平成28年 7月 30日(土)
日本政策金融公庫 国民生活事業
北関東信越創業支援センター
所
長
大和
傑
1
公庫の概要と創業の特徴
2 創業計画書作成のポイント
3
創業支援の取組
本日の主な内容
イメージを形(計画書)にしてみよう!
~創業計画書作成のポイント~
本資料は情報の提供のみを目的としています。掲載事項は、資料作成時におけるデータを基にしたも ので、正確性及び完全性を保証又は約束するものではなく、今後、予告なしに変更・修正されることが あります。本資料の無断複製又は転送等は行わないようお願いします。
公庫は100%政府出資の政策金融機関です
融資を通じて中小企業のみなさまをサポートしています
創業やソーシャルビジネスに取り組む方を重点的に
サポートしています
◆
日本公庫は、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、
中小企業金融公庫を前身とする政策金融機関です。
<平成20年9月30日以前>
国民生活金融公庫
農林漁業金融公庫
中小企業金融公庫
株式会社
日本政策金融公庫
(略称「日本公庫」)
国民生活事業
農林水産事業
中小企業事業
<現在>
設 立
平成20年10月1日
業 務
国民生活事業、農林水産事業、中小企業事業等
資本金
3兆9千億円(平成28年3月末日現在)
職員数
7,364人(平成27年度予算定員)
支店等
国内152支店
海外駐在員事務所
2ヵ所
■
日本公庫の概要
融資先の
約9割
が
従業員9人以下
の小規模事業者で、
約半数が個人事業者
です。
従業員規模別融資構成比(件数)
(平成27年度、事業資金(直接扱))約9割
■
日本公庫(国民生活事業)の取引先
70.9%
18.8%
10.3%
4人以下
5-9人
10人以上
業種
に偏らない融資を行っています。
業種別の融資残高構成比
(平成28年3月末、事業資金、件数)
■
日本公庫(国民生活事業)の取引先
卸売、 小売業 21.7% サービス 業 25.9% 建設業 16.3% 製造業 8.9% 飲食店、 宿泊業 11.3% その他 15.9% 卸売、小売業 23.6% サービス業 27.0% 建設業 11.9% 製造業 10.9% 飲食店、 宿泊業 14.3% その他 12.3%(参考)業種別の全国企業数構成比
国民生活事業の融資先数は約
88
万企業(約4社に1社)
小口融資が主体です
(注)1 国内銀行とは、都市銀行、地方銀行、第二地方銀行、信託銀行などです。 2 信用金庫及び国内銀行の数値には、個人向け、地方公共団体向け、海外円借款、国内店名義現地貸を含まない。 融資先企業数及び1企業あたりの平均融資残高(平成27年度末、事業資金)
日本公庫
国民生活事業
信用金庫計
(265金庫)
国内銀行計
(139行)
融資先企業数
88万企業
112万企業
201万企業
1企業あたりの
平均融資残高
689万円
3,801万円
9,142万円
■
日本公庫(国民生活事業)の取引先
・平成27年度の創業融資実績は
26,465社です。
・原則、連帯保証人は不要です。
・全国に152支店あり、気軽に
相談できます。
(茨城県内は3支店)
■
創業企業(創業前及び創業1年以内)への融資実績
42.4歳
男性83.0%
女性17.0%
1,205万円
(中央値720万円)
311万円
(創業費用の22.8%)
3.6人
創業時年齢
性別(構成比)
創業費用
自己資金
従業者数
◆
創業者の平均像
■
統計データから見る創業の現状(創業者の実態)
ベビー服の輸入販売業
・当社は、デザインに優れた海外ベビー服の販 売業を創業した女性起業家。 ・証券会社の情報処理部門に所属していた経験 を活かし、自力でプログラミングを行い、販 売サイトのホームページを構築。 ・海外のブランド5社と正規の代理店契約を直 接結び、国内では扱っていないブランドベ ビー服を低価格で提供。 ・日本公庫は展示会の出店費用、パンフレット 作成費用、仕入資金などの運転資金を融資。シニア世代が交流できる飲食店
・当社の理事が、従来の職歴等で培った人 脈を活かし、シニア世代の交流とネットワーク 化を目的とした居酒屋を創業。 ・ シニア世代という共通項を背景に、気安く集 い、飲み、語り合える雰囲気を大切にする。 ・日本公庫は、店舗改装費用や厨房機器購入費用 などの設備資金及び仕入費用などの運転資金を 融資。■
【ご利用例】
【創業の準備・心構え】
創業後の在り方は、「心構え」次第で大きく変わります。
自分が「どうなっていたいか」、「どうありたいか」、「どう見られた
いか」など、創業をイメージしてみましょう。
目指すゴールによっても必要な準備は異なります。
スタッフならば「美味しいものを手際よく作る」ことで給料が保証され
るかもしれませんが、経営者になれば、売上と利益をいかに確保してい
くかが課題となります。
何のために起業するのか?
成功のイメージは?
スタッフではなく「
経営者として 」の視点へ
【創業の準備・心構え】
経営には、いろんな知識やノウハウが必要です。
例えば、
社会的な責任も・・・
従業員を雇用したら・・・
人付き合いは・・・
お金の管理は・・・
味はさることながら・・・
考えること、学ぶこと、準備することはたくさんあります!
創業・起業の審査(不確実性が高い)
・事業実績がなく財務データがない
・取引実績がないため信用情報がない
そこで・・・
創業・起業を評価する際
★
経営者としての能力
が備わっているか?
★
ビジネスプラン
は的確なものか?
創業に向けたプロセスにポイントを置いている
経営能力の評価
経営能力は創業以前の準備度合でも評価できる
原動力
【
1
】
創
業
動
機
仕事のキャリア・人生経験
【2】経営者として
の適性
【4】人脈
【3】ビジネス
シーズ
事
業
計
画
の
実
践
創
業
経験・スキル
知識
人脈
センス
計数観念
債務観念
自己資金
などなど
顧客⇒金融機関
金融機関の審査
ビジネスプラン
実証資料
担当者との面接
「やりたいこと」ができるようにするためには?
事業計画書作成
事業計画書未作成
25.4%
74.6%
未作成の理由
①事業規模が小さい
②自己資金だけで開業した
事業計画書の内容
事業目的やコンセプト
71.8%
商品・サービスの内容や特徴
53.6%
ターゲットとする顧客の特徴 43.6%
必要な運転資金の額
44.5%
起業後の収支予測
50.9%
事業計画を作成して良かったこと
事業の内容や特徴を整理できた
41.7%
自社の強み・弱みを整理できた
25.0%
欠けていた視点にきづいた
18.5%
金融機関からの資金調達
13.0%
約75%が
創業計画書未作成
……
創業計画書は必要か?
■
ビジネスを理解してもらう説明資料として活用する。
■
具体的なアドバイスや力を貸してもらえるかもしれない。
⇒第一には自分のため
そもそも・・なんのために創業計画書(ビジネスプラン)を作成するのか?
■
頭の中にある事業構想を書くことで体系的に整理する。
■
整理すれば事業化するための課題とやるべきことが明確になる。
■
出来たプランを事業の進捗管理に活用する。
『金融機関から借入れする際に必要だから・・・』だけか?
⇒そして協力者(家族、出資者、取引先、金融機関)のため
資金調達ができても事業が頓挫したら意味がない。 ➣ 中味が重要
創業計画書(ビジネスプラン)作成の目的・重要性
先ず、コンセプトを固めよう!
成功に欠かせない三つのポイント
~冷静に自己分析。夢だけではダメ~
①
やりたいこと(信念、動機)
なぜその事業をやりたいのか
②
できること(スキル)
経験は積んでいるのか
③
必要とされていること(ニーズ)
売れるの?市場の成長は?
競業状況は?多い・少ない?
<誰に、何を、
どのように>
が最重要
ビジネスプラン
に落とし込み
良い創業計画書とは?
具体的にイメージできる。
独自の工夫が盛り込まれている。
自分の強みが活かされている。
身の丈にあった投資である。
読んだ人が思わずその店に行きたくなる。
創業計画書作成のポイント(全体像)
①事業計画
②資金計画
創
業
の
き
っ
か
け
、
経
歴
、
技
術
、
事
業
の
特
徴
な
ど
を
記
入
し
て
く
だ
さ
い
。
創業動機、略歴欄、取り扱い商品を分かりやすく
①事業計画
動機
経験
サービス
内容
取引関係も分かりやすく、正確に
販売・仕入条件について確認しておく必要があります。
小売業など立地条件が重要な場合は、立地選定理由についても
触れましょう。
販売先・仕入先との結びつき
などがあれば記入しましょう。
契約書・注文書などがあれば添
付してください。
①事業計画
47.1 43.3 26.9 18.6 14.9 11.3 10.1 36.3 40.8 20.7 28.5 23.4 6.0 9.7 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 45.0 50.0 創業時に苦労したこと 現在苦労していること
創業期の心配と苦労~資金計画の割合が高い~
資
金
繰
り
、
資
金
調
達
顧
客
・
販
路
の
開
拓
財
務
・
税
務
等
の
知
識
不
足
従
業
員
教
育
、
人
材
育
成
仕
入
先
・
外
注
先
の
確
保
従
業
員
の
確
保
経
営
の
相
談
が
で
る
相
手
が
い
な
い
(%)資金計画欄のポイント
自
己
資
金
は
使
い
果
た
し
て
い
な
い
か
借
入
金
は
利
益
か
ら
返
済
可
能
か
過
大
な
設
備
投
資
と
な
っ
て
い
な
い
か
運
転
資
金
の
余
裕
②資金計画
予想以上にかかる「つなぎ資金」
事業が軌道に乗るまでには、平均で7.2ヵ月かかる。
それに備えて、相応の余裕資金は必要不可欠。
予想以上にかかる「つなぎ資金」
予想月商
達成率(注)
現在の
採算状況
64.7
49.5
35.3
50.5
(達成)
(赤字基調)
(未達成)
(黒字基調)
(注)予想月商達成率=(調査時点の月商÷開業前に予想していた月商)×100(%)
自分のビジネスプランに置きかえて考えてみましょう!
<必要資金の内容>
・設備計画は適正か?
⇒過大な内容になっていないか?
・
創業後の運転資金は十分に確保され
ているか?
<資金調達の内容>
・借入の割合は高すぎないか?
(3分の1以上は自己資金を準備したい)・他の借入の実現性はどうか?
・返済力は見込めるか?
小さな設備から始めて大きく育てていくことが
事業の成功確率を高める
創業者は高額な資金を投じ立派な設備で大きな事業を行いたいと考えがち
「
小さく生んで大きく育てる
」という発想が大事!
必要資金と資金調達のポイント⇨最初は手堅くいくこと
<自己資金の重要性>
・
借入負担の軽減
⇒ 返済リスクの軽減
・
余裕のある資金繰り
⇒
予測売上を達成するまでのつなぎ(運転)資金
・
創業準備の証
⇒
創業にあたっての計画性・事業意欲の証明
自己資金の重要性
0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10H11H12H13H14H15H16H17H18H19H20H21H22H23H24H25H26H27
金融機関
自己資金
(%)
家族・親戚
知人・友人
資金調達額の割合の推移
63.4 22.8運転資金の見積りが不十分で資金繰り悪化
業種:青果卸売業
概要⇒
農家から直接現金仕入れし、中小スーパー向けの青果販
売を創業。売掛回収に1ヵ月半を要したため、仕入資金不足から資
金繰りが行き詰まり、創業後3ヵ月で事業閉鎖。
【失敗の要因】
現金仕入と売掛回収のミスマッチ
売上規模を踏まえた運転資金の見積りが不十分
開業時の余裕資金が乏しい
【参考事例】
収支計画のチェックポイント
創業 当初 軌道に 乗った 後 売上高、売上原価(仕入高)、経費を計算さ れた 根拠をご記入ください。 売 上 高① 195 万 円 234 万 円 売上原価② (仕入高) 117 万 円 141 万 円 人件費 (注) 11 万円 16 万円 家 賃 15 万円 15 万円 支払 利息 2 万円 2 万円 経 費 ③ その他 11 万円 16 万円 合計 39 万円 49 万円 <創業当初> <創業当初> ①売上高(日曜定休) 平均単価 7,500 円、購入客 1 日 10 人 月 26 日営業 7,500 円×10 人×26 日=195 万円 ②原価率 60%(勤務時の経験から) ③人件費 アルバイト 1 人 時給 800 円 1 日 5 時間 時給 800 円×5 時間/日×26 日=11 万円 家賃 15 万円 支払利息 600 万円×年○.○%÷12 カ月=2 万円 その他光熱費、宣伝広告費等 11 万円 <軌道に乗った後> ①創業時の 1.2 倍(勤務時の経験から) ②当初の原価率を採用 ③人件費 アルバイト 1 人増 5 万円増 その他諸経費 5 万円増 39 万円 44 万円 (注)個人営業の場合、事業主の分は含めませ ん 利益①-②-③売上原価は、業界平均
などを基に検証する。
人件費は、従業員数も
わかるように記載され
ているか。
返済元金はこ こに含ま
れる。
支払利息(月間)は、「借
入 金 × 年 利 率 ÷12 ヵ
月」で試算されているか。
売上高は、達成可能か
どうかを多角的に検証
する。
③収支・返済計画
売上
(変動費)
原材料費
人件費・社会保険料
家賃・駐車場代
交通費
通信費・光熱費
利益
売れなくても必要に
なる
↓
必ず用意しておく必
要があるお金
↓
固定費は極力圧縮し
たい
売れたら発生する
(
業種・業態で異なる)
広告宣伝費、リース料、交際
費、消耗品費、その他の諸経費
多くしたい
売上は予測、経費は現実!積み上げて算出、コスト配分を意識!
(参考)業種にあった売上高の検討を行っているか!
生産設備産業
店頭小売産業
販売装置産業
製造業、印刷業、運送業など
コンビニストアなど
飲食店、理容業、美容業、宿泊業など
設備の生産能力(日)×設備数×稼働日数(月)
一坪あたりの売上高(月)×売り場面積(坪)
客単価×席数・室数×回転数(日)×稼働日数(月)
労働集約産業
自動車販売業,化粧品販売業,ビル清掃業など
従業者1人当たりの売上高×従業者数(人)
【飲食店の例】
原材料費、人件費、家賃のどのコストを重視して特徴を出すか。そして、
他のコストをどう抑えるかがポイント。
<収支計画の予測と検証>
創業時の収支予測=過大評価になりがち
⇒客観的な収支予測を行い、
整合性のない収支見込は排除する
検証方法(多角的に行う)★第三者からの意見、市場調査にもとづいたもの、経営指標
などを活用し、予測をたてる
★同業者との比較検討を行う
★できる限り業界情報等を蓄積する
リサーチは入念に、自分が納得いくまで!
約500の業種を対象として従業者1人あたり売上高・
売上原価率などの平均値を業種ごとに算出し、創業企業の
収支予測などに役立てている。
経営指標
従業者 1 人当たり売上高
20,380 千円
店舗 3.3 ㎡当たり売上高
3,440 千円
売上原価率
58.3%
商品在庫金額÷月商
2.8 ヵ月
借入金÷月商
8.5 ヵ月
人件費対売上高比率
21.0%
諸経費対売上高比率
21.0%
支払利息対売上高比率
1.3%
(例)婦人服小売業の経営指標
http://www.jfc.go.jp/n/findings/ sme_findings2.html 公庫ホームページで公開しています業界別、儲けの水準はどうか
20.7 17.0 15.6 14.2 13.6 11.9 思ったより客単価が低かった 商品等に対する需要が思ったほどなかった 商品等に対する需要が予想以上に多かった 思ったより競争相手が多かった 取引してくれるといっていた企業が予想以上に 発注してくれた 主な顧客が想定していた客層とは異なった (%)
➣予想より低かった原因は、「
客単価が低い
」「
需要が少ない
」
※創業前の準備不足(調査不足)が原因
売上予想は 客観的に! 過大評価は禁物!(参考)創業前の売上予想と相違点
・皆様だけの成功のカギを説明して下さい。
創業動機やビジネスモデルは明確ですか?
周囲の協力(家族の理解、人材・人脈の確保)は得ていますか?
社会的ニーズや環境にあった事業領域が選択されていますか?
競合に対する新規性や、差別化ポイントが説明できますか?
見込顧客の確保は確実ですか?
資金の準備(調達)はできていますか?
必要最小限の固定費や、設備投資でのスタートを検討しましたか?
ご自身のコアな能力が活かされていますか?
まとめ
■
創業ステージに応じた公的機関の支援例
1
着想
2
具体的検討
3
創業計画
策定
開業地選定
資金調達
4
スタート
アップ
創業後
(
具
体
化
)
創業前
≪着想≫
○創業セミナー、創業塾等への参加(商工会
議所等)
≪具体的検討≫
○窓口、電話、書籍、冊子、HP、メルマガな
ど様々な媒体を通じて創業に関する情報収集
≪創業計画策定≫
○専門家によるアドバイス
○インキュベーション施設利用
○金融機関からの融資
○VC等からの出資
○創業者向け補助金、助成金
≪スタートアップ≫
~
販路開拓、人材育成等
○専門家によるアドバイス
○マッチング
○異業種交流
■
創業支援体制
(相談・審査の体制)
北海道
東北
南関東
東京
北関東信越
北陸
京都
名古屋
大阪
四国
神戸
中国
福岡
熊本
多摩
拠点
数
各支店
152
創業支援
センター
15
ビジネス
サポートプラザ
6
主な業務内容
・創業サポートデスクにおける融資相談
・新規開業者の融資審査
・大学や創業支援団体との連携
・セミナー等の開催
・休日(土曜・日曜)相談の実施
・創業ホットラインの対応
事例集「起こす!50」 「ソウギョウノート」
「創業ホットライン」 「はじめてWEB」
事例集「4人のワタシ流」