の 良い能 力 領域 が認 め られ た。CPの 場 合 には新 生児 の 看護 や分 娩 診断,産 婦看 護 に関 す る能力 と の 間 に,Aの 場 合 には 一般処 置 や新 生 児の 看護 に 関す る能 力 との 間に,FCの 場 合に は新 生 児の看 護 に関 す る能力 との 間 に相 関関 係が 認 め られ た。 卒 後6カ 月 目では,NPの 場 合に看 護の基礎 技 術領 域 の2項 目の 到達 度が 良 か った。 さ らに卒業後1 年 目では,Aの 得 点 が高 い場 合に は,新 生児 の看 護や 異 常時 の処 置 な どを 除 くほ とん どの到 達状 況 が 高 く なる ことが,NPで は心理 に関す る項 目,FC で は異 常 時の処 置 や新 生児 の看 護 に関 す る到達 が 良 い と状況 が 高 くな る ことが認 め られ た。 以上 の結果 か ら,助 産婦 と しての 社会化 の初期 の 段階 に おい て は,CPの 高 い 自我 状態 で は助 産 婦 の専 門 性の 高 い部 分 の到 達状 況 が良 い傾 向に あ ると い えよ う。Aの 高 い 自我 状 態は 助産 婦 と して の 社 会化の 初期 の段 階 では,看 護 の 基礎 能 力 に, 次 に新 生 児の 看 護能 力 に,そ の 次に は,助 産 婦 の 専 門性 の高 い部分 の 能 力に 到達 す るとい うよ うに, 経験 に比例 して到 達 能力 を 拡大 して い る傾 向 がみ られ る。 性 格 傾向 や 自我状 態 が 新 卒者 の 妊産 褥 婦や 新生 児の ケア能 力 の到 達状 況 に 関連 して い ると い う本 調 査結 果は,新 卒 者の 指導 や 環 境設 定 につ い て示 唆 を与 え る もの と思 われ る。 第3群
7大 正 時代 にお ける助産婦活動 の意義
大阪府立助産婦学院○岡本喜代子
緒 言 わ が国 の近代 助 産婦 職 の本格 的 発展 は 明治 時代 に始 ま った 。その 時代 の 歴史 的評 価(意 義づ け) につ い ては,法 的 に身 分 確立 が な され てい った本 格的 発展 の始 動期 と して位置 づ けた 。(第12回 看 護学 会 ・総 会 で報 告) 今 回は,第2段 階の 大 正時代 に焦 点 を当 て,活 動 の 歴史 的評 価(意 義づ け)を 行 い たい 。 1.研 究 目的 大 正時 代に お け る助 産 婦(産 婆)活 動 の 歴史 的 評 価(意 義づ け)を 行 う。 2.研 究方 法 史料 に 基づ く論 証 を行 う歴 史研 究 の アプ ローチ 方 法 を と った 。 評価 分 析の視 点 は職 能 の発 展を 以 下の3点 と し て捉 えてい る。 ① 教育 の充 実 度 ② 業務 内容 の 拡大 度 ③ 職能 団体 の 自立度 以 上の3点 と時 代 的背 景の 諸 要因 と の関連 性 に つ い て 考察 す る。 3.本 論 1)発 展過 程 にお け る時代 区分 の 考 え方 発展 過 程 にお け る時代 区 分 の基 本 的 な考 え方 と しては関 連す る主 な法律 の 制定 年 を 区分 の起 点 と し,教 育,業 務,職 能 団体 の各 分 野 で大 き く変 化 した 時期 を一 区 切 り と して考 え た。 図1の よ うに4期 に 区分 で き る。 大 正時 代 は,第II期 の中 期 に あた る。 2)時 代 的背 景 大 正3年 に第一 次世 界大 戦 が勃 発 し,わ が 国は 勝 戦 国 と して繁栄 した 。 女子 の 職 場へ の 進出 も著 しく,表1の よ うに, 求 職者 数,就 業 者 数 と も急 増 してい った。 表1 全国女性の求人数 と就業者数 大 阪職 業紹 介 事務 局職 業紹 介 年報 大 正12,13,14年しか し,労 働 条件 は 悪 く,母 子 保 護事 業が 興 っ た。 また,一 般 的に 大 正デ モ ク ラシ ーと して知 られ て い るよ うに,女 性 の解放 運動 も進展 し,自 由に もの を 考 え る風湖 が あ った。 女 子 の 就 学 率 も 明 治31年53.7%で あ っ た の が 大 正8年 で98.7%に な っ た 。 高 等 女 学 校 数 も明 治38年100校 で あ っ た の が, 大 正4年 で366校,大 正14年 で805校 に ま で 急 増 した 。
以 上の 状 況か ら,助 産 婦(産 婆)教 育 にお け る 基 礎 学力 が 明治時 代 に較 べ て,よ り充実 して きて い るこ とが うかが え る 。 母 子 衛生 の状況 は図1の よ うに,乳 児 死亡 や妊 産婦 死亡 共 に,明 治 時代 と変 らず,大巾 な改 善は み られ てい ない 。 (1)助 産婦(産 婆)教 育 職 業 婦 人の需 要が 増加 してい った が中 で も,助 産 婦(産 婆)は 女 医,女 教 師 と並ん で社 会的 評価 が 高か った。 その た め表2の よ うに希 望者 が多 か った。 ま た,こ の時 代 に入 る直前(明 治45年)に 「私 立 産婆 学校 産婆 講習 所指 定 規則」 が 制定 さ れ,今 まで,個 々 に,勝 手 に行 わ れて いた 教育水 準 が一 定 の もの に レベ ル ア ップ された 。 この時代 の おお よそ の入 学資 格等 課程 の概要 に 表2 産婆試験 出願者数及び合格者数 中央 職 業紹 介事 務 局編 職 業 婦人 調 査 「産婆」 1927よ り作成 つ い てみ る と表3の よ うで あ り,法 律 に うた われ た こ と もあ り教育 期 間は2年 とす る学 校が 増 えて い った。 カ リキ ュ ラム内容 は 表4の よ うで あ った 。 表3 大正時代の産婆学校入学要項 村 上信彦 著 大 正期 の職 業婦 人 ドメ ス出版1983よ り作成 表4 私 立産 婆学 校 講習 所指 定 規則 に よ る指 定 学 校 カ リキ ュ ラム 鈴木 隆子 終 戦後 に於 け る助産 婦 教育 を め ぐ って 助産 婦雑 誌10(1) 1956よ り作成
(2)助 産婦(産 婆)業 務 第一 次世 界大 戦 の経 済 繁栄の 歪 み に よ り生 じた 貧 民の 増加 や関 東大 震 災を 契機 と して,母 子 に対 す る社 会事 業 が始め られた 。 東京 賛育会 の巡 回産 婆 事業,大 阪市 立産 院,乳 児 院,児 童 相 談所等 で ある。 そ の中 で も助 産 婦(産 婆)は,健 康 相 談や 巡 回 看 護の 中心 的役 割 を 果 した。 乳児 の栄 養指 導 ・妊産 婦へ の保健 指 導 が巡 回看 護で展 開 され てい った。 そ して,や が て保健 指導 が助産 婦の 重 要 な業 務の一 つ と して,昭 和23年 に 保健 婦 ・助 産 婦 ・看 護婦 法 に明文 化 され るに至 る。 (3)職 能 団体(産 婆 組合) 明 治中 期か ら出 来 て きた職 能 団体 と しての 産婆 組合 は元 来行 政色 が 強 か ったが,こ の時 代 に入 っ て,そ の 傾 向は 増々 強 くな り,「 強 制団 体」 の時 代 に入 った。 会 長に は,産 婦人科 医が就 任す るこ とが 規定 されてい た 。 しか し,表5の 大 阪市 産婆 会の 例 で 見 るよ うに, 大正14年 に な って,よ うや く会 長 を助産 婦(産 婆) 自身 か ら選 出す る会 則 改正 案が とお り,自 治 制度 の会 とな った 。 ま た,昭 和2年 に は全 国 レベル の 日本 産婆会 が 結 成 され てい くが,そ の 地 な ら しの 時期 で もあ っ たと いえ る。 結 語 以上 の状 況 か ら,大 正 時代 は助 産 婦(産 婆)に と って,教 育 の充 実 期で あ り,業 務 内容 と しては 保 健 指導 や公 衆 衛生 的 な業務 の拡 が りが加 わ った 業 務 の拡大 時 期 であ った 。 ま た,職 能 団体 と して も,助 産 婦 自 らが会長 と な り,自 立 してい った時 期で もあ った。 ま さに,近 代 助産 婦 の 本格 的発 展過 程の途 上 期 と位置 づ け ること が で きよ う。 引 用 ・参考 文献 1. 高 橋 碩一 監 修: 歴 史学 入 門, 合 同出版, 1985 表5 大阪市産婆会歴代会長 青木 秀虎著 大阪 市産婆 団体 史 昭和 10年 よ り作成 2. 加 藤 文 三: 近 代 史 の 歩 み2. 大 正, 地 歴 社, 1985. 3. 大 阪 職 業 紹 介 事 務 局 編: 職 業 紹 介 年 報, 大 正 13,13,14年 4. 村 上 信 彦: 大 正 期 の 職 業 婦 人, ドメ ス 出版, 1983. 5. 鈴 木 隆 子: 終 戦 後 に お け る助 産 婦 教 育 を め ぐ っ て, 助 産 婦 雑 誌, Vol.10, Na1, 1956. 6. 青 木 秀 虎: 大 阪 市 産 婆 団 体 史, 大 阪 市 産 婆 会 発 行, 1935. 7. 松 本 清 一: 母 子 保 健 概 論, 文 光 堂, 1983. 8. 遠 藤 元 男: 女 性 史 ノ ー ト, 朝 倉 書 店, 1984. 9. 仲 新 編: 日 本 子 ど の も歴 史6, 第1法 規 出 版, 1979. 10. 大 国 美 智 子: 保 健 婦 の 歴 史, 医 学 書 院, 1978. 11. 竹 村 喬 他: 助 産 婦 活 動 の 変 遷(3), 助 産 婦, 第41巻, 第10号, 1987. 12. 岡 本 喜 代 子: 助 産 婦 活 動 の 歴 史 的 意 義 (明 治 時 代 を 中 心 に), 助 産 婦 雑 誌, Vol.35, Na8 1981.
第3群
8 妊 娠 中 の 加 速 度 脈 波 の 変 化
千葉大学医学部附属助産婦学校 ○ 西 本 栄 子 ・板 倉 千 栄 子 はじめ に 妊 娠中 の運 動 は肩 こ りや腰 痛等 の緩 和 に効 果が あ り,田 中 ら1)の骨格 筋 や肺 の活 発 な活動 が血 圧 下降を もた らす との報 告は 妊娠 中 毒症 予防 上興 味 深い 。我 々は妊 婦 に歩行 、膝 屈伸 をすす め,合 せ て加速 度 脈波計 によ る末 梢循 環 動 態の 観察 を行 い, 運 動 及び妊 娠 中毒症 との 関係 につ いて も検 討を行 った。 1.調 査 対象 及 び方 法 対象:昭 和61年6月 ∼62年3月 まで に千 葉大 学 医学 部 附属 病 院産科 を受 診 した 妊産 婦252名 と 同 年代 非 妊婦72名 。 な お妊娠5∼10ケ 月 まで 継続 で き た176名 の年 齢 は19∼41才 ・平 均27才 。 方 法:ド クタ ーチ ェ ック され た妊 婦 に歩 行,膝 屈伸 を指 導 し,自 宅 保健 カ ー ドに 記録 して も らい, 検 診 毎 に プ レソグ ラフ 社製 の加 速 度 脈波 計 の測 定 を左 手中 指 で行 った。 加速 度 脈波 形の 分類 は図1に 従 った 。 妊娠 中毒症 の判 定 規 準は 昭和60年4月 の 日産婦 会 妊娠 中 毒症 問題 委 員会 の分 類 を用 い た。 肥満 度 は昭 和61年10月 の厚 生 省保 健 医 療局 健康 増 進栄 養課 の肥満 とやせ の判 定 表 に基 い た。 A:通 常若 い人 にみ られ る血 液循 環が 良 い状 態 にあ ること を しめす 波形 B:加 令 に よ って血液 循環 が 悪 くな る経過 の 中 でみ られ,ま だ 良い 状態 に あ る波 形 C∼G:血 液循環 が 悪い 状態 に あ るこ とを しめす 波 形 図1 加速度脈波形の分類 2.調 査結 果 1.年 齢 と加 速度 脈波 図2の 上 に非 妊婦 の加 速 度脈波 形 を 年代 別 に示 した。 血液 循環 の良 いA波 形は20才 代57%,30才 代16%で 逆 に血 液循 環の 悪 いC∼G波 形 は20才 代 0%,30才 代23%で あ り,加 令 に伴 って漸 次A波 形 の比率 は 小 さ くな る一方,C∼G波 形 の 比率 が 大 き くな った。 図2の 下 に妊 婦に つ いて示 した 。A波 形 は20才 代42%,30才 代16%,C∼G波 形は20才 代1%, 30才 代6%で 加 令 に伴 い血 液循 環は 悪 くな った 。 妊 娠 中波 形 がAか らBに 悪化 した り,逆 にBか ら Aに 改善 す る もの も あ った。 図3に 妊婦 の加 速 度 脈波 形 を年 令別 に4層 に 区 分す る と,30才 を界 と してA波 形 の比 率 は激 減 し C∼G波 形 は急 増 した。 2.妊 娠 と加速 度 脈波 妊娠 によ る血 液循 環 の変化 を み る ため に図2の 非 妊婦 と図2又 は3の 妊婦 の加 速 度脈 波 形 を比較 す ると,A波 形 の比率 は非 妊婦 よ り妊 婦の 方 が少 ない が,30才 代 ではC∼G波 形の 妊婦 は 少 なか っ た 。 図4に 妊娠 経 過 に伴 う加 速度 脈 波形 の 変化 を示図2年 令別 非妊 婦 ・妊婦 別 加速 度脈 波形 図3年 令別妊婦の加速度脈波形 した 。20才 代30才 代 と もに妊 娠7ケ 月頃 よ りA波 形 は減 少 し血 液 循環 は悪化 した 。C∼G波 形 に悪 化 した もの の ほ とん どは 産後1ケ 月 には 血液 循環 が改 善 さ れた 。 図5に 更 に4つ の年 令層 別 妊娠経 過 に伴 う加 速 度 脈波形 の 変化 を 示 した 。20∼24才 の 妊婦 ではA 波 形 が53%か ら22%ま で 減少 した もの の産 後1ケ 月 には50%ま で改善 され た。C∼G波 形 も10ケ 月 の5%は 産 後0%に 改善 され た。 しか し35∼39才 図4年 令別妊婦経過と加速度脈波形 の妊 婦で は約20%占 たA波 形が10ケ 月 には0%, C∼G波 形は20%に な り,血 液 循環 は改 善 され な か った。 3.肥 満度 と加速 度 脈波 図6に 年代別 肥満 度 別加 速度 脈波 を示 した 。A 波 形の 比率 はや せす ぎか らふ と りす ぎ に向 って小 さくな るがC∼G波 形 は大 きくな った 。30才 代 で はやせ す ぎて もC∼G波 形 があ り,ふ と りす ぎで は更 にA波 形0%,C∼G波 形23%と 血 液循 環 の
図5年 令別妊婦経過と加速度脈波形
図7年 令別肥満度別妊娠経過 と加速度脈波形
悪化 を示 した 。 図7に 肥 満度 別 に特 徴の み られ た加 速度 脈波 形 の 変 化を示 した。A波 形の 占る比率 が 妊娠 経過 及 び肥満 す るほ ど小 さ くな り,逆 にC∼G波 形は 大 き くな った 。 4.加 速 度脈波 形C∼Gの 背 景 C∼G波 形を 示 した32名 の妊 婦につ いてみ ると 252名 の対 象妊 婦 の12.7%,30才 代 は75%,妊 娠 中 毒症 は17名(重 症7名 ・軽症10名)53%で あ っ た 。又 糖尿病,甲 状 腺機 能亢 進 症,SLE等 の 合 併は7名21%,肥 満 度 には 有意差 は なか ったが体 重 増加 は肥 満度 別平均 を うわ まわ る もの が多 か っ た。 児 につい て は5例 がIUGR,SFD,早 産 児 で あ り2例 が死産 児 で,こ れ らは いず れ も妊娠 中 毒症 母体 よ り出 産 してい た。 5.運 動 によ る加速 度 脈波 の変 化 図8に 運動 に よ り加 速 度脈波 形 の よ くな った と 考え られ る例 を示 した。例1の 波 形はBか らAに 改善 さ れた もの の産後Bと な った 。例2の 波形 は Cか らBに 改 善 され血 圧 も低下 した。例3の 波 形 はEか らBに 改善 された もの の 産後Cと な った 。 運 動 は 血液 循 環を 良好 にす るが,運 動 量が 減少 し て しま うと また もと に もど る と考え られ る。 ま と め 妊娠 中の末 梢 循環 動 態を 加 速度 脈波 計 を用 い て 調 査 した 結果,血 液 循環 を 悪 くす る もの と して 以 下 の もの が あげ られ た 。 ① 加 令 ② 妊娠 に よ る負荷 ③ ふ と りす ぎ,や せす ぎ ④ 妊 娠 中毒 症や 合併 症 の あ る もの 血 液 循環 を 良 くす るに は妊 婦 に運 動 をすす め る。 又,運 動 は 妊娠 中 毒症 予 防 につ なげ る ことので き る有 用 な手 段 と考 え られ る。運 動 のす す め 方 に関 しては今 後 の課 題 と したい 。 参 考文 献 1) 田 中泰博: 新 しい妊 婦体 操 第3群
9体 外受精適応 とな った不妊女 性の情緒反応
高知女子大学 ○岸 田 佐 智 1.は じめ に 体 外 受精 の適応 者 は,不 妊 女性 の中 で も,難 治 の卵 管性 不妊 や子 宮外 妊 娠 を繰返 したた めに 両側 の卵 管を 切除 し 自然の 状 態で は妊 娠が 望め な い女 性が 多 く,不 妊期 間 も長 期に わ た ってい る。 その 上,体 外 受精 は生 命の 操作 で あ るとい った,倫 理 的問題 を 抱え て お り,社 会 的 には 十分 に 受け入 れ られてい ない 。 この よ うな 問題 を考 え る と,体 外 受 精適応 とな った不 妊 女性 に対 す る看 護は 重要 と言 え よ う。 し か し,現 在,体 外 受精 適応 とな った女 性の 情緒 反 応 が 明 らか にさ れてい な いた めに,情 緒 的 側 面を 考 慮 した看 護 ケ アの提 供 がな され てい ない 。 そこ で本 研 究 では,ま ず,体 外 受 精適 応 と な った不 妊 女 性の 情緒 反応 を 明 らか に しよ うと考 えた 。 2.目 的 本研 究 の 目的は,1)体 外 受 精適 応 と な った不妊 女性 に お け る情 緒 反応 を分 類 し,2)分 類 した情 緒 反応 を,既 存 の悲 嘆 プ ロセス と比 較 検討 す る こ と で,不 妊女 性 の情 緒反 応 を 明 らか に す る ことで あ る。 3概 念 枠 組み 人は,愛 情 の対 象 を喪 失す るこ とに よ って,様 々 な情 緒 反応 を示 しなが ら人 格の 成 長 を遂 げ てい る 。BowlbyやDeeken,Caplanら は,こ の一 連の情緒 反応 を悲 嘆 プ ロセス と して捉 え てい る。 不 妊は,人 間 の 発達 課題 であ る生 殖性 に 関す る 危機 的状 況 と考 え られ,Meninngも,不 妊 は発達 上の 危機 で あ り一 種 の喪 失 で あ ると述べ て い る。 つ ま り,女 性 と しての 自己 イ メ ージや 女性 機能 の 喪 失で あ り,ま た,期 待 され る子 供の 喪失 で あ る と考え られ る。 そこ で,愛 情対 象 の喪 失 と同 様 に 不 妊女 性 に も,情 緒反 応 と しての 悲嘆 プ ロ セス が あ り,そ こか ら人 格の 成長 を遂げ て い るの で は な いか と考 えた 。 4.方 法 1.対 象 者 関西 に あ る一 国 立大 学附 属病 院 産婦 人科 不妊 外 来 に通 院中 で,卵 管 性 の不 妊の た めに体 外 受精 適 応 とな った女性 の 中か ら,本 研究へ の 参加 に同意 した人 を 対象 と して選 ん だ 。 2.デ ータ収 集 昭和61年9月8日 ∼10月30日 の間 をデー タ収集 期 間と し,Menningの 示 した 情緒 反応 を基 礎 と した半 統 制的 質 問紙 を用 い て,面 接 調査 を行 った。 面接 は,一 人一 回,1∼2時 間に わた り,結 婚 当 時 か ら現 在 に至 るまで を後 方視 的 に行 った 。 3.デ ータ分 析 面接 で得 られた デ ータ につ い ての内容 分 析を行 ない,情 緒 反応 に関す るもの を分類 した。 さ らに, 分 類 された 項 目を,既 存 の喪 失 に伴 う悲嘆 プ ロセ ス に そ って比較 検討 した 。 5.結 果お よ び考 察 1.対 象 者 の概 要 対象 者 は17名 で,年 齢 は,27∼36歳(平 均 年 齢 31.8歳)で,夫 の 年 齢は28∼42歳(平 均 年齢33.9 歳)で あ った。 不妊 期 間は,結 婚後2∼14年(平 均7.1年)で5∼7年 が8名 と一番 多か った。対 象 者の 職 業は,自 営 業手 伝 い が8名,主 婦4名, 会 社 員3名(事 務 員2名,パ ー ト1名),看 護婦 1名,そ の他1名 で あ った 。 また,夫 の 職 業は, 自営 業7名,会 社員4名,公 務員3名,看 護士1 名,そ の 他2名 で あ った 。 自営 業 が多 か った こ と か ら,後 継 ぎの問 題 が関 係 してい るの で はない か と考 え られた 。 2.不 妊女 性 に お け る情 緒 反応 体 外 受精 適応 とな った 不妊女 性の 情 緒 反応 は, 一 般 的 に示 され てい る悲 嘆反応 と極め て 類似 した もの で あ るとの結 果 を得 た 。す なわ ち,『 驚 き ・ シ ョック 』『否認 ・逃 避 』『怒 り 』『 不 当 感 』 『恨 み 』『罪 意識 』『空想 形 成 ・幻想 』『孤 立感 ・落 ち込 み 』 『諦 め ・受容 』『希 望 ・期待 』『新 しい ア イデ ンテ ィテ ィの 誕生 』の 情緒 反応 が あ り, また不 妊女性 の特 徴 と しては『 焦 燥感 』が あげ ら れ た。 これ らの 内容 と しては,『 驚 き ・シ ョック 』は, 「いや,こ ん なこ と って あ るの か し ら」,「 シ ョ ックで 倒れ そ うだ った」 で,『 否 認 ・逃 避 』は, 「まさか,自 分 が 悪い はず が ない」 や 「絶対 違 う と思 った」 とい った言葉 で 表現 された 。ま た 『怒 り 』は,夫 に対 して 「夫 も悪い 事 がわか ったの に, なぜ 自分 だ けが責 め られな い とい けな いの か」等, 『不 当感 』は,「 私だ け が どう して」等 と表 現 さ れ た。『 恨 み 』は,医 師の 診 断や 治療 に対 してみ られ,『 罪 意識 』は,中 絶 を 行 った場合 におけ る 自分 自身 に対 して み られた 。『空想 形成 ・幻想 』 は,『 子 供 がで き るの で あ れば3つ 子 がい い」 と か 「男 の子 がい い」 「女の 子 がい い」 とい った こ と,『 孤立 感 ・落 ち込み 』は,「 悲劇 の女 王 にな った 気分」 とか 「精 神的 に きつ い」 で,『 諦 め ・ 受 容 』は,「 もう 自分 は 自然 な状 態で は子 供 は産 め な いの だ」で,『 希望 ・期 待 』は,「 体 外受 精 に期待 してい る」 とい った治 療 に対 して,『 新 し いア イデ ンテ ィテ ィの 誕生 』は,「 子 供 がで きな けれ ば 二人で色 々 な ことを し,新 しい人 生を 考 え る」 とい ったよ うに表 現 され た。最 後 に,不 妊女 性の 特徴 として あげ られた 『焦 燥感 』は,「 もう, 子供 の産 め ない年 齢 にな って しま う」 とい った 自 分の 年齢 と の関係 で表 現 され てい た。 また,体 外 受精 適応 者の 特徴 と して 次の よ うな こと が考え られ た。 まず,不 妊 に かか わ る喪 失 は 潜在 的 な もので あ り,喪 失 と して 自覚 され難 い こ とで ある。 これ は,実 際 に存 在 してい た もの では な く,子 供 がで き るで あろ うと い った"可 能性" の 喪失 で あ ること,ま た医 師か ら絶対 的 な不 妊で もう治 療 の可能 性 がな い との明 確な 診断 は下 され に くい こ と等 が その 理 由 と して考 え られ る。次 に, 悲 嘆 が長期 に渡 り,し か も繰 り返 され るた め,不 妊女 性は 喪失 と と もに 生 きてい る とい う点 であ る。 っ ま り,不 妊 であ る と診断 された 時 と,体 外 受 精 が失 敗 に終 わ った時の 二度 に わた って,悲 嘆 プ ロ
セス を経 験 し,そ の 上,そ れほ ど長期 間 で強烈 で は ないが,月 経発 来 の度 に短 期 の悲嘆 プ ロセ ス を 経 験 してい るの であ る。 そ して,悲 嘆 プ ロセス の 中 で も,特 に「 罪意 識」 「孤 立感 」 が強 い ことで あ る。1ケ ース では あ ったが,人 工 妊娠 中絶 を行 った 人で,中 絶 が直接 不 妊の 原因 に な ったケ ース に「 罪意 識」 が 強 く見 られた 。 「孤独 感」 につ い て は,診 断後 よ り徐々 に 社会 との接 触 が薄 くな り 孤 立化が 進み,特 に,体 外受精 適応 で あ ると診 断 され てか らは,そ れ が社 会に 十分 に受 け入 れ られ てい な いこ と もあ り,増 強 してい た。最 後 に 「焦 燥感」 が強 い ことが あげ られ る。特 に,結 婚2∼ 3年 後に 最 も強 くな ってい たの は,友 人 や 知人が, 自分 よ り後か ら結婚 し,次 々 に妊娠 出産 す るのを 眼の 当 りにす る ことや 周囲 の人 か らの期 待 が大 き くな る時期 で あ るこ とが原 因 と考 え られ る。また, 女 性 にと っては,結 婚 し子 供を産 み 育て ることは, 男 性 よ りも年 齢的要 因 が強 く関 与 し,自 分 が 出産 可能 で あ る と考 え てい る上 限の 年齢 に近 付 くほ ど 焦 りは よ り強 くな ってい た 。 6.結 論 以上 の結 果か ら,本 研 究 にお いて 以 下の こと が 明 らか に な った。 1.体 外 受 精適 応 と な った 不 妊女 性 は,あ る種 の 喪 失 感を 味わ ってい る。 2.「 不 妊」 に よ る喪 失は,そ れ を経 験 す る不 妊 女 性 にと って は喪 失 で あ ると認 め に くい 。 3.「 不 妊」 に よ る喪失 は,一 般 の喪 失 か ら引 き 起 こ され る悲嘆 プ ロセス とは 以 下の 点 で異 な っ てい る。 1)悲 嘆 プロセ ス が 非常 に長期 に渡 る 。 2)月 経 の 開始 や治 療 が失 敗す る度 に反 復 して 経 験 してい る。 3)悲 嘆 プ ロセ ス を増悪 させ る情 緒 反応 と して 「罪意 識」「 孤独感 」 が 考 え られ る。 4)情 緒 反応 の 特徴 と して 「焦 燥感 」 が あ る。 第3群
10 出産 体験 を よ りよい もの にす るため の
面 接 を こ ころ み て
虎 ノ門病院 ○ 田 代 和 子 佐賀県立衛生専門学院 古 賀 章 子 1、 はじめ に 自分 の 分娩 に対 し失 敗感 を もつ褥 婦 には,分 娩 の経験 を 知的 お よび情 緒的 に 自分 の もの とす るた めの援 助 が必 要で あ り1)助産婦 が褥 婦 と分 娩後, 出産の プ ロ セス を振 り返 る ことで 自分 の 出産体 験 の満足感 を深 めた りス トレスを 軽減 させ た り した といわ れ る。2)出産の プ ロセ ス を振 り返 る面 接(以 下,面 接 と略す)を 行 な う場合 の対 応 の仕方 は, 既に言 わ れてい る が,実 際 どの よ うに 面接 を持 っ た か とい う報告 は極 め て少 ない 。 そ こで今 回,研 究 方法 にあ るよ うな 面接の 持 ち 方を試 みた結 果,自 分 の出 産体 験を ス トレスの 強 い体 験か ら,ス トレス を軽減 し喜 びの あ る体 験 と して 受 け止 め られ るよ うに な った 事例 を 得 たの で こ こに報 告 す る。 2.事 例 紹介 ・初産 ,29歳,既 往 症:な し,既 往妊娠分娩歴 :な し,今 回妊娠 経過:異 常 な し ・妊娠39週6日,正 常 分 娩,原 発性微弱陣痛, ア トニ ン0に よ る点 滴 誘導,男 児,3276g,Ap 9点 3.研 究 方 法 期 間:昭 和62年5月 ∼12月 場 所:虎 ノ門病 院 事例 の 条 件:分 娩 第一 期 後半 か ら援 助 を行 な い分 娩介 助 を行 な った 褥婦 で,児 は面 接の 時 点 まで 正 常 であ った もの 面接 の 時期:産 褥 早期(分 娩 後1∼3日 目) 面接 時 間:30分 程度 面接 の 持 ち方: (1)褥 婦 が 出産 体験 を話 せ る よ うに導 く ① 初 め に,「 お 産 ど うで したか 」 と質 問す る。 ② 次い で,「 陣痛は ど うで したか」 と質問 す る。そ して 適宜,分 娩中 の その 褥婦 に関す る情 報 を提 供 した り質 問を す る。 (2)褥 婦 の話 しや質 問 に対 し次の よ うに対 応す る。 ① 分 娩経 過 中 に褥 婦 が感 じて い たこ とに対 し て 共感 的態 度を 示す 。 ② 助産婦 が,分 娩 経過 中 の褥婦 の 言動 を支 持 してい る ことを 伝 え る。 ③ 分娩 経過 中 の褥 婦の 言 動は 他 の産婦 と同質 性 が あ ること を伝 え る。 ④ 分 娩 経過 中 の 出来 事を,褥 婦 が正 しく適 切 に理解 で き るよ うに 説明す る。 面接 者:田 代和 子 分析 の方 法:面 接 中の会 話 を録音 し会 話録 を書 き出 し,研 究者2名 で分 析 した 。 4.結 果 お よび 考 察 (1)面 接 者 は事 例 が 出産体 験 を話 せ る よ うに導 け たか 。 ④ 「お 産 ど うで した か」 の質 問 に対 し事例 は, 表1のaの よ うに ス トレスを 感 じてい る内容 を感 情 を込 め て一 気に 表 出 した。 その 内容 は 表1のC (ス トレス を 強 く感 じた 出産体 験)の 内容に 該 当 してお り,面 接 の 初 めか らス トレス を強 く感 じた 内容 が表 出 された ことに な る。 それ は事例 が 自分 の 出産体 験 につ い て話 したい,そ して それを 受 け 止 めて ほ しい とい う切 実 な思 い を持 ってい た か ら だ と思 われ る。 ② 「陣痛 は ど うで したか」 の 質 問に対 しては 事例 のほ うか ら陣 痛 室で の こと,分 娩室で の こ と と話 しを進め,質 問 もで て きた。 面接者 も,分 娩 中に 事例 が 点滴 使用 に 際 し迷 った 理 由を質 問 した りして話 を進 め て い った 。分 娩中,事 例 は 陣痛 の 苦痛 の程 度 で分 娩 の進行 を体 験 してい たの で,分 娩 の各 場 面の 体 験 は 陣痛 の振 り返 りをす るこ とで 話す こ とがで きた。 また事例 は,表1のb(陣 痛 体 験の 内 容)で は,陣 痛 が 辛 くて逃 げ だ したい, と思 った ことを表 出 した 。 この こと は事例 の 出産 体 験 の受 け 止め 方 に大 き く影響 して いた と思 わ れ る。それ は 陣痛 に伴 う痛 み は単 な る身 体 的な 痛み では な く,精 神 的に も自分 自身を 混乱 させ るもの で あ り,そ の時 どの よ うに対処 したか が 自分 自身 の評価 に大 き く影 響す るか らで あ る。 ② 面接 者 は,事 例 の話す 出産体験 を 支持 し必 要 に 応 じた適 切 な説 明が で きたか 。 ④ 分 娩経 過 中の人 工 破膜,会 陰切 開,点 滴 の 効果,前 駆 陣痛 な どにっ い ての疑 問や不 安 に対 し てわ か りやす く説明 した 。 ② 自分 の分 娩時 間が長 す ぎ るので は ないか と い う不安 に 対 し 「私 が見 てい るか ぎ りでは進 ん で ま した し,陣 痛強 か った です もん ね」 と 陣痛が 無 効で は なか った こと,分 娩が進 行 して いた こ とを 説 明 した。 ③ 怒 責 の制止 が で きなか った とい う訴 え に対 しては,怒 責を制 止す る理 由を説 明 し,「 ど う し て も力が 入 るん です よね」 と,そ の 時 の褥 婦の 辛 か った 気持 ちに 共感 し,そ の 時の褥 婦 の言 動を 支 持 した. ④ 陣痛 に耐え 切 れず帝 王切 開 して ほ しい と思 った ことに 対 しては,「 皆 さん そ うです よ。最 後 の 当た りで は。」 と,他 の 産婦 と変 わ らない こと を伝 え た。 以上の ような 面接の 持 ち方 を行 な った ことに よ り,事 例 は 表1のd(面 接 に よ って変容 した出 産 に関 す る よい評価)の よ うに,ス トレス が軽 減 し 喜 びの あ る体 験 と して受 け止 め るこ とがで き るよ うにな った 。 この結 果よ り,実 施 した 対応 の仕 方 は 良か った と思 われ る。 (3)事 例 の 面接 に対す る感 想(表1のe) 自分の 出 産体験 を分 娩 に立 ち会 った助 産婦 に聞 い て も らえ,ま た支 持 を受 け た こと に満 足感 を持 っていた 。 (4)面 接 の 妥当性 と意 義 事 例は 分 娩時間 が長 くな り,ま た 陣痛 に対 して 耐え きれ なか った とい う実 感か ら,自 己評価(自 分に 対す る価値 意 識)は,か な り低 下 して いた と 思 わ れ る。 しか し面接 を通 して助産 婦 に 出産体 験 を十分 に話 し,そ れを 支持 して も らい,さ らに 適 切な 説明 を受 け るこ とが で きた。 それ に よ り自分 は分 娩経 過中,良 く頑 張 って いた こ とを理 解 し, 自分 の分 娩中 の出 来事 に対 し,肯 定 的 に評 価で き
表1事 例 が話 した 出産 体験 と面 接に 対す る感 想 るよ うに な った。つ ま り事 例は,面 接 に よ って 自 己評価(自 分 に対す る価 値 意識)が 高 め られ,自 己を肯 定 的に 見つ め るこ とがで きる ように な った と思 われ る。す な わ ち,否 定的 な 自己概 念 か ら, 肯 定的 な 自己概 念 に変 容 した と思 われ る。 参 考 文 献 1) Reeder, S. J., etal.,: 尾 島 信 夫 監 訳: 母 性 看 護 学II, 医 学 書 院, 1984. 2) 和 田 サ ヨ子 他: 出 産 の プ ロセ ス を 振 り返 る, 助 産 婦 雑 誌, 40(9) 1984.