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質的研究の背景と課題―研究手法としての妥当性をめぐって―

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平成13年5月15日 第48巻 日本公衛誌 第5号 339

質的研究の背景と課題

―研究手法としての妥当性をめぐって―

セバタ カツユキ 瀬畠 克之 スギサワ ヤスハル 杉澤 廉晴 オオタキ ジュンジ 大滝 純司 マエザワ マサジ 前沢 政次  質的研究はおもに欧米の社会学や心理学で発達し,人間を社会的存在ととらえてさまざまな問 題をシンボルの解釈という観点から理解しようとする特徴を持っている。しかし,解釈には調査 者の主観が利用されることから,質的研究は非科学的であり実証研究としては不適切であるとい う誤解を招いている。質的研究はHusserlの現象学に代表される「主観・客観論」に立脚した立 場をとり,“主観によって客観を説明すること”の妥当性を主張している。そして,「科学的真理 は理論的関心およびそこから導かれる理論的作業によって形成される」と捉えている。  質的研究は従来の量的研究と異なり,その質を数値として評価することは困難である。したが って,質的研究を行う場合,手法だけではなく質的研究の背景も理解した上で調査の限界を認識 し,研究としての質を高める努力が重要である。また,これらの妥当性を第三者が評価できるよ うな報告を行わなければならない。その意味で,幅広くコンセンサスを得られる質的研究の質の 評価に関する基準作り,および質的研究者間の人的ネットワークを構築するなどのmember vali-dationを高める環境の整備が必要である。  質的研究はその背景が複雑であり,具体的な内容の解釈をめぐっては混乱した状況にあるとい える。こうした中で,質的研究の背景を理解し,質を向上させるための工夫とその評価方法を確 立することは,保健・医療にかかわるさまざまな問題を考察する質的研究の有用性を高めていく ものと考えられる。今後,質的研究の方法論的議論を幅広く展開することが科学研究としての質 的研究に課された課題のひとつといえる。 Key words : 質的研究,質,妥当性,評価基準,人的ネットワーク

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