• 検索結果がありません。

間の移動 : 技術普及に関する統計観察(1)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "間の移動 : 技術普及に関する統計観察(1)"

Copied!
43
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

間の移動 : 技術普及に関する統計観察(1)

著者 植村 正治

雑誌名 社会科学

巻 47

号 3

ページ 1‑41

発行年 2017‑11‑28

権利 同志社大学人文科学研究所

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000016848

(2)

近代日本における工学士の 省庁・地方庁・民間部門間の移動

─ 技術普及に関する統計観察(1) ─

植 村 正 治

本稿では,1893 年,1901 年,1910 年,1920 年,1930 年の『学士会会員氏名録』に 依拠して,それぞれの年代にまたがる 4 つの期間について工学士の勤務先移動状況を 統計観察した。観察対象になったのは,それぞれ 2 つの年代に勤務先が判明する同一 人物である。1893 〜 1901 年では 205 人,1901 〜 1910 年では 647 人,1910 〜 1920 年 では 1,788 人,1920 〜 1930 年では 3,770 人を見いだすことができた。彼らの勤務先を 省庁,地方庁,陸海軍,教育機関,民間部門の 5 分野に区分し各分野相互間の移動状 況を検討しようとしたが,すべてについて検討すると煩雑になるので,相互に親和性 もしくは関係性が相対的に大きい分野間に関する移動状況に焦点をあてた。工学士た ちはそれぞれの分野に特徴的な工学技術を携えて他の分野に普及させたこと,また彼 らは一定の社会経済的影響を受けて移動していたことをうかがうことができた。紙幅 の制約で,本稿では省庁と地方庁,省庁と民間部門,地方庁と民間部門についてのみ 検討したが,陸海軍,省庁,教育機関,民間部門の相互移動については別の機会に論 じたい。

は じ め に

近代日本の経済発展にとって欧米からの近代工業技術の移転は不可欠であった。帝国 大学工科大学(工学部)の機械工学科,応用化学科,採鉱冶金学科などにおいて,基本 的には欧米発の機械工学,応用化学,採鉱冶金学などの各種工学技術を学んだ工学士た ちは,卒業後に様々な分野に就職してそれらの技術を伝えたばかりでなく

1)

,勤務先で一 層高められた技術を別の勤務先に移動することにより,移転技術を普及させていった。

本稿では,1893 年

2)

,1901 年,1910 年,1920 年,1930 年の『学士会会員氏名録

3)

』(以

下,氏名録とする)に基づき,それぞれの年代にまたがる 4 つの期間について工学士の

勤務先移動状況を統計観察することにより,人的移動を介してどのような工学技術が移

動先に普及していったか,また人的移動そのものに一定の規則性があるかどうかを検討

(3)

したい。前稿に引き続き,工学士勤務先を省庁,地方庁,陸海軍,教育機関,民間部門 の 5 分野に区分し,それぞれ相互の移動や同一分野内移動について検討を加えるが,紙 幅の制約により,本稿では省庁・地方庁・民間部門間の工学士移動について検討する。

1 工学士移動に関する各種統計値

1893 年氏名録には 383 人の工学士が掲載されていた。彼らのうち,374 人が工部大学 校,東京大学理学部(後の工芸学部を構成する学科),工部大学校と合併するために理学 部から分離された工芸学部,帝国大学工科大学(工芸学部と工部大学校とが合併して 1886 年に設立)の卒業生であったが

4)

,前稿に引き続き,統計処理上の便宜のため,以下では 東京帝国大学(京都帝国大学が設立された 1897 年まで帝国大学。以下,東京帝大とする)

卒業生とする。残り 9 人は海外大学(もしくは大学に準ずる学校)の卒業生であった。表 1 は,5 か年の氏名録にあらわれた 15 人の卒業海外大学と氏名録に初めて掲載された年 の勤務先を掲げたものである。このうち原口要から山崎甲子次郎までが 1893 年氏名録に 掲載された 9 人の海外大学卒業生であった

5)

1901 年氏名録には海外大学卒業生 10 人,京都帝国大学(以下,京都帝大とする)卒業 生 59 人,東京帝大卒業生 942 人が掲載されていたが,両年の氏名録に掲載されている同 一工学士を取り上げ,彼らの勤務先移動を 5 分野別に見たのが表 2 である。合計 336 人 が見いだせたが,勤務先を特定できなかった工学士が合計 131 人いた。これらのうち両 氏名録ともに勤務先が不明な人物は 31 人で,1893 年氏名録では勤務先が明らかになるが,

1901 年氏名録では不明な人数は 52 人であった。また 1893 年氏名録では不明だが,1901 年氏名録において勤務先が明らかになる人数は 48 人であった。

両年にまたがって勤務先移動が明らかになるのは 205 人で,本稿では彼らを考察対象 としたが,彼らすべてについて移動状況を掲げると煩雑になるので,移動人数の最も多 い民間部門の列(合計 75 人)を紹介すると,表 3 のようになる。すべて民間部門以外の 4 分野から民間への移動と民間部門内の移動を示している。たとえば最上段の 12 人は 1893 年に省庁勤務であったのが,1901 年には民間部門に移動した人々であった。表 4 に したがって,彼らの勤務先の産業分類を行った

6)

。両年ともに民間部門に勤務していた人 物は最下欄の 57 人であったが,このうち移動有無欄に「無」とした人物は移動がなかっ たことを示している。両年ともに同一会社もしくは同一会社所属事業所に勤務していた。

28 人見いだせたので,この数値を表 2 のかっこ内に記した。ただし本稿では,小田川全

(4)

表 1 5 か年の氏名録に掲載された海外大学卒業生と最初の勤務先 初掲

載年 掲載

回数 氏名 生年 前歴校 卒業校 卒業

年 専門 学科

工学博士

号取得年 勤務先 配属部署 1893 4 原口要 1851 開成学校 トロイ大学(米) 1878 土木 1888 逓信省 鉄道庁 1893 3 増田礼作 1853 開成学校 グラスゴー大学(英) 1876 土木 1891 逓信省 鉄道庁 1893 4 沖野忠雄 1854 大学南校 エコール・セントラル(仏) 1878 土木 1890 内務省 土木監督署 1893 5 古市公威 1854 開成学校 エコール・サントラル等(仏) 1878 土木 1888 東京帝大 工科大学 1893 5 谷口直貞 1854 開成学校 グラスゴー大学(英) 1878 機械 1888 農商務省 商工局 1893 1 長谷川芳之助 1855 南校化学科 コロンビア大学(米) 1880 採冶 1888 三菱会社 三菱鉱山部 1893 4 平井晴二郎 1856 開成学校 レンセラー工科大学(米) 1877 土木 1888 北海道炭鉱

鉄道会社 1893 5 団琢磨 1858 ライス・グラマース

クール(ボストン)

マサチューセッツ工科大学

(米)

1878 鉱山 1899 三井鉱山 会社

三池炭鉱

1893 3 山崎甲子次郎 東京大学理学部 工学科

海軍工兵応用学校(仏) 1889 造船 ― 海軍 呉鎮守府造 船部 1901 3 南部救吾 1855 開成学校 コロンビア大学鉱山学(米) 1878 鉱山 1891 三菱合資 1901 2 広井勇 1862 札幌農学校 シュトゥットガルト工科大

学(独)

1889 土木 1899 東京帝大 工科大学

1910 3 桜井省三 1854 横須賀造船所學舎 海軍工兵応用学校(仏) 1880 造船 1901

1910 3 小幡文三郎 1863 東京大学理学部 海軍工兵応用学校(仏) 1889 造船 1915 海軍 横須賀鎮守 府造船部 1920 2 原田貞介 1865 東京大学理学部 シャルロッテンブルク工科大学(独) 1891 土木 1915 内務省 土木局 1920 1 松浦和平 1872 私立築地大学校 ミシガン州立大学(米) 1895 機械 1915 東京高等

工業学校 機械科 出所: 井関九郎(1930)『大日本博士録』第 5 巻・工学博士之部,発展社。本文に掲げた各年の氏名録。山崎甲子次

郎については,脚注 5 を参照。

注: 学士会会員の資格要件は,会則の第三條に「第一類 博士学士及本学本科卒業ノ者」, 「第二類 帝国大学ノ教授 助教授及教授助教授タリシ者」,「第三類 第一條ノ範囲内ニ於テ本会ノ特選ニ係ル者」(「本会会則(大正 5 年 1 月 29 日改)」,学士会事務所編(1918)『学士会々員氏名録』学士会月報第 369 号ノ 2)とある。第一條には「本 会ハ帝国大学ニ関係アル学友相会シ友情ヲ保チ親睦ヲ厚ウスルヲ以テ目的トス」とある。表 1 に掲げた 15 人を 見ると,12 人までが工学博士号取得後に氏名録に掲載されている。会則の第一類にあてはまる人々であった。し かし桜井の場合,1882 年に,第二類の会則にあてはまる工部大学校造船学科教授の経歴がありながら,1893 年 氏名録に記載されていない。この段階では第二類の会則がなかったのかもしれない。彼が氏名録に掲載された 1910 年段階では,氏名録の勤務先欄は空欄で,『大日本博士録』によると,すでに現役から引退していた。団と 小幡は博士号取得前に氏名録に掲載されている。山崎は博士号を取得していないにもかかわらず,1893 年の氏名 録から名前をあらわしている。彼ら 3 人は規程が曖昧な第三類に該当したのであろう。

表 2 1893 〜 1901 年における 5 分野別勤務先移動人数

勤務先 1901 年氏名録

不明 省庁 地方庁 陸海軍 教育機関 民間部門 合計

1893 年 氏名録

不明 31 17 1 5 12 13 79

省庁 13 35(28) 7 3 4 12 61

地方庁 9 9 11 (1) 3 2 1 26

陸海軍 6 1 11(10) 4 16

教育機関 5 6 21(17) 1 28

民間部門 19 9 3 2 3 57(28) 74

合計 83 60 21 19 30 75 205

出所:1893 年氏名録。1901 年氏名録。

注:同一分野間移動人数のうち,かっこ内の数値は無移動人数。

(5)

表 3 1893 〜 1901 年における省庁・地方庁・陸海軍・教育機関・民間部門から民間部門への移動

分野 氏名 卒業

年 卒業校 卒業学科 1893 年勤務先 1901 年勤務先 移動

勤務先 所属部署 産業 業種 勤務先 所属部署 産業 業種 有無

省庁

日高偉太郎 1884 東京帝大 採鉱冶金学 農商務省 札幌鉱山

監督署 鉱業 北方炭鉱 鉱業 石炭業

香村小録 1892 東京帝大 採鉱冶金学 農商務省 鉱山局 鉱業 佂石鉱山田中製鉄

所 佂石鉱業

所 鉱業 金属鉱業

吉見九郎 1880 東京帝大 機械工学 宮内省 御料局佐

渡支庁 鉱業 金属鉱業 北海道炭鉱鉄道会

社 小樽手宮

工場 鉱業 石炭業

神田礼治 1882 東京帝大 採鉱冶金学 宮内省 御料局佐

渡支庁 鉱業 金属鉱業 北海道鉱山会社 然別鉱山 鉱業 金属鉱業 築山鏘太郎 1880 東京帝大 応用化学 大蔵省 印刷局 製造業 印刷・出版 日本精糖会社 製造業 食料品 奥山岩太郎 1890 東京帝大 土木工学 内務省 土木監督署 建設業 土木建築業 南和鉄道会社 運輸・通信業 鉄道業 河合造蔵 1882 東京帝大 建築学 内務省 土木局臨

時建築掛 建設業 土木建築業 河合建築事務所 建設業 建築設計 仙石貢 1878 東京帝大 土木工学 逓信省 鉄道庁 運輸・通信

業 鉄道業 九州鉄道会社 運輸・通信

業 鉄道業

潮田伝五郎 1891 東京帝大 電気工学 逓信省 横浜電話 交換局 運輸・通信

業 通信業 電気技師

葛西万司 1890 東京帝大 建築学 大蔵省 日本銀行 金融・保険・

不動産業 金融・保険

業 建築設計監督 建設業 建築設計

福地文一郎 1887 東京帝大 造船学 逓信省 船舶司検

所 公務 灯台・管船・

海事 石川島造船所 浦賀分工

場 製造業 輸送機械

(造船)

谷口直貞 1878 グラス

ゴー大学 機械工学 農商務省 商工局 大阪人造肥料会社 製造業 化学

地方庁 山崎鉉次郎 1884 東京帝大 土木工学 横浜市 臨時横浜

築港局 建設業 土木建築業 川崎造船所 製造業 輸送機械

(造船)

陸海軍

杉谷安一 1884 東京帝大 造船学 海軍 横須賀鎮守

府造船部 製造業 輸送機械

(造船) 三菱造船所 長崎造船

所 製造業 輸送機械

(造船)

森省吉 1879 東京帝大 応用化学 陸軍 東京砲兵

工廠 製造業 武器製造 弁理士 その他サー

ビス業 弁理士業 今田清之進 1879 東京帝大 機械工学 陸軍 大阪砲兵

工廠 製造業 武器製造 住友別子鉱業所 鉱業 金属鉱業

逵邑容吉 1880 東京帝大 土木工学 海軍 呉鎮守府

建築部 建設業 土木建築業 函館船渠会社 製造業 輸送機械

(造船)

教育

機関 恩田宮五郎 1888 東京帝大 採鉱冶金学 東京帝大 工科大学 公共サービ

ス業 教育 古河・東雲製錬所 製造業 一次金属

民間 部門

仙石亮 1880 東京帝大 採鉱冶金学 藤田組 小坂鉱山 鉱業 金属鉱業 金田炭鉱 鉱業 石炭業 松下親業 1880 東京帝大 採鉱冶金学 三菱鉱山部 小真木銀

山 鉱業 金属鉱業 古河鉱業事務所 鉱業 金属鉱業

菅田繁 1881 東京帝大 採鉱冶金学 古河・水沢

鉱山 鉱業 金属鉱業 古河鉱業事務所 足尾鉱山 鉱業 金属鉱業 無

世良梯造 1881 東京帝大 採鉱冶金学 十輪田鉱山

事務所 鉱業 金属鉱業 牛尾金山 鉱業 金属鉱業

都野豊之進 1881 東京帝大 採鉱冶金学 笹谷銅山 鉱業 金属鉱業 藤田組 瑞芳鉱山 鉱業 金属鉱業 野辺七朗 1881 東京帝大 採鉱冶金学 羽島鉱山 鉱業 金属鉱業 生陽館 鉱業部 鉱業 金属鉱業 原田鎮治 1882 東京帝大 採鉱冶金学 三菱鉱山部 槇峰鉱山 鉱業 金属鉱業 三菱鉱山部 佐渡鉱山 鉱業 金属鉱業 無 小田川全之 1883 東京帝大 土木工学 古河・足尾

銅山 鉱業 金属鉱業 古河家役員 金融・保険・

不動産業 財閥本社 笠原鷲太郎 1884 東京帝大 採鉱冶金学 神子畑鉱山 鉱業 金属鉱業 日平鉱山 鉱業 金属鉱業 秋山長明 1885 東京帝大 採鉱冶金学 古河・足尾

銅山 鉱業 金属鉱業 古河鉱業事務所 院内鉱山 鉱業 金属鉱業 無

堀悌三郎 1888 東京帝大 採鉱冶金学 三菱鉱山部 尾去沢鉱

山 鉱業 金属鉱業 三菱鉱山部 生野鉱山 鉱業 金属鉱業 無 秋山義一 1888 東京帝大 採鉱冶金学 古河・軽井

沢銀山 鉱業 金属鉱業 採金冶金 鉱業 金属鉱業

団琢磨 1878 マサチュー セッツ工科 大学

採鉱冶金学 三井鉱山会

社 三池炭鉱 鉱業 石炭業 三井鉱山会社 鉱業 無

大木良直 1882 東京帝大 採鉱冶金学 三菱鉱山部 鯰田炭鉱 鉱業 石炭業 三菱鉱山部 高島炭鉱 鉱業 石炭業 無 松田武一郎 1883 東京帝大 採鉱冶金学 三菱鉱山部 新入炭鉱 鉱業 石炭業 三菱鉱山部 鯰田炭鉱 鉱業 石炭業 無 山縣宗一 1883 東京帝大 採鉱冶金学 金田炭鉱 鉱業 石炭業 入山採炭会社 鉱業 石炭業 河相保四郎 1885 東京帝大 採鉱冶金学 北海道炭鉱

鉄道会社 幌内炭鉱 鉱業 石炭業 磐城炭鉱会社 鉱業所 鉱業 石炭業 中村武治 1885 東京帝大 採鉱冶金学 三菱鉱山部 高島炭鉱 鉱業 石炭業 三菱鉱山部 鯰田炭鉱 鉱業 石炭業 無 米倉清族 1886 東京帝大 採鉱冶金学 北海道炭鉱

鉄道会社 空知炭鉱 鉱業 石炭業 北海道炭鉱鉄道会社 鉱業 石炭業 無 石黒誠二郎 1890 東京帝大 土木工学 北海道炭鉱

鉄道会社 鉱業 石炭業 九州鉄道会社 運輸・通信業 鉄道業

松原嶢 1890 東京帝大 機械工学 三井鉱山会社 三池炭鉱 鉱業 石炭業 三井鉱山会社 三池炭鉱 鉱業 石炭業 無 服部俊一 1881 東京帝大 機械工学 尾張紡績会社 製造業 繊維 尾張紡績会社 製造業 繊維 無 吉田朋吉 1881 東京帝大 機械工学 鐘淵紡績会社 製造業 繊維 東京瓦斯紡績会社 臨時建築課 製造業 繊維 斉藤恒三 1882 東京帝大 機械工学 三重紡績会社 製造業 繊維 三重紡績会社 製造業 繊維 無 菊池恭三 1885 東京帝大 機械工学 平野紡績会社 製造業 繊維 尼崎紡績会社 製造業 繊維 広田理太郎 1887 東京帝大 機械工学 第一絹糸紡績 製造業 繊維 高田商会 卸売・小売業 高辻奈良造 1889 東京帝大 機械工学 金巾製織会社 製造業 繊維 三井家同族会 管理部 金融・保険・

不動産業 財閥本社 瀧村竹男 1890 東京帝大 機械工学 大阪紡績会社 製造業 繊維 毛斯綸紡織会社 製造業 繊維 内海三貞 1889 東京帝大 応用化学 北海道セメ

ント会社 製造業 窯業 三河セメント会社 製造業 窯業

北村鏡太郎 1889 東京帝大 応用化学 小野田セメ

ント会社 製造業 窯業 大阪セメント会社 製造業 窯業

(6)

民間 部門

篠田義五郎 1891 東京帝大 応用化学 愛知セメン

ト会社 製造業 窯業 佐賀セメント会社 製造業 窯業

家入安 1880 東京帝大 機械工学 家入鉄工場

事務所 製造業 金属製品 大阪鉄工所 製造業 輸送機械

(造船)

坂湛 1880 東京帝大 機械工学 川崎造船所 製造業 輸送機械

(造船) 川崎造船所 製造業 輸送機械

(造船) 無 進経太 1885 東京帝大 機械工学 石川島造船

所 製造業 輸送機械

(造船) 石川島造船所 製造業 輸送機械

(造船) 無 田中泰董 1886 東京帝大 造船学 川崎造船所 製造業 輸送機械

(造船) 川崎造船所 製造業 輸送機械

(造船) 無 白戸隆久 1887 東京帝大 造船学 三菱造船所 長崎造船

所 製造業 輸送機械

(造船) 大阪鉄工所 製造業 輸送機械

(造船)

曽祢達蔵 1879 東京帝大 建築学 三菱合資 建築技師 建設業 土木建築業 三菱合資 建築技師 建設業 土木建築業 無 田中豊輔 1886 東京帝大 建築学 日本土木会社 建設業 土木建築業 大倉土木組 建設業 土木建築業 無 大倉估馬 1888 東京帝大 土木工学 日本土木会社 出張所 建設業 土木建築業 大倉土木組 建設業 土木建築業 無 清水釘吉 1891 東京帝大 建築学 清水組 建設業 土木建築業 清水組 建設業 土木建築業 無 横河民輔 1890 東京帝大 建築学 横河建築事

務所 建設業 土木建築業 横河工務所 建設業 土木建築業 無

佐立七次郎 1879 東京帝大 建築学 佐立建築事

務所 建設業 建築設計 建築事務所 建設業 建築設計 無

藤岡市助 1881 東京帝大 電気工学 東京電灯会

社 電気・ガス・

水道業 電気業 東京電気会社 製造業 電気機械

岩垂邦彦 1882 東京帝大 電気工学 大阪電灯会

社 電気・ガス・

水道業 電気業 日本電気会社 製造業 電気機械

児玉隼槌 1887 東京帝大 電気工学 東京電灯会

社 電気・ガス・

水道業 電気業 東京電気鉄道会社 運輸・通信

業 鉄道業

丹羽正道 1887 東京帝大 電気工学 名古屋電灯

会社 電気・ガス・

水道業 電気業 丹羽工務所 建設業 設備工事業

池田虎一郎 1889 東京帝大 電気工学 大阪電灯会

社 電気・ガス・

水道業 電気業 大阪電灯会社 電気・ガス・

水道業 電気業 無

小堀十亀 1890 東京帝大 電気工学 横浜共同電

灯会社 電気・ガス・

水道業 電気業 横浜共同電灯会社 電気・ガス・

水道業 電気業 無

中原岩三郎 1892 東京帝大 電気工学 東京電灯会

社 電気・ガス・

水道業 電気業 東京電灯会社 電気・ガス・

水道業 電気業 無

中川五郎吉 1888 東京帝大 応用化学 東京瓦斯会

社 電気・ガス・

水道業 ガス業 大阪瓦斯会社 電気・ガス・

水道業 ガス業 粟屋新三郎 1881 東京帝大 機械工学 日本鉄道会社 運輸・通信業 鉄道業 日本鉄道会社 大宮鉄道工場 運輸・通信業 鉄道業 無 笠井愛次郎 1882 東京帝大 土木工学 京佂鉄道会社 運輸・通信業 鉄道業 利根発電会社 電気・ガス・水道業 電気業 渡辺嘉一 1883 東京帝大 土木工学 参宮鉄道会社 運輸・通信業 鉄道業 京阪電気鉄道会社 運輸・通信業 鉄道業 菅原恒覧 1886 東京帝大 土木工学 甲武鉄道会社 運輸・通信業 鉄道業 甲武鉄道会社 運輸・通信業 鉄道業 無 井上徳次郎 1887 東京帝大 土木工学 関西鉄道会社 運輸・通信業 鉄道業 関西鉄道会社 運輸・通信業 鉄道業 無 須田利信 1881 東京帝大 機械工学 日本郵船会社 運輸・通信業 海運業 日本郵船会社 運輸・通信業 海運業 無 川上新太郎 1883 東京帝大 機械工学 和英商会 卸売・小売業 諸機械製造所 製造業 一般機械

出所: 学士会事務所編(1893・1901・1910・1920)『学士会々員氏名録』(学士会月報第 63 号号外・第 165 号付録・第 273 号ノ 2・第 393 号ノ 2,学士会事務所),学士会事務所編(1930)『会員氏名録』昭和 6 年用(学士会事務 所)。『学士会々員氏名録』と同一年次の東京・京都・九州・東北・北海道帝国大学一覧。印刷局編(1893・

1901・1910・1921・1930)『職員録』明治 26 年(甲,乙)・明治 34 年(甲,乙)・明治 43 年(甲,乙)・大正 9 年・昭和 5 年,印刷局。工業之日本社編(1909・1919・1930)『日本工業要鑑』明治 43 年度用・大正 9 年度 用・昭和 6 年度用(工業之日本社)。井関九郎(1930)『大日本博士録』(第 5 巻・工学博士之部,発展社)。勝 田一編纂(1932)『帝国大学出身名鑑』校友調査会。手塚晃編集(1992)『幕末明治海外渡航者総覧』全 3 巻,

柏書房。土崎紀子・沢良子編(1995)『建築人物群像』住まいの図書館出版局。富田仁編集(2005)『海を越え た日本人名事典』紀伊國屋書店。国立国会図書館デジタルコレクション所収の各種関連文献。神戸大学附属図 書館デジタルアーカイブ。渋沢社史データーベース。ジャパンナレッジ所収の各種辞書・事典(『国史大辞典』

吉川弘文館, 『日本大百科全書』小学館, 『世界大百科事典』小学館, 『日本国語大辞典』小学館, 『日本歴史地 名大系』平凡社,『日本人名大辞典』講談社)。さらにネット検索でダウンロードした各種論文にも依拠した。

注 1 : 菅田繁は氏名録には「水沢鉱山」としか記されていないが,古河鉱業『創業 100 年史』年譜(渋沢社史デー ターベース)の明治 24 年の項に,「水沢銅山(岩手県)の経営に着手」とあったので,表 3 には「古河・水沢 鉱山」とした。1901 年には古河鉱業事務所の足尾鉱山勤務であり,赴任先は異なるが,同一会社に勤務してい るので,勤務先移動はなかったと解した。

注 2 : 秋山義一の 1901 年勤務先欄には「採金冶金」としかなかったが, 「宿所」が福岡県に変わっていたので,軽井 沢銀山を退職したと判断した。

注 3 : 仙石亮は藤田組小坂鉱山勤務であったが,1901 年には金田炭鉱に移動している。同炭鉱は 1891 年(明治 24)

に柏木勘八郎と豊永長吉により開鉱され(『日本歴史地名大系』,金田町の項),1896 年,毛利之昭の経営に移 り,1910 年には不況のため三菱に買収された(大場四千男・児玉清臣(2014)「戦間期石炭鉱業に於ける寡占 構造の形成と資本蓄積(一)」,『開発論集』第 94 号,167 〜 168 頁)。勤務先を変更したと解せる。

注 4 : 小田川全之は 1901 年に古河家役員となっているので,金融・保険・不動産業のうち「財閥本社」という区分 業種に含めたため(植村正治(2017b)「近代日本における工学士勤務先の産業分類手順」,『社会科学』第 46 巻第 3 号,33 頁),勤務先を移動したとみなした。管理職に近い役割を果たしたものとみられる。

注 5 : 田中豊輔と大倉估馬が 1901 年に勤務していた大倉土木組は日本土木会社の継承会社であったので,無移動と した。

注 6 : 佂石鉱山田中製鉄所は金属鉱業とともに製鉄業も営んでいたが,出所に掲げた『日本工業要鑑』において鉱業

もしくは採鉱に分類していたので,これに依拠した。

(7)

表 4 産業分類表

産業 業種 産業 業種

農 林 水 産業

農業

電気・ガス・

水道業

電気業

林業 ガス業

水産業 水道業

鉱業

金属鉱業

運輸・通信業 鉄道業

石炭業 海運業

原油業 その他運輸業

非金属業 通信業

製造業

食料品 放送業

繊維 倉庫業

パルプ・紙 卸売・小売業 化学

金融・保険・

不動産業

金融・保険業

窯業 不動産業

一次金属 財閥本社

金属製品 公共 サービス業

教育

一般機械 (研究)

電気機械 医療・保健

輸送機械

(造船)

その他 サービス業

(建築設計)

輸送機械

(造船以外) 宿泊業

精密機械 弁理士業

武器製造 技術顧問

印刷・出版 宗教・文化

製材・木製品

公務

陸海軍

皮革・製靴 治安・警察

建設業

土木建築業 外交

設備工事業 関税・租税

建築設計業 行政・立法

産業振興 灯台・管船・海事 注: 技術移転という観点から,従来の産業分類法に修

正を加えた(植村正治(2017a) 「近代日本におけ る工学士勤務先の産業分類手順」, 『社会科学』第 46 巻第 3 号)。「研究」は本来ならば公共サービ ス業に分類されるが,研究所の性質や研究員の研 究内容と技術的関連性の高い産業に分類した。建 設設計はその他サービス業に分類されるが,同じ 趣旨から建設業に含めた。また前稿では,大分類 産業,小分類産業としたが,本稿ではそれぞれ産 業,業種とした。建設業の土木建築業には土木 業,建築業,港湾業が含まれる。勤務先やその配 属部署からだけでは 3 業種に区分することがで きない事例が多いので,土木建築業に一括した。

表 5 1893 〜 1901 年における分野別流出率・流入率計算表 省庁 地方

庁 陸海

軍 教育 機関

民間 部門 合計

流出 率

省庁 57.4 11.5 4.9 6.6 19.7 100.0 地方庁 34.6 42.3 11.5 7.7 3.8 100.0 陸海軍 6.3 68.8 25.0 100.0 教育機関 21.4 75.0 3.6 100.0 民間部門 12.2 4.1 2.7 4.1 77.0 100.0 合計 29.3 10.2 9.3 14.6 36.6 100.0

流入 率

省庁 58.3 33.3 15.8 13.3 16.0 29.8 地方庁 15.0 52.4 15.8 6.7 1.3 12.7 陸海軍 1.7 57.9 5.3 7.8 教育機関 10.0 70.0 1.3 13.7 民間部門 15.0 14.3 10.5 10.0 76.0 36.1 合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 出所:表 2 と同じ。

表 6   1893 〜 1901 年における分野別流出率・流入率と同一 分野内移動率(%)

省庁 地方 庁

陸海 軍

教育 機関

民間 部門

流出

入率

合計

省庁流出率 57.4 11.5 4.9 6.6 19.7 42.6

省庁流入率 58.3 15.0 1.7 10.0 15.0 41.7

地方庁流出率 34.6 42.3 11.5 7.7 3.8 57.7

地方庁流入率 33.3 52.4 14.3 47.6

陸海軍流出率 6.3 68.8 25.0 31.3

陸海軍流入率 15.8 15.8 57.9 10.5 42.1

教育機関流出率 21.4 75.0 3.6 25.0

教育機関流入率 13.3 6.7 70.0 10.0 30.0

民間部門流出率 12.2 4.1 2.7 4.1 77.0 23.0

民間部門流入率 16.0 1.3 5.3 1.3 76.0 24.0

同一分野内移動率 20.0 90.9 9.1 19.0 50.9

出所:表 2 と表 5 に基づく。

(8)

之のように同一組織に属しているものの,移動元産業と移動先産業とが異なる場合,移 動と解釈した。

表 2 からいくつかの移動に関する統計値を見いだすことができる。表 5 は,表 2 の二 重線で囲った数値に基づいて,1893 〜 1901 年における各分野から他分野への流出率と流 入率を算出したものである。流出率欄は,表 2 の各行の合計を 100 とする各分野への流 出人数比率,流入率欄は,各列の合計を 100 とする流入人数比率を掲げたものである。た とえば省庁の場合,57.4%が省庁に留まり,地方庁へは 11.5%が流出した,と解釈する。

同様に,地方庁からは 15.0%が省庁に流入したと考える。省庁内に留まった人数は 35 人 なので,この数値を 100 とする方法も考えられるが,流出入率があまりに高くなる分野 が出てくるので,便宜的にこの方法を用いた。表 6 は表 5 を加工したもので,分野ごと に流出入率をまとめた。また流出入率合計欄に関して,たとえば省庁の「42.6」は 1893 年省庁勤務の 61 人(表 2)のうち 42.6%が省庁外に移動したことを示し,1901 年の省庁 勤務人数 60 人のうち 41.7%が省庁外から移動してきたことを示す。さらに表 6 には,同 一分野内移動率を付け加えた。同一分野内に留まりながらも,たとえば民間部門の場合,

他の民間会社などに移動した人数の比率である。表 2 には, 57 人中 28 人(表 3 の民間部 門欄)が無移動であったので,移動人数は 29 人,移動率は 50.9%となる。表 7 は省庁,

地方庁,陸海軍,教育機関の各分野内移動率を計算するために作成したものである。

これらの数値に基づいてグラフに描いたのが,図 1-1 〜図 1-5,および図 2 である。図 1 は分野相互間の流出入率を視覚化したもので,分野相互の技術的親和性や経済的親和性 などがあきらかになろう。図 1-1 の省庁では地方庁と民間部門との出入率が大きく,図 1-2 の地方庁はとくに省庁との関係が強い。図 1-3 の陸海軍では,表 2 のように事例数が 少ないので,一般化しにくいが,教育機関との関係が薄く,民間部門との関係が強いよ うに見える。教育機関では地方庁や陸海軍との関係が薄く,省庁や民間部門との関係が 強い。民間部門では省庁との関係がとくに強くあらわれている。

図 2 を見ると,3 数値ともに地方庁が突出している。土木事業などに従事する多くの工

学士は,各府県市の土木局(課)などを渡り歩くためである。とくに分野内移動率が高

く,表 7 のように 1893 年,1901 年ともに地方庁勤務であった 11 人のうち,清水保吉の

みが滋賀県庁に在籍したままで移動がなかった。流出入率についても分野内移動率ほど

ではないが他分野に比して高くなっている。これに対して陸海軍の分野内移動は表 7 の

ように 11 人のうち石藤豊太のみが海軍から陸軍に移動している。目黒火薬製造所がこの

年の 4 月に陸軍に移管されるにともなって

7)

,彼も移動することになった。例外的な移動

(9)

表 7 1893 〜 1901 年における同一分野内勤務工学士の移動

分野 氏名 卒業

年 卒業大学 卒業学科 1893 勤務先 1901 年勤務先 移動

勤務先 所属部署 産業 業種 勤務先 所属部署 産業 業種 有無

省庁

小花冬吉 1879 東京帝大 採鉱冶金学 農商務省 秋田鉱山

監督署 鉱業 農商務省 八幡製鉄

所 製造業 一次金属 今泉嘉一郎 1893 東京帝大 採鉱冶金学 農商務省 鉱山局 鉱業 農商務省 八幡製鉄

所 製造業 一次金属 西山省吾 1889 東京帝大 採鉱冶金学 農商務省 大阪鉱山

監督署 鉱業 農商務省 札幌鉱山

監督署 鉱業 無

小杉轍三郎 1882 東京帝大 採鉱冶金学 農商務省 金沢鉱山

監督署 鉱業 農商務省 大阪鉱山

監督署 鉱業 無

川浪虎太郎 1884 東京帝大 応用化学 大蔵省 造幣局試

金部 製造業 金属製品 大蔵省 造幣局試

金部 製造業 金属製品 無 緒方三郎 1885 東京帝大 応用化学 大蔵省 造幣局造

幣支局 製造業 金属製品 大蔵省 造幣局造

幣支局 製造業 金属製品 無 石川石代 1890 東京帝大 土木工学 内務省 第三区土

木監督署 建設業 土木建築業 逓信省 鉄道作業 局青森出張所

運輸・通信

業 鉄道業

長尾半平 1891 東京帝大 土木工学 内務省 第六区土

木監督署 建設業 土木建築業 台湾総督府 民政部基

隆築港局 建設業 土木建築業 高橋辰次郎 1891 東京帝大 土木工学 内務省 第一区土

木監督署 建設業 土木建築業 台湾総督府 民政部基

隆築港局 建設業 土木建築業 片山東熊 1879 東京帝大 建築学 宮内省 内匠寮 建設業 土木建築業 宮内省 東宮御所

造営局 建設業 土木建築業 無 丹羽鋤彦 1889 東京帝大 土木工学 内務省 第四区土

木監督署 建設業 土木建築業 大蔵省 臨時税関

工事部 建設業 土木建築業 近藤虎五郎 1887 東京帝大 土木工学 内務省 第二区土

木監督署 建設業 土木建築業 内務省 土木局 建設業 土木建築業 無 名井九介 1892 東京帝大 土木工学 内務省 第二区土

木監督署 建設業 土木建築業 内務省 第四区土

木監督署 建設業 土木建築業 無 日下部弁二郎 1880 東京帝大 土木工学 内務省 第五区土

木監督署 建設業 土木建築業 内務省 第一区土

木監督署 建設業 土木建築業 無 渡辺六郎 1889 東京帝大 土木工学 内務省 第六区土

木監督署 建設業 土木建築業 内務省 第七区土

木監督署 建設業 土木建築業 無 大窪正 1888 東京帝大 土木工学 内務省 第一区土

木監督署 建設業 土木建築業 内務省 第四区土

木監督署 建設業 土木建築業 無 小林八郎 1880 東京帝大 土木工学 内務省 第二区土

木監督署 建設業 土木建築業 内務省 第二区土

木監督署 建設業 土木建築業 無 小柴保人 1880 東京帝大 土木工学 内務省 第三区土

木監督署 建設業 土木建築業 内務省 第三区土

木監督署 建設業 土木建築業 無 市瀬恭次郎 1890 東京帝大 土木工学 内務省 第一区土

木監督署 建設業 土木建築業 内務省 第六区土

木監督署 建設業 土木建築業 無 三池貞一郎 1890 東京帝大 土木工学 内務省 第四区土

木監督署 建設業 土木建築業 内務省 第五区土

木監督署 建設業 土木建築業 無 沖野忠雄 1878 エコール・

セントラル土木工学 内務省 第四区土

木監督署 建設業 土木建築業 内務省 第五区土

木監督署 建設業 土木建築業 無 安藤光太郎 1892 東京帝大 土木工学 内務省 第二区土

木監督署 建設業 土木建築業 内務省 第二区土

木監督署 建設業 土木建築業 無 近藤仙太郎 1883 東京帝大 土木工学 内務省 第一区土

木監督署 建設業 土木建築業 内務省 第一区土

木監督署 建設業 土木建築業 無 吉井茂則 1883 東京帝大 建築学 逓信省 大臣官房

財務課 建設業 土木建築業 逓信省 総務局会

計課 建設業 土木建築業 無 大屋権平 1883 東京帝大 土木工学 逓信省 鉄道庁静

岡建築事務所 運輸・通信

業 鉄道業 逓信省 鉄道作業

局 運輸・通信

業 鉄道業 無

増田礼作 1876 グラスゴー

大学 土木工学 逓信省 鉄道庁新橋 建築課・線 路取調委員

運輸・通信

業 鉄道業 逓信省 鉄道作業

局建設部 運輸・通信

業 鉄道業 無

石丸重美 1890 東京帝大 土木工学 逓信省 鉄道庁 運輸・通信

業 鉄道業 逓信省 鉄道作業

局米子出 張所

運輸・通信

業 鉄道業 無

森彦三 1891 東京帝大 機械工学 逓信省 鉄道庁神 戸汽車課 運輸・通信

業 鉄道業 逓信省 鉄道作業

局汽車部 運輸・通信

業 鉄道業 無

国沢新兵衛 1889 東京帝大 土木工学 逓信省 鉄道庁敦 賀出張所 運輸・通信

業 鉄道業 逓信省 鉄道作業

局工務部 運輸・通信

業 鉄道業 無

野村龍太郎 1881 東京帝大 土木工学 逓信省 鉄道庁線路 取調委員 運輸・通信

業 鉄道業 逓信省 鉄道局設

計課 運輸・通信

業 鉄道業 無

原口要 1878 トロイ大学 土木工学 逓信省 鉄道庁線路 取調委員長運輸・通信

業 鉄道業 中国政府 清国鉄道

顧問 運輸・通信

業 鉄道業

大井才太郎 1882 東京帝大 電気工学 逓信省 東京電話 交換局 運輸・通信

業 通信業 逓信省 逓信局工

務課 運輸・通信

業 通信業 無

森島剛太郎 1882 東京帝大 電気工学 逓信省 電務局 運輸・通信

業 通信業 逓信省 大阪電話

交換局 運輸・通信

業 通信業 無

大岩弘平 1890 東京帝大 電気工学 逓信省 名古屋電 信建築署 運輸・通信

業 通信業 逓信省 東京郵便

電信局 運輸・通信

業 通信業 無

石橋絢彦 1879 東京帝大 土木工学 逓信省 横浜市航路

標識管理所公務 灯台・管船・

海事 逓信省 航路標識

管理所 公務 灯台・管船・

海事 無

(10)

地方 庁

足助好生 1881 東京帝大 土木工学 愛媛県 土木課 建設業 土木建築業 大阪府 内務部土

木課 建設業 土木建築業 清水保吉 1883 東京帝大 土木工学 滋賀県 第二課 建設業 土木建築業 滋賀県 内務部第

二課 建設業 土木建築業 無 南部常次郎 1887 東京帝大 土木工学 兵庫県 土木工師 建設業 土木建築業 長崎市 港湾改良

事務所 建設業 土木建築業 戸谷亥名蔵 1888 東京帝大 土木工学 茨城県 内務部第

二課 建設業 土木建築業 岐阜県 内務部第

二課 建設業 土木建築業 谷井鋼三郎 1888 東京帝大 土木工学 岡山県 土木課 建設業 土木建築業 富山県 内務部第

二課 建設業 土木建築業 山上正夫 1888 東京帝大 土木工学 和歌山県 土木課 建設業 土木建築業 奈良県 内務部第

二課 建設業 土木建築業

沖一誠 1888 東京帝大 土木工学 宮崎県 内務部 群馬県 内務部第

二課 建設業 土木建築業 瀧川釛二 1890 東京帝大 土木工学 大阪市 水道敷設

事務所 電気・ガス・

水道業 水道業 下関市 水道技手 電気・ガス・

水道業 水道業 佐野藤次郎 1891 東京帝大 土木工学 大阪市 水道敷設

事務所 電気・ガス・

水道業 水道業 神戸市 水道臨時

工事部 電気・ガス・

水道業 水道業

船曳甲 1883 東京帝大 土木工学 大分県 大阪市 水道事務

所 電気・ガス・

水道業 水道業

用瀬松太郎 1888 東京帝大 土木工学 岩手県 高知県

陸海 軍

石藤豊太 1879 東京帝大 応用化学 海軍 火薬製造所 製造業 武器製造 陸軍 大阪砲兵工 廠宇治火薬 製造所

製造業 武器製造

大竹多気 1883 東京帝大 機械工学 陸軍 千住製絨所 製造業 繊維 陸軍 千住製絨所 製造業 繊維 無 瀧大吉 1883 東京帝大 建築学 陸軍 経理局 建設業 土木建築業 陸軍 経理局臨

時建築部 建設業 土木建築業 無 森川範一 1883 東京帝大 建築学 海軍 佐世保鎮守

府建築部 建設業 土木建築業 海軍 臨時海軍

建築部 建設業 土木建築業 無 香坂季太郎 1882 東京帝大 機械工学 海軍 呉鎮守府

造船部 製造業 輸送機械

(造船) 海軍 呉鎮守府

造船廠 製造業 輸送機械

(造船) 無 岩田善明 1883 東京帝大 造船学 海軍 呉鎮守府

造船部 製造業 輸送機械

(造船) 海軍 呉鎮守府

造船廠 製造業 輸送機械

(造船) 無 近藤基樹 1883 東京帝大 機械工学 海軍 横須賀鎮守

府造船部 製造業 輸送機械

(造船) 海軍 海軍造船

中監 製造業 輸送機械

(造船) 無 小山吉郎 1883 東京帝大 造船学 海軍 呉鎮守府造船部 製造業 輸送機械

(造船) 海軍 在外 無

福田馬之助 1884 東京帝大 造船学 海軍 横須賀鎮守

府造船部 製造業 輸送機械

(造船) 海軍 艦政本部

造船監督官製造業 輸送機械

(造船) 無 山崎甲子次郎 1889 海 軍 工 兵

応用学校 造船学 海軍 呉鎮守府造船部 製造業 輸送機械

(造船) 海軍 佐世保鎮守

府造船廠 製造業 輸送機械

(造船) 無 下瀬雅允 1884 東京帝大 応用化学 海軍 海軍造兵廠 製造業 武器製造 海軍 下瀬火薬

製造所 製造業 武器製造 無

教育 機関

真野文二 1881 東京帝大 機械工学 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 無 三好晋六郎 1879 東京帝大 機械工学 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 無 井口在屋 1882 東京帝大 機械工学 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 無 河喜多能達 1881 東京帝大 応用化学 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 無 高松豊吉 1878 東京帝大 応用化学 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 無 中沢岩太 1879 東京帝大 応用化学 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 京都帝大 理工科大学 公共サービス業 教育 寺野精一 1890 東京帝大 造船学 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 無 中野初子 1881 東京帝大 電気工学 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 無 山川義太郎 1882 東京帝大 電気工学 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 無 中山秀三郎 1888 東京帝大 土木工学 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 無 田辺朔朗 1883 東京帝大 土木工学 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 京都帝大 理工科大学 公共サービス業 教育 小川梅三郎 1886 東京帝大 土木工学 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 京都帝大 理工科大学 公共サービス業 教育 辰野金吾 1879 東京帝大 建築学 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育 無 垪和為昌 1881 東京帝大 応用化学 東京帝大 理科大学 公共サービス業 教育 東京帝大 理科大学 公共サービス業 教育 無 中原淳蔵 1882 東京帝大 機械工学 東京工業学

校 機械科 公共サービス業 教育 東京高等工業学校 機械科 公共サービス業 教育 無 阪田貞一 1880 東京帝大 機械工学 東京工業学

校 機械科 公共サービス業 教育 東京高等工業学校 機械科 公共サービス業 教育 無 鳥居烋夫 1879 東京帝大 応用化学 新潟市立尋

常中学校 公共サービス業 教育 新潟県中学校 公共サービス業 教育 無 市川俊雄 1886 東京帝大 応用化学 海軍兵学校 公共サービス業 教育 海軍機関学校 公共サービス業 教育 無 熊倉興作 1881 東京帝大 電気工学 海軍兵学校 公共サービス業 教育 海軍機関学校 公共サービス業 教育 無 猪原吉次郎 1885 東京帝大 応用化学 海軍大学校 公共サービス業 教育 海軍兵学校 公共サービス業 教育 無 伊東忠太 1892 東京帝大 建築学 東京美術学校 建築装飾術

授業嘱託 公共サービス業 教育 東京帝大 工科大学 公共サービス業 教育

出所:表 3 と同じ。

注: 省庁の今泉嘉一郎と小花冬吉は両年ともに農商務省に勤務するが,移動元と移動先の産業が異なっているので移

動と解釈した。省庁,地方庁,陸海軍,民間部門が管轄するすべての学校を教育機関の分野に含めた。陸海軍に

属する学校については,同一教育機関と見なした。海軍勤務の小山吉郎は 1901 年段階において「在外」のため

所属不明だが,1893 年に呉鎮守府造船部,1910 年に佐世保鎮守府造船部に属しており,在外中の所属はいずれ

かの鎮守府の造船部であったとみられるので,移動はなかったと判断した。

(11)

と言えよう。陸海軍相互に技術的連関性は強いはずであるが,工学士レベルでは親和性 は低かった。その一方で,陸海軍と他分野との間に一定の交流が見いだせる。

表 8 〜表 10 はそれぞれ 1901 〜 1910 年,1910 〜 1920 年,1920 〜 1930 年における移 動状況を,表 2 と同じようにして作成したものである。これらの表から期間ごとに上記 の図 1 や図 2 と同様のグラフを描くことができる。図 3-1 〜 3-5(表 11 による)は,上記 の図 1 と同じようにして作成したものであるが,この中には図 1 に示した 1893 〜 1901 年

図 1-1 省庁と他分野との間の流出入率(1893-1901)

出所: 図 1-1 〜図 1-5 は表 6 から作成。以下,特筆しな い限り同じ。

0 10 20

30 䠂

図 1-3 陸海軍と他分野との間の流出入率(1893-1901)

0 10 20 30 䠂

図 1-5 民間部門と他分野との間の流出入率(1893-1901)

0 10 20

30 䠂

図 1-2 地方庁と他分野との間の流出入率(1893-1901)

0 10 20 30

40 䠂

図 1-4 教育機関と他分野との間の流出入率(1893-1901)

0 10 20

30 䠂

図 2 分野別流出率・流入率・分野内移動率(1893 〜 1901)

出所:表 6 から作成。

0 20 40 60 80 100

ὶฟ⋡

ὶධ⋡

ศ㔝ෆ⛣ື⋡

(12)

のグラフも含めた。図 4-1 〜 4-3(表 12 による)は図 2 の 3 つのグラフを分離した上で期 間別にあらわしたものである。大雑把に見ると,いつの期間においても同じようなパター ンを描いているように見えるが,期間によって微妙な差異を示している。軍事や教育な どの各種政策や都市化などの社会構造の変化などがその要因として考えられるが,統計 的に一定の検証が可能なのは経済との関係である。

表 13 は,名目国内純生産成長率,鉱業,製造業,製造業のうちの軽工業と重化学工業

表 9 1910 〜 1920 年における 5 分野別勤務先移動人数

勤務先 1920 年氏名録

不明 省庁 地方庁 陸海軍 教育機関 民間部門 合計

1910 年 氏名録

不明 109 29 12 12 19 169 350

省庁 45 376(340) 17 3 12 155 563

地方庁 4 15 52(17) 1 32 100

陸海軍 8 5 2 85(85) 11 31 134

教育機関 8 8 1 1 141(102) 16 167

民間部門 66 30 16 6 25 747(393) 824

合計 240 434 88 95 190 981 1,788

出所:1910 年氏名録。1920 年氏名録。

表 8 1901 〜 1910 年における 5 分野別勤務先移動人数

勤務先 1910 年氏名録

不明 省庁 地方庁 陸海軍 教育機関 民間部門 合計

1901 年 氏名録

不明 66 41 14 11 11 63 206

省庁 16 165(126) 7 8 37 217

地方庁 9 11 24(10) 1 10 46

陸海軍 3 7 1 38(38) 2 8 56

教育機関 5 4 3 72 (57) 7 86

民間部門 32 44 2 5 191(124) 242

合計 131 231 35 41 87 253 647

出所:1910 年氏名録。1920 年氏名録。

表 10 1920 〜 1930 年における 5 分野別勤務先移動人数

勤務先 1930 年氏名録

不明 省庁 地方庁 陸海軍 教育機関 民間部門 合計

1920 年 氏名録

不明 170 26 18 15 22 101 352

省庁 150 522(461) 42 2 27 142 735

地方庁 38 16 104(39) 10 37 167

陸海軍 32 13 3 146(135) 15 44 221

教育機関 24 9 2 16 256(203) 22 305

民間部門 260 98 48 7 115 3,074(1,306) 2,342

合計 674 658 199 171 423 2,319 3,770

出所:1920 年氏名録。1930 年氏名録。

(13)

図 3-1 省庁と他分野との間の流出入率

注: 表 2,表 8 〜 10 から作成。以下,特筆しない限り同 じ。

0 10 20 30

1893-1901 1901-1910 1910-1920 1920-1930

図 3-3 陸海軍と他分野との間の流出入率

0 10 20 30

1893-1901 1901-1910 1910-1920 1920-1930

図 3-5 民間部門と他分野との間の流出入率

0 10 20 30

1893-1901 1901-1910 1910-1920 1920-1930

図 4-2 期間別分野別流出率

0 20 40 60 80 100

1893-1901 1901-1910 1910-1920 1920-1930

図 3-2 地方庁と他分野との間の流出入率

0 10 20 30 40

1893-1901 1901-1910 1910-1920 1920-1930

図 3-4 教育機関と他分野との間の流出入率

0 10 20 30

1893-1901 1901-1910 1910-1920 1920-1930

図 4-1 期間別同一分野内移動率

注:表 2,表 8 〜表 10 から作成。

0 20 40 60 80 100

1893-1901 1901-1910 1910-1920 1920-1930

図 4-3 期間別分野別流入率

0 20 40 60 80 100

1893-1901 1901-1910 1910-1920 1920-1930

(14)

表 11 5 分野別他分野間流出入率 1893-

1901 1901-

1910 1910- 1920

1920- 1930

省庁

地方庁へ 11.5 3.2 3.0 5.7 地方庁から 15.0 4.8 3.5 2.4 陸海軍へ 4.9 0.5 0.3 陸海軍から 1.7 3.0 1.2 2.0 教育機関へ 6.6 3.7 2.1 3.7 教育機関から 10.0 1.7 1.8 1.4 民間部門へ 19.7 17.1 27.5 19.3 民間部門から 15.0 19.0 6.9 14.9

地方庁

省庁へ 34.6 23.9 15.0 9.6 省庁から 33.3 20.0 19.3 21.1 陸海軍へ 11.5 2.2

陸海軍から 2.9 2.3 1.5 教育機関へ 7.7 1.0 6.0 教育機関から 8.6 1.1 1.0 民間部門へ 3.8 21.7 32.0 22.2 民間部門から 14.3 18.2 24.1

陸海軍

省庁へ 6.3 12.5 3.7 5.9 省庁から 15.8 3.2 1.2 陸海軍へ 1.8 1.5 1.4 陸海軍から 15.8 2.4

教育機関へ 3.6 8.2 6.8

教育機関から 1.1 9.4

民間部門へ 25.0 14.3 23.1 19.9 民間部門から 10.5 4.9 6.3 4.1

教育機関

省庁へ 21.4 4.7 4.8 3.0 省庁から 13.3 9.2 6.3 6.4 地方庁へ 3.5 0.6 0.7 地方庁から 6.7 0.5 2.4

陸海軍へ 0.6 5.2

陸海軍から 2.3 5.8 3.5 民間部門へ 3.6 8.1 9.6 7.2 民間部門から 10.0 5.7 13.2 27.4

民間部門

省庁へ 12.2 18.2 3.6 4.2 省庁から 16.0 14.6 15.7 6.1 地方庁へ 4.1 1.9 2.0 地方庁から 1.3 4.0 3.3 1.6 陸海軍へ 2.7 0.8 0.7 0.3 陸海軍から 5.3 3.2 3.2 1.9 教育機関へ 4.1 2.1 3.0 5.0 教育機関から 1.3 2.8 1.6 0.9 注:表 2,表 6 〜表 10 から作成。

表 12 分野別各種移動率 1893-

1901 1901- 1910

1910- 1920

1920- 1930

分野内 移動率

省庁 20.0 23.6 9.6 11.7 地方庁 90.9 58.3 67.3 62.5

陸海軍 9.1 7.5

教育機関 19.0 20.8 27.7 20.7 民間部門 50.9 35.1 47.4 37.0

流出率

省庁 42.6 24.0 33.2 29.0 地方庁 57.7 47.8 48.0 37.7 陸海軍 31.3 32.1 36.6 33.9 教育機関 25.0 16.3 15.6 16.1 民間部門 23.0 21.1 9.3 11.5

流入率

省庁 41.7 28.6 13.4 20.7 地方庁 47.6 31.4 40.9 47.7 陸海軍 42.1 7.3 10.5 14.6 教育機関 30.0 17.2 25.8 39.6 民間部門 24.0 24.5 23.9 10.6

入超率

省庁 −1.0 4.6 −19.9 −8.3 地方庁 −10.1 −16.4 −7.1 10.0 陸海軍 10.9 −24.8 −26.0 −19.3 教育機関 5.0 1.0 10.2 23.6 民間部門 1.0 3.4 14.5 −0.9 注:表 2,表 6 〜表 10 から作成。

表 13   鉱業・製造業・軽工業・重化学工業名目生産額 と名目国内純生産の成長率

1893- 1901

1901- 1910

1910- 1920

1920- 1930 鉱業 15.3 8.8 18.7 −4.6 製造業 10.8 5.6 17.7 0.2 軽工業 10.7 4.8 15.5 0.4 重化学工業 10.6 8.2 23.9 −1.2 国内純生産 10.1 5.8 13.7 1.0 出所: 大川一司編(1974) 『国民所得』長期経済統計 1,

東 洋 経 済 新 報 社,202 〜 208 頁。 篠 原 三 代 平

(1972)『鉱工業』長期経済統計 10,東洋経済新 報社,140 〜 143 頁。

注: 製造業のうち軽工業には食料品業と繊維業,重化

学工業には化学工業,金属工業,機械工業を含む。

(15)

の名目生産額成長率を期間別に見 たものである

8)

。表 14 はこれら 5 つ の成長率と 5 分野別分野内移動率や 流出率など(表 12)との単純相関係 数を掲げたものである。最上段の成 長率欄は,5 つの成長率相互の相関 係数を見たもので,その値が高くな るのは当然のことであるが,サンプ ルサイズがわずかに 4 であったの で,10%の有意水準の相関係数は 0.900,5%の水準は 0.950 と高くな る。鉱業成長率と重化学工業成長率 との相関係数でさえ 10%水準でし か有意にならない。表 14 において おおむね良好な結果が得られたの は,流入率から流出率を差し引いた 入超率のうち,民間部門における入 超率と各種成長率との間の相関係 数で,重化学工業成長率との間の相 関係数は 0.931 に達した。また流出 率を除く民間部門に関して,5%の 有意水準に達していないもののあ る程度の相関係数が得られた。

表 15 は成長率と分野別他分野間 流出入率との相関を見たもので,有 意水準にあるのは民間部門の省庁 からの流入率と鉱業成長率との間 の相関係数 0.953 のみであったが,

全体に好況期ほど,より多くの工学 士が省庁から民間部門へ流入する傾向にあったと解釈できる。省庁や教育機関に関して も,民間との間の流入率が一定の負の相関を示している。景気が悪化すると,民間から

表 15  各種成長率と分野別他分野間出入率との相関係数 鉱業 製造業 軽工業 重化学

工業 国内純

生産 省庁 民間部門へ 0.559 0.804 0.780 0.816 0.730

民間部門から −0.482 −0.745 −0.729 −0.740 −0.669 教育

機関

民間部門へ 0.000 0.186 0.102 0.367 0.092 民間部門から −0.736 −0.494 −0.493 −0.510 −0.570 民間

部門

省庁へ 0.141 −0.183 −0.175 −0.166 −0.087 省庁から 0.952 0.801 0.810 0.778 0.859 注:表 11 と表 13 による。

表 14 各種成長率と各種移動率との相関係数 鉱業 製造業 軽工業 重化学 工業

国内純 生産

成長率

鉱業 1.000 製造業 0.942 1.000 軽工業 0.950 0.996 1.000 重化学工業 0.909 0.980 0.958 1.000 国内純生産 0.974 0.992 0.996 0.959 1.000

分 野 内 移動率

省庁 0.095 −0.242 −0.217 −0.253 −0.131 地方庁 0.468 0.366 0.451 0.178 0.444 陸海軍 −0.360 −0.393 −0.312 −0.564 −0.347 教育機関 0.455 0.692 0.632 0.785 0.599 民間部門 0.739 0.759 0.813 0.616 0.789

流出率

省庁 0.494 0.472 0.550 0.289 0.524 地方庁 0.800 0.593 0.647 0.480 0.689 陸海軍 0.153 0.460 0.401 0.546 0.344 教育機関 0.334 0.145 0.234 −0.037 0.248 民間部門 0.184 −0.151 −0.098 −0.226 −0.026

流入率

省庁 0.128 −0.160 −0.084 −0.296 −0.037 地方庁 −0.213 −0.080 −0.017 −0.237 −0.089 陸海軍 0.256 0.127 0.219 −0.067 0.214 教育機関 −0.573 −0.387 −0.350 −0.484 −0.428 民間部門 0.901 0.724 0.725 0.726 0.786

入超率

省庁 −0.226 −0.540 −0.511 −0.558 −0.438

地方庁 −0.724 −0.484 −0.480 −0.509 −0.559

陸海軍 0.217 0.058 0.149 −0.133 0.153

教育機関 −0.699 −0.437 −0.443 −0.445 −0.523

民間部門 0.698 0.855 0.804 0.931 0.792

注:表 12 と表 13 による。

(16)

の流入が増加すると解釈できよう。前稿で見たように

9)

,1910 〜 1920 年と 1920 〜 1930 年は,典型的な好況期と不況期であり,両時期の工学士勤務先データ数が多かったこと もあり,不況と好況の影響が工学士の勤務状況に強くあらわれていたが,データ数の少 ない 1893 〜 1901 年と 1901 〜 1910 年を含む 4 つの期間を通して,経済が工学士移動に 一定の影響を及ぼしていたと言えよう。

2 各分野間における工学士の移動状況

2.1 省庁と地方庁

先の図 3-1 は省庁と他分野との交流状況を 4 つの期間について示したものである。全期 間を通じて民間部門との関係は強いが,地方庁との関係について見ると,1893 〜 1901 年 のみ強くなっている。一方図 3-2 では,地方庁と省庁との関係は 1893 〜 1901 年だけでな くそれ以降も強い。これは地方庁と省庁における勤務人数差によるもので,地方庁から 見ると,省庁との関係は重要であった。両者の間には主に建設業関連の業務を通じて交 流があった。

表 16 は,1893 〜 1901 年における両分野間の移動工学士を見たものである。ほとんど の工学士は土木工学科卒業生であったので,土木工学技術を携えて内務省建設業から地 方庁建設業へ移動したのであろう。逆方向についても地方庁建設業から内務省建設業へ の移動が見いだせるが,1901 年の移動先には地方庁,省庁ともに鉄道業があった。

1901 〜 1910 年における移動を見た表 17 では,省庁から地方庁へは 7 人の移動が確認 できる。移動先の産業・業種が判明しなかった 2 人を除いて,やはり土木建築業から同 一業種への移動であった。地方庁から省庁への移動は 11 人いたが,うち 4 人は,鉄道国 有化にともなう北海道庁鉄道部から内閣鉄道院への移動であった。また台湾総督府,朝 鮮総督府にそれぞれ 2 人ずつ移動した。1 人は大阪市港湾事務所から朝鮮総督府航路標識 管理所へ移動した。他は神戸市水道臨時工事部から朝鮮総督府内務部土木課へ,新潟県 内務部第二課から台湾総督府土木部へ,長野県から臨時台湾工事部へ移動した。植民地 経営が本格化しつつあったことをうかがわせる

10)

表 18 は 1910 〜 1920 年における相互移動状況を見たものである。相変わらず建設業か

ら建設業への移動が多く,地方庁へは 14 人までもが建設業に移っている。その多くは土

木工学科卒業生であった。省庁における所属部署が不明のため従事産業を明らかにでき

なかった 2 人も土木工学科卒業生であったので,省庁時代には建設業関連に従事してい

(17)

表 16 1893 〜 1901 年における省庁と地方庁との相互移動

氏名 卒業 年 卒業

校 卒業 学科

1893 年勤務先 1901 年勤務先

勤務先 所属部署 産業 業種 勤務先 所属部署 産業 業種

省庁 地方庁から

田中富士太 1880 東京 帝大 土木

工学 内務省 第六区土木

監督署 建設業 土木建築業 大阪市 港湾事務所 建設業 土木建築業 岡胤信 1886 東京

帝大 土木

工学 内務省 第三区土木

監督署 建設業 土木建築業 愛知県 内務部第六 課 黒田豊太郎 1890 東京

帝大 土木

工学 内務省 第四区土木

監督署 建設業 土木建築業 北海道庁 鉄道部 運輸・通信

業 鉄道業

三宅次郎 1891 東京 帝大 土木

工学 内務省 第四区土木

監督署 建設業 土木建築業 福岡県 内務部第二

課 建設業 土木建築業

鶴田多門 1892 東京 帝大 土木

工学 内務省 第四区土木

監督署 建設業 土木建築業 山形県 内務部第二

課 建設業 土木建築業

野田六次 1892 東京 帝大 土木

工学 内務省 第三区土木

監督署 建設業 土木建築業 大分県 内務部第二

課 建設業 土木建築業

安田不二丸 1891 東京 帝大 機械

工学 農商務省 商工局 北海道庁 鉄道部車輌

課 運輸・通信

業 鉄道業

地方庁から 省庁

黒田正暉 1885 東京 帝大 採鉱

冶金 学

広島県 広島鉱山落

合工作場 製造業 一次金属 農商務省 広島鉱山落

合作業場 製造業 一次金属 三浦健 1882 東京

帝大 土木

工学 秋田県 土木課 建設業 土木建築業 内務省 第二区土木

監督署 建設業 土木建築業 吉本亀三郎 1884 東京

帝大 土木

工学 兵庫県 水害対策 建設業 土木建築業 大蔵省 神戸税関 公務 関税・租税 早田喜成 1889 東京

帝大 土木

工学 福島県 内務部第二

課 建設業 土木建築業 内務省 第一区土木

監督署 建設業 土木建築業 岡崎芳樹 1889 東京

帝大 土木

工学 熊本県 内務部第二

課 建設業 土木建築業 内務省 第五区土木

監督署 建設業 土木建築業 青山鼎之助 1890 東京

帝大 土木

工学 埼玉県 内務部第二

課 建設業 土木建築業 逓信省 横浜市航路

標識管理所 公務 灯台・管船・

海事 只野成重 1890 東京

帝大 土木

工学 長野県 赤穂派出所

土木吏員 建設業 土木建築業 逓信省 鉄道作業局 運輸・通信

業 鉄道業

岸金三郎 1888 東京 帝大 土木

工学 長野県 逓信省 鉄道作業局

甲府出張所 運輸・通信

業 鉄道業

岡田竹五郎 1890 東京 帝大 土木

工学 東京府 逓信省 鉄道作業局

工務部 運輸・通信

業 鉄道業

出所:表 3 と同じ。以下,特筆しない限り同じ。

表 17 1901 〜 1910 年における省庁と地方庁との相互移動

氏名 卒業 年 卒業

校 卒業 学科

1901 年勤務先 1910 年勤務先

勤務先 所属部署 産業 業種 勤務先 所属部署 産業 業種

省庁から 地方庁

日下部弁二郎 1880 東京 帝大 土木

工学 内務省 第一区土木

監督署 建設業 土木建築業 東京市 原静雄 1897 東京

帝大 土木

工学 内務省 第七区土木

監督署 建設業 土木建築業 三重県 内務部土木

課 建設業 土木建築業

牧彦七 1898 東京 帝大 土木

工学 台湾総督府 台南県土木

課 建設業 土木建築業 秋田県 内務部土木

課 建設業 土木建築業

山岡元一 1899 東京 帝大 土木

工学 内務省 第一区土木

監督署 建設業 土木建築業 東京市 山田七五郎 1899 東京

帝大 建築

学 宮内庁 有栖川宮建

築掛 建設業 土木建築業 長崎県 内務部土木

課 建設業 土木建築業

武藤伝造 1900 東京 帝大 土木

工学 内務省 第四区土木

監督署 建設業 土木建築業 大分県 内務部土木

課 建設業 土木建築業

松田虎喜代 1900 東京 帝大 土木

工学 内務省 第五区土木

監督署 建設業 土木建築業 北海道庁 土木部 建設業 土木建築業

地方庁 から省庁

田賀奈良吉 1898 東京 帝大 土木

工学 徳島県 内務部第二

課 建設業 土木建築業 内務省 大阪土木出

張所 建設業 土木建築業 清水一徳 1898 東京

帝大 土木

工学 新潟県 内務部第二

課 建設業 土木建築業 台湾総督府 土木部 建設業 土木建築業 島重治 1897 東京

帝大 土木

工学 大阪市 築港事務所 建設業 土木建築業 朝鮮総督府 航路標識管

理所 公務 灯台・管船・

海事 森垣亀一郎 1898 東京

帝大 土木

工学 大阪市 築港事務所 建設業 土木建築業 大蔵省 臨時建築部 建設業 土木建築業 直木倫太郎 1899 東京

帝大 土木

工学 東京市 東京築港調査

事務所 建設業 土木建築業 大蔵省 臨時建築部 建設業 土木建築業 佐野藤次郎 1891 東京

帝大 土木

工学 神戸市 水道臨時工 事部 電気・ガス・

水道業 水道業 朝鮮総督府 内務部土木

課 建設業 土木建築業

三宅次郎 1890 東京 帝大 土木

工学 北海道庁 鉄道部釧路 出張所 運輸・通信

業 鉄道業 内閣鉄道院 米子出張所 運輸・通信

業 鉄道業

田中富士太 1891 東京 帝大 機械

工学 北海道庁 鉄道部車輌

課 運輸・通信

業 鉄道業 内閣鉄道院 鉄道院技師 運輸・通信

業 鉄道業

鵜飼賢一 1899 東京 帝大 土木

工学 北海道庁 鉄道部建設

課 運輸・通信

業 鉄道業 内閣鉄道院 鉄道院技師 運輸・通信

業 鉄道業

松永工 1901 京都 帝大 土木

工学 北海道庁 鉄道部保線課 工務係 運輸・通信

業 鉄道業 内閣鉄道院 鉄道院技師 運輸・通信

業 鉄道業

山形要助 1898 東京 帝大 土木

工学 長野県 台湾総督府 臨時台湾工事

部 建設業 土木建築業

表 1 5 か年の氏名録に掲載された海外大学卒業生と最初の勤務先 初掲 載年 掲載回数 氏名 生年 前歴校 卒業校 卒業年 専門学科 工学博士号取得年 勤務先 配属部署 1893 4 原口要 1851 開成学校 トロイ大学(米) 1878 土木 1888 逓信省 鉄道庁 1893 3 増田礼作 1853 開成学校 グラスゴー大学(英) 1876 土木 1891 逓信省 鉄道庁 1893 4 沖野忠雄 1854 大学南校 エコール・セントラル(仏) 1878 土木 1890 内務省 土木監督署 1893 5
表 3 1893 〜 1901 年における省庁・地方庁・陸海軍・教育機関・民間部門から民間部門への移動 分野 氏名 卒業 年 卒業校 卒業学科 1893 年勤務先 1901 年勤務先 移動 勤務先 所属部署 産業 業種 勤務先 所属部署 産業 業種 有無 省庁 日高偉太郎 1884 東京帝大 採鉱冶金学 農商務省 札幌鉱山監督署 鉱業 北方炭鉱 鉱業 石炭業香村小録1892 東京帝大採鉱冶金学 農商務省鉱山局鉱業佂石鉱山田中製鉄所佂石鉱業所鉱業 金属鉱業吉見九郎1880 東京帝大機械工学宮内省御料局佐渡支庁
表 4 産業分類表 産業 業種 産業 業種 農 林 水 産業 農業 電気・ガス・水道業 電気業林業ガス業 水産業 水道業 鉱業 金属鉱業 運輸・通信業 鉄道業石炭業海運業原油業 その他運輸業 非金属業 通信業 製造業 食料品 放送業繊維倉庫業パルプ・紙卸売・小売業化学金融・保険・不動産業 金融・保険業窯業不動産業一次金属財閥本社金属製品公共サービス業教育一般機械(研究)電気機械医療・保健 輸送機械 (造船) その他 サービス業 (建築設計)輸送機械(造船以外)宿泊業 精密機械 弁理士業 武器製造 技術顧問
表 7 1893 〜 1901 年における同一分野内勤務工学士の移動 分野 氏名 卒業 年 卒業大学 卒業学科 1893 勤務先 1901 年勤務先 移動 勤務先 所属部署 産業 業種 勤務先 所属部署 産業 業種 有無 省庁 小花冬吉 1879 東京帝大 採鉱冶金学 農商務省 秋田鉱山監督署 鉱業 農商務省 八幡製鉄所 製造業 一次金属今泉嘉一郎 1893 東京帝大採鉱冶金学 農商務省鉱山局鉱業農商務省八幡製鉄所製造業一次金属西山省吾1889 東京帝大採鉱冶金学 農商務省大阪鉱山監督署鉱業農商務省札幌鉱山
+7

参照

関連したドキュメント

別表 1 機 関 所属等 役職 備考 中日本高速道路㈱八王子支社 保全・サービス事業部 部長 成田国際空港㈱ 空港運用部門総合安全推進部

東日本高速道路株式会社 中日本高速道路株式会社 西日本高速道路株式会社 東日本旅客鉄道株式会社 東海旅客鉄道株式会社 受信環境クリーン中央協議会

東日本高速道路株式会社 中日本高速道路株式会社 西日本高速道路株式会社 東日本旅客鉄道株式会社 東海旅客鉄道株式会社 受信環境クリーン中央協議会

中日本高速道路株式会社 西日本高速道路株式会社 東日本旅客鉄道株式会社 東海旅客鉄道株式会社 受信環境クリーン中央協議会

東日本高速道路株式会社 中日本高速道路株式会社 西日本高速道路株式会社 東日本旅客鉄道株式会社 東海旅客鉄道株式会社 受信環境クリーン中央協議会

中日本高速道路株式会社 西日本高速道路株式会社 東日本旅客鉄道株式会社 東海旅客鉄道株式会社 受信環境クリヴン中央協議会

表3 京阪神地域と舞鶴を結び鉄道建設計画(明治26年) 会社名 出願者 経  路 出願年月 京都鉄道 小室信夫

まとめ