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炎症性腸疾患診療ガイドラインの改訂

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Academic year: 2021

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厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業  難治性炎症性腸管障害に関する調査研究 

分担研究報告書 

 

炎症性腸疾患診療ガイドラインの改訂

 

 

研究協力者    上野文昭    大船中央病院消化器・IBD センター    特別顧問 

 

研究要旨:初版の潰瘍性大腸炎およびクローン病診療ガイドラインを統合し,新しい開発手法を 採択した炎症性腸疾患ガイドラインの策定作業が,日本消化器病学会との共同プロジェクトとして 進められ,2016 年 10 月に「炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン 2016」が公開された.現在英文 化の作業中である. 

 

共同研究者 

渡邉聡明(東京大外科) 

松井敏幸(福岡大筑紫病院消化器内科) 

渡辺守(東京医科歯科大消化器内科) 

井上詠(慶應義塾大予防医療センター) 

小俣富美雄(聖路加国際病院) 

加藤順(和歌山県立医大第 2 内科) 

金井隆典(慶應義塾大学消化器内科) 

国崎玲子(横浜市大市民総合医療センターIBD セ ンター) 

小金井一隆(横浜市立市民病院外科) 

小林清典(北里大新世紀医療開発センター) 

小林健二(亀田京橋クリニック) 

猿田雅之(慈恵医大消化器内科) 

高橋賢一(東北労災病院大腸肛門外科) 

仲瀬裕志(京都大消化器内科) 

長堀正和(東京医科歯科大消化器内科) 

野口善令(名古屋第2赤十字病院総合内科) 

平井郁仁(福岡大筑紫病院消化器内科) 

本谷聡(札幌厚生病院 IBD センター) 

渡辺憲治(大阪市立総合医療センター消化器内 科) 

小林拓(北里大炎症性腸疾患先進治療センター) 

松岡克善(東京医科歯科大消化器内科) 

 

A.研究目的 

炎症性腸疾患(IBD)の診療に携わる医療提供 者と IBD 患者を支援するために,これまで潰瘍性 大腸炎(UC)診療ガイドラインとクローン病(CD)

診療ガイドラインが公開されていたが,すでに旧 態化していた.新たなエビデンスを基に改訂を加 え,最近の診療の実態を反映させた推奨指標を提 供することを目的とした. 

 

B.研究方法 

 

既存の炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン  は,UC,CD で開発年次や開発手法が大きく異なり,

整合性に乏しかった.改訂作業は日本消化器病学 会との共同の下に行われ,UC と CD を統合した IBD 診療ガイドラインとした.診療ガイドライン開発 手法として世界標準となってきた GRADE システム に準じた方法を採用した. 

前年度研究において,作成委員会による推奨草 案が評価委員会に諮られ,作成委員会にフィード バックされ,担当委員が必要に応じた修正・加筆 を行い,作成委員会修正案を作成した.また,推 奨指標に基づいて UC および CD の各病態における 診療アルゴリズムを作成した. 

今年度は,これらの推奨草案と診療アルゴリズ ムの最終案を確定した.推奨の強さを付記する必 要がない項目以外の推奨ステートメントの妥当 性につき作成委員による Delphi 評価が行われ,

中央値が 9 点中 7 点以上のステ―トメントを採択 した.またこのうち 8 点以上を強い推奨,7 点を 弱い推奨(提案)とした.最終案は研究班関関連 の IBD 専門ににメール配信され,内部審査を経た. 

現在に全文の英文化を進めている. 

 

(倫理面への配慮)本研究の性質上,倫理面で の問題はないと考えられる. 

        C.研究結果 

改訂 IBD 診療ガイドラインにおいては,疾患概 念,臨床像,診断,治療総論,IBD に対する治療 介入法,UC の治療,CD の治療,消化管合併症,

がんサーベイランス,特殊状況の IBD の 9 カテゴ リーで,合計 60 項目のクリニカルクエスチョン

(CQ)を策定し,これらに対して文献エビデンス を基に推奨ステートメントと解説文が作成され た.推奨ステートメントにはエビデンスレベルと Delphi 評価中央値が付記された. 

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71 また,最終決定した推奨ステートメントを反映  した診療アルゴリズム(フローチャート)が,UC および CD の診断と各病態における治療に関して 作成された.IBD の病態は複雑で,アルゴリズム は UC の診断1,治療4,CD の診断1,治療3の 計 9 図が作成された. 

最終案が決定し,炎症性腸疾患(IBD)診療ガ イドライン 2016 と題した出版物として公開され た. 

 

D.考察 

日本消化器病学会主導で,各種消化器疾患の診 療ガイドラインの作成・改訂が行われており,IBD 診療ガイドラインも本研究班が全面的に協力す る形で策定された.その開発方法は世界的に主流 となりつつある GRADE システムに準じた方法が採 択されている.GRADE システムでは,推奨の強さ がエビデンスだけでなく種々の価値観を勘案す るため,より実臨床に則しているという観点から は優れた方法と言える. 

その一方で,GRADE システムではきわめて厳密な 文献エビデンスの吟味が要求される.また単一研 究によって得られたエビデンスではなく,系統的 レビュー(メタ解析)による質の高いエビデンス に基づいて推奨指標を作成するのが通常である.

そのため GRADE システムを採用した海外の診療ガ イドラインでは,質の高いエビデンスの存在する 項目に限定した推奨指標を作成する傾向に   

ある.今回開発した IBD 診療ガイドラインは,診 療現場にできる限り網羅的な推奨指標を提供す る意図があり,GRADE システムの手法とは相いれ ない場合が少なくなかった.一部の治療に関する 項目を除き,GRADE システムに準じたとは言い難 い面もある. 

すでに診療ガイドラインの定義も変更されて いる現在,今後の改訂では世界の潮流を受け入れ るべきかを,根本的な解発計画として十分検討す べきと考えられる. 

 

E.結論 

IBD 診療ガイドラインが日本消化器病学会と共 同で開発され,公開された.UC および CD 診療ガ イドライン初版とは作成方法が異なるため,改訂 というよりも,むしろ新規作成に近い内容となっ た. 

 

F.健康危険情報        なし 

 

G.研究発表  現時点で未発表 

        H.知的財産権の出願・登録状況   

  なし                             

参照

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