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Microsoft Word 英語科紀要

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Academic year: 2021

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(1)

英 語 科

長 田 真 紀

Ⅰ はじめに

21 世紀に入りグローバル化が加速し、国や地域の垣根を越える国際共通語として、英語の重要性はますま す高まっている。英語の学習を通して、言語の背景にある様々な外国の文化を知り、同時に自分のことや自 国の文化を発信することができる力を身に付けることが、未来社会を生きる子どもたちには求められている。 自分から積極的にコミュニケーションを図り、考えや気持ちを伝え合い、地域や世界の様々な舞台でより よい社会を築くために力を発揮し、未来を切り拓いていく、そんな生徒が育つような授業を創っていきたい。

Ⅱ 教科研究内容

1 英語科におけるグローバルマインドをはぐくむ手だての在り方 英語科では、「言語や文化に対する理解を深めること」、「コミュニケーションに対する積極的な態度の育成」、 「コミュニケーション能力の基礎を養うこと」を学習指導要領における教科の目標としている。目標の実現 には、様々な見方や考え方に接することができる適切な題材を取り上げ、実際のコミュニケーションを目的 として英語を運用することのできる能力を養うために言語活動の充実を図ることが必要である。このことか ら、教科の目標の実現を図っていくことが、本校のグローバルマインドに必要な要素(c)と(d)をはぐぐむこ とに直結すると考え、今年度はこの 2 つの要素に重点におき、英語科の目標や本校の「求める生徒の姿」の 実現に迫っていく。 また、要素(e)については、活動の最後に自己の成果や課題を客観的に分析できるような項目を設けて自 己評価を行うことが、次の学びに向けた意欲を高め、自らを成長に向け促す力を高めていくことにつながる と考え、実践していく。 (1) グローバルマインド(c)にかかわって【→実践例 2】 (c)をはぐくむ手だてとして、他の国の人々と英語を用いてかかわり、多様な他者や文化にふれる機会を充 実させていく。ALT や留学生、同年代の外国の生徒とのかかわりを通して、文化や価値観の違いに気付ける ような題材や課題を設定する。広く他の国の人々の見方や考え方を知り、その背景にある文化に関心をもち 理解しようとすることで、多様なものの見方ができるように、公平に正しく判断することができる柔軟な思 考力がはぐくまれると考える。 また、様々な国の生活や文化と、自国の生活や文化との共通点や相違点を知ることで、日本の文化や日本 (c)多様な他者・文化とのかかわりから、柔軟な思考力・多様なものの見方をすることができる能力 (d)コミュニケーション能力、情報活用能力と人間関係形成力

(2)

人の考え方について見直し、その価値に気付くことで考え方やものの見方が広がると考える。同時に、そこ で気付いたことを積極的に発信していこうとする態度をはぐくむことにもつながると考える。「これからの国 際社会に生きる日本人として、世界の人々と協調し、国際交流などを積極的に行っていける資質、能力を養 う1」ためにも、(c)のはぐくみは英語科としても重要であると考える。 (2) グローバルマインド(d)にかかわって【→実践例 1・2】 英語科の考える「コミュニケーション能力の基礎を養う」とは、単に文法規則や語彙などについての知識 を身に付けさせるだけではなく、「実際のコミュニケーションを目的として英語を運用することができる能力 1」の基礎を養うことを意味している。そのためには、「聞くことや読むことで終わらずに、自らの体験や考 えなどと結び付けながら活用し、話すことや書くことを通じて発信する1」ような 4 技能を総合的に育成す ることができる課題設定を行い、相手と伝え合うことを大事にした言語活動を充実させることが大切である。 そのための手だてとして、会話活動、インタビュー活動、ディベートやスピーチ活動などの相手と伝え合 う言語活動を積極的に行っていく。その際には、相手に正しく伝えるために意識するべき視点(A)を提示す る。同時に、聞き手側の役割についても確認する。例えば、相づちを打ったりするなど発表者が話しやすい 雰囲気を作ったり、内容が聞き取れない場合は、

Pardon? Would you please say that again? Will you speak

more slowly?

などの表現を用いて聞き返したりして、相手のことを正しく理解しようとすることを意識さ せる。相手に自分の気持ちを正しく伝える、相手の気持ちを正しく理解することで、コミュニケーションの 基本である伝え合う力をはぐくんでいく。 相手に正しく伝えるために意識する4 つの視点

English:

発音・アクセント・リンキング

Delivery:伝える相手

を意識した声量・話す速度・アイコンタクト・ジェスチャー

Content:伝える相手を意識した内容

Memorization:

暗記 (A) また、スピーチ原稿の作成などにマインドマッピングの手法を取り入れ、発想を広げ情報を整理する作業 を行うことで情報活用能力をはぐくみ、その情報を相手に分かりやすいように構成して伝えることで、人間 関係形成力をはぐくむことができると考え、実践していく。 2 英語科における感性を磨く学び合いを実現する手だての在り方 今まで知らなかったことや気付かなかったことにふれ、新しい価値に気付くことができたときに感性は磨 かれると考える。さらに、そこで感じた価値を意識することで、より豊かにコミュニケーションを図ること ができたと実感したときに、感性を磨く学び合いが実現すると考える。例えば、ALT などの外国の人と英語 を用いてかかわり、異文化を理解し、さらに日本の文化と比べ、今まで当たり前に感じていたことの価値に 気付くことができたときに、感性は磨かれる。そこで気付いた日本文化の価値を ALT に伝える活動を行い、 ALT に日本文化をより分かりやすく伝えることができたと実感することで、感性を磨く学び合いが実現する。 そのための手だてとして、価値観の違いが生まれるような題材を選択し、そこで生まれた新しい価値観を意 識して相手に伝えることができるような課題を設定していく。 また、英語を用いて相手と伝え合うことの価値に気付くことが感性を磨く学び合いになると考える。今ま でに身に付けた文法規則や語彙などの知識は、実際に自分の考えや気持ちを相手に伝えることができたと実 感すると同時に、相手の気持ちを理解することができたときに、実感を伴った深い「知」に変わっていくと 考える。そのための手だてとして、実際のコミュニケーションとして、伝え合う必然性を感じることのでき るような題材の選択、課題の設定に努めていく。

(3)

Ⅲ 実践例

1 題材名

What should I do?

~英語で身の上相談~ 2 題材の目標

英語を用いて、友だちの悩みを解決するために相手の立場に立った有効なアドバイスをすることができる。 3 題材の価値

本題材では、「

What should I do?」

と題して、英語を用いて、自分の悩みごとを書いたり、相手の悩みごと に対して、アドバイスをする言語活動を行う。 相手の悩みごとを解決するための有効なアドバイスをするためには、相手の立場に立って気持ちを理解す ることや自らの経験や考え方などに照らして考えることが必要となる。英語を読むときには、単に内容を理 解するだけではなく、明確な目的をもって主体的に考えたり、判断したりしながら理解していくことが大切 である。また、内容について自分なりの意見を述べたり、その理由を添えたりすることも大切である。それ が実際のコミュニケーションを目的として英語を運用することができる能力の育成に有効であり、ここにこ の題材の価値があると考える。 4 研究とのかかわり (1) グローバルマインド(d)のはぐくみ 英語で自分の悩みごとを書き、友だちと交換し、お互いにアドバイスをするという課題を設定することで、 相手と伝え合うことの必然性が生まれ、実際のコミュニケーションとなる。相手の気持ちを正しく理解する ことや、アドバイスをするときに、自分の気持ちを正しく伝えることで、実際のコミュニケーションを目的 として英語を運用することができる能力をはぐくむことができる。 (2) 感性を磨く学び合い 友だちからもらったアドバイスを読み、相手にとってよいアドバイスとは何かを考えまとめる。(B) 相手にとってよいアドバイスとは… ・相手の気持ち、立場を考えたもの ・自分の体験や経験をもとにした具体的なもの ・発想の転換ができるもの ・励ましや前向きになれる言葉 ・相手が納得するもの (B) 個人で考えたアドバイスをもとに、グループで相手にとってより良いアドバイスを考える活動を行う。相 手にとって良いアドバイスとは何かという共通の視点で、自分の考えと他者の考えを摺り合わせることで、 自分にはなかった考えにふれ、お互いの感性を磨くことになる。 また、アドバイスをするときに使う英語表現(助動詞)に立場や状況によって違いがあることを知り、そ れを実際に使うことで、自分の気持ちをより正確に伝えることの大切さを実感できると考える。 5 授業の実際と生徒の学びの姿 本時(3/4 時間目)では、4 人グループで、個人で考えたアドバイスをもとに、相手にとってより良いアド バイスを考え、発表する活動を行った。 その際、「相手にとってよいアドバイスとは何か」という視点やアドバイスをするときに使う英語表現を 意識してアドバイスを考えることを確認した。どのグループも活発な話し合いが行われ、発想や表現力を広 げることができていた。【ワークシート 1】

実践例1 What should I do?

~英語で身の上相談~(3年生) (d)コミュニケーション能力、情報活用能力と人間関係形成力

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6 実践を終えて (生徒の振り返りシートより) 英語でアドバイ スをするという今 まで経験のない活 動にとまどいなが らも、友だちの悩 みを解決するという設定に興味を もち意欲的に取り組むことができ ていた。グループで協力し、相手 の気持ちを考えながらアドバイス を考えることで、それを正しく伝えるための英語表現を選び、実際に使用することができたという経験は、 グローバルマインドをはぐくむ上での感性を磨く学び合いが効果的に行われたことが、生徒の振り返りシー トからも読み取ることができるだろう。 1 題材名

The memory of school excursion

2 題材の目標

修学旅行で実際に体験したことを紹介する英文を書き、聞き手に正しく伝わるように工夫して発表するこ とができる。

3 題材の価値

本題材では、修学旅行で実際に体験したことについて、写真や実物を用いて紹介する「

show & tell」

を行う。

実践例2 The memory of school excursion

(3年生)

(c)多様な他者・文化とのかかわりから、柔軟な思考力・多様なものの見方をすることができる能力 (d)コミュニケーション能力、情報活用能力と人間関係形成力

(5)

修学旅行のような身近な場面における出来事や体験したことについて、積極的に自分の考えや気持ちを表現 する題材を設定することで、英語を使おうという意欲を高められる活動である。また発表する時には、自分 の考えや気持ち、事実などを聞き手に正しく伝えることを意識したり、絵や実物を示して聞き手の理解を容 易にするなどの工夫をすることで、コミュニケーション能力の向上を図ることができる。このことから、積 極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、コミュニケーション能力の基礎を養うために 効果的な題材であると言える。 4 研究とのかかわり (1) グローバルマインド(c)、(d)のはぐくみ 原稿作りのためにマインドマッピングを行い、情報を整理し、発想を広げ、その情報を相手に分かりやす いように構成しようとすることで、情報活用能力のはぐくみを図る。また、スピーチを ALT に聞いてもらう という付加価値をつけることで、ただ単に事実を述べるだけでなく、外国の人に日本の食べ物や文化などに ついてわかってもらえるような説明をすることになる。そこで、日本の文化について見直すことになり、も のの見方が広がると考える。英文で伝えにくいところは写真や実物などを使う工夫をすることで、伝える力 を向上させることができる。外国の人々に日本の文化を発信できる素養を培うことは、グローバルマインド をはぐくむ上で大事な要素である。発表するときは(A)の4 つの視点を意識して相手に正しく伝えること、聞 くときは鑑賞カードを用いて相手を正しく理解することで、伝え合う力をはぐくんでいく。 (2) 感性を磨く学び合い 本番の発表に向けて個人練習をしてからグループ練習をする。アドバイスし合うことで自分の発表を客観 的に見直し、より良い表現へと高めることができる。また、発表後に ALT から発表に対するコメントやアド バイスをもらう。そこで実際に「自分の英語が通じた」という感動が感性を磨き、次は「もっと~しよう」 という意欲につながると考える。 5 授業の実際と生徒の学びの姿 まずは、原稿作りに向けてマインドマッピ ングを行った。【ワークシート2】「事実」「気 持ち」「(日本文化の)説明」というメインブ ランチを提示して、そこから発想を広げ、情 報の整理を行うようにした。マッピングを上 手く活用して原稿作りができている生徒もい たが、なかなか原稿作り が進まない生徒もいた。 初めてマッピングを行っ たので、マッピングと上 手くつなげることができ なかったようだ。 しかし、ALT に聞いて もらうという意識が、意 欲につながり、工夫して 英文を書いている生徒が 多かった。 ワークシート2

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次に、発表に向けて練習を行った。原稿にジェスチャーや強調するところなどを書き込み、実際に動きを つけながら練習するようにした。個人練習の後で4 人のグループで練習を行い、評価やアドバイスをし合う ことで本番に向けて気をつけることを確認することができた。 6 実践を終えて 本番では、練習を生かして4 つの視点を意識して発表できた。 聞き手側も鑑賞カードを使って4 つの視点を意識しながら聞く ことができた。また、ALT に分かりやすく日本文化を伝えよう と写真や実物を使うなどの工夫を積極的に行う姿も見られた。 このことから、実際のコミュニケーションに必要なグローバル マインドのはぐくみに効果があったと言える。ALT からも概ね 良い評価をもらい、生徒も達成感を感じていた。

Ⅳ 実践から見えてきたこと(検証から改善に向けて)

〈成果〉 ALT との授業やカルガリ ーからの留学生との交流【ワーク シート 3】は、他の国の文化を知 り、日本の文化との共通点や相違 点に気付き、驚きを感じながら生 徒が生き生きと交流を行っている 姿から、グローバルマインド(c) のはぐくみや感性を磨く学び合い について、大きな成果があったと 言える。他の国の人々とのかかわ りを通して、多様な他者や文化にふれる機会を充実させていくことの大切さを改めて感じた。 また、発表するときに意識する視点を確認したことや実践例のようにスピーチ発表に向けてのグループ練 習を通して、自分の考えや表現力が向上したことを実感し、自分の考えを相手により正しく伝えることがで きたと感じている様子が、発表の振り返りからも多く見られ、グローバルマインド(d)や感性を磨く学び合い について、成果があったと言える。 〈課題〉 グローバルマインド(d)については、伝える方の意識は高まったが、伝え合う活動という点では、 聞き手の意識づけが足りないという課題が残った。その改善のためには、聞き手側の視点を整理し、生徒に 提示することが必要であると感じた。そして、スピーチ発表のときだけではなく、会話活動、インタビュー 活動などを行う際にも常に意識させるようにすることが大切であると感じた。また、コミュニケーション能 力の向上を目指す上で、マインドマッピングの可能性についてもさらにさぐっていきたい。例えば、ライテ ィングだけではなく、スピーキングにおける活用なども研究し実践していきたい。

Ⅴ 引用・参考文献

〈引用文献〉 1 文部科学省『中学校学習指導要領解説 外国語編』 2008 年 7 頁、53 頁 〈参考文献〉 ・北海道教育大学附属札幌中学校研究紀要「第56集」 ワークシート3

参照

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