半導体レーザの自己結合効果を用いた
微小振動センサに関する研究
目 次
第 1 章 序論・・・
. 11 .
1本 研 究 の 背 景 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
11 . 2 本 研 究 の 目 的 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5 1 .
3本 論 文 の 概 要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
6第 2 章 微小振動センサの原理・・・・・・・・・・・・・・ 9 2 . 1 半 導 体 レ ー ザ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
92.
1 .
1半 導 体 レ ー ザ の 基 本 原 理 ・ . . . .
92.
1 .
2半 導 体 レ ー ザ の 基 本 構 造 ・ . . . . 1 0 2 . 1 . 3 半 導 体 レ ー ザ の 特 徴 ・ . . . . .・・・ 1 2 2 . 1 . 4 半 導 体 レ ー ザ の 基 本 特 性 ・ . . . . 1 2 2 . 2 半導体レーザの自己結合効果・・・・・・・・・・・ 1 4 2 . 3 微小振動振幅と光出力の関係・・・・・・・・・・・ 1 6 2 . 4 微小振動振幅の算出方法・・・・・・・・・・・・・ 1 9 2 . 4 . 1 半波長以上の振動振幅算出方法・・・・・・・・・ 1 9 2 . 4 . 2 半波長未満の振動振幅算出方法・・・・・・・・・ 20 2 . 4 . 3 正弦波補正による振動振幅算出方法・・・・・・・ 22 第
3章 実験装置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
253 . 1 手動式の実験装置・
3.1 .
1センサ部・ 声 ︒
ρ0 9 h ︼ O h ‑・. ・ ・. . ・ . •• ••
3.1 .
2セ ン サ 駆 動 部 ・ . . . . .・・・・・・
273.
1 .
3圧 電 素 子 ・ . . . . .・・・・・・・・
273 . 1 . 4 セ ン サ 駆 動 回 路 ・ . . . . .・・・・・ 30
3 . 1 . 5 タ ー ゲ ッ ト 駆 動 回 路 ・ . . . . .・・・ 30
3 . 1 . 6 半 導 体 レ ー ザ 駆 動 回 路 ・ . . . . .・・ 3 1
3 . 1 . 7 セ ン サ 出 力 検 出 回 路 ・ . . . . .・・・ 3 1
3 . 2 自動式の実験装置・・・・・・・・・・・・・・・・ 32
3 . 2 . 1 マイクロコンピュータ H8/3048 の概要・. . . . . 34
3 . 2 . 2 マ イ ク ロ コ ン ピ ュ ー タ を 用 い た セ ン サ 駆 動 回 路 ・ . 36
3 . 2 . 3 マイクロコンピュータを用いた
セ ン サ 出 力 検 出 回 路 ・ . . . . .・・・ 37 3 . 2 .4マイクロコンビュータのプログラム処理・・・・・ 37 第 4 章 実験結果及び考察・・・・・・・・・・・・・・・・
414.1
手動式の実験結果・ • • •
A吐τ ‑
4.
1 .
1半波長以上の実験結果・. . . . .・・
41 4.1 .
2半波長未満の実験結果・. . . . .・・
42 4.2自動式の実験結果. . . .
47第 5 章 総括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54
5.1
本論文のまとめ・
5.2
将来の展望・
謝 辞
A斗
りhF AFO FO
•• ••
••
••
•• ••
••
••
外部発表リスト
. 58
・ 59
第 1 章 序 論
1 . 1 本研究の背景
お よ そ 半 世 紀 前 の 1960年 に 、 メ イ マ ン が ル ビ ー を 使 用 し て 初 め て の レ ーザ発振[1]に成功して以来、同体、液体、ガスなどの媒質を利用して、色々 な レ ー ザ が 開 発 さ れ て き た 。 そ れ ら に 伴 い 、 レ ー ザ を 用 い た 様 々 な 新 し い 技 術 が 生 み 出 さ れ 、 そ の 結 果 、 光 エ レ ク ト ロ ニ ク ス の 分 野 が 急 速 に 発 展 し ている。その応用は光通信、コンパクトディスク、電子機器、加工機器、
計測機器、医療機器、エネルギーなどの分野にも広がっている。
特 に 半 導 体 レ ー ザ は 、 他 の レ ー ザ と 比 較 し て 小 型 、 軽 量 と い う 利 点 の み な ら ず 、 高 利 得 、 高 効 率 で あ る こ と や 、 注 入 電 流 に よ り レ ー ザ 光 の 周 波 数 や 出 力 を 制 御 で き 、 変 調 が 可 能 で あ る な ど の 特 徴 を 持 っ て い る 。 こ の よ う な特徴を活かして、すでに実用化されている応用分野として光通信技術、
光 情 報 記 録 技 術 、 レ ー ザ プ リ ン タ 技 術 な ど が あ る 。 ま た 、 前 述 し た 分 野 以 外 に も 、 物 体 の 形 状 測 定 、 距 離 測 定 、 回 転 速 度 測 定 な ど の 計 測 分 野 へ も 応 用 が 広 が る よ う に な っ て き た 。 例 と し て 、 工 場 内 の 生 産 ラ イ ン に お い て 距 離、外形、形状センサとして多く使用されるようになってきた。
こ の よ う に 光 エ レ ク ト ロ ニ ク ス 分 野 が 発 展 す る 中 で 、 生 産 工 程 の 自 動 化 や 省 力 化 の た め 、 小 型 で 高 感 度 な セ ン サ に 対 す る 需 要 が 強 ま っ て い る 。 特 に 、 半 導 体 素 子 の 集 積 化 が 進 む に つ れ 、 回 路 の 線 幅 が 数 十 nmま で に 達 す るような半導体集積回路の細線化やフォトニクス結品、 MEMSなどのナノ 技 術 の 進 歩 に 伴 い 、 こ れ ら の 製 品 を 大 量 に 製 造 す る 過 程 に お い て 予 期 せ ぬ 振 動 が 発 生 す る と 品 質 が 低 下 す る の で 、 こ れ ま で の よ う に レ ー ザ の 発 振 波 長 の 半 波 長 よ り 短 い 10nm程 度 の 微 小 振 動 が 無 視 で き な く な り 、 常 に 微 小 振動を監視するセンサが必要になってくる。
微小振動や変位の検出方法としては、電気的方法(抵抗法、電磁誘導法、
容量法)、光学的方法(光てこ、幾何学的方法[2]、光干渉法[2])、超音波法 などがある。抵抗法は歪み (L'JLIL) を 10‑6程度の感度で測定するもので、
最 も 汎 用 的 な の は 金 属 線 歪 み ゲ ー ジ で あ る 。 こ れ は 、 被 測 定 物 に 貼 り 付 け
た ゲ ー ジ が 被 測 定 物 の 歪 み に よ る 張 力 に よ り 、 そ の 抵 抗 が 変 化 し 、 そ の 変 化 量 か ら 歪 み を 評 価 す る も の で 、 特 に 半 導 体 ゲ ー ジ は ピ エ ゾ 抵 抗 効 果 を 持 ち、金属線より 2桁 高 く 、 応 答 周 波 数 は 10MHz程度まで使用できるが、
接 触 式 で あ る 。 精 度 の 高 い 容 量 法 は 、 向 か い 合 っ た 三 つ の 平 面 電 極 で 構 成 さ れ た 空 気 コ ン デ ン サ の 容 量 が 、 わ ず か な 電 極 間 距 離 の 変 化 に 対 し て は 線 形 的 に 変 化 す る こ と を 応 用 し た 変 位 測 定 法 で あ る が 、 平 面 の 金 属 表 面 以 外 の 測 定 に は 向 か な い 。 光 て こ は 、 わ ず か な 変 位 を 鏡 で 拡 大 し 、 変 位 を 測 定 す る 方 法 で あ る が 、 装 置 が 大 き く な る 。 幾 何 学 的 方 法 に よ る 計 測 は 、 光 学 式 三 角 測 距 法 が あ る 。 レ ー ザ 光 を タ ー ゲ ッ ト 表 面 へ 斜 め に 照 射 す る と 、 レ ー ザ 光 は そ の 表 面 で 拡 散 反 射 す る 。 こ の 拡 散 反 射 光 の 一 部 を 受 光 レ ン ズ に 通 し て 光 位 置 検 出 素 子 (PSD) 上 に 焦 点 を 結 ば せ る と 、 検 出 距 離 に よ っ て 焦 点 が 光 位 置 検 出 素 子 上 を 移 動 す る の で 、 そ の 移 動 距 離 か ら 変 位 を 測 定 す
る方法である。しかし、測定限界は、 2pm程度である。
次 に 、 光 干 渉 法 は 確 立 さ れ た 技 術 で あ り 、 タ ー ゲ ッ ト の 変 位 、 速 度 、 振 動 、 距 離 な ど を 測 定 す る た め に 、 製 造 現 場 や 研 究 室 な ど で 広 く も ち い ら れ て い る 。 こ れ は 、 機 械 工 具 の 制 御 、 形 状 測 定 、 振 動 測 定 な ど に 応 用 さ れ て い る 。 こ の 技 術 は 、 レ ー ザ 光 を 使 用 し た レ ン ズ 、 プ リ ズ ム 、 鏡 な ど の 光 学 系 装 置 で 構 成 さ れ 、 同 一 波 長 の 2光 線 開 の 光 路 差 が 半 波 長 の 整 数 倍 に な る ご と に 干 渉 光 強 度 が 強 弱 を 繰 り 返 す の で 、 変 位 測 定 に お い て は 、 変 位 量 を 使 用 光 波 長 の オ ー ダ ー で 計 測 す る こ と が 可 能 で あ り 、 半 波 長 以 下 の 変 位 量 を nm程 度 ま で 検 知 す る こ と が で き る 。 光 干 渉 法 に よ る 計 測 に は 、 ホ モ ダ イ ン 干 渉 法 、 光 ヘ テ ロ ダ イ ン 干 渉 法 、 共 焦 点 フ ァ ブ リ ー ベ ロ ー 干 渉 計[3]、
時 間 差 干 渉 法[4]などがある。代表的な 2光線方式のマイケノレソン干渉計は、
レ ー ザ 光 を プ ロ ー ブ 光 と 参 照 光 の 二 つ に 分 け 、 タ ー ゲ ッ ト で 反 射 散 乱 し た プ ロ ー ブ 光 と 参 照 光 を 重 ね あ わ せ て 干 渉 さ せ 、 そ の 干 渉 強 度 の 変 化 か ら 変 位 や 振 動 を 測 定 す る 方 法 で あ る 。 次 に 、 光 ヘ テ ロ ダ イ ン 干 渉 法 は 、 光 周 波 数 の 異 な る 二 つ の レ ー ザ 光 を 用 意 し 、 一 方 を プ ロ ー プ 光 と し て タ ー ゲ ッ ト 表 面 で 反 射 散 乱 さ せ 、 そ の 反 射 散 乱 光 と も う 一 方 の 周 波 数 変 調 を 受 け た 参 照 光 と を 干 渉 さ せ 、 そ の 周 波 数 差 の ビ ー ト 信 号 の 位 相 変 位 を も と の キ ャ リ ア信号の周波数を基準として測定し、その値から変位を求める方法である。
こ れ は 、 主 に 低 周 波 の 機 械 振 動 の 非 接 触 計 測 に 用 い ら れ る 。 そ し て 、 共 焦
点ファブリーベロー干渉計は、反射率 90~99% の反射鏡を対向させた構造
に な っ て お り 、 そ の 反 射 鏡 の 聞 を レ ー ザ 光 が 多 重 反 射 す る と 、 き わ め て 狭 帯 域 の 光 バ ン ド パ ス フ ィ ル タ と し て 働 く 。 こ の 反 射 鏡 の 間 隔 を 調 節 す る こ と に よ り 、 透 過 す る 光 周 波 数 を 調 節 す る こ と が で き る 。 超 音 波 領 域 の 振 動 の検出には、レーザ光が 50%程 度 透 過 す る よ う に す れ ば 、 ド ッ プ ラ ー 効 果 に よ る プ ロ ー プ 光 の 周 波 数 変 調 が 透 過 光 量 の 変 化 と し て 得 ら れ る の で 、 そ の 変 化 か ら 変 位 を 求 め る 方 法 で あ る 。 時 間 差 干 渉 法 は 、 タ ー ゲ ッ ト 表 面 で レ ー ザ 光 を 反 射 さ せ た 後 、 そ の ビ ー ム を 二 つ に 分 け 、 一 方 の 光 路 長 を 大 き く 取 り 、 重 ね 合 わ せ る 。 そ の 二 つ の ピ ー ム 聞 に 時 間 差 を 与 え る と 、 干 渉 光 の強度変化が、振動変位の時間微分、すなわち振動速度に比例するので、
そ の 変 化 か ら 変 位 を 求 め る 方 法 で あ る 。 し か し 、 こ の 方 法 は 、 光 学 系 が 大 き く な る 欠 点 が あ る 。 こ の よ う な い く つ か の 光 干 渉 法 に よ る 計 測 が あ げ ら れ る が 、 こ れ ら は 光 学 系 の 調 整 が 困 難 で 、 外 部 振 動 に 弱 く 、 大 型 で 高 価 で ある。
こ れ ら の 光 干 渉 法 が 確 立 さ れ て ま も な く 、 タ ー ゲ ッ ト で 反 射 散 乱 し た レ ーザ光の一部を再びレーザの共振器内に戻り光として戻すことによって、
元のレーザ光の周波数や振幅に変化を与える新しい技術が現れた。これは、
自 己 結 合 干 渉 法 、 自 己 混 合 干 渉 法 ま た は 誘 導 変 調 干 渉 法 な ど と 呼 ば れ る も の で あ る 。 レ ー ザ か ら 発 振 さ れ た レ ー ザ 光 が タ ー ゲ ッ ト で 反 射 散 乱 し 、 そ の 一 部 が レ ー ザ の 共 振 器 内 に 戻 っ て く る ま で の 問 、 レ ー ザ 光 は 精 度 の 良 い 検 出 器 の 役 割 を す る 。 こ の 原 理 が 最 初 に 実 証 さ れ た の は 、 ガ ス レ ー ザ を 使 用 し て 、 タ ー ゲ ッ ト が 移 動 す る と き に 発 生 す る ド ッ プ ラ ー シ フ ト を 検 出 し たことであった[5]。 更 に 技 術 革 新 を も た ら し た の が 、 半 導 体 レ ー ザ に よ る この自己結合効果を使用した干渉法である [6,7]。 安 価 に 手 に 入 れ る こ と が で き る フ ァ ブ リ ー ベ ロ ー 型 半 導 体 レ ー ザ に よ る 自 己 結 合 効 果 を 利 用 し た 非 接 触 型 の セ ン サ の 応 用 が 1986年 か ら 科 学 文 献 に 表 れ る よ う に な り [7,8]、 速 度 計[9‑11]、振動計[12・14]、距離計[15‑18]が 研 究 さ れ て き た 。 速 度 計 の 研 究 で は 、 レ ー ザ ド ッ プ ラ ー 速 度 計 と 呼 ば れ て い る ド ッ プ ラ ー 効 果 を 利 用 したセンサ[7]や 波 長 領 域 が 赤 か ら 近 赤 外 の 半 導 体 レ ー ザ を 使 用 し て 移 動 す る 鏡 、 ス ゼ ー カ の 振 動 膜[10]、 流 体[11]な ど の 速 度 を 計 測 す る セ ン サ な ど が 研 究 さ れ て き た 。 振 動 計 の 研 究 で は 、 周 波 数 変 調 し た レ ー ザ 光 を タ ー
ゲ ッ ト に 照 射 し 、 セ ン サ の 出 力 か ら 振 動 振 幅 と 振 動 周 波 数 を 計 測 す る セ ン サ[12]や 、 レ ー ザ ド ッ プ ラ ー 速 度 計 を 利 用 し て 振 動 振 幅 な ど を 計 測 す る セ ンサ[14]な ど が 研 究 さ れ て き た 。 距 離 計 の 研 究 で は 、 三 角 波 変 調 の 代 わ り に 正 弦 波 信 号 で 変 調 を か け た も の[15]、 マ イ ケ ル ソ ン 干 渉 計 を 用 い て 基 準 を 持 つ こ と に よ り 温 度 特 性 が 小 さ い セ ン サ[17]、 フ ァ ブ リ ー ベ ロ ー 型 LD の 代 わ り に モ ー ド ホ ッ プ が 起 き に く い VCSELを用いモードホップによる 誤 差 の 少 な い セ ン サ[18]な ど が 研 究 さ れ て き た 。 そ れ は 、 半 導 体 レ ー ザ に よ る 自 己 結 合 効 果 を 使 用 し た 干 渉 法 の 利 点 に 次 の よ う な も の が あ る か ら で ある [1910
( 1 )外部干渉系が無いため、構造が簡単になり、安価で、小型の装置とな る。
( 2 ) 半 導 体 レ ー ザ 内 蔵 の フ ォ ト ダ イ オ ー ド を 使 用 し て 、 信 号 を 検 出 す る ので、外部受光器を必要としない。
( 3 ) こ の 干 渉 法 は コ ヒ ー レ ン ト 光 に よ る 検 出 の た め 、 セ ン サ 感 度 が 非 常 に高い。
( 4 ) 光 が 拡 散 し や す い 粗 い タ ー ゲ ッ ト 表 面 で も 、 こ の 干 渉 法 が 確 実 に 使 用できる。
( 5 ) タ ー ゲ ッ ト の 変 化 に 対 す る 情 報 が レ ー ザ 光 に よ っ て 運 ば れ 、 ま た レ ーザ光のどの部分からでも、その情報を得ることができる。
半 導 体 レ ー ザ の 自 己 結 合 効 果 を 利 用 し た こ の 干 渉 法 は 、 こ の よ う に 多 く の 利 点 を 持 つ が 、 上 で 述 べ た こ れ ら の 振 動 計 は 使 用 す る 半 導 体 レ ー ザ の 発 振 波 長 の 半 波 長 以 上 の 振 動 振 幅 に 対 し て の み 精 度 の 良 い 検 出 が で き る 。 つ ま り 、 こ れ ら の セ ン サ は 数 百 nm以 下 の 振 動 振 幅 に 対 し て は 、 精 度 の 良 い 測 定 が で き な い 。 そ れ は 、 セ ン サ の 出 力 信 号 が 、 タ ー ゲ ッ ト の 振 動 振 幅 に よ っ て 変 化 す る だ け で な く 、 タ ー ゲ ッ ト で 反 射 す る 戻 り 光 量 の 変 化 に よ っ て も 変 化 す る か ら で あ る 。 そ こ で 、 こ れ ら の 問 題 を 解 決 す る た め に 、 タ ー ゲ ッ ト の 反 射 率 や レ ー ザ 光 の 入 射 角 な ど に よ る 戻 り 光 量 の 変 化 に 関 係 な く 微 小 振 動 振 幅 と 振 動 周 波 数 を 測 定 で き る よ う に 、 基 準 信 号 を 持 っ た 小 型 で 構造が簡単なセンサシステムに関する研究を行った。
1 . 2 本研究の目的
ナノ技術の進歩に伴い、半導体集積回路、フォトニクス結晶、 MEMSな ど の 製 品 を 大 量 に 製 造 す る 過 程 に お い て 、 品 質 の 維 持 や コ ス ト 削 減 の た め に 10nm程度の微小振動を常に監視するセンサが必要とされる。そこで、
本 研 究 は 製 造 過 程 で 発 生 す る タ ー ゲ ッ ト の 振 動 周 波 数 が 数 kHz以 下 で 振 動 振 幅 が 数 nm以 下 の 微 小 振 動 を 非 接 触 で 検 出 で き る セ ン サ の 開 発 を 目 標
とした。
こ の セ ン サ は 、 前 節 の 半 導 体 レ ー ザ に よ る 自 己 結 合 効 果 を 使 用 し た 干 渉 法の利点もあわせ持ち、半導体レーザの発振部と検出部が一体型のため、
外 部 干 渉 系 が 無 く 、 外 部 振 動 に 強 い も の と な る 。 ま た 、 発 光 、 干 渉 、 検 出 を半導体レーザと半導体レーザ内蔵のフォトダイオードのみで行うため、
小 型 で 構 造 が 簡 単 で 安 価 な も の と な る 。 タ ー ゲ ッ ト の 振 動 が 大 き い 時 に は 半 波 長 以 上 振 動 す る 部 分 の 出 力 振 幅 が 揃 う た め 、 こ れ を 基 準 と し て 振 動 振 幅 の 測 定 が 可 能 で あ る が 、 タ ー ゲ ッ ト が レ ー ザ の 発 振 波 長 の 半 波 長 以 下 の 微 小 振 動 を す る 時 、 そ の 振 動 は タ ー ゲ ッ ト の 入 力 信 号 と 同 じ 周 期 の 振 動 を す る の で 、 出 力 信 号 の 変 化 の 原 因 が 、 タ ー ゲ ッ ト の 反 射 率 や レ ー ザ の 入 射 角 な ど の 変 化 に よ る 戻 り 光 量 の 違 い で あ る の か 、 タ ー ゲ ッ ト 白 身 の 振 動 振 幅 の 変 化 で あ る の か が 分 か ら な い た め 、 正 確 な 振 動 検 出 が で き な い 。 そ こ で 本 研 究 で は 、 セ ン サ 部 を 二 重 構 造 に し 、 セ ン サ 部 を 半 波 長 以 上 高 速 で 動 か す こ と で レ ー ザ と タ ー ゲ ッ ト 閣 の 距 離 を 意 図 的 に 変 化 さ せ 、 基 準 と な る 信 号 を 作 り だ し た 。 こ の 基 準 信 号 と セ ン サ 出 力 信 号 を 比 較 す る こ と に よ っ て 、 タ ー ゲ ッ ト の 振 動 振 幅 を 求 め た 。 ま た 、 干 渉 波 形 は 正 弦 波 関 数 で あ る の で 基 準 信 号 に 対 し て ど の 位 置 で 振 動 し て い る か に よ っ て 出 力 信 号 の 大 き さ が 変 化 す る 。 そ こ で 、 セ ン サ 部 と タ ー ゲ ッ ト 聞 の 距 離 を 変 化 さ せ 、 セ ン サ 出 力 信 号 が 基 準 信 号 に 対 し て 中 心 で 振 動 す る よ う に 調 整 し 、 セ ン サ 感 度 が 最 大 時 の 出 力 信 号 を 得 る よ う に し た 。 ま た 、 こ れ ら の 基 準 信 号 発 生 と セ ン サ 感 度 最 大 時 の 出 力 検 出 は 、 手 動 式 に よ る 方 法 と マ イ ク ロ コ ン ビ ュ ー タ を利用した自動式による方法の両方で行い、自動式の優位性を評価した。
よ っ て 、 本 論 文 で は 、 半 導 体 レ ー ザ の 自 己 結 合 効 果 を 用 い た 微 小 振 動 セ ン サ を 考 案 し 、 基 準 信 号 に よ っ て タ ー ゲ ッ ト か ら の 戻 り 光 量 に 関 係 な く タ
ー ゲ ッ ト の 振 動 が O.5kHzから 3.0kHzの 間 で 、 最 小 約 3nmま で の 微 小 振 動 振 幅 と タ ー ゲ ッ ト の 振 動 周 波 数 を 測 定 で き る セ ン サ シ ス テ ム の 成 果 に つ いて述べる。
1 . 3 本 論 文 の 概 要
第 1章 の 序 論 で は 、 光 エ レ ク ト ロ ニ ク ス や ナ ノ 技 術 な ど に つ い て 触 れ 、 微 小 振 動 計 の 種 類 や 特 徴 な ど 本 研 究 の 背 景 に つ い て 言 及 し 、 本 研 究 の セ ン サ シ ス テ ム の 特 徴 や 必 要 性 な ど 本 研 究 の 目 的 を 述 べ る 。
第 2章 の 微 小 振 動 セ ン サ の 原 理 で は 、 本 研 究 に 用 い た 半 導 体 レ ー ザ の 原 理 、 特 徴 及 び 特 性 に つ い て 述 べ 、 本 研 究 の 測 定 原 理 で あ る 半 導 体 レ ー ザ の 自 己 結 合 効 果 と 振 動 振 幅 値 の 測 定 方 法 及 び セ ン サ 感 度 の 調 整 方 法 な ど の 微 小振動センサの原理について述べる。
第 3章 の 実 験 装 置 で は 、 タ ー ゲ ッ ト の 微 小 振 動 測 定 を 手 動 式 で 行 っ た 場 合 と 自 動 式 で 行 っ た 場 合 の そ れ ぞ れ の 実 験 装 置 と 測 定 方 法 に つ い て 述 べ 、 更に自動式の特徴についても言及する。
第 4章 の 実 験 結 果 と 考 察 で は 、 手 動 式 と 自 動 式 に よ る 振 動 振 幅 測 定 結 果 と 考 察 を 述 べ 、 手 動 式 に お い て は 、 タ ー ゲ ッ ト が 半 導 体 レ ー ザ の 半 波 長 以 上 と 半 波 長 未 満 の 振 動 を し て い る と き の 振 動 振 幅 の 測 定 結 果 と 考 察 を 述 べ る 。 ま た 、 微 小 振 動 セ ン サ の 周 波 数 依 存 性 と 色 依 存 性 に つ い て も 述 べ る 。 更 に 、 自 動 式 に お い て は タ ー ゲ ッ ト の 振 動 が 半 波 長 未 満 の と き の 振 動 振 幅 測 定 結 果 と 考 察 を 述 べ 、 手 動 式 と 同 じ く 本 セ ン サ の 周 波 数 依 存 性 と 色 依 存 性 に つ い て も 同 様 に 述 べ る 。 ま た 、 そ れ ら の 測 定 結 果 の 検 証 を す る た め に 、 静 電 容 量 式 変 位 計 で タ ー ゲ ッ ト の 振 動 振 幅 を 測 定 し た 結 果 と の 比 較 を 述べる。
第 5章 の 総 括 で は 、 手 動 式 と 自 動 式 の 測 定 結 果 の 概 略 を 述 べ 、 そ れ ら を 比較することによって、自動式の微小振動センサの優位性を述べる。また、
将 来 展 望 で は 、 本 研 究 の 微 小 振 動 セ ン サ の 改 善 点 な ど を 述 べ る 。
参 考 文 献
[1] T. H. Maiman : Stimulated optical radiation in ruby, Nature 187, pp. 493・494,1960
[2]レーザ、計測ハンドブック編集委員会:レーザ計測ノ¥ンドブック 丸 善 株 式 会 社 1993
[3] J. P. Monchalin : Optical detection of Ultrasound at a distance using a confocal Fabry‑Perot interferometry, Appl. Phys. Lett. 47 No. 1, pp. 14同17,1985
[4] R. J. Emrich : Methods of Experimental Physics, Vol. 18 Fluid Dynamics Part B, Academic Press, pp. 606‑610, 1981
[5] J. M. Rudd : A laser Doppler velocimeter employing the laser as a mixer‑oscillater, J. Phys. E, Sci. Instrum. 1, pp. 723・726フ1968
[6] S. Donati : Laser interferometry by induced modulation of the cavity field, J. Appl. Phys. 49, pp. 495・497,1978
[7] S. Shinohara, A. Mochizuki, H. Yoshida and M. Sumi : Laser Doppler velocimeter using the self‑mixing effect of a semiconductor laser diode, Appl. Opt. 25, pp. 1417・1419,1986
[8] G. Beheim and K. Fritsch: Range finding using frequency modulated laser diode, Appl. Opt. 25, pp. 1439幽1442,1986
[9] P. J. Groot, G. M. Gallatin, and S. H. Macomber : Ranging and velocimetry signal generation in a backscatter‑modulated laser diode, Appl. Opt. Vol. 27, No. 21, pp. 4475・4480,1988
[10] L. Krehut, J. Hast, E. Alarousu, and R. Myllyla : Low cost velocity sensor based on the self司mixing effect in a laser diode, Opto・ElectronicsRev. Vol. 11, No. 4, pp. 313・319,2003
[11] S. Sudo, Y. Miyasaka, K. Kamikariya, K. Nemoto, and K. Otsuka : Detection of small particles in fluid flow using a self‑mixing laser, Jpn. J.Appl. Phys. 45, pp. 8135・8145,2006
[12] T. Gharbi, A. Courtevill and A. Chebbour : Backscatter‑modulated laser diode for low幽frequency small司amplitude vibration measurement, Appl. Opt. Vol. 36, pp. 8233‑8237, 1997
[13] G. Giuliani, 8. Donati, and L. Monti : 8elf‑mixing laser diode vibrometer with wide dynamic range, Proc. 8PIE Vol. 4827, pp. 353‑362, 2002
[14] L. 8calise : 8elf‑mixing feedback laser Doppler vibrometry, Proc. 8PIE Vol. 4827, pp. 374胴384,2002
[15]上 田 正 ・ 山 田 諒 ・ 紫 藤 進 ・ 津 田 紀 生 : 正 弦 波 変 調 に よ る 半 導 体 レ ー ザ の 自 己 結 合 効 果 を 利 用 し た 距 離 計 電 気 学 会 論 文 誌 C Vol. 117, No.
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[16] G. Mourat, N. 8ervagent and T. Bosch : Distance measurements using the self‑mixing effect in a 3・司electrodeDBR laser diode, Opt.
Eng. 39, pp. 738・743,2000
[17]中尾祐介・津田紀生・山田諒:半導体レーザの自己結合効果を用いた 自 己 補 正 型 距 離 計 電 気 学 会 論 文 誌 C Vol. 121, No. 12, pp. 1819・1824,2001
[18]坂 本 明 紀 ・ 津 田 紀 生 ・ 山 田 諒 : 面 発 光 レ ー ザ を 用 い た 自 己 結 合 型 距 離 計 の 特 性 電 気 学 会 論 文 誌 C Vol. 126, No. 12, pp. 1454・1459,2007 [19] G. Giuliani, M. Norgia, 8. Donati and T. Bosh : Laser diode
self‑mixing technique for sensing applications, J. Opt. A, Pure Appl. Opt. 4, pp. 8283‑8294, 2002
第 2 章 微小振動センサの原理
本 章 で は 測 定 に 用 い た 半 導 体 レ ー ザ の 原 理 [1]や特徴[1]及 び 特 性 [2]を紹 介 し 、 測 定 原 理 で あ る 半 導 体 レ ー ザ の 自 己 結 合 効 果 と 振 動 振 幅 値 の 測 定 方 法 及 び セ ン サ 感 度 の 調 整 に つ い て 述 べ る。
2 . 1 半導体レーザ
2 .
1.1 半導体レーザの基本原理
半 導 体 レ ー ザ は 、 半 導 体 中 の 電 子 の 光 学 遷 移 に よ る 光 子 の 誘 導 放 出 を 利 用 し た 光 波 の 発 振 器 及 び 増 幅 器 で あ る。
原 子 や 分 子 中 の 電 子 の エ ネ ル ギ ー は 、 離 散 的 な 値 を と り エ ネ ル ギ ー 準 位 を構成する。図 2.1(a)に 示 す よ う に 、 エ ネ ル ギ ー 差 が Eの 2つ の 準 位 の 上 の 準 位 が 電 子 に 占 有 さ れ て い て 下 の 準 位 が 占 有 さ れ て い な い と き 、 hをプ ラ ン ク の 定 数 と し て
E=nω
n
= h/2π (2.1)を 満 た す 角 周 波 数 ωの 光 が 入 射 す る と 、 光 強 度 に 比 例 す る 単 位 時 間 当 た り の 確 率 で 電 子 は 下 の 準 位 に 遷 移 し 、 入 射 光 と 同 じ モ ー ド す な わ ち 同 じ 周 波
励起準位
軒
‑
恒 空
電子h ω •
'VV\Nぃ I~
光子 I V Y V VV '
h ω
'vv以ハ rlMM が
光子
・
v vV ' v V'基底準位
。 0
│価電子帯 正孔
(b)半導体中のキャリアによる 誘導放出
(a)原子中の電子による誘導放出
図2.1電子の光学遷移による光子の誘導放出概念図
数で同じ進行方向の光子が放出される。これが原子中の誘導放出である。
半 導 体 中 の 電 子 の エ ネ ル ギ ー 準 位 は 離 散 的 で は な く バ ン ド 構 造 を 形 成 す る が、図 2.1(b)の よ う に 伝 導 帯 に 多 数 の 電 子 が あ り 、 価 電 子 帯 に 多 く の 正 孔
があるとき、バンドギャップエネルギ ~Eu よりわずかに大きな E に対して 式(2.1)を 満 た す 光 が 入 射 す る と 電 子 遷 移 と 光 子 の 放 出 が 起 き る 。 こ れ が 半 導 体 中 の 誘 導 放 出 で あ る 。 ま た 、 入 射 光 が な い と き で も 光 子 の 放 出 が あ る
自 然 放 出 も あ る 。 一 方 、 電 子 が 下 の 準 位 を 占 有 し て い て 上 の 準 位 が 占 有 さ れ て い な い と き は 、 光 入 射 に よ り 逆 の 電 子 遷 移 と 光 子 の 吸 収 が 起 き る 。 量 子 論 に よ れ ば 、 こ の 誘 導 放 出 と 吸 収 の 確 率 は 等 し い 値 で あ る 。 多 数 の 電 子 を含む系を考えると、熱平衡状態では、電子のエネノレギ一分布はフェルミ
デイラク分布に従い、高い準{立を占める電子の数は低い準位のそれより 少 な い の で 、 全 体 と し て は 光 が 吸 収 さ れ る 。 し か し 、 系 を エ ネ ル ギ ー 供 給
で励起し反転分布を実現すれば、正味の光子放出がなされ光が増幅される。
半 導 体 で の 反 転 分 布 は 、 価 電 子 帯 の 電 子 を 伝 導 体 に 励 起 し て 多 数 の 電 子 ・ 正 孔 対 を 形 成 す る こ と で 実 現 さ れ る 。 こ れ は 、 光 照 射 や 電 子 ビ ー ム 照 射 に よ っ て も 実 現 さ れ る が 、 実 用 的 な レ ー ザ デ バ イ ス を 実 現 す る 上 で 最 も 有 効 な 方 法 は 、 半 導 体 で PN接 合 を 形 成 し 、 こ れ に 順 方 向 電 流 を 流 し て 接 合近傍の空乏層内にエネルギーの高い少数キャリアを注入することである。
P型 領 域 で は 、 少 数 キ ャ リ ア で あ る 電 子 が N型 領 域 か ら 注 入 さ れ る と 電 気 的 中 性 条 件 を 満 た す た め に 、 多 数 キ ャ リ ア で あ る 正 孔 も 増 加 し て 、 励 起 状 態 に な る 。 こ の よ う に 電 流 注 入 で 励 起 す る 半 導 体 レ ー ザ は 注 入 型 レ ー ザ と 呼ばれ、本研究で使用した半導体レーザである。
2 . 1 . 2 半導体レーザの基本構造
本 研 究 に 使 用 し た 半 導 体 レ ー ザ の 基 本 構 造 を 説 明 す る 。 最 初 に 発 振 が 実 現 さ れ た 注 入 型 レ ー ザ は 、 単 一 の 結 晶 材 料 GaAsからなる PN接合のダイ オ ー ド で あ っ た が 、 発 振 条 件 を 満 た す た め に 非 常 に 大 き な 密 度 の 注 入 電 流 を 必 要 と し 、 低 温 状 態 で の パ ル ス 発 振 に 限 ら れ て い た 。 そ の 後 、 室 温 連 続 発振をはじめ実用的な性能が得られようになったのが、ダブソレヘテロ構造 の 半 導 体 レ ー ザ で あ る 。 そ の 概 略 の 構 造 を 図 2.2に 示 す 。 ダ ブ ル ヘ テ ロ 構 造 は レ ー ザ 活 性 材 料 で あ る GaAsを厚さ 100nm程 度 の 薄 い 層 と し 、 こ れ
境問面ミラー N型クラッド層 基板
レーザ出力光
下部電極
図 2.2ダブルヘテロ構造注入型半導体レーザの構造
よ り バ ン ド ギ ャ ッ プ エ ネ ル ギ ー の 大 き な AIGaAsの 層 で 挟 ん だ2重 の 異 種 材料間接合を持つ構造であり、 GaAs基 板 上 の多層 結 晶 成 長 で 製 作 さ れ る。 GaAs層は活性層、 AIGaAs層
は グ ラ ッ ド 層 で 、 両 側 の グ ラ ッ ド層は、それぞれ P型と N型 に ドーピングされている。
このようなダブ ル ヘテロ構造 は 、 レ ー ザ 動 作 に 必 要 な 電 流 の 低 減 に き わ め て 有 効 な 2つ の 機 能を持っている。第 1の機能は、
キ ャ リ ア の 閉 じ 込 め で あ る 。 バ ン ド ギ ャ ッ プ エ ネ ル ギ ー の 違 い に よ り 電 子 に 対 す る ポ テ ン シ ャ ル の 障 壁 が 形 成 さ れ る の で 、 注 入 さ れ た キ ャ リ ア は 接 合 か ら 離 れ て 拡 散 す る こ と な く 活 性 層 内 に高密度に閉じ込められる。こ の た め 比 較 的 小 さ な 密 度 の 注 入 電 流 で 光 増 幅 に 必 要 な 反 転 分 布 が 得 ら れ る 。 第2の 機 能 は 、 光 導 波 路 と し て の 機 能 で あ る。ク
N型A│GaAsiGaAslP型AIGaAs クラッド層 │活性層(クラツド層
t:::
時事阻
』ーーーー‑‑‑J
(a)屈折率分布
脳出咽町叫市
(b)光強度分布
図 2.3 ダブル ヘテロ構造半導体 レーザにおけるキャリア
と光波の閉じ込め
ラ ッ ド 層 は バ ン ド ギ ャ ッ プ エ ネ ル ギ ー が 大 き い の で 活 性 層 で 増 幅 さ れ る 波 長の光に対して殆ど透明であり、図 2.3(a)のようにクラッド層の屈折率は、
活 性 層 の そ れ と 比 べ て 小 さ い 。 し た が っ て 図 2.3(b)に示すように屈折率の 大 き な 活 性 層 内 を 光 波 が ク ラ ッ ド 層 と の 境 界 で の 全 反 射 に よ り 閉 じ 込 め ら れ て 、 活 性 層 面 に 沿 う 方 向 に 伝 搬 す る 導 波 モ ー ド と な る 。 屈 折 率 が 一 様 な バ ル ク 半 導 体 内 で は 、 光 波 は 回 折 に よ り 発 散 す る が 、 ダ ブ ル ヘ テ ロ 構 造 内 の 導 波 モ ー ド は 、 増 幅 利 得 が 生 じ て い る 1p.m 以 下 の 薄 い 活 性 層 内 と 近 傍 を数 100p.m 以 上 の 長 い 距 離 に 渡 っ て 伝 搬 す る の で 、 非 常 に 有 効 な 光 増 幅 がなさjもる。
2 . 1 . 3 半導体レーザの特徴
半 導 体 レ ー ザ は 、 レ ー ザ 光 の 特 徴 で あ る 単 色 性 、 集 光 性 、 指 向 性 、 可 干 渉 性 な ど の 他 に 、 次 の よ う な 特 徴 を 持 つO
① 小 型 ・ 軽 量 で あ る 。
② 高 効 率 で あ る 。
③ 長 寿 命 、 高 信 頼 性 で あ る 。
④ 直 接 電 流 変 調 が 可 能 で あ る 。
⑤ 境 開 面 を 共 振 器 と す る こ と が で き る 。
⑥ 発 振 波 長 は 、 可 視 光 か ら 遠 赤 外 に 及 ぶ 。
⑦ 温 度 ・ 圧 力 ・ 電 流 及 び 電 界 な ど に よ り 周 波 数 や 出 力 を 制 御 で き る 。 本 研 究 で は 、 特 に ① 、 ⑤ の 特 徴 を 利 用 し て 、 外 部 干 渉 系 を 持 た な い 小 型 の微小振動センサを開発した。
2 . 1 . 4 半導体レーザの基本特性
(1) 順 方 向 電 流 一 光 出 力 特 性
半 導 体 レ ー ザ に 順 方 向 電 流 を 流 し て い く と 、 あ る 電 流 値 を 超 え た と き に 半 導 体 レ ー ザ は 急 激 に 光 出 力 が 増 大 す る 。 こ の 電 流 値 を 関 値 電 流 Ithと呼 び 、 自 然 発 光 域 か ら 誘 導 放 出 域 に 変 わ る 境 と な る 。 図 2.4のように、この 関 値 電 流 を 超 え た 領 域 に お い て は 、 そ の 光 出 力 は 半 導 体 レ ー ザ の 順 方 向 電 流 に 比 例 し て 増 加 す る 。 光 出 力 は Ithを 境 に 急 激 に 増 大 し 、 素 子 は レ ー ザ 発振の状態になる。室温での関値電流は 10mA'"100mAの範囲であるもの
25
20
5 干 ミ 古 10 択
言
15【, 自然発光域
仁的に云云ぷ~
闇値電流
ι
電流 [mA]
[﹀﹀
E ]
門h司根
70 80 30 40 50 60
電流 [mAJ 20
10
。 。
。
HL7859MGの 静 特 性 図 2.5
半 導 体 レ ー ザ の 静 特 性 図 2.4
電流は、図 2.5に示すように 35mAである。
出 域 で の 電 流 の 増 加 分 を 4よ そ れ に 対 す る 光 出 力 の 増 加 分 を jjpとすると、
順 方 向 電 流 一 光 出 力 特 性 の 傾 き
が 多 い 。 本 研 究 で 使 用 し た HITACHI製 半 導 体 レ ー ザ HL7859MGの 関 値 図 2.4で示すように、誘導放
sP
17D
=五
(2.2)は微分効率(スロープ効率)17 Dと な り 、 闇 値 電 流 が 低 く 微 分 効 率 が 高 い ほ ど 優れた素子となる。本研究で使用した HL7859MGの 微 分 効 率 は 約 O.7W/A
で あ る 。 微 分 効 率 が 高 い 素 子 ほ ど 、 わ ず か な サ ー ジ 電 流 で 破 壊 し や す い の 12mW で HL7859MGを動作させた。
(2)発 振 波 長 の 温 度 依 存 性
半 導 体 レ ー ザ の 一 定 駆 動 電 流 時 に お け る 発 振 波 長 の 温 度 依 存 性 は 、 2.6 (a)の よ う に な る 。 緩 や か な 勾 配 部 分 に お け る 温 度 依 存 性 は 主 と し て 活 性 領 域 内 の 屈 折 率 の 温 度 依 存 性 に よ る も の で 、 変 化 率 O.05nm/oC~
( :l = O.8~ 1. 311m)の割合で波長が変化する。
図 光 出 力
本 研 究 で は 、 順 方 向 電 流 55mA、 で注意を要する。
ま た 、 縦 の 破 線 O.08nmtC
で 示 さ れ て い る 縦 モ ー ド の 飛 び は 禁 制 帯 幅 の 変 化 ( 利 得 が 最 大 と な る 波 長 の温度変化)によるもので、その変化率は 0.2nmrC~0.5nmrC (A =0.8
~ 1. 311m) の 程 度 で あ る 。 半 導 体 レ ー ザ の 発 振 波 長 の こ の よ う な 温 度 依 存 性 は 、 他 の レ ー ザ と 比 べ て 大 き い 。 ま た 、 活 性 領 域 内 の 温 度 は 周 囲 温 度 だ け で な く 半 導 体 レ ー ザ の 駆 動 電 流 に よ っ て も 変 化 す る の で 、 半 導 体 レ ー ザ を 使 用 す る に 当 た っ て は 常 に こ れ ら を 考 慮 に 入 れ る 必 要 が あ る 。 本 研 究 で 使 用 し た 半 導 体 レ ー ザ の 温 度 依 存 性 を 図 2.6(b)に示す。光出力 POは20mW
である。図 (b)から分かるように、発振波長は異なるが図(a)と同様な変化を 示 し て い る 。 本 研 究 で は 温 度 依 存 性 に よ っ て 、 発 振 波 長 が な る べ く 変 化 し
室温や駆動電流を一定にした。
ないように、
組員
室
780レ
J議員
" ,
,〆
‑
,〆‑
.",
, 戸 /
Po=20mW 786
4
nO 7I
(EC)
/ / / / /
.‑.:;: 836ト 雌 撰 単 釈 835
(EC)
50 30 40
温 度
T ( O c )
25 30 温 度
T ( O C )
20
(b)本研究で使用した半導体レーザ (a) GaAIAs半導体レーザ
図 2.6 半導体レーザの発振波長の温度依存
2 . 2 半導体レーザの自己結合効果
半 導 体 レ ー ザ の 特 徴 の 一 つ は 、 外 部 共 振 器 を 用 い ず に 半 導 体 結 晶 の 境 開 面 の 平 行 性 を 共 振 器 と し て い る こ と で あ る 。 し か し 、 境 開 面 に お け る 光 の 反 射 率 は 約 30%と 低 く 、 逆 に 透 過 率 が 高 い た め 、 自 ら 発 振 し た レ ー ザ の 出 力 光 が 外 部 の 反 射 面 に 当 た り 散 乱 光 の 一 部 が 戻 り 光 と な っ て 境 開 面 を 透 過 この戻り光と出力光との干渉により、
して活性領域内に戻ることになる。
動 作 が 不 安 定 と な り 、 出 力 に 雑 音 ( 戻 り 光 ノ イ ズ ) を 生 じ る 。 こ の 戻 り 光 ノ イ ズ に よ る 半 導 体 レ ー ザ の 出 力 変 化 は 、 出 力 光 に 対 す る 相 対 的 な 光 量 が 10・6程 度 と 極 め て わ ず か で あ っ て も 顕 著 に 現れる[3]0 これは出力光と戻り 光 と の 干 渉 が 共 振 条 件 を 満 た す と 、 半 導 体 レ ー ザ の 共 振 器 内 で の 増 幅 作 用 により、実際の戻り光量以上の出力の変化となるためである。この現象は、
こ れ ま で 各 種 の 応 用 技 術 に 際 し て 雑 音 の 原 因 と し て 大 き な 障 害 と な っ て い た 。 し か し 、 こ の 現 象 を 自 己 結 合 効 果 と し て 積 極 的 に 利 用 す る こ と に よ り 微 小 振 動 測 定 に 応 用 し た 。 こ の 自 己 結 合 効 果 を 用 い る こ と に よ り 、 セ ン サ 部 が 半 導 体 レ ー ザ と 集 光 レ ン ズ の み の 構 造 と な り 小 型 化 が 可 能 と な る。ま た 、 わ ず か な 戻 り 光 で も 顕 著 に 自 己 結 合 効 果 が 現 れ る た め 、 対 象 物 が 粗 面 で あ っ て も 、 ま た 金 属 表 面 以 外 で も 微 小 振 動 測 定 が 可 能 で あ る。
本 研 究 に お け る 測 定 原 理 で あ る 自 己 結 合 効 果 を 説 明 す る た め に 複 合 共 振器モデ、ル[3]を図 2.7に 示 す。半導体 レ ー ザ か ら 発 振 さ れ た レ ー ザ 光 は 外 部 反 射 面 ( 測 定 対 象 物 ) に 照 射 さ れ 反 射 散 乱 す る 。 そ の 散 乱 光 の 一 部 が 半 導 体 レ ー ザ の 努 開 面 を 透 過 し て 活 性 領 域 内 に 戻 る 。 こ の 時 、 活 性 領 域 内 の レ ー ザ 光 と 戻 り 光 が 活 性 領 域 内 で 干 渉 を 起 こ し 、 レ ー ザ 出 力が わ ず か に 増 減する。こ の レ ー ザ 出 力 が わ ず か に 増 減 す る 現 象 を 自 己 結 合 効 果 と い う。
レ ー ザ 出 力 が 最 も 増 加 す る の は 、 半 導 体 レ ー ザ の 出 射 面 と 外 部 反 射 面 と の 距 離 Lと 半 導 体 レ ー ザ の 発 振 波 長iと の 関 係 から、式(2.3)の 共 振 条 件 を 満 たした時である。11は定在波数(整数)である。
Target Laser diode
Laser cavity
L
図 2.7 複 合 共 振 器 モ デ ル
(2.3)
n × λ一2一一
IL
この自己結合効果を微小振動測定に利用した。
2 . 3 微小振動振幅と光出力の関係
こ こ で は 、 セ ン サ 部 の 半 導 体 レ ー ザ 内 蔵 の フ ォ ト ダ イ オ ー ド に よ り 検 出 さ れ る 干 渉 波 形 と タ ー ゲ ッ ト の 振 動 振 幅 の 関 係 に つ い て 述 べ る。
半導体レー ザの 発 振 波 長 の 半 波 長 以 上 の 振 動 を し て い タ まず、
ーゲットの振動が、
る と き の 入 力 信 号 と 出 力 信 号 の 観 測 波 形 を 図 2.8に 示 す。
示 す 入 力 信 号 は タ ー ゲ ッ ト を 振 動 さ せ る た め の 正 弦 波 信 号 で あ り 、 タ ー ゲ ットはこの入力信号に比 例 し て 振動する。また、 下段に示 す 出 力 信 号 は セ ンサ部のフォ トダ イ オ ー ド に よ り 検 出 さ れ る 信 号 で あ る。
入力信号の半波長毎に出力の干渉波形が得られ、
図 2.8の上段に
図 2.8か ら 分 か 入 力 信 号 の 変 位 が 大 き い と こ ろ で は 密 に 、 変 位 の 小 さ い と こ ろ で は 粗 に な り、 破 線 の 楕 円 で 固 ま れ た 密 の 部 分 はタ ー ゲ ッ ト が 半 波 長 以 上 振 動 し た こ と を 表 し て い
この 1波 が 半 導 体 レ ー ザ の 112波 長 の 変 位 を 示 し て い る。 るように、
この石皮線で
[﹀ ]古 島コ
O
。
1 0
。
‑10
{﹀ }ち
a c
一
る。
1 . 5
O . 5 1 . 0
Time [ms]
。
半導体レーザの半波長以上の振動時における入出力観測波形 図2.8
固まれている一定 振 幅 部 分 の 波 が 基 準 と な る の で 、 こ の 一 定 振 幅 部 分 の 波 数 と そ の 両 側 の山と谷で折り返している半端な端数を加えることによって、
ターゲ ッ ト の 振 動 振 幅 値 を 算 出 す る 事 が で き る。
次に、ターゲ ッ ト の 振 動 が 半 導 体 レ ー ザ の 発 振 波 長 の 半 波 長 未 満 の 振 動 を し て い る と き の 入 力 信 号 と 出 力 信 号 の 観 測 波 形 を 図 2.9に 2例 示 す。図 2.9の 上 下 段 と も 、 セ ン サ の 出 力 信 号 は タ ー ゲ ッ ト の 入 力 信 号 と 同 じ 周 期 の振動を示し、半波長以上の時のような比較対象が無い干渉波形となり、
タ ー ゲ ッ ト の 振 動 振 幅 の 検 出 は 困 難 な も の と な る。そ れ は 、 出 力 信 号 が 変 化しても、ター ゲ ッ ト 自 身 の 振 動 振 幅 の 変 化 な の か 、 そ れ と も タ ー ゲ ッ ト の反射率や レ ー ザ 光 の 入 射 角 な ど に よ る戻 り光量の変化なのか分からない ためである。半 波 長 未 満 の 振 動 振 幅 を 検 出 す る 際 に は 、 基 準 と な る 比 較 対 象が必要となる。そ こ で 、 本 研 究 で は セ ン サ 部 を 意 図 的 に 半 波 長 以 上 動 か すことにより、ターゲ ッ ト が 半 波 長 以 上 振 動 し た 時 に 発 生 す る 図 2.8の破
1.0
z
一
I
1.0 ~1: ~岨w戸F
0.0δ
E
一│‑1.0
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0
Time [ m s ]
1.0
E
H
E
0.Oc ‑1.0卜 OUTPUT 11
" . 、 . 1
1一11.0~
。
。 3 昼
‑1.0
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0
Time [ m s ]
図 2.9 半導体レーザの半波長未満の振動時における入出力観測波形
レ 線 の 楕 円 で 固 ま れ た 部 分 と 同 じ 基 準 信 号 を 作 り 出 し た。これによって、
ー ザ の 入 射 角 や タ ー ゲ ッ ト の 反 射 率 な ど に 関 係 な く 、 振 動 振 幅 値 の 算 出 が
更に、図 2.9の上下段の入出力波形は、
の干渉波形であるが、図から分かるように、
この場合、 2倍 の 違 い が あ る。
の 距 離 に よ っ て セ ン サ の 感 度 が 変 化 す る た め で あ る。図 2.10に示すように 干 渉 波 形 が 正 弦 波 関 数 で あ る た め 、 位 相 差 が 0。または 1800 付近のよ う
タ ー ゲ ッ ト の 入 力 信 号 が 同 じ 時 可能となる。
出 力 電 圧 の 大 き さ に 違 い が 生 センサとター ゲ ッ ト 間 これは、
じている。
な 最 も 変 化 の 大 き い と こ ろ で タ ー ゲ ッ ト が 振 動 し て い る の か 、 位 相 差 が 900 付 近 の よ う な 波 形 の 折 り 返 し 部 分 で あ る 変 化 の 小 さ い と こ ろ で タ ー
の微小振動を正確に測定するためには、
定 し な け れ ば な ら な い 。 そ こ で 本 研 究 で は 、 セ ン サ と タ ー ゲ ッ ト 間 の 距 離 を 変 化 さ せ 、 セ ン サ 感 度 が 最 大 に な っ た 時 の 出 力 信 号 を 得 る よ う に し た。 ゲ ッ ト が 振 動 し て い る の か の 違 い に よ る も の で あ る 。 よ っ て 、 半 波 長 未 満 セ ン サ 感 度 が 常 に 最 大 の 位 置 で 測
一 戸 コ 丘 一 戸 コ
O
Vo
,Vl:0UtPUt s i g n a l Vl
Displacement Vo
V:Vibration amplitude
V V
同じ振動振幅に対して異なる出力波形が現れる理由 図2.10
2 . 4 微小振動振幅の算出方法
こ こ で は 、 タ ー ゲ ッ ト の 振 動 振 幅 が 半 導 体 レ ー ザ の 半 波 長 以 上 の と き と 半 波 長 未 満 の と き の 振 動 振 幅 算 出 方 法 に つ い て 述 べ る 。 手 動 式 に よ る 振 動 振 幅 測 定 と 自 動 式 に よ る 振 動 振 幅 測 定 で は 、 基 準 信 号 の 振 幅 を 得 る た め に セ ン サ に 印 加 す る 入 力 信 号 波 形 が 異 な る の み で 、 算 出 方 法 は 全 く 同 様 なの より正 確 更に、
で、手動式 と 自 動 式の算出方法の区別はここではしない。 に振動振幅を算出できる正弦波補正についても述べる。
2 . 4 . 1 半波長以上の振動振幅算出方法
ター ゲットの振動振幅が半波長以上のと き の 振 動 振幅算 出 方 法 に つ い て 述べる。図 2.11の よ う に 赤 色 で 示 さ れ て い る タ ー ゲ ッ ト の 圧 電 素 子 に 印 加 さ れ る 入 力 信 号 の 半 波 長 毎 に 出 力 の 干 渉 波 形 が 得 ら れ 、 入 力信号 の 変 位が 大 き い と こ ろ で は 密 に、変 位 の 小 さ い と こ ろでは粗になる。入 力 信号 の 谷 から山、又は山から谷がターゲ ッ ト の 振 動 振 幅 と な り 、 そ の 振 動 が 半 導 体 レーザの半波長以上(図 2.11の場合、およそ半波長の 3倍)の振 幅 で 振 動 す る と 、 ほ ぼ 一 定 振 幅 の 信 号 部 分 が 幾 っ か 現 れ る。
をAとし、 この部分の波を基準とすることで、ターゲッ トの振動 振 幅を求 この一定振幅の大きさ
E E
O H コ
。
10
。
‑10
タ ] H
一 E C
1.5 0.5 1.0
Time [ms]
。
半導体レーザの半波長以上の振動振幅算出方法 図2.11
めることができる。 Aの部分は、半導体レーザの1/2波長を表しているの で、緑の破線内で Aの 部 分 と 同 じ 干 渉 波 形 の 波 数
z
を数え、折り返された 部 分 に つ い て は 、 基 準 の 振 幅 Aと折り返された部分の振幅 Bと Cとを比 較 す る こ と で そ れ ぞ れ の 波 数.%1と.%2を求める。そして全体の波数を求め、そ の 波 数 と 半 導 体 レ ー ザ の 半 波 長 の 積 で 振 動 振 幅 値 Xが求まる。
x = ( x +
X,
+れ)×4
B 1 C 1 (2.4)
x , =
ー×一 れ ニ ー × ーA 2 日 A 2
測 定 振 動 振 幅 値 を 評 価 す る に 当 た り 、 次 の よ う に 偏 差 を 求 め た 。 ま ず 、 ターゲットの振動振幅値は、 14回の振動振幅測定を行い、その内のXの最 大 値 と 最 小 値 か ら 数 え て 各 2つずつを除外し、残りを
x ,
~x, ü とし、式 (2.5) によりその平均値x
とした。2 : x"
x=
..!z三L一一10
(2.5)
次に、測定振動振幅値 Xと振動振幅値の平均支の差の絶対値をばらつき誤
差 αとし、
α
= I x ‑ x l
(2.6)偏 差jをばらつき誤差の平均αと振動振幅値の平均Xの百分率で表した。
β
ラ
x100 (2.7)2 . 4 . 2 半波長未満の振動振幅算出方法
次 に 、 タ ー ゲ ッ ト の 振 動 振 幅 が 半 波 長 未 満 の と き の 振 動 振 幅 算 出 方 法 に つ い て 述 べ る 。 図 2.12は 手 動 式 に よ る セ ン サ の 各 信 号 波 形 で あ る 。 図 2.12(b)の 基 準 信 号 を 得 る た め に 、 セ ン サ 駆 動 用 圧 霞 素 子 に 図 2.12(a)の正 弦 波 電 圧 を 印 加 し 意 図 的 に セ ン サ 部 を 振 動 さ せ 、 タ ー ゲ ッ ト が 半 波 長 以 上 振 動 す る と き と 同 じ 基 準 と な る 振 動 振 幅 値Aを得る。この振動振幅値Aと 図2.13の セ ン サ 出 力 か ら 得 ら れ る 干 渉 波 形 の 振 幅 Bとを比較することで、
半波長以上の振動振幅測定における波数に相当する値が求まる。そして、
半 波 長 以 上 の 振 動 振 幅 測 定 の 場 合 は 、 干 渉 波 形 の 1周 期 で 振 動 振 幅 が Jl/2 となるが、この場合は半周期であるため、 Jl/4を 掛 け て 振 動 振 幅 値 Yが求 まる。
Y B λ
二 一 一x‑
A 4 (2.8)
ぱ ら つ き 誤 差 と 偏 差 は 半 波 長 以 上 の 測 定 方 法 と 同 様 に し て 求 め る こ と ができる。
ま た 、 自 動 式 に よ る セ ン サ の 各 信 号 は 図 2.14のようになり、センサ駆動 用 圧 電 素 子 に 印 加 す る 信 号 は 、 図 2.14(a)に 示 す よ う な パ ル ス 波 で あ る 。 手 動 式 の 場 合 、 セ ン サ 駆 動 用 圧 電 素 子 に 印 加 す る 信 号 は フ ァ ン ク シ ョ ン ジ ェ ネ レ ー タ の 出 力 信 号 を 利 用 し て い る が 、 自 動 式 の 場 合 は 、 マ イ ク ロ コ ン ビ ュ ー タ と 増 幅 回 路 で 発 生 さ せ た 信 号 を 使 用 し て 、 意 図 的 に セ ン サ 部 を 高 速 で 半 波 長 以 上 動 か し て い る。図 2.14(b)に 示 す よ う に 、 タ ー ゲ ッ ト が 半 波 長 以 上 振 動 す る と き と 同 じ 基 準 と な る 振 動 振 幅 値Aを得るので、手動式と同 様 に タ ー ゲ ッ ト の 振 動 振 幅 値 な ど を 求 め る こ と が で き る。
G
10H コ
。
0..
. . s
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0
T i m e [ m s ]
(a)センサ駆動用入力電圧 4
〉 2 + コJ O
0.. +' コー2
。
‑40.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0
T i m e [ m s ]
(b)基準信号
図2.12 手動式によるセンサの各信号波形
[
。
﹀] 一言
Oa H コ
5.0 4.0
2.0 3.0 Time [ms] 1.0
0.0
セ ンサ 出力信号 波形 図2.13
30 20 10
[﹀ ]一 言︒
c
一
15 10
T i m e [ m s ]
(a)センサ駆動用入力電圧
5
。 。
,......., 4
L〉......J
+‑'
コ0..
ぢ ‑2
0
。
215 10
5
‑4
。
T i m e [ m s ]
(b)基準信号
自 動 式 に よ る セ ン サ の 各 信 号 波 形
2 . 4 . 3 正弦波補正による振動振幅算出方法
前項目によるターゲッ トの 振 動 振 幅 算 出 は、図2.15で示したように干渉 波形を三角 波 で 近似して出力 振 幅 比 を 算出する最も簡便な方法であるが、
干 渉波形 は 正 弦 波 的に変化 するので干渉波形 の 位相角から算出する より正 確 な 方 法 を述べる。図 2.15より基準信号の出力 振幅をA、干渉波形の出力
図2.14
振幅を B、ターゲ ッ ト の 変 位 に よ る 干 渉 波 形 の 振 動 中 心 か ら の 位 相 角 を θ とすると、干渉波形は正弦波的に変化す る の で
B = Asin θ (2.9)
と表される。図 2.8で説明したよ うに、基準信号の 1波は、 半導 体 レーザ の発振波長の 112波長を示しているので、 ターゲッ トの振動振幅値 yJは、 式(2.10)のようになる。
yl=二一一一×一~θλ 一
π 4 (2.10)
θ ・
,
Bニsm‑ A
研究当初は、 前項 目 で 述 べ た よ う に タ ー ゲ ッ ト の 振 動 振 幅 の 算 出 を 基 準 振 幅Aと 干 渉 波 形 の 振 幅 Bとの出力振幅比 か ら 求めていたが、広い範囲で正 確 に 振 動 振 幅 値 を 測 定 す る た め に は 正 弦 波 補 正をす る 必 要がある。従って、 第 4章 の 実 験 結 果 は特に断り が な い 場 合以 外 は 、 全 て 正弦 波 補 正 で データ
を 処 理 し た も の で あ る。
円h
司
基準信号 正弦波補正
振 動 振幅値 戸 一 一2θλ
J[ 4 θ=sm‑l
互
A B
A変位
Y 出力振幅比
振 動 振幅値 y=
互 . 三
A 4
図 2.15 正 弦 波 補 正 に よ る 半 波 長 未 満 の 振 動 振 幅 算 出 方 法
参 考 文 献
[1]栖 原 敏 明 : 半 導 体 レ ー ザ の 基 礎 共 立 出 版 株 式 会 社 1998
[2]山 口 一 郎 ・ 角 田 義 人 : 半 導 体 レ ー ザ と 光 計 測 学 会 出 版 セ ン タ ー 1992
[3]上 田 正 ・ 山 田 諒 ・ 紫 藤 進 ・ 津 田 紀 生 : 正 弦 波 変 調 に よ る 半 導 体 レ ー ザ の 自 己 結 合 効 果 を 利 用 し た 距 離 計 電 気 学 会 論 文 誌 C Vol. 117, No.7, pp. 954・961,1997
第 3 章 実験装置
本 章 で は 、 タ ー ゲ ッ ト の 微 小 振 動 測 定 を 手 動 式 で 行 っ た 場 合 と 自 動 式 で 行 っ た 場 合 の そ れ ぞ れ に つ い て 、 実 験 装 置 と 測 定 方 法 に つ い て 述 べ 、 自 動 式 の 特 徴 に つ い て も 言 及 す る。
3 . 1 手動式の実験装置
手 動 式 に よ る 微 小 振 動 検 出 に 用 い た 実 験 装 置 の 概 略 図 を 図 3.1に 示 す。
実 験 装 置 は 、 半 導 体 レ ー ザ(LD)と 集 光 レ ン ズ の み で 構 成 さ れ て い る セ ン サ 部 、 セ ン サ 部 を 動 か す た め の セ ン サ 駆 動 回 路 と 発 振 器 、 出 力 信 号 を 検 出 す る た め の 電 子 回 路 と オ シ ロ ス コ ー プ 、 そ し て タ ー ゲ ッ ト か ら 成 っ て い る。 これらを長さ 180mm、幅 40mmの ア ル ミ 板 の 上 に 固 定 さ せ 、 実 験 を 行 っ た。
半導体レーザを連続発振させ、レンズで 20mm先 の タ ー ゲ ッ ト に 集 光 さ せ 、 タ ー ゲ ッ ト に 対 し て 垂 直 に 照 射 さ せ た。ターゲットか ら の 戻 り 光 と 半
P i e z o e l e c t r i c Element
図 3.1 手動式の微小振動測定用実験装置
Target
導 体 レ ー ザ の 活 性 領 域 内 の レ ー ザ 光 と の 自 己 結 合 効 果 に よ っ て 発 生 し た 干 渉 光 を 半 導 体 レ ー ザ 内 蔵 の フ ォ ト ダイ オ ー ド (PD)で検出した。検出信号は、 非 常 に 小 さ い の で 増 幅 回 路 で 信 号を増幅させ、 高周 波 雑 音を除去するため に 、 ア ク テ ィ ブ ロ ー パ ス フ ィ ル タ を 通 し て 、 オ シ ロ ス コ ー プ で 観 察 し た。 ま た 、 タ ー ゲ ッ ト の 微 小 振 動 振 幅 値 を 算 出 す る た め に 、 セ ン サ 駆 動 用 圧 電 素 子 に 正 弦 波 電 圧 を 印 加 し 、 セ ン サ 部 を 半 波 長 以 上 動 か し て 基 準 信 号 を 発 生 さ せ た り 、 センサ感度 が 最大になる ように直流 電圧 を 印 加して最大出力
信号を検出したりした。
これらの各装置の詳細 を 以 降 に 述 べる。
3 . 1 . 1 センサ部
試 作 し た セ ン サ 部 の 断 面 図 を 図 3.2に示す。セ ン サ 部 は フォトダイオー ド を 内 蔵 し た 半 導 体 レ ー ザ と 集 光 レ ン ズ の み で 構 成 さ れ て お り 、 こ れらを 直 径 14mm、長さ 40mmの 真 鍛 製円筒に収めた。使用 し た半導体レー ザ は、 波 長 780nmの HITACHI製 HL7859MGで あ る 。 半 導 体 レ ー ザ を 出 力
12mWで連続発振させ、 直 径 10mm、焦 点 距 離 10mmのレンズで 20mm 先のターゲッ トに 集 光 さ せ た 。 半 導 体 レ ー ザ 内 蔵 の フ ォ トダイオードから
の 出 力 信 号 を 検 出 回 路 に 送 る た め の 信 号 線 は 、 シ ー ル ド 線 を 用 い た。 そ れ に よ っ て 、 外 部 か ら の 雑 音 を 最 小 限 に 抑 え た。
図 3.2に示した集光レンズとターゲット聞の集光 距 離 bは式 (3.1)から
Sensor
40
LD PD
25
Lens ~I ~
a
J
b20 T 20 図 3.2 セ ンサ部 の 断 面 図
Target
求 め ら れ 、 集 光 レ ン ズ の 焦 点 距 離 fが 10mmで 、 半 導 体 レ ー ザ と 集 光レン ズ間の距離 aが 20mmで あ る の で 、 集 光 距 離 は 20mmとなる。
l一
f E d
‑ ‑
170 + 1一α ( 3.1)3 . 1 . 2 センサ駆動部
本実験では、半導体レーザと集光レンズのみで構成されるセンサ部を、
図 3.3の 外 側 の 薄 い 茶 色 で 示 さ れ る 直 径 26mm、長さ 65mmの真餓製 の外 部 円 筒 に 収 め る 二 重 構 造 と し た 。 ま た 、 セ ン サ 部 の 前 方 に は 直 径 14mm、 長さ 10mmのパネを設け、後方にはセンサ駆動用の圧電素子を配置し、セ
ンサ部とターゲ ッ ト 間 の 距 離 を 変 化 で き る よ う に し た 。 こ れ に よ っ て 、 セ ン サ 駆 動 用 圧 電 素 子 に 正 弦 波 電 圧 を 印 加 し セ ン サ 部 を 意 図 的 に 半 波 長 以 上 動 か し て 基
. 1
65準 信 号 を 発 生 させたり、セ ンサ感度が最 大になるよう に直流電圧を 印 加 し て 最 大 出力信号を検 出したりした。
10
寸
Sensor 守・ー
Spring 図 3.3 セ ン サ 駆 動 部 の 断 面 図
3 . 1 . 3 圧電素子
[1][2]アクチュエータは、何らかの稼 動 エ ネ ル ギー を 機 械 的な変位あるい は 応 力 に 変 換 す る ト ラ ン ス デ ュ ー サ と し て 使 用 す る が 、 そ れ ら を 変 位 制 御素子 としてまとめたものを表 3.1に示す。本 研 究 で は 、 変 位 精 度 と して nmの オ ー ダ ー が 必 要 で あ り 、 ま た 応 答 速 度 と し て 数 kHz以上必要であるため、
表 2.1中の圧電 ア ク チ ュ エ ー タ を 使用 した。本研究で用いた圧電素子は、
TOKIN製 積 層 圧 電アクチュ エ ー タ を 使 用 し て お り 、 圧 電 セ ラ ミ ッ ク材 料 を用いている。圧電セラミック材料は PZT(PbZb03・PbTi03)を主成分と す る 、 複 合 ベ ロ ブ ス カ イ ト 型 複 合 酸 化 物 で あ る。ま た 、 圧 電セラミッ クは