第58巻第1号(2021年1月)1-23頁
1 はじめに
金融の発展が経済成長に寄与するのかどうか
は,長らく経済学者の間で議論となってきた.
Schumpeter (1911) は,事業の新設や改良などの
ために企業者に供与される信用は,経済発展の一
要素を構成すると述べている.このことは銀行が
金融仲介機能を促進するならば,経済成長に貢献
することを示している.他方,
Robinson (1952)
は,経済が成長すると金融サービスに対する需要
が高まるため,金融の発展は経済成長に受動的に
反応すると述べている.Schumpeter (1911) と同
様に,金融制度の発展が経済成長を促進する上で
重要であると論じている古典的研究には,
Gurley
and Shaw (1955),Goldsmith (1969),Hicks (1969)
がある.
金融自由化が経済成長を促進するのかどうか
に関しても,多様な見方がある.
McKinnon (1973)
や Shaw (1973) は,人為的な低金利で供与された
融資は金融制度に歪みをもたらすため,不必要で
あると述べている.こうした歪みは預金を減少さ
せ,資本蓄積を妨げるため,効率的な資源配分を
不可能にする.金利が市場メカニズムに従い自由
に調整するならば,企業者は高利回りの事業に投
資する誘因を持つ.こうした考えに基づき,金融
自由化は経済成長に寄与すると両者は考える.こ
れに対して,Van Wijnbergen (1983) は,非整備金
融市場(
curbmarket)をモデルに含めたうえで,
途上国における高水準の定期預金金利が,生産量
の増大と経済成長を達成できるかを検討してい
る.その分析結果によると,高水準の定期預金金
利と,経済成長や生産増大との関係は一様ではな
く,
McKinnon (1973) や Shaw (1973) の主張は必
ずしも成り立たないと論じている.具体的には,
発展途上国において銀行の預金金利が上昇し,家
計がポートフォリオを非整備金融市場融資から
銀行預金に切り替えた場合,銀行は準備預金を積
み立てる必要があることから,融資可能な資金供
給が減少する.結果として,金利の上昇は投資及
び生産を減少させることになる.このことは,金
融自由化が必ずしも成長を促進するわけではな
いことを示している.
以上の議論に加えて,
Stiglitz (2000) は,金融危
機の頻度の増加は,金融部門の自由化が密接に関
係していると述べている.この主張も,金融自由
化が必ずしも経済成長に寄与するわけではない
ことを示している.
では,金融発展・自由化と経済成長との関係に
関する欧州新興市場の実証研究から,どのような
結論を導き出すことができるであろうか.経済体
欧州新興市場の金融と成長
―メタ分析―
*
岩﨑一郎・大野成樹
要旨: 本稿において筆者らは,欧州新興市場における金融の発展や自由化が,経済成長に及ぼす効
果を検証すべく,先行研究31点から抽出した330推定結果のメタ分析を試みた.抽出推定結果のメタ
統合は,金融発展や自由化の成長促進効果の存在を示すと共に,研究対象国,推定期間及び研究対
象分野の違いは,効果サイズに顕著な違いを生み出す可能性を強く示唆した.しかし,メタ回帰分
析や公表バイアスの検証から得られた分析結果は,メタ統合結果を容易に再現し得ない.欧州新興
市場における金融と成長の因果関係に関する真の姿を把握するために,更なる研究成果の蓄積が望
まれる.
[キーワード:金融発展・自由化,経済成長,メタ分析,公表バイアス,欧州新興市場]
[論 文]
を踏まえて,筆者らは,以下 4 つの仮説を提起す
る.
図
1 および図 2 は,それぞれ1997年および2007
年の銀行改革指数と銀行融資の対
GDP 比の状況
を示している
2)
.1997年における銀行融資の対
GDP 比と銀行改革指数の相関係数は0.40である
のに対して,2007年における相関係数は0.76とな
っており,両者の相関が強まっていることがわか
図1 1997年における各国の銀行改革指数(縦軸)と銀行融資の対
GDP 比(横軸)
出所:EBRD, Transition Report 各年版および IMF, International Financial Statistics をもとに筆者作成.
図2 2007年における各国の銀行改革指数(縦軸)と銀行融資の対
GDP 比(横軸)
表1
欧州新
興市場に
おけ
る金融発
展の
経済成長
効果
に関する
抽出
推定結果
内訳
著者
(発表年
)
発表媒体
研究水準 20段階 評価
1)
研究対象国構成
推定期間
金融変数
3)
抽出 推定
結果数
EU
加盟
諸国
非
EU
東欧諸国
旧ソ連 諸国
その他
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注:1)詳細は,
本稿補論を参照.
2)トルコ,ベト
ナム他アジア旧社会主義諸国,中国,非ユーロ圏
EU
加盟国等
3)
A
: 金融深化
度,
B
: 民間融資
対
GDP
比,
C
: 銀行融資対
GDP
比,
D
: 民間銀行融
資・資産シェア,
E
: 市場資本化度
,
F
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模,
G
: 証券回転
率,
H
: 総合金融
発展指標,
I: そ
の他金融発展指標,
J: 資本勘定開
放度,
K
: 金融市
場自由化度,
L
: 金融自由化総合指標,
M
: その他金
融自由化指標
出所:筆者作成.
析の隆盛,EU 加盟国への国際社会的・学術的関
心の高さ及びデータ上の諸制約が強く反映され
ていると思われる.いずれにしても,
EU 加盟諸
国だけでなく,非
EU 東欧諸国や旧ソ連諸国につ
いても,少なくない数の文献が,これらの国々を
対象とした実証結果を報告しており,仮説
1 及び
2
のメタ分析による検証を大いに可能としてい
る.
選定文献31点は,全体として,1993年から2016
年の24年間をカバーしており,文献当たりの推定
期間の平均及び中央値は,各々14.5年及び15年で
ある.24年に亘る長期を網羅した研究成果の存在
は,仮説
3 の検証にとって好条件である.また,
Beck et al. (2000) や Levine et al. (2000) らが先鞭
を着け,いまやこの研究領域の標準的な実証手法
として,数多くの研究者が用いている一連の金融
変数は,欧州新興市場研究においても積極的に利
用されており,このため,表 1 の通り,金融深化
度からその他金融自由化指標に至る合計13種類
の金融変数それぞれについて,選定文献31点は,
メタ分析で統合・比較するに十分な数の推定結果
を報告している.いま,金融深化度からその他金
融発展指標までの
9 種類の変数を,金融発展の水
準を捉える変数群とし,残る資本勘定開放度から
その他金融自由化指標までの 4 種類の変数を,金
融自由化の程度を捕捉する変数群とすれば,前者
は,28文献において,後者は,4
文献において,
各々その推定結果が報告されている.この通り,
欧州新興市場研究の焦点は,経済成長に及ぼす金
融発展の効果に重点が置かれているが,金融自由
化効果の実証成果も少なくはなく,仮説
4 の検証
にとって不足はない.
表 1 右端欄の通り,筆者らは,以上の研究属性
によって特徴付けられる31文献から,総計330の
推定結果を抽出した.1
文献当たりの平均抽出推
定結果数及び中央値は,各々10.7及び6.5である.
次節以降では,前節で解説した手法に基づいて,
これら330抽出推定結果のメタ統合,メタ回帰分
析及び公表バイアスの検証を順次試みる.
5 メタ統合
本節では,メタ分析の第一段階として,前節で
その概要を述べた抽出推定結果のメタ統合を試
みる.
はじめに,抽出推定結果の分布を確認しておこ
う.表
2 には,全研究に加えて,研究対象国,推
定期間,研究対象分野別に抽出推定結果を区分し
表2 抽出推定結果の記述統計量,
t 検定及び正規性検定
抽出推定
結果数
(
K)
平均値 中央値 標準
偏差 最大値 最小値 尖 度 歪 度
t 検定 1) Shapiro-
Wilk
検定(
W)2)
(a)全研究(仮説 1 ) 330 0.108 0.066 0.281 0.946 -0.779 4.431 0.380 6.945***
0.959 †††
(b)研究対象国による比較(仮説 2 )
観測値に占める EU 加盟諸国の比
率が50%以上の研究 224 0.140 0.087 0.291 0.946 -0.779 3.837 0.547 7.215*** 0.963 †††
観測値に占める EU 加盟諸国の比
率が50%未満の研究 106 0.038 0.039 0.246 0.700 -0.766 5.390 -0.478 1.591 0.930 †††
(c)推定期間による比較(仮説 3 )
推定期間平均年が2000年以前の
研究 188 0.162 0.103 0.292 0.946 -0.779 4.065 0.577 7.615*** 0.948 †††
推定期間平均年が2000年以降の
研究 142 0.036 0.017 0.251 0.700 -0.766 4.250 -0.243 1.692* 0.969 †††
(d)研究対象分野による比較(仮説 4 )
金融発展研究3)
307 0.108 0.070 0.275 0.946 -0.779 4.912 0.371 6.917***
0.947 †††
金融自由化研究4)
23 0.096 -0.108 0.367 0.674 -0.393 1.564 0.452 1.256 0.835 †††
注:1)帰無仮説:平均値が 0 .***:1 %水準で有意,*:10%水準で有意.
2)帰無仮説:データは正規分布に従う.†††:1 %水準で有意.
3)金融変数として,金融深化度,民間融資対 GDP 比,銀行融資対 GDP 比,民間銀行融資・資産シェア,市場資本化度,
証券市場規模,証券回転率,総合金融発展指標,その他金融発展指標を用いた研究を指す.
4)金融変数として,資本勘定開放度,金融市場自由化度,金融自由化総合指標,その他金融自由化指標を用いた研究
を指す.
出所:筆者算定.
た 場 合 の 記 述 統 計 量 , 平 均 値 の
t 検 定 及 び
Shapiro-Wilk 正規性検定の結果が,図 3 には,表
2
の分類に対応したカーネル推定密度が,それぞ
れ示されている.表
2 (a) の通り,全研究の平均値
と中央値は共に正であり,平均値の
t
検定は,平
均がゼロであるという帰無仮説を,有意水準
1 %
で棄却している.これに加えて,図
3 (a) は,正方
向に偏ったカーネル推定密度を表している.従っ
て,仮説 1 に違わず,選定文献31点は,その全体
として,金融の発展や自由化は,欧州新興市場の
経済成長に資する効果を発揮していることを示
唆する研究成果を提示しているといえよう.更
に,表 2 (b) から (d) の通り,観測値に占める EU
加盟諸国の比率が50%以上の研究,推定期間平均
年が2000年以前の研究及び金融発展研究の推定
結果は,観測値に占める
EU 加盟諸国の比率が
50%未満の研究,推定期間平均年が2000年以降の
研究及び金融自由化研究のそれよりも,その全て
の場合について,平均値と中央値がより高く,な
おかつ,図 3 (b) から (c) の通り,前者は,後者よ
りも正方向により偏った分布を示している.抽出
推定結果の分布形状から得られるこうした観察
図3 抽出推定結果のカーネル密度推定
1)
注:1)縦軸は推定密度,横軸は変数値.
2)金融変数として,金融深化度,民間融資対 GDP 比,銀行融資対 GDP 比,民間銀行融資・資産シェア,市場資本化度,
証券市場規模,証券回転率,総合金融発展指標,その他金融発展指標を用いた研究を指す.
3)金融変数として,資本勘定開放度,金融市場自由化度,金融自由化総合指標,その他金融自由化指標を用いた研究
を指す.
出所:筆者作成.推定対象データの観測数及び記述統計量は,表 2 を参照.
結果は,筆者らが提示した仮説 2 から 4 のいずれ
とも整合的である.
以上を踏まえて,抽出推定結果のメタ統合結果
に目を転じよう.表
3 には,固定効果モデルと変
量効果モデルを用いたメタ統合結果と共に,研究
間異質性の検証結果も併せて報告されている
5)
.
同表 (B) の通り,均質性の
Q 検定は,全 7 ケース
について,帰無仮説を 1 %水準で棄却している.
また,研究間異質性の程度を測る I
2
及び H
2
統計
量も,揃ってその存在を強く示している.従って,
以下では,同表 (A) に報告した変量効果モデルの
推定値を,統合効果サイズの参照値に採用する.
表
3 (a) の通り,全抽出推定結果を用いたメタ
統合値は,1
%水準で有意に正であり,欧州新興
市場における金融発展や自由化の経済成長促進
効果の存在を示しているという意味で,仮説
1 を
支持している.但し,経済学研究における偏相関
係数の評価に関する
Doucouliagos (2011) の基準
に従えば,変量効果モデルによる0.081という統
合効果サイズは,低位の水準にも満たないもので
あり,従って,現実経済におけるその実際的なイ
ンパクトは,極めて顕著なものであるとは云えな
い
6)
.
表 3 は,仮説 1 に加えて,仮説 2 ,3 及び 4 に
ついても,これらを裏付けるメタ統合結果を示し
ている.即ち,同表 (b) から (d) の通り,観測値に
占める
EU 加盟諸国の比率が50%以上の研究,推
定期間平均年が2000年以前の研究及び金融発展
研究に分析対象を限定したメタ統合値は,比較対
象研究のそれを各々上回っているのである.更
に,観測値に占める
EU 加盟諸国の比率が50%以
上の研究及び推定期間平均年が2000年以前の研
究 の 統 合 値 は , そ れ ぞ れ 0.105 及 び 0.130 と ,
Doucouliagos (2011) が提案する低位効果の下限
閾値を超えるものであり,統計的に有意ではある
が,その統合値が,各々0.038及び0.020と大変小
さい比較対象研究とは対照的である.
推定期間の違いが,選定文献の実証結果に及ぼ
表3 抽出推定結果のメタ統合
抽 出
推 定
結果数
(
K )
(A)メタ統合 (B)研究間異質性の検証
固定効果
モデル
(漸近
z 値)1)
変量効果
モデル
(漸近
z 値)1)
均質性の
Q 検定
(
p 値)2)
I 2
統計量 3)
H 2
統計量 4)
(a)全研究(仮説 1 ) 330 0.012***
0.081***
2142.330***
99.72 356.05
(2.92) (6.14) (0.00)
(b)研究対象国による比較(仮説 2 )
観測値に占める EU 加盟国の比率が
50%以上の研究 224 -0.002 0.105***
1720.300***
99.83 572.43
(-0.35) (6.18) (0.00)
観測値に占める EU 加盟国の比率が
50%未満の研究 106 0.044***
0.038*
397.680***
98.49 65.28
(5.72) (1.94) (0.00)
(c)推定期間による比較(仮説 3 )
推定期間平均年が2000年以前の研究 188 0.071***
0.130***
907.100***
99.34 150.18
(11.86) (7.35) (0.00)
推定期間平均年が2000年以降の研究 142 -0.048***
0.020***
1041.190***
99.52 207.24
(-7.87) (1.06) (0.00)
(d)研究対象分野による比較(仮説 4 )
金融発展研究 5)
307 0.033***
0.084***
1730.730***
99.65 287.46
(7.26) (6.45) (0.00)
金融自由化研究 6)
23 -0.159***
0.057 220.760***
97.74 43.15
(-12.11) (0.79) (0.00)
注:1)帰無仮説:統合効果サイズが 0 .
2)帰無仮説:効果サイズが均質.
3) 0 ~100%の値を取る.値が大きいほど,研究間異質性の程度が大きいことを意味する.
4)値が 0 であれば,均質的であることを意味する.
5)金融変数として,金融深化度,民間融資対GDP比,銀行融資対 GDP 比,民間銀行融資・資産シェア,市場資本化度,
証券市場規模,証券回転率,総合金融発展指標,その他金融発展指標を用いた研究を指す.
6)金融変数として,資本勘定開放度,金融市場自由化度,金融自由化総合指標,その他金融自由化指標を用いた研究
を指す.
出所:筆者推定
す影響に関する表 3 (c) のメタ統合結果を補完す
るため,抽出推定結果を推定期間平均年毎に細分
化して,その時系列的変動を検証したものが,図
4
である.同図に採画された近似線によれば,推
定期間平均年が 1 年現在へ進むと,効果サイズは
1
%水準で有意に0.0191低下する.この結果も,
仮説
3 が予想する時系列的減衰傾向の存在を強
く裏付けるものである.
以上,本節で行ったメタ統合及び単回帰分析の
諸結果は,筆者らの一連の予測に合致して,欧州
新興市場における金融の発展や自由化の正の経
済成長効果の存在を表すと共に,その効果サイズ
は,研究対象国,推定期間及び研究対象分野の違
いに応じて,著しく相違する可能性を強く示唆し
た.しかしながら,これらの結果は,選定文献の
研究水準やその他一連の研究条件の違いを殆ど
考慮していない.この観点から,本節の分析結果
が,様々な文献間異質性を同時に制御した上でも
再現されるのか否か,その頑健性を点検する必要
がある.次節では,この点を,メタ回帰分析の手
法によって厳密に検証する.
6 メタ回帰分析
メタ分析の第二段階として,本節では,文献間
異質性が,選定文献の実証結果に及ぼす影響を,
前述した (2) 式の回帰推定によって検証する.第
3
節で解説した通り,推定するメタ回帰モデルの
従属変数は,抽出推定結果の偏相関係数である.
一方,メタ独立変数としては,仮説
2 から 4 の検
証を目的とする研究対象国構成,推定期間,並び
に研究対象分野の差異を捉える一連の変数及び
標準誤差に加えて,研究対象国数,データ形式,
推定量,経済成長変数タイプ及びその他属性,金
融変数属性,内生性制御の是非,各種制御変数採
用の有無及び研究水準の差異を表現する全41種
類の変数を採用した.表
4 には,これらメタ独立
変数の名称,定義及び記述統計量が一覧されてい
る.
Polák (2019) や Havranek and Sokolova (2020)
に代表されるベイズ派メタ分析研究者が指摘す
る通り,メタ回帰分析は,真のモデルが事前に特
定出来ないという意味での「モデル不確定性」問
題を抱えている.また,多数のメタ独立変数の同
時推定は,多重共線性を引き起こす恐れも高い.
図4 抽出推定結果の推定期間平均年順配列(
K=330)
注:近似式における回帰係数直下の括弧内数値は標準誤差.
F 検定の帰無仮説は,全ての係数がゼロ.***:1 %水準で有意.
出所:筆者作成.
表4 メタ回帰分析に用いる独立変数の変数名,定義及び記述統計量
変 数 名 定 義 記述統計量
平均 中央値 標準偏差
非 EU 加盟諸国多数派研究 観測値に占める
以外(=0) EU 加盟諸国の比率が50%未満の研究(=1),それ 0.321 0 0.468
平均推定年2000年以降研究 推定期間平均年が2000年以降の研究(=1),それ以外(=0) 0.430 0 0.496
金融自由化研究 金融自由化の経済成長効果に関する研究(=1),それ以外(=0)1)
0.070 0 0.255
EU 加盟諸国比率 観測値に含まれる EU 加盟諸国の比率 0.115 0 0.233
東欧非EU加盟諸国比率 観測値に含まれる非 EU 東欧諸国の比率 0.111 0 0.167
旧ソ連諸国比率 観測値に含まれる旧ソ連諸国の比率(バルト諸国を除く) 0.016 0 0.040
推定期間平均年 推定に用いたデータの平均年 1999.877 1998 3.234
民間融資対 GDP 比 民間融資対 GDP 比を金融変数に用いた研究(=1),その他(=0) 0.212 0 0.409
銀行融資対 GDP 比 銀行融資対 GDP 比を金融変数に用いた研究(=1),その他(=0) 0.109 0 0.312
民間銀行融資・資産シェア 銀行部門に占める民間銀行融資・資産のシェアを金融変数に用
いた研究(=1),その他(=0) 0.042 0 0.202
市場資本化度 市場資本化度を金融変数に用いた研究(=1),その他(=0) 0.103 0 0.304
証券市場規模 証券市場規模を金融変数に用いた研究(=1),その他(=0) 0.058 0 0.233
証券回転率 証券回転率を金融変数に用いた研究(=1),その他(=0) 0.024 0 0.154
総合金融発展指標 総合的金融発展指標を金融変数に用いた研究(=1),その他(=0) 0.255 0 0.436
その他金融発展度指標 金融深化度及び上記以外の変数を金融変数に用いた研究(=1),
その他(=0) 0.009 0 0.095
資本勘定開放度 資本勘定開放度を金融変数に用いた研究(=1),その他(=0) 0.018 0 0.134
金融市場自由化度 金融市場自由度を金融変数に用いた研究(=1),その他(=0) 0.021 0 0.144
金融市場自由化総合指標 総合的金融自由度指標を金融変数に用いた(=1),その他(=0) 0.018 0 0.134
その他金融自由度 金融深化度及び上記以外の変数を金融変数に用いた研究(=1),
その他(=0) 0.012 0 0.110
研究対象国数 研究対象国数の対数 2.176 2.197 0.885
横断面データ 横断面(クロスセクション)データを用いた研究(=1),その他(=0) 0.055 0 0.227
時系列データ 時系列データを用いた研究(=1),その他(=0) 0.042 0 0.202
OLS 最小二乗推定量を利用した推定結果(=1),その他(=0) 0.224 0 0.418
IV/2SLS/3SLS 操作変数法又は2/3段階推定法を利用した推定結果(=1),その他(=0) 0.079 0 0.270
実質 GDP 経済成長を実質 GDP で測定した研究(=1),その他(=0) 0.221 0 0.416
非変換経済成長変数 経済成長変数になんら加工を行わない研究(=1),その他(=0) 0.009 0 0.095
対数変換経済成長変数 経済成長変数に対数変換を行った研究(=1),その他(=0) 0.452 0 0.498
非線形効果 金融効果の非線形性に配慮した推定結果(=1),その他(=0) 0.073 0 0.260
ラグ変数 金融変数がラグ変数(=1),その他(=0) 0.161 0 0.368
交差項同時推定 金融変数とその他変数の交差項の同時推定を伴う推定値(=1),
その他(=0) 0.094 0 0.292
内生性制御 経済成長と金融発展・自由化の内生性を制御した研究(=1),そ
の他(=0) 0.058 0 0.233
国家固定効果 国家固定効果を制御した推定結果(=1),その他(=0) 0.418 0 0.494
時間固定効果 時間固定効果を制御した推定結果(=1),その他(=0) 0.167 0 0.373
マクロ経済安定性 インフレーション及びその他マクロ経済安定性を制御した推定
結果(=1),その他(=0) 0.385 0 0.487
政治安定性 政治安定性を制御した推定結果(=1),その他(=0) 0.042 0 0.202
貿易開放度 貿易開放度を制御した推定結果(=1),その他(=0) 0.188 0 0.391
人的資本 人的資本を制御した推定結果(=1),その他(=0) 0.039 0 0.195
投資・資本形成 投資・資本形成を制御した推定結果(=1),その他(=0) 0.482 0 0.500
教育水準 教育水準を制御した推定結果(=1),その他(=0) 0.452 0 0.498
制度的クオリティ 制度的クオリティを制御した推定結果(=1),その他(=0) 0.076 0 0.265
研究水準 研究水準の20段階評価 注)
10.224 15 7.574
標準誤差 偏相関係数標準誤差 0.117 0.080 0.076
注:1)金融変数として,資本勘定開放度,金融市場自由化度,金融自由化総合指標,その他金融自由化指標を用いた研究
を指す.
2)詳細は,本稿補論を参照.
出所:筆者算定.
そこで,ベイズ派研究者の接近法に従い,筆者ら
は,仮説検定に必要な諸変数及び標準誤差以外の
メタ独立変数を対象に,ベイジアン・モデル平均
法(
Bayesian model averaging: BMA)で各々の事
後含有確率(posterior inclusion probability: PIP)を
推定した後,PIP が0.50を超える変数を対象に,
OLS による頻度主義者検定(Frequentist check)を
行い,その推定値が有意水準10%以上の変数を,
(2) 式の制御変数に利用する方針を採用した.そ
の結果,表 4 に一覧されているメタ独立変数の
表5 文献間異質性のメタ回帰分析
推定量 1)
Cluster-robust OLS
Cluster-robust WLS
[1/SE]
Cluster-robust WLS
[d.f.]
Cluster-robust WLS
[1/EST]
Multi-level
mixed
effects RML
Cluster-robust
random-effects panel
GLS
Cluster-robust
fixed-effects panel
LSDV
メタ独立変数(デフォルト・カテ
ゴリ)/モデル [1] [2] [3] [4] [5] [6]
2)
[7]3)
研究対象国構成(EU 加盟諸国多数
派研究)(仮説 2 )
非EU加盟諸国多数派研究
-0.0419 -0.0450 -0.0292 -0.1322 -0.1107 -0.1338 *
dropped
(0.048) (0.043) (0.036) (0.085) (0.070) (0.078)
推定期間(平均推定年2000年以前
研究)(仮説 3 )
平均推定年2000年以降研究
-0.0393 -0.0548 *
-0.0566**
-0.1240 -0.1010 -0.1222 *
dropped
(0.040) (0.032) (0.026) (0.092) (0.066) (0.074)
研究対象分野(金融発展研究)
(仮説 4 )
金融自由化研究
0.0590 -0.0040 -0.0476 0.0069 0.0420 0.0459 0.0437 ***
(0.064) (0.057) (0.042) (0.081) (0.046) (0.032) (0.002)
データ形式(パネルデータ・時系
列データ)
横断面データ 0.4270 ***
0.4399 ***
0.2560***
0.4413 ***
0.4367 ***
0.4317 ***
0.4166 ***
(0.085) (0.082) (0.087) (0.111) (0.111) (0.117) (0.109)
経済成長変数タイプ
実質 GDP(国民当たり実質 GDP) -0.1423 **
-0.0874 *
-0.0559 -0.1491 **
-0.1632 ***
-0.1561 **
0.1354 ***
(0.057) (0.043) (0.033) (0.060) (0.063) (0.066) (0.023)
経済成長変数その他属性
非変換経済成長変数(加工経済
成長変数) 0.6140 ***
0.5779 ***
0.5248***
0.6491 ***
0.4440 ***
0.3641 ***
dropped
(0.066) (0.052) (0.043) (0.083) (0.051) (0.053)
金融変数属性
非線形効果(線形効果) -0.2269 ***
-0.1632 ***
-0.1188**
-0.2124 **
-0.2579 ***
-0.2619 **
dropped
(0.069) (0.059) (0.051) (0.090) (0.097) (0.107)
制御変数
政治安定性
0.1171 0.0567 0.0029 0.1871 **
0.1167 0.0921 0.0211 ***
(0.094) (0.068) (0.035) (0.090) (0.081) (0.076) (0.000)
人的資本 -0.4114 ***
-0.3361 ***
-0.2830***
-0.4036 ***
-0.4392 ***
-0.4509 ***
dropped
(0.069) (0.050) (0.044) (0.104) (0.100) (0.111)
投資・資本形成 0.1610 ***
0.1377 ***
0.1097***
0.1318 ***
0.1289 ***
0.1171 **
dropped
(0.035) (0.032) (0.029) (0.046) (0.046) (0.049)
制度的クオリティ -0.1901 **
-0.1228 **
-0.0847*
-0.1159 -0.0985 -0.0549 0.0053 ***
(0.074) (0.056) (0.044) (0.076) (0.075) (0.064) (0.000)
標準誤差
標準誤差
-0.2565 0.3374 0.7850**
-0.4448 -0.6458 -0.7484 -0.8374
(0.487) (0.385) (0.342) (0.783) (0.599) (0.646) (0.679)
切片
0.1310 **
0.0622 0.0145 0.2118 0.2419 **
0.2710 **
0.1484 *
(0.061) (0.038) (0.025) (0.131) (0.110) (0.123) (0.079)
K 330 330 330
330 330 330 330
R2
0.398 0.418 0.434 0.405 - 0.339 0.005
注:1)OLS:最小二乗法,WLS:加重最小二乗法(括弧内は推定に用いた分析的重み),RML:制限付き最尤法,GLS:一
般最小二乗法,LSDV:最小二乗ダミー推定法.
2)Breusch-Pagan 検定:χ
2=1.22, p=0.1344
3)Hausman 検定:χ
2=9.96, p=0.1264
括弧内は,White の修正法による分散不均一性の下でも一致性のある標準誤差.***:1 %水準で有意,**:5 %水準で有意,
*:10%水準で有意.OLS,WLS 及びパネル変量効果・固定効果推定に際しては,研究毎に抽出推定結果をクラスター化し
たクラスター法を採用している.
出所:筆者推定.メタ独立変数の定義及び記述統計量は,表 4 を参照.