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脳幹脳炎の3症例 : 脳幹脳炎の概念,分類,診断に関する考察

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(1)

脳幹脳炎の

3

症例

(東女医大誌第54巻 第10

)

頁 1106~1111昭和59年10月

一脳幹脳炎の概念,分類,診断に関する考察-東京女子医科大学脳神経センター 神経内科学教室(主任 丸山勝一教授〉 シパガキ ヤスロウ オ オ タ コウヘイ タ ガ ミ ノ リ コ 柴 垣 泰 郎 ・ 太 田 宏 平 ・ 田 上 紀 子

平松

まき・大津美貴雄

コ パ ヤ シ イ ツ ロ ウ タケミヤ ト シ コ マ ル ヤ マ シ ョ ウ イ チ 助 教 授 小 林 逸 郎 ・ 助 教 授 竹 宮 敏 子 ・ 教 授 丸 山 勝 一 ( 受 付 昭 和59年 8月2日〉

3 Cases of Brainstem Encephalitis

-Discussion of the Definition

Classification

and Diagnosis of Brainstem

Encephalitis-Yasuro SHIBAGAKI, M.D., Kohei OTA, M.D., Noriko TAGAMI, M.D., Maki HIRAMATSU, M.D., Mikio OSAWA, M.D.,

I

t

suro KOBAYASHI, M.D.,

Toshiko T AKEMIY A

M.D. and Shoichi MARUYAMA

M.D. Department of Neurology (Director: Prof. Shoichi MARUYAMA), Neurological Institute

Tokyo Women's Medical College

Three cases of encephalitis of unknown etiology which is located mainly in brainstem (so called brainstem encephalitis) are presented. And the definition, c1assification, and diagnosis of brainstem en -cephalitis are discussed.

Case 1: A 54-years-old woman developed multiple cranial nerve involvements, pyramidal signs, sensory disturbance, and cerebellar signs accompanied with fever.CSF examination revealed lymphocytic pleocytosis and high level of protein. These symptoms improved abraptly, but th巴right12th nerve in

-volvement persists.

Case 2: A 17ぅrears-oldboy developed various brainstem involvements and cerebellar signs ac -companied with high fever.Bilateral 7th and the right 12th nerve involvements persist.

Cases 1 and 2 are not consistent with the definition of brainstem encephalitis by Bickerstaff, and suspected due to direct invasion of some virus into brainstem.

Case 3: A 40-years-old man developed chronical1y progressive interectual disturbance, dysphagia, pyramidal signs and cerebellar signs leading to death. Although autopsy was not don,巴CSF, CTscan, and auditory brainstem response indicated encephalitis which is located mainly in brainstem.

The term of brainstem encephalitis should be used only for unkown etiology of encephalitis, located mainly in brainstem. In addition, it is suggested that acute brainstem encephalitis which is not consistent with Bickersta妊'scriteria are due to direct invasion of some virus into brainstem.

は じ め に

Brainstem encepha

1

i

tis(脳幹脳炎,以降BSE とする〉は1957年 にBickersta妊によって初めて 提唱された名称で、ある.BickerstaffはBSEを, 1106 広範囲な脳幹症状を呈しかっ予後良好な特徴的な 一つの症候群の名称として用いた.しかしそれ以 降BSEとして報告された症例は, Bickerstaffが 症 候 群 と し て 報 告 し た 症 例 と は 違 っ た 側 面 を 持

(2)

ち,脳幹部に主病変が存在する脳炎(以降,脳幹 主坐の脳炎, とする〉とL、う共通点を持つのみで あった. 我々は原因不明の脳幹主坐の脳炎と思われる症 例を3例経験したので,その3例を呈示するとと もに, BSEの概念,分類,診断について考察を加 えた. 症 例 症例 1 H.S.54歳,女性,家婦. 現病歴 は っ き り と し た 前 駆 症 状 な し 昭 和56年4月下 旬より歩行困難が出現し,以後徐々に増悪.

5

月 3日より右顔面の知覚異常が出現. 5月7日より 頭痛が出現. 5月11日当科入院となった. 神経学的所見 意識は傾眠傾向.脳神経系では軽度の,右倶~V , 両側VI,左側

V

I

I

,右側

V

I

I

I

,両側IX,X,右側XIIの 障害を認めた.瞳孔は正常であった.右不全片麻 癖を認め,腫反射は右側で充進していたが,病的 反射は認められなかった.知覚は右半身で低下し ており,協調運動は両側でやや拙劣であった.髄 膜刺激症状は認められなかった. 検査成績 髄液検査では細胞数409/3mm3(N : L= 20 : 377),蛋白100mg/dl,糖69mg/dlであった.CTで は異常所見は認められなかった.眼輪筋反射では 延髄右側の障害を示唆する所見が得られた. 経過 入院2日目より380 Cの発熱が出現し,意識レベ ルは更に低下したが,会話は可能であった.両下 肢に病的反射が出現し,脳神経症状,小脳症状は 更に増悪した.入院6日目より Betamethasone 16mg/日の投与を開始し,以降症状は急速に改善, 9日目には意識はほぼ清明となり, 20日目には右 却を除いた脳神経症状,錐体路症状,知覚障害, 小脳症状は殆んど消失した. 8週後の退院時には右XIIの障害のみを認め,こ れは2年後も残存していた.なお発症時及び 3週 後の血清にて,各種ウイルス抗体価の有意な上昇 は認められなかった 症例2

K

.

T.33歳,男性,会社員. 現病歴 昭和38年11月下旬(17歳入 390 -400 Cの発熱が10 日間持続. この際初期に軽い頭痛,日区吐,傾眠傾 向があった.解熱後体のふらつき,構音障害に気 づし、た.昭和39年

4

月,某大学病院に入院.入院 時協調運動障害,歩行失調,軽度右不全片麻痔, 右上肢の病的反射を認め,髄液検査は細胞数

0

/

m m3,蛋白55mg/dlであった.以降症状に大きな 変化無く,昭和

5

5

年11月19日精査のため当科入院 となった. 神経学的所見 意識清明,知能正常.脳神経系ではごく軽度の, 両側

V

I

I

,右側XIIの障害を認める.四肢に麻癖は 無く,腫反射も正常で,病的反射も存在しない. 知覚は正常で,左側に強し、協調運動障害,歩行失 調を認める. 検査成績 髄液検査は細胞数0/mm3,蛋白207mg/dl,糖46 mg/dlであった.CTでは小脳萎縮が認められた. 眼輪筋反射で、は左右の刺激によって, ともにはっ きりとした波形が得られず,両側羽Iの障害が示唆 された.各種ウイルス抗体はすべて陰性であった. 経過 以降

2

年間半外来にて経過観察中で、あるが,症 状は不変である. 症例3 T.S.44歳,男性,会社員. 現病歴 昭和54年秋頃 (40歳〉より痴呆,易怒性が出現. 昭和55年1月頃より歩行困難,便秘,排尿障害が 出現.以降症状は進行性に悪化し,昭和57年2月 検査のため当科入院となった. 神経学的所見 意識清明,知能は長谷川式で得点16.脳神経系 では膜下障害を認め, 口蓋ミオクローヌスが両側 に存在した.四肢に筋力低下を認め,両側騨反射 は克進し,両側病的反射は陽性であった.知覚は 正常,協調運動は両側拙劣で,失調歩行を認めた. 検査成績 髄液検査では細胞数44/3mm3であり,蛋白71 mg/dl,糖43mg/dlであった.CTでは中脳,橋, 小脳の著明な萎縮を認めた.眼輪筋反射,聴性脳

(3)

1107-幹反応にて脳幹障害を疑わせる所見が得られた. 各種ウイルス抗体価は全て正常であった. 経過 入 院 中 及 び 退 院 後 も 上 記 症 状 は 進 行 性 に 増 悪 し, 58年 5月死亡.剖検は行なわれなかった. 考 察 BSEという名称が最初に用いられたのは, 1957 年にBickersta妊によってである.それ以降多く の症例がBSEと い う 名 称 に て 報 告 さ れ て い る が,その使われ方は混乱しており,①特徴的な症 状を示す

1

つの症候群の名称,②原因は何であれ, 単に脳幹部の炎症の意味,の二通りに用いられて いる(表1). Bickersta妊 及 び そ の 一 派1)-3)の提唱する BSE (以降Bickerstaff'stypeの BSEとする〉の概念 は,①全身倦怠感等の前駆症状を伴なう.②瞳孔 散大,眼球運動障害を含む両側対称性の脳神経症 状,両側の小脳症状を呈する.③時に錐体路症状, 知覚異常を呈する.④全身腫反射は低下すること が多い.⑤明らかな発熱,髄膜刺激症状を呈さな い.⑥髄液検査は一定の傾向を示さない.⑦3カ 月から18カ月程で症状の完全な回復を見る.⑧剖 検例にては,脳幹部に主病変を持つ炎症所見が認 められる,というものである.Bickerstaff's type のBSEの こ れ ら の 症 状 は Miller-Fisher syndromeと非常に近似しており,鑑別がしばし ば問題となる所であるが, AI-Din3

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Barotini4) は両者は殆んどOverlapする疾愚であり,病変は 脳幹に存在するとしている.そしてその根拠とし て, M

i

1

1

er-Fisher syndromeとして発表された症 例にて

CT

上脳幹部に病変を認めた症側があるこ と,全身の臆反射の低下は脳幹部の病変でも説明 表 iBrainstemencephalitisJの 名 称 の 概 念 (1)特徴的な症状を示す1つの症候群の名称として ①Brainstem encephalitis(Bickerstaff's type) ④ 原 因 不 明 な も の ⑤ウイノレス感染との関連が疑われるもの (Herpes simplex virus) ②Brainstem encephalitis(飯塚〕 (2)原因は何であれ,単に脳幹部の炎症の意味にて ① Herpetic brainstem encephalitis ② Paraneoplastic brainstem encephalitis 出来ること,運動失調は深部感覚の異常というよ りも脳幹部の小脳路の障害と考えられること等を 挙げている.そして AI-Din3)は病因として, Guil -laine-Barre syndromeと同様に自己免疫学的機 序を推定し,中枢神経系に強く病変が出たものが Bickerstaff's typeの BSEの型をとるのではない かと考えている.自己免疫学的機序の関与を推定 する根拠としては,①発熱,髄膜刺激症状を呈す ることは少なく,また呈したとしても明らかでな いこと,②両側対称性の脳神経症状を呈すること が多いこと,③髄液所見ではウイルス性脳炎に比 し細胞数が少ないこと,④症状の完全な回復を見 ること,等を考慮、しているものと思われる.本邦 でのBickersta任'stypeの BSEの 報 告5)6)は 少 な く,この理由として, M

i

1

1

er-Fisher syndromeと して報告された症例中に含まれている可能性が考 えられる. 一方, 1963年に飯塚7)はBickerstaff's typeの BSEとは全く異なった症候群,非定型脳炎群のな か で 慢 性 進 行 性 に 脳 幹 を 侵 す 原 因 不 明 の 脳 炎 を BSEとして提唱している.その臨床的特徴は,① 頭痛,めまい等の前駆症状を伴う,②多彩な脳神 経症状,錐体路症状を呈する,③錐体外路症状, 痴呆,産李は呈さず,④末期を除いて意識はほぼ 清明に保たれる,⑤髄液に炎症所見が認められる, というものである.しかしそれ以降に報告8ト 凶16) された,慢性に進行する原因不明の脳幹主坐の脳 炎(以降Chronicprogressive BSEとする〉の症 例中には,飯塚の主張した臨床的特徴からはずれ る 症 例 錐 体 外 路 症 状 , 痴 呆 , 窪 李 , 早 期 よ り の 意識障害等を呈する症例,髄液所見が正常である 症例ーが数多く存在し,飯塚の提唱した BSEと の区別も明確ではない.また飯塚の症例も含めて Chronic progressive BSEは,病理学的にも同ー とは言えず, 1975年に石野1叫土,灰白質脳炎,脱髄 性脳幹炎,壊死性脳幹炎の 3型に分類している. 恐らく Chronicprogressive BSEの 病 因 は 多 岐 であり 1つの疾患単位にまとめることは出来な いものと思われる. 以上はBSEを,特徴的な症状を示すーっの症 候群の名称として用いた例で、ある. -1108ー

(4)

一方

BSE

が,原因は何であれ単に脳幹部の炎 症 の 意 味 で 用 い ら れ た 例 と し て ,

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BSpO)

等の例がある. これまで述べて来た如く,

BSE

なる名称は様々 な意味で用いられてきた.1979年に飯塚15)は

BSE

なる名称は,原因不明の脳幹主坐の脳炎の総称と して用いるべきであり,原因の明らかな脳炎は当 然、別に分類すべきだと主張した.そして飯塚はこ の定義による

BSE

を,①急性一亜急性に経過し 予後良好な群,②慢性進行性に経過し予後不良な 群,の二つに分類した.この内,①は

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BSE

に合致し,②は飯塚の提唱した

BSE

に当てはまるものである.しかしこの分類も 完全なものとは言えず,例えば

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BSE

の全てが飯塚の提称する

BSE

の範ちゅ うに収まるもので、はないことは既に述べた通りで ある. 今回の我々の症例のうち,症例

1

は急性の経過 を呈した原因不明の脳幹主坐の脳炎の

1

例であ る.しかし,明らかな発熱を呈したこと,ごく軽 度の眼球運動障害のみを呈したこと,左右不対称 の脳神経症状を呈したこと,右XII神経麻痔の後 遺症を

2

年以上にわたり残していること,髄液検 査でリンパ球のかなりの増加を見たこと,等の点 で

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BSE

とは異なった全体 像を示した.

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を含む各種ウイルス 抗体価の有意な上昇は認められなかったものの, 以上のような臨床症状はウイルス

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)

の直接感染によって引き起こされた脳 幹主坐の脳炎川-19)21ト 25)により近いものである. また

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x

による脳炎にて抗体価の上 昇を検知出来ない症例も存在すること

2

6

1

臨床症 状よりウイルス性脳炎と診断し得る症例では何ら かのウイノレス抗体価の上昇を確認し得ないことが むしろ多いこと等の事実がある.以上より本症例 は何らかのウイルスによる脳幹部への直接感染が 最も疑われた. 症例

2

も,急性の経過を呈した原因不明の脳幹 主坐の脳炎の l例である.主病変の存在部位は, 発症時の症状がはっきりしないため後遺症より推 測せざるを得ない.本症例の後遺症として脳神経 症状,小脳症状は明らかであるが,知能障害,精 神症状等は存在しないこと,また眼輪筋反射にて 両側

V

I

I

神経障害が示唆されたこと,以上より主病 変は脳幹に存在したと診断した.はっきりとした 後遺症が20年以上に渡り残存していることより

B

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BSE

は考えにくく,症例

1

と同様に何らかのウイ/レスによる脳幹部への直接 感染が最も疑われる.発症時のウイルス検索は行 なわれていないが,現時点では急性の原因不明の 脳幹主坐の脳炎と診断ぜざるを得ないと思われ る 症例3は慢性進行性の経過を呈した原因不明の 脳幹主坐の脳炎と思われる

1

例である.剖検は行 なわれず,脳幹部に炎症が存在する確診は得られ なかったものの,臨床症状,脳幹部電気生理学的 検査,及び

CT

所見にて脳幹障害が認められたこ と,髄液に炎症所見が認められたこと等より脳幹 主坐の脳炎と診断した.本症例は飯塚の提唱した 概念からはずれているが,

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BSE

の範ちゅうに入るものと思われた. 以上述べてきた如く,

BSE

なる名称の使われ方 は様々であり,原因不明の

BSE

に隈って見ても 種々の病態が存在し,多数の疾患が混在している ものと思われる.このような混乱を避けるために は,飯塚の主張した如く,

BSE

なる名称は原因不 明の脳幹主坐の脳炎に限って用いるべきと考え る.広範囲な脳幹症状を呈する他の疾患を否定す べく, ウイルス検索を含む各種検査を施行し,病 因 と な る も の が 認 め ら れ な か っ た 症 例 に の み

BSE

と診断すべきである.そして

BSE

を,急性の 経過を呈するもの,慢性進行性の経過を呈するも の,の

2

型に分類し,急性のもののうち,

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ら の 述 べ た 概 念 に 一 致 す る も の の み を

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BSE

と診断すべきである. 急性の経過を呈する

BSE

にて

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a

妊らの 概念に一致しない症例は, このうちいくつかは何 らかのウイルスの脳幹部への直接感染によりヲ│き 起こされていると推測されるが,“

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eBSE"

と 診断するにとどめて置くのが良いと思われる.ま た慢性進行性の経過を呈する

BSE

には様々な病 態が存在し,異なった病理学的所見が認められ, 1109ー

(5)

表2 Brainstem encephalitis(脳幹脳炎〉の定義・分 類 O定義ー原因不明の脳幹部に主病変が存在する脳炎 O分類 ・急性の経過を呈するもの ① Brainstem encephalitis(Bickersta任'stype) 〔宇Miller-Fisher syndromeわ [何らかのウイルス抗体価の上昇を伴うもの ウイノレス抗体価の上昇を伴わないもの ② "Acute brainstem encephalitis" 〔何らかのウイノレスの脳幹部への直接感染7) ・慢性進行性の経過を呈するもの ③ "Chronic progressive brainstem encephalitis" (髄液中に炎症所見の認められるもの 髄液中に炎症所見の認められなL、もの 単一の疾患とは考えにくいことは先に述べた通り である.現時点でで、は↑慢蔓性進行性の経過を皇する BSEは ざるを得ないと思思[われる〔表 2)入

.

ただし BSEをこのように定義,分類したとし ても,診断に関しなおいくつかの間題点が存在す る. 1つはBickerstaff'stypeのBSEに自己免疫 学的機序の関与が推測され, ウイノレス感染がその 引き金となっている可能性があるということであ る.実際Herpes抗体価の上昇を伴ない Bicker-staff's typeのBSEが発症してきたとの報告3)5)6) がし、くつか存在する.このため何らかのウイルス 抗体価の上昇を認めたとしても,それだけでは

Bickersta妊'stypeのBSEなのかウイルスの脳幹 部への直接感染なのかを鑑別することはできな い, とし、う問題点が存在する.

二つ目の問題点は, Chronic progressive BSE

にて髄液に炎症所見の認められない症例13)の診断 は非常に困難であるということである.このよう な症例では,広範囲な脳幹症状を呈する他の疾患 を鑑別することは往々にして非常に難しく,最終 的には病理学的な診断に頼らざるを得ないと思わ れる. 今後BSEの病因,定義,分類,診断等に闘し更 なる研究,検討が必要と思われるが,最近におけ るC T,NMR, Positron C T等の進歩, ウイルス 検索法の向上,脳幹部電気生理学的検査の発展に より,この方面に関し急速な進展が期待し得ると 思われる. 結 圭五 回 回 1)脳幹部に主病変が存在すると思われる原因 不明の脳炎(脳幹脳炎〉の3症例(急性2例,慢 性進行性

1

例〉を報告するとともに,脳幹脳炎の 概念,分類,診断に関し考察を加えた. 2)急性の経過を呈する脳幹脳炎でBickerstaff らの概念に一致しない症例は,何らかのウイルス の脳幹部への直接感染に起因する可能性のあるこ とを示唆した. 1110ー 文 献 1)BickerstaI,f E.R.: Brain目stem encephalitis

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U

.

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