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人体動作分析による空間規模に関する研究(第31報) : 複数歩行者の通り抜け歩行について

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(1)

人体動作分析による空間規模に関する研究(第

3

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報)

複数歩行者の通り抜け歩行について

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建築は人間の住む容器であるといわれるように,建築を考える上で,人間というものを抜きにして は語れない.すなわち,人聞という主体があって始めて,その建築の存在がある.乙の結果,建築を 設計する上で重要なことは,その主体である人聞の心理や,行動の特性を取らえる乙とであるといえ る. 本研究はその一環として,人間の最も基本的な動作である歩行を取り上げ,歩行特性について,人 体動作をとおして分析した結果を報告する. 1. は じ め に

2

.

実 験 目 的

1

5

3

歩行特性をとらえるにあたってまず考えられるのは, 歩行条件によって,その歩行特性は,それぞれ異なった 形となって現われると恩われる.まず歩行条件として, 歩行空聞が必要であるが,歩行空間として,主に通路とし ての機能を持つものや他の機能を合わせ持つものがある. また階段等のレベル差のある状況のものや,直線的,曲 線的,曲折した状況等もある.あるいは歩行者に視点を 置くと,一人の場合や数人の場合,そして群集といえる ような場合も考えられる.緊急時,平常時といった歩行 目的によっても,その歩行特性は複雑な様相を呈する. 複雑な歩行要因を限定するため,歩行空間形態は両面 壁体長家具と片面壁体長家具,両面壁体突出家具によ って構成される直線的な通路とする.そして歩行人数, 家具高さ,通路幅の3つの要因を変化させて,その通り 抜け歩仔を8ミリカメラで撮影する.乙の結果を人体動 作分析をとおして,歩行空間形態における歩行要因と歩 行特性の関係を見いだそうとするものである. 一般に歩行動作に影響する要因として,内的要因と外 的要因 K大別される.内的要因を人間自身が持つ肉体的 精神的個性とするならば,外的要因はその人聞を取り巻 く総合的な環境であるといえる. ζうした要因は単独に 作用するものでもなく,複雑にからみあった形で歩行動 作に作用する. とうしたζとを考慮した上で,本研究では特lζ廊下の どとき通路における,平常歩行の2-5人の複数歩行者 による通り抜け歩行を取り上げ,実験をとおして歩行特 性をさぐろうとするものである. *1建築学科 *2建築学専攻大学院生

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実験装置と実験方法 実験は図1.1<::示すとおり,壁体と家具 (H=45,90, 135c冊)を一定の間隔

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配 置し,乙の内側を被験者(男子大学生M=2,3, 4, 5 人)が通り抜け歩行するものである.被験者の出発点に おける配列位置 (S.P)は,図21と示すとおりである. 門-=

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図2 S . P 乙の被験者グループの実験JI慎序はランダムとし,乙の実 験にあたり数回試歩した上実験を行なった.図11と示す ように歩行実験長さは

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4m

を解析長 さとした.なおこの実験は,通路を歩行する被験者グル ーフ。の歩行の様子を,頭上から8ミリカメラで連続撮影 し,乙れを次のものについて解析した.

4

.

解析目的と方法 複数歩行者による通り抜け歩行については,人数,通路 幅,家具高さといった歩行要因が,さまざまな形で作用 し合い,その結果が歩行特性となって現われると考えら れる.例えば,安全かつスムース"に歩行するためには,

S

.

P

の隊形をくずして新たな隊形に再編制しなければな らない場合であるとか,速度を落として安全歩行をする とか,あるいは個人的に身体を振って,ある状態を保つ といった方法が考えられる.そとで解析項目として,

S

.

P によるタイプ分類,歩行速度,肩のふれ角を取り上げ, 歩行空間形態による比較を行なう.解析方法として, S.

P

によるタイプ分類では,フィルムの上映をとおして連 建 部 謙 治 続動作の中から,また歩行速度と肩のふれ角については, 頭,両肩について所定の解析用紙に4コ7落とし(1/4.5 コマ/秒)でプロットする乙とから求めた.

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によるタイプ分類

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は特に,人数と通路幅によって影響をうけ,通り にくい場合にはその隊形をくずす.

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によるタイプ分 類を,人数,通路幅,家具高さについて検討する.なお タイプは表1IC:示すとおりである. 表1 タ イ プ

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4m

とした. (イ) 個人速度:Vi(m/min)速度をみる場合,各歩行 者ごとに扱う場合もあるが,個人速度は個人個人の速度 を平均したものである.すなわち個人に視点をおいて, 個人速度と人数,通路幅,家具高さの関係をみる. (ロ)集団速度 :Vg(ml即日)個人速度は,解析距離を 歩行する個人の平均速度であったのに対し,集団速度で は,複数歩行者を1つの集団としてとらえ,解析距離内 に先頭者が入って,最後尾者が出るまでの速度とした. 3 ).肩のふれ角: α( 0 ) 歩行者が混雑すると思われる空間を歩行する場合,で きるだけ速くスムーズK歩行する方法として,身体を進 行方向と平行にする乙とにより他の歩行者からの影響を 弱めようとする.そζで解析距離内ζl身体の一部が達し た時から,出た時までを計測する.乙ζで壁体の垂直の ラインを基準線とし,右まわりに肩のふれているものを 正,左まわりを負として,その絶対値のトータルを求め, 全員の平均値を肩のふれ角とした. なお,上記のそれぞれの値は,最終的ζi右家具と左家 具の平均から求めている.

(3)

人体動作分析による空間規模に関する研究(第

3

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表2 S, P に よ る タ イ プ 分 類

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家具高さ45c加ではその傾向が強く,通路幅1.5

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ないし 2 mからその兆候がみうけられる.それに反して,家具 高さ90c加では,人数2,3入では通路幅ζ関係なく,人数i 4,5人では3-4mになるまで

S

.

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の枕態は保たれにく い.また右側家具と左側家具とを比較すると,家具が高 くなるほど右側家具の方が,低いと左側家具の方が,

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以内においては顕著である.家具高さによるもの は,家具高さ

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で、は左側家具が,家具高さ

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では右 側家具の方がS.Pを保ちやすい.乙の点では,両面壁体 長家具とよく似た結果を示す. すなわち,両面壁体の場合,長家具は家具高さによっ て,それぞ、れ違った感じ方をされると思われる.突出家 具は,通路幅が狭いー場合lと意識されやすい.片面壁体の 場合,家具は両面壁体とは全く違ったとらえ方をされ, その結果が乙うした歩行特性となって現われると考えら れる. 2 ) . 速 度 (イ)個人速度について 両面壁体長家具にっし1ては,

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(6)

158 中 島 人数4人を除いて一般に通路幅が広くなっても,速度は 横ばし、かむしろ遅くなる.また人数2人や5人では,家 具高さによる影響が顕著で,家具が低くなるにしたがっ て個人速度は速くなる.片面壁体長家具では,通路幅が 2m以ーとになると個人速度は横l品、かやや速くなる.片 面壁体長家具は,両面壁体長家具と比較すると,逆IC家 具高さ 135c閣が個人速度は速くなる.両面壁体突出家具 については,通路幅による影響が大きし特に人数 4,5 人で顕著である.家具高さによる違いはほとんど認めら れない.ただ通路幅が1mの時は,人数 5人を除いて家 具高さ90cmが個人速度は最小となる. 図3は,各歩行空間形態を比較した Vi-L図である. 図より家具高さ45cmでは,通路幅l.5 mまでは両面壁体 突出家具の個人速度は極端に遅く,それ以上通路が広く なると両面壁体長家具と突出家具の個人速度は速い.と ζろが家具高さ 135cmになると,人数2,3,4人では,逆 i ζ片面壁体長家具の個人速度は速くなる.また家具高さ 90cmで=は,人数

2

3

人については両面壁体長家具が,人 数4,5人については両面壁体突出家具の個人速度は速く なる. ζれは家具高さ45cmとよく似た傾向を示す.なお 先導者が確定している人数4人では,個人速度は特に速 し、' 以上のζとより両面壁体の長家具では,通路幅が広い 場合,家具高さ45cmでは速い歩行が行なわれ,家具高さ 135c加では遅い歩行となる.突出家具は家具高さにはあ まり関係なく,先導者が存在する人数4,5人の場合のよ うに人数に関係する.片面壁体突出家具では一般にゆっ たりとした歩行で,家具高さ135cmでし吋分個人速度は 速くなる. (ロ)集団速度について Vg-Lを示したのが図 4であ る.集団速度は個人速度とほぼ同様な傾向を示す.人数 4, 5人では S.PIとより横二列になるので,個人速度lζ比 べて集団速度は遅くなる.両面壁体長家具の場合,家具 高さによる影響は人数2,3,5人にみられ,家具高さ45cm で集団速度は速し家具高き 135c加では集団速度は遅い。 人数4人では家具高さによる影響はほとんどみられない. 片面壁体長家具の場合は,個人速度と同様家具高さ 135 仰が他のものより集団速度は速い.両面壁体突出家具の 場合,通路幅1mにおける家具高さ45cmで集団速度がいく 分遅いが,あまり家具高さによる差はみられない。しか し,通路幅が広い場合は,人数4,5人に限って家具高さ 45cmの集団速度は速い. 家具高さにおける歩行空間形態別の比較を行なうと, 家具高さ45cmでは人数

2

3

人の場合,両面壁体長家具の 建 部 謙 治 集団速度は速い.人数4,5人では両面壁体突出家具,両 面壁体長家具,片面壁体長家具の順ζi集団速度は速い しかし通路幅が2m以下になると,いずれも両面壁体長 家具,片面壁体長家具,両面壁体突出家具の順に集団速 度は速い園家具高さ135cmでは,乙れが逆転して片面壁 体長家具の集団速度は速くなる.とくに乙の傾向は通路 幅2m以下で=強L、-家具高さ90c百1で、は,通路幅が狭い場 合には両面壁体長家具,片面壁体長家具,両面壁体突出 家具という11演で集団速度は速くなる.乙れは人数2,3人 に強い傾向で,乙の結果は家具高さ45cmの場合とほぼ同 様な傾向である. 以上の乙とより,片面壁体長家具では,家具高さ135 仰の時lζ集団速度は速い.両面壁体の場合B 長家具では 人数が少ない時lζ,また突出家具では人数が多い時に集 団速度は速い. 3)。 肩 の ふ れ 角 両面壁体長家具については,通路幅が1mであるよう な狭い場合だと肩のふれ角は特に大きい.通路幅がl.5 -2mと広くなるにしたがって肩のふれ角はしだいに小 さくなる.しかしなお通路幅が広くなると,肩のふれ角 もそれに伴い, しだいに大きくなるが,その後はまた小 さくなる傾向がみられる.また一般に家具が高くなると 肩のふれ角は大きくなり,特ζ通路幅が狭いと家具高さl 135c加での肩のふれ角は大きい.片面壁体長家具につい ては,人数,通路幅,家具高さの影響がそれぞれみられ, 各要因が入りみだれて作用すると考えられる.両面壁体 突出家具では,通路幅が広くなるほど肩のふれ角は小さ くなる.通路幅1.5-2m以下で、は極端に肩のふれ角は 大きく,とくに家具高さ135α ではそれが強い. ζれは 両面壁体長家具とよく似た傾向である. 家具高さを一定にして各歩行空間形態を比較すると, 図51C示すとおりである.これによると家具高さ45cm、で は,人数3,4人の場合,通路幅が 2m以上であると,片 面壁体長家具の肩のふれ角は大きい.通路幅が狭い1 -1.5mでは,家具高さに関係なく両面接体突出家具の肩 のふれ角は大きい.家具高さ 135c視の場合,他は通路幅 が広くなるにしたがって,肩のふれ角はしだいに小さく なる傾向にあるのに対し,片面壁体長家具の人数2,4人 では逆に大きくなる傾向にある.家具高さ90cmで、は,人 数ごとにさまざまなノfターンを作りだし,それぞれの要 因が複雑に作用している乙とがわかる.また人数2人で はB 両面壁体突出家具,片面壁体長家具,両面壁体長家 具の順に肩のふれ肩は大きいという結果を得た. 乙れらのことより,両面壁体の長家具では,一般に他

(7)

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160 中 島 と比較して肩のふれ角は小さく,通路幅1.5ないし 2m で最小値となる.突出家具では通路幅が狭い場合には, 肩のふれ角は極端に大きく,長家具と比べて最小値をと る通路幅はやや広くなる.一方両面壁体の場合,通路幅 が充分に広いとあまり家具による影響はみられないが, 片面壁体では,通路幅,人数の影響とともに,家具高さ の影響も非常に強いといえる

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161 高さによる関係が強い.全体的にみると,人数が多くな るほどそのばらつきは大きくなる.また各歩行空間形態 の比較を行なうと,両面壁体長家具でのばらつきは少な く,両面壁体突出家具でのばらつきは多い. 集団速度と肩のふれ角の関係をみたのが図8である. 一般に歩行速度と肩のふれ角は反比例の関係にある。両 面壁体長家具では,人数が4人を除いてその関係がみら れ,人数2,5人では家具が高くなるにしたがって,集団 速度は速く肩のふれ角は小さい.片面壁体長家具では, やはり人数4人を除いて反比例の関係にある.人数 2,3 人では家具が高いほど集団速度は速く肩のふれ角は小さ いが,家具が低いと逆に集団速度は遅く肩のふれ角は大 きくなる.両面壁体突出家具の場合,人数 2人 IC限って 特に肩のふれ角にかかわらず,集団速度はほぼ一定であ る.また人数3人では家具高さによる差はほとんどみら れない.人数4,5人では,主iζ家具高さ45cmで集団速度 は速く肩のふれ角は小さいが,家具高さ90c田では一般に 集団速度は遅く肩のふれ角は大きい. 人体動作分析による空間規模IL関する研究(第31報) 数4,5人のようにS.Pから横二列の歩行形態をとると, 当然の結果として集団速度は個人速度より遅くなる. 図 6は s-Lの関係を示した図である .β=(Vi-V g) I Vgは,個人速度と集団速度の差を集団速度で割 った割合で,歩行者間隔を示し, βが大きいほど先頭者 と最後尾者の間隔が大きいという乙とである.乙れによ ると通路幅が2 mあたりでβの変化がみられる.通路幅 2mを境にして

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は横ばいか,あるいは大きくなる傾向が うかがわれる.乙れは個人速度が通路幅2 mあたりで, 横ばいあるいは速くなる傾向と一致する.また人数が多 くなるほどβは大きくなる.乙れを個人速度との関係で みることによって,個人速度と歩行者間隔の相関関係を みたのが図7である.閲 7で示すとおり,両面壁体長家 具ではほとんどβは個人速度ときわだった関係はないが, 人数5人では個人速度が速くなるとβは大きくなる.し かし他はあまりきわだった傾向はみられない.しいてい うならば,片面壁体長家具では,家具高さ別では個人速 度が速くなるほどβは小さくなるという結果を得た.ま た両面壁体突出家具では,個人速度との関係よりも家具

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Vgα 体では家具高さ45c加が歩行者lζ整然と速く歩行させる効 果があると考えられるのに対し,片面壁体では逆に家具 高さ 135cmがそれに該当する.また突出家具を考えると, 通路幅が狭い場合だと強く歩行者に影響を与えるが,広 くなると家具高さに関係なし歩行集団全体に与える影 響は小さい.家具側歩行者iC作用する程度である。 右家具と左家具とを比較すると,一般に右家具の方が 歩行者に強く作用するものと考えられる. 歩行特性の関係をみると,一般に歩行形態が整然とし た隊形の場合は,歩行間隔は狭く,歩行速度は速く,肩 図8 乙の結果次の乙とが考えられる。人数2,4人は特殊な ケースとして考えねばならない.すなわち,人数2人は 集団というより個人に近く,歩行者個人の特性が出やす い.人数4人は,先頭者がはっきりしているため,家具 による影響より歩行者同士の影響が強い.また人数3人 と5人では,横一列と二列であるため多少異なった様相 を呈することを考慮しておかねばならないだろう. また両面壁体と片面壁体とは,同じ家具があっても歩 行者lζ与える影響は異なる.長家具を考えると,両面壁 宏 早 考

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人休動作分析による寝間規模l乙関する研究(第31報) 163 のふれ角は小さいという関係が成り立つ.しかし,乙う したものは単に一次的な関係をもって成立しているもの ではなく,総合的な分析が必要であろう固

8

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結 び 両側にそそりたつ壁体のようなものは,歩行者iζ圧迫 感を与え,整然と速く歩かせる要素を持つ.一方開放的 な感じを与える通路では,自由にゆったりと歩行させる 要素を含んでいると考えられる.乙うしたととを考慮す ると,歩行空間形態によって家具の選択はなされなけれ lまならない. 参 考 文 献 中島 一・建部謙治:人体動作分析による空間規模に 関する研究(第

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報) 両面壁体据え置き家具 複数歩 行者の通り抜け歩行の場合 昭和51,10 日本建築学会大会 学術講演梗概集 中島 ー・建部謙治:人体動作分析による空間規模ζl 関する研究(第29報) 片面壁体据え置き家具複数歩 行者の通り抜け歩行の場合 昭和51,10 日本建築学会大会 学術講演梗概集 中島 ー・建部謙治:人体動作分析による空間規模に 関する研究(第30報) 両面壁体突出家具 複数歩行者 の通り抜け歩行の場合 昭和

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日本建築学会東海 支部研究報告

参照

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