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相模原地域における河川景観の特徴に関する調査研究

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Academic year: 2022

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(1)Ⅳ− 13. 第39回土木学会関東支部技術研究発表会. 相模原地域における河川景観の特徴に関する調査研究. 明星大学理工学部建築学科. 学生会員. 明星大学理工学部総合理工学科. 正会員. ○伊藤. 晋平. 藤村. 和正. 1.研究の背景と目的 人々は河川との様々な関わりの中で、利便性や快適 性を求めて河川周辺に生活や生産の拠点を置いてきた。. 道保川調査地域. 町田方面. 厚木方面. 今日、水辺と関わりのあるまちづくりを進めている市 区町村は多く、その中で地域がもつ景観の特徴を生か 八瀬川調査地域. すことは重要である1)。菅原ら2)は岩手県盛岡市の中 心市街地を対象として河川景観整備および保全に資す る知見を得るために写真投影法を用いて河川景観の特 徴を明らかにし、都市景観形成ガイドラインの指針を 表している。また、白井3)は愛知県の豊川を対象とし. 相模川調査地域. て、ヒアリング調査により河川流域の視点場における. 0. 2km. 利用実態の把握を行い、利用者が好ましいと感じる河 川景観を抽出している。本研究では、地域計画および. 図1 相模原地域の調査対象地. 河川整備計画における良好な河川空間の創出を念頭に. 区新戸付近とする。道保川の調査地域は、公園整備が. 置いて、相模原地域の3つの河川を対象として、写真. されている相模原市中央区上溝付近とした。八瀬川は. 投影法と景観把握モデルを用いて、河川景観の特性を. 準用河川であり、調査地域は相模原市緑区田名付近の. 明らかにすることを目的とする。. 住宅地である。. 2.河川景観把握の調査方法. 4.相模原地域3河川の景観調査. 河川利用者から見た景観の特性を明らかにするため. 調査日は平成 23 年 9 月から 12 月にかけて各河川地. に景観把握モデルと写真投影法を用いた。景観把握モ. 域で 6 日間、合計 18 日行い、被験者は相模川地域で. デルは篠原. 4). が提案した手法で、景観現象を構成する. 70 人、道保川地域で 59 人、八瀬川地域で 52 人であっ. 要素として、視点、視点場、主対象、対象場とし、そ. た。被験者の河川利用の目的を表 1に示す。各河川地域. れらの関係性によって景観の特性を把握する方法であ. とも散歩利用が多く、約 30%から 50%となっている。. る。また、写真投影法とは、写真による環境世界の投. 第2位は相模川はジョギングとなっているが、道保川. 影的分析法であり、1988 年に野田. 5). が用いた手法であ. は公園利用であり、八瀬川では通り道であり、河川規. る。被験者にカメラを渡し、何らかの教示を与えて写. 模により差異が表れている。. 真を撮らせ、その写真から被験者が認知した環境と意. (1)相模川の河川景観. 識を把握する方法であり、地理学や心理学などの分野. 景観把握モデルにより被験者の主対象を抽出した結. で用いられている。本研究では現地で「好きな風景」. 表1 被験者の河川利用の目的 散歩. ジョギング. 通り道. 公園. その他. 合計. 人数. 24 人. 16 人. 12 人. 5人. 13 人. 70 人. %. 34%. 23%. 17%. 7%. 19%. 100%. 人数. 31 人. 1人. 0人. 18 人. 9人. 59 人. %. 53%. 2%. 0%. 30%. 15%. 100%. 人数. 23 人. 1人. 16 人. 11 人. 1人. 52 人. %. 44%. 2%. 31%. 21%. 2%. 100%. というテーマで被験者に自由な方向、角度で撮影して もらい、写真に対する意識を述べてもらう。. 相模川. 3.対象河川と調査対象地域 対象河川は相模原市を流れる規模の大きい相模川と 市街地を流れる中小河川と言える道保川と八瀬川とす る(図 1) 。相模川の景観把握の調査地域は相模原市南. 道保川. 八瀬川. キーワード 河川景観 写真投影法 景観把握モデル 主対象 相模原地域 連絡先 東京都日野市程久保 2-1-1 明星大学理工学部建築学科 藤村研究室 TEL 042-591-5111.

(2) Ⅳ− 13. 第39回土木学会関東支部技術研究発表会. 果、河川が 39%、山並み 33%であった(図 2(a)) 。河 川が主対象として捉えていた場合、眺め方向は堤防上 から撮影したこともあるが対岸景がほとんどであった (写真 1(a)) 。山並みを主対象としている場合は、遠方 ではあるが丹沢山系の大山を捉えていた(写真 1(b)) 。 被験者が「好きな風景」として選んだ理由を集約した. (a)相模川 図2. (b)道保川 (c)八瀬川 被験者撮影による主対象. ところ、 「川の流れ」をはじめ川の情景についての回答 が多かった。その他、散歩等で馴染んでいる風景とい う理由も見られた。 (2)道保川の河川景観 道保川景観の主対象は、河川が 38%、樹木等が 25%、 庭園風景が 20%であった(図 2(b)) 。道保川の場合、住 宅街の中に河川があり山並みなどの遠景はないので、. (a)主対象が河川 写真1. 流水周辺の樹木を主対象としている場合が多い(写真. (b)主対象が山並み. 被験者撮影による相模川景観の例. 2(a))。また、川辺の庭園風景の植栽も主対象として選 んでいる場合も見受けられる(写真 2(b)) 。被験者の「好 きな風景」の理由は、落ち着き、リラックスのできる 空間についてが多かった。その他、庭園風景に関する 理由も見られ、それを含めた全体の風景、景色といっ た理由も挙げられた。. (a)主対象が樹木 写真2. (3)八瀬川の河川景観. (b)主対象が庭園風景. 被験者撮影による道保川景観の例. 八瀬川景観より抽出された主対象は、河川が 56%、 橋が 29%、植物が 15%であった(図 2(c))。河川が主 対象の場合、相模川に比べ河川の規模が小さく橋の上 から撮影されたこともあり、流軸景が多かった(写真 3(a))。一方、橋が主対象である場合、橋の外観よりも 散歩等で馴染みのある景観として捉えている様子が伺. (a)主対象が河川. える(写真 3(b))。 「好きな風景」として選んだ理由は. 写真3. 散歩等での利用が多く、景色の美観よりも見慣れて馴. 相模原地域の 3 つの河川を対象として、景観把握モ デルと写真投影法を用いて河川景観の特徴を表した。 相模川の場合、河川空間や遠景の山並みなどを景観と して意識しているが、市街地を流れる道保川や八瀬川 での調査では、美観、景色よりも見慣れて馴染のある. 被験者撮影による八瀬川景観の例. 表2 「好きな風景」として選んだ主な理由. 染のある風景であることが推察される。 4.おわりに. (b)主対象が橋. 相模川 ・川の流れ. 道保川. 八瀬川. 6 人 ・落着き/静か/リラックス 15 人 ・散歩等に利用. 11 人. ・その他川について 14 人 ・全体風景. 7 人 ・落着き/静か/リラックス 6 人. ・山に関して. 4 人 ・川の流れ. 6人. 6 人 ・その他川について. 5人. 5 人 ・橋に関して. 5人. 12 人 ・樹木に関して. ・散歩等に利用. 8 人 ・散歩等に利用. ・落着き/静か/リラックス 7 人 ・庭園風景 ・緑がある. 5 人 など ・川について. 8 人 など ・草花に関して 5 人 など. 計画学会都市計画論文集,139,2005. 3) 白井律子:視点場の利用実態と利用者側からみた. 風景を景観として捉えていることが示唆された。. 河川景観の特徴・豊川における河川景観整備に関す. 【参考文献】 1) 国土交通省:河川景観ガイドライン,河川景観の形. る研究,豊橋技術科学大学建設工学部,日本建築学会. 成と保全の考え方,2006. 2) 菅原崇史・三宅諭:盛岡市中心市街地を流れる中 津川の景観特徴,岩手大学農学部共生環境課程,日本. 大会学術講演梗概集,7152,2003. 4) 篠原修:新体系土木工学,景観の工学的把握,土木 学会編,pp27-39,1993. 5) 野田正明:漂白される子供たち,情報センター出版 局,1988..

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参照

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