中国・浙江省における染色工場の高効率テンター普及
プログラムCDM実現可能性調査
2011年9月21日
九州電力株式会社
技術本部 技術戦略グループ
1目 次
1.プロジェクトの概要 1.1 プロジェクトの概略 1.2 本調査の実施体制 1.3.適用する技術 1.4 プロジェクトの背景 2.調査結果 2.1 ベースラインシナリオ 2.2 温室効果ガス削減量 2.3 追加性の証明 2.4 PoAの下での展開方策 3.今後の事業化に向けて 3.1 事業化に向けての課題とその解決方法 3.2 今後のスケジュール2
1.1 プロジェクトの概略
■ 本プロジェクトは、中国浙江省における染色工場を対象とする ■ 既存の旧式テンターを高効率タイプのテンターに更新することで、熱媒 加熱に用いる石炭消費量の節減、及び消費電力節減による石炭火力 発電での石炭焚き減らしにより、温室効果ガス排出量を削減 ■ 高効率テンター導入の普及を、プログラムCDMを通じて行い、本PoAの 下で浙江省内(PoAバウンダリー)の染色工場をCDMプログラム活動 (CPA)として登録する計画 ■ ホスト国中国のプロジェクトカウンターパートである「緑章(北京)新能源 技術有限公司」を、PoAの調整管理組織と想定 ■ CPAのモデル企業として「杭州銭江印染化工有限公司」(杭州市)を想定 杭州市 杭州銭江印染化工有限公司1. プロジェクトの概要
1.2 本調査の実施体制
九州電力株式会社 みずほコーポレート銀行株式会社 緑章(北京)新能源技術有限公司 中国紡織工業協会 浙江省印染行業協会 浙江航民股?有限公司 杭州銭江印染化工有限公司 清華大学 浙江省発展改革委員会 現地政府機関等 調査協力依頼 上記企業の 傘下企業 協定参加企業 協定参加企業 協定参加企業 協定参加企業 調査実施体制 プロジェクトサイト CDM開発支援 コメント・助言 コメント・助言 コメント・助言 情報提供 【モデルCPA】 ・プロジェクト全体管理、PDD作成 ・PDD作成支援 ・現地ヒアリングサポート 【調整管理組織】 ※協定参加企業 2009年日中省エネルギー・環境ビジネス推進モデルプロジェクトとして、染色工場の省エネ改修実施検討 に関する協力協定を締結4
1. プロジェクトの概要
1.3 適用する技術
染 色 熱でのばす 出 庫(加工前の織・編物) 精 錬(糊、油、汚れ等除去) 乾 燥・平滑化【テンター】 減 量 プリント 蒸 熱(蒸す) 水 洗(糊落し) 液流染色 【捺 染】 【浸 染】 脱水・拡布 樹脂付与(手触り改良)・乾燥 仕上セット(巾出し)【テンター】 製品検査 包装出荷 準備工程 染色工程 仕上工程 【 染 色 工 程 】 【 紡 織 工 程 】紡 績
織 布
染 色
縫 製
51. プロジェクトの概要
1.3 適用する技術
テンター平面図 テンター立面図 布の進行方向 高温になった箱体内に布を通過させる テンターは連続した箱体で構成されており、高温にした箱体内を布が通過する過程 において、布の乾燥、平滑化、巾出し処理を行う。6
1.3 適用する技術
①コンパクト化 ②熱風ノズル幅の伸縮・追従 ③熱風ノズル間隔の近接化1. プロジェクトの概要
日 本 日 中 中 国 ■新・国家エネルギー戦略 省エネをはじめエネルギー協力 でアジアと共生 ■新成長戦略 環境技術において日本の技術・ 経験をアジアの持続可能な成長 に活用 ■世界一のCO2排出国(21%) ■2015年までに2010年比で 対GDP比16%のエネルギー 削減目標(第12次5ヵ年計画) ⇒これまでの非効率工場の淘汰による エネルギー削減 は限界 ⇒高い省エネ技術の導入が必要 ■日中政府間、戦略的互恵関係合意(2006.10 胡錦濤中国国家主席及び安部総理) ■日中省エネルギー・環境ビジネス推進モデルプロジェクト合意(2006.12) 省エネ・環境分野での民間によるビジネスベースでの協力推進 当社は紡織業界での省エネ取組みについて、2007~2010年で4回にわたり モデルプロジェクトに指定 日本の高い省エネ技術 と国家戦略 積極的なエネルギー・環境分野での協力 中国の省エネ・CO2 削減目標1.4 プロジェクトの背景
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1. プロジェクトの概要
■当社中期経営方針の柱 「九州やアジア、世界における持続可能な社会づくりへの貢献」 ■技術本部の取組み 「国際的低炭素社会実現に向けた技術戦略(コンサルティング)」 1.対象:デマンドサイド(工場、建物等) の省エネ、CO2排出削減 ⇒・土木建築の保有技術の活用 (PM、省エネノウハウ等) ・日本(九州)企業の省エネ・ 環境技術の活用・支援 2.地域:中国を中心とする ⇒・CO2排出世界一(2007年) ・隣国としてのパートナーシップ ・今後の世界経済におけるアジアの中心(省エネ市場も) ・エネルギーセキュリティ上の最重要関係国 九州1.4 プロジェクトの背景
91. プロジェクトの概要
【浙江省】モデル工場 ・航民股份有限公司 (銭江染色工場) ⇒2009年7月より詳細診断 中国紡織工業協会 沿岸部 紡織産業基地への普及提案 モデル地域: 浙江省の紡織工場 五環紡織工場 ● 西安 ●杭州 浙江省 ※赤枠の省:中国紡織産業基地 国家発展改革委員会 中国紡織工業協会 取組み評価 2007年 日中省エネルギー・ 環境ビジネス推進モデルプロジェクト 五環から状況報告 一地方一民間ベースのモデルプロジェクトから全国レベルの省エネ普及へ拡大
普及
2008年 日中省エネルギー・ 環境ビジネス推進モデルプロジェクト省エネ改修(ESCO等)プロジェクト
改修計画の検討・提案2009年 日中省エネルギー・
環境ビジネス推進モデルプロジェクト
1.4 プロジェクトの背景
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1.4 プロジェクトの背景
中国紡織業界 日本紡織業界 ・企業数約2万社(2005年世界第1位) ・綿紡生産能力:世界40% ・化繊生産能力:世界50% ・染色加工能力:世界35% ・工業総エネ消費量の5.2% ・輸出産業であり、世界同時不況、 燃料費・人件費の高騰により厳 しい国際間競争にさらされている ⇒省エネ対策、海外からの省エネ 協力進んでいない(生産中心) ⇒大きな省エネ市場規模 ・中国全土に約6千台のテンター、浙江省内に約200社の染色工場 ・日本の技術を活用し、紡織プロセス中の約8割の熱エネルギーを 染色工場が占め、省エネ効果が最も大きいテンターについて、 プログラムCDMの活用を検討 ・日本の紡織産業は、日本近代産 業の先駆けとして、戦後復興気 に至るまで、生糸、綿織物を主に 国内最大の輸出品目として経済 発展を支えてきた ・紡織産業に関する高い環境・省エ ネ技術を有する企業が主に中小 規模企業であること、国際間価格 競争力の問題等から、海外への 技術移転があまり進んでいない2. 調査結果
2.1 ベースラインシナリオ
方法論AMS Ⅱ.C.(version13)「Demand-side energy efficiency activities for specific technologies」に準拠 ■新設・改造及び更新 ○以下の政策から、本PoAについては活動を更新に限定 ・水質汚染対策として工場立地を集中させる計画があり、工場の統廃合を進める方針 ・生産能力は拡大せず、エネルギー・生産効率の向上を進める方針 ■設備の更新時期
○設備の残存寿命決定ツール(Tool to determine the remaining lifetime of equiopment)に基づき、以下の3つのオプションのうち(b)専門家の評価を用いる (a)設備製造者の情報 ⇒技術的使用年数に関する情報無し。使用状況の影響大 (b)専門家の評価 ⇒日本繊維技術士センター専門家による評価を実施 (c)デフォルト値 ⇒現状、テンターのデフォルト値が無い
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2. 調査結果
2.1 ベースラインシナリオ
年 テンター(1) テンター(2) テンター(n) ・・・ CP Ai の ベー スライン シ ナリオ テンター(1) テンター(2) ・・・ CP Ai の プロ ジェクト シ ナリオ 「設備の残存寿命決定ツール」で決定 テンター(n) CPAi のプロジェクト期間 「同一の更新時期にプロジェクトがない場合に導入されていたであろうテンターの導入お よび運用」のテンター台数分の組み合わせとなる。 ・既存機器の更新時期は導入年から10年目(生産布種、運転状況から) ・ベースライン及びプロジェクトの更新期間は20年間(予防保全指導による長寿命化) 132. 調査結果
2.1 ベースラインシナリオ
・染色協会からの情報収集により、導入可能性があるのは、韓国製、ドイツ製、中国製 であり、そのうち7割が韓国製 ・モデルCPAでは16台のテンターを保有しており、そのうち13台が韓国製、中国製3台 であり、ドイツ製の導入予定は無い ・モデルCPAで最近(2009年)導入したテンターは韓国製 【モデルCPAにおいて、テンター導入に関して可能なシナリオ】 ① 日本独自開発の高効率テンターを導入する ② 韓国製のテンターを導入する ■プロジェクト活動の代替シナリオ14
2.2 温室効果ガス削減量
テンター(1) テンター(2) テンター(3) テンター(16) ・ ・ ・ 循環熱媒油 電 力 ボイラ 再加熱 更新機器 石 炭 熱 電力 グリッド 循 環 CO2 CO2 ・削減されるエネルギーは化石燃料(石炭)および電力である。 ・ベースライン及びプロジェクト排出量は、化石燃料(石炭)および電力消費による CO2排出量をそれぞれ別々に計算の上、合算を行い、その差を温室効果ガス 削減量とする2. 調査結果
2.2 温室効果ガス削減量
銭江の既存テンター導入年数 取替え予定年 新規設備稼働予定年 1999 年 2 台 2011 2012 2001 年 4 台 2011 2012 2002 年 5 台 2012 2013 2006 年 1 台 2016 2017 2007 年 2 台 2017 2018 2009 年 2 台 2019 2020 ■モデルCPAにおけるテンター更新時期 年 プロジェクト排出量 (t-CO2/年) ベースライン排出量 (t-CO2/年) リーケージ (t-CO2/年) 削減量 (t-CO2/年) 2012 8,544 14,298 0 5,754 2013~2016 15,664 26,213 0 10,549 2017 17,088 28,596 0 11,508 2018~2019 19,936 33,362 0 13,426 2020~2031 22,784 38,128 0 15,344 2032 14,240 23,830 0 9,590 2033~2036 7,120 11,195 0 4,795 2037 5,696 9,532 0 3,836 2038~2039 2,848 4,766 0 1,918 ■モデルCPAにおける温室効果ガス削減量⇒1台当り約960t-CO2/年の削減 (クレジット期間:10年⇒約12万t-CO2、プロジェクト期間:28年⇒約30万t-CO2)16
2. 調査結果
2.3 追加性の証明
■国家発展改革委員会建設部における投資判断基準(P-IRR:14%)との比較 【経済分析に用いた財務指標】 【経済分析に用いた投資判断基準】 クレジット収益なし クレジット収益あり P-IRR 10.91% 14.50% 14% プロジェクトIRR 初期投資 3,120万元 ※195万元(差額)×16台 OM費用 ※約5万元(差額)×16台約80万元 売電価格 0.6元/kWh 石炭価格 700元/t クレジット価格 9ユーロ/t-CO2 プロジェクト期間 28年間 クレジット期間 10年間 【経済分析結果(収益性)】 【プロジェクトIRRの感度分析結果】 Indicators -10% 0% +10% 初期投資 12.61% 10.91% 9.45% 年間OM費 11.24% 10.91% 10.57% 石炭単価 9.09% 10.91% 12.65% 石炭節約量 9.09% 10.91% 12.65% 172. 調査結果
2.4 PoAの下での展開方策
■日本独自開発の高効率テンターの優位性をアピールし、普及実現を図る ①競合機(韓国製等)のエネルギー消費量計測を行い、省エネ効果の更なる定量化 を進める。 ⇒今年度実施予定 ②価格面について、エネルギーコスト削減と排出権クレジット収益によって回収可能 であること、及び性能や耐久性の向上による価格以外の優位性をアピールする。 ⇒①の実施結果に基づき再分析予定 ③CPA企業に、日本で稼動している高効率テンターを実際に視察してもらい、その 省エネ効果・品質面での優位性を実感してもらう。 ⇒今年3月に来日し、福井県の工場を視察。非常に高い関心18
3.1 事業化に向けての課題とその解決方法
■関係者のコメント ・中国政府はプログラムCDMの申請を歓迎する(CDM審査理事会専門家) ・温室効果ガス削減ポテンシャルが大きく、調整管理組織の条件を満たしている (緑章(北京)新能源技術有限公司) ・日本独自開発の高効率テンターであり、技術的信頼性が期待できる (モデルCPA:杭州銭江印染化工有限公司) ■事業化に向けての課題とその解決方法 ・高効率テンターの普及について、価格面や生産能力面での課題を解決しなけれ ばならない 『生産』普及拡大に向けた生産能力の確保 『価格』クレジット収入による経済性向上に加え、一部現地生産化を含む市場 競争力のある価格設定実現への検討 『技術』高効率テンターの生産面、運用管理面での日本企業の技術移転・技術 協力方法の検討 高効率テンター普及に向けた、生産・販売・流通・運用管理面全体に関する ビジネスモデル構築に向けた検討を実施3. 今後の事業化に向けて
3.2 今後のスケジュール
■CPAモデル企業である杭州銭江印染化工有限公司は、日中省エネルギー・環境 総合フォーラムにおいて締結した省エネ普及に関する協力協定当事者の傘下企 業であり、 ■業界における省エネ推進のため、モニター用として高効率テンター2台を今年10月 ~11月に導入する予定である。 ■このモニター機の既存競合機に対する省エネ効果の優位性が証明されれば、 プログラムCDMの仕組みを活用することで染色工場への高効率テンター普及促進 が期待でき、 ■今後、高効率テンターの生産・価格面の課題解決、普及に向けたビジネスモデル の構築など、本格普及の確実性が高まった段階で、プロジェクト実施に向けた本 格的な活動を開始する予定である。20
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