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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

超伝導素子を応用したX線検出器

前畑, 京介

九州大学大学院工学研究院エネルギー量子工学部門

https://doi.org/10.15017/11060

出版情報:九州大学極低温実験室だより. 4, pp.2-10, 2003-06. 九州大学理学部極低温実験室 バージョン:

権利関係:

(2)

超伝導素子 を応用 した

Ⅹ線検 出

大学院工学研究院エネル ギ‑量子工学部門 前畑京介 概要

X 線領域 の光子 のエネル ギー分散型検 出において、エネル ギー分解能 と感度 を高 くす るために超伝導素子が利潤 され るO本稿では、超伝導 トンネル接合(S甘3)Ⅹ 線検 出器 と超伝導相転移端温度計押監S)型マイ クロ栗ジーメー タを紹介す る。

Abstract

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‑分散型 X線分光 には、主 として S亙半導体検出 瀞 が使頗 されているO半導体による ミIi∴::∴ ::‥,;:'・∴ 二二二二二、 :.':三̲∴ 二・.: ・.:・二:: 'I::I‑・、∴ニ/ ・.二工・‑1∴ 二一、三 になった捌 。半導体検 出器 のエネル ギー分解能は、風射した 蒐 線のエネル ギ‑紺尊 によ り空芝層 内に生成 され る電子 一空孔対の数 に依存してお り、次式で示 され るO

̲二日・= 工∵∴ :‑::::; ・‑: ここで、W、F及び 飢 ま且額の電子 ‑空孔対の生成エネル ギ‑、プアノ因子及び入射 X線 のエネル ギ‑をそれぞれ表わす。S息半導体検 出器でE=級eVの X線 を計測す る :.I‑;;'ミ 判.iI:‑∵ニ:二̲̲I:‑・ ニ ∴ ・二 ∴ 二∴,‑∴言 を {‑二+̲II/‑∵:‑,'・二、‑‑工∵'{‑:≡::‑::∴'::::と 予 測され る。5。鞄eV の X線 に対 して実証 されても、るエネルギー分解能は 且30eV監息頂であ るので、ほぼ理論限界 に到達 している。また、X線 のエネル ギーが 且keV程度 よ り低 くなると、分析 に必要な検 出効率 を得 るのが非常 に困難になる。 しか しなが ら、先 端的な移動通信機器 に必要 とされ る超 高集積度回路素子の開発や遺伝子情報の鍵 を 握 る EBNA の構造解析等には、現在の分析 限界 を超 えるⅩ線分光技術が必要である。

そのためには半導体検 出器 よ り高い検 出効率 と優れ たエネル ギー分解能 を有す る次 健 代 型 X線検 出器 が必要 となる。

近 年 、 ジ ョセ フソンコンピュータや超伝導量子干渉素子(SQU旺))等の開発研究に代 表 され超 伝 導 エ レク トロニクスを応周 した次世代型 X 線検 出器 の実周化が期待 さ れ て い。 超 伝 導 エ レク トロニ クスを応周 した X線検 出器 としては、入射 X線 のエ ネ ル ギ ー 付 与 に よ り生 成 され た 多 数 の 準粒子 を信号電荷 とす る超伝導 トンネル接合 (srTS)と、超 伝 導 相 転 移 端 温 度 計 (甘藍S)を使い X 線 のエネル ギー を吸収 した際のわず か な温 度 上 昇 を精 度 よ く計 測 すマ イ ク ロカ ロ リー メー ターとが主流 となってい る。

S耶 と 甘藍Sの二 つ の形 式 の 検 出器 に 関す る詳 細 な解 説 は文 献 臣233】等 を参照 されたい。

本 稿 で は 、 ま ず 、 sTS 検 出器 の動 作 原 理を説 明 し、 筆 者 等 の グル‑ プで開発 した

(3)

マイクロストリップコイル集積型STY検 出器について述べる。つぎに、近年、実 用化に近づいているTES型マイクロケU

リ御念V・一一一・タの簡単な紹介を行う。

2  超伝導トンネル接合(ST9)

2.1 STJの構造

一 2A/e

y  ,2

1 ,//c

 l  /

@b S v

  :aj

  2twe        1

 半導体検出器では、入射したX線のエ       「   i ネルギー付与により価電子帯の電子が伝      i 導帯へ励起され、電子一正孔対が生成さ 図2.9STjのLV特性 れる。このとき生成される電子一正孔対

の数は入射X線のエネルギーに比例する。S9半導体検出器では9個の電子一正孔対 を生成するのに必要なエネルギー鰍は約3eVである。検出器に使用する半導体の禁 止帯のエネルギーギャップがwの大きさの程度を与える。超伝導体ではクーパー対 と準粒子とのエネルギーレベル問に齪V程度のエネルギーギャップムが存在する。

したがって。入射したX線のエネルギー付与により破壊されたクーパー対により生 成される準粒子を信号電荷とすることが可能になる。この場合、互個のクーパー対当 たり豊個の準粒子を生成することになるので、wは2△程度の大きさをとると考える

ことができる。Nbを検出器として使用した場合、《9)式において90f ・39iflteV、 pa ・◎.盈2

とすると6keVのX線を計測するときのエネルギー分解能は3.SeVと予瀾でき、 S9 半導体検出器より非常に優れた検出器となることを期待させる。

 半導体検出器の場合、逆バイアス電圧を印加して弊接合の空乏層を適当な厚さ にする。空乏層領域において入射X線により生成された電子一正孔対を強力な電界 により信号電荷として回収する。しかしながら、超伝導体内には電界は存在しない ので、入射X線により生成された準粒子を信号電荷として回収する方法が間題とな る。そこで、超伝導体/絶縁体/超伝導体のサンドイッチ構造を有する超伝導トンネル 接合を利用することが考えられた。超伝導トンネル接合では、絶縁層を介して両側 の超伝導層の問に電位差を与え、片方の超伝導層で生成された多数の準粒子をトン ネリングにより他方の電極へ移行することで信号電荷を回収する。

2.2 STJにおけるトンネル電流

 STJのトンネル電流は図2.9に示す電流 一電圧礁V)特性で説明される。図中のes は電圧y=⑪で観測されるクーパー対のト ンネル電流でジョセブソン電流と呼ばれ る。ジョセブソン電流の最大値は接合面 に平衡に侵入した磁束に対してフラウン ホーファー形の依存性を持ちながら減少 する。bはサブギャップ電流と呼ばれ、熱 的に励起された準粒子のトンネル電流で ある。印加電圧による準粒子のポテンシ

ャルエネルギー一一eyが△より高いとき・cの図2.2

X線により生成された 準粒子の トンネル電

^i:〆・/

一2△/ε

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2△/ε  /D/

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 71D7

.7

V

入射線によるST3の9−V曲線の変化

(4)

トンネル電流が流れる。 STJに入射したX線のエネルギー演超伝導層で吸収され た場合、入射X線のエネルギーは超伝導体に付与され、コンプトン電子か光電子が 生成される。このように励起された電子はカスケード的に多数の電子を励起する。

このカスケード励起は個々の電子のエネルギーが2△程度の大きさになるまで続く。

エネルギーが2△程度の励起電子はフォノンを放出しながらエネルギーを緩和する。

放出されたフォノンのエネルギーが2△より大きい場合、クーパー対を破壊し準粒子 を生成する。励起フォノンのエネルギーが2△より小さくなるまでに非常に多くの準 粒子が生成される。このときの9−V曲線は図2.2のようになる。電圧がゼロの場合は、

生成された準粒子のトンネリングによりジョセフソン電流が増加するが、増加率が 綱%より小さく、検出信号としては利用できない。一方、サブギャップ電流の増加

は顕著であり、検出信号として利用可能である。したがって,、S耶をX線検出器と して動作するためには、熱的に励起された準粒子の数が十分に少なくなるように臨 界温度の亙遅0程度の極低温に冷却し、サブギャップ領域にバイアス電圧を印加する。

サブギャップ領域にバイアス電圧を印加するために、外部から接合面に対して平行 方向に適当な大きさの磁界を印加しジョセブソン電流を挿舗する。

2.3 STSによるX線検出信号

 S欝を動作条件に設定したとき、入射X線のエネルギ・・一・一・・付与により片方の超伝導

層で生成された準粒子が他方の超伝導層ヘトンネリングすることにより信号電荷が 得られる。このときの代表的な2種類のトンネル遇程を図23に示す。

 過程1では、左側超伝導層で生成された準粒子が右側の超伝導層ヘトンネリング する。その準粒子はトンネリング後綴舛eyのエネルギーを放出してエネルギーギ ャップの上端へ緩和する。この過程では、1欄の準粒子と一¢の電荷が左側から右側 へ移動する。

 過程2では、右側超伝導層で生成された準粒子と左側超伝導層のクーパー対を構 成する9個の電子が結合し、右側の超伝

導層のクーパー対を新たに形成する。右 側超伝導層で励起された準粒子からは△

のエネルギーが開放され、左側超伝導層 でクーパー対を構成していた電子のトン ネリングによりeyのエネルギーが生じる。

この△一g−eVのエネルギーは、左側超伝導層

でクーパー対を構成していたもう9姻の 電子をエネルギーギャップ上端からeyの エネルギーを持つ準粒子へ励起するため に消費される。左側超伝導層でクーパー 対から励起された準粒子は、エネルギー ギャップの上端へ緩和する。緩称の際に eyのエネルギーのフォノンを放出する。

この過程では、9個の電子の電荷(一e)が左図2.3 側から右側へ移動するが、9個の準粒子

は右側から左側へ移動する。過程9と2

過程1

過程2

ぺ。}

ev 3

入射X線により生成された準粒子の

トンネル過程の例

(5)

では、信号電荷の移動は同じ方向なので、

準粒子がどちらの超伝導層で生成されて も観測される信号電流パルスの極性は同 じにる。エネルギー君のX線を検出した ときの信号電流は以下の式で表わされる。

   勘畿εγエex夢(一〃の        £qp

   (2)

ここで、琳準粒子のトンネル確率、%は

ギー及び 2 はトンネル時定数をそれぞれ示 す。②式を時間について積分すると全信

璽稠の準粒子を生成するのに必要なエネル図鍛電子病田総合研究所一九州大学で試作       したNb系STJ素子

号電荷となり、入射X線のエネルギーに対応している。入射X線により生成された 準粒子の再結合、電極り一ド線からの拡散及び超伝導膜質の不均一に伴うポテンシ ャルの歪み等で決まる励起準粒子の平均寿命がecより短い場合は信号電荷の損失とな る。励起準粒子の平均寿命が長い素子の設計・作製が重要となる。

 半導体検出器と同様に、STS検出器の信号電荷を電荷収集型前置増幅器により電 圧パルスに変換することができる。この場合,、増幅器初段に使用するF翼の電子雑 音を低減するために、バイアス点近傍の漏れ電流が数絵以下、微分抵抗値:が数豊鰍Ω 以上の高品質S囎が必要となる。近年では、この条件を緩和するために高速SQ覗D 増重器を用いてST9の電流パルスを直接増幅する方式も開発されているが、 SQUgD 増輻器の取扱いが非常に困難である。

12 。4ST3検出器の開発例

 数keVのエネルギーのX線を優れたエネルギー分解能で検出することを実証した ST9検出器は、 Nb系トンネル接合かA璽系トンネル接合を利用している鱗。

Nb系STJはNb/AlO,fNbの積層構造を有している。日本では高等質STJ作製に必要 なリソグラフィー法による素子作製プロセスがかなり研究されいる。また、Nb系STS は臨界温度が9K程度なので、コンパクトなクライオスタットを使って計測システム が構築できる。図24に電子技備総合研究所(産業技術総合研究所)と九弼大学のグ ループで試作したNb系ST9素子を示す潤。この素子には種々の有効面積と形状を 有するST9が集積されている。有効面

積が2⑪Ox20⑪μ灘2のSTJで5。9keVのX 線に対するエネルギー分解能が93eVと 半導体検出器より優れていることを示 した。理化学研究所を中心とするグル

ープは有感面積が2⑪x20μ瓢2、

geex1⑪Ogegxg2及び200x2⑪0鋼2の高品質

Nb系ST3を作製し、5.9keVのX線に 対するエネルギー分解能がそれぞれ 49eV、 SgeV及び65eVであることを示

した綱。

 A9系STJはAk/A90。/Akの積層構造を

図2.5

一1

の       

ee

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わ      く

笛         {

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      ジロヨ も わを

Aa系STJで得られた55Mitの特性X線 のエネルギースペクトル晒

ざ亀轡1㌦  {

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暴勇コ

8       滋E蜘膣7e

(6)

有している。A璽系STJでは高晶質の 素子作製が困難であるが、Al中にお ける励起準粒子の寿命が長いので、Nb 系STJと比較して信号電荷が一桁大 きい。そこで、ローレンス・リバモ ア研究所のグループは、有効面積が geOx9⑪⑪μ醗2のST9に対して信号電流 パルスを高速SQUXD増輻器を用いて 読み出す方式を考案し、5.9keVのX 線に対するエネルギー分解能として 30eVを得ている{61。最近ミュンヘン 工科大学のグループでは電荷収集型 前置増幅器で信号読み出しが可能な

懸腕!

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図2−6 マイクロストリップコイル集積型ST3の    概念

高晶質Al系STS素子作製プロセスを確立し、有効面積が璽eOxgeOgem2のST3で59keV のX線を92eVという非常に優れたエネルギー分解能で計測している[7}。図2.5に このとき得られたエネルギースペクトルを示す。

2.5 マイクロストリップコイル集積型STJ

 STJ検出器は半導体検出器より優れたエネルギー分解能でX線を検出することが 実証された。また、計数率も数1⑪OHzから{9( kffzまでは十分に対応できる隅。しか し、高品質の素子が作製可能になったのにも関わらず、(璽)式で予測されるエネルギ ー分解能には到達していない。また、検出器の動作を安定に保持することが困難な 場合が多い。その理由の一つとして、ジョセブソン電流挿制のために外部から磁界 を印加することがあげられる。高品質STJの動作特性は接合領域に侵入した磁束の 数と空間的な方向に強く依存する。しかしながら、通常、磁界印加用電磁石とクラ イオスタット内部のコールドステー

ジに取り付けられたST3素子との空    100×100恥瓢2

間的の配置には誤差が生じる。さら    Dlancend Shaped $TJ

に、クライオスタットの振動により、      殴》禰鍬》s纈鐸1駕s 接合領域に侵入した磁束の状態が時

間的に変動し、素子の動作条件に擾 乱を与えることも考えられる。この ようなことから、STJ素子に磁界を印 加する新しい方式を検討する必要が

ある。

 そこで、筆者等のグループは産業 技術総合研究所との共同研究で、外 部電磁石による磁場印加に伴う種々 の障害を取り除き安定に再現性良く 動作するX線検出用高性能STJ素子

として、図2−6に示すようなマイクロ

ストリップコイル集積型超伝導トン  図2−7作製したOC2STjの写真 ネル接合(Oit−Ch量p Mlcros麺p Coi1

(7)

integrated STS:OC2STJ)素子を開

発した劉。作製したOC2ST9素子 の写真を図2−7に示す桝。写真に は有感面積が亙00x互ooμm2のダイ アモンド型STSに幅4paggaのNbス トリップコイルが4獅間隔で積 層されている。直流ジョセブソン 電流を挿制するためには、ストリ

ップコイルに数丑伽Aの電流を通 電する必要がある。このとき、

OC2STJ素子をクライオスタット のコールドフィンガーに取り付け、

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図2名 (》C2S逆用冷却カプセル

真空中における伝導冷却により動作温度を保持すると、OC2STJ素子の電流導入パッ ドにおけるボンディングワイヤーとの接続抵抗による発熱により熱暴走が発生する。

そこで、図2−8に示すように、OC2STJと55驚X線源をヘリウムガスが封入されたカ プセル内に取り付け、このカプセルを希釈冷凍機により冷却する方式を考案した191。

希釈冷凍機により冷却カプセルの温度をgeegit K程度に保持すると、小型チェンバー 内に封入したヘリウムガスは凝縮し、さらに超流動状態へ相転移する。超流動状態 のヘリウム膜が素子全体を効率よく冷却し、(》C2STgの検出動作モードを安定に保持 することが確認された。

 STJのX線検出信号を読み出すために、汎用の半導体検出器用前置増幅・器を冷凍 機のトップフランジにある信号端子に取り付けた。このとき、ST3の信号線は冷凍 機の混合器からトップフランジにある信号ポートまで配線され、線路長は約2mの長 さであった。このため、検出器から増幅器初段FETのゲートまでの配線が長くなり、

希釈冷凍機に接続されたポンプの振動によるマイクuフォニック雑音とポンプモー ターの電磁雑音の除去が困難であったため、検出動作モードに保持されたOC2こ口Sの X線検出パルス信号を観測することができたが、前置増幅器出力信号の信号対雑音 比が低く、応答特性(スペクトル)を得ることができなかった。そこで、図29に 示すようなOC2STjを動作するためのコイル通電、バイアス印加及び信号読み出し回 路系を構築したlgs。この場合、論旨増幅器の出力信号を高い信号対雑音比にするた

めに、9Kポット上のFETの動

OC2STJ素子温度が600搬Kま

で上昇した。しかしながら、

この方式により前置増幅器出

謎蝋燭鞘繍鷲熱 }   1  絶

する応答特性(スペクトル〉

が観測された。STJのバイアス

点近傍における漏れ電流が  i       l     Cell.e、,rent 5伽A以上で動的抵抗が300Ω

程度と小さかったために、

5.9keVのX線に対するエネル   図2−90C2ST9動作試験回路系 ギー分解能は900eVであった。

(8)

しかしながら,、STS検出器の動作が非常に 安定になり、マイクロストリップ識イル 電流を調整することにより、外部電磁石 では困難であったST3検出器の動作モー ドを調整することが可能となった。以上

のことから. ST9の品質が漏れ電流が数:簸A で動的抵抗がgeekg12程度と高くなれば、

5.9keVのX線に対するエネルギー分解能 が二心V程度の非常に優れた検出器になる

ことが期待される。

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図32超伝導薄膜の忍丁曲線 3  超伝導相転移端温度計(照S)型マイクロカロリーメータ

3.1 動作原理

 極低温において格子比熱が支配的になるとき。固体の比熱は温度の3乗に比例し て小さくなる。このような固体試料を極低温に冷却すると、試料中に付与されたエ ネルギーが計測可能な程度の温度上昇を誘起する。この原理を利用すると、極低温 に冷却された試料に入射したX線のエネルギー付与によって生じる温度上昇を計測

して、入封放射線のエネルギーを精度良く評価することが可能である。このような 粒子線検出器はマイクロカロリーメーターと呼ばれる。

 一般的なマイクロカロリーメーターの動作原理を概念的に図3.9に示す。マイクロ カロリーメーターは入射したX線のエネルギーを温度上昇に変換するエネルギー吸 収体と、吸収体の温度を瀾塗する温度計から構成され、全体の熱容量はC.である。

また、X線のエネルギー吸収による温度上昇の後、一定の時定数で平衡温度に緩和 するように、マイクロカロリーメーターは比較的小さい熱伝導度Gを有する熱りン クを介して、温度鶏のコールドステージに取り付けられる。コールドステージは希 釈冷凍機等により一定温度に保持され、十分に大きな熱学として機能する。このと き、統計熱力学から導かれるマイクロカロリーメーターの内部エネルギーUの揺ら

ぎは

である。このエネルギ・・一一一の揺らぎがマイクロカロリーメーターが固有に有する雑音 源になる。X線入射による温度上昇の立ち上がり時間が無視できる程小さいと仮定 すると、エネルギーむのX線入射時のマイクロカロリーメーターの温度はTe =E/Cv

となる。このとき、緩和過程におけるコールドステN・・…一・ジとマイクロカロリーメータ ーとの温度差△T(t)は次の式で示される。

   △7⑦=恥x夢←t/ r)

       x夢y      命

       _き渦1一一

      Cl        (4)

ここで、τ=C/Gである。

 優れたエネルギー分解能を得るためには マイクnカロリーメーターのC.をできる だけ小さくし、動作温度丁をできるだけ 低温にする必要がある。さらにわずかな温 度変化でも精度よく測定できる高性能の温 度計が重要である。従来から極低温で使用

T}塾e㎝a甕。{}ndtiC警ance

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鰯野

図3.9マイクロカロリーメーターの動作概念

(9)

する温度計としては、GeやSl等の半導 体の電気抵抗値が温度に対して非常に強 い依存性を示すことを利用したものが多

       eい。ミラノ大学のグループは極低温で高 感度となるNTD−Ge半導体温度計を用い

たマイクロカロリーメーターを使って、

S.9keVのX線を5eV程度のエネルギー 分解能で測定することに成功した1輸1。

しかしながら、極低温における半導体の 抵抗値は数SOMSkと非常に大きく、素子 の発熱とそれに起因する動作点の揺らぎ が大きな問題となる。

 超伝導薄膜の電気抵抗値は臨界温度Tc 近傍の超伝導相転移領域において、図3.2

       s# smbstratに示すような急峻な温度依存性を示す。

この特性を利用すると、Tc近傍の非常に わずかな温度変化を検出可能な抵抗変化

なる。この温度計は超伝導相転移端温度   馨。。

計(TES)と称されるg21。適当な臨界温度   豊       eを有する超伝導体を選択することで測定 の目的にあわせたTESを作ることが可

       図3.3 能である。

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図3.3TESのDC−SQU甕D読み出し回路

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    臨暫露y《eV》

MSTのEW−rerESによる分析例

3e 2 TES検出器の開発例

 ミュンヘン工科大学とオックスフォS…一一一Lド大学のグループは暗黒物質探査用に転移 温度が15鵬Kのタングステン薄膜を使ったTESを開発した1畷。転移領域における タングステン薄膜の抵抗値は亙0搬Ωから100磁Ωの範囲で変化する。この抵抗変化を 図3.3に示すような定電流バイアス回路系で読み出す。入射X線による温度上昇で タングステン薄膜の抵抗値が大きくなると、抵抗馬に流れる電流が変化する。この 電流変化をDCSQU亙D増幅器で読み出す。この方式は検出器の温度変動をμK以下 に保持する非常に高い精度の温度制御が必要である。

 スタンフォード大学の9rwgitはT£S検出器の動作温度を自動的に保持する電熱帰 還(ffge)制御システムを開発した1121。この方式では定電圧バイアス回路を使用し、

超伝導薄膜の転移領域における抵抗成分による発熱と冷却との平衡温度に検出器を 保持する。X線吸収に伴う温度上昇で超伝導薄膜の抵抗が増加するが、このとき発 熱が減少するので自動的に平衡温度へ戻る。ETF−TESを使った検出システムはMST でさらに開発された。MSTはETFTESを使用し、図3.4のような複合ガラスのX 線分析を行い次世代型X線分光を実証した1931。しかしながら、理想的な電圧バイ アスは非常に困難であり、冷凍機の冷凍能力の時間的擾乱が平衡温度の変動をもた らしている。MSTのグループは5.9keVのX線を45eVの世界最高のエネルギー分

(10)

解能を達成しているが、この計測では図3.3と同様の定電流バイアス方式を使用して いる1鰯。

3,3 丁氾S検出器の問題点

 TES検出器は非常に優れたエネルギー分解能を実証しているが、 微小な温度変化 を計測するために検出器温度を極めて安定に保持する必要がなる。しかしながら、

璽00謹《より低い温度領域における低温技術は研究者や技術者の職人業に頼るところ ぶ大きく、なかなか汎用のものとはなりにくい。さらに、Tas検出器は検出事象ご

とに平衡温度へ戻さねばならず.⑭式のTで決まる応答時間が数搬s程度と遅くなり、

検出器を安定に動作するためには計数率を数:翫より速くすることは困難である。

まとめ

 ST3検出器の動作原理を説萌し,筆者等のグループで開発したマイクUストリッ プコイル集積型S即検出器の紹介を行った。また、近年。実用化に近づいているTES 型マイクロケUり一メータを簡単に紹介した。それぞれの検出器は非常に優れたエ ネルギー分解能を有することが実証されているが、実用化するためには解決すべき 技術的問題点がある。しかしこの問題点を解決し,、STJやTESそれぞれ固有の特徴

を十分野活用した実用的な次世代型X線検出器が開発されることが期待される。

参考文献旺鉦旺緩三江憂旺﹇︷憂紅涯藍

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