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Chapter 1

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Academic year: 2021

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第 1 章

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第 1 章 拠点活動のまとめー中間評価報告―

ここでは,中間評価のために作成し提出した拠点形成活動に関する前半 2 年間の活動報 告,それに対する評価委員会の評価結果とコメント,および中間評価結果にもとづいて作 成した今後の拠点形成活動計画をまとめたものを拠点活動のまとめとする. 1.拠点リーダーが,この拠点形成において強く主張したい点 まず,本拠点形成活動の研究活動は,機械工学の横断型研究分野「複雑系機械工学」の構 築を目的としている.現在,機械工学は成熟した段階にあり,個別の研究対象について材 料力学,熱・流体力学,制御工学等,個別の研究分野が確立され研究が行われている.学問 分野は,その発展にしたがって研究分野が細分化され固定化される傾向にある.そのため, 夫々の研究分野で得られた知見を総合化,普遍化して新しい研究分野に適応することを積 極的に行ってその学問分野のアクティビティを高く維持することが大切である.本拠点形 成において,このような複雑な機械現象,機械システムを「複雑さ」の視点から研究する横 断型研究分野「複雑系機械工学」を体系化することを目的としている. 「複雑なシステム」は,乱雑に寄せ集められたシステムと違って,その物理的な実体によ らない次のような普遍的な性質を持っていることが明らかにされている.すなわち,複雑 なシステムの示す複雑な挙動は,システムに内在する骨格となる構造によって生み出され る.そして,その骨格構造は,固定されたものではなく環境に応じて自発的に形成される. 我々は,このような性質を持った「複雑な機械システム」を研究対象として,次の三つの研 究課題を研究する研究分野を「複雑系機械工学」として提唱した.第1の課題は,複雑さの 解明である.ここでは骨格構造のモデル化と骨格構造の自発的な形成機構の解明を行う. 第2の課題は,複雑さの活用である.ここでは骨格構造の制御,および骨格構造の自発的 形成を利用して環境に対する適応機能を持った機械システムの実現を考える.第3の課題 は複雑さを取り扱う新しい解析法を開発する基礎数理である.「複雑系機械工学」が体系的 な研究分野となるためには,その分野に固有の数理的方法が必要である.数理解析を担当 する応用数学者が参加していることは本拠点活動の特徴の一つである.研究成果は「複雑系 機械工学」の体系に沿って編纂し,プログラム終了後,「研究成果報告書」として刊行する予 定である. このような研究目的を持った本拠点形成の運営は,「基礎研究型共同研究」プログラムと して運営することが最適と判断し組織運営を行っている.「基礎研究型共同研究」では,研 究者間の学際的な交流の機会を充実させることが最も重要である.そのために種々の取り 組みを行っている.(1)招聘研究者制度を充実してセミナーを日常化し情報の交換を盛ん にする.(2)数学,物理学,生物学など他分野のシニアー研究者をアドバイザーとして招 聘し,学際的な討論の機会を増やす.(3)学際的共同研究施設「桂インテックセンター」

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における研究科を超えた共同研究を実施する.(4)本拠点を中核とした国際的研究ネット ワークを組織化し,それをもとに国際的研究集会を開催する. また,積極的に情報を発信すると共に,外部からの評価を受けることも重要である.オー ストリアにある世界18カ国が共同運営するシステム科学の国際研究所「国際応用システ ム解析研究所」を海外研究拠点として,本拠点活動の情報発信と海外著名研究者による本 拠点活動の評価を目的とした21世紀COE 国際ワークショップを開催している. 一方,本拠点形成の教育活動は,新しい研究分野を切り拓く能力を持った若手研究者を 育成することを目標としている.本拠点の研究目標は新しい研究分野を切り拓くことであ り,若手研究者を自主的にこの拠点活動に参加させることが最適な育成方法と考え実行し ている.具体的な取り組みとして,若手研究者に対する公募型研究助成制度「フロンティア 研究助成プログラム」を実施しており,毎年度,予算の約4割をこの活動に当てている. また,機械工学は成熟し,研究分野の細分化・専門化が進んでおり,機械工学に関する広 い視野を持った大学院教育が必要である.本拠点活動の成果である「成果報告書」をもとに 「複雑系機械工学」の大学院講義用教科書を編纂し,大学院講義科目として「複雑系機械 工学」の講義を開講することを予定している. 拠点形成開始から2年を経過して,「複雑系機械工学」の枠組みが確立され,それに沿っ て活発な研究活動が行われていると自己評価している.又,評価・諮問委員,および21 世紀COE 国際ワークショップにおける海外研究者からも,提案する「複雑系機械工学」の枠 組み,およびそれに沿った研究活動は高く評価されており,平成17 年 6 月には,ミュンヘ ン工科大学からの招致により,本拠点活動の紹介を目的とするワークショップを同大学で 開催した. 2.「21 世紀COEプログラム委員会」の中間評価の結果 「21 世紀COEプログラム委員会」の中間評価における総括評価とコメント,特記事項 は次のとおりであった. ・総括評価 当初計画は順調に実施に移され,現行の努力を継続することによって目的達成が可能と判 断される. ・コメント,特記事項 本拠点は,機械の中で起こっている現象だけでなく,生物,地球環境など広範囲な領域で 起こる複雑な機械的現象を対象とし,機械工学の分野を広げる努力がなされている.これ は,乱流の基本的構造の解明と制御,適応的歩行運動の解明と実現,フラクタル構造の熱 伝導の解析などによって達成されつつあり,かなり体系化が進んでいるように理解される. ただ,従来の機械工学でも複雑な現象を対象としているので,それとの関係を明確にする ことも大切である. 研究成果が工学分野で理解できる形式で発表されることが望ましい.複雑系機械工学は難

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しい課題であり,これをわかりやすく説明できなければ,今後の人材育成に困難が生じる と思われる. 研究対象が広いので,より広い分野の研究者との有機的連携が望まれる.さらに,機械工 学の新たな分野を創るという目的のためには,国内の他大学の研究者との一層の連携も必 要である. 若手研究者育成は,研究費助成と海外渡航費助成が中心であり,これは従来から広く行わ れている助成である.本拠点の特色を生かした育成の計画を作ることが望ましい.例えば, 海外から研究者を呼んでも,特別講義を行ってもらうだけでなく,若手研究者の研究に関 する議論を行うなども考えられる. 3.中間評価結果を踏まえた今後の拠点形成活動計画 上記中間評価の結果を踏まえ,本拠点形成では,当初に作成した拠点活動計画に沿って 研究活動および若手研究者育成活動を今後とも着実に実行していく.加えて,後半 2 年間 において,得られた成果をもとにして、本プログラムに引続く研究教育活動プログラムの 立案と準備を行っていく. 研究活動に関するコメントの中で,国内の他大学の研究者との連携を深め,「複雑系機械 工学」の普及とより一層の展開に努力していくことの重要性が指摘されている.新しい研究 分野を開拓していくことを目的とした全国の大学の研究者による研究組織としては,科学 研究費「特定領域研究」等がある.今後は,このような新しい研究分野を切り拓くことを目 的とした共同研究に,本拠点研究の成果をもとに中心的に参加して,「複雑系機械工学」の 展開に努力していきたい.現在,事業推進担当者が計画班員として参加している「特定領域 研究」は,「金属材料の材料科学」,「マイクロ・ナノバイオメカニクスの開拓」,「身体・脳・ 環境の相互作用による適応的運動機能の発現」等がある. 若手研究者育成活動に関するコメントの中で,招聘研究者にたいして,特別講義を行っ てもらうだけでなく,若手研究者との研究に関する議論とそれを通しての研究指導を行っ てもらうことが提案されている.本拠点では,招聘研究者制度により,多くの海外著名研 究者を招聘しているが,今後は,この実績をもとに,一定期間滞在する招聘研究者に対し て,大学院における特別講義と共に大学院学生を含む若手研究者に対する個別研究指導, 「招聘研究員による個別研究指導制度」,を企画し実行していきたい.また,各研究分野に おいて,大学院学生を含む若手研究者が企画・運営を行う国際ワークショップを積極的に 支援していきたい. 現在,機械工学では研究分野の細分化・専門化が進んでおり,機械工学に関する広い視 野を持った大学院教育が必要である.本拠点の目標とする「複雑系機械工学」は「複雑さ」の 視点から,機械システムを体系的に理解しようとする学問体系である.本拠点活動の研究 成果をまとめて,「複雑系機械工学」の大学院講義用教科書を編纂し,大学院講義科目とし て「複雑系機械工学」の講義を行うことを予定している.このような教育活動を通して,「複

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雑系機械工学」の教育と共にその体系化の努力を続けていく. 最後に,ポスト21 世紀COEプログラムの可能な将来像の一つとして「高等研究院」を 基礎にした学際的教育研究活動の展開を考えている.すなわち,「複雑系機械工学」は,力 学を基礎理論とした応用力学であるが,対象の複雑さのために力学系理論および情報理論 の概念と方法論を必要とする新しい体系を持った応用力学である.このような新しい応用 力学は,機械工学のみならず,土木工学,建築工学など,力学を基礎学問とする工学分野 では今後必要とされていくと考えられる.本工学研究科には,新しい横断的な工学分野の 研究のための学際的共同研究組織「高等研究院」がある.ここにこの新しい応用力学のため の教育研究組織を設置し,機械工学を含む力学系工学分野の研究者による共同教育研究プ ログラムを実施することを検討する.

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