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多連石造アーチ橋に学ぶ浅層大断面トンネル工法の開発

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Academic year: 2022

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橋面敷石

耳石

アーチ石 壁石

反力石

水切石 中詰石 要石 護床敷石 袴石 基礎石 梯子胴木

図2 石橋の概要

多連石造アーチ橋に学ぶ浅層大断面トンネル工法の開発

地域地盤環境研究所 正 橋本 正 パシフィックコンサルタンツ 正 安田 亨 大阪市交通事業振興公社 正 太田 拡 鳳コンサルタント 正 ○嶋村 貞夫

神戸市交通局 正 杉村 孝雄 日本鉄道建設公団 正 深沢 成年 国交省 正 藤村 正純 大阪府 吉備 敏裕 大阪市 芦原 栄治

1.研究の目的

都市部において地下鉄駅舎,地下駐車場,ライフラインの収納スペース,防災上の避難スペース,地下街などを確保 するために様々な工法で地下の開発が行われている.また施設の複合利用の推進により大規模化傾向にあるが,地上の 土地利用,環境保全,交通障害回避などの理由により,やむなく非開削工法が要求される事例が増えてきている.この ような背景に鑑み,本研究は都市部における大規模施設を,比較的土被りの浅い空間(浅層地下,土被りが2~10m 以 下)に,トンネル工法を用いて構築するための設計・施工技術について提案することを目的としている.本論文におい ては,浅層地下構造物に多連アーチ構造を適用する際,類似性に富む多連石造アーチ橋の設計・施工技術を応用するこ との有用性を示すものである.

2.浅層大断面トンネル工法とは

浅層大断面トンネル工法とは,ルーフ形成を NATM あるいはシールドなどの複合技術を使って非開削で行う工法の総 称である.浅層地下においては,土被りが小さいために全土被り荷重が作用しても支保規模が小さくてすみ,また一般 に地下水位よりも上位である可能性が高く施工上有利となる.これらの優位性に着目し,以下の特徴を有する工法の開 発を目指している.

1)荷重が小さいので、長期的には地山の支持効果を期待せず構造物で支持する.

2)ルーフなどにアーチ効果を期待することにより,より合理的な断面形状が可 能となる.

3)施工中は積極的に NATM 的な地山のグランドアーチを利用する.

4)NATM,シールド,推進工法などを融合した工法であり,設計・施工において 柔軟な発想に基づく. 本工法の概念図を図-1 に示す.

3.工法の類似性について

鹿児島の甲突川五石橋の移設復元に際し,調査,試験,復元作業を通じて,当 時のアーチ橋石造技術が明らかになった.一方,浅層トンネルにおいては,グラ ンドアーチが期待できないことから,ルーフの構造的アーチ効果で

支持することが基本となり,材質,耐荷力,アーチ形状,支持方式 などが課題となる.この課題は,石橋にも通ずる要素が多く,軸力 卓越型のアーチ形状的特性,離散ブロックによる構造成立性,アー チ支持部の側方拘束をいかに与えて安定性を図るかなどにそのまま 応用できる.なかでも施工法に共通する特徴がある.石橋は最後に 型枠を緩めてアーチの強化を図るのに対して,トンネルはわずかに 変形して応力を再配分し安定を図るものであり石橋施工技術が大い に参考になる.以上の石造アーチ橋技術の有用性を述べ,浅層大断 面トンネル工法技術開発への応用化を図る.

4.多連石造アーチ橋の技術的特徴

上記鹿児島の五石橋は,4連および5連の多連構造となっている.

多連石造アーチ橋の構造および各部の名称を図 2 に示す.形状とし ては,通行のため橋面を低くする必要があり,扁平アーチか小さな

図-1 工法の概念図

キーワード 浅層地下,大断面,非開削,石橋

連絡先 〒542-0081 大阪市中央区南船場3-10-10 鳳コンサルタント TEL06-6243-7810 FAX06-6243-0896 土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)

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アーチによる多スパンとする必要がある.アーチが扁平に なるほど,橋脚,橋台へ作用する水平推力が大きくなって,

施工も難しくなる.厚いアーチ石,強度の大きい石材,石 の結合など高度な技術力がなければ,扁平なアーチを採用 することができない.以上から,多スパン化によって,機 能性を高めたと思われる.この多スパン化は,基礎地盤の 鉛直支持力低減の点からも有利となる.

また,アーチ形状は,図3に示すように,半円形状では なく,2~3分切りされている.これはスパンライズ比に換 算すると,2.5~3.0程度なっている.

アーチ石は一重リング構造であり,凝灰岩が使われてい る.厚みは平均するとほぼ60cm,スパンとの比は0.05程度 である.中詰石は,壁石と路面とアーチ石の間に詰め込ま れた石で,図4に示すように間詰め土によって充填されて いる.この中詰石は,アーチ石の跳ね上がりを防ぎ,路面 の活荷重をアーチ石に分散して伝えるのが本来の目的であ るが,施工中においても,型枠を緩めてアーチ石を締める 際に,中詰石がアーチの崩壊を防止する目的で有効に機能 している.支点部に関しては,両岸の水平力に対する拘束 のために,大きい石塊を積み重ねて,約300tにもなる巨大 な塊(反力石)を埋設している(図5).

5. 浅層大断面トンネル工法への応用

浅層大断面トンネル工法への応用の有効性を検討する目的で,得られた知見は以下のとおりである.

① アーチ形状,偏平性,構造には相関がある.スパンライズは,2.5~3.0が望ましい.

② アーチ部材厚は,スパン比にして0.05程度で十分であり,また強度はさほど必要ない.

③ 多連アーチの場合,中間支柱の基礎対策はさほど必要ない.しかし両側の反力石は相当に巨大になり,側壁部・脚 部の拘束が最も重要である.

④ 石造アーチは,一般に考えられているよりもかなり強固である.交通荷重程度なら弾性挙動の範囲である.地震時 の安定,強制変位による安定についても通常の範囲内なら問題ない.特にブロック間の減衰効果,アーチ背面の裏込め 土による拘束が重要である.

以上の知見を浅層大断面トンネルの設計・施工技術に応用すると,矩形や大アーチよりも図1に示すような多連アー チ構造が最適であり,両側および中間アーチ背面の適切な拘束が重要であるといえる.

6.まとめ

近年では環境保全や交通障害回避の目的から、やむなく非開削工法を要求される事例が増えてきており、そこに本工 法を開発する意義がある。今後は、本工法の優位性、適用性を明らかにするとともに、多連石造アーチ橋の技術を継承 しつつ、本工法の設計・施工技術を確立し、社会のニーズに応えていきたい。

なお,本報告は、土木学会関西支部「浅層大断面トンネル工法における調査研究委員会」(委員長:京都大学 田村武)

において活動してきた結果の一部を集約したものである。

参考文献

1)鹿児島県 石橋記念館 展示解説書

2)鹿児島県土木部,西田橋移設復元工事 報告書,2000.4

3)吉原進,奥田朗,西原幸男 他,鹿児島県甲突川五石橋の形態的,構造的特徴,土木史研究 第 16 号 1996.6

4)高橋洋一,迯目英正,長谷場良二,吉原進,石橋アーチ橋の載荷試験と構造特性について,土木史研究 第 16 号 1996.6 5)菊田利雄,迯目英正,長谷場良二,吉原進,個別要素法によるアーチ石橋の構造特性の検討,土木史研究 第 16 号 1996.6

図 3 アーチ形状の分切り

図 4 中詰石の間詰め土

図 5 反力石の構造 土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)

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参照

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