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岡山県南西部において交通事故死した哺乳類-香川大学学術情報リポジトリ

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香川生物(KagawaSeibutsu)(34):79−82,2007

岡山県南西部において交通事故死した晴乳類

川 口

敏 〒769−2102 香川.県さぬき市鴨庄994−6

江 木 寿 男

〒714−1201岡山県小田郡矢掛町矢掛817

Road−killedmammalsinthesouthwesternpartofOkayamaPrefecture,Japan

SatoshiKaw‡唱uChi,タタイ一¢,助〝旧5あ0,∫α乃〟たヱ,励gαWq乃クー2Jα2,・J琴7α〝 HisaoEgi,∂J7】匂ノbgちI匂たαgち0‘ブqOたqy‘Z朋α,7ブイ−J20Jノ呼α〃 生えそろっていない個体を幼体とした。採集 は江木が行い,外部計測と標本製作は川口が 行った。 採集された.哺乳頬は,テン肋′・fe5椚eJα呼〟5 6頭,アナグマ〟βJe5椚eJe53頭,チョウセン イタチ〟〟5JβJα5ヱあよ′ヱcα2頭,キツネ㍑わe5V〟オー クe51頭,ノウサギ上甲〟5ム′αC々y“′・〟54頭,ヌー・ トリアA布ocα5′0′cq汐〟52鼠 ムササビ鈍Jα〟− ′由αJe以COg印γ51頭の計7種19頭だった.。この うちムササゼは岡山県中東部(山乱 2005)で は記録されておらず,交通事故死体としては 初記録である。また山田(2005)の記録した イタチは学名が記されていないので,ニホン イタチ〟ヱJαJ5王とチョウセンイタチのどちらな のか分からなかったが,今回チョウセンイタ

チを同定することができた。採集地は図1

に,外部測定値は表1に示す。 テン(成体)の毛色にはこれまで記録され ていない変異が認められた。冬毛(標本番号

1273,1308,1311)は,全身が黄土色から黄

山田(2005)は,2002年3月から2005年2

月にかけて,岡山県中東部で交通事故死した 晴乳類のうち,タヌキ80頭,イタチ12頭,キ

ツネ5頭,テン3頭,アナグマ1頭,ノウサ

ギ2頭およびヌートリア8頭の計7種111個体

を記録した。著者らは,はぼ同時期の2003年 11月から2006年6月にかけて,山田(2005) が調査していない岡山県南西部において,路 上で発見された晴乳類の死体を採集したので 報告する。

死体は路上を走行中に偶然発見したもの

で,種を同定する際に十分な情報のえられ

る,比較的損傷の少ない死体のみを採集し

た。ただし,タヌキ坤cJe′e〃re5ク′0呼0仰fあは

狩猟獣として多数捕獲されているので(小

原,1983),採集しなかった。採集地と採集日 を地図上に記録し,外部計測を行ったのち, 生殖器から性別を判定し,骨格標本を製作し た。永久歯の生えそろっている個体を成体と し,乳歯が残っているか,あるいは永久歯が ー 79 一

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 ̄ ′し・√ 133。80′ 1330 40’E ノノへ′㌧一8kmレ、・ ′ l ノ ∂ 令 図1.事故死体の採集地点.番号は標本番号を示すり − 80 −

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表1.岡山県南西部で採集された晴乳類7種の採集データおよび外部計測値.

標本番号 種 名

採集地 採集日 性別年齢体 重頭胴長尾長後足長耳長 [kg]・[mm】[mm][mm][mm] 高梁市高倉町田井 2004.03.21♂ 成体 井原市美星町上高来2005.03.06 ♀ 成体 高梁市松山 2005.07.10 ♀ 幼体 高梁市津川町今津 2006.02.25 ♀ 成体0 笠岡市西大戸 2006.04.04 ♂ 成体 高梁市津川 2006.06.25 ♂ 成体 笠岡市東大戸 2004.06.17 一 成体 1.32 372 198 87 − 1253 テン 1273 テン 1291テン 1308 テン 1311テン 1315 テン 1259 アナグマ 1290 アナグマ 1300 アナグマ 0.85 377 166 77 0.55 348 152 74

90十α 387 177 77

1.58 448 204 89 1.51 434 215 87 3735354039一 3 9 5 7 2 3 2 4 父U ︵n 5 3 432278000000223 9595616913113213714013413212464 8 7 4 11 4 一 3 7 良U O n訂 9 7 3 1 3 3 2 57620564002 一 穴じ 只U O 1 4 2 りム 9︼ 3 4 4

体体体体体体体体体体体体

成成成成成成成成成成成幼

♂♂♂♂♀♂♂♂♀♂♂♂

井原市美星町東水砂2005.07.03 笠岡市来大戸 2005い10.28 1263 チョウセンイタチ小田郡矢掛町江良 2004.09“09 1274 チョウセンイタチ笠岡市走出 2005.03ミ18 笠岡市西大戸 笠岡市来大戸 笠岡市西大戸 笠岡市走出 笠岡市走出 小田郡矢掛町束三成 2004.08.16 2004.03.05 2005、04.04 2005り11.22 2005‖12り04 2004.12.12 1260 キツネ 1252 ノウサギ 1281ノウサギ 1305 ノウサギ 1306 ノウサギ 1269 ヌ=・・・・・トリア 1270 ヌーLトリア 1248 ムササビ 笠岡市新賀 2005.01い05 井原市芳井町吉井 2003.11.09 したとされるが(今泉,1960),岡山県に侵入

した時期は不明である。文献上では,岡山県

(1989)に最初の記録が見られ,岡山市と倉 敷市に分布することが示されている。 −・方,在来種のニホンイタチはチョウセン イタチの分布拡大に伴って−平地から姿を消し つつあるとされるが(今泉,1960),両種の目 視による識別は困難で,正確な分布図も得ら れにくい。識別には性別と外部測定値が必要 で(川口,2006),後の分析に利用できるよう に標本の保存も必要である。

テンとアナグマは岡山県版レッドデータ

ブック(岡山県,2003)で,絶滅のおそれは ないが岡山県として記録して−おく必要がある と考えられる種(留意種)に指定されてい 。

ヌートリアの原産地は南米で,日本には

1939∼45年にかけて毛皮目的で導入された

が,戦後各地で野生化した(阿部はか,

褐色まで若干の変異があり,喉下面はオレン ジ色,四肢は黒色,頭は灰白色だが,顔は黒 色であった(図2)。これらの冬毛はキテン

(今泉,1960;細田・大島,1993)に似る

が,顔が黒色で頚下面がオレンジ色である点 は,スステンの特徴を示していており,テン の冬毛がキチンとスステンのこ色型に分けら れるのかどうか疑問である。また.,夏毛(標 本番号1315)はキテンの夏毛(今泉,1960) に似て全身こげ茶色で顔や四肢が黒く,喉に オレンジ色の大斑があるが,尾の先端に白毛 はなかった(図2)。 ノウサギはいずれも茶褐色の冬毛だった。 ノウサギには,冬になると白色になるものが あるが(今泉1960),著者らの知るかぎり, 岡山県下では確認されていない。 チョウセンイタチは対馬および朝鮮が原産 地で,1930年ごろ本土に導入されたものが逃 亡し,関西地方,四国,九州北部等で野生化 − 8l−

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図2.テンの毛色の変異. 標本番号1311は冬毛(背面),1273は冬毛(腹面),1315は夏毛(背面).スケールは15cnl. 2005)。岡山県では,1960年ごろ河川や水路周 辺のイネに,ヌートリアによる食害が目立ち 始めたので,1964年に捕獲報奨金制度をつ くって駆除に乗り出した(三浦,i978)。とこ ろが,生息密度が低くなると,農作物への被 害も小さくなり,捕獲されなくなるため(三 浦,1976),現在に至っても根絶されることな く低密度で生息していると考えられる。

引用文献

阿部 永・石井信夫・伊藤徹魯・金子之史・ 前田喜四雄・三浦慎悟・米田政阻 2005. 日本の哺乳類[改訂版〕,東海大学出版会, 秦野.

細田徹治・大島和男.1993.ニホンテン

肋r′お肌e/α〝p〟∫∽ピ/α′呼〟∫Wagnerの毛色の 変異.南紀生物,35:19−23. 今泉吉典.1960.原色日本晴乳頼図鑑.保育 社,大阪 川口 敏.2006.香川県産肋∫JeJα属2種の事 故死体の同定と分布.晴乳類科学,46:35−

39.

三浦憤情.1976.分布から見たヌートt」アの 帰化・定着,岡山県の場合.哺乳動雑, 6:23卜237. 小原 巌.1983.岡山県中部および北部にお けるタヌキの年齢構成.哺乳動雑,9: 204−207, 岡山県.1989.岡山県鳥獣生息分布調査報告 書.岡山県,岡山 岡山県.2003.岡山展版レッドデータブック ー絶滅のおそれのある野生生物−.財団法 人岡山県環境保全事業乱 岡山. 山田 勝.2005.交通事故死動物の記録.し ぜんしくらしき,55:11−13. − 82 −

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