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馬琴読本『月氷竒縁』『椿説弓張月』『南総里見八犬伝』の仮名字体の特徴

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Academic year: 2021

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─ 125 ─ 成蹊國文 第四十九号 (2016) 1 馬琴の読本『月氷竒縁』 、『椿説弓張月』 、『南総里見八犬伝』の板 本の巻之一にみられる仮名字体については、三本すべてに共通して 出現する字体の用法に関する報告を既に行った (1 ( 。本稿では、読本三 本のうち二作品に共通した字体、一作品のみにみられた字体の用例 を検討し、各読本の表記の個別性と共通点を述べていきたい。 各資料における調査範囲は次の通りである。 『 復讐 小説 月氷竒縁』 (文化二年 (2 ( ( 巻之一 八丁オ~廿六丁オ 『 椿 説 弓 張 月 前 篇 』( 文 化 四 年 ( 巻 之 一 七 ノ 下 ウ ~ 三 十 一 丁ウ 『 南 総 里 見 八 犬 伝 肇 輯 』( 文 化 十 一 年 ( 巻 之 一 九 丁 オ ~ 三 十丁ウ (( ( これら三本は、馬琴の読本の中でもよく売れた作品として知られ て い る。 『 近 世 物 之 本 江 戸 作 者 部 類 』 で、 各 作 品 に つ い て、 馬 琴 は 次のように述べている。  ○ 月氷竒縁 (『近世物之本江戸作者部類』 (徳田武校注、岩波書店、 二〇一四年 ( P 212( 享和三年、 『小説比 ひ 翼 よく 文 もん 』二巻〔 中 ちゅう 本 ほ ん なり。鶴屋喜右衛門板〕 、 又『曲亭伝奇花 ばな 釵 かん 児 ざし 』二巻〔同上。浜松屋幸 こう 助 すけ 板也〕を作る。 この年又大坂の書 しょ 賈 こ 河 かわ 内 ち 屋 や 太 た 助 すけ に前約あれば、 『月 げっ 氷 ぴょう 奇 き 縁 えん 』五 巻を作る。是 これ 曲亭が半 はん 紙 し 形 がた のよみ本を綴る初筆也〔 出 しゅつ 像 ぞう 浪 なにわ 華 の 画 工 に 画 えが か し む。 画 工 の 名 を 知 ら ず 〕。 こ の 書 大 イタ く 時 好 に 称 かな ひ て、 印 行 の 年〔 文 化 元 年 〕 大 坂 并 ならび に 江 戸 に て 千 百 部 売 れ た りといふ。是より読 よみ 本 ほ ん 漸 ぜん 々 ぜん に流行して、竟 つい に 甚 はなはだ しきまでに至 れり。 ○ 椿説弓張月 (同P 214~P 216( 『弓張月』世評尤高かり。 (中略 ( 大 おお 約 よそ 文化年中馬琴の戯 ぎ 墨 ぼく 、毎 まい 歳 さい 臭 くさ 草 ぞう 紙 し ・ 読 本 共 に、 十 余 よ 種 しゅ 出 しゅっ 板 ぱん せ ざ る こ と な し。 そ の す け なき年といへども、 必 かならず 八、九種発行しけり。戯作者ありてよ り依頼、一 ひとり 人一 いっ 筆 ぴつ にして、かくの如く著 ちょ 編 へん の年々に多かるは前 ぜん 未 み 聞 もん 也。遠方の看官はこれを疑ひて、馬琴といふもの二人も三 人 も あ る 歟 か と い へ り。 『 弓 張 月 』 は、 こ の ゝ ち 編 を 続 つ ぐ こ と 都 すべ て五次、その度 たび 毎 ごと に板 はん 元 もと の利 り 市 し 三倍也といふ。全本廿九巻、文

馬琴読本『月氷竒縁』

『椿説弓張月』

『南総里見八犬伝』

の仮名字体の特徴

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─ 126 ─ 市地英 馬琴読本『月氷竒縁』『椿説弓張月』『南総里見八犬伝』の仮名字体の特徴 化七年に至りて結局団 だん 円 えん す。八年の春、板元平林庄五郎、作者 に 報 むく ふ に、 潤 筆 の 外 ほ か に 金 拾 両 を 以 もつて す。 且 北 斎 に 為 ため 朝 とも の 像 を 画 えが かせ、曲亭に賛 さん を乞ふて、これを懸 かけ 幅 ふく にして祭れり。その贏 えい 余 よ 多きをもて徳とする所也。 ○ 南総里見八犬伝 (同P 241、P 248~P 249( 文 化 十 一 年〔 甲 きのえ 戌 いぬ 〕、 『 南 なん 総 そう 里 さと 見 み 八 はっ 犬 けん 伝 でん 』 第 一 輯 しゅう 五 巻、 『 朝 あさ 夷 いな 巡 しま 島 めぐ 記 りき 』初編五巻を綴る。この二書、編を 累 かさぬ るに 及 および て大 イタ く行 はる。 (中略 ( 現 げに この『八犬伝』は流行未 み 曽 ぞ 有 う なりければ、三、四輯まで刊行 の比 ころ よりして、狂歌師の摺 すり 物 もの にも多くこれを模擬し、錦絵にも 八 犬 士 の 綉 しゅう 像 ぞう と 模 も 刻 こく し て、 四 方 に 鬻 ひさ ぐ ま で に 至 れ り。 こ れ ら も前実聞といふべし。 椿説弓張月、南総里見八犬伝の後世にまで聞こえた人気ぶりはいう までもなく、それらに比べ名が知られていない月氷竒縁も、馬琴が 初めて著述した半紙本の読本にして当時の人気作であり、馬琴を読 本作家として知らしめた作品であったことが窺える。後期読本隆盛 のきっかけとなる作品の月氷竒縁、世間に高く評価され大流行した 椿説弓張月、言わずと知れた馬琴のライフワーク的長編作品の南総 里見八犬伝の初輯と、いずれも読本がいかなる体裁であり、いかな る表記であるべきか、読本というジャンルの相応しさが目指された と推測される。 合巻に比べ、読本には字体の種類が多い (( ( のであるが、読本三本の 字体の総種類数を比較してみると、月氷竒縁 106、弓張月 103、八犬伝 92とややバラつきがある。また、読本三本に共通した字体だとして も、使用数や用法に差異がみられるものがあった (5 ( 。各本によって使 用のありようが異なることが分かる。 江戸時代の資料における仮名字体の研究の多くは、語の特定の位 置に使用されるといった字体使用の傾向を分析するのが中心となる。 使用数が 1、 2例の字体は見過ごされてきたといってよい。今回の 調査で、二作品に共通した字体、一作品のみにしかみられなかった 字体は、先行研究では、あまり取り上げられてこなかった字体と一 致する。これらの字体が使われていることにより、読本それぞれの 字体の総種類数が多めとなっている。使用割合の多い字体の傾向を みるだけではなく、僅かしか使用されない字体がどのように使われ ているかを検討しなければ、読本の平仮名とその表記を分析したと はいえないだろう。 2 まず、二作品に共通する字体と、一作品のみにみられた字体の種 類と、その使用数を概観する。二作品に共通する字体は、月氷竒縁 と弓張月、弓張月と八犬伝、月氷竒縁と八犬伝の組み合わせで、計 1(の字体が該当する。 月氷・弓張月 【阿 (6 ( 】【可 2】【川 2】【徒】【登】【に】 【耳 1】【累】

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─ 127 ─ 成蹊國文 第四十九号 (2016) 弓張月・八犬伝 【し 2】【ほ】【流 1】 月氷・八犬伝 【乃】【満 1】【み】 このうち、 【し 1】【川 2】【徒】 【満 1】は庶民的な本においても使 用が確認されている字体である (7 ( 。 一作品のみにみられた字体は計 22、具体的には次の通りである。 月氷竒縁 【お 2】【於】【佐】【須 2】【世】【堂】【亭】【那】 【耳 2】【能 2】【盤 2】【遍】 弓張月 【希】【す】【せ 2】【津】【奈 (】【丹】【路】 八犬伝 【祢】【は】【流 2】 【於】 【須 2】【世】 【能 2】【盤 2】【奈 (】【丹】 【祢】は漢字に近 い 字 体 で あ る。 【 す 】【 せ 2】【 丹 】 以 外 は、 三 作 品 に 共 通 し た 字 体 より、比較的大きな字体である。しかし、黄表紙や合巻ほか多くの 資料にみられる【す】や、作品によっては主体的に使用されること もある【せ 2】 (( ( が含まれている。 表 1に複数の種類のある字体の使用数と、使用割合を示した。二 作品に共通する字体と、一作品のみにみられた字体には、○を付け ている。これをみると、二作品に共通する字体と一作品のみにみら れる字体 (6のうち (5は読本三本に共通する字体の使用割合に対し、 少なめである。そのうち 5%未満の使用率の稀少字体というべき字 体が 22もある。例えば〈ア〉をみると、三作品とも【あ】を 90%以 上 使 用 し、 【 阿 】 は 月 氷 竒 縁 0・ (7%、 弓 張 月 (・ (9% と 使 用 数 が 少ない。 【あ】は主体的、 【阿】は補助的な関係にあるのである。二 作品に共通する字体、一作品のみにみられる字体は、ほぼ補助的な 字体であると考えられる。ただし、月氷竒縁において〈オ〉の仮名 は【お 1】とは書形 ( 9 ( の異なる【お 2】が最も使用され、数量の上で 主体的である。 ま た、 〈 オ 〉〈 ケ 〉〈 シ 〉〈 ツ 〉〈 ナ 〉〈 ニ 〉〈 ネ 〉〈 ノ 〉〈 ホ 〉〈 マ 〉 〈 ル 〉 の 字 体 の 使 用 割 合 は、 作 品 に よ っ て 異 な る 場 合 が あ る。 二 作 品に共通してみられた字体のうち【阿】 【可 2】【し 2】【徒】 【登】 【 に 】【 乃 】【 流 1】 は、 作 品 ご と に 使 用 割 合 が や や 異 な る。 一 作 品 の み に み ら れ た 字 体 の う ち、 月 氷 竒 縁 の【 堂 】【 遍 】、 弓 張 月 の 【丹】 【路】は、使用割合が 10%以上あり、その本においてしばしば 発 現 す る 字 体 で あ る。 特 に 月 氷 竒 縁 の〈 タ 〉 は、 【 堂 】 が 使 用 さ れ て い る ほ か、 【 多 】 と【 た 】 の 使 用 割 合 が ほ ぼ 同 等 で あ る。 他 の 二 作 品 で は、 【 多 】 が 95% 以 上、 【 た 】 が 5% 未 満 で、 【 多 】 が 主 体 的

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─ 12( ─ 市地英 馬琴読本『月氷竒縁』『椿説弓張月』『南総里見八犬伝』の仮名字体の特徴 表1 字体の種類とその割合 仮名 字体 月氷 弓張月 八犬伝 ア あ 11( 99.12% 97 91.50% 90 100.00% ○阿 1 0.(7% 9 (.(9% 0 0.00% オ お 1 17 ((.00% (7 100.00% (2 100.00% ○お 2 (2 6(.00% 0 0.00% 0 0.00% ○於 1 2.00% 0 0.00% 0 0.00% カ 可 1 155 (7.57% 297 (6.5(% 2(5 (6.57% か 21 11.(6% (5 10.20% (( 1(.(2% ○可 2 1 0.56% 11 (.20% 0 0.00% ケ 介 1( (0.95% 52 66.66% 2( (0.76% け 29 69.0(% 20 25.6(% 6( 69.2(% ○希 0 0.00% 6 7.69% 0 0.00% サ さ 2( 96.55% (9 100.00% 10( 100.00% ○佐 1 (.((% 0 0.00% 0 0.00% シ し 1 2(( ((.09% ((( (0.(7% 29( 77.(0% 志 (5 15.90% 50 11.6(% (0 7.((% ○し 2 0 0.00% (( 7.9(% 55 1(.(6% ス 春 106 7(.12% 1(9 (6.12% 12( 7(.(1% 須 1 (5 22.(7% 15 (.67% (( 25.5(% ○須 2 2 1.(9% 0 0.00% 0 0.00% ○す 0 0.00% 9 5.20% 0 0.00% セ せ 1 2( 96.55% 62 9(.9(% 92 100.00% ○せ 2 0 0.00% ( 6.06% 0 0.00% ○世 1 (.((% 0 0.00% 0 0.00% タ 多 (( (2.(5% 1(( 99.25% 117 95.12% た (6 (1.07% 1 0.7(% 6 (.(7% ○堂 1( 16.07% 0 0.00% 0 0.00% ツ つ 20 (9.21% 77 (1.91% (5 5(.6(% 川 1 19 (7.25% ( (.19% 29 (5.(1% ○川 2 ( 5.((% 6 6.((% 0 0.00% ○徒 9 17.6(% 7 7.((% 0 0.00% ○津 0 0.00% 1 1.06% 0 0.00% テ 天 177 59.59% (50 (5.(6% 2(( 76.59% て 115 ((.72% 60 1(.6(% (( 2(.(0% ○亭 5 1.6(% 0 0.00% 0 0.00% ト と 1 157 6(.60% (00 ((.26% (1( 9(.25% と 2 79 (2.51% 0 0.00% 0 0.00% と ( 0 0.00% 55 15.((% 2( 6.7(% ○登 7 2.((% 1 0.2(% 0 0.00% ナ 奈 1 1(( ((.(1% 21 10.1(% 209 96.75% な 21 1(.29% (( (0.09% 7 (.2(% 奈 2 0 0.00% 101 ((.79% 0 0.00% ○奈 ( 0 0.00% 2 0.96% 0 0.00% ○那 ( 1.(9% 0 0.00% 0 0.00% 仮名 字体 月氷 弓張月 八犬伝 ニ 尓 1 (9 11.71% (15 66.7(% (01 57.11% 尓 2 27( (2.2(% 9( 19.91% 226 (2.((% ○に 16 (.(0% 1 0.21% 0 0.00% ○丹 0 0.00% 61 12.92% 0 0.00% ○耳 1 1 0.(0% 1 0.21% 0 0.00% ○耳 2 ( 0.90% 0 0.00% 0 0.00% ネ 年 1 12.50% 1 1(.2(% 6 (6.15% ね 7 (7.50% 6 (5.71% 2 15.((% ○祢 0 0.00% 0 0.00% 5 ((.(6% ノ の 2(7 ((.67% 505 97.(0% (62 96.02% 能 1 5( 15.7(% 1( 2.69% ( 1.06% ○乃 1 0.29% 0 0.00% 11 2.91% ○能 2 1 0.29% 0 0.00% 0 0.00% ハ 八 167 75.90% ((7 (7.((% (57 90.60% 者 (6 16.(6% (5 (.(6% 2( 7.10% 盤 1 16 7.27% 1( (.29% ( 2.0(% ○盤 2 1 0.(5% 0 0.00% 0 0.00% ○は 0 0.00% 0 0.00% 1 0.25% ヘ へ 72 ((.70% 1(0 100.00% 69 100.00% ○遍 1( 15.29% 0 0.00% 0 0.00% ホ 保 16 ((.21% (2 7(.(1% 12 50.00% 本 ( 15.7(% 6 1(.95% ( ((.((% ○ほ 0 0.00% 5 11.62% ( 16.66% マ ま (0 60.00% 2 2.27% 6 (.95% 末 ( 16.00% 7( ((.09% 59 ((.05% 満 2 11 22.00% ( (.5(% 1 1.(9% ○満 1 1 2.00% 0 0.00% 1 1.(9% ミ 三 26 92.(5% 51 100.00% (0 90.90% ○み 2 7.1(% 0 0.00% ( 9.09% ル る 2 71 56.(0% 16( 72.72% 161 6(.22% る 1 (( (0.(0% 5( 25.10% 5( 2(.57% 類 1( 11.20% 1 0.((% 2 0.((% ○累 2 1.60% 2 0.(6% 0 0.00% ○流 1 0 0.00% 2 0.(6% 12 5.0(% ○流 2 0 0.00% 0 0.00% ( 1.27% ロ ろ (( 100.00% 2( 71.(7% 19 100.00% ○路 0 0.00% 9 2(.12% 0 0.00%

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─ 1(0 ─ 市地英 馬琴読本『月氷竒縁』『椿説弓張月』『南総里見八犬伝』の仮名字体の特徴 立がたし 1 見わたし 1 助動詞─しかば 12 じ 1 助詞─し 1( かし 1 【 し 2】 の 使 用 箇 所 は 語 中 末・ 付 属 語 で、 【 し 1】 に 準 じ る。 【 し 1】で主に書かれ、時折【し 2】が使用される。 弓張月の用例のうち 9例は行末であり、行末の〈シ〉は必ず【し 2】が使用されていた。 ① 九丁オ( L((  讀 よむ よ【し 2】| ② 十二丁オ( L5~ L6(  感 かん 【し 2】|あへり ③ 二十丁オ( L10(  業 わざ をな【し 2】| ④ 廿五丁オ( L((  な【し 2】| ⑤ 廿六丁オ( L11(  しば【し 2】| ⑥ 廿七丁ウ( L5(  も【し 2】| ⑦ 廿九丁ウ( L((  おぼしかへ【し 2】| ⑧ 三十丁ウ( L((  おぼ【し 2】。| ⑨ 三十一丁オ( L10(  幾 いくか 日もあらず【し 2】|て 【 し 2】 は 直 線 的 に ス ペ ー ス を と る【 し 1】 よ り、 結 果 的 に ス ペ ー ス を と ら ず に 済 む。 一 語 を 同 一 行 に 収 め る た め に、 【 し 2】 を 用 い て行末に押し込むことが可能である ((( ( 。用例のうち、③、⑤~⑨は行 末までに一語を収めるため【し 2】が用いられたとみられる。しか し、弓張月の①、②、④は、行末に【し 1】一文字分を書き入れら れ る 充 分 な ス ペ ー ス が あ る の に 関 わ ら ず、 【 し 2】 を 書 き 入 れ て い る。 ス ペ ー ス を 省 略 す る こ と だ け が 目 的 な の で は な く、 行 末 に は 【 し 2】 を 用 い よ う と い う 意 図 が み ら れ る。 八 犬 伝 で は、 行 末 の 〈シ〉は 9例中 (例が【し 1】、僅か 1例のみ【し 2】が使用されて い る( 廿 九 丁 オ L7(。 こ れ は、 ス ペ ー ス を 省 略 す る た め 書 き 入 れ た と考えられる例であった。行末の処理に、それぞれ違いがあること

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─ 1(( ─ 市地英 馬琴読本『月氷竒縁』『椿説弓張月』『南総里見八犬伝』の仮名字体の特徴 「 お も ふ 」 の「 お 」 の み を 残 し て 改 行 さ れ て い る。 ほ か の「 お も ふ」の類 1(例はさきほど述べたようにすべて【お 2】であり、下に 続く【毛 1】と連綿される形で表記されている。連綿が途切れたこ とから、通用の字体とは異なる字体にしたとみられる。 〈 サ 〉 の【 佐 】 の 用 例 は 僅 か 1例、 怨 霊 と な っ た 腰 元 さ ざ 浪 の 「さらば 縛 いましめ を觧 とく べし」という台詞の冒頭に使用されていた ((( ( 。 廿五丁ウ( L1( |【佐】らは 〈 ス 〉 の【 須 2】 は 漢 字 に 近 い 形 を し て い る。 僅 か 2例 し か み ら れなかった ((( ( 。 十五丁オ( L1( たのしま【須 2】。| 廿六丁( L(( おもは【須 2】| 行末のため、用いられたかと考えられる。 〈セ〉の【世】は漢字の近い書形の字体である ((( ( 。  十二丁ウ( L11( 引 ひき 出 いだ 【世】り 「せり」は、右のほかに「せり」 2例「もてせり」 「寓 ぐうきょ 居せり」の ( 例が現行仮名字体に近い【せ 1】で書かれている。 〈タ〉の字体三種類ついては、月氷竒縁にのみ、特徴がみられる。 他の二作品は、 【多】は 95%以上であり、 【た】は僅かである。しか し、 月 氷 竒 縁 で は、 【 多 】 (2・ (5%、 【 た 】 (1・ 07%、 【 堂 】 16・ 07%と、 【多】 【た】はほぼ同等に使用されている上に【堂】がしば し ば 文 章 中 に み ら れ る。 三 つ の 字 体 の 位 置 を 表 2に 示 す。 【 た 】 は 自立語語頭、付属語語頭に偏っており、 【多】 【堂】は自立語語頭・ 語中、付属語語頭に多いと分かる。 月氷竒縁のみにみられた【堂】 ((( ( の用例をみてみよう。 【堂】 語頭─たしみ 1 準語頭─一たび 1 語中─  いたり ( いたる 1 いたれば 1 いたゞき 1 うたがひ 1 みたず 1 みだれて 1 ふたゝび 1 のたまふ 1 助動詞─たり 2 たる 2 右 の 用 例 の 中 で、 〈 イ 〉 か ら【 堂 】 に 続 く 語 は、 す べ て 漢 字 に 近 い【以】から連綿している。また、助 動詞「たる」は必ず【類】の字体と連 綿している。通用される【い】や【る 1】【 る 2】 に 比 し て、 複 雑 な 字 体 と 組み合わされて使用される。表 (は助 動 詞 タ リ の「 た り 」「 た る 」 ( こ の 二 つ の 表2 〈タ〉の字体使用分布 付属語 語末 語中 準語頭 語頭 11 7 27 0 ( [((]多 月氷竒縁 2( 0 1 1 20 [(6]た ( 0 12 1 1 [1(]表3 助動詞タリに用いられた字体 た 】 【 多 】 【 堂 】 たり 16 6 2 たる 6 2 2

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─ 1(9 ─ 成蹊國文 第四十九号 (2016) 活 用 形 の み が み ら れ た ( に 使 用 さ れ た 字 体 を 示 し た も の で あ る。 「 た り 」 「 た る 」 は、 【 た 】【 多 】 が そ れ ぞ れ 使 用 さ れ、 さ ま ざ ま な 書 き 方 が みられるようになっている。三つの字体の割合がある程度みられる の は、 語 に 様 々 な 表 記 が 行 わ れ て い る か ら で あ る ((( ( 。 月 氷 竒 縁 で は 〈タ〉の三字体を使用して変化をつけたとみられる。 〈テ〉の【亭 ((( ( 】は僅か 5例、用例は次の通りである。 十丁ウ( L(( 釣 つり し【亭】| 十八丁ウ ( L1(  夫 それ 剣 つるぎ は陽 よう 物 ぶつ にし【て】威 ゐ あるものなり。鬼 き は陰 いん にし【天】 形 かたち なき ( L2(  ものなり 形 かたち なきものをもて威 ゐ あるものに遇 あふ 是 この 故 ゆゑ にその 妖 あやしみ を 銷 しょう 鑠 れき ( L((  し て 勝 かつ こ と あ た は ざ ら し む 故 ゆゑ に 鬼 き は 剣 つるぎ を 畏 おそ る 。 鏡 かゞみ も亦 また 陽 よう 物 ぶつ にし【天】 ( L((  至 し 明 めい なるものなり。精 せい は亦 また 陰 いん 物 ぶつ にし【亭】偽 ぎ 変 へん な る も の な り。偽 ぎ を 以 もつて ( L5(  至 し 明 めい に當 あた る。このゆゑにその 形 かたち を暴 ぼう 著 ちょ して逃 のが るゝこと能 あた ざ らしむ ( L6(  ゆゑに精 せい は 鏡 かゞみ を畏 おそ る。むかし抱 ほ う 朴 はく 子 し その 畧 りやく をいへり。 看 み に後 のち 三日 ( L7(  にし【亭】 哭 なげき あり。百日にし【天】二物 もつ をうしなひ。廿五 年 ねん を経て禍 ( L((  はじめて 消 けしょう 除 ぢょ し。又 また 一 いち 年 ねん にし【天】大に 福 さいはひ あらん。 二十丁オ( L6( |疑 ぎ し【亭】 二十丁ウ( L9( |ありと【亭】 十 八 丁 ウ に は「 陽 物 」「 陰 物 」、 「 三 日 」「 百 日 」「 一 年 」 と い っ た 反 対 語 や 類 似 の 語 が「 に し て 」 で 繰 り 返 さ れ る た め、 【 て 】【 天 】 【 亭 】 を 使 用 し、 同 字 体 の 反 復 を 避 け た と 考 え ら れ る。 あ と の (例 の使用理由は不明というほかないが、行末あるいは行頭に近いとい う点が指摘できる。 〈 ナ 〉 の【 那 】 の 用 例 を 語 別 に 示 す。 該 当 語 に【 奈 1】 が 使 用 さ れている場合も合わせて示しておく。 はなはだ 延べ数 ( 十五丁ウ( L7( は【奈 1】はだ 十七丁オ( L5( は【奈 1】はだし 廿二丁ウ( L1( は【那】はだ むなしく 延べ数 2 十九丁オ( L10( む【那】しく 二十丁オ( L(( む【奈 1】しく すなはち 延べ数 6 九丁オ( L10( す【奈 1】はち 十一丁オ( L10( す【奈 1】はち 十七丁ウ( L11( す【奈 1】はち 十八丁オ( L(( す【奈 1】はち 廿四丁ウ( L6( す【奈 1】はち 廿五丁( L(~ 5( す【那】|はち

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─ 1(0 ─ 市地英 馬琴読本『月氷竒縁』『椿説弓張月』『南総里見八犬伝』の仮名字体の特徴 「はなはだ」 「むなしく」は数が 2~ (例と少ないので、変化をつ け る た め 使 用 さ れ た か と 推 測 す る こ と し か で き な い。 「 す な は ち 」 は、 6例中 5例は【奈 1】であり【那】の 1例のみ直後で改行され ている。 1例のみなので確かなことはいえないが、語の途中である ことを注意するために特別な字体を用いた可能性もある。 〈 ノ 〉 で は【 能 1】 よ り も 漢 字 の 形 を 残 し て い る【 能 2】 が 使 用 されていた。使用箇所は語頭で、 「のたまふ」に用いられる。 「のた まふ」の用例を、 【の】で書かれたものと示す。 九丁オ ( L1(【の】 【多 1】【満 2】はく ( L6(【の】 【堂】 【末 1】ふ 十一丁オ( L5(【能 2】【多 1】【末 1】はく 【 能 2】 を た だ 1例 使 用 し た の は 偶 然 か も し れ な い が、 (例 の 「のたまふ」の字体の組み合わせはすべて異なるものとなっている。 〈ハ〉の【盤 2】は漢字の形により近く、 【盤 1】より更に画数が 多い字体である。月氷竒縁にただ 1例、行末の助詞「は」に使用さ れる。 十八丁オ( L(( こひねがはく【盤 2】| 行 末 に み ら れ る【 八 】 ( 6例 ( 、【 盤 1】 2例 ( に 対 し、 【 盤 2】 は 縦長であるので、やはり、スペースが関係あるかとみられる。 〈 ヘ 〉 の【 遍 】 は 助 動 詞「 べ し 」「 べ き 」「 べ み 」 に の み 使 用 さ れ ていた。 「べし」 「べき」は【へ】でも書かれることもあり、用例数 は次の通りである。 【へ】 べし 11 べき 2 べからず ( べかり 1 給へ 10 等 (2例 【遍】 べし 7 べき 5 べみ 1 助 動 詞「 べ し 」 の 活 用 形「 べ か り 」「 べ か ら 」 や、 左 に は 挙 げ て い な い が「 い へ ど も 」 ( (例 ( 「 か へ す 」 ( 1例 ( の 語 や、 三 文 字 以 上 の 語は、すべて【へ】で書かれる。平たい【へ】に比して【遍】は画 数が多く、大きめな字体である。特定の語に混ぜて、視覚的効果を 狙ったものと考えられる。 6─ 2 弓張月のみにみられた字体は、六種類あった。 〈 ケ 〉 の【 希 】 は 大 き め な 字 体 で あ る。 概 ね【 介 】 の 約 一. 五 倍 ほ ど で あ る こ と が 多 い。 〈 ケ 〉 の 三 つ の 字 体【 希 】【 介 】【 け 】 の 自 立語の用例は次の通りである。 【介】 語頭─けふ ( 語中─なけれ ( ちかけれ 1 深 ふか けれ 1 有がたけれ 1 【け】 語頭─けふ 2 語中─かけて 2 かけず 1 しげき 1 つけて 1 うけ引て 1 語末─名 な づけ 2 退 しりぞ け 2 防 ふせ げ 1 似 に げ 1 急 いそ げ 1 あけ 1 【希】 語中─くつろげて 1 こ の【 希 】 の「 く つ ろ げ て 」 ( 廿 五 丁 L(( の 1例 で は〈 ツ 〉 に 漢 字 に近い字体の【川 2】を使用しているので、複雑な字体が二字入っ

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─ 1(1 ─ 成蹊國文 第四十九号 (2016) ている。 表 (に 示 し た 通 り、 「 け り 」 「 け ん 」「 べ け れ 」 と 助 動 詞 の 〈 ケ 〉 の 多 く が【 介 】 で 書 か れ て い る が、 「 け り 」 1例、 「 け る」 (例が【希】で書かれてい る。大きめな字体を用い、時折 変化をつけたものと考えられる。 〈 ス 〉 の【 す 】 は、 近 世 の 本 にはよくみられる字体だが、今 ともにみる。 【春】 〔 149〕 語頭─  する 5 すゝめ 2 すゝみ 2 すは 2 すべて 1 等 16例 準語頭─脱 ぬぎ すてゝ 1 一 ト すじ 1 語中─  まゐらすれ ( まゐらする 2 仰 おふ する 1 見す る 1 ます〳〵 1 等 25例 語末─  給はず 6 怕 おそ れず 2(打消「ず」 75例 ( ま ゐ ら す 1 等 105例 【須 1】〔 15〕 語中─ます〳〵 2 回の調査では弓張月にのみ使用 されていた。三本に共通してみ ら れ た【 春 】【 須 1】 の 用 例 と 語末─  べからず 1 せず 1(打消「ず」 6例 ( おはします 2 か な らず 2 等 1(例 【す】 〔 9〕 語頭─する ( す 1 語中─さすらはず 1 寇 あだ する 1 震 ふるは する 1 語末─放 はな さず 1 誇 ほ こ らず 1 【 す 】 は 自 立 語 の ど こ に で も 使 用 さ れ、 汎 用 性 が 高 い が、 使 用 数 は最も少ない。用例をみてみると、 「さすらはず」は、 廿二丁ウ( L5( さ【す】らは【春】 〈ス〉が二度出てくるときに字体を変えるために使用され、 十七丁オ ( L((  智 ち 【あ】るものは 爭 あらそ は【春】 。能 のう 【阿】るものは誇 ほ こ ら【す】 対句で助動詞「ず」が同じ字体になるのを避けており、変化をつけ る用法がみられる。 ま た、 「 す る 」 が 行 末 に あ る 2例 は、 ス ペ ー ス の 省 略 の た め と 考 えられる。 廿二丁ウ( L(( 家 いへ とする| 廿七丁ウ( L2( 震 ふるは する| 【す】は最終画で左にはらうため、 【る 2】と連綿することによっ て ス ペ ー ス を 省 略 で き る。 【 春 】 の 場 合、 最 終 画 で 右 側 に は ら う の で、 【 す 】 の よ う に【 る 2】 と 密 着 し て 書 く こ と は で き な い。 や や 狭 く な っ た 行 末 の ス ペ ー ス に、 【 す 】 で 書 か れ た「 す る 」 を 用 い た と考えられる。巻之一では右の 2例のみだが、巻之三の十八丁オ L1 表4 〈ケ〉の助動詞 べけれ けめ けん けれ ける けり  字体 用例 1 0 5 ( 19 9 介 [(6/52] 弓張月 0 1 0 0 1 0 [2/20]け 0 0 0 0 ( 1 [5/6]

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─ 1(2 ─ 市地英 馬琴読本『月氷竒縁』『椿説弓張月』『南総里見八犬伝』の仮名字体の特徴 に「御 ご 覧 らん ずる」が行末に書かれ、やはり連綿でスペースを省略した 形で書き入れられていた。 〈 セ 〉 の【 せ 2】 は カ タ カ ナ の「 セ 」 と ほ と ん ど 同 じ 形 を し た 字 体である。現行仮名字体に近い【せ 1】が使用される中で、僅か ( 例、使用されている。 【せ 1】〔 62〕 語頭─  せず ( せり 2 せん 2 せじ 1 せざり 1 せらる 1 せん{すべなく} 1 語中─  申せし 1 落 おと せし 1 まゐらせ給ふ 1 労 らう せずして 1 お はせし 1 等 (1例 語末─  まゐらせ 7 合 あは せ 1 申せ 1 搦 からめ 取 とら せ 1 縫 ぬいとめ 留させ 1 殺 ころ させ 1 等 20例 【せ 2】〔 (〕 七ノ下丁ウ( L(( 載 の 【せ 2】て| 十丁ウ( L(( 問 とは 【せ 2】給ふ 十一丁( L(( おり居 ゐ |さ【せ 2】給ふ 十二丁( L6( 欲 ほ り 【せ 2】ば 【 せ 2】 は【 せ 1】 よ り 小 さ め に 書 か れ る の で、 そ の 点 を 生 か し た 用法もあるとみられるが、確定はしにくい。 〈ツ〉には【津】が僅か 1例みられた ((( ( 。 廿五丁ウ( L(( 嚼 かみ 【津】き【川 2】蟒 うは |蛇 ばみ この箇所のみ使用されていた理由は不明だが、漢字に近い書形の 【川 2】や画数の多い漢字が近接してみられた。 〈ナ〉の【奈 (】は僅か 2例である。 十二丁オ( L1( 夜 よ 【奈 (】〳〵 十四丁オ( L7( 【奈 (】ほ 「 な ほ 」 は 延 べ 1(例 み ら れ、 そ の う ち、 使 用 数 が 最 も 多 い【 奈 2】 で 書 か れ る 例 は 12例、 【 な 】 で 書 か れ た も の は 1例 み ら れ る。 頻 出 語 に 変 化 を つ け た も の と 考 え ら れ る。 「 夜 な 〳〵」 は、 上 が 漢 字 で あ る こ と と、 【 奈 (】 が 漢 字 に 近 い 書 形 で あ る こ と が 関 係 あ る かと推測される。 〈ロ〉の【路】について、 【ろ】と共に使用語を示す。 【ろ】 〔 2(〕 語中─  よろこび 1 よろこびて 1 おどろおどろしく 1 よろづ 1 こゝろみ 1 ころして 1 くろみ 1 くつろげて 1 ひろく 1 もろとも 1 矢 や ごろ 1 射 ゐ ころす 1 語末─こゝろ 5 ところ ( 【路】 〔 9〕 語中─よろこび 1 おどろおどろしく 1 語末─こゝろ ( ころ 1 もろ 1 人こゝろ 1 【路】は語中末に使用され、 【ろ】と使用位置が変わらない。用例 のうち「よろこび」 「こゝろ」は【ろ】でも書かれる語であり、 「お どろおどろしく」ははじめの「おどろ」は【ろ】で書き、二回目の 「おどろ」は【路】に変えている。 「 こ ゝ ろ 」 は【 ろ 】 で 5例、 【 路 】 で (例 書 か れ て い る。 【 ろ 】 で 書 か れ た「 こ ゝ ろ 」 は 九 丁 オ、 十 七 丁 ウ、 十 九 丁 ウ ( 2( 廿 四 丁 オ

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─ 1(( ─ 成蹊國文 第四十九号 (2016) (「 御 こ ゝ ろ 」( 、【 路 】 で 書 か れ た「 こ ゝ ろ 」 は 十 八 丁 オ (「 人 こ ゝ ろ 」( 、 廿 一 丁 オ、 廿 二 丁 ウ、 廿 三 丁 ウ、 廿 五 丁 ウ に 分 散 し て い る。 若 干 【 ろ 】 が 使 用 さ れ た も の よ り【 路 】 で 書 か れ た「 こ ゝ ろ 」 が 後 の 丁 に分布しているようである。一部の頻出語に変化をもたせたものと みられる。 6─ 3 最後に、八犬伝のみの字体をみてみる。 〈 ネ 〉 で【 祢 】 は、 【 ね 】 に 比 し て 漢 字 に 近 い 字 体 で あ る。 【 ね 】 【年】とともに使用語を示す。 【祢】助動詞─ね 5 【ね】助動詞─ね 2 【年】助動詞─ね 2 語中─かねて 1 測 はかり かねて 1 回 いらへ 答かねて 1 死 し ねや 1 こ の よ う に 助 動 詞 の「 ね 」 は、 【 祢 】 以 外 に も、 【 ね 】【 年 】 で 書 かれることがある。 【年】では「候はねば」 「候はねども」のみに使 用 さ れ る。 【 祢 】 は【 ね 】 と と も に、 「 あ ら ね 」 ( (例 ( 、「 憑 たのも し か ら ね」 「進 まゐ らしね」 「認 みと めね」に使われている。 〈 ハ 〉 の【 は 】 は 現 行 仮 名 字 体 に 近 い 字 体 で あ る。 用 例 は 次 の 通 り。 廿三丁オ(L 2( 件 くだん の 事 [こと] 【八】 【は】じめより。 助詞ハの直後に語頭の〈ハ〉の字体が続いているのは右の例のみ で あ り、 通 常 よ り 目 立 つ 字 体 を 用 い た か と 考 え ら れ る。 な お、 「 は じめ」の語は (例あり、他の (例は【者】で書かれている。 7 二作品に共通する字体、一作品のみにみられた字体は、主として 使用される字体に対し、使用数が少ないものがほとんどであり、各 本巻之一全体の仮名使用数に対し僅かな場合が多かった。しかし、 二作品に共通した字体は、各本によって使用割合が若干異なる字体 があり、一作品のみにみられた字体にしても、使用頻度は個別的で あった。 二作品にみられた字体については、 【し 2】【徒】 【川 2】【満 1】 など先行研究で既に同じような用法が指摘されている字体があり、 読本でも同様に使用されていた。また、語の特定の位置に使用され る 字 体 と み ら れ る も の (【 ほ 】【 み 】( も 僅 か だ が あ っ た。 た だ し、 近 接する同じ語、頻出する語、対句の同じ語の字体を変えるために、 二作品に共通する字体、一作品のみにみられた字体が使用される傾 向があり、多くの字体はそうした字面に変化をつけるための装飾的 なものと考えられるといえよう。 一作品のみにみられた字体は、大きめだったり、画数が多く複雑 な字体が多かった。こうした字体は、文章中にまれに使用されるだ けでも、存在感があると考えられる。使用意図が窺えないものばか りであったが、 「常用とは異なる字体」が使用されている文字列は、 記憶に残りやすく、読み手がその表記を目印に特定の文章に戻りや すい、という索引のような役割があるのではないか、と考察したが、

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─ 1(( ─ 市地英 馬琴読本『月氷竒縁』『椿説弓張月』『南総里見八犬伝』の仮名字体の特徴 立証するのは難しく、推測するに留まる。しかし、音声や語だけで なく、その本の文章全体において、目立つ字体がどのような効果を 持つのかは、今後も検討に入れるべきであると考える。 一方、字体の大きさを利用して、行末に中途半端な空間ができな い よ う に し た と 考 え ら れ る も の も あ っ た。 【 登 】 や【 耳 1】 は 月 氷 竒縁、弓張月に行末を埋める用法が共通し、八犬伝の【乃】が行末 にみられるのも同様かと考えられる。弓張月に【し 2】や【す】が スペースを省略するために使用されたかとみられる例もみられた。 こうした行末の処理の理由として、匡郭で囲まれている点が挙げら れる。行末に余白ができることを避ける、一続きの文が行内に収ま るようにしたと考えられる。以上による使われ方は、本によっては 美的に使用される場合と、共通する場合もある。 読本の仮名字体の使用に関しては、装飾性の強さや、行末では字 体の選択が意識されている点などが窺えた。多くの目に触れる出版 物 と し て の 表 記 の 分 か り や す さ ( 例 え ば、 行 末 の 処 理 ( と、 読 本 に 相 応 し い 表 記 の 選 択 ( 例 え ば、 変 化 を つ け る 用 字 ( が、 仮 名 字 体 の 使 用 に 混 ざ り合っていたと考えられるのである。  (本稿は、平成二十七年十月二十四日第 135回 表 現 学 会 東 京 例 会 に て発表した『馬琴読本における変体仮名の運用法』の内容を、字 体の種類を中心に、用例をできる限り示して分析する主旨に改変 したものである。 ( 注 1 市 地( 二 〇 一 五 ( に よ り、 読 本 に は 草 双 紙 類 に 比 し て 字 体 の 種 類 数 が 多 め で あ る ほ か、 同 じ 仮 名 の 字 体 が 複 数 使 用 さ れ て い て も 用 法 が 本 に よ っ て 異 な っ た り、 【 連 】( 注( 7( を 参 照 ( と い っ た 草 双 紙 類 に は 滅 多 に 使 用 さ れ な い 字 体 の 使 用 が 認 め ら れ た り と、 総 じ て 平 仮 名 字 体 の バ リ エーションが豊かであることが分かった。 2『 月 氷 竒 縁 』 は 国 文 学 研 究 資 料 館『 日 本 古 典 籍 総 合 目 録 デ ー タ ベ ー ス 』 http://base1.nijl.ac.jp/infolib/meta_pub/KTGSearch.cgi ( 二 〇 一 五 年 十 一 月 三 十 日 参 照 ( で は 享 和 三 年 版 が あ る と さ れ、 馬 琴 の『 近 世 物 之 本 江 戸 作 者 部 類 』( 徳 田 武 校 注、 岩 波 書 店、 二 〇 一 四 年 ( P 212で は「 印 行 の 年 」 が 文 化 元 年 と な っ て お り、 本 稿 で 調 査 資 料 と し て 用 い た 版 の 奥 付 で は 文 化 二 年 と 記 さ れ と、 刊 行 年 に 揺 れ が あ る。 本 稿 で は 調 査 資 料 の 刊 記 と 収 録 書 の 解 題 に 基 づ き、 文 化 二 年 の 刊 行 と 判 断 す る。 な お、 成 立 年 は 刊 記 と 諸 研 究 に お い て 享 和 三 年 で 一 致 し て い る。 『 椿 説 弓 張 月 』『 南 総 里 見八犬伝』は刊記と諸研究での刊行年に食い違いはないようである。 (『 復讐 小説 月 氷 竒 縁 』 は『 馬 琴 中 編 読 本 集 成 第 一 巻 』( 鈴 木 重 三・ 徳 田 武 編、 汲 古 書 院、 一 九 九 六 年 (、 『 椿 説 弓 張 月 前 篇 』 は『 影 印 椿 説 弓 張 月 前 篇 』 (板坂則子編集、笠間書院、一九九六年 (、 『南総里見八犬伝肇輯』は(国 立 国 会 図 書 館 所 蔵、 国 立 国 会 図 書 館 デ ジ タ ル コ レ ク シ ョ ン、 http://dl. ndl.go.jp/info:ndljp/pid/25 (6 ((( ?tocOpened=1 ( 二 〇 一 五 年 十 一 月 三 十 日参照 (( を資料とした。 ( 市地(二〇一三 ( において、 『椿説弓張月』と『行平鍋須磨酒宴』の字 母の比較を行い、読本に字母の種類数が多いことが分かっている。 5 市地(二〇一五 ( を参照すると、例えば、 〈ニ〉の【尓 1】【尓 2】 の 使 用 数 を み る と、 月 氷 竒 縁【 尓 1】 (9【 尓 2】 27(( 約 12・ (6% / 約 (7・ 5(% (、 弓 張 月【 尓 1】 315【 尓 2】 9(( 約 77・ 01% / 約 22・ 9(% (、 【 尓 1】 301【 尓 2】 226( 約 57・ 11% / 約 (2・ ((% ( と そ れ ぞ れ 使 用 割 合 が 異 な り、 月 氷 竒 縁 で は 自 立 語・ 付 属 語( 助 詞「 に 」 を 中 心 と す る ( と も に 主 に【 尓 2】 が 用 い ら れ る が、 弓 張 月 で は【 尓 2】 は 自 立 語 に 使 用 さ れ る 一 方 で【 尓 1】 は ほ ぼ 付 属 語 専 用 で あ り、 八 犬 伝 で は 自 立 語 は【 尓 2】でのみ書かれるものの使用数は拮抗していた。 6 本稿で個別の字体をさす際は、 【 】に該当の現行仮名字体、あるいは

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─ 1(5 ─ 成蹊國文 第四十九号 (2016) そ の 代 替 と し て 字 母 で あ る 漢 字 を 入 れ て 示 す〔 例: 【 あ 】【 阿 】〕 。 ま た、 同 じ 字 母 で 書 き 順 や 画 数 の 異 な る 字 体 が あ る 場 合 は、 ア ラ ビ ア 数 字 を 振って区別する〔 【く 1】【く 2】、【可 1】【可 2】〕。また、抽象的な単位 として仮名を指す際は、 〈 〉に該当する仮名をカタカナで入れて表す。 7【し 1】【徒】 【川 2】【満 1】 は、 『 金 銀 先 生 再 寝 夢 』( 内 田( 一 九 九 八 a (( 、『 大 悲 千 禄 本 』( 久 保 田( 二 〇 〇 二 (( 、 一 九 の 黄 表 紙( 矢 野( 一 九 九〇 (( 、赤本(久保田(一九九四 (( 、合巻『金毘羅船利生纜』 (内田(二 〇 〇 〇 (( 、 ま た、 滑 稽 本『 浮 世 風 呂 』( 久 保 田( 一 九 九 七 (( に 使 用 が 確 認でき、人情本『春色梅兒譽美』 (玉村(一九九四 (( にも【徒】 【満 1】 が使用されている。 ( 恋 川 春 町 の 洒 落 本『 無 頼 通 説 法 』、 黄 表 紙『 金 銀 先 生 再 寝 夢 』( 内 田 (一九九八a (( 『無益委記』 (久保田(一九九六 (( では【せ 2】が使用数 の上で優勢である。そのほか、洒落本『傾城買二筋道』 (久保田(二〇〇 九 (( 、滑稽本『浮世風呂』 (久保田(一九九七 (( 、一九の黄表紙類(矢野 (一九九〇 (( に使用されることがある。 9 本 稿 で は、 崩 し の 度 合 い、 曲 折・ 転 折 に よ る 筆 の 運 び を「 書 形 」 と 呼 ぶ。 10 一九の黄表紙類(矢野(一九九〇 (( では自立語語中尾および付属語、 黄 表 紙『 大 悲 千 禄 本 』( 久 保 田( 二 〇 〇 二 (( で は 自 立 語 の 語 末、 黄 表 紙 『 金 銀 先 生 再 寝 夢 』、 洒 落 本『 無 頼 通 説 法 』( 内 田( 一 九 九 八 a (( に て 非 語 頭、 洒 落 本『 傾 城 買 二 筋 道 』( 久 保 田( 二 〇 〇 九 (( に お い て 語 末 か つ 行末の箇所、 『浮世風呂』 (久保田(一九九七 (( では語中尾の使用が指摘 されている。 11 久保田(一九九七 ( P (2~ ((に お い て、 行 末 に 書 き 入 れ る 余 地 の 少 な い箇所に書けることが指摘されている。 12 洒 落 本『 無 頼 通 説 法 』、 黄 表 紙『 金 銀 先 生 再 寝 夢 』( 内 田( 一 九 九 八 a (( で 非 語 頭、 人 情 本『 春 色 梅 兒 譽 美 』( 玉 村( 一 九 九 四 (( で は【 川 1】とともに、促音に使用される割合が高いことが指摘されている。 1( 内 田( 一 九 九 八 a (、 久 保 田( 一 九 九 七 (( 二 〇 〇 九 ( に て 語 頭 へ の 使 用が指摘されている。 1( 内 田( 一 九 九 八 a (、 久 保 田( 一 九 九 五 b (( 一 九 九 六 (( 一 九 九 七 ( (二〇〇九 (、玉村(一九九四 ( を参照。 15 前 田( 一 九 七 一 ( に て『 雨 月 物 語 』 の 平 仮 名 字 母 の 使 用 割 合 が 示 さ れ ている。 16 仮 名 に 定 規 を 当 て て 測 っ た。 本 稿 で は 月 氷 竒 縁 と 弓 張 月 の 調 査 資 料 に 影 印 本 を 用 い て お り、 編 集 に よ り 縮 小 さ れ て い る 場 合 が あ る た め、 計 測 し た 長 さ は あ く ま で 参 考 で あ る。 以 降、 字 体 の 長 さ を 計 測 し た 場 合 に す べて同じことがいえる。 17 植( 一 九 七 九 ( に 定 家 の 写 本 の 用 字 に つ い て「 行 頭 に ど っ し り し て 安 定感のある華やかな字体が使用される」という指摘がある。 1( 浜田(一九七九 ( P 9 19 『 金 毘 羅 船 利 生 纜 』 自 筆 稿 本( 内 田( 二 〇 〇 〇 (( 、『 南 総 里 見 八 犬 伝 』 自 筆 稿 本( 大 島( 二 〇 〇 〇 (( 、 に 使 用 さ れ て い た こ と か ら、 馬 琴 が 好 ん で使っていた可能性がある。 20 恋川春町の洒落本 『無頼通説法』 (内田 (一九九八a (( では (例 み ら れ、 語尾・文節末に使用されていた。 21 仮名草子整版本『因果物語』 『東海道名所記』 (久保田(一九九四 ((一 九九五a (( に用例が報告されている。 22 【堂】は『可笑記』 『因果物語』 『東海道名所記』 (久保田(一九九四 (( 、 洒 落 本『 傾 城 買 二 筋 道 』( 久 保 田( 二 〇 〇 九 (( に お い て、 語 頭 に 使 用 さ れると指摘がある。 2( な お、 こ う し た 変 化 を つ け る 用 法 は、 久 保 田( 一 九 九 四 ( に お い て 仮 名草子に【堂】が使用される際にも指摘されている。 2( 『可笑記』 『東海道名所記』 (久保田(一九九四 (( 、人情本『春色梅兒譽 美』の短歌(玉村(一九九四 (( に使用例が報告されている。 25 『 因 果 物 語 』『 東 海 道 名 所 記 』( 久 保 田( 一 九 九 四 (( に 使 用 さ れ て い た ことが分かっている。

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─ 1(6 ─ 市地英 馬琴読本『月氷竒縁』『椿説弓張月』『南総里見八犬伝』の仮名字体の特徴 参考文献 市地英(  二 〇 一 三 (「 馬 琴 小 説 の 平 仮 名 字 母 の 研 究 ─ 読 本 と 合 巻 の 比 較 ─ 」 『成蹊國文』四六号 市地英(  二 〇 一 五 (「 馬 琴 読 本 の 平 仮 名 字 体 ─『 月 氷 竒 縁 』『 椿 説 弓 張 月 』 『南総里見八犬伝─』を資料に─」 『成蹊國文』四八号 内田宗一  (一九九八a (「黄表紙・洒落本の仮名字体─恋川春町自筆板下本 についての比較考察─」 『国語文字史の研究四』和泉書院 内田宗一  (一九九八b (「『偐紫田舎源氏』 の仮名字体─作者自筆校本と板本 の比較考察─」 『待兼山論叢』三二号 内田宗一  (二〇〇〇 (「馬琴作合巻『金毘羅船利生纜』の仮名字体─筆耕に よる表記の改変をめぐって─」 『国語文字史の研究五』和泉書院 大島悦子  (二〇〇〇 (「曲亭馬琴の文字意識

自筆資料の仮名字体につい て

」『早稲田大学大学院教育学研究科紀要』第十号 久保田篤  (一九九四 (「仮名草子製版本における仮名の用法(上 (」 『茨城大 学人文学部紀要(人文学科論集 (』二七号 久保田篤  (一九九五a (「仮名草子製版本における仮名の用法(下 (」 『茨城 大学人文学部紀要(人文学科論集 (』二八号 久保田篤  (一九九五b (「草双紙の用字法─赤本の仮名字体の用法を中心に ─」 『国語学論集:築島裕博士古稀記念』汲古書院 久保田篤  (一九九六 (「恋川春町『無益委記』の表記─平仮名の字体につい て─」 『茨城大学文学部紀要(人文学科論集 (』二九号 久保田篤(一九九七 (「 『浮世風呂』の平仮名の用字法」 『成蹊國分』三〇号 久保田篤  (一九九八 (「 『金々先生栄花夢』の文字の用法について」 『東京大 学国語研究室創設百周年記念国語研究論集』汲古書院 久保田篤  (二〇〇二 (「江戸時代後期の平仮名 ・ 片仮名について」 『日本語の 文字・表記─研究報告論集─』国立国語学研究所 久保田篤  ( 二 〇 〇 九 (「 江 戸 板 本 の 表 記 の 多 様 性 ─ 洒 落 本『 傾 城 買 二 筋 道 』 の場合─」 『成蹊國文』四二号 坂梨隆三  (一九七九 (「曾根崎心中の「は」と「わ」─その仮名遣と仮名の 字 体 に つ い て ─ 」『 茨 城 大 学 人 文 学 部 紀 要( 人 文 学 科 論 集 (』 一 二 号 佐藤麻衣  子(二〇〇九 (「享保期浄瑠璃本の仮名文字遣い─『出世握虎稚物 語』における「り」 「し」 「じ」の調査から─」 『国文目白』四六号 玉村禎郎  (一九九四 (「 『春色梅兒譽』における仮名の用字法」 『国語文字史 の研究二』前田富祺・国語文字史研究会編、和泉書院 野口義廣  (一九七三 (「浄瑠璃丸本の表記をめぐって─平仮名字体について ─」 『文獻探究』十二号 浜田啓介  (一九七九 (「板行の仮名字体─その収斂的傾向について─」 『国語 学』第一一八号 前田富祺  (一九七一 (「仮名文における文字使用について─変体仮名と漢字 使用の実態─」 『東北大学 教養部紀要』第一四号 三原裕子  (一九九八 (「江戸後期咄本における仮名の用法をめぐって」 『国文 学研究』第一二六集 矢田勉(  一 九 九 六 (「 異 体 が な 使 い 分 け の 衰 退 ─ ト の 仮 名 の 場 合 」『 国 語 学 論集(山口明穂教授還暦記念 (』明治書院 矢野準(  一九九〇 (「一九の文字生活─蔦屋黄表紙五種の仮名表記の実態を 中心に─」 『近代語研究 第八集 吉田澄夫博士追悼論文集』武蔵 野書院 矢野準(  一 九 九 二 (「 一 九 自 画 作 黄 表 紙 の 文 字 遣 い: 榎 本 版 四 種 を 中 心 に 」 『国語国文研究と教育』二七号 (いちじ・えい 平成二十五年博士前期課程修了 (

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参照

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