一 般 演題 〈研 究 〉 周 産 期 ロ ー リス ク4
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分 娩 第I期
に お け る 助 産 師 の
内 診 実 施 の 判 断 に 影 響 を 及 ぼ す 因 子
一都 内 に勤 務 す る助 産 師へ の ア ンケ ー トよ り 一
東京都立荏原病院看護科○上 田 加奈子
〃 井 上 律 子
〃 大 和 八千子
I 緒 言 WHOは 周 産 期 ケ ア の ガ イ ドライ ン と して 、 母 児 へ の 不 必 要 な 刺 激 ・処 置 を 極 力 避 け る こ と を提 言 して い る。内 診 は 痛 み を伴 う処 置 で あ り、産 婦 は不 安 や 恐 怖 、差 恥 心 を 持 ち や す い。 近 年 、産 科 領域 にお い て も 、根 拠 に基 づ く医 療(EBM)へ の 関 心 は 高 い 。 しか し、 内 診 につ い て は 「回 数 とタ イ ミ ン グ は 分 娩 進 行 を適 切 に評 価 し 、 異 常 を 早 期 に発 見 す る た め に 十 分 な 頻 度 で 行 わ れ る べ き で あ るが 、 必 要 以 上 に頻 回 に 実 施 す る べ き で は な い」 と され 、 具 体 的 な 頻 度 や 行 う タイ ミ ン グ に つ い て の意 見 は 一 致 して い な い 。 そ こで 助 産 師 が 内 診 を 行 う判 断 材 料 の 根 拠 を知 る た め 、 分 娩 第1期 に お い て助 産 師 が 内 診 を 実 施 す る時 、 ど の よ う な 因 子 が 関 係 し て い る の か を 明 らか に し 、 内 診 の エ ビ デ ンス に 関 す る 問 題 提 起 と した い 。 II方 法 ① 調 査 期 間:2002年12月 か ら2003年1月 ② 対 象:無 作 為 抽 出 した 分 娩 を 取 り扱 う27施 設 で 助 産 業 務 に従 事 す る助 産 師383名 ③ 研 究 方 法:任 意 で の 無 記 名 方 式 質 問 紙 調 査。 分 析 に は 統 計 解 析 ソ フ トSPSSを 用 い た 。(P<.05)④ 質 問 紙 の 内 容:28項 目 の 状 況 下(陣 痛 発 来 入 院 時 ・胎 児 に徐 脈 が み られ る 等)で 内 診 を行 うか を 、5段 階(必 ず 行 う ・だ い た い 行 う ・ど ち ら と も言 え な い ・あ ま り行 わ な い ・行 わ な い)で 尋 ね る質 問 。30項 目 の 状 況 下(初 産 婦 ・ 経 産 婦 ・回旋 異 常 が あ る等)で 内 診 の 回 数 は変 化 す る か を 、5段 階(増 え る ・少 し増 え る ・ ど ち ら と も言 え な い ・や や 減 る ・減 る)で 尋 ね る質 問 。 内 診 に つ い て の 自 由 意 見 や パ ー ソナ ル デ ー タ に 関 す る 質 問 。 III 結 果 及 びIV考 察 〔対 象 〕24施 設 か ら265部 の 回 答 を得 た(回 収 率69.2%)。254人 の有 効 回 答 を 分 析 対 象 と し た(有 効 回 答 率95.8%)。 助 産 師 の 経 験 年 数 は1年 ∼34年 、 平 均8.7年 で あ っ た 。 また 分 娩 介 助 件 数 と経 験 年 数 に は 明 らか な 相 関 関 係 が あ っ た 、(Pearsonの 相 関 係 数.800) 〔内診 の タ イ ミ ン グ に つ い て 〕 「入 院 時 」 に行 っ て い る と い う 回答 が 最 も 多 か っ た 。分 娩 第1期 の 分 娩 進 行 状 態 の 把 握 は医 師 ・助 産 師 に とっ て 極 め て 重 要 と 言 わ れ て お り、 助 産 ケ ア の 方 向 性 を 見 い 出 す た め と考 え られ る 。次 に 、 「破 水 時 」 「産 婦 が 怒 責 して い る」「産 婦 が怒 責 88 日本助 産学 会 誌 第17巻 第3号(2004.3)を予 測 し た 結 果 で あ る と言 え る 。 さ ら に 「遅 発 性 一 過 性 徐 脈 が み られ る」 時 も行 う傾 向 に あ り、母 児 の 安 全 確 保 の た め に早 急 な 対 応 を と る必 要 が あ る た め だ と考 え られ る 。 よ っ て 、 助 産 師 は上 記 の タイ ミ ン グ に お い て 、 産 婦 の 現 状 把 握 をす る ・分 娩 の進 行 を把 握 す る ・母 児 の 安 全 確 保 を す る 目的 で 内診 を行 っ て い る と言 え る 。 〔内診 の頻 度 に つ いて 〕 「回 旋 異 常 が あ る」 場 合 に増 え る傾 向 に あ った 。 これ は 正 常 か ら 逸脱 しや す い状 態 で あ り、 母 児 の 安 全 確 保 す な わ ち 異 常 の 早 期 発 見 の た め に頻 度 が 増 加 す る と考 え られ る。一 方 、 「前期 破 水 」時 、回 数 が 減 る傾 向 に あ り、感 染 防 止 の 観 点 か ら一 般 的 な 判 断 と一 致 した 。 また 「メ トロ イ リン テ ル を使 用 して い る 」 時 も 回 数 が 減 る傾 向 に あ り、 こ れ はそ の脱 出 時 に進 行 を あ る程 度 推 察 で き るた め と考 え る 。 また 産 婦 が 内 診 を嫌 が る とき に 回 数が 減 る 傾 向 に あ っ た。「内診 は 必 要 最 低 限 に した い」と答 え た 助 産 師 が 約 半 数 にの ぼ っ た こ とは、「産 婦 中 心 の助 産 ケ ア を提 供 した い」と い う 気 持 ち の現 わ れ で あ る と推 察 す る厚 生 労 働 省 の妊 娠 ・出産 に 関 す るQOLの 向 上 を 目指 す こ とは 時 代 の 要 請 で あ る と い う見 解 に も 一 致 す る。 よ っ て 、 内診 の頻 度 は産 婦 の ニー ズ に よ っ て も減 る とい え る 。 〔経験 年 数 に よ る影 響 〕 内診 を行 うか を尋 ね た質 問で は 、21年 以 上 の 群 で 「産 婦 の 表 情 が 険 し くな っ た 」 時 、 行 う傾 向 に あ った 。 内 診 の 回数 は 増 え るか を 尋 ね た 質 問 で は 、 「身長15 0cm以 下 の 産 婦」「適 時 破 水 後 」 「羊 水 混 濁 が あ る」 「回 旋 異 常 が あ る 」 の4項 目で 、1年 ∼5 年 の群 に お い て 回 数 が 「増 え る」 に偏 りが 見 られ た 。 これ らの 状 況 は 、 分 娩 進 行 状 況 や 児 の 状態 につ い て 、 経 験 の 浅 い 助 産 師 を不 安 に さ せ る要 因 とな るた め と考 え られ る 。 以 上 の 結 果 か ら助 産 師 の 経 験 年 数 は 内診 の タ イ ミ ン グや 頻 度 に影 響 を 及 ぼ して い る と言 え る 。 〔施 設 形 態 に よ る 違 い 〕 助 産 院 で は14項 目に お いて 、 他 施 設 よ り行 わ な い 傾 向 が あ っ た 。 これ は 助 産 院 が ロー リス ク な 妊 産 婦 や 正 常 分 娩 を取 り扱 う こ と、 妊 娠 か ら出 産 ま で 特 定 の助 産 師 が 継 続 的 に関 わ っ て い る こ とが 寄 与 して い るた め と考 え られ る 。しか し、「産 婦 が 内 診 し て 欲 し い と言 って い る 」 時 は 他 施 設 同 様 、 行 う傾 向 に あ っ た 。 内診 の タ イ ミ ン グ と頻 度 の 両 質 問 にお いて 、 施 設 形 態 間 で 多 くの 回 答 に ば らつ き が 見 られ た 。 そ れ は 各 施 設 で 取 り扱 う分 娩 件 数 ・産 婦 の 背 景 ・ス タ ッ フ の 人 数 ・医 師 の存 在 や 方 針 の違 い が あ る た め だ と推 測 さ れ る。 以 上 の結 果 か ら施 設 形 態 に よ って 違 い は あ る と言 え るが 、 そ の 要 因 は 産 婦 の 持 つ リス ク の違 い 、す な わ ち 母 児 の 安 全 確 保 に関 わ る 因 子 と、 産 婦 の ニ ー ズ に よ る もの で あ る と言 え る 。 V 結 論 内 診 に影 響 及 ぼ す 因子 と し て 、 以 下 の 結 果 が 示 され た 。 ① 分 娩 進 行 を 表 す 産 婦 の 症 状(怒 責 感 、 肛 門 圧 迫 感 、 産 婦 が 怒 責 して い る)② 母 児 の 安 全 性 を脅 か す 現 象(遅 発 性 一 過 性徐 脈 が み られ る 、 回旋 異 常 が あ る)③ 産 婦 の 内 診 に対 す る 要 望(内 診 し て ほ し い 、 して ほ し くな い)④ 助 産 師 の経 験 年 数 ・分 娩 介 助 の経 験 数⑤ 分 娩 の進 行 状 況 を 把 握 した い と い う助 産 師 の ニ ー ズ 。 この よ う に 、 助 産 師 の 内診 に対 す る 意 識 は 明 らか にな っ た が 、 内 診 の 実 態 や 妊 産 婦 の 内診 に 対 す る意 識 を調 査 す る に至 らな か っ た の で 、 そ れ を今 後 の 課 題 と した い。 日本助 産 学 会 誌 第17巻 第3号(2004.3) 89
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T病 院 にお け る早 期新 生児 期 の 黄疽 予 防 と
授 乳 方式 に関す る基礎 的研 究
都立大塚病院 村 田 滋 子 I.緒 言 一 般 に母 乳 育 児 に お い て は 黄 疸 の 増 強 が 懸 念 され る。早 期 新 生 児 期 の 黄 疸 は15%∼30%に 発 症 し、授 乳 方 式 に よ っ て 大 き く差 が あ る とも い わ れ て い る。 しか し、 日本 に お け る ミル ク補 充 の ガ イ ドライ ン は な く、 各 施 設 の基 準 に拠 っ て い るの が 現 状 で あ る。T病 院 に お い て も末 梢 血 総 ビ リル ビ ン値 が 光 線 療 法 の 適 応 基 準 以 下 で も 、 黄 疸 予 防 の 為 ミル ク補 充 が 指 示 され て い る。 そ こで 、本 研 究 はT病 院 にお け る黄 疸 の 現 状 を ふ ま え 、 非 黄 疸 児 へ の ミル ク補 充 に よ る黄 疸 予 防 の 効 果 及 び 母 乳 分 泌 へ の影 響 につ い て 検 証 し、 入 院 中 の 適 切 な 授 乳 につ い て 示 唆 が 得 られ た の で報 告 す る。 II.方 法 1.研 究 対 象:平 成11年7月31日 か ら平 成13年2月 末 ま で にT病 院 で 出 生 した 、 早 期 新 生 児 期 の 合 併 症 と黄 疸 の 危 険 の あ る児 を除 い た 新 生 児315名 。2.調 査 方 法:1)黄 疸 群 と 非 黄 疸 群 で 、 最 低 体 重 日、 最 大 体 重 減 少 率 、 日令 毎 の(体 重 減 少 率 ・排 便 回 数 ・糖 水 補 充 量 ・ カ ロ リー 摂 取 量 ・母 乳 摂 取 量)の7項 目に つ い て 黄 疸 発 症 との 関 連 を 比 較 。 黄 疸 発 症 日別 に 前 述 の7項 目に つ い て 黄 疸 発 症 との 関 連 を 比 較 。2)母 乳 に ミル ク を補 充 した 児 をA群 、母 乳 に 糖 水 を補 充 した 児 をB群 と し、 両 群 間 の 黄 疸発 症 と母 乳 分 泌 量 の 違 い を 比 較 。3)分 析 方 法:spss ver.11を 用 い て 、t検 定 、x2検 定 、 ノ ン パ ラ メ ト リ ック検 定 を 行 っ た。 3.用 語 の 定 義:黄疸:光 線 療 法 が 適 応 とな る 日令3∼5日 の 高 ビ リル ビ ン血 症 。早期新生 児:出 生 時 在 胎37週0日 以 降 出 生 児 体 重2500g以 上 で 、 黄 疸 危 険 因 子 除 去 後 の 日令5日 ま で の 新 生 児 。非黄疸:光 線 療 法 の 適 応 が な い こ と。母乳分泌量:母 乳 摂 取 量 を分 泌 量 と した。 III.結 果 属 性:315名 の 出 生 時 平 均 体 重 は3076g、 母 親 の 平均 年 齢 は28.8才 で あ っ た 。 1.黄 疸 発 症 との 関連 要 因:1)黄 疸 発 症 の 要 因 を 検 証 す る為 前 述 の7項 目に つ い て 黄 疸群 62件 、非 黄 疸 群253件 を 母 数 と してt検 定 を行 っ た。 そ の結 果 、 黄 疸 群 は 最 低 体 重 日 と 日令 3日 、4日の 体 重 減 少 率(pく0.05)日 令5日 の 体 重 減 少 率(p<0.01)、 日令2日 の 排 便 回 数(p<0.05) に有 意 差 が み られ た(表1)。2)黄 疽 発 症 の 要 因 を 黄 疸 発 症 日別 に検 証 す る為 日令3日 の 黄 疸 群26件 、 日令4日 の 黄 疸 群21件 、 日令5日 の 黄 疸 群15件 と、非 黄 疸 群253件 を母 数 と し 90 日本助産学会誌 第17巻第3号 (2004.3)児 は 最 低 体 重 日(p<0.05)に 有 意 差 がみ られ 、 日令5日 の 黄 疸 発 症 児 は最 低 体 重 日(p<0・05>と 最 大 体 重 減 少 率(p<0.05>、 日令4日 の 糖 水 補 充 量(p<0.05)、日 令4日 の カ ロ リー 摂 取 量 (p<0.05)日 令5日 の 体 重 減 少 率(p<0.05)に 有 意 差 が み られ た 。 2、 授 乳 方 式 と黄 疽 発 症 及 び 母 乳 分 泌 量 の 違 い;1)授 乳 方 式 と黄 疸 発 症 との違 い を 検 証 す る 為 、A群106件 とB群209件 を母 数 と してx2検 定 を行 った 結 果 、 黄 疸 発 症 に 有 意 差 はみ ら れ なか った 。 さ らに 、 母 乳 分 泌 量 との違 い を検 証す る為 、A群 とB群 を母 数 と してt検 定 を 行 っ た結 果 、A群 はB群 に 比 較 し 日令2∼5日 の母 乳 分 泌 量 が 有 意 に少 な か っ た(p<0.001)。 表1 黄疸発症の要因 IV,考 察 t検定*p<0.05 **<0.01 1.黄 疸 発 症 の 関 連 要 因:1)黄 疸発 症 の 関 連 要 因 は 、最 低 体 重 日 と 日令3日 ∼5日 の 体 重 減 少 率 で あ っ た。 母 乳 育 児 に お け る黄 疸 の誘 因 は体 重 減 少 が言 われ て い る。 生 理 的 体 重 減 少 の 影響 因子 につ い て は多 くの 因 子 が存 在 して い る た め 今 研 究 で は 限 界 が あ っ た。 しか し、 出生 直後 か らの母 児 同 室 は 生理 的 体 重 減 少 に は 特 に 重 要 で 、 児 の激 しい 啼 泣 や ス トレス は 不感 蒸 泄 量 の増 加 に相 関 す る と言 わ れ る。 日令3日 ∼5日 の 体 重 減 少 率 や 最 低 体重日 が 関 連 した こ とは 、 出生 直後 か ら母 児 同 室 で な い授 乳 方 式 で は熱 原 料 の 消費 が 大 き く、 生 理 的 体 重 減 少 か らの回 復 遅 延 が 黄 疸 発 症 に 影 響 した と考 え られ る。 又 、 日令2日 の排 便 回 数 が 黄 疸 児 に 多 か っ た こ とは ミル ク補 充 の影 響 が考 え られ る。2)黄 疸 発 症 日別 の 関連 要 因 は 、 日令4日 の 黄 疸発 症 に最 低 体 重 日、 日令5日 の黄 疸発 症 に 最 低 体 重 日 と最 大 体 重減 少 率 、日 令4日 の糖 水 投 与 量 とカ ロ リー 摂 取 量 、 日令5日 の体 重 減 少 率 で あ った 。 母 乳 育児 にお け る 黄 疸 の誘 因 に は 、母 乳 摂 取 不 足 、 カ ロ リー 不 足 、授 乳 回 数 の 減 少 も黄 疸 を増 強 す る と言 わ れ る。 日令5日 の黄 疸 児 は 糖 水 補 充 が 母 乳 摂 取 不 足 、カ ロ リー 不 足 を招 き黄 疸 発 症 に 影 響 した と考 え られ る。 2.授 乳 方 式 と黄疸 発 症 及 び 母 乳 分 泌 量 の違 い:授 乳 方 式(母 乳 と ミル ク,母 乳 と糖 水)と 黄 疸 発症 との 違 い に 差 は な く、A群 は早 期 の ミル ク補 充 に よ り 日令2日 ∼5日 の 母 乳 分 泌 量 が 有 意 に 少 な か っ た。 した が って 、 早 期 新 生 児 期 の ミル ク補 充 は 黄 疸 予 防へ の 効 果 が 期 待 さ れ ず 、児 の 吸 畷 意 欲 を 低 下 し授 乳 回 数 が 減 る こ とか ら母 乳分 泌 を抑 制 した と考 え られ る。 今 回 の結 果 は ミル ク 補 充 につ い て 検 討 しな おす 際 の 資 料 とす る こ とが で き 、小 児 科 医 と話 し合 い の場 を持 ち黄 疸 の 予 防 と母 乳 を推 進 して い く こ とは 可 能 と考 え られ る。 以 上 の こ とか ら早 期 新 生 児 期 の 黄 疸 の予 防 は 、 出 生 直 後 か ら 日令3日 ま で 母 乳 分 泌 を促 進 し、児 の激 しい 哺 泣 や ス トレス 反応 に も注 意 しなが ら、 体 重 減 少 の予 防 と体 重 の 回 復 を促 進 す る事 が 重 要 で あ る こ とが 示 唆 され た 。 V.結 論1.黄 疸 発 症 との 関 連 要 因 は 、日令3日 ∼5日 の 体重 減 少 率 、最 低 体 重 日で あ っ た 。 2.黄 疸 発 症 と授 乳方 式 の違 い(母 乳 と糖 水,母 乳 と ミル ク)に 差 は な か っ た 。 日本助産学会誌 第17巻第3号(2004.3) 91
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助 産 院 にお け る妊 娠期 助 産 ケ アの 検 討
京都大学医学部保健学科 ○柳 吉 桂 子 I 緒 言 助 産 師 は,で き る だけ 産婦 が よい出 産 体 験 が で き るケ アを追 究 して い る。Thompsonら は, 助 産 師 は妊 娠 出 産 を 自然 現象 と して 健 康 的 な 人生 の移 行 期 と して捉 え,安 全 や満 足,人 間 の 尊厳 や 自分 の 行 動 を 自 ら決定 す る こ と,文 化,家 族 中心,ヘ ル ス プ ロモ ー シ ョ ンを重 ん じそ れ らを含 んだ ケ ア を行 って い る と して い る(Thompson et al.,1989)。 そ して そ れ らが,情 緒 的 に も女性 が満 足 す る分 娩 へ とつ な が る と して い る。助 産 師 は,安 全 な 分 娩 介 助 と共 に, 女 性 の 産 む 力 を 引 き出 す ケ ア があ る とい わ れ て い る(堀内,2001)。 しか し妊 娠 出 産 は,疾 患 の よ う に扱 われ,女 性 自身 が 自分 の 身体 に対 す る信 頼 感 を失 わ せ る よ う な状 況 もあ る。 そ の た め,妊 婦 には 自分 自 身や胎 児 の健 康 を獲 得 して い くため の援 助 が必 要 と な る。助 産 院で は , 女性 に寄 り添 い 女 性 達 の 声 が生 か され る よ うに ケア を行 っ て い る こ とが 評 価 され て い る。 ケ ア の 受 け手 が 妊 婦 健 診 に 求 め て い るの は,自 然 な 出産 をす る こ とだ け で は な く(Raisler , 2000),異 常 の発 見 を 中 心 に した もの で は な い 自然 な 出産 に 向 け ての 自分 自身 の 準 備 に つい て 情 報 を得 た り,話 し合 え る こ とで あ る。 しか し,分 娩 を支 え る妊 娠 期 に お け る助 産 ケ アで 示 され て い る のは 指 導 の側 面 が 多 く,そ の ケ ア 内容 は明 確 に さ れ て いな い 。 これ らの こ とか ら,本 研 究 の 目的は,助 産 院 にお け る妊 娠 期 の助 産 を構 成 す る ケ ア を明確 に す る こ と と した 。 II 方 法 研 究 デ ザ イ ンは,帰 納 的 質的 因 子探 索 型 に よ る記 述研 究 で あ る。 対 象 は 京 阪神 に あ る助 産 院2施 設 にお い て,分 娩 を各 々の施 設 で す る た め に妊 婦 健 診 を受 けて い る妊 婦8名 と,妊 婦 健 診 を行 って い た助 産 師7名 と した。 助 産 師 は す べ て 臨 床 経 験5 年 以 上 あ っ た。 デ ー タは,妊 婦健 診 場 面 の 参加 観 察 に よ って収 集 した。 参 加 観 察 は妊 婦 健 診 場 面 の助 産 師 が どの よ うな ケ ア を して い るか を分 析 す るた め,観 察 時 に フ ィー ル ドノー トの 作 成 と同時 に妊 婦 と助 産 師 の 同意 を得 て ビデ オテ ー プ に収録 した。 研 究 者 は事 象 の観 察 者 と して健 診 場 面 に参 加 した 。倫 理 的 配 慮 につ い ては,対 象 者 に研 究 の趣 旨 とデ ー タ の収 集 方 法 につ い て 説 明 し,同 意 を得,そ の 後 い つ で も 中止 を 申 し出 て も よ い こ とを 伝 えデ ー タ収 集 を 行 った 。 同時 に,健 診 を担 当 す る助産 師 に も対 象 者 と同様 の 同意 を得 るプ ロセ ス を行 った。 92 日本助 産 学会 誌 第17巻 第3号(2004.3)分析 抽 出 した。 III 結 果 妊 婦健 康 診 査 場 面 に生 じる妊 婦 と助 産 師 間 の ケア の 特性 につ いて,5つ の 助産 師 のケ ア が 抽 出 され た。 ① 妊婦 の妊 娠経 過 が 正常 に経 過 して い る と確 実 に判 断 す るケ ア,② 妊婦が何 で も 言 える よう なケア,③ 妊 婦 が 自分 に 自信 を持 て る よ うなケ ア,④ 妊 婦 が 自分 の 生活 に合 っ た方法 を 自分 で 考 え られ るケ ア,⑤妊婦が共 い安 心感を持てるようなケ ア であ っ た。①妊婦の妊娠が正常に経過していると確実に判断するケアは は,妊 婦 の 身体 面 と共 に生 活 面 に対 して も,情 報 収 集 す る技 術 や それ に基 づ く確 か な判 断力 を持 った ケ アで あ った。 ② 妊 婦 が何 で も言 え る よ うな ケ アは,助 産 院 の 緊張 感 を与 え な い環 境 と共 に,助 産 師 は決 め られ た形 で健 診 を進 め るの で はな く妊婦 が取 り上 げた トピ ックス につ い て話 し合 う ケ アで あ った 。③ 妊 婦 が 自分 に 自信 を持 て る よ うなケ ア は,妊 婦 健 診 時 には,順 調 で あ る と い う ような 肯定 的 な言 葉 か け を繰 り返 して 行 うケ アで あ っ た。④ 妊 婦 が 自分 の 生活 に合 った 方法 を 自分 で 考 え られ るケ アは,妊 婦 が妊娠 に よ って 変化 して い く身 体 にあ わせ て,生 活 の 仕 方 を 自分 ら し く変 えて い くこ とが で き る よ うに考 え決 定 す る こ と を促 す ケ アで あ った 。⑤