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胚性ゲノム活性化を保証するエピゲノム制御機構の 解明

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Academic year: 2022

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胚性ゲノム活性化を保証するエピゲノム制御機構の 解明

著者 杉山 昂太

URL http://hdl.handle.net/10236/00028911

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2019年度 修士論文要旨

胚性ゲノム活性化を保証するエピゲノム制御機構の解明

関西学院大学大学院理工学研究科 生命医化学専攻 関研究室 杉山昂太

多細胞生物においては、受精直後の初期化により全能性が確立され、分化に伴いな がら多能性へと移行し、やがては多能性が消失し各体細胞へと分化する。この全能性 の確立には、発生初期に起きる、胚性ゲノム活性(ZGA)が非常に重要なイベントで ある。マウスでは、2細胞期後期にZGAが引き起こされるが、同時期にヒストン修飾 の再編成、父性ゲノム DNA の脱メチル化及びオープンクロマチン領域の形成などの エピゲノムの広範囲な再編成も観察される。しかし、このようなエピゲノムの再編成 と ZGAの因果関係は不明である。また近年、培養中のマウス ES 細胞において、1%

以下の割合で 2 細胞期胚に近い性質を持つ 2 細胞様細胞(2CLC)が存在することが 示されており、全能性を制御する分子基盤解明の有用なツールとして期待されている。

我々は、マウスの始原生殖細胞形成に必須の転写因子、PRDM14 に着目しており、

多能性関連遺伝子の発現誘導と分化関連遺伝子の発現抑制という異なる機能を有する ことを明らかとしている。また、PRDM14抑制複合体パートナーとして同定した転写 抑制仲介因子 CTBP1/2 をマウス ES 細胞で二重欠損(DKO)すると、予想外なこと に MERVL 陽性細胞の割合が 0.1%から 30%程度まで増加することを明らかとした。

また、Ctbp1/2 DKO ES細胞を血清+LIF(S/L)の通常培養条件から、2i(ERK、GSK3 βの阻害剤)+LIF(2i/L)の培養条件に移行させることで、70%程度の細胞がMERVL 陽性細胞へ移行することを明らかとした。そこで、本研究ではCtbp1/2と2i/LIFのシ グナルを切り口とし、ZGA及び多能性幹細胞から2CLCへの変換過程における詳細な 分子機構を明らかとすることを目的とする。まず、2i/LIF培養条件の特徴として、DNA の脱メチル化が誘導されることが報告されている。そこで、DNAの脱メチル化と2CLC の出現の関係性を検証するため、DNA メチル化維持酵素 Dnmt1 Ctbp1/2 三重欠損

(TKO)ES 細胞を樹立し、解析を試みた。その結果、TKO ES細胞はS/L培養条件 でほぼ全ての細胞がMERVL陽性細胞へと移行していることを明らかとした。そのた め、2i/LIF 移行により DNA 脱メチル化が生じ、クロマチン構造が変化することで 2CLC への移行が促進されている可能性が示唆された。また、2CLC 出現における Ctbp1/2 の作用点を明らかとするために、RNA-Sequencing を行い遺伝子発現変化を 網羅的に解析した。その結果 2 細胞期遺伝子転写因子である DUX の発現上昇が観察 された。これまでの先行研究では2CLCの出現はDUXに依存しているとされてきた。

しかし、今回Dux Ctbp1/2 TKOES細胞を樹立したところ、予想外なことにMERVL 陽性細胞の割合がCtbp1/2 DKO ES細胞とほぼ変化が観察されなかった。このことよ り、CTBP1/2はDUX非依存的な経路を制御することで2CLCの出現を制御している 可能性が示唆された。

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