防災科学技術総合研究報告 第27号 1971年3月
551,243:550.8:551.3(522)
地すべり層準の研究(2)
一松浦〜伊万里地域について一
・安藤 武・大久保太治 地質調査所応用地質部 古川俊太郎
地質調査所九州出張所
Studies on the Stratigraphic H◎rizons of S◎me Landslides in the Matsuura−1mari Area,
Nagasaki and Saga Prefectures,Kyushu,Japan
ByTakeshi And◎,Taiji Okub◎and Shuntar◎Furukawa
Gθol・ψα1∫αmθツ・∫ノαρ㎝,τoんμo
Abstract
Investigation is made into the formation and geo1ogical stmcture of landslides in the Sasebo coa1field,Northwest Kyushu.Resu1ts obtained are as fo11ows:
1)Distribution map of landshdes in the Matsuura』mari area is presented,and the characters of the lands1ides are i11ustrated arld compared wdth each other.
2)Class胴cation is made by the condition of occurrence,the re1ation of dips and the types ofmateria1and movement.
3)The north area and the Matsuu正a−1mari area are both composed of the coa1−bearing Neogene system and basa1tic p1ateaus,And many landslides are found th了oughout the areas.
Some essential prob1ems are considered and amnged with rega正d to the mechanism of the Hokusho ・type1ands1ides from a main1y geo1ogica1standpo㎞t.
1.2.3.
4.
まえがき……… 3 北松型地すぺりの概要.…. .. 4 地すぺりに関する地質概説… 6 地すぺりの概要 … … . 8 4.1 人形石山地区の地すぺり一・・一一一8 4.2 石倉山地すぺり…1.1. 一 12 4−3 木場(こぱ)〜寺上(てらげ)地区…12 4,4 榎山地区……I 12 4.5 雇尾(やと拾)地すぺり… 12 4.6 平尾地区…………一・・…一一………12 4,7 調川地区…. …… 12
5.
次 4.8 4.9 4,10 4.11 4.12 ま 5.1 5.2 5.3 5.4
白井地区…………・
松山田地区… .…. .…...
里地すぺり…… .…
池成地区……・・……・・・…
東分〜立岩地区……・一 とめ…・… ……
地すぺり層準について…
石炭の採掘と地すぺり・・
予知について…………・・
発生機構にっいて…
・12
・13
・15
・16
・17
・17
・17
・19
・19
・20
1. まえがき
北松浦地域の地すぺり多発地帯を佐世保北部地
域11),松溝〜伊万里地域12),拾よび平戸・生月地域
(3)に大別した.佐世保炭田地域の地質系統・堆積
一3一
北松型地すぺりの発生機構拾よぴ予知に関する研究(第2報) 防災科学技術総合研究報告 第27号 1971
輪廻と層相歩よび佐世保北部地域の地すぺり層準 については第1報*に記載した.ここでは松浦〜
伊万里地域について地すぺり層準の特性をとりま とめた.この地域では人形石山地すぺり・西分地 すぺり・石倉山地すぺり・雇尾地すべり・里地す べりなど規模の大きい地すぺりが発生した.地す ぺり地形がいちじるしく発達した地域であり,緩 慢な地すぺりあるいは急激な地すぺりが数多く地 質的に予知される地域である.
それぞれの地すぺりは担当機関の総合的な調査 によって対処されるものであるが,地すぺりの地 質学的背影を明らかにすることを目的とした.地 質的在素因をもとにして,地すぺりの発生機構拾 よび予知について考察した.この調査研究には石 炭関係のボーリング調査資料,地すぺり対策のボ ーリソグ・地形図などを利用させていただいた.
長崎県の地すべり担当者および便宜をいただいた
関係各位には深甚の謝意を表する.
2. 北松型地すペリの慨要
長崎県北松浦地方から佐賀県東松浦地方にかけ て分布する地すべりである.地すぺり分布の概要 は図一1のごとくである.一般に玄武岩類と挾炭 第三系との組合せあるいは挾炭第三系で拾こって いる.北松型地丁べりあるいは第三紀層地すべり の挾炭新第三系型として大きく分類されている.
玄武岩類と佐世保層群との組合せからなる複雑在 地すべり現象が多いため,地域名をとって北松型 地すべりとよぱれてきた.
この地域の玄武岩はほとんど鮮新世の噴出であ り,中新世の佐世保層群〜野島層群を覆っている 台地性玄武岩として分布する・.玄武岩類は数枚の 溶岩・岩淳層・上部砂泥層・下部砂礫層友どを一 括したものである.上部砂泥層は下部玄武岩の⊥
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* 防災科学技術総合研究報告 第22号(1970)
地すぺり層準の研瑚2〕一松浦〜伊万里地域について一安藤・大久保・古川
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§5
北松型地すぺりの発生機構およぴ予知に関する研究(第2報) 防災科学技術総合研究報告 第27号 1971
位にある厚さ数メートルの堆積層,下部砂礫層は 玄武岩と第三系との境に分布する砂礫層をさして いる.規模の大きい地すぺりは玄武岩台地の縁辺 部で発生している.玄武岩類の構造的な特徴とこ れを反映した風化の発達は注目されるものであり,
風化玄武岩および滑動した玄武岩塊は地すぺりの 発生にいわゆるcap rockの性格を強く拾よぼし
ている.
すぺり面は第三系の内部・玄武岩類と第三系と の境・崩積眉の下部などに特徴的なものが存在す る.新第三系に発達するすぺり面はもっとも注目 されるものである。佐世保層群は第1報の表2に 示したごとくであり,多数の小堆積輪廻で構成さ れ,砂岩部と泥岩部との累積は特徴的なものであ る.基岩のすべり面は主として炭層部に存在する 凝灰岩層の風化→粘土化によってもたらされてい る.また,泥岩部は軟弱化1→粘土化しやすく,一 方厚い砂岩層は堅固で安定しやすい.
地層の性質と地すぺりの関係から地すぺり層準 の概念を打ち出し,それぞれの地すぺりがどの眉 準に結びついているのかを調査した.地すぺりの 地下構造を支配している地すぺり層準の解析およ び層相の特徴は地すぺり対策あるいは手知ならぴ に発生機構の基本的な課題であるとみなした.北 松型地すぺりの地形特性・地質特性・構造要素。
地すぺりの分類などについては第1報にのぺられ
ている.
3.地すベリに関邊する地質慨説
松浦〜伊万里地域の地質構造は楠久断層・長浜 断層拾よび国見断層によって大きく区分され,さ らに小断層群によって切られている.図一2は松 浦〜伊万里地域の概要であり,玄武岩類と新第三 系の分布拾よび地すぺりの発達を表わした.この 地域の地質は1/25,000佐世保北部地域地質図
(1970)として編集出版した.新第三系の区分 と分布・断層の分布と規模・地層の走向傾斜など は地域地質図に示されている.この地域で層序と 地すぺりの関係はつぎの3地帯に区分される.
u)中部地帯(志佐一江ロー今福地区)
志佐川右岸(長浜断層)から調川川流域〜今福 川流域〜佐代川左岸にかけた地帯である.地すぺ りは玄武岩類と加勢層あるいは加勢層拾よぴ福井 層の組合せからなる顕著な地すべり多発地帯である.
(2)東部地帯
佐代川より東側の地帯である.地すぺりは,主 として玄武岩類と世知原層との組合せからなる.
(3)西部地帯
志佐川左岸の地帯である.ほぼ長浜断層と国見 断層とに挾言れた地帯をさしている.地すぺりは,
主として玄武岩類と野島層群に属する大屋層との 組合せからなる.一部では加勢層・福井層などが 関連する.国見断層より西側の地区(御厨町〜田 平町地区)には広く玄武岩を分布するが,新第三 系はほとんど海水準以下に分布している.このた めに目立った地すぺりは発達していない.
図一3は地すべり多発地帯を切ったA−B断面 の地下構造であり,地質と地すぺりの概念を表わ
した.中部地帯の地すぺりは玄武岩類〜加勢層・
玄武岩類〜加勢層〜福井層あるいは玄武岩類〜福 井眉によって発達している.一また,流れ盤型地す ぺりと反流れ盤型地すぺりの関係を示している.
図一4は旧炭砿の模式対比である.松浦地域では 古くから石炭の採掘が行なわれ,主として砂盤層 が稼行され一部では福井一枚などが採掘されてい る.図一5はこの地域の世知原層以上を示した模 式柱状図である.小堆積輪廻の層厚拾よび層相は 場所によって多少は異なるが,この地域としては いちじるしい相違が認められない.
地すぺりに関係する層準および岩相の一般的な 特徴はつぎのようである.
ω 玄武岩類
硬質玄武岩・亜風化玄武岩・風化玄武岩・風化 岩津層などが複雑な構成をなくしている.場所に よって最下部に砂礫層を伴っている.台地の縁辺 部では多少ゆるんだ状態のものが多く,また部分 的に動いたとみ在される玄武岩塊がある.崩積層 には玄武岩系の礫混り土が多い.
硬質玄武岩……全体に新鮮で硬質,5k円/sec 前後あるいはこれ以上の弾性波速度を有した部分.
亜風化玄武岩・一・割目が多く部分的に風化した
部分.
風化玄武岩……節理などの割目にそっていちじ るしく風化し,玄武岩系の赤土と礫状玄武岩との 集合状を呈する部分.ときに礫混りの土になって いる.弾性波速度は2.5〜3.5km/;ec程度である.
風化が進むにしたがって弾性波速度・見掛け比 低抗値などの物性が急に低下している.物性の変 化は風化の程度とほぼ比例している.また,挾在 するスコリヤ凝灰岩などはいちじるしく風化して
地すぺり層準の研矧2)一松浦〜伊万里地域にろいて一安藤・大久保・古川
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図一3 松清〜伊万里地区の地すぺり概念図 裏 1吾
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七ヘダ 上ヘクモノ
一勧蟹
岩石一枚
図一4 炭砿の炭眉対比
(注:松浦〜伊万里地区の地すぺりは玄武岩類 の加勢眉・福井層・世知原眉よりなる.)
いることが多い.
(2)加勢層
加勢層の全層厚は200m以上とみなされるが,
この地域で玄武岩類と佐世保眉群との問に分布す る加勢層はOmから100m程度である.加勢層の 上部には灰白色の砂岩拾よぴ灰白〜暗灰色の縞入 り砂岩が多い.砂岩が卓越しているが,まれに暗 灰色の泥岩眉を挾在する.下部には厚さ25m前 後の凝灰質砂岩眉が存在する.加勢眉の基底砂岩 眉とみなした。基底砂岩眉と上部砂岩層との問には 厚さ14〜28mの泥岩眉が存在する.有孔虫の含 有で特徴づけられる・ここでは含有孔虫泥岩層と
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松涌.:.尺眉
図一5 松浦〜伊万里地域の模式柱状図
よんだ.松清地域にはこの泥岩眉をすぺり面とし ている地すぺりが多い.
13)福井眉
この地域では模式柱状図に示したごとく五つの 堆積輪廻が明確である.層準を判定する基礎資料 として小堆税輪廻の特徴を図一6に示した.泥岩 部は泥岩・薄い石炭・炭質泥岩拾よびゴマ(凝灰 岩)の細かい互層構造が卓越している.この部分
一7一
北松型地すぺりの発生機構拾よぴ予知に関する研究(第2報) 防災科学技術総合研究報告 第27号 1971
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図一6 福井層の特徴(小堆積輪廻)
は岩盤風化によって粘±化した潜在すぺり面を生 成する.福井層の上部には本が浦凝灰角礫岩層,
下部には歌が浦凝灰角礫岩層を挾在する.これら は鍵層となる特徴的な凝灰岩である.
(4)世知原層
下部は砂岩が卓越しているが・上部には砂盤層 下岩石眉拾よび七ヘダ層を伴った泥岩部が発達 している.七ヘダ層では厚さ1cmないし20cm の粗悪炭・炭質泥岩拾よぴゴマが約30枚の細か い互層を構成している.
15)大屋層
佐世保層群より上位にある野島層群の下部層で あり,西部地帯に分布する.一般に砂岩・縞入り 砂岩・砂質泥岩・泥岩の互層が卓越し,処々に炭 質泥岩・石炭の薄眉を挾在する.佐世保層群に比 較してかなり多量の凝灰岩類を挾在する.厚い塊
状砂岩層は少ない.
4、地すべりの概要
地下構造拾よび地すぺり層準を主とした地すぺ り地区の概要はつぎのようである.
4.1 人形石山地区の地すべり
長崎・佐賀県境に分布する玄武岩台地の東側斜 面であり,佐代川に面した地帯で発生する地すべ りをさしている.平古場地区・西分地すぺり・人 形石山地すぺり拾よび西大久保地区に分けられる が,これらの地区は一括して営林局が直轄事業と して治山括よぴ地すぺり対策に当っている.図一 7は人形石山地区拾よび周辺を含めた地すぺり発 達の様相である.
昭和32年7月6日に発生した人形石山地すべり 拾よび昭和26年2月16日に発生した西分地すぺり
地すぺり眉準の研瑚2)一松浦〜伊万里地域について一安藤・大久保・古
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図一7 人形石山地域の概要
9」
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北松型地すぺりの発生機構拾よぴ予知に関する研究(第2報) 防災科学技術総合研究報告 第27号 1971
は多数の死傷者・家屋倒漬・水田畑地埋没の大き な被害を拾よぼした.人形石山地すぺりは標高
350m付近から幅工50m,長さ500mに拾よんだ ものであり,450mmに達する異状連続降雨(6 月27日〜7月5日)の翌貝(午後4時項)に崩壌 性地すぺりとして発生した.西分地すぺりは標高
325m付近から幅400m,長さ1,000mに拾よん だものであり,81mmに達する連続降雨(2月8
日〜2月15日)の直後(午前6時項)に大音讐と ともに崩壊性地すぺりに発展した.平古場地区拾 よび西大久保地区でも地すぺり発生の跡をとどめ
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レz帥潴 r2況岩
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1/1
曲示希ひ Bl ↓
800 600
ている.
玄武岩・加勢層括よび福井層の組合せからなり,
基岩の走向傾斜はほぼN−S,6〜8.Wである.
図一8は西分地すぺりの地下構造をボーリング資 料によって現わしたものである.地すぺりの中央 部をほぼ東西に切った.図一9は平古場地区,図
一10は西大久保地区の断面を模式的に現わした.
図一11にはボーリングによる地層の特徴を示し た.地すぺりは急斜面に発生した反流れ盤型であ る.基岩の福井層は斜面の大部分を占め,調査資 料によるとかなり風化・脆弱化している.斜面に m
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図一8 西分地すぺり地下構造断面図(縦:横=2:1)
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図一9 平古場地区の地下槍造断面図(縦:横=1:1)
地すぺり層準の研囲2)一松浦〜伊万里地域について一安藤・大久保・古川
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砧 喰 妙紬
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西大久保地区の地下構造断面図(縦 西 分地 区 B1 85 B4 L2021
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図一11
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H粘土
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人形石山地区のボーリング
図崩棚(脇/土)
図砂岩
圏欄岩
留泥岩
口鮎鮒
團撚類
一11一
北松型地すぺりの発生機構拾よぴ予知に関する研究(第2報) 防災科学技術総合研究報告 第27号 工971
分布する崩積眉は上部崩積層と下部崩積層とに分 けられる.上部崩積眉は玄武岩系の礫混り土であ り,下部崩積層は塊状の砂岩・泥岩・石炭片など を含んだ第三系の土を主としている.崩積層と基 岩との境にはすぺり面と在るような粘土層が介在 する.地層の傾斜・基岩の状態歩よび崩積層の性 状は地すぺり機構に大きな影唇を与える.直接的 な誘因は豪雨あるいは長雨であるが,反流れ盤構 造の地帯では大きな,かつ急激な崩壊性地すぺり に発達しやすいといえる.
4.2 石倉山地すべり
松浦市今福町地内で昭和27年10月に発生した地 すぺりである.石倉岳(313m)の北西斜面を頭 部として発生し,棚田地帯がすぺり出し,舌端部 は国鉄松浦線拾よぴ国道に大きな被害を拾よぼし
*た.地すぺりによって約60haの田畑が失なわれ たといわれている.基岩は加勢層拾よび福井層上 部であり,地層の傾斜方向ないし走向方向に滑動 した流れ盤型の地すぺりである.人が歩く程度の 速さで棚田がすぺり落ちたといわれている.この 地区には現在でも厚い崩積層が分布している.反 流れ盤型の人形石山地すぺり・西分地すぺりと流 れ盤型の石倉山地すぺりとでは運動機構にいちじ るしい相違がみられる.
4.3 木場(こば)〜寺上(てらげ)地区 人形石山地帯の西側斜面であり,県境の玄武岩
台地から今福川右岸に至る地区で発生している.
南北約1.8㎞,東西約1.5㎞にわたる大きな地 すぺり地が生成されて拾り,複雑な微地形を呈し た棚田地帯をなしている.過去に拾いて何回とな く滑動した様相を呈して拾り,現在でも部分的に すぺっているようである.流れ盤型の地すぺりで あり,上部地区には玄武岩系の崩積層が厚く分布 する.基岩は加勢層(上部地区)および福井層
(下部地区)である.崩積層と基岩との間には加 勢層の含有孔虫泥岩層拾よび福井層上部による潜 在すぺり面が発達している.
4.4 榎山地区
玄武岩台地から今福川左岸に至る斜面である.
玄武岩台地の標高260〜280m付近に長さ約400 mの大きな亀裂が発生レている.地層の傾斜は5
〜1O。西落ちであり,反流れ盤型の地すぺりに属 する.玄武岩類の直下には加勢層の上部砂岩層に
* 第1報p24に概要図あり.
相当する層準を分布する.構造的には注意を要す する地すぺりであり,地下構造の特徴拾よび潜在 すぺり面をボーリング調査によって把握すること が大切であると思われる.県の林務課担当で調査 中であり,地下構造の特性は拾って明らかにされ るであろう.
45 雇尾(やとお)地すベリ
松浦市今福町地内にあり,尾根筋の玄武岩台地 から海岸に向っている斜面である.昭和26年6月
26日に発生した崩壊性地すぺりは国鉄松浦線拾 よび国道などに被害を拾よぼした.斜面には崩積 層がかなり厚く分布している.玄武岩類・加勢層 下部拾よび福井層上部の組合せからなり,福井層 は地すぺり斜面の中央部以下に存在する.斜面は 反流れ盤構造である.
4.6 平尾地区
松浦市今福町の上平尾から下平尾にかけた地区 には広大な地すぺりが発達し棚田地帯をなしてい る.主として玄武岩類と加勢眉との組合せからな る流れ盤型の地すぺりである.図一12は上平尾 地すぺりの概要であり,図一13はボーリングの 特徴である.崩積層は玄武岩質拾よび礫混り粘土 である.基岩は加勢層からなり,含有孔虫泥岩層 にすぺり面が発達している.地すぺりと加勢層と の関係および特徴がよく現われている.
4.7 調川地区
松浦市調川町の中免から下免にかけた地区に広 い地すぺり地形が発達している.部分的な地すぺ りの記録はあるが,目立った地すぺりは発生して いない.加勢層と福井層上部によって構成されて いるが,すぺっているのは主として崩積層の一部 である.平尾地区と類似し,主として加勢層の含 有孔虫泥岩層にすぺり面を生じている.平尾地区 から中免・下免地区にかけた広大な地すぺり地形 は主として含有孔虫泥岩層を受け盤として発達し ているのが注目される.
4.8 白井地区
松浦市調川町地内にあり,白井岳(360m)を構 成している玄武岩台地の西側斜面で発生している ものは白井岳地すべりとよぱれている.白丼地区 には南北約2km,幅は台地から調川川右岸に拾よ んでいる広大な地すぺり地形が形成されている.
全般的凌動きは知られてい方いが,部分的にはた びたび地すぺりを繰り返している.図一14は白 井岳地すべり南部地区上部の概要である.地質は
地すぺり眉準の研矧2〕一松浦〜伊万里地域について一安藤・大久保・古川
玄武岩類・加勢眉拾よび福井層の組合せから在る.
地区内には断眉が存在しない.図一15は東西方 向に斜面を切った地下構造の模式断面である.地 眉は僅かに東〜北東落ちであるが,ほぼ水平に近 い構造である.斜面の上半部は加勢層,下半部は 福丼層で構成される.玄武岩類の直下には加勢層
の上部砂岩層を分布する.ボーリングによる地眉 の特徴を図一16に示した.
4.9 松山田地区
調川川の左岸地帯であり白井地区の対岸に相当 する.広大な地すぺり地形が発達して棚田を在し ているが,目立った地すぺりは発生して一ない.
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北松型地すべりの発生機構拾よぴ予知に関する研究(第2報)
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っている.地質は玄武岩類・大屋層・加勢層拾よ び福井層の組合せからなり,地すぺり地帯は反流 れ盤構造である.玄武岩台地と第三系との境には 急斜面が発達している.玄武岩類を受けているも のは大屋層であり,地すぺり斜面の上部地帯は大 屋層,中下部地帯は主として加勢層で構成される.
福井層は斜面の最下部に分布する.
4.10 里地すベリ
松浦市志佐町里地内で昭和35年5月に発生した.
図一17は里地すぺりの概要である.地すぺりに よる変動面積は約15haであり,住家8戸・田畑 9ha・溜池などに被害を拾よぼした.前年の8〜
9月項に小規模な亀裂や陥没がみられ,っいで38 年1月頃より亀裂が増大し,4月の降雨で活発と なった.5月中旬を頂点として小康状態となり,
その後の対策ではほぼ安定するに至っている.地 すぺり地区には観音寺池・山川池などの溜池が存 在したので決潰による下部への影響が必配された.
地すぺりは玄武岩類と加勢層との組合せからなり,
地層と地すぺりの関係は反流れ盤型である.標高 120〜130m付近に玄武岩を切る最大高さ約14 mの崩落崖を生成した.図一18は崩落崖下部の ボーリ1・グである.基岩は加勢層の上部に相当し,
砂岩・砂質泥岩および泥岩の互層で構成される.
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北松型地すぺりの発生機樽およぴ予知に関する研究(第2報)
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図一17 里地すぺりの概要
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4.11 池成地区
松浦市志佐町池成地区にあり,池成・橋ノ本・
上木場・日隠を一括した地区である1玄武岩台地 の東側斜面であり,台地の下から志佐川左岸にか けて南北約4㎞,幅は中央部で1㎞前後の面籏 を占める広大な地すぺり地形が発達している.池 成部落を含めた山麓部では昭和26年頃に多数の亀 裂が発生し,道路の陥没・地ぶくれ・かんがい用 水路・石垣などに地すぺりの敏侯を現わした.大 規模な地すぺりにまでは発展するに至らず,その
後は小康状態を保っている.しかし,警戒を要す る地区とみなされる.図一19は池成地すぺり地 区の概要である.
地すぺりは玄武岩類と大屋層との組合せからなる.
地層の傾斜はほぼ東落ちであり,流れ盤型の地す ぺりである.一般に玄武岩質の崩積層が厚く発達
.し,厚い玄武岩塊が押し出されたものとみなされ る部分がある.図一20はこの地区の地質構成を 示したボーリングである.上部のボーリソグは地 すぺり頭部に相当し,高法知岳(412m)の北東 約600m,標高186.6m地点に拾けるボーリング であり,玄武岩類と基岩の性質を示した.
下部のボーリングは池成部藩地区に拾ける地す ぺり調査である.基岩は大屋層の泥岩が卓越した 部分であり,泥岩・砂質泥岩拾よび砂岩の互層か らなり処々に炭質泥岩の薄層を挾在する.玄武岩 と基岩との間には厚さ数メートルの八ノ久保砂礫 層を介在する.この砂礫層は一度崩れると滞水層
をなす拾それがある.
地すぺり層準の研矧2ト松浦〜伊万星地域について一安藤・大久保・古川
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図一18 里地すぺりボーリンク図
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地質的には地すぺりのおそれがある地区とみなさ
れる.
4.12 東分〜立岩地区
伊万里市山代町地内にあり,南北約2・5㎞,東 西1.5〜2.Okmにわたり広大在地すぺり地形が発 達している.地すぺりによる沼が数多く分布し,
な鉦凹凸に富んだ緩斜面をつくっている.主とし て玄武岩類と世知原層上部との組合せからなる流 れ盤型の地すぺりである.上部地区では玄武岩質 の厚い崩積層が分布している.大きな滑動は知ら れていないが,部分的にはたびたびすぺっている ようである.東分から立岩にかけた地帯では崩積 層の下部にすぺり面となる粘土層が分布している ものとみなされる.世知原層の上部には砂盤・下 岩石・七ヘダなどの炭層を伴つた泥岩部が卓越し ている.基岩内にも潜在すぺり面が発達している おそれが大きい.
5. ま と め
佐世保層群と玄武岩類とで構成される北松型地 すぺりの主部一佐世保北部地域拾よび松浦〜伊 万里地域に括いて,地すぺり層準と地下構造の特 性を検討した.発生機構拾よび予知について地質 的に考察した.地すぺりの発生は,巨視的には地 盤の造構造運動・断層運動・玄武岩岩脈の存在な どに起因するが,発生機構拾よび予知の基本的な 問題点は玄武岩類および挾炭新第三系の構造要素 とこれにもとづく潜在すぺり面の存在であるとい
える.
玄武岩類の主な構造要素は台地性と火山層序的 な岩質であり,新第三系の主な構造要素は佐世保 層群〜野島層群を構成する小堆積輸廻と層相の特 徴である.玄武岩の岩石学的な分類は別として,
層序的な岩質は綴密率玄武岩・多孔質な玄武岩・
集塊質の玄武岩・岩淳凝灰岩拾よび砂泥層〜砂礫 層の組合せである.玄武岩類は不均質な風化によ って脆弱になっているものが多い.小堆積輸廻は 堅硬な砂岩部と風化しやすい泥岩部とからなり,
泥岩部には一般に薄い石炭層・炭質泥岩層拾よび 凝灰岩層の細かい互層が発達している.ゴマ層と よぱれる薄い凝灰岩の挾在は佐世保層群の特徴で
ある.
佐世保北部地域には世知原層歩よび柚木層と関 連する地すぺりが多く,松浦〜伊万里地域には加 勢層拾よび福井層と関連する地すぺりが多い.松 浦地域の西部地帯には野島層群の大屋層と関連す る地すぺりがある.主な潜在すぺり面は玄武岩類 と基岩との境に発達しているもの,地すぺり輸廻 の段階で崩積層の下部に残存ないし発達している もの,拾よび基岩の層準に発達した粘土層である.
基岩内の粘土層は一般にゴマ層ないし炭質泥岩層 が風化されている.地下構造とすぺり面を探査す ることによって地すぺりの予知がみいだされる.
5.1 地すべり層準について
規模の大きい地すぺりは玄武岩台地の縁辺部で 風化玄武岩の崩壊を伴って発生しやすい.玄武岩 類と基岩との境には砂質粘土ないし礫混り粘土の すぺり面が発達していることが多い.一また,一般 に玄武岩の最下部拾よび玄武岩を受けている砂岩 砂質泥岩あるいは泥岩は目立って軟弱化してい る.地域的に玄武岩系の旧地すぺり崩積層が広く かつ比較的厚く分布している.風化玄武岩拾よび 玄武岩系の崩積層はすぺり面に荷重を拾よぼし,
一17一
北松型地すべりの発生機構およぴ予知に関する研究(第2報) 防災科学技術総合研究報告 第27号 1971
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図一19 池成地すぺりの概要 北松型地すぺりの大きな要素をなしている.二次
地すぺり地帯は大部分が棚田をなしているが,部 分的なすぺりをおこしている.地すぺり層準括よ び地下構造の特徴は代表的な例を各論に示したが,
基岩の性質は発生機構に大きな影響を与えている.
(1)玄武岩類
北松地域の玄武岩類は第1報のごとくであり,
牟田原のボーリング・樽河内地すぺりの崩落崖・
元触地すぺりなどで特徴を示した.
12〕世知原眉拾よび柚木層の地すぺり 佐世保北部地域(第1報)で記載した.
(3〕加勢層の地すぺり
松浦地域には加勢層に関違する地すぺりが多く 分布する.佐世保層群最上位の加勢層は下位から 基底砂岩層一含有孔虫泥岩層一上部砂岩層に
大別した.上部砂岩層は泥岩を挾在するが砂岩拾 よび縞状砂岩の卓越した部分を一括している.炭 層はほとんど挾在されない.前記の木場〜寺上地 区・平尾地区・調川地区・里地区・白井地区など は基岩が加勢層に関連する地すべりである.とく に,木場〜寺上地区拾よび上平尾〜下平尾地区の 広大な流れ盤型の地すぺり地形は主として含有孔 虫泥岩層にすぺり面が発達している.榎山地区・
白井地区在どで玄武岩類を直接的に受けているも のは上部砂岩層である.砂岩拾よび縞状砂岩が卓 越しているので割合によく台地を保持している.
基底砂岩層は割合に堅硬であり安定性が大きい.
加勢層の地すぺりが玄武岩類の崩壊と組合わされ た場合には,石倉山地すべりや里地すぺりでみら れたように大きく発展する1二とがある.
地すぺり層準の研究12〕一松浦〜伊万里地域について一安藤・大久保・古川
池成地区の上部 下部の加寸寸り地区 E・L186・6 No・1(38室)Nα2137年〕
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福井層を構成する小堆積輪廻は図一5拾よび図 一6に示したごとくであり,福井層下部には厚さ 40〜50mの塊状砂岩層が存在するが,福井眉上 部では割合に泥岩部が卓越する.泥岩部にはゴマ 眉や炭質泥岩が挾在し,潜在すぺり面を生成しや すい.福井眉を基岩とした流れ盤型の地すべりは 局部的在ものを除いてはほとんど存在しない.
人形石山の東斜面地帯では反流れ盤構造の福井層 上部が玄武岩と共に崩壊して地すぺりに発展して いる一主として基岩の福井層が風化し脆弱化して いることによって繰り返されている.白井地区の 地すぺり斜面下半部は,ほぼ水平に近い福井層を 受け盤とした崩積眉が分布する.この部分は不安 定な状態にあり,部分的な地すぺりが目立ってい る.雇尾地区の地すぺり斜面でも下半部に反流れ 盤構造の福井層を分布する.
(5)世知原層の地すぺり
伊万里地域の世知原層では上位に砂盤・下岩石 七ヘダなどの炭層を伴った泥岩部が卓越する.
下位では砂岩眉が卓越している.下位の砂岩層は 比較的安定しており造崖性砂岩として露出してい
るのがみられる・山代町の東分〜立岩地区には広 大な地すぺりが分布しているが,主として世知原 層の上位を基岩とした流れ盤型のものである.
5・2 石炭の採掘と地すベリ
松溝地域では広く砂盤層が採炭されている.そ のほか福井一般・返掘・下二尺などが部分的に採 炭されている.加勢層の基底砂岩層は厚く堅硬で あり,一般に安定しているとみなされる.大きな 地すぺり地区の下部でも福井一枚などの旧坑道が 異状なく保持されている.一般に,安定した塊状 砂岩層と不安定になりやすい泥岩層との互層から なる新第三系では,石炭の採掘は直接的な地すぺ り原因とはねり得ないようである.潜在すぺり面 の存在にもっとも大きな地すぺりの原因がある.
しかし,長期的にみた場合には,地下水の浸透 拾よぴこれに伴う風化が促進され,場所によって は地すぺりの発生条件が採掘前よりつくられやす
くなることが考えられる.
5−3 予知について
北松地域では潜在すぺり面がいろいろな場所に 広く発達している.したがって,地すぺり発生の おそれは数多く存在する一しかし,地質的な素因 と降雨・地震などの誘因との重なりによる地すぺ りがいつ発生するかを推定することは至難である.
一般に,北松型地すぺりでは亀裂の発生など前駆 現象を伴いやすいため,地すぺりが発生する場合 には・その規模と性質をある程度まで予知するこ とが可能であるといえる.このためには,つぎの ことを検討する1=とが望まれる.
(1)玄武岩類の構造拾よぴ影響
玄武岩類の眉序的な構造と風化の発達状態を把 握し,これが地すぺりに作用するであろう分布の 特徴と地形との関係を考察する.
(2)地層の傾斜と地形との関係
地すぺりが流れ盤型であるかあるいは反流れ盤 型であるかを判定する.とくに反流れ盤型で地形 が急なときには崩壊性地すぺりに発展しやすい傾 向がある.
(3)地すぺり層準の性質
発生する地すぺりが佐世保層群のどの位置に相 当するかを確認し,地すぺり眉準の層相と風化の 状態を把握する.
(4)崩積層の状態
過去の地すぺり崩積層が分布する厚さ・性質な どを調査する.
一19一
北松型地すぺりの発生機構およぴ予知に関する研究(第2報) 防災科学技術総合研究報告 第27号 1971
(5)すぺり面の性状
玄武岩類と基岩との境にあるすぺり面,崩積層 と基岩との接触面付近にあるすぺり面拾よび風化 岩盤内に存在するすぺり面を探求する.すぺり面 とは可塑性が大きい粘土層をさしている.これら のすぺり面が地区に拾いて複合している状態と規 模を考察する.
5,4 発生僚槍について
玄武岩類はいわゆるcap rock的な性格をもち,
玄武岩の崩壊は地すぺりを刺戟している.亀裂の 発生は地すぺりの前駆現象であり,滑動期にはい ったことを示唆するものといえる.地すぺりの発 達は基岩の構造要素・岩質拾よび地形に大きく支 配される.構造要素・岩質拾よびすぺり面につい ては地すぺり層準の研究として多くの概念を示し た.ボーリング調査によって地すぺりの地下構造 を解析することは発生機構を想定する重要な要素
である.
発生状態と母体の性質からみた地すぺりは,基 岩内にすぺり面をもった岩盤地すぺり,主として 玄武岩類の滑落による玄武岩地すぺり,二次的在 崩積層地すぺり拾よびこれらの複合地すぺりに区 分した. また,地層の傾斜と地すぺりの関係につ いては流れ盤型(dip structure type)と反 流れ盤型(anti−dip structure type)とに 大別した.まれにほとんど水平層型の場合がある.
さらに運動形式を加味して発生機構を検討した.
流れ盤型の場合には,主として層理面に支配さ れた平面すぺり(p1anar)であり,層理面に発 達したすぺり面にそって滑動する.岩盤地すぺり のときは層状堆積の層間にせん断力が働いて
b1ock glideの状態を呈する.江迎町地内のわ しを岳地すぺり・吉井町地内の平山地すぺりなど は代表的なものである.玄武岩地すぺりのときは,
玄武岩類と基岩との間あるいは玄武岩類中の砂泥 眉・岩津層にせん断力が働いて大きく滑落する.
柚木町地内の元触地すぺり・世知原地内の長田代 北部地区地すぺりなどである.崩籏層地すぺりの 場合には,崩積眉と基岩との接触面付近にせん断 が働き,もとのすぺり面にそって再滑動する.崩 積層地すぺりは玄武岩地すぺりと複合したときに 大きく変動しやすい.この種の地すぺりは北松地 域一般に多くみられる.岩盤地すぺり呑よび崩積 層地すぺりの平面すぺりは一般に緩慢である.
反流れ盤型の場合には,玄武岩類のくずれによ って引き拾こされ急激な地すぺりに発展しやすい.
連続降雨や豪雨が誘因となって発生し,時に舌端 部では泥流(earth f1ow)ないし岩屑なだれ
(debris ava1anche)を伴うことがある.長崎
・佐賀県境の人形石山地区の地すぺりは崩壊性地 すぺりの代表である.玄武岩類め崩壊・基岩の性 質拾よび崩積層のあり方が注目される.含油新第 三系などに多い回転すぺり(rotationa1)とみ なされるようなものはきわめて少ない.まれに崩 積層の浅い円形すぺりが認められるが規模が小さ
い.
北松型地すぺりは平面すぺりあるいは崩壊性す べりである.基本的な発生機構は地下構造に支配 された潜在すぺり面による拡大破壊すぺりである
といえる.
参 考 文 献
安藤武・大久保太治・古川俊太郎(1970);地 すぺり層準の研究(I)一佐世保北部地域について,
防災科学技術総合研究報告,第22号 p55−76.
地質調査所(1970);佐世保北部地域地質図
(1/25,O00).
そのほか,北松型地すぺりの発生機構拾よび予 知に関する研究の第1報(論文11編)を参考と
した.なお,関連資料は総合研究報告に記載され
ている.