• 検索結果がありません。

経済研究所 / Institute of Developing

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "経済研究所 / Institute of Developing"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

新刊紹介 ‑‑ 若林正丈編「ポスト民主化期の台湾政 治 ‑‑ 陳水扁政権の8年」(ブックシェルフ)

著者 佐藤 幸人

権利 Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization (IDE‑JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名 アジ研ワールド・トレンド

巻 175

ページ 46‑46

発行年 2010‑04

出版者 日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL http://doi.org/10.20561/00046464

(2)

アジ研ワールド・トレンド No.175 (2010. 4)

46

  二〇〇〇年︑歓喜

に包まれて生まれた

陳水扁政権は︑何故︑

二〇〇八年︑失望に

まみれて退場するこ

とになったのか︒台

湾と東アジアにとっ

て︑この八年間は何

だったのか︒本書は︑

このような問題意識を共有しながら八

人の研究者が取り組んだ陳水扁政権に

対する総合的な分析である︒編者︑若

林正丈は日本ばかりでなく世界的にも

台湾政治研究をリードしてきたこの分

野の第一人者である︒

  本書は序章と九つの章から構成され

ている︒若林による序章﹁李登輝が残

したコンテキスト︱ポスト民主化期の

﹃憲政改革﹄︱﹂は︑本書の分析の基

礎となっている︒李登輝は新興民主体

制の国家性と統治能力の強化という課

題に取り組んだが︑その成果は中途半

端なものに終わった︒しかも︑対外的

にはアメリカの懸念を呼び︑しだいに

台独阻止という点で米中協調を生み出

していった︒若林は︑国家性の追求お

よびそれと若林が﹁七二年体制﹂と呼

ぶ東アジアの国際政治の枠組みとの間

の軋みという側面では︑李政権と陳政 権との間にはむしろ強い連続性があったとみている︒ 

第一章以下では

このような理解を踏

まえながら︑陳水扁

政権期の政治を検討

した︒第一章から第

六章までが内政につ

いて議論し︑第七章から第九章が外政

について論述している︒

  第一章﹁陳水扁の政権運営﹂︵小笠

原欣幸︶は︑陳水扁と民進党の﹁暗転﹂

が何時︑どのようにして生じたのか︑

というこの八年間の最も鍵となる問題

に深く切り込んでいる︒小笠原は緻密

な分析をもとに︑新興政治家のヘッジ

を採らない政治的冒険と︑その栄光お

よび挫折を描き出した︒

  第二章﹁金権政治の再編と政治腐敗﹂

と第三章﹁国民党の政権奪回︱馬英九

とその選挙戦略︱﹂は松本充豊が執筆

した︒この二章は︑松本がこれまで取

り組んできた国民党政権と﹁金﹂の関

係の分析の拡張となっている︒第二章

では︑準備不足のまま政権に就いた陳

水扁と民進党の﹁金﹂に対するやや拙

劣とも言える対応を検討している︒第

三章では︑初めて野党に下った国民党 が︑動揺と混乱から脱け出し︑馬英九を総統候補に擁立し勝利するまでの過程を明らかにした︒  第四章﹁台湾における多文化主義政治と運動﹂︵張茂桂︶は︑先住民族を

含め︑エスニシティ上︑複数の異なっ

たバウンダリーを持つ社会という側面

から︑台湾政治を分析している︒民主

化がこのような社会の上で展開した結

果︑台湾政治では多文化主義が制度化

されることになった︒しかしながら︑

多文化主義が一面において選挙の道具

と化していった点も︑張は鋭く指摘し

ている︒  第五章﹁ポスト民主化期における租

税の政治経済学﹂︵佐藤幸人︶は︑陳

水扁期から馬英九政権初期の租税改革

を分析し︑財界の主張をカウンターバ

ランスしたのは︑野党や社会団体では

なく︑財政学者のプロフェッショナリ

ズムであったことを明らかにした︒そ

れは同時に︑統一か独立かという政党

間の主要な争点と︑一般的な公共政策

をめぐる議論が別次元にあることを示

している︒

  第六章﹁﹃選挙上手﹄はどの政党だっ

たのか?︱台湾立法院選挙集票構造の

分析︱

﹂︵若畑省二︶は

︑一九九二年

末以降六回の立法院選挙の集合データ

の分析から︑国民党と民進党の集票構

造の違いを析出している︒台湾の選挙

制度は︑二〇〇八年から小選挙区比例

代表並立制へと変更された︒本章は新

たな制度の下で︑立法院選挙において︑

イデオロギーに基づく国民党と民進党

の二大政党対決の様相が深まると展望 している︒  第七章﹁改善の﹃機会﹄は存在したか?︱中台対立の構造変化︱﹂と第八章

﹁﹃最良の関係﹄から

﹃ 相互不信﹄

へ︱米台関係の激変︱﹂は︑松田康博

の論考である︒読者はこの二章から中

台︑米台そして台湾内部の密接な連動

を読み取ることができよう︒また︑台

湾という相対的には小さな存在が︑大

国である中国やアメリカに対して︑そ

の意に反してまでも自己主張していか

なければならないという︑台湾政治の

課題も鮮烈に示されている︒

  第九章﹁国際空間の拡大?︱﹃実体﹄

としての国際参加︱﹂︵竹内孝之︶は︑

国際政治上︑特異な位置にいる台湾の

外交政策について︑特に国際機関への

参加の試みを分析している︒陳政権は

この面でもまた︑厚い壁に阻まれてい

たことが示されている︒

  本書の分析から︑新興民主主義とし

て︑また中国との複雑な関係において︑

台湾政治が厳しい制約を課されていた

ことが浮かび上がってくる︒しかしな

がら︑同時に︑陳水扁と民進党は部分

的には異なる途へ進む可能性もあった

ことも示されている︒本書から︑恐ら

く今後の台湾政治もまた同様の制約と

可能性を引き継いでいくことになるだ

ろうという展望が導き出される︒

︵さとう

ゆきひと/アジア経済研究所

新領域研究センター主任研究員︶

若林

  正丈    編 ﹃ポスト民主化期の台湾政治 ︱陳水扁政権の

8 年﹄

研究双書

 No.  五八二アジア経済研究所

■ 

佐藤 幸人

 ■

新刊

紹介

参照

関連したドキュメント

[r]

生徒達は,2年生の時に修学旅行で韓国を訪問

There- fore, during fiscal year 2017, I examined 122 samples of living calcitic tests of benthic foraminifera, which I collected during 2016 Umitakamaru and 2017 Dai

関西学院大学キリスト教と文化研究 = Kwansei Gakuin University journal of studies on Christianity and

[r]

空気 くうき 名詞 銃 じゅう 名詞 空気銃 くうきじゅう 名詞 ここで -

12/22 会 長 事務局 会 長 に5の「内容審査」 、次ページの「総合評価」については、後ほど説明いた

ETERNUS DX60 S2 preferred_path ETERNUS DX60 S4/DX100 S4/DX200 S4, ETERNUS DX500 S4/DX600 S4, ETERNUS DX60 S3/DX100 S3/DX200 S3, ETERNUS DX500 S3/DX600 S3, ETERNUS DX8700