328 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(103)イガラシヒロァキ
裕章(昭和
博士(医学) 乙第1350号 平成5年2,月19日学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
膵・胆管合流異常における胆嚢壁の持徴的変化に関する研窄一画像および病理 組織学的所見について一 (主査)教授 小幡 裕 (副査)教授 羽生富士夫,白坂 龍鑛論 文 内 容 の 要 旨
目的 膵・胆管合流異常(以下合流異常)では,胆道系悪 性腫瘍の合併率が高く,その早期診断が重要である. 今回合流異常症例の画像所見に注目し,・病理組織学的 所見と対比し,画像所見が合流異常,特に従来診断困 難とされてきた胆管非拡張型合流異常の早期発見に寄 与しうるかどうか検討した. 方法 対象は,合流異常15月半,男性6例,女性9例,年 齢は3~51歳(平均25.5歳)である.胆管形態は,総 胆管拡張型12例(嚢腫状8例,非嚢腫状4例)胆管非 拡張型3例であった. 検討項目 1.画像検査所見 1)超音波像(ultrasonography,以下US) 合流異常群と対照群の胆嚢壁について,厚きを計測 し,肥厚例(3mm以上)では,層構造を検討した.使 用探二子は3.5MHzである. 2)胆嚢造影像(内視鏡的逆行性胆道造影,endos- copic retrograde cholangiography,以下ERC) 合流異常群と対照群のERCにおける胆嚢像(特に 粘膜像)を検討した. 2.病理組織学的所見 合流異常群と対照群で胆嚢壁を比較検討した.全例 手術例で,検索は肝側胆嚢壁で行った. 3.合流異常胆嚢壁iのUS像, ERC像,組織像の相関 を検討した.結果
1.US像では合流異常群の87%(対照群は4%, p〈 0.001)に胆嚢壁の肥厚が見られ,肥厚例の54%は2層 もしくは3層構造を呈していた.ERC像では合流異常 の93%(対照群は10%,p<0.001)に胆i嚢粘膜面の毛 羽立ち像(細かい凹凸)が見られた.. 2.病理組織学的検討では,合流異常群の85%に粘膜 層の肥厚(0.9mm以上)が認められ,その成因は過形 成で胆嚢全体にみられた.対照群には肥厚例は見られ なかった.筋層は両群間で差異を認めなかった. 3.合流異常群において,USでの壁肥厚例, ERCで の毛羽立ち例は,病理組織学的な粘膜過形成例とよく 一致した.考察
合流異常群では,US上胆嚢壁肥厚が,またERC上 胆嚢粘膜面の毛羽立ち像が認められた.これらの画像 .所見は病理組織学的検索より,合流異常胆嚢粘膜の過 形成が原因であると考えられた.粘膜過形成は胆石例 でも見られることがあるが,その場合は限局性で,中 等度以上の炎症性変化や円柱上皮の重層化を伴うこと が多く,合流異常例とは趣を異にしている. US上壁肥厚は合流異常に特異的な所見ではなく, 肝・胆嚢疾患例でもよくみられるが,画像,血液生化 学,および臨床所見等で鑑別は可能と考えられ,US上 の壁肥厚所見が合流異常の早期発見,早期治療に繋が るものと思われる. 結語 一962一329 膵・胆管合流異常における胆嚢壁では粘膜過形成に より,US上肥厚が, ERC上毛羽立ち像が見られた. そのUS所見は,合流異常,特に胆管非拡張型の早期診 断のためのスクリーニング方として有用であると思わ れる.