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博士論文要旨

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Academic year: 2021

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博士論文要旨

論文題名:クロロゾーム型クロロフィル自己集積体の 超分子ナノ構造

立命館大学大学院生命科学研究科 生命科学専攻博士課程後期課程

ふりがな しょうじ すなお 氏 名 庄司 淳

光合成は地球で最も優れたエネルギー変換システムであり、その光捕集器官(アンテナ) では、色素分子が巧妙に配列することで、太陽の光エネルギーを効率良く捕集・伝達して いる。高等植物等の光捕集アンテナ部では、色素分子がタンパク質との複合体によって巧 妙に配置され、高効率にエネルギーの伝達を行っている。クロロフィルは、光合成初期過 程における太陽の光エネルギーを捕集・伝播する分子として働いている。一方、光強度の 極めて低い環境でも生息する緑色光合成細菌は、クロロゾームという特殊なアンテナ系を 持っている。クロロゾームには、バクテリオクロロフィル(BChl)-c/d/e/fと呼ばれる分子が含 まれている。これらのBChl分子は、脂質一分子膜内の疎水的環境によって、タンパク質の 補助なしに、J型の自己集積体を形成することで、光捕集アンテナとして機能している。こ のような自己集積体は、直径5~10 nmのチューブ状やラメラシート状の超分子ナノ構造体で あると想定されている。本研究では、合成クロロフィル誘導体や天然産BChlを用いて、ク ロロゾーム型自己集積体を調製し、その超分子ナノ構造体について検討した。

天然に多く存在するChl-aを原料として、17位プロピオネート残基上にドデシル基を有す るクロロゾーム型亜鉛クロロフィル誘導体を合成した。この化合物を1% (v/v) THF-hexane に溶解させると、分光学的測定(紫外可視吸収及び円偏光二色性)から、クロロゾーム型の自 己集積体が得られることがわかった。固体状態での自己集積体を種々の顕微鏡[極低温透過 型電子顕微鏡(cryo-TEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕 微鏡(AFM)]を用いて観察すると、直径5 nmのチューブ状超分子ナノ構造体を形成している ことが明らかとなった。

上記の化合物の17位プロピオネート残基に、ドデシル基以外のオリゴメチレン鎖(直鎖ア ルキル基)を導入した亜鉛クロロフィル誘導体を系統的に合成した。それらのクロロゾーム 型自己集積体を調製し、AFMを用いてその超分子ナノ構造体を観察した。AFMによる観察 から、オリゴメチレン鎖が長いほど、その疎水性相互作用によって、チューブ状超分子ナ ノ構造体の形成能・安定性が向上することを見出した。クロロゾーム型自己集積体におい て、17位プロピオネート残基上の炭化水素鎖は、チューブ状超分子ナノ構造体の形成にお いて、形成能・安定性の向上のために働いていることが明らかとなった。

緑色光合成細菌の一種であるChloroflexus (Cfl.) aurantiacusが有するクロロゾーム内では、

BChl-cが自己集積して、直径5 nmの超分子ナノ構造体を形成することが、凍結滑断法によ

るTEM観察によって明らかとなっている。このような直径5 nmのチューブ状BChl-c自己

集積体をin vitroで再構築した例はなかった。そこで、Cfl. aurantiacusから天然産BChl-cを

単離・精製し、上述と同様の1% (v/v)THF-hexane中で、その自己集積体を調製した。AFM による観察から、BChl-c自己集積体は、直径5 nmのチューブ状超分子ナノ構造体を形成す ることが明らかとなり、in vivoの超分子ナノ構造体をin vitroで再構築することに成功した。

参照

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