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博 士 ( 薬 学 ) 本 田 崇 宏

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Academic year: 2021

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博 士 ( 薬 学 ) 本 田 崇 宏

学 位 論 文 題 名

ジルコニウムーケイ素結合を持つ 有機 金属錯体 へのイソ ニトリルの挿入

―イミ ノシラシ ル錯体の 合成及び その有機 合成への 利用一

学位論文内容の要旨

  金 属‐金属結 合を有す るバイメ タリック な反応剤 の研究は 最近になっ て活発 に 行われてき ている。 しかしま だ極く僅 かの金属 ―金属結 合を持つ錯 体のみが 研 究対象にな り実用化 されるた めにはさ らに検討 の余地が ある。筆者 はジルコ ニ ウム‐ケイ 素結合を有するへテロバイメタリックな錯体[CP2Zr(SiR3)Cl]の反 応 性に興味を 持ちその 有機合成 への利用 法を検討 した。そ の反応性はTilleyら によってのみ報告されておりq2 ‑シラシル錯体(CP2r[q2−COSiR3]a)、q2‐イミ ノシラシル錯体(Cp:Zr[ヤ‐C(NR)SiR3]Cl)が合成されているのみであった。筆者 は 今迄ほとん ど反応性 が検討さ れていな いイミノ シラシル 型ジルコニ ウム錯体 を 用いた新し い反応を 見い出し その生成 物である 有機ケイ 素化合物の 利用法を 検討した。

1.n2‐イ ミ ノ シラ シ ル錯 体2の 合 成及 び2を 用い たd− シリ ルアリル アミンの   合成

  筆者は容易に調製ができるt―ブチルジフェニルシリルリチウム(tBuPh2SiLi) と 市販のジル コノセン ジク口リ ド(Cp2Zr12)と を反応させジルコニウムーケイ 素錯体[Cp2Zr(SitBuPh2)C11]の合成を行った。この1に2,6−ジメチルフェ二´レ イ ソ シア ニ ド (2,6―Me2C6H3NC)を はじめと する種々 の芳香族 イソニト1Jル

(mNC)を反応さ せ室温で 空気中に 放置して も安定なイミノシラシルジルコニウ ム錯体[Cp2Zr[n2,C(Nm)SitBuPh2]C12]を合成した。この錯体は安定な黄色結晶 でX線 結 晶構 造 解 析を 行 なっ た結果 イミノシ ラシル基 がジルコ ニウムにn2_ 配 位していることが明かとなった。

  こ の錯体2はア ルキンな どの不飽 和化合物 と反応するのではないかと考え種々 検 討 した が 望 みと す る生 成 物は得 られなか った。と ころが2a( ん〓Ph)をTHF 中L正ちBHと反応 させた時 シリルメ チルアニ リン誘導体( BuPh2SiCH2NHPh)が 高 収率で得ら れアザジ ルコナシ クロプロ パン[Cpを 竺翌(SitBu型Ph3]の生成

(2)

が 考 え ら れ た 。 そ こ でTHF中 錯 体2aとLiEt3BHで 調 製 し た3に1― ヘ プ チ ン を加 え る とa―シ リ ルア1Jル アミン[(E)̲CsHilCH=CHCH(NHPh)SirBuPh2 Sa]が 低収 率 で はあ る が得 ら れ た。Saはそ の 立体 化 学 より3に1−ヘプチン が挿入し てアザジ ルコナシ クロベン テン[CsHilC=̲CHCH(Si'BuPh2)N(Ph)ZrCP2 4a]となり このもの の水解に より得ら れたと思 われた。 さらに反応 条件の検 討を行ったと ころエー テル中LiEt3BHで 行うと最 も良い結 果を与え、た。二置換アルキンを用 いた 場 合 は良 好 な収 率 で(E)―RICH=CR2CH(NHPh)SitBuPh2 (5)が得ら れ、アル キニルシ ランやア ルキニル ボランを 用いた時 には完全に 立体選択 的に反応が進 行し5 (Rl〓 BR2,SiR3)が単一化合物として生成した。

2.塩化銅 (I)を用いたアザジルコナシクロペンテンの炭素‐炭素結合形成反応   有機ジル コニウム は種々の 金属塩と トランス メタル化反 応するこ とが知られ てしゝる。もしRIC=C(R2)CH(SitBuPh2)N(Ph)ZrCP2 (4)と銅塩とのトランスメタル

化 が 炭 素 ― ジ ル コ ニ ウ ム 結 合 で 進 行 す る な ら ば ア ル ケ ニ ル 銅 錯 体

[f司一RIC [Cu]=C(R2)CH(NPhZrCP2X)SitBuPh2]が生成し、これはハ口ゲン化アリ ル と 反 応し て 炭素 一 炭 素結 合 を形成し うる。筆 者はLiEtユBH存 在下2aと4− オ クチンから調製した4b (Rl〓 R2: Pr)のエーテル溶液に塩化銅(I)と塩化アリル を 加 え 室 温 で 反 応 させ た 。 その 結 果 アリ ル 化さ れ たa‐ シリ ル アリ ル ア ミン

[「 Z)‑CH2=CHCH2C(Pr)=C(Pr)CH(NHPh)Si'BuPh26b]を収率良く(y.80ワ。)立体選 択 的 に 得た 。 銅塩 を 添 加し な いと本反 応は進行 せず4と銅 塩のトラ ンスメタ ル 化 に よ ルア リ ル化 が 進 行し て いる 事 が 示唆 さ れた 。 ま た触 媒量の 塩化銅(I) (0.3等 量 )を 用 い て反 応 を 行っ て も収 率 良 く目 的 物を 与 えた 。他のハ ロゲン 化 ア リ ル を 用 い て も収 率 良 く目 的 物 を与 え 、種 々 の4も 同様 に 反応 は 進 行し CH2ニ ニ ニ CHCH2C(Rl)=CR2CH(NHPh)SicBuPh26を 収 率 良 く 与 え た 。 3.a― シ リ ル ア リ ルア ミ ンのBrook型 転 位反 応 を 利用 し た アル デ ヒド の 合 成   以 上述べた ニつの反 応で生成す るぱーシ リルアリ ルアミン は文献上 殆ど知ら れ ていない 新しい有 機ケイ素化 合物であ る。そこ でその反 応性につ いて検討 を 加 えた。Brook転 位とはaー ヒドロキシ アルキル シラン[RIR2CH(OH)SiRユ ]を塩 基 で処理す るとシリ ル基が炭素 原子から 酸素原子 ヘ転位す る反応で あり生成 し た カルバニ オンは有 機合成上種 々利用さ れる。し かしヒド ロキシ基 の代わり に ア ミ ノ 基 を 持 つaー ア ミノ ア ル キル シ ラン[RIR2CH(NHR3)SiR3]を基 質 とし た Brook型転 位 は全 く 報 告さ れ ていな い。筆者 はRIR2C=CR3CH(NHPh)SirBuPh2(5 or61で Brook型 転 位 ( Aza‑Brook転 位 ) 反 応 が 起 き ア リ ル ア ニ オ ン ([RIR2C=CR3―CHN(Si'BuPh2)Ph]'7)が生成するのではないかと考えた。‑78℃で 5b (RI: R3: Pr,R2: H)をBuLiと反応させた後ヨウ化メチルと反応させるとア リ ルアニオ ン7b (Rl: R3: Pr,R ̄〓H)のアミノ基のY位がヨウ化メチルと反応 したと思われるエナミン[fZ)−PrMeCHC(R3)=CHN(SitBuPh2)Ph8b]が得られた。

こ の ア1Jル アニ オ ン7bはBuLiによ っ て 生じ る 窒 素の ア ニオ ンがシ リル基を 攻 撃 し 生 成し た もの と 考 えら れ 、允aIBrook転位 が起きた ことを意 味する。 さら

(3)

にSbをBuLiで処理し種々のハロゲン化アルキル(R−X)と反応させその後塩酸 で加水分解するとアルデヒド(PrRCHCHPrCHO)に導けた。種々の基質を用い ても目的とするアルデヒドが得られ、a−シリルアリルアミン(50r6)をホモエ ノラートアニオンの前駆体として利用できた。

(4)

学位論文審査の要旨

主 査    教 授    森    美和 子 副 査    教 授    橋本 俊一 , 副 査    教 授    高橋    保 副 査    講 師    中島    誠

     ・学位論文題名

ジルコニウムーケイ素結合を持つ 有機金属錯体へのイソニトリルの挿入

‐ イミ ノシ ラシル 錯体 の合 成及 びその有機合成への利用一

  本 論文 は以 下の3部か ら構 成さ れている。ジルコニウム・ケイ素結合を有 する へテロバイメタリックな錯体CpユZr(SiR3)Clの反応性及びその有機合成 への 利用法を検討した結果を報告したものである。申請者はジルコニウム・

ケイ素結合を有する錯体CP2Zr(SiR3)Cllrこイソニトリルを挿入させ今迄ほと んど反応性が検討されていないイミノシラシル型ジルコニウム錯体合成した。

そ の う え で こ の 錯 体 を 用 い た 新 し い 幾 っ か の 反 応 を 見 い 出 し たb   1. ll2−イミノシラシル錯体2の合成及ぴ2を用いたaーシリルアルルアミ ンの合成

  著 者 は 容 易 に 調 製 が で き るt― ブ チ ル ジ フ ェ ニ ル シ リ ル リ チ ウ ム BuPh2SiLiと市販のジルコノセンジクロ.リドCP22rくニ12とを反応させジルコニ ウム ーケ イ素 錯体CP2Zr(Si BuPh2)Cl1の 合成 を行 った 。こ の1に種々の芳 香族 イソ ニト リルArNCを反 応さ せた ところ 、室 温で 空気 中に 放置しても安 定なイミノシラシ´レジルコニウム錯体CP2Zr[Tl ‑C(NAr)SitBuPh2]Cl2が得ら れ た 。 こ の 錯 体 は 安定 な黄 色結 晶でX線結 晶構 造解 析を 行な った 結果 イミ ノ シ ラ シ ル 基 が ジ ルコ ニ ウ ム にn2― 配 位 し て い る こと が明 かと なっ た。

  著 者 は こ の 錯 体2がア ルキ ンな どの 不飽 和化 合物 と反 応す るの では ない か と 考 え2a(Ar〓Ph)をTHF中LiEt3BHと 反 応 さ せ た と こ ろ シ リ ル メ チ 少 ア ニ リ ン 誘 導 体'BuPh2SiCH2NHPhが高 収率 で得 られ アザ ジル コナ シク ロプ 口/ヾ ンCpZrCH(Si BuPh2)NPh3の生 成が 考え られた 。そ こでTHF中錯 体2a とLiEt3BHで 調 製 し た3に1‐ ヘプ チン を加 える と伐 一シ リル アリ ルア ミン (E)―CsHliCH=CHCH(NHPh)Si BuPh2 5aが低収率ではあるが得られた。さら

(5)

に 反 応 条 件 の 検 討 を 行 っ た と こ ろ エ ー テ ル 中LiEtユBHで 行 う と 最 も 良 い 結 果 を与えた 。ニ置換アルキンを用いた場合は良好な収率で

(E)ーRICH=CR2CH(NHPh)SirBuPh25が 得 ら れ 、 ア ル キ ニ ル シ ラ ン や ア ル キ ニ ル ボ ラ ン を用 いた 時に は 完全 に立 体選 択的 に反 応が 進行 し5 (Rl=BRユ ,SiRユ)

が単一化 合物として生成した。

  2. 塩 化 銅(I)を 用 い た ア ザ ジ ル コ ナ シ ク ロ ペ ン テ ン の 炭 素 一 炭 素 結 合 形 成反応

  著 者 は も しRIC=C(R2)CH(SicBuPh2)N(Ph)ZrCP24と 銅 塩 と の ト ラ ン ス メ タ ル 化 が 炭 素 一 ジ ル コ ニ ウ ム 結 合 で 進 行 す る な ら ば ァ ル ケ ニ ル 銅 錯 体 f劉 一RIC[Cu]=C(R2)CH(NPhZrCP2X)SitBuPh2が 生 成 し 、 こ れ は ハ ロ ゲ ン 化 ア リ ル と 反 応 し て 炭 素 一 炭 素 結 合 を 形 成 し う る と 考 え た 。LiEtユBH存 在 下2a と4− オ ク チ ン か ら 調 製 し た4bくRl= R2: Pr)の エー テル 溶液 に塩 化銅 (I) と 塩 化 ア リ ル を 加 え 室 温 で 反 応 さ せ た と こ ろ ア リ ル 化 さ れ た 伐 一 シ リ ル ア リ ルアミンfZJ−CH2二ニCHCH2C(Pr)=C(Pr)CH(NHPh)SitBuPh26bが収率良く(y. 80ワ 。 ) 立 体 選 択 的 に 得 ら れ た 。 他 のハ ロゲ ン化 ア リル を用 いて も収 率良 く目 的物を与 え、.種々の4も同様に反応 は進行する。

  3. 伐 一 シ リ ル ア リ ル ア ミ ン のBrook型 転 位 反 応 を 利 用 し た ア ル デ ヒ ド の 合 成

  次 に 著 者 はa― シ リ ル ア リ ル ア ミ ン の 反 応 性 に つ い て 検 討 を 加 え た 。 Brook転 位 と は ぱ ― ヒ ド ロ キ シ ア ル キ ル シ ラ ン を 塩 基 で 処 理 す る と シ リ ル 基 が 炭 素 原 子 か ら 酸 素 原 子 ヘ 転 位 す る 反応 であ り生 成 した カル ノヾ 二オ ンは 有機 合 成 上 種 々 利 用 さ れ る 。 し か し ア ミ ノ 基 を 持 つQ− ア ミ ノ ア ル キ ル シ ラ ン RlR2CH(NHR3)SiR3を 基 質 と し たBrook型 転 位 は 全 く 報 告 さ れ て い な い 。 著 者 はRlR2C〓CR3.CH(NHPh)SifBuPh2(50r6) でBr00k型 転 位 (Aza―Brook転 位 )反 応が起きアリルアニ オン[RlR2C=CR3−CHN(SitBuPh2)Ph].7が生成する の で は な い か と 考 え た 。 そ こ で5bをBuLiで 処 理 し 種 々 の ハ ロ ゲ ン 化 ア ル キ ル ( R―X) と 反 応 さ せ そ の 後 塩 酸 で 加 水 分 解 す る と ア ル デ ヒ ド

(PrRCHCHPrCHO) に 導 区 事 が 出 来 た 。 種 々 の 基 質 を 用 い て も 目 的 と す る ア ル デ ` ヒド が得 られ 、aー シリ ルア リル アミ ン(50r6) をホ モエ ノ・ ラー トア ニオンの 前駆体として利用できた。

  以 上 の よ う に 本 研 究 は 全 く 新 し い 知 見 を 含 ん で お り 既 に 欧 文 誌 に2報 報 告 さ れ て い る 。 よ っ て 本 田 崇 宏 氏 が 博 士 ( 薬 学 ) の 学 位 を 受 け る に 充 分 値 す る ものと考 えられる。

参照

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