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デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者由来iPS細胞を用いた初期病態再現

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Academic year: 2021

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Title Early pathogenesis of Duchenne muscular dystrophy modelledin patient-derived human induced pluripotent stem cells.( Abstract_要旨 )

Author(s) Shoji, Emi

Citation Kyoto University (京都大学)

Issue Date 2015-07-23

URL http://dx.doi.org/10.14989/doctor.k19229

Right

Type Thesis or Dissertation

Textversion ETD

(2)

京都大学 博士(医 学) 氏 名 庄 子 栄 美

論文題目

Early pathogenesis of Duchenne muscular dystrophy modelled in patient-derived human induced pluripotent stem cells.

(デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者由来iPS 細胞を用いた初期病態再現) (論文内容の要旨)

デュシェンヌ型筋ジストロフィー (Duchenne Muscular Dystrophy, DMD) は、ジストロ フィン遺伝子の欠損に起因する難治性の遺伝性筋疾患である。進行性の筋萎縮と筋力低下 を主症状とし、骨格筋の慢性炎症により重篤化する。DMD は、男児出生約 3500 人に一 人の確率で現れ、成人期には死に至り、その治療法の開発が切望されている。しかし、治 療法確立のためには、ジストロフィンタンパク質の欠損により引き起こされる筋細胞傷 害、更には慢性炎症に至る以前の、初期病態とそのメカニズムの解明が必要である。近年、 マウスモデルにおいて、Ca2+の筋細胞への過剰流入が発症の誘因となる事が報告された。 ヒトDMD でも Ca2+の過剰流入が骨格筋細胞の損傷を引き起こすのかを明らかにする必 要があるが、これまでヒトDMD 発症初期の病態を再現できる実験法の確立は報告されて いない。 本研究では、DMD 患者由来 iPS 細胞から骨格筋細胞を分化誘導し、これを用いて DMD の初期病態の再現を試みた。ヒトiPS 細胞を用いる事で、インタクトな骨格筋細胞を得る 事が可能となり、炎症に修飾されていないDMD の初期病態を再現する事が可能となる。 効率的に骨格筋細胞集団を得る為、骨格筋分化において中枢的な役割を担う転写因子をコ ードするMyoD1 遺伝子を、トランスポゾンによりヒト iPS 細胞に組み込み、骨格筋細胞 へと分化させた。その結果、分化誘導9 日目において健常者および、DMD 患者由来 iPS 細胞から多核の筋管が高効率で形成され、骨格筋特異的な遺伝子発現の解析により、同程 度に成熟骨格筋細胞へと分化する事が示された。 ジストロフィン欠損による初期病態を健常者と DMD 患者由来骨格筋細胞を比較して 再現するにあたり、遺伝的背景とiPS 細胞クローン間の差が、病態の正確な評価の妨げと なる。そこで、Antisense oligonucleotide (AO) による Exon skipping の手法を用いて、 同一のDMD 骨格筋細胞からジストロフィン回復型骨格筋細胞を作製した。健常者、DMD 患者由来、およびDMD 患者由来回復型の 3 種類の成熟骨格筋細胞に電気刺激を加えて、 骨格筋の自律収縮を促し、Ca2+流入のイメージングを行う事により、収縮に同期したCa2+ の流入が各々の骨格筋細胞で観察できた。Ca2+の流入量を定量評価した結果、健常者の骨 格筋細胞と比較して、過剰なCa2+流入がDMD 患者由来骨格筋細胞において観察される 事、またジストロフィンタンパク質の発現回復により、過剰な Ca2+流入が抑制された事 が示された。更に、Ca2+流入の負荷による細胞傷害の度合を、細胞傷害により上昇すると されるCreatine kinase (CK) 値を指標に評価した。その結果、イオノフォアによる Ca2+ の骨格筋細胞への強制流入では、DMD における CK 値の上昇率が健常者のそれよりも高 い事が示された。DMD 患者由来回復型の骨格筋においては、AO の濃度依存的に、CK 値の上昇率が低下し、ジストロフィンタンパク質の発現回復の程度に応じて、細胞の傷害 度が回復する事が示唆された。 以上の結果から、ジストロフィン欠損による、初期病態の主因とされる Ca2+の過剰流 入を同一の細胞で再現する事に成功し、ヒトDMD 患者由来 iPS 細胞が、ひとつの疾患モ デルとして、DMD の病態解明及び薬物治療法の確立に寄与することを示した。 (論文審査の結果の要旨) デュシェンヌ型筋ジストロフィー (DMD) は、ジストロフィン遺伝子の欠損に起因する 難治性の遺伝性筋疾患である。本疾患の筋細胞傷害機構を解明するには、筋傷害による線 維化・脂肪化などの慢性病態ではなく、インタクトな骨格筋の中で運動刺激により引き起 こされる初期病態を再現する必要がある。本研究は、DMD 患者由来 iPS 細胞を用いてそ の再現を試みた。 まず、誘導的にMyoD 遺伝子を発現させることにより、健常者及び患者由来 iPS 細胞 から、成熟骨格筋細胞を得た。遺伝的背景を一致させ、かつクローン間の差を排除できれ ば、より正確にDMD の病態を評価できる。そこで、アンチセンスオリゴ核酸 (AO) によ るExon skipping の手法を用いて、得られた DMD 骨格筋細胞でジストロフィンの発現を 回復させた。これらの骨格筋細胞に電気刺激を加えCa2+動態を観察した結果、DMD 骨格 筋細胞において過剰なCa2+流入が観察され、ジストロフィンの回復によりその流入が抑制 されることが示された。更にCa2+過剰流入による細胞傷害度を、Creatine kinase (CK) 値 を指標に評価した結果、DMD 骨格筋細胞における CK 値の上昇率が健常者のそれよりも 有意に高く、その値はAO 濃度依存的に低下した。 以上の結果、Ca2+の過剰流入による細胞傷害がDMD の初期病態の一つであることを、 同一の細胞クローンで示す事に成功した。 以上の研究は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの初期病態の解明に貢献し、DMD の 病態解明及び薬物治療法の確立に寄与するところが多い。 したがって、本論文は博士( 医学 )の学位論文として価値あるものと認める。 なお、本学位授与申請者は、平成 27 年 7 月 6 日実施の論文内容とそれに関連 した試問を受け、合格と認められたものである。 要旨公開可能日: 年 月 日 以降

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