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入園当初の幼児の他者との関わりにおける育ち : 3歳児、4歳児の観察記録から

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その物の特徴に見合った動き、相手の動きに対 応した動きが成り立つことが“友だち”となる 可能性を開く一つの要素であると述べている。  本研究では、このような幼児による他者との 関係の構築過程について、とりわけその初期の 段階、入園してから新しく出合った他児と一応 の安定した関係が形成される最初の数ヶ月間の 変容の過程を観察を通して明らかにする。また その過程は、入園時の子どもの発達的特徴によ り異なることも予想されるため、観察対象とし て、入園時の年齢が 3 歳と 4 歳の幼児を抽出し、 入園時の年齢による差異についても検討を試み る。そのことを通じて、新しい集団に参加する 幼児への援助のあり方を探りたい。 方法 観察対象 O 市内 F 幼稚園の 3 歳児 ・4 歳児ク ラスから、当該年度に入園した幼児をそれぞれ 2 名(男女各1名)ずつ、 計 4 名を観察対象と した。またこれらの 4 名は、月齢による影響を 最小限にするため、5 月中旬から 6 月上旬生ま れの幼児の中から無作為に抽出した。 観察期間 平成 26 年 4 月 18 日~平成 26 年 6 月 25 日 観察方法 幼稚園の保育時間中、 幼児が最も自

入園当初の幼児の他者との関わりにおける育ち

―3歳児、4歳児の観察記録からー

井 田 聡 美

・菅   眞佐子

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Satomi IDA, Masako SUGA

キーワード:他者との関わり、幼稚園入園後、3歳児・4歳児、遊び場面の観察

How Do Young Children Establish Their Relationship with Others?

At the Early Stage of Their Attendance in Kindergarten.

はじめに  幼稚園に入学することで、子どもは、家族や それまで交流のあった小さな社会集団を超え て、多くの同年代の子どもたちやと大人と一緒 に生活することになる。少子化の進む近年では、 それまでに地域で出合う子どもの数も減少して いると思われることから、幼稚園は、たくさん の子どもと新しく出会い、人間関係を築いてい く場としての役割がより顕著になってきている とも考えられる。  幼稚園に入園する子どもたちは、通常、入園 するまでの時間を家庭で過ごし、家族やそこで 交流のある他者との間には既に一定の関係が築 かれていると思われる。幼稚園に入園した幼児 は、それでは、どのように新しく出合った幼児 や保育者との関係を築いていくのだろうか。謝 (1999) によると、新入園児について安定した友 だち関係、仲良し関係と親友関係は、6 月から 7 月中旬にかけて形成され、さらに、親友関係は 10 月にまで持続して形成されるという。幼児が 人間関係を築く過程には、観察学習・模倣 ( 藤 井 ,1981) や遊びの共有、いざこざ ( 岩田 ,2011) な ど、様々な側面が関わっている(大野 ,2000、高 月・松岡 ,2006)。無藤 (1996) は、このうち、遊 びの共有について、共通の対象への注意の成立 が他者との相互作用の始まりとして重要であり、 * 京都市立中京もえぎ幼稚園 **滋賀大学教育学部

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結果と考察  対象とした 4 人の幼児について観察記録を概 観すると、それぞれ大きく 3 つの時期に分かれ て特徴づけられるように思われた。そこで、以 下では、4 人についてそれぞれの時期を代表す る事例を一つずつあげて考察していくことにす る。 発的に他者への関わりをすると考えられる自ら 進んで活動する時間を観察時間帯とした。1回 の観察で対象とする一人の幼児を 15 分から 20 分間追い、一人に対し計 10 回観察を行った。 対象の幼児の行動、発話内容、 表情、 身体的か かわりを中心に、筆記により記録した。なお、 子どものことばの詳細が聞き取れないなどの場 合は事例中には「○○」と示した。  S 郎は、自ら進んでする遊びとして B 男や M 夫の動きを見ながら同じように車を走らせてい るが、近くでブロックを積んでいる保育者や D 太の方も気になっている。車での遊びを続けな がらも、保育者の声に反応してブロックの方を 見たり、積み上げたブロックにさわりに行った り、新しく持ってきたブロックを見に行った り、たびたび、2 つの遊びの間を行き来してい る。車遊びでは、一緒にいる M 夫の動作の真 似をしたり、車をぶつけ合うなど、身体的な動 きによる関わりが中心となっている。発話とし ては、「シュー」「ゴー」など遊びに伴う擬音語(下 線部①)や、独り言(下線部②)が多く、保育 者には話しかけている(二重下線部)が、他児 に明確に向けられたことばはほとんど見られな 1.3 歳での入園児に見られる特徴について (1)S 郎(男児)の観察事例から a 4 月中旬から 5 月上旬:いろいろな遊びに関心を寄せる時期 < 事例 S-1 4 月 18 日 > 保育室で、B 男や M 夫の動きを見ながら車を走らせている。 S 郎:「ブーン①」 先生:「高くなった」ブロックの方から先生の声が聞こえてきて、高くなったブロックを見つめる。 再び M 夫の動きを見ながら車を走らせる。 M 夫が車を持ち上げて飛ばし始めたので S 郎も真似をする。 D 太が積み上げたブロックを数えているのを見る。 先生に話しかける。 ブロックに触ったり下からブロックを数えたりする。 S 郎:「1,2,3、…②」 絵やブロックのほうを見る。車のところに戻って車を走らせる。 M 夫の車を押しのける。 S 郎:「ゴー①」 先生が新しく持ってきたブロックを見に行く。 車のところへ戻って S 郎:「シュー①」 M 夫と「ブーン①」と車をぶつけ合う。 S 郎・M 夫:「わーわー」車をぶつけたり走らせたりする。 い。とりあえず好きな遊びを見つけ取り組めて はいるが、他の遊びにも興味を引かれ、落ち着 いて一つの遊びに取り組むことはまだ困難であ る。このような S 郎の姿は 5 月の上旬ごろまで 続く。

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b 5 月中旬から 5 月下旬:発話が多くなる時期 < 事例 S-5 5 月 16 日 > じっと N 男のほうを見ながらジャングラミングを登る。 5 歳児 A 組の子が持ってきたジュースに興味を持ってジュースを見つめる。 一番上まで登り滑り台をすべる。 先生がいるところへ行き、他児がジュースで遊んでいる様子を見る。 S 郎:「おいしい?」とジュースを飲むふりをして遊んでいる子に尋ねる。 M 男に向かって S 郎:「上のほうなんか蜘蛛の巣があるんだけどさ①」 再びジャングラミングを登り始める。 S 郎:「……ました~」つぶやく「○○見つけた」② 下に降りてジュースを受け取って振る。 先生:「どうですか 元気でた?」ジュースを振り続ける。 ゾウのハウスのほうへ行く。 S 郎:「シュタッ」ジュースを振り続けている。 ハウスの中で O 夫のしていることを見る。 O 夫:「しっかりとかき混ぜます」「そして休みます…」 落ちていたペットボトルの入れ物を拾う。 P 太と O 夫のしていることを見る。 S 郎:「しっかりと…混ぜます…③」 O 夫:「だめ」「しっかりと混ぜないとダメ」 O 夫:「その一、…」 S 郎:「そのに」「そのさん」指で数えながら小声で「そのに、そのさんとする」と指していく。③ 先生:「狭いけどおじゃまします」「何人いるかな」 子どもの誰か:「全部で三人」 S 郎:「一人、2,3,4,5、…③」 数えていく。 S 郎:「6,7,8,9,10.…」「10 人、10 人!!」手を広げて先生に示そうとする。④ すると続々と人が集まってくる。 先生:「先生おじゃまかな?」 S 郎:「メロンジュース④」先生に対して言う。 先生:「これは?」 S 郎:「オレンジジュース④」  この事例では、S 郎は、他児の遊びに関心を持 ち、していることをじっと見たり、話しかけたり、 ことばを真似したり、かかわりを仕掛け始めてい る(波線下線部)。他児の後について行って木の 実や虫を探すといった行動も同時期の事例(S-6, 5月28日)で観察されている。ただ、発話としては、 他児に対しては、自分の気付いたことを一方的に 話したり(下線部①)、つぶやいたり(下線部②)、 他児の発言の繰り返しや発言をうけてその続きの ように話す(下線部③)などにとどまっている。 一方、保育者に対しては質問に答えようとする発 話が見られ、自分の見立てを繰り返し伝えたりす るなど(下線部④)、保育者に対しては、他児に 対するよりも、よりはっきりと関わりをしかけて いることがわかる。その発言に対して保育者は丁 寧に応答をしており、保育者との間であれば数回 ではあるがことばのやりとりが成立している。二 重下線部に見られるように、保育者の動きや遊び がこの時期の S 郎の関心や動きの核となっている こともうかがわれる。

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c 6 月上旬ごろ:遊びに熱中する中で自分の思いの表現が増える時期 < 事例 S-9 6 月 20 日 > 園庭に、傾斜をつけて水が流れるようにしたレーンが置かれ、そばのたらいにはプラスチック製 の小さなさかながたくさん浮かべてある。 S 郎は、さかなをすくうようにして、たらいからペットボトルで作った容器に水をくむ。 それをレーンの上から流し、何回か繰り返す。 さかなが水にのってうまく流れると笑顔になる。 今度は一番上にさかなを置いて流す。 S 郎:「おく①」「……」小声でつぶやく。 先生がシートを鉄棒に張っているのをじっと見る。 さかなと水を流すのを繰り返す。 S 郎:「……」何か小声で水を流しながら言う。 S 郎:「待って僕の②」 流しながら小声で言う。 ペットボトルを置いてさかなをすくって遊ぶ所へ移動する。 しばらく無言でさかなをすくって遊んでいる。すくう動きが、一緒にいる A 男やもう一人の男児 と同期している。 すくってさかなが少なくなるとたらいに戻し、またすくう。繰り返す。 S 郎:「いっぱいとれました」、「うおぉぉー」、「いっぱいとれちゃったー」③   「そんなにあるわけない…③」しゃべりながらすくって遊ぶ。 A 男:「じゃあ、今度は一個ずつな④」 A 男:「もう一回やろう」A 男がそういうと他の二人もさかなをたらいの中に戻す。 ひととおりさかながとれたら三人でペットボトルの入れ物を見せ合ってどれだけとったか比べ る。 A 男:「もう一回やろう」A 男がそういうと他の二人もさかなをたらいの中に戻す。 S 郎:「うわ、なに…」 A 男:「じゃあ、つぎ点を取ったら勝ちな⑤」 S 郎:あみでひとすくいして「うわー、いっぱいとれた」、「いっぱいとれたまた」⑥  ここでは、S 郎は、おもちゃのさかなをすくっ て流す、たらいの中のさかなをすくう、といっ た遊びを何度も繰り返し行い、楽しんでいる。 その中で、明確に特定の他児に向けられている わけではないが、自分のしている行動をこと ばでつぶやいたり(下線部①)、呼びかけたり (下線部②)、うれしい気持ちを繰り返し発話し ている(下線部③)。近くには、同じ遊びを同 じ様に身体を動かして楽しんでいる ( 波線下線 部 ) 子ども達がおり、S 郎が発話を重ねるうち に、そのうちの一人が反応して言葉を返す(下 線部④)。そのことで、それまで場は共有して いるものの並行して遊んでいた子どもたちの間 で、遊びの共有が明確になり、「もう一回やろう」 と一緒にさかなをたらいに戻したり、とれたさ かなを見せ合ったりすることが始まる。その中 で A 男は「次点取ったら勝ちな⑤」と遊びの 展開を提案し、さらにその遊びが続く中で S 郎 はいっぱい取れて嬉しいという感情をことばに して表している(下線部⑥)。 【S 郎における他者との関わりの変容について】  a ~ c の時期を通して他者との関わりの観点か ら S 郎の変化を見ると、4 月当初の S 郎は、同じ 動きで車を動かすなど、ものを介した身体的なか かわりによって、他児と遊びや場を共有する事が 多かった。発話としては、身体の動きに伴う擬音 語や独り言が多く、自己を表出してはいるが、他 児との間でのやりとりには至っていない。5 月中 旬の頃になると、他児の遊びに興味を持ちその遊 びに入っていこうとし、その過程で他児の発言を 受けた発話が増えてくる。保育者に対しては自分

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の見立ても伝えるなど、ことばで自分のイメージ を他者に伝えることが始まってくる。6月上旬に なると、S 郎自身が遊びに熱中するなかで自分の 行動や気持ちをことばにして表すことが増え、そ れを受けた他児の発言などがきっかけで他児との 遊びのテーマの共有が明確になる。他児とのテー マやイメージの共有が明確になることで遊び自体 もますます楽しくなり、同時に子どもたち同士の ことばの受け止めや発信も盛んになってきている ことがうかがわれる。 (2) M 代(女児)の観察事例から a 4 月中旬から 4 月下旬にかけて:他者に向かって自分を表現していく時期 < 事例 M-1 4 月 18 日 > 部屋の中でブロックをしている。 M 代:「見て」「ガガガガン」ブロックで作ったものを Y 子に向ける。 Y 子:「何なん?」 Y 子:「ちゅうー」作ったものを滑らせる。ブロックとブロックをこつんと Y 子とあてる。 M 代・Y 子:「魔法のじゅうたん」そう言って作ったブロックを持って飛ばして遊んでいる。 M 代:「これ」 『魔法のじゅうたん』とは別に何か作り始める。 M 代:「できたー!!」完成すると先生に見せに行く。 ままごとのところへ行きやかんを手に取る。     : M 代:「これ見て」ブロックのところへ行き、さっき作ったものを先生に見せる。 先生:「ほんとだ 長―い!!」 おままごとのところに戻ってきて、お皿を持ってくる。 おままごとのテーブルのところでは先生を囲んでカレー屋さんがカレーを作っている。 M 代:「カレー屋さん食べさせて」と言って先生のいる所によって話しかける。 M 代:「○○屋さんです」ボウルを友だちから受け取ってお皿を並べる。 自分の名札をなぜか気にする。 M 代:「うふふ」笑いながら先生のいるところに入ってくる。 ままごとの棚がある方に行き、A 子に話しかけてなにやら話している。 A 子は頷いたりして M 代からの問いかけに応じている。 おままごとから離れ、お絵かきの方へ行くがブロックのところに行く。  M 代は、この時期から既に、まわりにいる 他児や保育者に積極的に話しかけ、遊びの輪に 入ろうとしている。作ったものを「魔法のじゅ うたん」に見立ててとばすなど、他児との見立 ての共有も始まっている。また、他児や保育者 に対して、自分が作ったものを「見て」と示す ことで、盛んに自己表現をしている(下線部)。 このとき、見せる相手としては冒頭のように他 児(Y 子)にも見せているが、保育者に見せる ことが多く、保育者に話しかけたり、保育者の いるところに入っていくなどの行動が次々と見 られている(波線下線部)。この時期の M 代の 関心の向け方や自己表現のしかたに保育者の存 在が大きく影響していることがうかがわれる。 b 5 月上旬から 5 月下旬にかけて:友だちと遊びに関するやりとりをしながら遊ぶ時期  < 事例 M-4 5 月 9 日 > それまで M 代は先生と一緒に砂場でトンネルがある山を作っていたが、Y 子を見かけ砂場から離 れて Y 子の方へ行く。 ペットボトルの入れ物を持ってもう一度山のほうへ行き、Y 子に話しかける。 M 代:「何やってるの?①」

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Y 子:「M 代ちゃん一緒に探そう①」 M 代:「私はちょっと二時間待ちなの」「二時間待ちなの~」「何探してるの」① Y 子:「虫探してるの①」 M 代:「虫?①」 Y 子:「こんなにいっぱい」「M 代ちゃんのパパとママどんなの?①」 M 代:「ママはね…」「ねえね、一緒に二時間待ちの指輪一緒に作ろう①」 二人でジュースが置いてあるところへ行きジュースを振る。Y 子と動きがあっている。② M 代:「二人とも待って~」C 子と Y 子を追いかける。 Y 子:「みんな石をとってね」三人で石を拾う。③ Y 子:「あった」入れ物を三人で見せ合う。③ C 子:「もう一回探す?④」 Y 子:「もう一回探す?④」 M 代:「いいわよ④」 Y 子:「あなたは石を探してね④」C 子に向かって言う。 Y 子:「あなたは葉っぱを探してね④」 M 代:「サラダ作っていい?⑤」 Y 子:「うん」 M 代:「じゃあここにおいて」 Y 子:「ここにおいて」「葉っぱ取りに行きましょう」「これで終わり」 M 代:「つくろう つくろう」  4 月の頃からよく遊んでいる Y 子を見かけた M 代は、Y 子がしていることに関心を持ち、話 しかける。Y 子は「一緒に探そう」と応じ、二 人の間でことばのやりとりが数回続く(下線部 ①)。しかし、それぞれ持っているイメージが 異なるようで、内容がずれていき、「一緒に虫 を探す」という遊びにはいたらず、次の遊びに うつる。そしてそこでは、同じような動きで ジュースを振り(波線下線部②)、動作的なレ ベルで遊びが一定共有される。  そこに C 子が加わり、石を拾う遊びが始まる。 集めた石を 3 人で見せ合うなど、石を集めると いう、単純ではあるが、テーマが共有されてい る(波線下線部③)。また、そのなかで、「もう 一回探す?」「あなたは~を探してね」(下線部 ④)といった発話が見られ、遊びが継続され、 「葉っぱを探して」と言われたことを受けて「サ ラダ作っていい?」と新たな展開も提案され ている(下線部⑤)。この事例の前の場面でも、 できた山のトンネルに保育者と電車を走らせな がら「ガタンゴトン、ガタンゴトン、着きまし たかー?」「着きましたよー」といったやりと りが見られ、この時期、M 代は、他児とテーマ を共有しことばでやりとりしながら、それを継 続・発展させ始めていることがうかがわれる。 c 6 月上旬頃から:遊びが深まり遊びに関するやりとりがさらに多くなる時期 < 事例 M-9 6 月 20 日 > 園庭には、水で遊べるように流す用のレーンと鉄棒にビニールシートを固定し傾斜のようにして 水を流せるようにしたものがおいてある。 外に出てきて水で遊べるところへ行き興味をもって周りを歩きながら見つめている。 さかなのおもちゃが入ったかごのなかをさわっていると Y 子:「M 代ちゃーん」「じゃー」水をレーンに流す。 M 代:「とってくる①」(ペットボトルで作った容器を) Y 子:「これ①」ペットボトルの容器を M 代に差し出す。

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M 代はそれを受け取ると水をたらいからくんできてレーンに流す。 シートの方にも水を流す。 Y 子:「M 代ちゃん、これもすくって①」 M 代:「おもしろい②」水を流して M 代:「これ入らないもん これ」さかなのおもちゃをかえる。① シートに水を流した後、ペットボトルも転がす。 1 人の男の子が乗り物のおもちゃを持ってきてレールの上から流してみると、乗り物は勢いよく 流れる。 その様子に M 代は見とれている。② 先生:「おさかなも一緒に流してみようか」「せーの」 先生と一緒にさかなも一緒に流す。③ さかなもうまく流れて M 代:「ばいばーい」 さかなを繰り返し流す いろいろとさかなを流すのを試しているようだ。④ M 代:「ばいばーい」流れるさかなに対して言う。 M 代:「次○○の番だよ③」 M 代:「ぬれた④」 Y 子:「ぬれた④」 先生1:「後でお着替えしようね」 先生2:「今日はお天気がいいから先生ぬれちゃったけど、乾いたよ」 M 代:「○○しなくちゃ」 M 代:「あっちであそぼ」ペットボトルをカゴになおして白砂の所に行く。  この事例では、M 代は、おもちゃのさかなの 大きさを替えてみたり(波線下線部①)、さかな を流すやり方を色々と試してみたり(波線下線 部④)、自分の思いを表しながら熱中して遊んで いる。一緒に遊ぶ子どもの行動にも興味を引か れ、熱中して見ている(波線下線部②)。発話では、 一緒に遊ぶ Y 子との間で、遊びを始めたり続け たりすることにつながることばが見られ(下線 部①、③)、「おもしろい」(下線部②)と自分の 思いも表現している。遊びへの関わり方が以前 より豊かになり、他児とのやりとりもその遊び に特化した詳細な方法についての言及(下線部 ①、③)となってきている。この時期の他の事 例 (M-6,6 月 6 日 ) でも、5 月頃から見られてい た種類の遊びを保育者や他児とやりとりしなが ら遊ぶ姿が見られている。一方で、本事例でも M 代の遊びの場の中心には保育者がいて、M 代 の姿を受けて遊びの新しい展開を例示している (波線下線部③)。また、M 代は一緒に遊ぶ Y 子 と「ぬれる」感覚(下線部④)も共有している。 そういった感覚レベルでの共有感や保育者の存 在がその場にいる子どもたちの遊びの根底に支 えとして存在していることがうかがわれる。 【M 代における他者との関わりの変容について】  これらの事例を他者との関わりに注目して見 ると、M 代は入園当初の 4 月中旬からすでに、 保育者や他児に関心を持ち、積極的に話しかけ、 遊びの輪に入ろうとしていた。また、他児と初 歩的ではあるが見立てを共有し、「見て」と他 者に示すことで自己表出をしていた。この時点 での発話には、一つの遊びを展開していく他児 とのやりとりといえるようなものはまだ含まれ ていなかったが、5 月上旬になると、ことばの やりとりを通じて遊びのテーマやイメージを共 有し発展させていく姿が見られるようになっ た。さらに、6 月上旬になると、今している遊 びについての発話がさらに増え、保育者や他児 とやりとりしながら一つの遊びに熱中して取り 組むようになった。他児との間でそのような遊 びの共有が進んでくる過程では、身体による動 作の共有が頻繁にみられており、身体レベルで の共有がことばのレベルでのやりとりの基盤と なっていることが感じられた。また M 代の場

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合は 3 事例とも Y 子と遊んでおり、特定の子 どもと親しい関係を持つことが既に始まってい ることもうかがわれる。補足ではあるが、M 代 には観察期間の中で他者を気遣う行動が何度か 見られ、事例 M-7(5 月 30 日)では友だちを 白砂の遊びに誘い友だちの分の椅子を用意した り、事例 M-10(6 月 25 日)の水遊びでは乾杯 の遊びをするために友だちが持っている入れ物 の中に自分のペットボトルから水を注いだりす るなどの行動も見られていた。 2.4 歳での入園児に見られる特徴について (1)T 男(男児)の観察事例から a 4 月中旬から 5 月上旬:新しい環境を探索する時期 < 事例 T-3 5 月 2 日 > T 男は誰かを探している。 先生に探している人がどこにいるか聞く。 先生:「一緒に探さなくていい?」 ジャングラミングに行って一番上まで上る。 先生も探してくれており、T 男はジャングラミングの上から先生と何やら話している。 T 男:「あ、いた!!」「追いかけてみよう」 ジャングラミングから降りて K 子と合流する。 K 子:「これで一緒に登ろう」「私のほうが早い」 T 男:「行くよ」 一緒にジャングラミングを登り始めるが、いつの間にか K 子とはぐれてしまう。 一人でジャングラミングの山にすわって一点をじっと見つめている。 山の穴をくぐる。 吊り輪のところへ行って吊り輪にぶら下がる。 T 男:「うわーあ」 棒を手で持ってくるくる回る。 タイヤに乗る。 ジャングラミングから移動してブランコをする。 丸太の上を歩いてかくれんぼの様子を見ている。 しゃがんで丸太をいじっている。 そばにはかくれんぼをしている女の子たちがいる。 T 男:何かに気づいて「あ、いた」 園庭を走ったりして動き回る。 砂場の方へ行き膝に手をついて友だちが道具をたらいの水で洗っているのを見る。 砂場を横切って通り過ぎていく。 鉄砲を撃つ真似をしてジャングラミングを登っていく。 ジャングラミングから降りてハウスの方へ行き T 男:「先生…」と先生に何か話しかけているが、先生は気づかない。  好きな遊びの時間、T 男は同じクラスの K 子を探し、見つかると、K 子に誘われて一緒に ジャングラミングにのぼり始める。しかしすぐ にはぐれてしまい、一人になってからは特定の 遊びはせず、遊具の周りをあちこち動き回って、 そこにあるもので遊んだり、他児の遊ぶ様子を 見たりしている(波線下線部)。新しく出合っ た環境をまだ探っている状態で、他児ともまだ 遊びを共有できるつながりが持てていないよう である。そのなかで、二重下線部のように、保 育者に援助を求める姿が何度か見られている。

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b 5 月上旬から下旬:他児との関わりが少しずつ増える時期 < 事例 T-4 5 月 9 日 > A 太:「T 男」(と名前を呼ぶ) T 男、すべり台をすべって A 太の方へ行く。 T 男:「さいこーほうー」A 太と一緒にゴム製のブランコをする。 A 太:「のれよ」 T 男:「こっちないもん①」 A 太:「こっちいくぜ」 T 男:「行こう①」 二人で別の木製のブランコをする。 二人で築山を登る。 T 男は A 太の後についていく。丸太の上を歩いて渡っていく。 T 男:「危ないよー」丸太を渡って降りていたところに B 子がやってきて 先生:「あれ、B 子ちゃん順番ぬかしたよ」B 子は一歩下がる。 T 男と A 太はもう一度丸太を渡り、今度は巧技台のほうへ行く。 T 男:「それー②」「ダーン②!」ポーズを決めて巧技台から飛び降りる。 A 太もそれを見て交互に巧技台から飛び降りてポーズを決める。 「バーン」「トォー」「ビーム」「オラー」 そこへ C 夫もやってきて C 夫:「何してんの?」と尋ねる。 ふたりは特に答えなかったが、C 夫も一緒になって巧技台から飛び降りる遊びをする。 C 夫が靴を脱ぐと T 男・A 太も靴と靴下を脱いで飛び降り始める。 C 夫:「見てよ」「押して」そういうと T 男と A 太が C 夫を後ろから押す。 「…キック」「アンドロイド」などと技名を言いながら巧技台から飛び降りる。 「とびこんでフルパワー」「ダーン」 D 子がやってきて三人は靴下・靴を履いて移動する。 A 太:「やってみるか体操」そういって吊り輪に T 男と A 太はぶら下がる。 ①  T 男は、A 太に呼ばれたことによって、A 太 と一緒に遊ぶ機会を得る。①の部分に見られる ように、場所は転々と移動しているが、ある程 度の時間、A 太と行動を共にし、遊びを共有す ることになる。飛び降りてポーズを決める、と いう単純な遊びだが、他児に向かい合いながら 自己表現を楽しみ、相互に模倣しあう楽しさを 感じている。これに C 夫が加わり、遊びの共有 の輪が拡がる。その中で、T 男は巧技台から飛 び降りるときに自分が思いついた技名を次々に 声に出し、他の二人が T 男の真似をして巧技 台で技名をいいながらポーズを決めるという遊 びが始まる。自分の発想を遊びのなかに取り入 れ、自己表現しながら、それを他児と共有する ことができはじめている。また、この間、T 男 は A 太とあたかも同期するように身体を動か し、それを楽しむ場面が何度も見られている(波 線下線部)。ただ発話としては、A 太のことば に短いことばで応じる(下線部①)、自分の動 きの擬音語(下線部②)などにとどまっている。 c 5 月下旬から:他児と遊びのテーマを共有し一緒に遊びこむ時期 < 事例 T-9 6 月 20 日 > 部屋に入って牛乳パックで何かを作ろうとしている。 大きな積木で新幹線をつくっていた E 男、F 太、G 夫の所へやってくる。 T 男:「これってさ、すわるもの?」

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F 太:「そうやで ここトイレ」 T 男:「こうやっていける」 トイレをする真似をする。 T 男:「そう言ってたら行きたくなった ほんとにおしっこ行ってくる」といってトイレに行く。 F 太:「パトロール列車」大きな声で言う。 T 男はトイレから戻ってきて新幹線の席に座る。 T 男:「あ ちょっと待って ○○してくるから」と言って外に出る。 ピストルの形をした牛乳パックを手に持って戻ってくる。 T 男:「ピストル持ってきた」席に座る。 T 男:「これ○○しといて」E 男にピストルを渡す。 T 男:「みんな○○しろ!」「何かいる」 F 太:「パトカー列車 パトロール列車」繰り返す。 T 男:「F 太くんは…のところ」座る所を言う。 F 太:「非常ボタン」 T 男:「非常ボタン押せ!」「ここだ」「ポチッ」 F 太:「ガソリンがありません」 T 男:「ガソリンかよ 買って来いよ」 F 太:「タンク列車行こう」一斉に移動する。 T 男:「行こう みんな乗ったぞ」 H 男、I 太もやってくる。 T 男:「ぼくはここに乗る」 F 太:「ぼくが運転手だからここに乗る」運転席の取り合いになる。 T 男:「これさー運転席…」つぶやきながら運転席をさらに前に作る。 T 男:「これで座れる」「どうぞ」 F 太が新しく作った運転席に座ったので T 男:「俺の分だ」と言って取り返す。 T 男:「連結完了」「今車掌さんどこに行ってるの?」H 男に聞く。  ここでは、T 男は、他児が始めていた列車遊 びに加わり、F 太がつぎつぎに繰り出す新しい 発想を受け止め、それを取り込んでいく(波線 下線部)。そのことで F 太をはじめ参加してい る子どもたちとの間で共有するイメージがどん どん膨らんでいき、遊びが盛り上がっていく。 また、運転席をめぐって衝突が起こるが、T 男 は運転席をもうひとつ作るという発想でそれを うまく回避し(下線部)、自分の望んでいた席 を確保する。自分の発想や他児の発想も取り込 みながらイメージが共有され展開されていく遊 びとなっており、b の身体の動きを基盤とする 遊びの共有の形とは大きく変わってきている。 発話内容も、他児の発言を受け止め、遊びの進 行や展開に関わる発話が大部分を占めている。 【T 男における他者との関わりの変容について】  4 月から 5 月上旬にかけての T 男は、関心を 向けている特定の他児はいるが、一つの遊びを 継続して行うまでのつながりはまだ持てていな い様子であった。5 月上旬になると、他児と同 じ動きをしその中で技を出し合い自己表現を楽 しむといった遊びを行うようになり、身体的な レベルであるが、遊びを共有し一緒に楽しむ仲 間として他児をとらえ始めていることがうかが われる。そして、おそらくは、そのような他児 との信頼関係に支えられて、事例 T-9 で見られ るように、他児の遊びに加わり、他児の発想を 受け止め自分もアイデアを加え、参加する者の 間でイメージを膨らませていくことができるよ うになってきているのではないだろうか。また、 そのように遊びが深まる中で、遊びを一緒にし ている他児についてもその人となりを知ること

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や親密感がさらに深まっていくと考えられる。 (2) K子(女児)の観察事例から a 4 月下旬から 5 月上旬にかけて:友だちを遊びに誘いかかわろうとする時期 < 事例 K-2 4 月 25 日 > うんていのところで、5 歳児クラス A 組の M 子、N 子にジャングラミングで遊ぼうと提案する が断られる。 K 子:「じゃあ、一緒に(うんていを)やろう」 うんていで遊び始める。 M 子:「あかちゃんかぁー!」 K 子:「あかちゃんじゃないよ」 N 子:「お手本見せてあげる」N 子がやってみせるが K 子はうまくできない。 K 子:「できないや」そう言ってうんていをやめ、M 子に向かって K 子:「あっち ( ジャングラミング ) でもできるよ。ねえ、ねえ、M 子ちゃん」と言って M 子の服を引っ 張る。 M 子:「やらへん」 O 子 (5 歳児クラス A 組 ):「やらへん」 K 子:「ねえねえ、M 子ちゃん」 O 子:「ひとりでやってきー」 仕方なく一人でリレーのところへ行く。すると後から M 子もやってきて手をつないでリレーの所 へいくがリレーには入らずジャングラミングの方へ行く。 ジャングラミングで遊んでいて M 子と少し離れると K 子:「おねがい あなたは私の○○なのよ」と手を差し出してひきとめる。 M 子がいつの間にかいなくなるとジャングラミングの方で遊んでいる。 一番上まで登って誰に向かってというわけでもなく「おーい」という。 一つ下に降りてジャングラミングを進んでいく。 一度見渡して「R 子ちゃーん」と言って探す。 近くにいた 5 歳児クラス B 組の子に向かって K 子:「どお?見て」と言う。 ジャングラミングから降りてその周りを K 子:「ねえねえねえ、P 子ちゃーん」と言いながら探す K 子:「R 子ちゃーん」二人と合流し「ブランコして遊ぼう」と提案する。 P 子と R 子と一緒にブランコをする。 K 子:「見て先生。立ちこぎできるで」と先生に話しかける。 K 子:「ブランコ終わろう」「これやろう」と言って丸太へ行く。 丸太の上を歩く。 K 子:「こわくない?」 P 子が止まると、K 子と R 子が K 子・R 子:「早く行って」と口々に言う。 P 子に追いつくと P 子の背中に触ったり肩を持ったりする。 鉄棒の方へ行き、鉄棒に触る。 K 子:「あっつ」「ねえねえ、今度はジャングルジムやろう」と言い、 R 子と P 子と一緒にジャングラミングをする。

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 K 子は、年長組や同じクラスの子どもに話し かけ、自分がしたい遊びに盛んに誘っている(下 線部)。しかしその遊びは長続きせず、遊びが 転々と変わる。遊びが深まるような内容の会話 も見られない。また、自ら進んで活動する時間 以外や別の観察時間の中で K 子は仲良くした いと思っている R 子や P 子のことを追いかけ て体をくすぐったりしており、相手が「やめて」 などいやがる行動を示しているのにかかわら ず、K 子がそれを続けていたということが観察 時に何回かあった。そのため、K 子は、次第に 友だちから敬遠されがちになり、おもしろがっ て逃げられたりすることが増えていった。 b 5 月中旬から 6 月中旬:他児とのかかわりにおいて葛藤を抱える時期 < 事例 K-6 5 月 23 日 > 部屋から出てきてジャングラミングの方へ行く。 中段に上りわたって歩く。 5 歳児 A 組の子:「危ないよ」 K 子:「あぶなくないよ」 K 子:P 子を見つけて「P 子ちゃ~ん」ブランコの方へ追いかける。 P 子やほか二人の友だちがブランコに乗ったり、友だちが乗っているのを見ている。 その輪に K 子も入ろうと、友だちが乗っているのにブランコに乗ろうとする。 ブランコに乗っている 3 人のうち誰かに「やめて」と言われて、ブランコには結局乗れずジャン グラミングの方へ行く。 ジャングラミングに行き着き、上って渡って歩く。 H 男を見つけ、その隣でブランコをする。 ジャングラミングに再び戻り、ぶら下がって足を握っている棒に乗せる。 K 子:「R 香ちゃん、こうやってごらん」 築山の近くに行き、5 歳児 B 組の男の子の手作りの剣のようなものを見て、 K 子:「かして」 5 歳児 B 組の子:「だめ」 K 子:「B 組さんには…」つぶやきながらジャングラミングの方へ行く。 何か独り言を言いながらジャングラミングで遊ぶ。 白砂の方へ行く。 しゃがんでスコップを持ってバケツに白砂を入れる。 先生:「K 子ちゃん、そこには水をばっしゃーんと入れないで、ボウルに入れてごらん」 ボウルに水を入れてバケツに入れる。 水だけを流しどろどろになった砂を型に入れる。 ボウルでたらいから水を汲む。 先生:「K 子ちゃん バッシャーンってなってるでしょ 入れ過ぎってことだよ」 先生に言われて水を入れるのをやめる。 周りでは何人かの子が白砂で何か作っている。 テーブルの方へ移動して並べてあった型に作った泥を入れる。  この時期、K 子は、それまでの、友だちを追 いかけて体をくすぐるといった行動や、自分の 好きな遊びに誘っては自分の思い通りに友だち と遊ぼうとする行動から、友だちから避けられ ているところがあった。ひとつ前の事例 K-5(5 月 16 日)でも K 子は P 子に「向こうで遊ぼう」 と遊びに誘い P 子が遊びたがっている砂場で遊 ぼうとしているが P 子がそれを拒否してしまう ということがあり、5 月上旬から 6 月の中旬に かけて K 子が他児から受け入れられないこと が連続して見られていた。この事例では、K 子 は他児から受け入れられていないということを

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おそらく感じながら、ブランコで遊んでいる P 子やほか二人の友だちに「やめて」と言われて その行動を止めている(下線部)。他児の気持 ちを受けとめ自分の行動をそれに合わせようと することが見られはじめているともいえる。又 一方で、この時期には白砂のところへ行って遊 ぼうとする姿が頻繁に見られている(波線下線 部。本事例以外でも事例 K-5,5 月 16 日、K-8, 6 月 6 日)。他児との関わりに葛藤する K 子に とって、一人で自分の思うように関わることの できる白砂の場所は、安心して遊べる居場所と なっていたのではないだろうか。 c 6 月下旬から:友だちと相互に関わって遊ぶようになる時期 < 事例 K-9 6 月 20 日 > 細長い筒を持っている。ジャングラミングの近くで花を摘んでいた T 子に話しかける。 森へ行って花を拾いに行く。 T 子と一緒に花 ( タコさんウィンナーのような形 ) や実を拾う。 K 子:「くだものみたい」 T 子:「落ちた」 T 子:「もっと探そう」 K 子:「そうだね①」 T 子:「あ、あった」「あー、ここにあった」「めっちゃ開いてるよ」 K 子:「これわたしの」 T 子:「もういっぱい」 K 子:「おっきい種あげる②」 T 子:「じゃあ、お返しにこれあげる」 U 子:「そこにいるの誰~?」 U 子:「タコさんウィンナー取ってんの?」 V 夫:「ぼくもタコさんウィンナー」 U 子:「誰―?誰か落としてるよ~」 K 子:「それ私のだから」 ハンカチに拾ったものを包む。動き回って探す。 K 子:「わたし茂みに行ってくる」 U 子・T 子:「だめだよ」 ジャングラミングに戻る。その場にいた M 夫に拾ったものを見せる。 M 夫:「こっちから降りよう」 K 子:「私包むわ」そう言ってハンカチに包みなおす。 M 夫:「手伝う」 K 子:「これとこれとこれと…」 M 夫と並んで移動する。  この事例では、K 子の友だちとのかかわり方 は 4 月当初から大きく変化している。他児のこ とばを受け止めその提案を受け入れたり(下線 部①)、他児に友好的な態度をとったり(下線 部②)、他児の要求に合わせて行動を制御した り ( 波線下線部 ) している。自分の意志ばかり を出さずに他児とやり取りをしながら、遊びを 続け楽しむことができている。 【K 子における他者との関わりの変容について】  他児との関わりの観点から K 子の変化を見 ると、4 月当初から K 子は他児を自分のしたい 遊びに盛んに誘うが、自分の思うとおりに進め がちであったり、他児に嫌がられる行動をする などのことがあって、他児になかなか受け入れ られない。その状態が 6 月中旬まで続くが、そ の間、事例 K-6 で見られるように少しずつ他児 の気持ちに合わせて行動を制御することが見ら

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れるようになり、6 月下旬の事例 K-9 では、自 分のしたいことをまず主張するのではなく、他 児の提案を受け入れながら遊びを続けることが できるようになっている。同じ 4 歳児の T 男 と比較すると、4 月当初の他児への関わりの仕 掛け方、その後の他児との関係の発展のしかた や関係が安定する時期が大きく異なっており、 4 歳での入園児については新しい人間関係の築 かれ方が子どもによってかなり異なるのではな いかと考えられる。 3.3 歳入園児、4 歳入園児における他者との 関わりの築かれ方について  まず 3 歳での入園児の特徴についてみると、 今回観察対象となった 2 名の子どもはいずれも 4 月当初から他者への関心をもっており、他者 との関わりの形としては他児と同じ動きを楽し む身体的なレベルでの関わりが多く見られた。 また、4 月当初は自分の動きを表す擬音語や「見 て」といった短い発話で自己表現をする事が多 く見られた。そしてその後、S 郎と M 代で時 期は多少前後するが、5 月下旬にかけて遊びの なかで他児のことばを受けた簡単な発話や、自 分の思いやイメージを表現することが見られ始 める。6 月上旬頃になると、遊びの中での他児 の発言の受け止めや自分の思いの表出がさらに 豊かになり、遊び自体も継続され展開されるよ うになる。これらから、3 歳入園児が他児との 関わりを作っていく過程では、動作や感覚等身 体的なレベルでの共有がまず行われ、それが基 盤となりながら、ことばのレベルでの自己表出 が始まって来ること、そして、そのように表出 されたことばが次第に他児によって受け止めら れるようになり、また、他児のことばを自分も 受け止められるようになって、進行中の遊びの テーマやイメージがよりはっきりと認識され共 有されるようになることがうかがわれる。また、 そのように他児を受け止め自分を表現すること が可能になっていく過程には、他児に先駆けて S 郎や M 代の発想や思いを受け止め、また一 方では子ども同士の関わりの要となって場の共 有や関わりを支えている保育者の存在が大きな 役割を果たしていることが認められる。  一方、4 歳での入園児についてみると、今回 観察対象とされた 2 名も 4 月の入園当初から新 しい環境や他児の遊びに関心を持ちながらも、 他児と一緒に遊びを続ける関係はまだ築けてい なかった。しかし、その後の他児への関わりの 仕掛け方には違いがあり、T 男が他児との相互 模倣などを基盤として比較的スムーズにテーマ のある遊びを共有できる関係を築いていったの に対し、K 子は他児の思いに沿わない関わり方 を重ねたことで他児から避けられる時期がしば らくあった。3 歳での入園児については他児と の間でそのような摩擦が顕著に見られることは なかった。発達過程においては、心の理論の獲 得や表象操作の顕在化など 4 歳頃から幼児期後 期としての特徴が見られることが指摘されてお り、4 歳頃になると自分の意図や計画性をそれ 以前の年齢よりもはっきりと持つようになって いることも考えられる。他児と新しい関係を築 く際にも、場合によってはその事が他児との間 で意図のぶつかり合いを生じさせるといったこ とにつながるのかもしれない。その意味で、4 歳での入園児については、他児との関わりを築 いていくためには、他児の気持ちを理解し受け 止めて自分の行動を調整していくことが重要な 要素となってくることが考えられる。  ただ、4 歳入園児についても、関係が作られ ていく初期の段階では身体レベルでの共有が多 く認められ、その後、ことばでの自己表現や他 児のことばの受け止めが増加していく、という 過程は3歳入園児と共通していた。すなわち、 他者との関わりを築いていく過程においては、 動作や感覚等身体的なレベルでの共有がまず行 われ、それを基盤としながらことばのレベルで の自己表出が増えていくこと、そして、遊びの 深まりも同時に進行しながら、表出が他児から 受け止められ又自分も受け止めることが増加し ていく、という形で進んでいくというプロセス は、3歳入園児、4歳入園児で共通していると 考えられる。また4歳児では3歳児ほど顕著で はなかったが、いずれの場合も、保育者がその プロセスを支えていることも共通して認められ た。  しかし一方で、4歳入園児については自分の 意図が既にある程度できているなどの発達上の 特徴から、入園当初の他児との関係作りにおい

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ては、3歳児とは異なる要素が重要であること も示唆された。このことは、他者と関わりを持 ち始める子どもの年齢や発達上の特徴によって 影響を与える要素に相違があることも示唆して いる。  今回は研究対象が3歳児、4歳児の各2名と 限られており、観察も入園後3ヶ月間のみにと どまっている。今後、より多様な年齢の子ども たちを対象に、より長期にわたる観察を行うこ とで、本研究で示唆されたこれらの点について さらに検証を重ねていく必要がある。 引用文献 藤井洋子.(1981).他者との関連における“自己”: 幼児の対人行動に関して.島根女子短期大 学紀要,19,63-69. 岩田恵子.(2011).幼稚園における仲間づくり : 「安心」関係から「信頼」関係を築く道筋 の研究.保育学研究,49,157-167. 無藤隆.(1996).幼児同士の付き合いの成立過 程の微視発生的検討.人間関係学研究,3, 15-23. 大野圭子.(2000).4 歳児の幼児と保育者との 人間関係の形成について:一学期間の新入 園児 I 子と進級児 H 子の事例を通して.日 本保育学会大会研究論文集,53,86-87. 斎藤正典・大山沙織.(2004).幼稚園生活にお ける幼児の自己発揮と幼児のかかわり.盛 岡大学紀要,21,65-74. 謝文慧.(1999).新入幼稚園児の友だち関係の 形成.発達心理学研究,10,199-208. 高月教恵・松岡知子.(2006).子どもの人間関 係の育ちと教師の関わり方についての一考 察:入園当初の 3 歳児を中心に.新見公立 短期大学紀要,27,127-135. 謝辞  本研究にご協力いただいた幼稚園児の皆さ ん、先生方に深く感謝申し上げます。 付記  本研究は、第一著者の平成 26 年度滋賀大学 卒業論文に加筆、修正をしたものである。

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参照

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