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Academic year: 2021

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論文内容要旨

生殖補助医療法制化に向けての法医学的一考察

昭和学士会雑誌 第 76 巻 第 5 号 2016 年 掲載予定

社会医学系法医学専攻 根本紀子

不 妊 治 療 を 含 め た 生 殖 に 関 わ る 医 療 を 生 殖 補 助 医 療 ( assisted reproductive technology:ART)と呼ぶ。第三者が関わる ART〔非配偶者 間人工授精(artificial insemination with donor’s semen:AID)、卵 子提供、代理出産など〕には種々の医学的、社会的、倫理的問題を伴うも のの、規制もないままなしくずし的に行われつつある。第三者の関わる ART について国民の意識調査を実施した報告は少数あるが、大学生の意識調査 を行った研究は見当たらない。本研究ではある程度の医学知識のある昭和 大学医学部生と一般学生である上智大生を対象として第三者が関わる ART に対する意識調査を行った。アンケートに答えなくても何ら不利益を被る ことのないことを保証したうえでアンケート調査を行ったところ、医学部 生 235 名、上智大生 336 名より回答を得た(有効回収率 94.5%)。統計解 析は両集団で目的とする選択肢を選択した人数の比率の差をχ二乗検定 または Fisher の直接確立法検定で評価し、P<0.05 を有意水準とした。第 三者の関わる ART の例として AID、卵子提供、ホストマザー型(体外受精 型)代理出産、サロゲートマザー型(人工授精型)代理出産を取り上げ、

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その是非を尋ねたところ、医学生と一般学生で有意差は認められなかった ものの、前 3 者については両群とも 70%以上の学生が肯定的な意見を示 したのに対し、サロゲートマザー型代理出産については両群とも 40%以 上の学生が否定的な意見を示した。「自身の配偶子の提供を求められた場 合」と「自身あるいは配偶者が代理出産を依頼された場合」の是非につい ては有意に医学生の方が一般学生より抵抗感は少なかった。1999 年の一 般国民を対象とした第三者の関わる ART についての意識調査では 7 割か ら 8 割の国民が否定的な意見を述べたことに注目すると、この十数年間で 第三者の関わる ART についての一般国民の考え方も技術の進歩と普及に 伴い、かなり変化したといえる。今回、これから ART を受けることになる 可能性のある若い世代に対する意識調査で AID、卵子提供、ホストマザー 型代理出産について肯定的な意見が多数を占めたことは注目すべき結果 といえる。本稿では上記三つの ART はドナーや代理母の安全を確保したう えで法整備を進めるべきであると提言したい。また、サロゲートマザー型 代理出産は代理母に感染などの危険があるうえ、社会的、倫理的問題を多 く伴うので、規制することも視野に入れたうえで法整備を進めるべきと考 える。なお、第三者の関わる ART の実施に当たっては ART に直接関与しな い専門医により ART を受ける夫婦およびドナー、代理母に対し、利点、欠 点、危険性が十分説明されたうえで当事者の真摯な同意を法的資格を有す るコーディネーターが確認したうえでの実施が望まれる。ART に関する法 律が存在しない現在、医学的、倫理的、法的、社会的に十分な議論をした うえでの一日も早い法整備、制度作りが望まれる。

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