ キ ス トを 使 用 し た ほ うが よ い で あ ろ う。

子 女 の 年 齢 に よ っ て,身 近 で 興 味 が あ り,楽 し く,学 習 の 動 機 づ け と な る 内 容 の テ キ ス トと 副 教 材 を 幾 種 類 か使 用 す る。

低 学 年 で あ る か ら,テ レ ビ,ビ デ オ,カ セ ッ ト ・テ ー プ な ど の 教 育 機 器 を 使 用 す る こ とは 英 語 を 聞 い て 理 解 す るた め に 有 効 で あ る。 英 語 を 読 ん で 理解 す る た め に は,児 童 の 本 や 雑 誌 を 多 く読'ませ る こ と が 必 要 で あ る。 英 語 で 書 く力 を 伸 ば す た め に,英 語 で 日記 を 書 く こ と,外 国 の 友 達 に 手 紙 を 書 く習 慣 を つ け さ せ る こ と は 現 実 性 が あ る 点 で 効 果 的 で あ ろ

し,ト ピ ッ ク を 与 え て 作 文 を 書 か せ る こ と も よ い で あ ろ う。 テ キ ス トの 内 容 に つ い て 質 問 応 答 さ せ る こ と は,英 語 で 話 す 力 を 伸 ば す た め に は 不 可 欠 で あ る が,子 女 が 書 い た 作 文 や 日常 の 出 来 ご と に つ い て 話 させ る こ

とは 子 女 に と っ て よ り興 味 あ る 話 題 と な る と思 わ れ る。

② 教 授 法

子 女 が 習 得 した 言 語 内 容 と言 語 適 応 性 を 考 慮 して 英 語 で 指 導 す る こ と が 最 良 で あ る と考 え る 。 第 二 言 語 喪 失 子 女 の 場 合,言 語 喪 失 レ ベ ル に よ っ て は 英 語 を 中 心 と した バ イ リン ガ ル で 指 導 す る こ と もや む を}な い で あ ろ う。

お わ り に

帰 国 子 女 の言 語 習 得 ・喪 失 過 程 に関 す る研 究 の第 …一段 階 と して,子 女 の言 語 学 習 期 間 と子 女 の言 語 習 得 ・維 持 能 力 の相 互 関係 に焦 点 を 当 て た。

帰 国子 女 の言 語 習 得 ・喪 失 過程 分 析 モ デ ル(表1‑1)と 英 語 習 得 ・維 持 ・ 喪 失 に 関す る学 習 期 間 と子 女 の能 力 の相 互 関 係(表1‑3)に よ って,研 究 授 業 に参 加 した言 語 維 持 と言 語 喪 失 二 つ の ケー ス を考 察 した結 果,分 析 モ デ ル の 効 用 は可 能 で あ った と考 え る。 研 究 授 業 は言 語 維 持 ケ ー スの

子女 に プ ラス に働 いた 。 言 語 喪 失 の ケ ー スの 兄 弟 に 関 して は,少 な く と も母 親 と兄 弟 は言 語 喪 失 の 現 実 を 実 感 で き,今 後 言 語 再 習 得 の刺 激 に な った と確 認 す る。

この二 つ の ケ ー スの 子 女 は 同学 年 で あ った が,言 語 習 得 要 因(表H) の違 い と言 語 習得 ・維 持 ・喪 失 に関与 す る学 習 期 間 と子 女 の言 語 能 力(表 1‑3)の 違 い に よ って,言 語 維 持 と言 語 喪 失 と い う対 照 的 な ケ ース に

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帰 園 子 女 の 蒔語 習 得 ・喪 失 過 程121

な った こ とは興 味 深 い。 今 後 も この二 つ の ケ ー一スの追 跡 考察 を続 行 して い きた い。

第 一 段 階 の考 察 に お い て,言 語 習得 に関与 因 の 影 響 が 大 で あ った こ と が 確 認 で きた。 今 後 言 語 習 得 ・維 持 ・喪 失 に関 す る関 与 因 の考 察 を表1‑1

の要 因分 析 モ デル に よ っ て続 け て い きた い。

第2章 帰 国子 女 の 言語 習得 と喪 失 過 程 に 関す る基 礎 研 究

石 黒 敏 明

外 国滞 在 中 に第 二 言 語 と して習 得 した 言 語 能 力 の 習得 過 程 の研 究 と比 較 し,帰 国後 の言 語 喪 失 過 程 の報 告 は,数 的 に も限 られ て い る。 そ こ

で,本 研 究 で は横 浜 市 の研 究 助 成 金 を受 け,帰 国 子 女 が 習得 した 言語 を 維 持 し,伸 ばす た め に,帰 国子 女 の第 二 言 語 習 得,喪 失 過 程 に関 す る基 礎 班 究 をs質 問紙 形 式 で 行 な った 。

質 問 紙 回答 者 は横 浜市 内の 公 立 小 学 校 に在 籍 す る帰 国F女 で,市 教 育 委 員 会 の 協 力 を得 て,各 小 学 校 に質 問 紙 を 配 布 した。 酉己布 した 質 問 紙 500部 の うち356部(低 学 年:202,高 学 年:154)回 収 さ れ ,回 収 率 は 71.2%で あ った 。 しか し なが ら,各 質 問 項 目に よ って は,回 答/不 回 答 が あ るの で,各 項 目の総 数 が異 な って い る。

調 査 質 問 紙 は三 部 に 分 か れ て,調 査1は 海 外 生 活 に 関 す る基 礎 的 情 報,調 査IIは 海 外 の学 校 と生 活,調 査IIIは 帰 国後 の 学 校 と生 活 と な って い る。 本 報 告 で は,調 査IIとIIIの 「言語 能 力」 と 「言 語 使 用 」 に 関す る 資 料 を主 に分 析 し,外 国 滞 在 中 の母 語 並 び に外 国語 の使 用頻 度 や,帰 国 後 の言 語 使 用 状 態 を報 告 した い。

ま た,調 査 結 果 の ま とめ方 と してt小 学 校 低 学 年 と高学 年 の 間 で調 査 項 目に違 いが 認 め られ る と考 え られ た ので,小 学1年 か ら3年 まで 低 学 年 と し,4年 か ら6年 ま で高 学 年 と し,比 較 分 析 した項 目が あ る。 しか しなが ら,後 半 の言 語 維 持 者 並 びに 回 答 者 の総 数 が 圧 倒 的 に 少 な い項 目 に 関 して は,低 学年 と高 学 年 の総 数 で そ の項 目に関 す る傾 向 を探 らな け

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れ ぽ な ら な か っ た 。

1現 地 語 の 理 解/発 話 能 力 と そ の 発 達 過 程

小 学 校 低 学 年,高 学 年 共 に 帰 国 子 女 の 滞 在 国 で 最 も多 い の は,ア メ リ カ,イ ギ リ ス,シ ン ガ ポ ー ル の 順 で あ り,以 下 四 位 と五 位 は 低 学 年 で オ ー ス トラ リア,タ イ 国,高 学 年 で ドイ ツ,オ ー ス トラ リア で あ っ た 。 滞 在 国 で の 現 地 語 教 育 は,主 に 教 員 が 担 当 し,最 も多 い の が,小 学 校 の 担 任 で,低 学 年 で28%,高 学 年 で34%で あ っ た 。 次 は 他 の 教 員 で,低 学 年 に お い て は25%,… 方 高 学 年 で は23%で あ っ た 。 さ らに,外 部 の 教

員 に も,約1割 の 生 徒 が 教 わ っ た(低 学 年:6%x高 学 年:10%)。 これ らの 統 計 か ら,低 学 年 で は 約60%,高 学 年 で も70%近 い 子 女 が 何 等 か の 形 で 現 地 語 の 指 導 を,専 門 の 教 師 か ら受 け て い た 。 次 に,当 初 の 現 地 語

の 理 解 度,発 話 能 力,お よ び そ の 発 達 過 程 を 調 べ て み よ う。

本 研 究 で は,聴 解 能 力 に 関 して,授 業 … 般,宿 題 に 関 し て,レ ポ ー ト に つ い て,教 師 の 指 示 に つ い て,さ ら に 当 初 の 伝 言 が 理 解 で き た か ど う か 等,詳 細 に 質 問 した が,こ の 報 告 で は 現 地 語 の … 般 的 な理 解 度 を 扱 っ て い る の で,授 業 一般 の 結 果 の み に 触 れ る こ と に す る 。 「全 然 理 解 で き な い 」 と 回 答 し た 子 女 は,低 学 年 の 子 女 で51%(156名 中 で80名,以 後 80/156と 示 す),高 学 年 で は61%(63/104)と 低 学 年 の ほ うが,や や 低 め で あ った 。

こ の よ うに,当 初 現 地 語 の 理 解 度 は 低 か った が,時 の 経 過 と共 に 授 業 中 の 教 師 の 発 話 の 理 解 が 増 し て い るの が,次 の 統 計 に 現 わ れ て い る。 低 学 年 は3か 月 後 に55%,6か 月 後 に は99%と 高 い 割 合 で 理 解 度 を 示 し て い る。 …一方 高 学 年 で は3か 月 後 に は62%の 子 女 が 理 解 し,6か 月 後 に は 85%ま で 達 し て い る。 低 学 年 と高 学 年 の 生 徒 の 間 で は,教 材 内 容 の 難 易 度 の 違 い,認 知 能 力 の 差 も あ り,直 接 の 比 較 は 困 難 か も しれ な い が,少

な く と も3か 月,6か 月 を 区 切 りに し て 飛 躍 的 な 了 女 の 聴 解 能 力 の 発 達 が 観 察 さ れ た と考}ら れ る。

次 に,発 話 能 力 に つ い て 見 て み る こ と に す る 。 本 研 究 で は,発 話 能 力 を 教 師 の 質 問 に 対 す る返 答 能 力 の 程 度 で 推 測 す る こ と に し た 。 また 質 問 の 内 容 は,授 業 に 関 す る も の,子 女 に 関 す る こ と,家 族 に つ い て,日 本 に つ い て 等 尋 ね た が,本 報 告 で は,聴 解 能 力 の 場 合 同 様,授 業 一般 に つ

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帰国子女 の言語習得 ・喪失過程123 い て の 返 答 能 力 か ら発 話 能 力 を 推 測 す る こ と に す る。 授 業 中 の 先 生 の 質 問 に 対 し て,ど の 程 度 の 返 答 を 現 地 語 で で き る か を 調 べ た と こ ろ,「 全 然 返 答 不 可 」 が 低 学 年 で56%,高 学 年 で59%に も達 し て い た 。 ど ち ら も 約6割 に達 す る高 い 割 合 で,先 の 聴 解 能 力 の 結 果 に 類 似 し て い る 割 合 で あ る。

教 師 の 質 問 に 対 し て 返 答 が 可 能 に な っ た,発 達 過 程 を 低 学 年 と 高 学 年 で 比 較 す る とs低 学 年 の 場 合,1か 月 後 に23% ,3か 月 後47%,6か 月 後80%,1年 後95%の 子 女 が 教 師 の 質 問 に 現 地 語 で 反 応 で き る と 回 答 し た 。 同 様 に 高 学 年 で,1か 月 後16%,3か 月 後43% ,6か 月 後83%,1 年 後93%で あ っ た 。 これ ら の 結 果 か らa低 学 年 と高 学 年 と も にT3か 月 後 に は5割 弱 の 子 女 が,さ ら に6か 月 後 に は8割 以 上 の 子女 が,現 地 語 で 反 応 で ぎ る よ うに な っ た と判 断 で き る。 聴 解 能 力 の 発 達 段 階(3か 月 に6割,6か 月 に8割 か ら9割 の 子 女 が 聴 解 可 能)よ りは ,な だ ら か な 発 達 で あ る,̀¥i3か 月 や6か 月 を 区 切 り と し た 飛 躍 的 な 伸 び に 関 し て は,聴 解 能 力 と共 に 発 話 能 力 も同 様 の パ タ ー ン で 伸 び て い る と,言 え る で あ ろ う。

II滞 在 国 で の学 校 及 び家庭 内 言 語 使 用

外 国 に お け る当初 の子 女 の現 地 語 能 力 や そ の 発達 過 程 を質 問 紙 の 回 答 か ら推 測 した が,そ れ で は,そ の言 語 能 力 を い か に 活 用 した か,学 校 及 び家 庭 内 の言 語 使 用 と区別 して調 べ てみ よ う。

1学 校 内外の署語使用

初 め に,学 校 内外 に お け る言 語 使 用 の違 い を状 況 の差(日 本 人 ・外 国 人友 人 の存 在 や場 の違 い等)か ら眺 め て み る こ とにす る。

滞 在 した 国 で 帰 国 子 女 が 多 い 国順 は,先 に示 した 通 り,低 学 年,高 学 年 共 に ア メ リカ,イ ギ リス,シ ン ガポ ー一ル で あ った。 それ らの国 々で, 高 学 年 生 徒 で96%も の 日本 人 子 女 は 日本 人 の友 人 を持 ち,低 学 年 児童 で

も97%も の子 女 が 日本 人 の友 人 が いた とい う統 計 が で て い る。

そ こで,こ れ らの 日本 人 友 人 との 言 語 使 用 を授 業 中,休 み 時 間 中,学 校 外 等 の状 況 で 比較 して み る と,最 も現 地 語 の 使 用 が 多 い の が,「 授 業 中」 で,低 学 年 で は35%,高 学 年 で38%で あ った 。 また,母 語 と現地 語 の両 方 の言 語 を使 用 した 子 女 が低 学 年 で24%,高 学 年 で15%ほ ど いた の

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