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大野 かおり 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

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Academic year: 2021

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別紙1

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

報告番号

3234

大野 かおり

論文審査担当者

主査 教授 宏太郎 副査 教授 中村 雅典

副査 教授 嶋根 俊和

論文題名

Changes in the oral environment in perioperative patients with cardiovascular diseases (心臓血管外科周術期患者における口腔環境変化に関する検討)

掲載雑誌名:BioMed Central Oral Health 投稿中

心臓血管外科周術期患者の口腔環境評価を実施し、口腔環境管理の重要性について検討を行った。対象患者 56名に対して手術前後計4回、口腔環境評価、VASスケール、口腔細菌叢の変化を調査した。開胸群の1~

20歯の患者には術前と術後48時間、術後48時間と歯科再受診時の細菌総量としては、有意差が認められ た。しかし、両群の術前後の1人当たりの細菌量では有意な差は認められなかった。高侵襲手術を受ける場 合は、口腔健康管理において、術前後の口腔環境の変化や手術直後に増加した細菌が口腔健康管理を行うこ とにより減少したことから、周術期口腔健康管理は重要であることが示唆された。

本論文の審査において、副査の中村委員、嶋根委員からの質問があり、それらに対する回答の要約を以下に 示す。

中村委員の質問とそれらに対する回答 1:非開胸群でも同様の傾向は認められるのか

非開胸群は、開胸群と比較すると、口腔環境評価に術前術後に大きな変化は認められなかった。この結果は、

呼吸管理日数や経口摂取可能日数が短いことが関与している。VASスケールは開胸群の52.83㎜と比較し19

㎜と明らかな差が認められた。口腔細菌叢は、開胸群と同様の細菌叢が検出され、違いは認められなかった。

細菌量は、術後48時間から術後歯科再受診時の変化は開胸群と比較して変化はあまり認められなかった。

残存歯数別の一人当たりの細菌量に関しても有意な変化は認められなかった。

2:性差、年齢、残存歯数による違いはあるのか

本研究において性差による違い認められなかった。術式を選択する基準において年齢が基準とされていた 為、開胸群の方が平均年齢は低く、口腔状態に関しては残存歯数等に関与していた。残存歯数による違いは、

開胸群の1~20歯において術前から術後48時間術後において有意に増加し、術後48時間から歯科再受診に おいて有意に減少を認めた。一方、非開胸群では、細菌総量の大きな変化は認めず、無歯顎と比較し、残存 歯数が多い程、一人当たりの細菌平均量は術後やや増加するも、術前術後に有意な差は認められなかった。

3:歯周病の重篤度との関連はあるのか

開胸群の方が残存歯数も多く、歯周ポケットが4mm以上の割合も66%と非開胸群と比較して高い割合であ った。術後感染症を発症した患者の8名のうち2名はBOP50%以上であった事から、歯周病との関連の 可能性も考えられる。しかし、本研究では歯周病の重篤度との口腔細菌の関連は検討できなかった事から、

(2)

嫌気性菌をターゲットとした経時的な口腔細菌叢と術後感染症との関連性についての分析が必要である。

4:より効果的な管理にはどのような方略が必要であるか

術後感染症と口腔細菌との関連性は低かったが、術前術後の口腔環境の変化や手術直後に増加した細菌が口 腔健康管理を行うことにより減少しており、周術期口腔健康管理は有用であり、手術後の早期の介入の重要 性が示唆された。口腔環境評価を病棟で活用し、チーム医療を通し術後感染症の予防に効果的な口腔健康管 理の確立や感染リスクの低減に繋がる周術期口腔機能管理を行うことが、今後も必要であると考えられる。

嶋根委員の質問とそれらに対する回答

1:術後48時間に口腔環境が悪化したとあるが、術前ケアの有用性はどうか。

患者自身のセルフケアや看護師による口腔ケアのみでは、歯石除去や感染源となる原因歯の処置を行うこと 事が難しく、現時点よりも術後の口腔環境の悪化が考えられる為、今後も歯科介入が必要である。

2:細菌総量には常在菌は入っているか。その結果をどう評価するか。

Streptococcus属等の口腔常在菌が検出された。術後48時間の時点で増加傾向にあるのは、術後人工呼吸

器管理が行われており開口状態が続いていること、薬剤や絶食状態が口腔常在菌の増殖に繋がっていると考 えられる。本研究では歯周病原菌に関しては検出を行っていない為、今後の課題である。

3:術後48時間に口腔環境が悪化し、その後改善しているということはADLが上がっただけではないか。

ADLが上がっていることも一つである。術後はICUにて毎朝歯科が介入していることも要因の一つでもある。

4:今後開胸術にはよりケアを徹底とあるが、実際はICUではどのような事を行ったらよいか。

今後もICUでは歯科医師による口腔管理は必要であるが、術後24時間等早期に介入することも一つである。

また、口腔環境評価のような歯科の専門的な知識がない医療従事者でも評価しやすいアセスメントツールを 使用することにより、より一層チーム医療による術後感染症予防に繋がるのではと考える。

5:術後感染症はあったか。なければこのままでもよいか。

尿路感染症7例、IE1例であった。今後も口腔健康管理は徹底して行うべきだと考える。

槇委員の質問とそれらに対する回答

1:術前後の細菌叢の変化について、入院期間中のどのような因子が関係したと考えますか。

薬剤や術後人工呼吸器管理、絶食による口腔環境の変化が関与していると考えられる。口腔環境の改善には 患者のADLやセルフケア、看護師によるケア、歯科医師・歯科衛生士による口腔健康管理が関与していたと 考える。

2:術後の口腔内水分量の変化には何が関与していると考えられますか。

薬剤や人工呼吸器管理による口腔乾燥が関与していると考える。

3:口腔ケアと術後感染について判明していることを述べてください。

術後肺炎の主な原因として病原性微生物を含んだ口腔咽頭貯留液の誤嚥が挙げられており、不顕性誤嚥によ り肺炎発症のリスクはより増大する。周術期口腔機能管理による口腔細菌の減少や口腔環境を改善し誤嚥性 肺炎の発症を予防することは重要である。

これらの試問に対する回答は、適切かつ明解であった。また、槇宏太郎委員は主査の立場から、両副査の質 問に対する回答の妥当性を確認した。手術前後の変化より術後感染症予防に周術期口腔機能管理が重要であ ることについても適切に論文を引用しながら論じている。

以上の審査結果から、本論文は本学大学院学位論文(博士)審査基準を満たしており、学位論文に値すると判 断した。

(主査が記載)

参照

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