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[文献紹介] 堀正嗣編著 障害者問題ゼミナール : 共に生きよう、楽に生きよう

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[文献紹介] 堀正嗣編著 障害者問題ゼミナール :  共に生きよう、楽に生きよう

著者 曽和 信一

雑誌名 教育科学セミナリー

巻 29

ページ 101‑102

発行年 1997‑12‑15

URL http://hdl.handle.net/10112/00019436

(2)

みるのではなく、あくまで相互に規定し合う関 係のなかで捉え直さなければならないのではな いか。これは私の今の問題意識であるが、本書

を読ませてもらって、改めてその感を強くした。

(関西大学出版部、

1 9 9 7

4

月1日刊行、

2 8 0

本体価格

1 2 0 0

堀 正 嗣 編 著

障 害 者 問 題 ゼ ミ ナ ー ル 一共に生きよう、楽に生きよう一

そもそもゼミナールとは、問題意識を分かち あう仲間が この指とまれ"とばかりに集まり、

お互いの価値意識をつきだすことで、めくりあ いつつ、せめぎあいながら、その生き方を問い 直していこうとするものであろうか。

この度堀正嗣さんの編著で、 『障害者問題ゼ ミ ナ ー ル ー 共 に 生 き よ う 、 楽 に 生 き よ う 一 ー』という本が出された。この本の「まえが き」の書き出しの箇所で、 「障害をもつ人もも たない人も『共に生きる社会』の実現をめざそ うとする仲間の手によって編集され」たという 指摘がある。そのような社会の実現にむけて、

子ども情報研究センターの「障害児の生活と共 育を考える」部会が当ゼミナールを仕切る形で、

障害者運動に取り組んできた障害者当事者

6

を講師にして、ゼミをもったという。

この問題の話題を提供した講師として、松葉 杖での歩行が免許皆伝の腕前という牧ローニさ ん、障害者解放運動のリーダーとしてその理論 に一家言をもつ楠敏雄さん、障害者の自立生活 運動と福祉の街づくりに取り組んできた尾上浩 ニ さ ん 、 ろ う あ 者 と し て の 生 き 方 に つ い て シャープに問題を提起する稲葉通太さん、精神 症状と自らがつきあいながら精神医療の現場で 活動している山本深雪さん、知的障害者当事者 と し て 、 日 本 に お け る ピ ー プ ル フ ァ ー ス ト

明 石 書 店

(1997. 6 )  

(「自分たちは第一に人間であり、障害は二義 的なものである」という主張)運動をめざして の運動をしようとしている八木雅弘さんといっ た多士済々にわたる人々がいる。

その6人の講師が出した話題の中身を受けて、

このゼミ参加者で、 「ゼミナールから視えてき たもの」として、その感想が綴られている。そ れらを受けて、最後にこの本の編著者である堀 正嗣さんが、ゼミナールに参加して考えたこと 「共に生きよう、楽に生きよう」という堀 さんのテーマからわかるように、 「生きる」と いうことへの深い洞察と味わいが見受けられる。

本書を通読して、私は様々なことを考えた。

しかし、ここでは次の問題を提起することで、

私なりのスタイルでこのゼミナールに紙面で少 しだけ参加してみよう。つまり、それは、 いを認めあうこと」と「同じ人間であること」

との関係をどう捉えればよいのかという問題で ある。というのは、 「ちがうことこそばんざ い」とする牧口さんの障害者問題へのアプロー チのし方と、 「『違い』を云々する前に、 じ人間だ』と感じ取る感性から出発しなければ、

共生はあり得ない」という堀さんの考え方では、

その方法論において異なりがみられると考える からである。

「同じ人間だから障害者への差別はいけな

‑101‑

(3)

い」とする立場からだと、社会規範に基づくと ころでの差別に対する否定にとどまらないだろ うか。他方、 「違いを認めあい、その違いを豊 かさに」という考え方では、エートス(倫理的 雰囲気)において多様性を尊重するという意味 で積極的だが、別の見方をすると相対主義ひい ては分離主義の落とし穴に陥りかねないのでな

障害者と健常者とが共に生きる社会の実現を

めざそうとする際に、健常者中心の社会への障 害者の同化ではなく、また両者の分け隔てでも ない方向で、その社会的関係性を見据えて、こ の問題を考えていきたいものである。

いずれにせよ、本書を通して、 「弱さとして の強さ」 「あるがままでまるごとのつきあいが できるような関係を生きる」とは何かなど、奥 行きの深い問題と出会えるのではないだろうか。

(曽和信一)

‑102‑

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