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今井源衛著『紫林照径—源氏物語の新研究』

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Academic year: 2022

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(1)九州大学学術情報リポジトリ Kyushu University Institutional Repository. 今井源衛著『紫林照径—源氏物語の新研究』 森下, 純昭 岐阜大学教養部教授. https://doi.org/10.15017/12073 出版情報:語文研究. 49, pp.32-35, 1980-06-01. 九州大学国語国文学会 バージョン: 権利関係:.

(2) 紹. 介 今井源衛著. ﹃ 紫 林 照 径 ‑ 源氏物語の新研究 ﹂. 森. 下. 純. 昭. の世界/柏木と女 三宮/竹河巻は紫式部原作 であ ろう/ ﹁. 宇治橋﹂の贈 答歌 に ついて/ 人妻を盗む話 第三章︿影響と資料﹀ 女子教訓書 および艶書文学と源氏物語. 本 書 は ︑ ﹃源氏 物 語 の研 究 ﹄ ( 昭 37) ﹃王朝 文 学 の研 究 ﹄ (昭 45). 発 表 さ れ た多 く の論 文 の中 か ら︑ 源 氏 物 語関 係 十 八篇 が 選 び収 めら. /島原松平文庫本 ﹁十番艶書合付立聞﹂と同 ﹁ 女房艶書合. に続 く︑ 著者 の第 三 番 目 の 論文 集 であ り ︑ 昭和 四十 五年 以 降諸 処 に. れ て いる ︒所 収 の論 文 は︑ 対 象 のあ ら ゆ る側 面や 可 能 性 を謙 虚 に見. 今 はむかし物 語﹂. ﹂/島原松平文庫本 ﹁源氏長歌﹂/東北大学狩 野文庫本 ﹁ 論文掲載誌 一覧/索引. つづけ てこ ら れた 著 者 の︑ 真摯 な学 問 的 姿勢 から 生 み 出 さ れ た鮮 や か な 成 果 であ るが ︑ 同 時 にこ こ には ﹁新 研 究﹂ と 副 題 さ れ る如 く ︑. 以下︑ それぞれの内容を簡単な要約によ って紹介し ていきた い︒. 著 者 の長年 に亘 る 源 氏物 語 研究 を 踏 ま え て︑ 多 く の問 題 提起 がな さ. 第 一章 に収められた三篇は︑ 著者 の研究の方法 ・視点を明確か つ. 性︑ 伊周の事蹟と源氏物語と の関係 などを概括的 に指摘し て︑時代 と の関わ りの問題を考慮 に入れな いでは︑ ﹁源氏物語 の作 品分析と. における帝 王像の変化︑時代設定︑光源氏造型等 にお ける 二重構造. の煽熟期的複雑な時代性と大きくは関わ ると の観 点から︑源氏物 語. 氏物 語﹂ においては︑源氏物語の混沌 とし て複雑な世 界は︑ 一条朝. 研究 ﹃紫式部﹄の成 果を踏 まえ ての立論 である︒まず︑﹁一条朝と源. 特長的 に示す諸論であ り︑前記 二論文集 の蓄積およびすぐれた伝記. れ てお り︑ 今 後 の源 氏 物 語 研究 に多 様 な 課 題 が提 示 さ れ て いる︒ ま. り がた い こと であ った ︒. さに ﹁ 紫 林 照 径﹂ の書 であ り︑ 本 書 の時 宜 を 得 た刊 行 は ま こと にあ. 一条朝 と源 氏 物 語 / 紫式 部 の. さ て︑ 本 書 の内 容 は次 の如く ︑ 大 き く 三部 に分 か れ て いる︒ 第 一章 ︿紫 式 部 の時 代 と家 庭﹀. ﹁前 渡 り ﹂ に つい て/ 源 氏物 語 にお け. 父 系/ 紫 式 部 と清 少 納 言 第 二章 ︿素 材 と 構 想 ﹀. る 人間 と 政 治 /菅 公 と 源 氏 物 語/ 菅 公 の故 事 と源 氏 物 語 古 注/ ﹁ 氷 と ち ﹂ の歌 を め ぐ って/ 伏 せ ら れ た 引歌 / 第 二部. 一32一.

(3) って いる︒ ﹁紫 式部 の父 系 ﹂ で は︑ 紫 式 部 の作 家 的 資 質 が そ の父 系. いる︒ これ は 同時 に︑ 本 書 全 体 を 総括 す る 問 題提 起 の こと ば と も な. いう も のも ︑ 大 き な盲 点 を生 ず る の では な いか﹂ と 問 題 提 起 され て. 扱 い方 が ︑ 最 も濃 厚 に政 治的 状況 が絡 ん で いる 須磨 巻 にお いて︑ 政. お ける 人 間 と政 治 ﹂ では ︑源 氏 物 語 にお け る ﹁政 治 と 人 間 ﹂ の取 り. 語を 通 し て新 た な角 度 か ら具 体 的 に測定 さ れ て いる ︒ ﹁源氏 物 語 に. ﹁ 文 学 的 形 象 の 意味 ﹂ を 問 う 形 で検 討 さ れ る ︒ こ こ で︑ 従来 問 題 と. さ れ る源 氏 の罪 意識 の矛 盾 が 手 が かり と さ れ︑ これを 法 と 内的 道 徳. 治 的 敗 北 者 で あ る源 氏 が 結 局 は 人間 的 勝 利 者︑ 政 治 的 勝 利 者 と な る. の次 元 の位 相 差 とし て理 解 す る 著者 の視 座 か ら︑ 作 者 にお いて ﹁人. にお いて追 尋 調 査 さ れ て いる ︒ 式部 の父 為 時 に至 る利 基 以 降 五代 の. て綿 密 に跡 づ けら れ て いる︒ 本 稿 の骨 格 は︑ 既 に ﹃紫 式部 ﹄ にお い. か な り濃 厚 な 文 芸 的 雰 囲気 を有 し て いた こと が︑多 く の資 料 によ っ. 間 と政 治 ﹂ と は︑ ﹁か な り 典 型的 に 二元 論 的 に︑ あ る いは 相 互 に矛. 系 譜 は︑ 一般 的 受 領 と は異 な り ︑ 特 に兼 輔 か ら 為時 の世 代 にか け て. て提 示 さ れ て い るが ︑ こ こで は それ が さ ら に 豊か に肉 づ け され た ︒. 盾 す る概 念 ﹂ であ る と結 論 さ れ て いる︒. ﹁ 菅 公 と 源 氏物 語﹂ ﹁菅 公 の故 事 と 源 氏 物 語古 注 ﹂ は︑菅 公 の故. ﹁紫 式部 と清 少 納 言 ﹂ で は︑ 諸 家 の論 を 踏 ま え つつ︑ 紫清 両者 の違 いと 共 通 性 と が浮 き 彫 り に さ れ る︒ は じ め に性 格 学的 見 地 によ る 両. こと の詳 細 な 考 察 で あ る︒ 前 者 で は︑ 須 磨 巻 に及 ぼし た菅 公 の 影 響. 事 が源 氏 物 語 の素材 ・構 想 ・表 現 に種 々 の大 き な 影響 を 与 え て いる. ・桐 壼院 の亡 霊 等 に菅 公 の故 事 を 指摘 す る 眠 江 入楚 の説 が ︑ つぶ さ. が︑ 古 来 の準 拠 説 に 照 明を 与 え る 形 で詳 論 さ れ て い る︒ 特 に︑ 落 雷. 者 の体 型 と性 格 と の違 い︑ 与謝 野 晶 子 が 指摘 し た 鋭 敏 な感 覚 性 の質. 級 意 識 の違 いなど ︑多 様 な観 点 か ら 紫 清 の個 性 の違 いが 鮮 やか に導. 的 相 違 ︑ さ ら に は対 象 に対 す る時 間 的 把 握 の有 無 の問 題︑ そし て階. き 出 さ れ て いる︒ 次 いで後 半 では ︑ 紫清 の晩 年 にお け る歌 に共 通 す. に検討 さ れよ み お こされ て︑菅 公 の故 事 が 源 氏物 語 の素 材 と な った. 力条 に つい て の再 検 討 であ る ︒ この中 ︑ 現 在定 説化 され て いる 三 力. る ﹁希 望 の な い︑ 落 莫 流 離 の感 ﹂ が 注 目 さ れ︑ それ は 共 に 同時 代 的. 条 の外 ︑ さら に三 力条 が妥 当 な 説 とし て復 活 さ れ て いる ︒ 先 の ﹁ 菅. 明 石 両巻 にお いて︑ 南 北 朝 ま で の古 注 が 準 拠 と し た菅 公 の故 事 十 三. さ て︑ 第 二章 の素 材 論 ・構想 論 は︑ ﹁は し がき ﹂ にも あ ると おり. 公 と源 氏 物 語 ﹂ と 合 わせ て︑ 菅 公 の故 事 と 源 氏物 語と の深 い関 わ り. 事 情 が 明ら か にさ れ た︒ ﹁ 菅 公 の故 事 と 源 氏物 語古 注 ﹂ は︑ 須磨 .. 本 書 の中 心 で あ り︑ 作 品 の内部 徴 証 だ け で は 説 明し 難 い点 が︑ 作 品. が︑ 改 め て丹 念 によ みお こさ れ て い る︒. 苦 悩 運 命 を免 れ得 な い︑歴 史的 社 会 的存 在 とし て の紫 清 の生 き ざ ま. の生 ま れ た社 会 と の関 連 で解 明 され てお り︑ こ こ には 多 く の新 し い. と し てと ら え られ て いる ︒. 成 果 が 提 示 さ れ て いる ︒ ﹁﹃前 渡 り ﹄ に つい て﹂ は︑ この 語が 平 安. ては︑ 紫 上 の源 氏 と の贈 答 歌 ﹁ 氷 と ち ﹂ の解 釈 如何 は︑ 紫 上 の 人間. ﹂ にお い. 像 ひ いて は従来 問 題と な って いる橦 巻 の位 置 づ け にも 関 わ る と問 題. 橦 巻 にお け る紫 上1. 文 学 表 現 と し て の男 女 の位 相 差 が︑ 各 種 用例 の詳 細 な 検討 から 具 体. 提 起し ︑ ま ず 従来 の説 が これ を叙 景 歌 の線 で解 釈 し て いる こ とを 批. ﹁﹃ 氷 と ち ﹄ の歌 をめ ぐ って1. 的 に導 き出 され る︒ 同 時 に︑ 蜻 蛉 日 記 と源 氏 物 語 の作 者 の異 質 性 ︑. 時 代 特 有 の ニ ュア ンスを も った成 語 と し て定 着 し て いる こと︑ また. あ る いは源 氏 物 語 の ﹁ 極 度 に切 り つめ た原 文 の重 み ﹂ など が︑ こ の. 一33一.

(4) 判 し ︑ 真 渕 の新 釈 だ け が 紫 上 の苦 悩 の吐 露 と 解 し て いる こと に触. ﹁柏木 と 女 三 宮 ﹂光 源 氏 の ﹁老年 の物 語﹂ の意味 を余 す と こ ろな. か ら︑ ﹁ 基 本 的 には社 会 悲 劇 的 要 素 ﹂ が強 く ︑ 事件 そ のも の の重 み. て提出 さ れ︑ 女 三宮 降 嫁 の状 況 設定 も史 的 事 実 を 背 景 とし て いる 事. の中 に柏木 や 女 三 宮等 の性 格 が 反 映 す る が︑ 結 局 は 仏教 的 宿 命 観 に. く 描 き出 し た 柏 木 ・女 三宮 の事 件 は︑ こ れが 世 代 の相 剋 の問 題 と し. し た こと の正 当 性 を 評価 し ︑ ﹁こ こ模 巻 には︑ す で に そ の後 年 の紫. 落 ち 着 か せる ほ か な いも の であ った こと︑ ま た柏 木 の死 の苛 酷 な 結. れ︑ こ の場 面 ま で の紫 上 を め ぐ る状 況 ︑ 当 該歌 の解 釈 ︑ 模 巻 全体 の. 上 の姿 の前 兆 が は っき りと 刻 印 さ れ て いる事 を 見 逃 す事 は でき な い. 内 容 検 討 の結 果︑ 真 渕 が これ を 源氏 の浮 気 に基 づ く紫 上 の憂 悶 と解. 刈 萱 の場 合. 末 は ︑光 源氏 が超 越 的存 在 から 人 間 的 真実 性 をか ち と る た め の犠 牲. で あ ろう ﹂ と ︑ 結 論 さ れ て いる ︒ ﹁伏せ ら れ た 引 歌‑ ﹂ は︑ 本 文 に同化 し た 引 歌 の 丹 念 な よみ お こし に よ る野 分 巻 の. ー. と し て意味 づ けら れ て いる︒. ﹁竹 河 巻 は紫 式 部 原 作 で あ ろ う﹂ では︑ 竹 河 巻 の作 者 の 問 題 が新. 夕 霧論 であ る ︒ 野分 巻 で︑ 夕 霧 が 雲 居 雁 に歌 を 送 る 一節 に ﹁吹 き 乱. し い観 点 か ら再 検 討 さ れ て いる︒ ま ず 論 点 の 一つであ る 表 現措 辞 の. れ た る刈 萱 に つけ た ま へれ ば ﹂と あ る部 分 は︑ 和 歌 の世 界 の ﹁刈 萱 ﹂ と ﹁乱 れ ・思 ひ 乱 れ﹂ の縁 を 踏 ま え て お り︑ か つ この折 の夕 霧 の念. て︑ 作 者 の基 本 的 筆 力 を 評価 し ︑ 加 え て 紫式 部 集 所 収 歌 と の表 現 .. 問 題 は︑ 作 者 論 と し て は そ のす ぐ れ た 部 分 を おさ え る べきだ と し. え て︑ 最 大 の 争点 であ る 夕 霧 ﹁ 任 左 大 臣 ﹂等 の官 職 の問 題 に つい て. 用 法 の類 似性 から ︑ 紫 式部 原 作 の可 能 性 が 推 論 され る ︒ これ を踏 ま. 頭 にあ った の は ﹁ま め な れば よ き 名 も立 たず 刈 萱 の いざ乱 れな む し. ﹃ま め 人 ﹄を 以 って自 ら持 し つつ︑ し か も それ に対 す る青 年 ら し い. は︑ 光 源 氏 ・頭中 将 の官 歴︑ 濡 標 以 降 竹 河 巻 の 夕 霧を 除 いて実 質的. ど ろ もど ろ に﹂ ( 古今 六帖 ) であ ろ う とし ︑ ﹁野 分 巻 にす で に︑ 彼 が. ﹁第 二部 の世 界 ﹂ では︑ いわ ゆ る三 部作 説 を ﹁作 者 の意 識 面﹂ で. 内 心 の 反乱 を も 意 識 し つ つあ った ﹂ こと が︑ 明ら か にさ れ て い る︒. いると 指 摘 し て︑ 竹 河 巻 の夕 霧任 左 大 臣 等 は 玉婁 が不 如 意 を 嘆 く場. 面を 効 果 的 に表現 す る た め で あ ったが ︑ 宇 治 十帖 に お いて 品 の い い. な左 大 臣 が いな い事 には ︑ ﹁ 左 大 臣 道 長 ﹂ の存 在 が大 き く 関 与し て. 敵 役 であ る 夕 霧 が︑ 道 長 を 連 想 す る ﹁左 大 臣 ﹂ で は具 合 が 悪 く︑ そ. 解 す れば 妥当 な見 解 であ る と 認め た上 で︑ 内 容 の特 質 と 問 題点 が検. 死 ・光 源 氏 の回 想 か ら成 る光 源 氏 の老年 の物 語と し ︑ 若 菜 下巻 の御. れ ゆ え竹 河 巻 の昇 進 の記 事 が 無 視 さ れる に至 った事 情 が ︑ 詳 細 に論. 討 さ れ る︒ 物 語 内 容 を︑ 女 三宮 と 柏 木 の物 語 ・夕 霧 の物 語 ・紫 上 の. 代 が わ り と 四年 の時 間的 空 白 も ﹁生 理的 ・年 齢 的 な 意 味 での新 旧 の. 述 さ れ て い る︒. 宇 治 十 帖 の主 題 ーー ﹂ は︑ 総. 世 代 の交 代 ﹂ を 意 味 し︑ 若 菜 か ら 夕 霧 ま で は ﹁ 人 間 関 係 にお け る錯. ﹁﹁宇 治 橋 ﹄ の贈 答歌 に ついて1. 誤 と 不 信 と 崩 壊 の歴 史 ﹂ であ る が︑ 紫 上 の死 ・光 源 氏 の回 想 を 内容 と す る 御 法 ・幻 両巻 は︑ ﹁人生 の 根 源 と いう べき 生 と 死 と 時 間 と. ﹁宇 治橋 ﹂ が詠 ま れ て いる こと の意味 が︑ 構 想 論 的 に解 明 され る ︒. 角 巻 の 匂宮 と 中 君 の贈 答歌 ︑ 浮 舟巻 の薫 と 浮 舟 と の 贈 答 歌 に共 に. これ ら 二 組 の贈 答 歌 は︑ それ ぞれ の時 点 で ﹁以 後 の悲劇 的 展 開 の伏. が ︑ そ のも っとも 純 粋 な 形 ﹂ で描 き出 され てお り︑ ﹁第 一部 と 共 に. る︒. 第 二部 も や は り︑ 理 想 人 光 源氏 の物 語 ﹂ であ った と まと めら れ て い. 一34一.

(5) 開拓 ・方 法 的 試 み など に溢 れ て いる こと が 知 ら れ よう ︒ これ ら の提. 言 の底 には︑ 基 本 的 には 作 品 を そ の生 ま れ た社 会 と の関 り の相 でと. 象 の多 面性 に応 じ て︑ ま こと に多 様 な問 題 提 起 あ る いは研 究 領 域 の. ら え︑ 一つ 一つの事 実 を 丹 念 によ み お こし てゆく こと が 大 切 だ と さ. 線 ﹂ と な って いる こと︑ ま た ﹁宇治 橋 ﹂ ﹁橋 ﹂ のも つイ メ ージ が︑. と だえ を 意味 す るも のと な り お お せ﹂ て いる事 が通 史 的 にも 明 確 に. れ る著 者 の立 場 が あ るわ け だ が︑ 現 在 の時 点 で 著者 があ え て自 らを. ﹁ 源 氏 物 語 を 通 過 す る事 によ って︑ 確 実 に男 女 間 の 不安 定 な 関 係︑. 夢浮橋 の浮舟 の物語と. 総角の大君 の物 語と宿木‑. が︑ 主 題 的 に見事 に呼 応 す る こと を端 的 に示 す のが︑ こ の 二組 の ﹁. され︑橋姫‑. ﹁半 ば 死 語 化 し つ つあ る﹂ ﹁歴 史社 会 学 派 ﹂ と 位 置 づけ つつも本 書 の. 副 題を ﹁新 研 究 ﹂ と され た のは︑ 内 部 徴 証 によ る精 緻 な 作 品分 析 が. 宇治 橋 ﹂ の贈 答 歌 で あ ると 結 論 さ れ て いる︒. 深 ま った今 日 の次 元 でな お 解決 困難 な 問 題 解 明 の ため に︑ 準 拠 論 を. ﹂では︑ この種の話 の文学的. 素 材と し て の裾 野 の広 さと ︑ そ こに見 られ る こ の時 代 独 特 の雰 囲気. つあ る研 究 状 況 が踏 ま えら れ ても いる︒ 源 氏 物 語 に限 って いえ ば︑. 最 大 眼目 の 一つと す る河 海 抄 を は じめ と す る古 注 が よみ お こさ れ つ. 浮舟巻補注ー. が多 く の資 料 を も って解 説 さ れ ︑ 浮 舟巻 で匂 宮 が 薫 に な りす ま し て. ﹁人妻を盗む話‑. 供 人 ・香 ・声 色 等 の件. は︑ 女 を盗 む と いう 特 殊 な モ チー フ に よ る構 想 上 の 不 整 合だ と さ. お新 し い重要 な 視 点と いえ よ う ︒ こ の意 味 でも︑ 本 書 を ど のよ う に. 作 品 を そ の生 ま れ た社 会 と の関 り の相 でと ら え る視 点 は ︑ 古く てな. 浮 舟 を盗 む 条 に見 え る いく つか の 不審 点 ‑. れ︑ 夫 にな り す ま す と いう 点 には 特定 の材 料 が あ った か とし て︑仲. 四︑ 八 ○ ○ 円 ). ( 昭 和 五 十 四年 十 一月 ︑ 角 川書 店 刊 ︑ 三 一七頁. 受 けと め る か が今 後 の研 究 の 一つの課 題 であ ろ う︒. 影 響 と資 料 ﹂ 編 は ︑ 源氏 物 語 の享受 史 に関 す る研 究 と. 文 集 のか な り 虚 構 化 さ れ た例 が 指 摘 さ れ て いる ︒本 論 は︑ 構 想 上 の. ﹁ 第 三章. 若 干 の 不整 合 を 素 材 の ﹁類型 性 ﹂ の面 か ら解 明を 試 み た論 であ る ︒. 資 料 の紹介 であ るが︑ この享 受 史 の中 でも これ ま で あ ま り注 目 さ れ な か った︑ 中 世 の いわ ゆ る女 子 教 訓 書 の 類︑ お よ び 艶書 も の の 一群 が研 究 対 象 とし て ほり お こさ れ て いる ︒ ﹁ 女 子 教 訓 書 お よび 艶 書 文 学 と 源 氏物 語﹂ で は︑ この分 野 の代 表 的 諸書 に つい て源 氏物 語 の影 響 と ︑ そ の性格 ・問 題点 が よ く整 理 解 説 さ れ て おり ︑ ゆ き とど いた. ﹁女 房 艶 書 合﹂ ・同 ﹁源 氏 長歌 ﹂ ・東 北 大 学狩 野文 庫 本 ﹁ 今 はむ か. 概 説 であ る ︒ 資 料 は ︑ 島 原 松 平 文 庫 本 ﹁十番 艶 書 合 付 立 聞﹂ と 同. の紹 介 であ る︒. し 物 語 ﹂ が︑ 解 題解 説 を 付 し て全 文 翻 刻 さ れ て お り︑ 善 本 ・新 資 料. 以 上︑ 粗 雑 な 紹介 であ るが︑ 本 書 に収 め ら れ た諸 論 には ︑ 研 究対. 一35一.

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