国立国語研究所学術情報リポジトリ
日独仏西基本語彙対照表
著者 国立国語研究所
発行年月日 1986‑03
シリーズ 国立国語研究所報告 ; 88
URL http://doi.org/10.15084/00001273
圏立蟹語概究所報告 88
日独仏西基本語彙対照表
A CONTRASTIVE STUDY OF THE FUNDAMENTAL VOCABULARY OF JAPANESE, GERMAN,
FRENCH AND SPANISH
1986
国立国語研究所
The National Language Research lnstitute Research Report 88
A CONTRASTIVE STUDY OF THE FUNDAMENTAL
VOCABVLA.RY OF JAPANESE, GERMA.N,
FRENCH ANEP SPANESff
CONTENTS FOREWORBS
1. GENERAL DESCRIPTION
1.1. lntroduction
lユ・1・Intention of the Study 1,1.2 Materials
1.2. Processing of the Materials
1.2.1. ltems Contrasted1.2.2. Principle of the Classification
1.3. Characterlstics of the Vocabulary Table
l.3.1. Outline of the Table1.3.2. ExplanatioR of Each Colllmn
Bibliography
2. CONTRASTIVE VOCABULARY TABLE
APPENDIX:
Semantic Principles for the Classification
THE NATIONAL LANGUAGE RESEARCH INSTITUTE
TOKYO
1986
刊行のことば
外国人のための日本語教育において必要とされる学習基本語彙設定のための基礎資料を提供 するために,国立国語研究所E本語教育センターでは,先に「日本語教育のための基本語彙調 査」(報告78>を刊行しました。
この報皆78で設定提示した語彙について,外国語の基本語彙と対照してその異同を見ようと して作成したものが,ここに「報告88」として刊行する対照語彙表です。
外国語としては,ドイツ語,フランス語,スペイン語を選び,資料として,
岩崎英二郎・早Ji陳三・子安美知子・平尾浩三・鉄野善資編集 『ドイツ基本語辞典』
ジョルジュ マトレ著,野村二郎・滑川明彦訳編集 「フランス基本語辞典』
高橋正武・瓜谷良平・宮城昇・エンリケ コントレラス編集 『スペイン基本語辞典2
を周いました。いずれも「白水社」の刊行になるものです。これら3辞典の引用を快く御承諾 下さった「白水社」と,それぞれの編著者の先生方に厚く御礼を申し上げます。
ドイツ語,フランス語,スペイン語を選んだ理由は,担当者が多少なじんでいたという他に はとくにありません。今後,外国語の数を増していき,幅広い対照が行えるようにしたいと考 えています。
なお,この報告書の報筆ならびに編集は,日本語教育センター第一研究室 高田 誠が行い
ました。
昭和61年3月
国立圏語研究所長野元菊雄
目 次 刊行のことば
1亭解 説…………・……・・一・
1.1.はじめに……・…・………
1.1護.研究目的…・…・……
L1.2.資 料・・…………
1.2,作業手順………・・…
1.2.1. 項 目
1.2.2.分類の基準 ・………・…
1.3.作表の手順,あるいは,表の見方・
1.3ほ.表の枠組・…・…………
1.3.2.個々の欄について
参考文献 ……・…………・……
2.対照語彙二一…・…一一・…
〔付録〕 意味分類項目一覧 ・・
高田 誠
v.刷頭
X
VV XXX
xv
1
435
v
1.解 説
1ユ.はじめに
言語の対照研究ということが,具体的な研究プロジェクトとして,いくつかの国で行われる ようになって20年余りがたった。それぞれのプロジェクトからは,それなりの研究成果は報告 されているが,その多くは,理論的な主張をするものや,ごく一部の例を用いただけのもめで あり,「対照研究!が本来の目的とすべき,外国語教育等,実際の場で役に立つ研究成果という 観点から見るとき,いまだ十分な成果をあげたとは言いがたいものがある。
その原因にはさまざまな点が考えられるが,最大の原因は,封照研究が対象とする轡語が最 も少なくて2言語であるということであろう。一般に,言語学者といえども,外国語を母語と 同程度に操り,細部にわたる内省を得られるほどの言語感覚を習得するということは,めった にあることではあるまい。否,言語学者であればこそ,不十分な外国語能力をもって,対象と する轡語について何やかやと轡及することは,やすやすと行えることではない。従って,対照 研究を轡語の研究として精密なものとしようとすれば,どうしても,それぞれ対象とする轡語 について,母語話者を必要とする。それも,ただその言語を母語とする人というだけでは不十 分で,分析しようとする内容について的確な理解と判断ができる人,すなわち,言語学者か,
言語学について少なからざる素養のある人ということになる。さらに,その人には,こちら側 の言語についてもある程度以上の能力があることが望ましいし,当然のことながら,こちら側 の研究者は,対象とする言語についてのかなりの能力,あるいは,少なくとも知識をそなえて いることが必要で,言うまでもなく,自分の母語については専門家でなくてはならない。
このようなペアを作るのは,なかなかに容易なことではない。運よく組合わさったとしても,
外国の研究者を長期間招いて研究を進めるには,何といっても費用がかかる。大きなプロジェ クトとなると,複数の外国人研究者が必要となるわけで,文科系の研究としては,いささか重 い負担と言わざるを得ない。
対照研究は,1960年代はアメリカで盛んになったが,70年代になるとやや活動が鈍ったよう に思える。ヨーロッパでは,1970年代になって西ドイツにいくつかのプロジェクトが行われた が,80年代に入っては,大きなプmジェクトが進んでいるということを聞かない。それぞれの 活動の盛衰の背景を明記した報告は見当たらないが,マクmな経済の動きを合わせ考えると,
上のような理由に思い至らざるを得ない。この間の事情については,小文高田(1974,1983)
を参照されたい。
国立国語三下所においても,日本語教育センター一が設置されてから10年が過ぎた。研究の大
きなテーマとして,対照研究が掲げられているわけであるが,これまで,「対照研究」と称して
まとまった研究報告を行ってはいない。その責は,筆者を第一として,その任にあるものの力 の至らなさにあることは弁解のすべもないところであるが,上に述べた事情が,当センターの 研究体制の上にも当てはまることも,また,確かなことなのである。
外国語教育や異言語間書語情報処理など,実際の役に立つという意味で,網羅的,体系的な 記述という点で不満は残るものの,60年代のアメリカ,70年代の西ドイツと,それぞれ一一応の 報告がなされ,対照研究の発展にそれなりの寄与をしていると認めるべきであろう。60年代の アメリカ,70年代の西ドイツに続く,第3の経済的な山が80年代の日本にあるとすれば,我々 も,手をこまねいて研究環境の悪さに不平を鳴らしてばかりもいられないとも考えられるので ある。このような「外国語については何か言う劇書は持てない」,「他方,対照研究への道は付 けなければいけない」という一一njのデKレンマの中で行ってきたのが,ここに報告する対照語 彙表である。
この研究は,H本語教育センター eg 一・研究室の仕事として先に報告した,国立国語研究所報 告78「日本語教育のための基本語彙調査」を受けて行ったもので,特別研究舶本語教育のた めの基本な語彙に関する調査研究」(昭和50〜53年度),岡じく特別研究「日本語教育の基本的な 語彙に関する比較・対照研究」(昭和54〜57年度)の一一部として,第一一研究室の研究テーマ「N本 語の対照言語学的研究Jの下に継続的に行ってきたものである。
この研究は,高田 誠(日本語教育センター第一研究室長)がもっぱら行った。語彙表は,研究 室備付けのパーソナルコンピュータ,N52GOモデルG5依本電気)を旧い,ファイル処理のため のソフトウェアLANFILEの上に作成した。また,昭和60年度には,国語研究所備付けの大型 機の端末機N6800モデル55も隅時に使用した。計算機処理にあたっては,言語計量三二部第三 研究室長 斎藤秀紀,言語行動研究部第二研究室畏 江川 清,H本語教育センター第四研究 室長 菱沼 透より多くの助言を得た。
さらに,資料の整理,計算機への入力・校正にあたっては,阿左美厚子,伊能敦子,北村よ う,増園えり子(細姓深井),諸川玲子の諸氏の力によるところ大であった。とりわけ,増田え り子には,パーソナルコンピュータ導入以前の手作業の段階から計算機入力のかなりの部分ま で,大きな力を致してもらった。
1.1.1.研究霞的
この研究の目的は,山本語といくつかの外国語とでいわゆる学習基本語彙とされているもの について,意味分類体で一つの表の上に配列し,各基本語彙が,それぞれの意味分野によって どのような分布を示すか,あるいは,分布の違いを見せるかということを鳥減しようというと ころにある。
日本語と対照する相手方の三三として,ドイツ語,フランス語,スペイン語を選んだ。これ
らを選んだ理由は何もない。いいかげんと言われると一言もないが,多少の好みを加えた全く
の恣意である。
頭
1.1.2.資料
日本語については,先に述べた,「日本語教育のための基本語彙調査」で示されたものを用い
た。
対象にする言語の語彙の全てを扱うのならば別だが,「基本語彙」という一定の枠をはめたも のを扱う以一ヒ,自分で勝手に五千なり七千なり選んで資料とするわけにはいかない。さりとて,
自ら大きなコーパスを作り,計量的なり何なりの方法で一定量の語彙を選ぶというのも大変な 仕事である。あるいは,先に述べた理由から,生はんかな語彙調査など慎しむべきものかもし れない。
そのような意味から,資料としては,人様の作ったものを使わせてもらうしか,方法はさし あたってない。
また,語彙量においても,各組語がある一定のところで揃ったものでなければならないし,
また,選定,編集の方針もそれぞれ一定の統一の下にあることが望ましい。そのような理由か ら,独・仏・西語については,次に示す3冊の辞書を選んだ。すなわち,
ドイツ語:
岩崎英二郎・早Jll東三・子安美知子・平尾浩三・鉄平善資編集 『ドイツ基本語辞典2
フランス語:
ジョルジュ マトレ著,野村二郎・滑規明彦訳編集 「フランス基本語辞典m
スペイン語:
高橋正武・瓜谷良平・宮城昇・エンリケ コントレラス編集 駄ペイン基本語辞典』
である。いずれも,「白水社」から刊行されたものである。
ここで資料として用いるということは,部分的な引用でなく,そっくり全部を用いるという ことであるにもかかわらず,白水社,ならびに.編著者からは引用について快く了解をいただ いた。ここに感謝の意を記す。
本語彙表に示した各項囲の詳細については,上記3冊の辞典を参照願いたい。
なお,当然のことながら,本語彙表に示した内容について,上記3冊の辞書の内容と異なる 点については,すべて本語彙表の側の貴任に帰するものであることを記しておく。
1.2.作業手順
1.2.1。 項
目
後述するように,本語彙表で各語彙兵長を分類する際のit 一一としたものは,各単語に付けら
れている日本語訳,あるいは,語釈である。すなわち,一つの見出し単語に,例えば三つの日
曲
本語訳が与えられていると,それぞれの日本語にその外国語単語を組み合わせた3組の「E一 二」項目が得られることになる。
模型的に示すと,次のようになろう。今,例えば,ドイツ語のある単語G1に対して,日本 語訳,J1, J2が与えられているとすると,
Jl−Gl J2−Gl
という2つの項目が本語彙表の項目として採用されるわけである。Jl,∫2は,後述する意味分 類基準によって,然るべき場所へそれぞれ配列されるから,従って,元のドイツ語単99 G1は,
日本語で示された意味に従って,二つの意昧項騒に数えられるというわけである。
さらに,フランス語で似た意味を持った見出し語F1に対して, J1, J3という日本語が与え られているとすると,同じく,
Jl−F!
」3−Fl
という二つの項目が得られることになる。ドイツ語で与えられていた」2はフランス語にはな かったかわりに,J3というドイツ語には見られなかったH本語が与えられているというわけで ある。同様に,スペイン語S1について, J1, J2,」4という訳語が一与えられているとすると,
Jl−Sl J2−Sl J4−Sl
という3項目が得られる。
これらの延べ7項目を,H本語の項をキーにして並べると次に示すような表が得られる。
日本語 Jl J2 J3 J4
ドイツ語 Gl Gl
フランス語
Fl Fl
スペイン語
Sl
Sl
Sl
N本語の項目Jlに対してはG1−F1−Slという3雷語とも対回する単語がある, J2に対し
ては,ドイツ語,スペイン語には対塔する単語G1, S1があるが,フランス語にはないといっ
旗 た具合である。3言語の間で似通った意昧の単語各1見出しから,上のような項目が得られる わけである。本語彙表で「項目」と言う場合,上の袈を横に見た1行をひとつと考える。B一 独一仏一西というひとつの組み合わせである。
さらに,上掲のGl, F1, S1以外の似た意味の単語, Gk, Gl, Fm, Fn, So, Spがあって,
上と同じく,日本語,」1,J2, J3,」4, J5, J6が,例えば,
GGFFSS に対して
に対して に対して に対して に対して に対して
Jl, J2, 」5 Jl, 」3, J6 Jl, J3, J4
」2, J3, Js Jl, 」5
Jl, J2, 」3のように与えられているとして,これらを」1,J2,……をキーとして配列し直すと,
日本語 Jl
ti
J2 J3
tf
J4 Js J6
ドイツ語 Gk
G}
Gk Gl
︑Kl GG
フランス語
Fm
Fn Fm Fn Fm Fn
スペイン語 So Sp Sp Sp
So
という分布が得られる。これを,先のGl, Fi, S1から得られた項目と,同じくJl,」2,」3,
J4……. it 一にして合わせると,
田本語 Jl
n
tt
J2
1f
J3
ドイツ語 Gl Gk Gl Gl Gk
Gl
フランス語
Fl Fm Fn Fl
スペイン語 Sl
So
Sp
Sl
Sp
Sp
X
ii 一 Fn ff ,i 一 Fm Sl J5 Gk Fn So J6 Gl 一 一
という組み合わせが得られるわけである。はじめの例では,J2−Gl一なし一S1となって,フラ ンス語に該当する語形がなかったが,2番冒の例で,」2−Gk−Fn−Spという組み合わせが得 られたので,Fnを上につめて並べるようにした。
辞典の語釈,訳語には,立項の仕方でいくつかのレベルのものがあるが,本語彙表の項目と しては,ゴシック体で示されている訳語を採ることにした。小晃齢しの中には,ゴシック体で なく明朝体で示されたものもあったが,これらは割愛した。
密語がカッコを用いて両方の表現の可能性が示されているものは,それぞれの組み合わせを 採った。たとえば,
美しい人(もの)
とある場合は,罫美しい人」と「美しいもの」との両方の組み合わせがあると考え,この両者を 項目に採った。
外国語の見出しのうち,前置詞と定冠詞との融合形等の空見出しは,表の末尾に示したが,
綴字の変種については割愛した。
外国語の見出しのうち,性・数の別による語尾の違いが示されているものについては,原期 として,素性単数形をもって代表見出しとした。また,名詞などで,意味によって性・数が特 定されるものについては,それぞれの形を示した。代名詞などで,格によって形の異なるもの が見出しに示されている場合はそれぞれを採用したが,見出し語形がma 一で,格の違いを臼本 語の訳が助詞をもって示している場合は,日本語の助詞部分を切りはなし,体言部分のみにま
とめて同一項欝の中に含めた。
L2,2.分類の基準
以上のようにして得られた各項目に対して,意味分類体の分類を行うわけであるが,その基 準として屠いたのは,「分類語彙表」(国立国語研究所 1985)の意味分類体系,及び,その分類 番号である。
「分類語彙表」に用いられている語の単位は,いわゆるβ一単位であって,かなり短く,国語辞 典類で朋いられている,いわゆる辞書単位とは必ずしも一致しないものがある。それはそれで 完結した思想のもとに作り上げられているのであるが,外国の単語の「訳語」ないしは「語釈」
という単位と対応させようとすると,いろいろな問題が出てきた。全体の7割程度の項目につ いては,形の上でもほぼ一致し,分類番号を与えることは容易であったが,約3割の項目につ いては,単位の長さの点で「分類語彙表」のそれと合致しないわけである。
これらについては,後で詳しく述べるが,基本的には,担当者の主観によって分類の所属を
決定した。
mu ヂ分類語彙表」は,語をまず,体,用,相,その他の大きな類に分割する。体はおおよそ名詞 に相遺する。この中には,漢語サ変動詞の語幹が含まれている。従って,訳語が「漢語+スル」
として与えられているものは,すべて,「体」の類に入れざるを得ないことになる。
必然的に,ヨーWッパ語に多い「人」を主語にとる他動詞の訳語である「漢語+させる」は
「体」に入れ,さらに,文法的なアスペクト,動作の様態などが,「する」の活嗣,語尾変化で 示されている漢語動詞も,同じく「体」に入ってくることになった。また,形容詞の訳語とし てヂ〜した」,「〜している」という形で,同じく漢語動詞の活用語尾を伴った訳語が与えられ ているものも,「体」に組み入れられることになった。
以上,本語彙表の分類は,品詞論的には非常にまちまちなものとなってしまった。本来H本 語の語彙の分類のために作られた分類体系を体系の全く異なる外国語の分類に適用することに 無理があることは言うまでもない。しかし,すべての言語に共通するユユヴァーサルなメタシ ステムを設定することも容易なことではない。さまざまな無理があることは承知で,とにかく 割り振ってみようとしたのが本語彙表である。
1.3.作表の手順,あるいは,表の見方 1.3.1.表の枠組
各項目は,それぞれの訳語形に与えられた意味分類の番号の順によって配列されている。ほ ぼ中央の欄に「訳語形」を示し,その右側にドイツ語,フランス語,スペイン語の順にそれに 対応する語形と,それぞれの品詞が示されている。「訳語形」の左には,それに対応する,「H 本語教育のための基本語彙調査」で設定された基本語彙としての語形が「N本語1として示さ れ,その左には,それらの基本度が「R」として示されている。全体の配列の第1キーとなっ た分類番号は「分類番号」という見出しで左端の欄に示されている。
L3,2.個々の欄1二ついて
(1)「分類番号」
「分類語彙表」の番号で示してあるが,一部,「日本語教育のための基本語彙調査」で用いら れた簡略化した番号を用いたところもある。[付録コとして掲げた「意味分類項臼一覧」を参照
されたい。
薪分類語彙表」ないしは,「H本語教育のための基本語彙調査」の分類番号と異なるものとし て,5桁の番号の末尾に加えた, X ,ないし, Z の符号がある。
それぞれの番号の宋庵に X を付したものは,その番号の下に入れることにやや問題の残 るもの,あるいは,訳語形の語構成の上で「分類語彙表」の単位との距離の大きいものなどで
ある。
Z の符号を付したものは,上の X を付したものより,さらに大きな疑問が残るもので
ある。これらの区別は,すべて主観的な判断であることは言うまでもない。
さらに,いくつかの項目については,「分類語彙表」の末尾の桁の分類にまでたどりつけず,
一段上の分類にとどまり,その末尾の桁に Z を付したものもある。いずれにしても, X , Z の付いたものは,問類ありという分類であることを示す。
「分類番号」の引き当ては,(3>に後述する,「訳語形」に対応する「H本語」をキーにして行 われるわけであるが,一つの語形に対して,「分類語彙表」で二つ以上の「番号」が与えられて いる場合は,その項目に対して複数の意味番号が与えられ,本語彙のそれぞれの場所へ配分さ れることになる。
(2)「訳語形」
訳語形は,1.2.で述べたように,それぞれの辞書で訳語として示されているものである。蓑 記はなるべくもとの辞書によったが,3言語をそろえる便利のため,意味の本質に濁わらない 範囲内で若千の変更を加えたものもある。また,二,三の項臼については,長さの関係から,
短くして示し,*印を付けて短くしたことを示したものがある。カッコ内に,もとの形を示して
おく。
*卒業試験(ギムナジウムの卒業試験)
*合格者(大学入学資格試験合格者)
*〜するままにする(〜するままに自分をさせておく)
露〜であると言う(重ねて自分を〜であると書う)
*ドン・キ・ホーテ(ドン・キホーテのような人)
*スーパー(スーパーマーーケット〉
*西二間の(スペインとアメリカ間の)
*動く (パタンと音をたてて動く)
寒飾る (イリュミネーションで飾る)
である。
(3)「日本語」
「欝本語」として示した欄は,二つの役割を持っている。
ひとつは,「訳語形」に「分類番号」を与える際の根拠を示すことにある。i.2.2.で述べたよ うに,全体の7割程度は,訳語形と「分類語彙表」,さらには,「日本語教育のための基本語彙 調査」に示されている語形とが一致するか,ほぼ同じものであったが,残りについては,何が
しかの判定を下して,それぞれ番号を与えなければならなかった。その際,「訳語形」のどこに 注目して判定を下したかということを,この「日本語」欄に示した語形が語っぜいるわけであ
る。
もう一つの役割が,H本語の基本語彙,「基本六千」「基本二千」の語形を示し,さらには,
「六千」には入らないが「分類語彙表」には入っている,ということを示すものである。すな
わち,ここに回した語形をもとにして,次に述べる,「基本:六千」,「基本二千」「それ以外」の
ランク付けの根拠としょうとするものである。
畑 なお,外国語の訳語としては現われないが,「基本六千J,「基本二千」には採録されていると
いう語については,それぞれの番号の位置に配列し,外国語の欄がすべて空欄として示されて
いる。
(4) rRj
左から二つ騒の欄は,「R」(;RANK)として,「H本語教育のための基本語彙調査」で設定 された「基本六千語」,「基本二千語」にどう梱聞しているかを示している。1桁ないし2桁の 数字で示しているが,1桁の場合はそのままの数字,2桁の場合は左の第1桁の数字がそれぞ れの帰属先を意味している。すなわち,「2」のグループは,駅語形に意味番号を与える根拠 として認めた「日本語3の語形』が上記「基本二千語」に当たることを示し,「6」としたもの は「基本六千語」に含まれることを示している。
さらに,「7」のグループは,上記「二千」,「六千」には含まれないが,「分類語彙表」には 採録されている語形であることを示している。「9」として示したグループは,「分類語彙表」
にも採られていないものであることを示す。
「2」「6」「7」と1桁で示したものは,「訳語形」で示された形と,「H本語」として,それ に相当するとして与えられた語形,すなわち,「基本六千」「基本二千」,ないしは,「分類語彙 表」の語形と全く同じか,非常に近いものであることを示す。「訳語形」が漢語サ変動詞である
もの,形容動詞語幹に「な」の付いたもの,また,名詞に単に「の」が付いたもの等である。
2桁で示したものは,「gl」を除いて,3段階の別がなされている。すなわち,「21,61,71」
と2丁目が「1」のもの,「22,62,72」と2桁目が「2」のもの,それに,「23,63,73」と 2回目が「3」のものの3段階である。それぞれ,「2」「6」「7」の基本的なランク付けに対 して,何かしらの問題を持つものであり,「1」から「3」へと,数字の順の通りに,その問題 がだんだんと大きくなっていることを示している。
「91」は「分類番号」のところで述べた Z 類に対癒するものである。
⑤ 「ドイツ語」,「フランス謁,「スペイン語」
それぞれ,ドイツ語,フランス語,スペイン語の語形を示す。計算機処理の都合上,すべて 大文字を用いざるを得なかった。
欄の大きさの都合上,余りに長い単語は,短くして示さざるを得なかった。カッコ内にもと の語形を示し以下にかかげておく。
NAT WIS SCHAFTLICK (NATURWISSENSCHAFTLICH)
ST SANGEKORICKKEIT (STAATSANGEHORICHKEIT)
AUSEINAND SETZEN, S (AUSEINANDERSETZEN, S)
SELBSTV STANDLICH (SELBSTVERSTANDLICH)
GEISTESWIS NSCHAFT (GEISTESWISSENSCHAFT)
また,再帰動詞は,ドイツ語,フランス語については,単語の宋に〜,Sとのみ示した。ドイ
ツ語はSICH,フランス語はSEであることはいうまでもない。スペイン語の再帰動詞は,綴
字法上切りはなさないのでそのままの形で示した。
(6>ヂ品詞」
ドイツ語,フランス語,スペイン語のそれぞれの欄の右に,それぞれの「品詞」を示した。
以下に各略号の意味を示しておく。
名:名詞。数詞もこれに含めた。
発多:形容言司。
代:代名詞。代名形容詞,所有形容詞については,それぞれの辞書の提示に従った。
動:動詞。自動詞,他動詞,再帰動詞,非人称動詞等の別は示さなかった。必要な場合はも との辞典をそれぞれ参照されたい。
前:前置詞。前置詞句とあるものもこれに含めた。
接:接続詞。
副:副詞。副詞句とあるものもこれに含めた。
間:間投詞。
冠:冠詞。
(7)その他
分類語彙の第1のカテゴ}」 一分割は,「体」,「用」,「旛」「その他」の4分割であるが,本語 彙では,どうにもこの四つにはまらないものが残った。これらは,ヂ番号」を999として,表の 末尾に付け加えた。外国語形としてかなり重要なものも含まれるが,このようにして示さざる を得なかった。
なお,「分類番号」,「R」,「N本語」の各欄について,上の項目と同じ場合は,L諺で示し た。「一本語」の欄で「*」としたものは語形がないことを示す。ヂ訳語形」の欄でf*」とし たものは上の項目と同じ語形であることを示す。ただし、右の外国語形の欄がすべて「**」
の場合は,該当する訳語形がないことを示す。各外国語の欄で「**」をもって示したものは,
それぞれ該当する語形のないことを示す。
[参考文献]
高田 言成, 1974
摩書闘
高田 誠, 1983 国立国言吾石牙究所,
版)
国立国語研究所,
烈
「対照書語学一現状の概観と研究の枠組の索描一」,『言語生活s279号 (筑
「対照書語学」,『言語生活s382号 (筑摩書房)
1984 「N本語教育のための基本語彙調査」国立国語研究所報告78 (秀英出
1985 「分類語彙表」国立国語研究所資料集6 (秀英出版)
分類番号
R 日本語
訳語形ドイツ語
品詞 フランス語 品詞 スペイン語 品詞1100
2あれ あれ
**GA AQU飢 代
7
v 一 一
串 *‡ CE
代 AQUELLO 代
一 P 一
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CELA 代 ELLO 代
一 鼎 一
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欄々の 寧寧1澱)IVIDU鷺L 形 INDIVIDUAL 形
一 一 一
串 *露 *堵 PA8TτCULAR
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*串 **AQU飢 代
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それ それ
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