九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
DC-DCコンバータの並列動作における制御性に関する 研究
小浜, 輝彦
https://doi.org/10.11501/3154825
出版情報:Kyushu University, 1999, 博士(工学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
DC-DCコンバータの並列動作における 制御性に関する研究
平成1 1年3月
九州大学大学院
システム情報科学研究科
小浜 輝彦
目次
まえがき…・...1
第1章 序論...4
1.1 DC-DCコンバータの概要...4
1.2 スイッチングコンバータの基本動作....・H・...4
1.2.1 降圧形コンバータ... 7
1.2.2 フォワード形コンバータ.…...7
1.2.3 アクティブクランフ方式フォワード形コンバータ…...・H・..…...・H・...10
1.3 同期整流回路...12
1.4 DC-DCコンバータの並列動作の特長…・・…...・H・..…...・H・-…....・H・H・H・-…...・H・.12 1.5 DC-DCコンバータの並列動作時の問題点...・H・...・H・....・H・...・H・...・H・...…14
1.5.1 スイッチング動作に起因する,相互干渉……....・H・-……H・H・...…H・H・...・.14
1.5.2 電源、モジ、ユール聞の回路パラメータの差異による電流不均衡.…...14
1.5.3 同期整流回路の異常現象....・H・...16
1.6 論文構成…H・H・...…...・H・-…・・...16
第2章
並列コンパータシステムにおける新方式位相周期回路…...・H・...・H・..192.1 序論…H・H・-…H・H・...……H・H・...・H・...……...・H・-…H・H・...・H・..…・…H・H・..…・・…・…. 19
2.2 位相同期回路の必要性...19
2.3 位相同期回路...22
2.3.1 従来の同期方式…H・H・-…H・H・...・H・...・H・...…...・H・-…...・H・-…・・…...22
2.3.2 提案する同期方式...26
2.3.2.1 提案する同期方式の概念.…...・H・...……H・H・...・H・...…・・…..t..・H・..…・…26
2.3.2.2 発振回路の動作原理……H・H・...・H・...・H・...……...…・…H・H・-…...・H・..29
2.3.2.3 提案する同期回路…H・H・-…...・H・-…・・…H・H・...・-……H・H・..…・…...・H・.29 2.4 同期回路が並列コンバータシステムに及ぼす影響……...・H・...・H・....・H・...35
2.4.1 静特性.……H・H・..…・…H・H・-…H・H・... 35
2.4.2 同期回路によるマスターモジ、ユール停止時の過渡応答への影響… 35 2.5 2章の結論……...・H・...……H・H・-…H・H・-…...・H・...・-…・・H・H・...・H・...・H・....・...43
第3章
電流バランス制御を用いた並列コンパータシステムの動作特性……443.1 序論..…...・H・...44
3.2 並列システムの静特性...45
3.2.1 電力変換回路...・H・-……・・…H・H・...……...・H・-…H・H・...…・…....・H・-…....・H・..45
3.2.2 制御回路…H・H・-……H・H・-…..…H・H・-…H・H・...…・…・・…...・H・...…....・H・..…・・….49
3.3 並列システムの動特性...54
3.3.1 電力変換部の小信号モデ、ル.・……H・H・-…・・・・………・…・・・…・…...・H・-・....・.54
3.3.2 制御回路の伝達特性...・H・-…H・H・..…...57
3.3.2.1 理想的な比例制御…………H・H・...・H・...・H・..…・…...…...……H・H・.57 3.3.2.2 位相遅れを有する比例制御..…...・H・...57
3.3.3 並列システムの動特性…...・H・....・H・-…...・H・...・H・...・H・...・H・-…....・H・....・H・...58
3.3.4 負荷変動時の電流バランス特性....・H・-…...・H・-……・…...・H・..…....・H・....・H・.60 3.3.5 電流バランス制御の安定性...60 3.4 3章の結論.・…...66 第4章 同期整流回路を用いた並列コンバータシステムの異常現象の解析とその
抑制方法...・H・...67 4.1 序論...・H・-…・・…・・…H・H・-…..…H・H・...,・H・...67 4.2 並列接続された同期整流回路の問題点…・...67 4.2.1 MOSFETの双方向性による電力逆流現象………....・H・...・H・...・H・-….67 4.2.2 同期整流回路の自励発振現象...69 4.3 低周波自励発振の解析…・・…H・H・-…H・H・...・H・..…・...・H・...…...・H・...……H・H・...75 4.3.1 状態、L1 (vc >0,状態H1と 状態、H2を含む)………H・H・....・H・-…...・H・.75 4.3.2 状態、L2(vc <0,状態H3と状態H4を含む)…H・H・-………H・H・-…H・H・...78 4.3.3 状態、L1及び状態、L2 の期間と初期値……H・H・-……H・H・-…H・H・...・H・.80 4.3.4 実験による確認・…....・H・..…・...・H・....・H・-…・……..…...・H・-…H・H・...・H・...・H・...81 4.4 高周波自励発振の解析…H・H・...83 4.4.1 状態1 (SR1:0FF, SR2:0N, Q1:0FF,Q2:0FF)………H・H・-……83 4.4.2 状態、II (SR1:0N, SR2:0FF, Q1:0FF,Q2:0町)…..…・・…...・H・-…H・H・-…87 4.4.3 状態、III (SR1:0N, SR2:0FF, Q1:0N,Q2:0FF)…...・H・-…H・H・...,・M・-・・88 4.4.4 状態、IV (SR1:0N, SR2:0FF, Q1:0町,Q2:0FF)…H・H・...・H・-…H・H・-…88 4.4.5 最大電圧ストレスと自励発振周波数...・H・-…...・H・-…・・・…・・・…・…・…...89 4.4.6 実験結果との比較…...・M・-…H・H・-…H・H・-…H・H・...・H・-…H・H・...・H・-……90 4.5 自励発振現象を抑制した新しい同期整流回路………....・H・....・H・-…...・H・-….95
4.5.1新同期整流回路の導出手JI民...95 4.6 電流バランス制御による電力逆流現象および自励発振現象の防止… 100 4.7 4章の結論...・H・...……・・・…・...・H・...……H・H・...・H・-…・・・・……H・H・-…H・H・-…・・…10 3 第5章 結論...104 謝辞....・H・-…...106 参考文献.…...107
まえがき
近年の半導体集積回路技術及び電子部品の実装技術の著しい発展に伴い,各種 電子機器本体は小形化,省エネルギー化が急速に進んでいる. それに伴い,電子 機器の電源部分に対しても同様な要求がなされ,電源回路の小形化,高効率化が 強く望まれてきた. しかし,従来の連続制御方式による電源、では, これらの要請 に応えるのは困難であった. そ こで, 連続制御方式に代わり, 小形, 高効率の要 求を満足する電源、として現れたのがスイッチング方式による電源即ちスイッチ ング電源である. スイッチング電源は 基本的には トランジスタの高速なス イッチング動作により入力電圧を任意の電圧ヘ変換する電力変換部分と,出力電 圧制御用の帰還回路から構成されており 小形 軽量,高効率といった特徴を有 している. このため現在の民生用 産業用を問わずあらゆる電子機器装置にス イッチング電源が用いられてきている.
これまでのスイッチング電源は電子機器の設計段階においてその回路規模に 応じた電流容量を決定し 個別に設計を行ってきたが 最近では 標準化された スイッチンクゃ電源モジ、ユールを並列動作させることにより所要の電源容量を実現 する方法がとられるようになってきた.この理由として以下の事項が挙げられる.
まず第一に電源、設計を柔軟にするためである. 前述の通り 電子機器が必要 とする電源装置の電流容量は回路規模に依存するため,これに見合った最適電源 を得るには新たに電源設計を行わねばらなず 設計者にとって煩雑で、あった. そ こで,電流容量の異なった数種類の電源モジ、ユーノレを標準化し, これらの組合せ によって所要の電流容量を容易に得ることが可能となり 設計に要する時間が大 幅に短縮される利点がある.第二の理由として大容量電源の実現が容易な点であ る.例えば,大型コンビュータに代表される大型の情報処理装置は集積化技術に よる半導体素子の高密度化により電流容量が千アンペアを超える場合もあり,こ のような用途の電源を一台で構成しようとしても大電流による電流ストレス及び 熱損失の増大使用する部品コストの増大等により現実的で、はない. むしろ, 中 容量の複数台の電源モジ、ユールを並列接続することで電流を分担し,電気的・熱 的ストレスの分散化を行う ことにより実現が容易となる. さらに,第三の理由と して並列接続時において冗長系を構成することにより高信頼性の電源を構築でき
るからである.例えばN+l冗長系を構成することにより電源モジ、ユールの一台が 故障した場合でも継続動作が可能となり電源システムの信頼性が向上する.
以上の理由によりスイッチング電源の並列動作が有効であるが,現状では問 題点も多く,スイッチング電源モジ、ユール間のノイズ干渉 基準電圧の差異に起 因する電流不均衡,低電圧出力電源の異常現象などが発生するため,これらを抑 制する技術開発が重要課題である.
本論文はスイッチング電源の中でも直流から直流への変換装置であるDC-DC コンバータの並列動作時において発生する上記問題の詳細な原因究明及びそれら の抑制方法について論じたものであり 5章から構成されている.
第1章は序論であり 初めにスイッヂング電源の中でも直流から直流への変 換装置であるDC-DCコンバータの基本動作と並列動作についてのその特徴お よび問題点を概説した.
第2章では,並列動作の問題点の一つであるスイッチングノイズによる相互 干渉の抑制方法として 新しい位相同期回路を提案し その有用性を示した. ま ず\従来から使用されている位相同期方式についてその動作を概説した. 次に,
これらの従来方式を並列動作時に用いる場合に制御性の面で不十分で、あることを 述べ,これらに代わる並列動作に適した新方式の位相同期回路を提案し,その有 用性を示した. また 位相同期回路を付加することにより過渡時に生じる時比率 変動の影響について考察し これが一般の用途では問題ないことを示した.
第3章では,DC-DCコンバータの並列動作時に生じる電流不均衡を抑制 する電流バランス制御回路についてその詳細な動作解析を行った. その結果,ま ず定常特性において電流バランス特性と回路パラメータとの定量的な関係が明ら かとなった.次に小信号モデルから動特性を導出し 過渡時における電流バラン ス制御特性とその安定性について明らかにした.
第4章では,低電圧出力のDC-DCコンバータを並列接続した場合の問題 点の詳細を実験により明らかにし その現象を解析した.低電圧出力電源ではダ イオード整流回路による効率低下を避けるため MOS-FETを整流素子とした同 期整流回路が使用される. このコンバータを並列接続した場合に 電力逆流現象 や異常発振現象が観測されることが以前報告されていたがその詳細は明らかで はなかった.特に異常発振現象は回路の破壊や素子の劣化を招くため,この防止
策が必要で、あった. 本章では, この異常発振現象の解析を行い, 回路パラメータ と発振現象との因果関係を明らかにした.次にこの発振現象を防止する新しい同 期整流回路を提案し, その有効性を示した. 最後に, 第3章で述べた電流バラン ス制御回路を適用することにより電力逆流現象が防止できることを示した.
第5章は以上の研究を総括した結論である.
第1章 序論
本章では, まず, DC-DCコンバータの基本動作を説明し, 降圧用途に適した フォワード形コンバータ及びその変形であるアクティブクランフ方式フォワード 形コンバータについてその動作を説明する.次に 低電圧出力電源の整流回路に 適した同期整流回路について解説する.最後にこれらの電源モジ、ユールを並列接 続した場合に想定される諸問題について概説する.
1.1
DC-DCコンバータの概要
電子機器の小形・軽量化の流れ, 数量の 増大に伴う省電力への要請などを背景 に, 現在, その電源、部分として小形 ・ 軽量・ 高効率のDC-DCコンバータが広く 用いられている. 図1-1に示すように,DC-DCコンバータは, 電力変換を行う スイッチングコンバータ(1)と出力を安定化する制御回路から構成されている. ス イッチングコンバータでは,半導体をスイッチとして用い, そのオン・オフの周 期動作により出力電圧を調整する回路であることから 高い電力変換効率が実現さ れ, 高周波でオン ・オフすることにより重量・体積の点で支配的なフィルタの小 形化が可能となっている.
1.2
スイッチングコンバータの基本動作
図1-1のDC-DCコンバータの基本構成において スイッチングコンバータ の出力電圧Voは スイッチ素子のオン時間の割合を表す時比率Dによって制御 される. 出力電圧を安定化する制御回路においては まず 出力電圧Voと基準 電圧Vrefが比較され その差が増幅され誤差電圧として出力される. この誤差電 圧は,時比率変換回路により時比率の大小に変換され図1-2に示すスイッチの 制御パルスとしてスイッチングコンバータの主スイッチを駆動する.同図におい て, Tonは主スイッチ素子のオン期間, Toffは主スイッチ素子のオフ期間である.
主スイッチ素子としては扱う電力によっても異なるがバイポーラトランジス タや電解効果トランジスタ(FET)が広く用いられている.スイッチング周波数は,
可聴周波数を避けるため20kHz以上の周波数が選ばれるが近年のスイッチ素子 の発達に伴ってスイッチング周波数が高周波化され, 1阻Izを超えるスイッチン グコンバータも製作されている.
直流入力電圧
Vi スイッチング コンノミータ
直流出力電圧
Vo
基準電圧
Vref
図1 - 1 DC-DCコンバータの構成 Fig.l-l Configuration of DC-to-DC converter.
-.r Ton
ーーー ・ ON
Toff
;ヨ Ts
---.
図1-2 スイッチの制御パルス
Fig.1-2 Control signal for main switch.
OFF
ここで,スイッチングコンバータの回路方式は, 2つの型に大別できる.ひと つは主スイッチのオン期間に入力からのエネルギーをリアクトルに蓄え,オフ期 間にそれを出力ヘ放出するもので,エネルギー蓄積方式と呼ばれる.もうひとつ は, 直流を�_a交流の矩形波に変換した後,整流・平滑して再び直流出力を得る インバータ整流方式である.インバータ整流方式は 平滑回路を含めるとエネル ギー蓄積方式と同ーとみなすことができる.
1.2.1
降圧形コンバータ
ここでは,図1-3に示すリアクトル蓄積方式のひとつである降圧形コンバー タについてその入出力電圧の関係を簡単に述べる.説明においては,トランジス タ, ダイオードは理想的なスイッチとし, 相補的にオン・ オフするものとする.
またスイッチングコンバータ内部の損失は無視する.
図1-3の回路において,リアクトル電流Lを流れる電流をL入力及び出力 電圧をそれぞれVi,Voとする. 入出力電圧の関係は, 主スイッチ Q がオンの時 にリアクトルに蓄えられるエネルギー(Vi-Vo) � Tonと,オフ時に出力に放出され るエネルギーVo �To任が等しいとおいて得られる式から次のように表される.
VO _ Ton _ Ton _ Vi - Ton + TOff - Ts -L/
ここで, 時比率Dは1より小さいので 出力電圧は入力電圧よりも低くなる.
、‘a'''噌EA噌'A〆,.‘、
このため,電圧を下げる場合に用いられる.降圧形コンバータは帰還時の安定性 が良好なコンバータとして知られている.
1.2.2
フォワード形コンJ�ータ
降圧形コンバータは図1-3から分かるようにスイッチの駆動信号の基準端子
(エミッタ端子)が回路のグランドと異なるため信号を絶縁して供給しなければ
ならず駆動回路が複雑となる. また,入力側と出力側が非絶縁のため回路が故障
した場合に感電するといった安全性の問題もある.そこで これらの問題を解決
したフォーワード形コンバータを図1-4に示す.この回路は降圧形コンバータ
の入出力聞にトランスを挿入することによってスイッチQの駆動信号の基準を入
力電圧と共通にしており駆動回路の構成が容易になる.また 回路が故障した場
合でもトランスによって絶縁されるため安全である.
Vi
L IL
図1-3 降圧形コンバータ
Fig.1-3 Buck type conve口er.
+ Vo
Vi
図1-4 フォワード形コンバータ
Fig.1-4 Forward type converter.
+ Vo
入出力電圧の関係はトランスの巻線比nを考慮することにより,
Vo _D
Vi _ n (1-2)
となる.従って,巻線比によっては,入力電圧より高い出力電圧を得ることや,
大きな降圧比を得ることもできる. ただし トランスの第3の巻線はトランスの 飽和防止のために必要で, 1次巻線をNo' 3次巻線をN1とおくと, 時比率Dは,
D< No
No+N1 (1-3)
で制限される. これは 第2章及び第3章で対象とするコンバータである.
1.2.3 アクティブクランプ方式フォワード形コンバータ
フォワード形コンバータはトランスの飽和を防止するために時比率の制限が あった. これは, 図1-4の主スイッチQのオフ時の巻線開電圧が入力電圧にク ランプされることによって磁束のリセットに時間を要するためであり,大きな時 比率で動作することが難しい. また 一般にトランスの漏れインダクタンスや配 線のインダクタンスによりスイッチのターンオフ時にサージ電圧が発生し,素子 を破壊する. このためサージを抑制するスナバ回路が必要であった. これらを解 決するために図1-5に示したアクティブクランプ方式が提案されている.この 方式では補助巻線に代えてサブスイッチQzとクランプコンデンサCcを付加し,
主スイッチQlとQzを交互にオン ・ オフすることによりトランスの励磁エネル ギーをCcで吸収し 飽和を防止する. また 過大なサージ電圧が発生した場合 でもコンデンサCcによってサージエネルギーが吸収されるためスナバ回路の役 割も果たす. さらに コンデンサCcの容量をある程度大きく設定することによ りQlがオフ時の巻線電圧がVcで、クランフされるため次節で述べる同期整流方式 に適した回路方式である. 図1-5を見るとアクティブクランプ回路は, 入力電 圧をViとし, トランスの励磁インダクタンスをフライバックトランス, Qlを スイッチ, Qzを整流ダイオード, Vcを出力コンデンサとするフライバックコン バータと捉えることができる. 従って クランフコンデンサCcの電圧Vcは主ス イッチQlの時比率をDとすれば,
v v
_ . Z
c一(l-D) (1-4)
し
Vi
+ Vo
図1-5 アクティブクランフ方式フォワード形コンバータ
Fig.1-5 Forward type converter with active c1amp circuit.
で表され時比率に応じてクランフ電圧が変動するため時比率を増大させてもト ランスは飽和しない.
1.3
同期整流回路
最近の電子機器の駆動電圧は従来のsVから3.3Vまたはそれ以下へと低電圧 化の一途をたどっている. このような電源電圧の低電圧化に伴って,スイッチン グ電源においてはダイオード整流回路の損失による 効率低下が問題となってきて いる.この問題を解決するためダイオード素子に代えてオン抵抗の低いMOS-FET を整流素子として用いる同期整流回路が利用されるようになってきた.
図1-6に代表的な同期整流回路を示す.スイッチングコンバータの1次側|口 路によって直流電圧が矩形波電圧 Vsに変換され同期整流回路に入力される.
MOS-FET SRlおよびSR2はそのゲート端子を互いのドレイン端子に接続しVsの 極性変化に同期してスイッチをオン・オフさせ整流作用を行う. VsはMOS-FET の駆動信号でもあるため その振幅Vml及び、Vm2はFETを駆動するに十分でな ければならない.仮に 図1-3のフォワードコンバータに同期整流回路を適用 した場合は軽負荷時において磁束のリセット 期間が減少するためSR2の駆動が不 十分となり効率が低下する.この点図1-4のアクテイブクランフ方式はQlがオ フの期間はVcによって一定電圧に維持されるためスイッチ SR2 を適切に駆動で きる.
1.4
DC-DCコンバータの並列動作の特長
スイッチングコンバータは小形・軽量・高効率を特長とする電源、であり,今日,
民生用,産業用を問わずあらゆる電子機器に使用されている. 一般にスイッチン グ電源は電子機器の設計段階においてその回路規模に応じた電流容量を決定し,
個別に設計を行うが最近では 標準化されたスイッチング電源を並列動作させ ることにより所要の電源容量を実現する方法がとられるようになってきた.この
理由として以下の事項が挙げられる.
まず第一に電源、設計を柔軟にするためである.前述の通り 電子機器が必要 とする電源装置の電流容量は回路規模に依存するため これに見合った最適電源 を得るには新たに電源、設計を行わねばらなず 設計者にとって煩雑であった.そ こで,電流容量の異なった数種類の電源装置を標準化し これらの組合せによっ て所要の電流容量を容易に得ることが可能となり設計に要する時間が大幅に短
SR1
QU '''a・IEIH1MOAほ
v vh
+ VSR1-
図1-6 同期整流回路
Fig.1-6 Synchronous rectifier.
縮される利点がある.
第二の理由として大容量電源の実現が容易な点である. 例えば, 大型コン ビュータに代表される大型の情報処理装置は集積化技術による半導体素子の高密 度化により電流容量が千アンペアを超える場合もあり,このような用途の電源を 一台で構成しようとしても大電流による電流ストレス及び熱損失の増大,使用す る部品コストの増大等により現実的で、はない.むしろ 中容量の複数台の電源を 並列接続することで電流を分担し, 電気的・熱的ストレスの分散化を行うことに より実現が容易となる.さらに,第三の理由として並列接続時において冗長系を 構成することにより高信頼性の電源を構築できるからである.例えばN+l冗長系 を構成することにより電源モジ、ユールのー台が故障した場合でも継続動作が可能 となり電源の信頼性が向上する.
1.5
DC-DCコンバータの並列動作時の問題点
以上の理由によりスイッチング電源の並列動作が有効で、あるが 現状では幾つ かの課題が残されている. 以下 これらの課題について概説する.
1.5.1
スイッチング動作に起因する相互干渉
図1-7に示すようにDC-DCコンバータは半導体スイッチのオン・オフを高 速で繰り返すためにスイッチのターンオン ターンオフ時に回路中に存在する漏 れインダクタンスや寄生容量に起因したスイッチングサージが発生する. また,
オンとオフの期間が有限である以上原理的に出力電圧にスイッチングリプルが 現れる. 従って DC-DCコンバータを並列に複数台接続した場合, ある電源、モ ジ、ユールから発生したノイズが他の電源モジ、ユールヘ侵入し誤動作を引き起こす ため,通常, コンバータの入力及び出力端子にノイズフィルタを挿入しノイズを 低減させるが フィルタによるサイズやコストの増大が問題となる.
1.5.2
電源モジュール間の回路パラメータの差異による電流不均衡
DC-DCコンバータは定電圧電源として機能する.これは等価的に理想、電圧源 と出力インピーダンスの直列接続で表現される.一般に 電源、の出力インピーダ ンスは非常に小さく 複数のDC-DCコンバータを並列に接続すると基準電圧や 出力インピーダンスの差異による出力電流のアンバランスが生じ,特定の電源モ ジュールに電流が集中する. 例えばコンバータを2台並列接続したシステム
いv斗~? と十
スイッチング電源モジ、ユール
スイッチング電源モジ、ユール
いv本サて
モジュール#2
図1-7 電源モジ、ユール聞の相互干渉
伝導ノイズ
Fig.1-7 Interference between converter modules.
は図1-8の等価回路で表せられるが,図1-9のように電源モジ、ユール単体の 負荷特性に差異があった場合, モジ、ユール電流101と102の間に差が生じる. この 結果, 電気的・熱的ストレスが一部の電源モジ、ユ-}レに集中し, 並列電源システ ムの寿命や性能を劣化 させる.また一部の電源が過電流保護領域に入ることによ り出力電圧のレギュレーションが悪化 する.
1.5.3
同期整流回路の異常現象
刻1-6の同期整流回路を用いた低電圧出力電源、を並列接続した場合,電源、モ ジ、ユールの出力端子側から入力端子側ヘ電力が逆流する現象が起こる. また, あ る電源、モジ、ユールが動作を停止すると短絡破壊や同期整流回路内部で生じる発振 現象により回路を劣化または破壊させるといった問題が起こる.
1.6
論文構成
以上のようにDC-DCコンバータの並列動作の特長を活かすためには1.5節に掲 げた問題を解決しなければならない.次章以降ではこれらの問題点についてその 詳細を明らかにし その解決方法を提案した.
第2章では,スイッチングノイズによる相互干渉の抑制方法として, 新しい位 相同期回路を提案し その有用性を示した. まず従来から使用されている位相 同期方式についてその動作を概説した.次に これらの従来方式を並列動作時に 用いる場合に制御性の面で不十分で、あることを述べこれらに代わる並列動作に 適した新方式の位相同期回路を提案し, その有用性を示した. また, 位相同期回 路を付加することにより過渡時に生じる時比率変動の影響について考察し,これ が一般の用途では問題ないことを示した.
第3章では,DC-DCコンバータの並列動作時に生じる電流不均衡を抑制す る電流バランス制御回路についてその詳細な動作解析を行った. その結果,まず 定常特性において電流バランス特性と回路パラメータとの定量的な関係が明らか となった.次に小信号モデルから動特性を導出し 過渡時における電流バランス 制御特性とその安定性について明らかにした.
第4章では,同期整流回路を用いた低電圧出力DC-DCコンバータを並列接 続した場合に生じる電力逆流現象や白励発振現象についてその詳細を実験により 明らかにし解析を行った.これにより回路パラメータと発振現象との因果関係を
+ +
EU1 E02
module #1 module #2
図1-8 2台並列コンバータシステムの直流等価回路
Fig.1-8 Equivalent circuit for two-paralelled converter system.
101 102 I O 10[A]
図1-9 2台並列システム(図1- 8)の負荷特性
Fig.1-9 Load characteristics of paralelled converter system in Fig.1-8.
明らかにした.次に自励発振現象を防止する新しい同期整流回路を提案し,その 有効性を示した.最後に,第3章で述べた電流バランス制御回路を適用すること により電力逆流現象が防止できることを示した.
第5章は以上の研究を総括した結論である.
第2章 並列コンバータシステムにおける新方式位相同期回路
2.1
序論
複数のスイッチング電源、から構成される電源システムにおける課題として電源 モジ、ユール聞の相互干渉[叫がある.一般に電源モジ、ユールはスイッチング動作で
あるためにスイッチングノイズやリフルを生じ,これらが他のモジュールヘ伝導 ノイズ・電磁ノイズとして侵入し, 誤動作を引き起こすため何らかの対策が必要 である.一般にはノイズフィルタやシールドを付加してノイズを 抑制するが部品 追加による電源サイズの大形化, コストの増加が問題となる. 他の解決法として スイッチング電源の発振回路の位相同期が有効と言われているが同期回路の 必 要性を詳細に述べた報告は見受けられない. また 同期方法としては特定の発振 器をマスターと定めて他の発振器を強制的に同期させるマスタースレーブ方式に ついての報告[り]があるがマスターが停止した場合にシステム全体が停止または 非同期状態に陥るため並列電源システムのような高信頼化用途には適していない.
並列システム全体の高信頼化実現には従来のマスタースレーブ式同期方式は適し ておらず\任意のモジ、ユールの故障に対して継続動作が可能な同期方式が望まれ る.本章ではこのような高信頼化の用途に適した同期方式を提案し, この方式を 用いて並列電源システムを構成した場合の静特性および過渡応答について検討し た. その結果,本同期方式によりモジ、ユール聞の相互干渉であるビート現象やノ
イズによる誤動作が抑制されることが確認された.
2.2
位相同期回路の必要性
図2-1に対象とする電源システムを示す. 電力変換回路にはフォワード形コ ンバータを使用し これを2台並列接続している. 電源モジ、ユールの電圧帰還制 御には三角波および出力電圧と基準電圧の誤差信号を比較することにより時比率 を得るPWM制御回路を用いている.
図2-2は図2-1の並列システムにおいて各電源モジ、ユールが非同期状態に ある場合の出力電流波形を示している.モジ、ユールのスイッチング周波数が異な るとその差に応じた周波数で出力電流が逆位相で低周波振動(ビート)を起こし ている. このときの振動周波数fbは各電源モジ、ユール#1.#2のスイッチング周波
+
EIN
Co n trol
module #1
IClrcult
Co n trol Clrcult n= 1/3, EIN=50V,Eo=5.1 V
+
Eo
図2-1
フォワード形コンバータを用いた並列電源システム
Fig.2・1 Paralleled converter system with forward type converters.
rγ“!ママナ「門�'�rγ門.,.,..ーマー�'Tγャ"'\""""t"rt"'.�マ?寸-r-:-r,庁、
(
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図2-2 モジュール出力電流のビート振動波形
Fig.2-2 Beat phenomenon observed in module output cu汀ents.
(Eo=5.1 V, Io=Iol+Io2=10.2A)
現象は特に通信機器用電源や音声・画像を扱う電子機器用電源、に使用する場合に 騒音や画像ノイズとして大きな障害となる.このビートの要因としてスイッチン グノイズによる相互干渉が挙げられる.図2-3 (a)は図2-2の振動が生じた並 列システムにおいて一台のモジ、ユール発振回路の三角波出力波形およびスイッチ 駆動波形をデジタルオシロスコープを用いて5秒間重ねて描画した波形である.
また, 図2-3 (b)はノイズによる誤動作の概念図を示している. 本来,正常動作 時には重ね書きされた波形は一致するはずで、あるが三角波にもう一台のモジュー ルから発生したスイッチングノイズが重畳されるためその影響を受けて時比率お よび周波数が変動している. これにより, 出力電圧が低周波で変動するためモ ジ、ユール電流に低周波振動が生じる.
さらに図2-2の電流波形を拡大すると図2-4に示すように高周波の電流振 動が重畳されている.これは各モジ、ユールの出力電圧リフルの位相が異なるニと により生じるモジ、ユールの出力コンデンサ聞のわずかな電圧差に起因した横流で あり, 高周波電流ノイズとなり好ましくない.
一般にパワートランジスタやダイオードのターンオン ターンオフ時にスイッ チングサージが発生し これが制御回路に侵入し誤動作を引き起こす.自己のモ ジ、ユール内で、生じるスイッチングーサージのタイミングは予測可能であるため,
実際の制御IC内部のノイズ対策として半導体スイッチ のターンオン,ターンオフ 時に制御信号を一時的に無効にして誤動作を防ぐといった工夫がなされている(5)
しかし,非同期状態で外部より侵入するノイズに対しては予測不能なためノイズ 対策が難しい.
以上の理由により並列電源システムにおいてスイッチング電源 の誤動作を防止 するためには同期動作が有効で、ある.
2.3
位相同期回路
2.3.1
従来の同期方式
従来のマスタースレーブ方式[州とよばれる同期回路には主に2種類あり, その 概念図を図2-5 図2-6に示す. ここでは3台のモジ、ユールの接続例が示さ れている. 図2-5ではモ、ン、ユール# 1をマスターと定め その発振信号をその まま他のスレーブモジ、ユール# 2. # 3に供給している. このときスレーブモ
ttmgg er:
。 fi、l''σbov -mdカ必0・
・、,F mm1川 'iy、E
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Fδpδ
JtE、
(Time:2.5μsldiv) (a)実験波形
er
v少\ //べ〆1
\lî νvji
VpWM
(a)概念図
図2-3 非同期時の三角波発振器出力波形とスイッチ駆動波形
Fig.2-3 Triangular waveform in con甘01 circuit and driving signal of main switch in module #1 under asynchronous condition.
hvHON(〉)
-1.5 -0.5 0.5
-2
。 1
__ 1.5
〈
。
<l 0.5
。 -0.5
2.5 2
ー2.5 150 200
Time{凶)100
。 50
モジ、ユール出力電流の部分拡大波形
Fig.2-4 Enlarged cu汀ent waveforms in Fig.2-2.
図2-4
Module #1
Module #2
Module #3
図2-5 従来のマスタースレーブ方式の概念図1
Fig.2-5 Schematic diagram of master-slave control method 1.
ジ、ユール内部の発振回路は停止状態とする.この方法では同期が容易であるがマ スター発振器が停止した場合には全てのモジ、ユールが停止してしまうためシステ ム全体がダウンする.
図2-6の方法はモジュール# 1をマスターと定め,その内部発振器より得ら れた同期信号を同期バスに送信する.他のスレーブモジ、ユールは各自の内部発振 回路で発振しようとするがマスターの同期信号を受信すると発振動作がリセット されてマスター発振器に同期する.この方法ではマスターが停止した場合でも他 のモジ、ユールが発振動作を継続できるため電源システム全体が停止することはな くなるが同期不能となり誤動作や異常振動等を生じる可能性がある. また, この 手法ではスレーブ側の発振周波数がマスターより高い場合には周波数が倍加する ため常にマスター発振器よりも設定周波数を低くしておかなければならない.
2.3.2
提案する同期方式
2.3.2.1
提案する同期方式の概念
本章で提案する同期方式の概念図を図2-7に示す. これは図2-6と似てい るがマスターを特定せず全てのモジ、ユールは同一構成で、あることと,各発振回路 が同期信号を送受信できる点が異なる.各モジ、ユールの内部発振器は独自に発振 動作を行うと同時に同期バスに同期信号を出力する. さらに, 各発振回路は外部 からの同期信号によって発振動作をリセットする機能も有している.従って任意 のモジュールから出力された同期信号により全てのモジュールの発振回路がリ セットされ同期動作を行なう.この同期信号は全モジュール中最も周期の短い発 振回路から最初に出力されるため最大周波数で動作する発振回路がマスターの役 割を果たす.仮に他のモジ、ユールから同期信号が出力されたとしてもそれにより 全ての発振回路がリセットされるため次の周期では最大発振周波数の発振器から 同期信号が出力される.このことより最大固有振動周波数の発振回路が常にマス ターとなり他のモジュールを同一周波数で同期させる. 従って, マスターモ ジ、ユールが停止しても残りのモジ、ユール中で最も固有振動周波数の高い発振回路 がマスターとなり同期動作を継続する.
Sync.
bus
孔10dule #1
Module #2
/レヘ
孔10dule #3
Master
Slave
Slave
図2-6 従来のマスタースレーブ方式の概念図2
Fig.2-6 Schematic diagram of mぉter-slave control method 2.
Sync.
bus
Module #1
Module #2
Module #3
図2-7 提案するマスタースレーブ方式の概念図
Fig.2-7 Schematic diagram of proposed mぉter-slave control method.
2.3.2.2
発振回路の動作原理
一般に矩形波や三角波発振回路はコンデンサと充放電回路および2つのコンパ レータ(または1つのヒステリシスコンパレータ)により構成される. PWM制 御回路に使用されている典型的な三角波発振回路[4]を図2-8に示す. 図2-8 においてコンデンサCは定電流源Ireflにより充電されるためその両端の電圧Vc は直線的に上昇する. VcがコンパレータCPlのしきい値電圧Vcmaxに達すると CP1の出力が高レベルとなりRS フリップフロップをリセット し 出力 Vswを低 レベルにする. これによりトグルスイッチSWは反対側ヘ切り替わり定電流源 Iref2がコンデンサに接続される. するとコンデンサCはIref2-Iref 1の大きさの定 電流で放電されるためVc は直線的に減少する. VcがコンパレータCPzのしきい 値まで減少するとRSフリッフ フロッフはセットされVswは高レベルとなりトグ ルスイッチを元に戻す.以上の動作を繰り返して発振が継続される. この発振回 路を外部信号により同期させるためには同期信号に応じてコンパレータ出力 を反 転させるレベルまでVc を変化させればよいことが分かる.
2.3.2.3
提案する同期回路
提案する同期回路を図2-8の発振回路に適用 した場合を図2-9に示す. こ こでは2台の発振回路が接続されている.図中に描かれたコンデンサCの電圧波 形Vcは発振器#1の固有振 動周波数が発振器#2より高い場合を想定している.
モジュール#1において同期信号VtはVswを微分回路に通すことにより得られ る.この信号はコンデンサCの両端に接続されたトランジスタのベース端子に供 給され, Vc の電圧をVoffレベルにクランフする. 同時に同期信号は同期バスを 通してモジ、ユ-}レ#2にも供給され発振器#2のコンデ、ンサ電圧VcをもVoffに する.従って全てのモジ、ユールの発振回路はリセットされCの充電 動作を初めか らやり直す.発振器#2の動作は発振周期が存1に比べて長いことを除けば同ー である.すなわちモジ、ユール#1の同期信号はモジ、ユール#2の発振回路より早 く発生するためモジュール#2の発振回路を同期させる. 以上のように電源、モ ジュールがn台接続されたシステムにおいて新同期方式を適用した場合,その同 期周波数 f はsyn
VCmin
図2-8 典型的な三角波発振回路
Fig.2-8 Conventional triangular waveform osci11ator.
〈のヨ5〈OR
〈
〈∞ぞ
∞〕ミ5・σCM
.... 令
〈のヨ宮
〈のヨ信
図∞ーω当社外除首耳沼田mm市ミ〕〕ロヤ汁淑溺巨間取出∞-NI唱。∞の巳白円034モル円FDodそ∞)占。}弓ODFN巳FODの町のCFZ・
f =Max( f " し…,t)
S戸1 ... � ••
f.: i番目の電源モジュールの固有振動周波数
で表され, 同期周波数はモジ、ユール中で最も高い周波数となる.
(2-1)
また,同期動作は原理的にスイッチング周期の一周期以内に完了するため瞬時 に同期できる.
図2 - 1 0 (a)は図2-9の回路において同期バスを切り放した場合の各モ ジュールにおける発振回路の三角波波形Vcの実験波形を示している. 発振器#
1の発振周波数は#2より高い状態、であり同期していないことがわかる.この状 態、で同期バスを接続すると図2- 1 0 (b)に示すように発振器#2が発振器存1の 周波数で同期する.
図2-11は3台のモジュールの発振回路に提案する同期回路を適用し,さら に途中でモジュール#1を強制停止させた場合の各モジ、ユールの発振周波数の変 化を示している. モ、ン、ユール#1, #2, #3の固有振動周波数 f1, f2, f3はそれ ぞ、れf1=100kHz, f2=95kHz, f3=90kHzで、ある. はじめに同期パスを接続していない 非同期状態ではそれぞれの発振器は異なった周波数で発振しているが同期バスを 接続することによりモジ、ユール#2. # 3は固有振動周波数の最も高いモジュー ル#1の周波数f1に同期して100kHzイ寸近で動作する. この状態でやがて1 0秒付 近でモジ、ユール#1を強制的に停止させると直ちにモジ、ユール#2, # 3は固有 振動周波数の高い#2の周波数95kHz付近で同期し同期動作を継続する.以上の ことから提案する同期回路により固有振動周波数が最大の発振回路が自動的にマ スターとなり自身の振動周波数で他のモジュールを同期させることが分かる.
従ってマスターモジュールが停止した場合でも残りのモジ、ユールにおいて同期動 作が継続されるため高信頼化が達成できる. また この方式では最大固有振動周 波数のモジ、ユールがマスターとなるため図2-6の従来形マスタースレーフ守方エl と異なり発振器の周波数調整が不要である.
ここで提案する同期方式は原理的にコンデンサの充放電により発振動作を行う 発振回路すべてに適用できるため ピーク電流制御方式 周波数制御方式など任 意の制御回路に応用できる.
Vc (lV/div)
-、 、 ‘
..... ・... 切A.oho凪叫・....... ・・4・・・..A. __A. ..._ .... _..._ �・、....,_--...ι
Time:2.5μs/div (a) Before synchronizatioÌ1
図2-10 同期前後の発振器#1.#2の三角波波形 Fig.2-10 Experimental triangular waveforms of oscillator #1 and #2.
ート 15 Time[sec]
;明恒l#1
halt ...j同一一ー畳一._.-4...f"!'!!'!'!'!!'!".!'!'!'!'!'!�!'!'!'!'!'!.�
90い一一 #3
�
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ト..t・4・ ,:..
| ーー四一f1 I H t
1 - - - f2 I H I! j 80 下一一1 - - - �� l ---f3I I.-H-...-tJ: J: .l
ト一一………..-1;...-1 �..
70 LJJ
o before 5
synchronization oscillator #1
fter 1 0
synchronization
5 o
nu nu [N工五]的社℃Cωωな .F社」OVMW一一一ωωO』十Oωω一ocoコU。」HL
95
85
75
同期前後の発振器#1,#2,#3の周波数変化 Fig.2-11 Frequency variation of oscillator #1,#2, and #3.
図2-11
2.4
同期回路が並列コンバータシステムに及ぼす影響
2.4.1
静特性
位相同期回路を並列電源、システムに付加することにより2章で示した問題は解 決できる.図2-12は図2-1の並列システムに同期回路を付加した場合のモ ジュール出力電流波形を示している.非同期状態の図2-2と比較して電流振動 が現れていない.図2-13に示す出力電流の拡大波形では高周波電流リプルが 図2-4と比較して大幅に低減している. また, 図2-3で現れていた他のモ ジ、ユールのスイッチングノイズによる時比率や周波数の変動も図2-14に示す とおりほとんど起こっていない.従って位相同期回路を付加することにより安定
した動作を確保できることが分かる.
2.4.2
同期回路によるマスターモジュール停止時の過渡応答への影響
同期回路を付加したシステムにおいてマスターモジ、ユール停止時には自動的に マスターが切り替わるが, 同時にスイッチング周期Tsが急変する. この際, 電圧 帰還制御の応答速度が遅い場合は過渡時において相対的に時比率Dが急減し,出 力電圧が変動することが予想される.図2-15はマスターモジ、ユールが停止し たことを想定して,スレーブモ、ン、ユールに供給する同期信号を停止させた時のス レーブモジ、ユール単体の出力電圧応答波形である. ここではTs急変によるモ ジ、ユール出力電圧への純粋な影響を調べるため電圧変動を相殺しようとする電圧 帰還制御の応答速度は十分遅いと仮定し 電圧帰還制御を施していない. 同期信 号停止時には周波数の低下により相対的に時比率が低下し出力電圧が低下してい る. 単体モジ、ユールにおいて発振器の振動周波数人lが同期回路によりfmsとなっ た瞬間の時比率変化ムD は
ムD=f T n-f IT
=T ムf ムf=f -fl
(2-2) (2-3) で表される. したがって 電圧帰還を施していない電源モジ、ユール単体の出力 電圧変化幅Aeosは図2-1のフォワードコンバータの内部抵抗を無視すれば,定
GND
;\;I
J :
4' .".・・・,.,・4占・‘.... ....け1・,0" 刊行.� , .‘
t fl=f2=96.2kHz ! t : :Iol,I021NdiV E::Tme:50μ.s/div
図2-12 同期時のモジ、ユール出力電流波形
Fig.2-12 Module output cu汀ents with synchronizing circuit.
hvHON(〉) 1 0.5
-0.5
-2.5 100
-1.5 -2
。 2.5
。 2 1.5
0.5
。 -0.5
(〈)目。同AV
60 80 20 40
Time{凶)
モジ、ユール出力電流の部分拡大波形
Fig.2-13 Enlarged cuηent waveforms in Fig.2-12.
図2-13
V守宅竜町一一‘警守宅噌守司�竃tγ子主王子音Y哩吟吋トゼ勾句、t"f'三“奪三lP'\""f'這キ守司問"'句"吟吋河崎E
i + 内
ger:
Driving signalof switch
(5V/div)
。
rA、且
a T
唱,EA『,i、、,F'm円ω仰げ時dM叫
-m
前VZW什い
; tris;:üær ‘ . 、
O�..�占+守幸J 号令t
i・.�けいMF ,Le ーーパー,ー..!..�.毒事.パ.. ,(T泊le:2.5μs/div)
図2-14 同期時の三角波発振器出力波形とスイッチ駆動波形
Fig.2-14 Triangular waveform in control circuit and driving signal of main switch in module #1 under synchronous condition.
----a
... ,a・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0
...
.. , .. 0・・・・白,.... , .. ,,.白.... ,.白------a・・・・0
...
.. ,.
0.5
。
10 8
4 6
Time (ms)
2 -0.5
0 (〉)。ω寸
同期停止時のモジ、ユール単体の出力電圧応答波形
__j司司圃・・・・・・・園田園田園・・・・・・・・・E・E・----_ .�
図2-15
Fig.2-15 Transient waveform of module output voltage .
39
常状態において
Aeos=(Em/n)ムI) (2-4)
となる.図2-16は単体モジ、ユールの発振周波数を外部同期信号により同期 させた状況下で同期信号を停止させた際の出力電圧変化幅!:leosを示している. 発 振器の固有振動周波数と外部同期周波数の差が大きいほど変化幅も増大している.
以上のことからマスターモジュール停止時に生じる周波数変動はスレーブモ ジ、ユールの出力電圧変動を引き起こす.この電圧変動は各モ、ン、ユールの周波数変 動幅に比例するため,モジ、ユールのスイッチング周波数が異なると各モジ、ユール の出力電圧変化も異なり,並列システムでは過渡的に電流のアンバランスが生じ ることが予想される.実際の並列システムではモジュールに電圧帰還制御を施し ているため電圧変動は小さくなるが 同時にモジ、ユールの出力インピーダンスも 低下するため わずかな電圧変動でも出力電流のアンバランスとしてその影響が 現れることが懸念される.図2-17は電圧帰還を施した同一電源モジ、ユール2 台を並列接続した状態で外部同期回路により同期させ, その後, 同期信号を停止 させた場合のモジュールの出力電流変化を示している.同一モジ、ユールであって も回路パラメータのわずかな差異によりTojJZ少し異なるために同期信号停止時 にわずかな電流不均衡が発生しているが, 出力電流に対する割合は小さいため,
同一モジ、ユールを使用する場合は問題とならない. しかし, モジ、ユールの動作周 波数や回路方式の違いによりTm時間が大幅に異なるコンバータ同士を並列接続 したシステムの場合には同期周波数が変化する度に時比率変動の差異によるモ
ジ、ユール聞の大きな電流不均衡が過渡的に生じることが予想される.
o expenment -・ ーーーーca1cu1ated
0.4
0.2 0.6 0.5
0.3
0.1
(〉)ωg寸国号ど側出脚宍迫
85
79 80 81 82 83 84
外部同期周波数 fms(kHz)
0 78
同期による出力電圧変化幅
Fig.2-16 Output voltage variation caused by synchronization.
図2-16
0.4 0.3 0.2
hvH ON(〉)
0.1
。
唱EiハU
-0.2
デ/ … 0
ム … … …
… A … - h:・・・・・目・ぃ: 勾〆ヤ ト:・, •• 0 … -4ナム凶 … O 一
0.4 0.3 0.2
1i ハU (〈)【 OHA1 。
ー0.2 ー0.1
-0.3 -0.3
ー0.4 2.5 2
1 1.5
Time (ms)
0.5 -0.4
0
同期周波数変化時のモジ、ユール電流変動
Fig.2・1 7 Output current variation by change of switching frequency.
図2-17
2.5
2章の結論
冗長構成の並列電源、システムに適した位相同期方式を提案した. この方式の特 徴として,
1.全て同一構成のモジ、ユーノレを同期バスに接続することにより瞬時に同期可能 である.
2.最大固有振動周波数の発振回路が自動的にマスターモジ、ユールの役割を果た す.
3. マスターモジュールが停止した場合,直ちに残りのモジュールの中で最大国 有振動周波数で動作するモジュールがマスターとなり同期動作を継続する.
4. 従来のマスタースレーブ方式のように事前の周波数調整が不要である.
が挙げられる.
続いて,提案した位相同期方式を電源モジ、ユール並列システムに適用した場合 に電源システムに与える影響について考察した. その結果定常状態に関しては 非同期状態で生じていたビート現象や高周波電流の横流が同期動作により大幅に 低減できたことからモジュール聞の相互干渉を抑えるには位相同期が有効である ことが確認できた. また,電源モジ、ユール停止時等の過渡時における同期回路の 影響による出力電圧変動を明ら かにし 同一モジ、ユールによる構成の場合には問 題とならないことを示した.
本章で述べた同期回路は,原理的にコンデンサの充放電による発振回路全て に適用できるためPWM制御方式に限らず他の方式にも適用可能である. また,
並列システム以外にも力率改善形回路とDC-DCコンバ ータとの同期など, 他の 電源、システムにも広く適用できる.