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DSpace at My University: 中学・高校での発音学習履歴と定着度 : 大学1 年生へのチェックシートと質問紙が示唆するもの

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-大学 1 年生へのチェックシートと質問紙が示唆するもの-

大塚 朝美・上田 洋子

Pronunciation Instruction and its Achievements

in Japanese Junior and Senior High Schools:

An Analysis of Results from Check Sheets and a Questionnaire

Tomomi Otsuka, Hiroko Ueda

抄    録

 2010 年と 2011 年の 2 度に渡り、大学 1 年生計 307 名を対象に、具体的な問題解答を求 める音声学習項目の小テスト(チェックシート、以下 CS)と、中高での発音を中心とし た音声学習に関する質問紙調査を実施した。質問紙による音声学習の学習履歴研究は多く みられるが、本稿では CS の解答を軸に両者の結果を分析し考察する。  CS の結果は、強勢、イントネーション(選択疑問文・列挙文を除く)、文における意味 グループの区切りについて正答がほぼ 6 割以上である一方、発音記号については一部の記 号を除いて 2 割に満たない低い正答率であった。中高の学習履歴および定着度調査が、大 学でのより適切な音声指導への指針となることを示す。 キーワード:発音学習履歴、質問紙調査、定着度 (2011 年 9 月 28 日受理)

Abstract

This paper examines the achievements of pronunciation instruction in junior high and high schools, as reflected by research carried out with 307 first-year college students in 2010 and 2011. The research consisted of two parts: a check sheet (CS) quiz and a questionnaire. No previous questionnaire research has utilized this type of CS quiz, which tests students’ knowledge in four categories of phonetically related items. The questionnaire asked students to reflect upon their experiences of pronunciation instruction in their junior high and high school English classes.

This paper analyzes the information from the questionnaire and the CS results, in which approximately 60% of students answered correctly questions related to stress, intonation (except choice question and series), and identification of thought groups. Less than 20%

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showed substantial knowledge of phonetic alphabets. The paper makes suggestions for further research that would attempt to identify appropriate pedagogical priorities for college classrooms.

Key words: pronunciation instruction, questionnaire, achievements, junior and senior high

schools (Received September 28, 2011)

1. はじめに

 大学において英語の授業を受講する学生たちは、中高の授業でどの程度英語の音声に関 して学んできたのであろうか。また、中高で学んだことはどれくらい定着しているのだろ うか。これらは、音声学担当教員のみならず、英語担当教員であれば授業を進める上で把 握しておくべき情報であると考える。 上田・大塚(2010)は、平成 17 年度検定済みの全 6 社に及ぶ中学英語検定教科書を分析し、インプットの基礎を考察することにより、中学 校 3 年間で指導される可能性のある事項を確認した。しかし、そのうちどれほどの事項が 実際の授業で説明され、練習されていたのかという実態や、生徒への定着の度合いは教科 書分析をするだけでは把握が難しい。そこで本稿では、2010 年と 2011 年に大学 1 年生を 対象に実施した音声学習項目についての簡単な小テストと質問紙調査の結果に現れた定着 の度合を検証する。これは、「書かせる」という手段を通して生徒のアウトプットを検証 するものであり、教科書分析を通してインプットの源を調査対象とした前回とはまた別の 角度からのアプローチである(図1参照)。 図 1 多角的な学習履歴調査

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2. データ収集と分析方法

2. 1 調査の背景

 質問紙調査による音声学習の学習履歴研究は比較的多く行なわれており、大学生を対象 とした調査(浅野、2004;菊池、2005;北本、2010;幸野、1995;大嶋・多良、2010;田邉、 1992)をはじめ、教員を対象とした調査(菊池、2010;岡崎ほか、1998;柴田、2009;柴 田、横山、多良、2006;柴田、横山、多良、2008;田邉、1991)も、行なわれている。た だ、大学 1 年生を対象とした調査においては、回想形式で中高の学習履歴を調査する目的 であるにもかかわらず、実施時期が年度末であったり、調査方法も様々で調査結果の比較 が難しい。また、質問紙の調査はあるが、具体的な問題を解かせて現状を探るような調査 はほとんど見られない。  そこで、本研究では、中高での音声学習の実態を多面的にとらえるために質問紙調 査と合わせて具体的な問題を解かせる小テスト(本調査では「チェックシート(Check Sheets)」(1)と呼ぶ。以下 CS)も実施した。その結果を軸に、中高での音声学習事項の実 際の定着と学生の意識の両面から音声学習履歴を調査し、検証する。質問紙調査について は、学生と同じ質問項目で、少数ではあるが中高の教員からの回答を得て参照資料とした。 以上をまとめ、中高大の英語教育連携という観点から、今後の大学での音声指導における 課題を提案する。

2. 2 調査方法

 本調査は、近畿圏の複数の私立大学において 2010 年 4 月に入学した 134 人(男性 26 人、 女性 108 人)と 2011 年 4 月に入学した 178 人(男性 37 人、女性 141 人)の 1 年生を対象に、 無記名で具体的な問題を解かせる CS への解答と回想式の質問紙への回答を求めたもので ある。学生の構成は、英語を専攻する私立 2 年制大学と私立 4 年制大学の学生、また英語 を専攻しない私立 4 年制大学の学生である。2010、2011 年度に大学入学した学生は、平 成 17 年度検定の現行の中学校英語教科書を 1 年間または 2 年間使用した学生と 3 年間通 して一改訂前の教科書を使った学生が混在する。上田・大塚(2010)による現行の教科書 における音声指導項目の分析結果をふまえて学習履歴を検証する上で、学生の条件を揃え る必要があるため、現行の中学校英語検定教科書(平成 17 年度検定済)を最低でも 1 年 間使用している学生(平成 3 年 / 1991 年 4 月 2 日から平成 5 年 / 1993 年 4 月 1 日生まれまで) のみを対象とした。よって、質問紙では最終的に現役生 2010 年度 122 人(男性 25 人、女 性 97 人)、2011 年度 173 人(男性 37 人、女性 136 人)を調査対象としている。ただし、 CSについては、2010 年度は個人情報を全く問わなかったため、134 人すべてが対象となり、 2011 年度は質問紙と同様に 173 人が対象となっている。  調査は、両年度に筆者らが勤務する大学の初回授業に行なった。これは、中高の記憶が できるだけ新しい時期に質問紙に答えることが望ましいこと、そして大学での授業が行な われる前の状態を調査するためである。なお、CS への解答が質問紙の回答に影響するこ

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とを最小限にするため、質問紙の回答後に CS を行なった。 2. 2. 1 チェックシート(CS)  CS とは、英語音声学習の基本となる、発音記号、語強勢、イントネーション、ポーズ の 4 項目を取り上げ、無記名で問題の解答を求めた小テストである(Appendix 1)。これ らの 4 項目のいずれもが現行の中学英語教科書で提示されていることは確認されており (上田・大塚、2010)、CS の役割は、その定着度合を明確にすることにある。  CS の設問 A では発音記号が読めるかどうかを調査するために、発音記号で表わされて いる 6 つの英単語(cat, walk, she, they, yes, sing)を綴りで書くように求めた。この問題 の意図は、アルファベットに存在しない記号([æ] [ɔː] [ʃ] [ð] [ŋ])や音と結びつかない 記号([j])が読めるかどうかを検証することである。検定教科書間における二重母音な どの発音表記の不一致は以前より指摘されているが(小川、2002;上田・大塚、2010)、 CSではどの英語検定教科書においても共通である音素記号に限定して使用した。  CS の設問 B では、単語の強勢の位置を正しく理解しているかどうかを調べるため、 Japan(2 音節)と tomorrow(3 音節)の 2 つの単語について語強勢を尋ねた。2010 年の CS(以下、CS2010)では、強く発音するところに、解答者に記号( )を書き込むことを 求めた。2011 年の CS(以下、CS2011)ではすでに強勢記号がついている選択肢の中から 選ぶ形式にした。また、解答例として CS2010 では wíndow(2 音節)と togéther(3 音節)、 CS2011 では wíndow(2 音節)のみを挙げた。  CS の設問 C では、イントネーションについて、文中・文末のイントネーションが上昇 調か下降調かの矢印の向きを選ぶ問題を提示した。この問題の意図は、平成 17 年度検定 済の中学校教科書で扱われている文末または文中のイントネーションがどれくらい定着 しているかを確認することにある。文の種類は、CS2010 では平叙文、Yes-No 疑問文、疑 問詞疑問文(How)、選択疑問文、列挙の文の 5 種類について出題し、CS2011 では新たに Whatを使った疑問詞疑問文を加え 6 問とした。解答例として、設問に含まれない Yes-No 疑問文(Do you ~ ?)を上昇調の矢印とともに挙げた。  CS の設問 D は、意味グループのまとまりを表す区切り(以下、ポーズ)を問う設問で、 区切って読まれると思うところに実線(|)を入れるように求め、接続詞 and を含む文、 コンマのある文、to 不定詞の副詞句を含む文、省略された that を含む長い複文と、短い 複文の合計 5 文を出題した。CS2010 では、ポーズが不必要と判断した場合は、書き入れ なくてもよいという記述を指示文に含めたが、それに対して、CS2011 では一カ所区切っ て読むことを前提とし、ポーズを入れない解答は無いものとした。また、CS2011 では知 覚動詞を含む後置修飾の文を加えて 6 問を出題した。解答例として、設問にはない that を含む複文を挙げた。  使用する語彙については、学生の語彙力が解答に影響を与えないよう、全ての設問にお いて全員が知っていると思われる基本語を使用した。CS 実施後は、2 回目の授業でその 答えの提示と解説を行なった。

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2. 2. 2 学生への質問紙  2010 年および 2011 年 4 月に実施した質問紙の構成は、中学校編、高校編、大学編の 3 部構成である(Appendix 2)。中学・高校編には当時の英語音声学習について回想し 5 段 階で答える 18 の質問項目(2010 年度版には 1 問のみパーセンテージを選ぶ問題を含む) と中高それぞれの英語音声(発音)指導について、印象に残っていることを書かせる自由 記述がある。大学編には「大学 1 年生の現状と英語学習に対する意識」として、現在でき ること(8 項目)を 5 段階で回答する質問と、大学でどのような英語音声(発音)指導を 期待するかについての自由記述を含めた。ただし、2010 年版は大学の英語教育に求める こと(6 項目)について 5 段階で回答する質問を含んでいる。 なお、学生対象の質問紙を 作成するにあたってはパイロット・スタディ(大学 1 年生 89 名、2010 年 1 月)を行ない、 質問項目に対してわかりにくい表現などのチェックを行なった。また 2010 年 3 月には現 役高校生 1 名と高校卒業直後の 2 名の協力を得て、より具体的な内容と表現方法のチェッ クを行ない、質問項目にいくつかの修正を加えた。  中学・高校編での主な質問項目は、学校が公立か私立かなどの基本情報と発音を中心と する英語音声学習に関連する質問が主となった。特に、中学校英語検定教科書 6 社におい て音声学習項目としての提示が上田・大塚(2010)により確認されている発音記号、語強 勢、文のイントネーション、英語らしいリズム、音のつながり(音の変化)、ポーズ、驚き・ 喜びなどの感情を込める読み方についてはすべて質問項目に含め、わかりにくいと思われ る質問は例を付記して提示した。それらに加えて、新出単語の発音や本文音読、また授業 の方法(録音、録画による発音指導の有無、発音テストの有無)、先生の英語音声に対す る熱心度(先生が率先して英語を使用する、発音がきれい、発音指導が熱心)など音声学 習と関連があると思われる質問も含めた。  ただし、本稿ではそれら調査紙の多くの項目の中から、CS の解答で正誤が判定できる 特定の 4 項目のみを抽出し検証する。中学と高校で指導を受けたかどうかの回答と CS の 解答結果を照らし合わせることが本稿の研究の目的であり、CS の設問項目と合致する「発 音記号の読み方」(中学校編項目番号 1-4、高校編 2-4、大学編 3-1)(2)、「単語の中で強く発 音するところ(強勢またはアクセント)」(中学校編 1-5、高校編 2-5、大学編 3-3)、「文の イントネーション」(中学校編 1-6、高校編 2-6、大学編 3-4)、「文を読むときの区切り」(中 学校編 1-9、高校編 2-9、大学編 3-7)の 4 項目の質問紙回答結果に焦点をあて、後の 4 章 で論じることとする。 2. 2. 3 中学・高校教員への質問紙  教員対象の質問紙については、2010 年秋に少数(中学 13 人、高校 24 人)の中学・高 校現役教員を対象として実施した。質問内容は基本的に学生への質問紙と同じであるが、 表現などは教員向けに変更し中学教員には中学校編を、高校教員には高校編の回答を依頼 した。また、自由記述の質問として、発音を中心とする音声指導をするにあたり困難だと 思う点、そして留意・工夫をしている点について尋ねた。なお、本稿では、教員への質問

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紙は回答者の人数が少数だったため、学生対象の質問紙と同等には扱わず、参考資料とし て提示するにとどめる。教員対象の質問紙作成に当たっては、事前に中学校、高校から各 1 名の現役教員に質問紙の内容や表現などのチェックを依頼し、修正を行なった。

3. 調査結果:チェックシート(CS)

 CS の結果分析については、CS2010 を基本に、CS2011 についても述べる。CS2011 は CS2010 の解答結果を参考に一部加筆修正されており、変更箇所や追加された問題などは CS2010 に書き込む形で提示する。また、指示文などに大幅な変更がある問題は、CS2010 と CS2011 の両方の問題を提示して説明する。

3. 1 発音記号

 発音記号に関する設問 A の結果は、表 1-1 および表 1-2 に示すように、2 年連続で最も 多く正答を得たのは A-6 [siŋ] であり、正答が最も少なかったのは A-5 [jes] である。2 年続 けて誤答の多いものは A-2 [wɔːk] であり、A-4 [ðei] と A-5 [jes] は 2 年通して無解答が約 5 割もあった。  設問の変更によって生じた変化も見られた。CS2011 では、A-1 の問題を [kæt] (CS2010) から [hæt](CS2011)に差し替えた。[kæt](CS2010)では、[æ] の認識だけではなく [k] がスペリングで c、k のどちらを指すのかという違いも考える必要がある。よって、純粋 に [æ] の認識を問うための変更であった。表 1-1 によると、正答した割合は、45.5%(CS2010) が 30.1%(CS2011)に減少した。それに対して、誤答は総合して CS2011(64.2%)の方が CS2010(29.9%)の 2 倍以上であった。最も多かった誤答(X1)は 、CS2010 では [kæt] を cut とした解答であるが、CS2011 では [hæt] を heat と解答した誤答(X1)が多い。ま た同時に A-1 では無解答が 24.6%(CS2010)から 5.8%(CS2011)に減少した。  また、変更のなかった問題についても、誤答についてはいくらか変化があった。誤答の 種類については、CS2010 では 6 単語とも 10~20 種類の誤答があったが、CS2011 では問題 によって誤答の種類数に差が表れた。誤答の種類が多いのは、A-3 [ʃi]、A-4 [ðei]、A-5 [jes] の 3 単語で、A-5 [jes] は X の数と各1の合算で 27 種類、A-4 [ðei] は 26 種類、A-3 [ʃi] は 24 種類もの誤答を示している。なお、誤答の中には、カタカナでの表記、アルファベッ ト一文字、のように解答として未完成のものも含んでいる。また、同じ誤答の種類に分 類されていても、例えば A-2 [wɔːk] の誤答 X2 では week と weak の 2 種類を1つの誤答 としてカウントしている。これは、[wɔːk] の [ɔː] を [iː] の音と認識したと考え、week と

weakは綴りの違いはあっても同じ種類と見なしたものである。誤答の割合については、

A-2 [wɔːk] では、2 年連続で誤答した割合は多い(CS2010:65.7%、CS2011:63.0%)が、 正答した割合は CS2011 のほうが若干多くなった。

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3. 2 語強勢

 語強勢に関する設問 B の結果は表 2-1、2-2 が示すように、2 回の調査とも高い正答率 であった。CS2010 では、2 問とも約 8 割が正解、CS2011 では約 8 割強が正解、誤答は CS2010 では約 2 割、CS2011 では約 1 割にとどまった。誤答のパターンとしては、CS2010 では子音に強勢が書き込まれたものと別の母音に強勢が書かれたものの 2 種類であった。  CS2011 での変更点は、語強勢を自ら綴りの上に書き込む形式からすでに強勢記号が書 き込まれた単語を選択する形式にしたことである。この変更により、CS2011 の設問 B の 正答率が上がったことに加えて無解答者は 173 人中 0 人という結果になった。 CS 2010 A(CS2011 では A-1 のみ差し替え) A. 発音記号が表す英単語をスペリングで書いて下さい。  1. [kæt]      (CS2011:[hæt])  2. [wɔːk]        3. [ʃi]        4. [ðei]        5. [jes]        6. [siŋ]        (解答 1. cat (CS2011: hat)  2. walk  3. she  4. they  5. yes  6. sing) 表 1-1 CS2010 発音記号 結果(n=134) 正答(%) 無解答(%) 誤答(%) X1 X2 X3 X4 X5 X6 X7 各 1 A-1 61 (45.5)33 (24.6) (29.9) 18 5 5 3 2 2 2 3 A-2 25 (18.7)21 (15.7) (65.7) 55 19 4 3 7 A-3 26 (19.4)54 (40.3) (40.3) 30 4 3 2 15 A-4 20 (14.9)72 (53.7) (31.3) 21 5 4 2 10 A-5 15 (11.2)88 (65.7) (23.1) 10 5 4 3 2 7 A-6 63 (47.0)35 (26.1) (26.9) 17 6 4 3 6 表 1-2 CS2011 発音記号 結果(n=173)   正答(%) 無解答(%) 誤答(%) X1 X2 X3 X4 X5 X6 X7 X8 X9 X10 X11 各 1 A-1 52 (30.1)10 (5.8) (64.2) 43 33 19 8 2 2 4 A-2 47 (27.2)17 (9.8) (63.0) 80 16 4 3 2 4 A-3 33 (19.1)61 (35.3) (45.7) 34 7 4 4 3 3 3 2 2 2 2 13 A-4 31 (17.9)88 (50.9) (31.2) 15 7 5 3 2 2 20 A-5 17 (9.8)86 (49.7) (40.5) 19 7 6 5 4 4 3 2 2 18 A-6 92 (53.2)25 (14.5) (32.4) 29 12 3 2 2 8    * 表の中の数字は実際の人数、( )内の数字は全体に対する割合をパーセンテージで表している。ただし、 ( )内の数字については少数第 2 位で四捨五入しているため、若干の誤差が生じる場合もある。    * 誤答(X1 ~各 1)について       誤答の種類を示すために、「X1」、「X2」のように表した。例えば、CS2010 の A-1 では「X7」まで数字が記 載されているので、7 種類の誤答がそれぞれ複数人ずつ存在したことを示す。「各 1」とはそれ以外の誤答 が各一人ずついた、つまり A-1 には 10 種類の誤答があったことを意味する。スペースの都合上、具体的な 誤答例は記載しておらず、また、問題ごとに誤答「X1」が指す単語は同じではない。

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3. 3 イントネーション

 イントネーションに関する設問 C の結果は、表 3-1、3-2 が示すように、2 回の調査とも 正答率順がほぼ同じであった。最も正解が多いのは C-2 Yes-No 疑問文(CS2010:98.5%、 CS2011:98.3%)、2 番目が C-1 平叙文(CS2010:93.3%、CS2011:94.8%)であり、9 割以 上が正解している。そのあとには、C-6 What を使った疑問詞疑問文(CS2011:72.3%)と C-3 How を使った疑問詞疑問文(CS2010:66.4%、CS2011:57.8%)、そして C-4 選択疑問 文(CS2010:46.3%、CS2011:41.0%)、C-5 列 挙(CS2010:28.4%、CS2011:33.5%) と 続 いた。無解答については、2 回の調査ともに各 1 人のみで、ほとんどの学生が積極的に答 えたことになる。誤答については、イントネーションの上昇・下降を示す矢印を選ぶ数が 多いものほど誤答の種類も多くなっているのは当然であり、複数の矢印を選択する列挙に ついては 8 ~ 10 種類の誤答があった。  CS2011 では C-6 What を使った疑問詞疑問文を追加している。これにより、How を使っ た疑問詞疑問文だけでなく、別の疑問詞(What を使った疑問詞疑問文)であっても下降 調になることが定着しているかを調べることができた。この点については、What を使っ た疑問詞疑問文(正答率 72.3%)のほうが How を使った疑問詞疑問文(CS2010:66.4%、 CS 2010 B B.  単語の中で強く発音するところを,例のように記号 (強勢またはアクセント記号)をつけ て示して下さい.  例:wíndow  togéther 1. Japan 2. tomorrow 解答(1. Japán  2. tomórrow) CS 2011 B B.  単語の中で強く発音するところには,例のように (強勢またはアクセント記号)をつけて 示します. 正しく記号がついているものを選び,○で囲んで下さい.   例:1. あ wíndow  い windów 1. あ Jápan い Japán

2. あ tómorrow い tomórrow う tomorrów 解答(1. い  2. い) ○ 表 2-1 CS2010 語強勢 結果(n=134)   正答(%) 無解答(%) 誤答(%) ×(子音に) ×(違う母音に) B-1 107 (79.9) 2 (1.5) (18.7) 16 9 B-2 105 (78.4) 2 (1.5) (20.2) 20 7 表 2-2 CS2011 語強勢 結果(n=173)   正答(%) 無解答(%) 誤答(%) *誤解(%) B-1 149 (86.1) 0 24 (13.9) B-2 151 (87.3) 0 21 (12.1) 1(0.6)    *B-2 の「誤解」とは設問番号に印をつけていた解答を意味する

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CS2011:57.8%)より多くの正答を得た。

3. 4 ポーズ(意味グループごとの区切り)

 ポーズに関する設問 D の結果は、表 4-1、4-2 が示すように、いずれの文についても 5 割 以上の正答が得られた。2 度の調査で共通して正答率が高かったのは、D-2 コンマがある 文(CS2010:82.1%、CS2011:92.0%)、D-3 to 不定詞を含む文(CS2010:79.9%、CS2011: 85.0%)、D-1 and を含む文(CS2010:76.1%、CS2011:79.8%)の 3 つである。  誤答については、ポーズを書き入れていないもの、誤った場所に書き入れているもの、 複数書き入れているもの、の 3 パターンがあった。ポーズの無い解答については、特に CS2010 では答えが分らないために書き込みがないのか、ポーズが必要ないと考えて意図 的に書き込んでいないのかが判断できず、「ポーズ無」という分類で集計した。それ以外 の「誤った場所にポーズを書き入れた解答」と「誤った複数ポーズがある解答」はそれぞ CS 2010 C(CS2011 では C-6 を追加) C.  文中または文末のイントネーションが上がるか,下がるかを例のように矢印(↑↓)を選ん で示して下さい.  例:Do you play tennis?  (↑↓)

  1. We're interested in this plan. (↑↓)   2. Are you a new student? (↑↓)   3. How old are you? (↑↓)

  4. Would you like tea(↑↓) or coffee (↑↓) ?〈tea か coffee のどちらかを選んでもらう場合〉

  5. I need an apple(↑↓), an orange (↑↓) and some bananas.(↑↓)   (6. What time is it now?  (↑↓) CS2011)

解答(1. ↓  2. ↑  3. ↓  4. ↑,↓  5. ↑,↑,↓  6. ↓) ○ 表 3-1 CS2010 イントネーション結果(n = 134)   正答(%) 無解答(%) 誤答(%) X1 X2 X3 X4 X5 X6 X7 X8 他 C-1 125 (93.3) 1 (0.8) (6.0) 8       C-2 132 (98.5) 0 (1.5) 2       C-3 89 (66.4) 1 (0.8) (32.8) 44       C-4 62 (46.3) 1 (0.8) (53.0) 41 25 3 1 1         C-5 38 (28.4) 1 (0.8) (70.9) 29 21 16 11 8 4 2 2 2 表 3-2 CS2011 イントネーション結果(n = 173)   正答(%) 無解答(%) 誤答(%) X1 X2 X3 X4 X5 X6 X7 X8 C-1 164 (94.8) 0 ( 5.2) 9       C-2 170 (98.3) 0 (1.7) 3       C-3 100 (57.8) 1 (0.6) (41.6) 72       C-4 71 (41.0) 0 (59.0) 69 30 2 1     C-5 58 (33.5) 1 (0.6) (65.9) 48 25 24 9 3 2 2 1 C-6 125 (72.3) 0 (27.8) 48

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れに誤答としてカウントした。これらの内訳は、発音記号やイントネーションのように細 かい分類はせず、単に正解とは違う場所に 1 カ所ポーズを書き入れた解答(「X(誤った 場所)」)と複数のポーズを書き入れた解答(「X(複数)」)とに分類した。

 CS2011 では、指示文の変更と問題文を 1 文追加した。指示文については、CS2011 では 「1 カ所区切って読む」ことを前提にポーズを書き入れることを求めたため、CS2010 で 59.0% と最も正答率が低かった D-5(I know you can.)が CS2011 では 90.8% と高い正答率 となった。CS2011 で追加した D-6(I saw a girl swimming in the river.)の正答率は、可能 な正答が 2 種類(girl のあとにポーズ、または swimming の後にポーズ)あることで正答 の幅が広がり、71.1%の高い正答率となった。 CS2010 D(CS2011 では D-6 を追加) D.  文を読むときの区切りを例のように実線で書き入れて示して下さい.なお,区切りが不要 だと思う場合は,書き入れずにそのままにしておいて下さい.   (英文を一カ所区切って読むとき,最も適当な位置に|を書き入れて下さい.)CS2011          例:I think | that Tom likes Mary.

  1. He called my name and talked to me.   2. Two weeks ago, a man came to her store.   3. Could you visit the office to meet our boss?   4. I hear the boy has a cute dog.

  5. I know you can.

(6. I saw a girl swimming in the river.  CS2011)

(解答 1. name|and  2. ago,|a man  3. office|to  4. hear|the  5. know|you     6. a girl|swimming または a girl swimming|in the river )

表 4-1 CS2010 ポーズ結果(n=134)   正答(%) ポーズ無 誤答(%) ×(誤った場所) ×(複数) D-1 102 (76.1) 5 (3.7) (23.9) 13 14 D-2 110 (82.1) 9 (6.7) (17.9) 4 11 D-3 107 (79.9) 16 (11.9) (20.2) 7 4 D-4 85 (63.4) 17 (12.7) (36.6) 29 3 D-5 79 (59.0) 55 (41.0)     表 4-2 CS2011 ポーズ結果(n=173)   正答(%) ポーズ無 誤答(%) ×(誤った場所) ×(複数) D-1 138 (79.8) 8 (4.6) (15.6) 19 8 D-2 159 (92.0) 7 (4.0) (4.0) 4 3 D-3 147 (85.0) 14 (8.1) (6.9) 7 5 D-4 93 (53.8) 8 (4.0) (41.9) 70 3 D-5 157 (90.8) 9 (4.6) (4.6) 8 0 D-6 123 (71.1) 7 (4.0) (24.9) 38 5

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4. 考察

 前章では、CS で取り上げた 4 つの項目について解答結果を見てきたが、ここではさら に質問紙の回答と照らし合わせ CS の結果について考察する。なお、本研究においてのデー タ解釈の統一を計っておくと、CS が示すのは正答と誤答、そして無解答の 3 つである。 無解答については、時間内に答えに至らない場合やあきらめて記入しない場合など、様々 な理由があると解釈し、単に誤答としてはカウントせずに、「無解答」もそれ自体、独立 した結果を示すものとして分析する。また、質問紙では、5 件法による回答の 5 と 4 は肯 定的、2 と 1 は否定的と捉える。「3. どちらともいえない」については、「記憶が定かでな いか、文字通りどちらともいえない」と解釈するが、考察では肯定的か否定的かに注目する。

4. 1 発音記号

 CS2010 および CS2011 にある A~D の設問中、A(発音記号の読み方を問う設問)の正答 の割合は、他の設問と比べてかなり低く、発音記号を正しく読むことはあまり定着して いないと言える。その中でも、比較的高い正答を得た単語をみると、A-6 [siŋ](CS2010: 47.0%、CS2011:53.2%)および A-1 [kæt](CS2010:45.5%) / [hæt](CS2011:30.1%)である。  A-6 [siŋ] の [ŋ] については、中高での指導が繰り返しなされていたか、または正解が想 像しやすい記号であったと考えられる。また、正答率が 50% を超える単語は発音記号に おいては CS2011A-6 [siŋ] 1 つだけであったという結果から、[ŋ] の記号は記号と綴りを一 致させることができると考えられる。  A-1 [kæt](CS2010)と [hæt](CS2011)については、発音記号の問題で唯一差し替えを した単語である。[kæt] には綴りと一致しない [k] と [æ] の 2 音が含まれていたが、[hæt] に変更することで [æ] の音のみの認識を調べるという意図があった。CS2010 の [kæt] の 誤答例としては [k] を c と捉えられなかった解答(X2: kate, X3: kat 各 5 人)や、[æ] とい う音素記号を正しく認識できないことからの母音の取り違えをした解答(X1: cut 18 人) が見られた。CS2011 で [hæt] に変更することで、子音の誤認は無くなり、[æ] の定着を 調べることには成功したと言えるが、正答率は前年の 45.5% から 30.1% に減少した。これ により、[æ] の記号についてはあまり定着しておらず、[æ] の音が正確に認識されていな い現状がよりはっきりとしたと言えるだろう。  アルファベットに存在しない記号や音と結びつかない記号の認識については、2 年連続 して 2 割に満たない低い正答率だった A-3 [ʃi](CS2010:19.4%、CS2011:19.1%)、 A-4 [ðei] (CS2010:14.9%、CS2011:17.9%)、A-5 [jes](CS2010:11.2%、CS2011:9.8%)が示すように、 [ʃ, ð, j] の記号は認識されているとは言い難い。また、これらの単語については誤答のバ リエーションも多く、例えば [ʃi] では、無意味な音(li, zee, je, phi, shee, s, など)や全く あてはまらない単語(lie, shy, fly, free など)が多くを占めており、他の項目にはない混乱 が見られた。無解答の割合に注目すると、A-4 [ðei]、A-5 [jes] はそれぞれ予想外に無解答 が多く見られ(A-4 2010:53.7%、2011:50.9%、A-5 2010:65.7%、2011:49.7%)、何の単

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語を表した発音記号なのか見当もつかなかったようだ。  A-2 [wɔːk] については、誤答のほとんどが work と解答している(CS2010、2011 ともに 同項目の解答全体に対して 4 割)が、逆に無解答は同項目中 9.8~15.7% と少なめで、学生 の多くが「自信を持って」誤答したことになる。この結果も、[ɔː] の記号の低い定着度を 表していると言えるが、walk と work の発音の違いについてもあまり意識して学習されて いないのではと考えられる。  以上を総じて見ると、設問Aの「アルファベットに存在しない記号([æ] [ɔː] [ʃ] [ð] [ŋ])、 また音と結びつかない記号([j])が読めるか」という問題意図に対して、CS 解答分析からは、 [ŋ] 以外の [æ] [ɔː] [ʃ] [ð] および [j] の記号は満足に読めていない、また、辞書などの発 音記号を自ら読み、自主的な学習が出来るような定着度ではないと言える。  参考資料として、学生と教員の質問紙の回答は興味深い。学生対象の質問紙による結果 を見ると、中学校編(1-4)「発音記号の読み方」を習ったかどうかの問いに対して、約 3 割(2010:36.1%、2011:31.3%)が肯定的、そして約半数(2010:53.3%、2011:51.5%) が否定的な回答をしている。全体として記号を習ったという実感がないという結果だが、 興味深いのは回答者の半数弱(2010:48.4%、2011:45.1%)が中学校検定教科書の NEW CROWN使用者だということである。NEW CROWN は、カタカナ表記が発音記号と併記さ れている教科書である(上田・大塚、2010)が、英語学習導入期のカタカナ使用が発音記 号の定着の妨げになっているのではと懸念する。また、高校編(2-4)では同じ質問に対して、 半数以上(2010:52.4%、2011:50.8%)が肯定的、約 3 割(2010:33.6%、2011:32.9%) が否定的という結果が出た。この結果から、中学と比べて発音記号について触れる時間的 な余裕があり、応用として記号に触れながらの音声指導が行なわれている可能性があると 思われる。さらに、現状に関しての学生の意識は、「発音記号が読める」(大学編 3-1)と いう項目で、2 割強(2010:25.3%、2011:20.2%)の学生のみが肯定的に、また「どちら ともいえない」も含めると約 7 割(2010:69.4%、2011:78%)の学生が否定的な回答を している(無回答を除く)。CS の低い正答率と、実際の学生の発音記号に対する自信のな さが合致したと考えられる。  教員対象の質問紙では、発音記号の読み方を指導するかという質問(教員中学校編 1-4、 高校編 2-4)に、中学校の教員 13 人中 5 人(38.5%)が肯定的、5 人(38.5%)が否定的となり、 さらに高校でも 24 人中 13 人(54.2%)が肯定的、10 人(41.7%)が否定的という結果となった。 小規模の調査回答であるが、「担当教員による」指導の有無がほぼ二分する結果となった。

4. 2 語強勢

 語強勢を問う問題については、比較的なじみのある問題であることからか、もしくは基 本的な単語の語強勢であるからか、2 問とも正答率が CS2010 で約 8 割、CS2011 で 8 割強 という高い結果が出ており、よく定着している様子が見られた。「単語のアクセント」を 問う問題として、おそらく学校の試験や受験でも取り上げられることが多いと考えられる。 一点付記すべき点は、2 音節語の Japan については、学生対象の質問紙でも例として示し

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たことにより、正答率が上がった可能性である。ただ、tomorrow についても Japan とほ ぼ同じ正答率だったことを見れば、それほど影響はなかったかもしれない。今後は質問紙 と CS の例などに使用する例語の選択には注意が必要である。  無解答については CS2010 で 2 人、CS2011 で 0 人であり、問題への取り組みやすさを示 している。誤答については CS2010 で約 2 割であったが、強勢記号を子音に書き込んだ誤 答が 1 割程度(12%~15%)みられ、別の母音に書き込んでいる解答より多かった。これは、 特に母音と子音を意識していないことや、強勢記号自体を書き込むことに不慣れなために 起きた誤りであると考えられる。また CS2011 の誤答については、記号を選択する形式に したことでその数は減少したが、たとえ語強勢の位置が間違った方を選んでいても、実際 に単語を発音する時にその通りに読むとは限らない。これは、音声学の授業でも、発音の 際に Japán と後ろの音節を強く発音していても、語強勢を書かせると Jápan と書いて全 く気がつかない学生が見受けられることからもわかる。しかし、無意識に誤答を選んだと 仮定すれば、1割から 2 割の学生はどの音節(または母音)が強く発音されるか、という 意識をあまり持たないで発音していると予測できる。  語強勢の 2 度の調査に共通した高い正答率から考えると、単語レベルの強勢については かなり定着していると言えるが、今回 CS で取り上げられた単語はわずか 2 語であり、も う少し問題数を増やして検証してみる必要があるだろう。  次に、学生対象の質問紙の結果をみると、中・高共に「単語の中で強く発音するところ(強 勢またはアクセント)」(中学校編項目番号 1-5、高校編 2-5)の指導については、中学では 約 7 割(2010:73.7%、2011:67.6%)、高校では約 8 割(2010:80.3%、2011:75.7%)が 肯定的な回答であった。英語学習の初期段階である中学校では、語強勢は基本学習事項と して高校よりしっかりと指導されるのではという予測とは反対の結果であり、むしろ高校 においてより意識して学習されていることがわかる。しかしながら、現状に関しての学生 の意識は、「単語の強勢(アクセント)が分かり、読める」かという質問(大学編 3-3)に 対して肯定的な回答は約 2 割 5 分(CS2010:25.4%、CS2011:24.3%)であり、約 4 割(CS2010: 39.5%、CS2011:38.2%)が否定的な回答をしている。高校でよく指導を受けたと答えた 語強勢であるが、実際には自信を持って「わかる」と答えられる学生が少ないのが実情で ある。CS では基本的な英単語の語強勢が出題されたため、8 割が正解するという結果であっ たが、学生らの自信のなさの原因は、実際の英語の授業の音読で求められるような様々な 品詞で音節数も多いより難しい語を想定した反応だったのかもしれない。  教員対象の質問紙についても、中学教員は 8 割以上(13 人中 11 人)、高校教員は全員 が語強勢を教えると回答しており、中高を通してかなり意識して指導されている項目であ ると同時に、高校ではより重点的な指導がなされているということがわかる。これは、学 生対象の質問紙の結果と合致した。

4. 3 イントネーション

 文中・文末のイントネーションについては、2 回の調査ともほぼ同じ結果が得られたこ

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とから、文の種類による定着の違いが明らかになった。平叙文と Yes-No 疑問文は 9 割以 上の正答を得ており、ほぼ確実に定着していると言えるだろう。疑問詞疑問文についても、 5 割強が正しく答えていることからまずまずの定着が確認でき、さらに 2 回目の調査によっ て、What を使った疑問文のほうが How を使った文よりもさらに定着していることが示さ れた。  選択疑問文と列挙文については、5 割を切る正答率で、特に列挙文は誤答も多く、ほと んど定着していないことがわかる。上田・大塚(2011)の平成 17 年度検定済の中学校教 科書分析によると、6 社全てが取り上げているのは、Yes-No 疑問文、疑問詞疑問文、選択 疑問文であるが、選択疑問文の正答率が低い(CS2010:46.3%、CS2011:41.0%)理由は、 やはりこれらの文を実際に目にして発音する機会が少ないということだろう。たとえイン プットがあっても、それを定着させるための練習が不足していると、定着しにくくなる。 これらのことをふまえると、教員はより意識してイントネーションが定着しにくい文型の アウトプットのチャンスを設ける必要があるだろう。  学生対象の質問紙の結果を見ると、「文のイントネーション」(中学校編 1-6、高校編 2-6)については指導を受けたという肯定的な答えが、中学では約 6 割(CS2010:58.2%、 CS2011:65.9%)、高校では約半数(CS2010:47.1%、CS2011:50.3%)あった。また否定 的な回答は、中学では 2 割(CS2010:22.2%、CS2011:17.4%)、高校では約 3 割(CS2010: 28.9%、CS2011:30.6%)あった。ところが現状について聞かれると、大学編(3-4)では 肯定的な回答は約 2 割(CS2010:24.1%、CS2011:21.4%)となり、あまり自信のない様 子がうかがえる。学生にとっては、文中や文末のイントネーションが実際に上がっている か下がっているかと言われても、判断がつかないという可能性もある。また、文の種類に よってイントネーションの定型パターンがあることも系統だてて学習しておらず、知識と して明確に身についていないことも考えられる。  教員対象の質問紙では、肯定的回答は学生対象の質問紙と同様に中学から高校では多少 減少しているが、それでも中学では 8 割(84.7%)、高校では 7 割(70.8%)が指導すると 答えている。結果をみると、学生と教員の間に温度差が生まれていることがわかるが、い ずれにしても、指導を受けたという印象が 5~6 割という結果であり、学生にとっては繰り 返し練習することが定着を促す一番の方法であると言えるだろう。

4. 4 ポーズ

 ポーズに関連した設問の D-1、D-2、D-3 については、2 回の調査ともに約 8 割以上の正 答があり、ポーズを入れることへの高い定着度が見られた。中学校教科書分析(上田・大 塚 2011)の結果では、「意味グループごとの区切り」の扱いは記載がもっとも少なかった 事が明らかにされている(p.26)。しかし、近年高校を中心に「音読」の効果が検証され、 多くの高校の英語の授業で「音読指導」のためにスラッシュ( / )をいれる授業が行なわ れていることを鑑みると、「文の区切り」に対する認識は、高校での学習を中心に定着し たものと考えられる。また、高校ではより複雑な文構造を扱うため、意味のまとまりを考

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えることにも時間が費やされていると思われる。

 CS2011 の指示文の変更から、ポーズを書き込まなかった人数は CS2011 では少なくなる と同時に、CS2011 の D-5 I know | you can. の正答率が格段に上昇した。2010 年度の「区 切りが不要だと思う場合は何も書き込まなくてよい」、という指示だった場合、I know you can. という文は 5 問中最も短い文であり、ポーズの必要性を感じなかったのだろう。 CS2011 の指示文のように 1 カ所区切りを入れることを求められれば、これくらいの短文 にポーズを正しく書き込むことは難しくなかったようだが、消去法でポーズの位置の見当 をつける可能性も考え合わせれば、この高い正答率が果たして本当に節の区切りを認識し、 文構造を理解したことを示しているかは測れない。また、顕著な誤答パターンがみられた のは CS2011 の D-4 であり、I hear the boy has a cute dog. の the boy の直後にポーズを入 れた解答が多数(CS2010:20.9%、CS2011:40.4%)存在し、誤答のほとんどを占めた。I hear the boy crying in his room. のような知覚動詞 + 目的語 + ~ing のパターン練習による反 射的な解答ではないかと思われる。ポーズについては、文法能力が問われる設問であり、 指示の仕方や問題文の選択が解答の傾向にかなり影響を与えることが示された。  学生対象の質問紙では、「文を読むときの区切り」(中学校編 1-9 高校編 2-9)の指導の 有無に関して、中学校では半数弱(CS2010:47.5%、CS2011:41.6%)が肯定的、そして 約 3 割(CS2010:31.9%、CS2011:31.2%)が否定的な回答をした。それに対して、「音 読指導」が多く行なわれたと思われる高校時での回想では、約 7 割(CS2010:70.5%、 CS2011:68.8%)が「指導」に関して肯定的であり、約 2 割(CS2010:16.4%、CS2011: 20.8%)が否定的な回答をしている。質問紙の大学編「英文を見て意味のまとまり(区切り) を考えながら読める」(大学編 3-7)については、「現在できること」の 8 項目中一番肯定 的な回答が多く(CS2010:34.3%、CS2011:31.8%)、CS で示した高い定着度を考え合わせ ても、中高での指導の影響が大きいと想像できる。その裏付けとして、教員対象の質問紙 では、中学ではほぼ全員、高校でも 9 割弱が教えていると回答し、ポーズを認識させる指 導は重視されていることがわかる。

5. まとめ

 本稿では、中高での音声学習履歴調査の一つの新しい試みとして、大学生を対象とした 質問紙の回答と合わせて小テスト形式の CS 解答結果の分析を行ない、音声学習の 4 項目 (発音記号、語強勢、イントネーション、ポーズ)について考察した。ここではまとめとして、 音声学習項目の定着度や大学生の意識調査をもとにした大学英語教育現場での今後の課題 を提案したい。  ひとつの結論としては、大学での英語音声教育が、社会にその英語を自分の実力として 持ち出ていく学生の最終「調整」の場であることを再確認した、ということである。英語 の教科書に提示されている学習項目は多岐に渡り、中高の現場ではそれらの定着を目指し 指導が行なわれているが、実際には音声教育のみに時間をかけることは現実的ではない。

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制限の多い中で多くの教員たちが出来る限りの工夫をしていることが自由記述における指 導の留意点・工夫の回答の多さから浮かび上がる。また同様に中高での指導で生徒に「外 国語を発音させることのむずかしさ」という悩みも非常に多く語られている。「照れくさ さや、他からの目を気にして、英語らしい発音をする段階まで至らない現状、友達にから かわれるのを避けようとして、わざと日本語発音にしようとする生徒すらいる。」(中学教 員)「英語らしい音が教室で当たり前となる環境づくり。帰国生徒がわざとカタカナ英語 を使う。音読練習ではモデル通りにできるが、自分で話すさいにカタカナにもどる。」(高 校教員)など、10 代の生徒を教える難しさがうかがえるが、岡崎ほか(1998)の教員対 象アンケートで同様の結果を見る限り、それは時代の移り変わりに関係なく普遍的なもの であろうと考えられる。ところが、一転して大学に入学したばかりの英語授業初回での質 問紙では、自由記述の「大学でどのような英語音声(発音)指導を受けたいと思いますか。」 という問いに対して、堰を切ったように「英語らしい発音にしてほしい」「きれいな発音 で英語を」といった学生の要望が溢れていることも本研究でも明らかになった。似たよう な結果が他の質問紙による調査(田邉、1992;平野、1996;菊池、2007)でも既に語られ ていおり、ますます英語力を要求される社会を目の前にして、学生達は大学という教育機 関により実用的なものを求めていることがわかる。音声面の学習でいえば「きれいな発音」 で「英語らしく」話すことは、英語を学習する大学生にとっては大きな目標であると言え る。社会に送り出す直前に、より効率よく、より効果的な学習指導を行なうため、大学生 の学習履歴を把握し、その時点での学習項目の定着を把握することの重要性をますます痛 感する。  今後の課題である中高大の教育連携という点では、本研究をさらに展開していくために、 CS(チェックシート)のさらなる改定が必要になってくるだろう。CS の内容を再検討し、 精度の高い項目別定着度の測定ができるものに発展させることで、定着しにくいもの、定 着しやすいもののより細かな分類ができると思われる。多くの練習を必要とする特定の項 目には適した量の指導や学習法を展開することで、中高で定着していない学習項目を効果 的に指導できるだろう。また、各時代を反映した学習指導要領の実施に伴い、中高での 英語教育に起こる変化に対しても、毎年入学してくる学生の CS の結果からその影響が検 証され、大学英語教育現場でより良いアプローチができるはずである。CS の改定に伴い、 質問紙についても学生の学習履歴の裏付けとして質問項目の見直しを行なう必要がある。 これらにより今後の教育の変化、学生の変化などに対応しながら大学での音声教育の効果 を上げられると考える。  今回の質問紙と CS による 2 本立ての調査により、学生の実態をより立体的に捉えるこ とができた。ただし、その実態とは筆記形式によって検証された学生のアウトプットの一 部分にすぎず、実際に学生たちがどのような発音をし、どのようなイントネーションで文 を読むのかは測れない。「本当の意味での実態」を把握するためには、インプットの源で ある教科書の内容、学生の学習履歴と理論の定着、そして彼らの口から発せられる音をそ れぞれ並行して調査することが必要だと考える。今後は、実技も視野に入れた立体的、多

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角的な実態調査を行なって行きたい。

謝辞

 本稿の執筆にあたり、丁寧なご指導を頂いた大阪大学の米田信子先生、質問紙作成段階 に貴重なご意見をいただいた大阪府立鳳高等学校の溝畑保之先生、尼崎市立小田北中学校 の黒木彩加先生に感謝の意を表したい。また、学生対象の質問紙実施にご協力いただいた、 久松知佐子先生に感謝の意を表する。 注釈 (1) 本来であれば、Diagnostic test という位置づけだが、「テスト」という名前を使用することで、学 生に初回の授業でプレッシャーを与えないように配慮した結果、チェックシートという名称にし た。 (2) 学生対象の質問紙の質問項目ナンバーは、2010 年版、2011 年版とも共通である。 引用参考文献 有本純(2002)「英語の発音指導における教材の在り方」『関西国際大学研究紀要』3, 1-13. 有本純(編)(2009)科研報告書『英語の発音指導法の開発:国際英語の観点に基づく導入から矯正まで』 関西国際大学 浅野亨三(2004)「入学前英語学習履歴調査に関する一考察」『南山短期大学紀要』32, 139-162. 浅野亨三(2007)「短期大学の英語教育」『南山短期大学紀要』35, 233-251.

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表 1-1 CS2010 発音記号 結果(n=134) 正答(%) 無解答(%) 誤答(%) X1 X2 X3 X4 X5 X6 X7 各 1 A-1 61 (45.5)33 (24.6) (29.9) 18   5 5 3 2 2 2   3 A-2 25 (18.7)21 (15.7) (65.7) 55 19 4 3   7 A-3 26 (19.4)54 (40.3) (40.3) 30   4 3 2 15 A-4 20 (14.9)72 (53.7) (31.3) 21   5 4 2 10 A
表 4-1 CS2010 ポーズ結果(n=134)   正答(%) ポーズ無 誤答(%) ×(誤った場所) ×(複数) D-1 102 (76.1) 5   (3.7) (23.9) 13 14 D-2 110 (82.1) 9   (6.7) (17.9) 4 11 D-3 107 (79.9) 16 (11.9) (20.2) 7 4 D-4   85 (63.4) 17 (12.7) (36.6) 29 3 D-5   79 (59.0) 55 (41.0)     表 4-2 CS2011 ポーズ結

参照

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