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九州大学学術情報リポジトリ

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

横断面の反りを考慮した薄肉変断面梁の解析法およ び船体縦強度への適用に関する研究

野瀬, 幹夫

https://doi.org/10.11501/3065611

出版情報:Kyushu University, 1992, 博士(工学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)

言伝6 主主

6. 1 緒言

オ℃吋コ翼1:1寸又又H同室旦舟台舟白ι〉系従弓蛍犀芝 角翠�斤� CEJ示直月ヨ

従来の一般商船は低速ないし中速域で貨物の大量輸送を行うことを最大の特徴と してきたが、 工業製品の高付加価値化と多品種小量生産化、 生産拠点の海外展開等 経済社会構造の変化に伴い、 海上輸送の高速化が求められている。 また、 本土と離 島等を結ぶ海上輸送にも高速化の波が押し寄せてきている。

このような状況の下で、 高速物流貨物船の例として、 貨物洛載重量1鵬トン 、 速力 関ノット 、 航続距離問海里の超高速物流貨物船テクノスーパーライナー(Techno

Super Liner ; T S L )43)・44)・4!>) の開発が進められており、 二つのタイプのTS

しが計画されている。 一つのタイプは、 水中翼の揚力と没水体の浮力で船体重量を 分担して支持する渡合支持型船型〈揚力式TS L)であり、 船体は単胴型、 双胴型 等が考えられている。 もう一つのタイプは、 船体重量の大部分を船底部と海面との 間の空気圧力で支持し、 残りを船体の浮力と水中フィンの翼揚力で支持する複合支 持型〈空気圧式TS L)である。 また、 高速旅客船の例として、 本土と離島問等を 結ぶ空気圧式双胴型高速船や全重量を水中翼の揚力で支持する水中翼付双胴型高速 船7). B) (単胴の場合もある〉があり、 既に就航しているものや、 計画中のものもあ る。

これらの高速船の内で、 揚力式TSLや水中翼付双胴型高速船の船体構造には、

双胴部に沿って分布する荷重のほかに、 水中翼に生ずる揚力が、 狭い範囲に集中的 に大きな分布荷重として双胴部に働く。 このため縦強度上の明断力が大きくなり、 かっその変化率が大きくなる部分が存在する。 このような部分では、 従来用いられ てきた単純梁理論による計算では把握できない横断面に生ずる反りの変化に基づく 応力成分が大きくなることが予想される。 そこで、 本章では、 第2章で説明した本 解析法を用いて、 静水中において、 船体の全重量を水中翼の揚力で支持する水中翼 付双胴型高速船の横断面の反りに基づく応力成分の特徴を検討した。

204

6. 2 計算モデルと荷重状態

計算の例として、 水中翼付双胴型高速船の一般配置図および中央断面図の概略を Fig.6・1およびFig.6-2に示す。 また本船の主要目等は次のとおりである。

(α) 船種 :旅客船

( b ) 主寸法: L 011 X B x D = 34.0 m x 11. 0 m x 4.2 m

( c )総トン : 350 ton

計算は主要強度部材でない上部構造を除いた主船体を解析の対象とする。 まず、 横 断面については、 第4章の計算モデルと同様に、 縦通肋骨の断面積を縦通肋骨が付 いている外板などの断面積に含ませた、 等価板厚をもっ板部材から成る小骨のない 船体梁で近似する。 ただし、 船体構造がロンジシステムであるので直応力に関する 計算には等価板厚を用い、 明断応力に関する計算には縦通肋骨の断面積を含まな い ネットの板厚を用いる。 次に、 船の長さ方向については、 船体は、 船首部や船尾部 では先細であり、 中間部では部分的に関口部が存在する薄肉変断面であるため、 本 章では、 船体梁をFï g.6・3に示すように35要素から構成される区分的一様断面梁の集

合体と見なす。 なお、 本船の上甲板の両舷にFig.6-1に示すようなNo.l、2、3の関 口部が設けられているため、 関口部の取扱いについては、 Fig.6-4に示すような関口 部の幅を持った上甲板の一定区間(1 1 +21 2 + 1 + 1 3 4 + 1 r>+ 1 ð) に、 非開口部

(ll+l3+14+lo) における上甲板の板厚を、 関口部を含めた長さlの区間内の板 厚に平均化した関口部を持たない船体梁とする。 くこの考えにより平均化した上甲 板の板厚は実板厚の1/2.6となった。〉以下、 このモデルを板厚平均化変断面梁モ デルと呼ぶ。

初期計画の形状から推定した線図より作成した各要素断面形状をFig.6-5に示す。

各要素の横断面の周はその形状に応じて座標bに沿って33分害IJから6 8分割の範 囲で分割している。 また、 Fig.6-6に示している積分経路を、 第2章で定義している 座標bの正の向きと同じように、 船体梁の横断面の内部を左側にあるように定める。

後で示す明断流の分布図の中における明断流の正の向きは座標bの正の向きと同じ にとる。 また主要点の位置を同図に示す。 静水中で航行している荷重 状態は、 総重 量200 tonを前後の水中翼から 発生する揚力で支持し、 各翼の荷重分担率は印%で

- 205 司

(3)

あるとする。このときの荷重曲線、 明断力曲線および曲げモーメント曲線をそれぞ れFig.6・7、Fig.6-8に示す。

6. 3 開変断面モデルおよび閉変断面モデルとの比較 6. 3. 1 比較のための供試モデル

前節では、 本来上甲板に関口部が存在している主船体を、 前後に存在する部材の

板厚で開口部を閉じた板厚平均化変断面梁でモデル化した。この板厚平均化変断面 モデルの計算結果は構造的に極端な開変断面モデルと閉変断面モデルのそれぞれの 計算結果の間にあると予想されるのでこれを検証し、 また、 板厚平均化変断面モデ ルの計算結果の特徴を調べるために、以下に示すような関変断面モデルと閉変断面 モデルの2つのタイプの計算モデルを考えた。この2つのモデルの上甲板の形状を Fig.6・9 、Fig.6-1 0にそれぞれ示す。

まず、Fig.6-9に示されているモデルは、 No.3の関口部の幅が上甲板を全通した 関断面から構成された関変断面梁である。 また、 Fig.6-10のモデルは、 上甲板の関

口部を全て閉じた閉断面から構成された関変断面梁である。なお、これらのモデル に負荷する荷重は、 前節の板厚平均化変断面梁モデルと同じものを用いる。 また、

本節では板厚平均化変断面梁モデル、開変断面梁モデルおよひ、関変断面モデルの計 算結果を図中にそれぞれVαγiable Sec.、 Qpen Sec. およびClosed Sec. と区

別して示す。

6. 3. 2 各状態量の分布

( 1) Z i (X)、Z; (x)、Z� (x)の分布

板厚平均化変断面梁モデル、 閉変断面梁モデルおよび開変断面梁モデルの3つの モデルについて計算された関数Zi (X) 、関数Z; (X) 、関数Z'� (X)の値の分布をそ らぞれFig.6-11、Fig.6・12、Fig.6・13に示す。

206

( 2 )反り、 全直応力、 全開断流の分布

各状態量の特徴を表すJ夜、として、 次の8点を選ぶ。船殻外側の部材について、 上 甲板のガンネル部〈点3)、船側外板中央部〈点1 0)、船底斜板中央部〈点20)およ び片胴船底部〈点26)の4点を選び、 船殻内側の部材について、 船底斜板中央部

〈点34)、 中心線縦桁下の湾曲部(以下、湾曲部と呼ぶ。)(点41)、 中心線縦桁 中央部〈点49)および、 船体中央部の上甲板〈点51)の4点を選ぶ。これらの点に ついて反りの長さ方向の分布をFig.6-14、Fig.6・15に示し、 全直応力の長さ方向の 分布をFig.6・16、Fig.6・17に、 全開断流のFig.6・18、Fig.6・19に示す。

6. 3. 3 比較によるモデル化の妥当性の判定

Fig.6・11より板厚平均化変断面梁モデルのZ j (X) の値は関変断面梁の値に一致し ているが、開変断面梁ではかなりの差異がある。次に、 Fig.6・12より板厚平均化変 断面梁モデルと閉変断面梁モデルについては関数Z j(x)の値に殆ど差がない。さら に、Fig.6-13より開変断面梁モデルと2つの閉変断面梁モデルとの間には、 前翼 お よび後翼の取り付け位置近傍において、 Z�. (x)の値の分布に差が見られる。しかし、

板厚平均化変断面モデルと閉変断面モデルとの問には、 関数Z'� (x)の値の分布に殆 ど差が生じていない。

Fig.6・14およびFig.6・15から、反りの分布は上甲板関口部から離れて船底に近い ほど、 3つのモデルの反りの分布は接近している。このことより横断面形状の違い によって、船体横断面の各部材に生じる反りに与える影響は、 上甲板の関口部から 縦れるほど小さくなっていることが分る。

Fig.6・16、Fig.6・17より全直応力の分布は上甲板の関口部より離れた、 船底斜板、

船底部、 湾曲部、 中心線縦桁では、 3つのモデルとも全直応力の分布には殆ど差が 見られない。よって、上甲板の船側寄りの関口部近傍を除いては、横断面に関口部 の有無により断面形状に違いがあっても、 3つのモデルについて全直応力の分布に

大差がないことが分かる。

Fig.6-18およびFig.6-19から3つのモデルの全開断流の分布は横断面においては

- 207 ・

(4)

関口部近傍の部材に差が生じ、 一方、 船の長さ方向においては前後翼の取り付け位 置近傍で差が生じていることが分る。 板厚平均化変断面梁モデルについての全明断 流の値の分布は他の2つのモデルについての分布の中間にあることが分る。 しかし、

上記以外の箇所において、 3つのモデルについての全努断流の値の分布は殆ど差が ない。

以上より本節では、 板厚平均化変断面梁モデルの反り、 全直応力および全明断流 について、 閉変断面梁モデルおよび関変断面梁モデルのそれぞれの計算結果と比較 した。 その結果、 まず、 板厚平均化変断面梁モデルの計算結果は閉変断面梁モデル および開変断面梁モデルのそれぞれの計算結果の近傍にあり、 板厚平均化変断面梁 のモデル化は妥当であることを示している。 次に、 反り、 全直応力および全明断流 の分布は、 上甲板の関口部近傍を除いた部材において、 板厚平均化変断面梁モデル と閉変断面梁モデルおよび開変断面梁モデルの3者の聞にはあまり分布に差が生じ ていないことが分かった。 以後、 これらの考察より、 板厚平均化変断面梁モデル の上甲板以外の箇所における反り、 反りによる直応力および反りによる明断涜の分 布の性質や特徴を調べる。

6. Ll 静水中における反りおよび反りによる応力成分の分布

6. Ll . 1 横断面の反り

( 1 )反り関数および関数 Zi ( X )の分布

板厚平均化変断面梁の要素iにおいて、 横断面の反りt:. Uz i (X, .ò)は、 第2章の式 (2.24)によって求めることができる。 この式を再記すれば

t:. U Z i (x,.ò) = R z I ( .ò ) Z I ( X ) (6.1 )

となる。 ここにRZì (.ò) は、 縦曲げによる反り関数である。 上甲板の一部の板厚を 平均化していない区間のx/L =0.759断面における反り関数RZI (.ò)の値分布を、

208

また関口部を平均化した板厚でうめた区間のx/L=O.644断面における反り関数

R z (.ò)の値分布をそれぞれFig.6・20、 Fig.6・21に示す。 まずFig.6-20より、 板厚を 平均化していない区間の断面において、 反り関数の値の分布は両舷のガニノネル部、

片胴船底部、 中心線縦桁および湾曲部において大きくなるように分布しており、 湾 曲部の反り関数の値が最も大きい。 次に、 Fig.6・21より板厚を平均化した区間の断 面において反り関数の値の分布は先のx/L=O.759 断面と同様な特徴を示しているが、

板厚を平均化した区間およびその近傍で反り関数の分布の連続性に違いがみられる。

また、 上甲板の反り関数の値が板厚を平均化した区間を境にして反り関数が屈折し、

Fig.6・21の板厚を平均化していない区間の断面の値よりも少し大きめに生じている。

これらの理由は、 縦曲げによる反り関数Rzr(.ò)の定義式

f .ð

fZì (.ò)

RZi(.ò) = -

I

J,'" ,' '''',' d.ò - C ì {Z (.ò) -z (0) } + RZi (0)

J

0 t i (.ò) (6.2)

の第1項において、 平均化された板厚t i (.ò) が上甲板の他の部材の板厚より薄いた め、 結果としてRzi (.ò)の値が屈折し大きくなることによる。

次に、 式(2.36)によって定義された Zi (x)の分布をFig.6・22に示す。 Zi (x)は Fig.6-8に示されているSzr (X) と同じような傾向で変化している。

( 2 )断面に生ずる反りの分布

x/L=O.644および0.759 の横断面における反りの値の分布をそれぞれFig.6-23、

Fig.6-24に示す。 前者が上甲板の関口部を平均化した板厚でならした断面であり、

後者が上甲板に関口部がなく板厚を平均化していない断面である。 両者とも、 反り の大きさに違いがあるものの全体的分布の特徴は、 ガンネル部、 片胴船底部、 湾曲 部および中心線縦桁において、 反りの値が大きくなっていることである。 特に、 関 口のため板厚を平均化した区間の断面の反りの値の分布が板厚を平均化していない 区間の断面の反りの値よりも大きい。 これは、 先のFig.6・20、 Fig.ト21で示した反 り関数の値にはあまり差がなく同様な分布形状をしているが、 Fig.6・22に示してい る反りの長さ方向の分布を規定する関数 Z i (X)の値に、 大きな差が生じているため

- 209 -

(5)

である。'

( 3 )長さ方向の反りの分布

ガンネル部〈点5)、 船側外板 (点10)、 片胴船底部〈点27)および湾曲部〈点 44)の各代表点における反りの長さ方向の分布をFig.6・25に示す。 船の長さ方向に

ついては、 Z i (X)の値が大きい所において反りは他の所に比べて大きい。 これは、

前後の水中翼取り付け付近で、 船体の全重量を50%ずつ支えるために、 明断力が大 きくなっているためである。

以上により、 反りの特徴は、 一つの断面においては、 その断面の反り関数によっ

て特徴づけられ、 ガンネル部、 片胴船底部および湾曲部で反りの値は極値を示して いる。 船の長さ方向に関しては、 関数Zì (X)の値の長さ方向の分布形状によって特 徴づけられる。

まとめれば、 反りは反り関数の値が大きくかっ明断力の大きいところで大きく生 じることが分る。

6. 4. 2 反りによる直応力

反りの値が船の長さに沿って変化するとき反りによる直歪が発生し、 したがって 反りによる直応力が発生する。 反りによる直応力tH1 Zi の値は式(2.29)の第3式によ

って計算することができる。 再記して式(6.3)とする。

E " d Z I (x)

AσZ i (X, 1>) = 了二一τRZ i (ふ) A U

1一ν

( 6.3)

式(6.めから明かなように、 一つの横断面においてAσZi の値はRZi (1)) の値に相似 な分布を示し、 船の長さ方向には関数Z'i (x)の値に比例する。 z' (X)の値の分布を Fig.6-26に示す。

( 1 )断面における反りによる直応力の分布

断面における全直応力および反りによる直応力の分布の特徴をFig.6・27からFig.

210

6・30によって説明する。 まず、 Fig.6-27に示すように最大曲げモーメントが働く部 分の近傍、 すなわちx/L=O.4.æの断面において上甲板、 ガンネル部、 中心線縦桁、

片胴船底部および湾曲部で全直応力が大きくなっている。 Fig.6・28より反りによる 直応力は、 上甲板、 ガンネル部、 片胴船底部および湾曲部で大きく、 その中で湾曲 部付近で最も大きく生じている。 これは反り関数の値が他の所に比べて大きいこと によるものである。

次に、 Fig.6-29'こ示すように前方の水中翼取付け部近傍のx/L=0.759の断面にお いては、 曲げモーメントが小さいために縦曲げによる直応力は、 最大曲げモーメ二ノ トが働く部分に比べて1/3程度である。 しかし、 反りによる直応力は船体梁の全断面 の中で最も大きく生じており、 断面内のガンネル部、 片胴船底部および湾曲部で大 きくなっており、 その結果、 最大曲げモーメントが働いている部分の直応力の値の およそ半分程度になっている。 この断面における反りによる直応力の分布をFig.6- 30に示す。 Table 6.1に、 この断面の主要点における全直応力、 縦曲げによる直応力 および反りによる直応力の値、 ならびに反りによる直応力の値の縦曲げによる直応 力の値に対する割合を示す。

Tαbte6.1 Wαrping normαl stress αcting on p α t i cu lαr points (コc/L=O_1回)

主 要 点 びz + åσz 11 �f直応力σz 反り直応力Aσz IÄσZ/σzl

ヵツネル諸国語 1.103 0.448 O.防5 1.34

片岡船底中心 -1.550 -0.678 -0.872 1.29

湾 曲 部 0.851 0.077 0.774 10.郎

(K 9 f /mm2)

Table 6.1より、 縦曲げによる直応力の値は小さいにもかかわらず大きな反りによ る直応力が生じている。 特に、 湾曲部では、 縦曲げによる直応力は殆ど生じてない のに対し、 反りによる直応力が0.8 Kgf/mmz程度生じている。 これは、 水中翼がこの 断面を含む前後に取り付けられており、 紛の全重量の反院をこの水中翼取付部で支持 しているためにこの断面近傍で明断力の値が大きく変化するので、 z' (X)の値が最 も大きくなり、 かつ断面内の反り関数が大きい箇所で反りによる直応力が大きくな

211

(6)

るためである。

( 2 )反りによる直応力と横断面の状態量との関係

反りによる直応力と横断面の状態量の関係を撒積貨物船では、 4. 3. 3で、 二 重船殻油糟紛では、 5. 3. 3で示した。 本章においても、反りによる直応力と横 断面の状態量の関係を調べる。

まず、 水中翼付双胴型高速船の静水中の曲げモーメントの分布図(Fig.6-8)より、

前翼と後翼の聞の船体平行部はサギング状態(曲げモーメントが負〉となっており、

前翼から前方の船首部および後翼から後方の船尾部はホギング状態〈曲げモーメン トが正〉となっていることが分かる。 この両者の断面の代表として、x/L=O.4Z7お よび0.759の横断面を選び、また横断面内の代表点、として片胴上甲 板 中央部、片胴船 底部および湾曲部を選ぶことにする。 この二つの横断面の各状態量、 すなわち z: (x) 、反り関数RzJl>)、縦曲げによる直応力びzおよび反りによる直応力Aσzの

符号の関係をFig.6-26、Fig.6・20、 Fig.6・2 1 (この断面は船体平行部でx/L=

0.4幻と同じ〉、Fig.6-27、Fig.6・29を参照して、 Table 6.2に示す。

Tαb t e 6-2 C hαγαcteristics 01 wαrping noγma l s t r e s s

αt x/L=0.427αnd 0.759

x/L=O.4Z7 状態量の符号(+,一) I ()' zlからの

|

音防オ z座標 z '(X) Rz(1J) びz Aσz 増減

上甲板中央部 + + + 一 + 減少

船底部 + + + + 増加

湾曲部 + + 一 一 増加

x/L=O.759 状足撞の符号(+,ー) |σzlからの 音i持オ z座標 z '(x) Rz (1J) びz �(}'z 増減 上甲板中央部 + 一 + + 一 減少

船底部湾曲部 + 一 + + + 増加増加

Table 6・2 よりx/L=O.4Z7の断面において船体はサギング状態(曲げモーメント

212 ・

が負〉となっている。 この時、横断面内の任意の物体点のz座標とどは) と

RzJb)の積の各符号が負ならば、反りによる直応力は、縦曲げによる直応力の絶対 値を増加させている。 また、x/L=O.759において、船体はホギング状態〈曲げモー メントが正〉となっている。 この時、横断面内の任意の物体点のg座標とz;(x)

RZi(D)の各符号の積が正ならば、反りによる直応力は縦曲げによる直応力の絶対値 を増加させている。

よって、まとめると次のようになる。

『船体の任意の横断面において、 横断面内の任意の物体点のZ座標とz: (x) と

RZi(D)の積の各符号が、

①曲げモーメントの符号が負(サギング状態〉のときは、 負

②曲げモーメントの符号が正〈ホギング状態〉のときは、 正

ならば、反りによる直応力は、縦曲げによる直応力の絶対値を増加させるように 生じる。 』

さらに、 以上のことを第4章の撒積貨物船と同様に物理現象として考えると、 以 下のようになる。 船体がホギング状態の縦曲げモーメントを正と定義したとき、横 断面内の任意の物体点のz 座標の値の符号と縦曲げによる応力の符号は、 ホギング 状態において同符号となり、サギング状態において異符号となる。 また、z:(x) と RZi(D)の積の符号が反りによる直応力の符号と同じであることが分かる。 つまり、

まとめると次のようになる。

『船体横断面内の任意の物体点に生じている縦曲げによる応力の符号と、同じ物 体点に生じる反りによる直応力の符号が同符号ならば、 全直応力の絶対値は増 加し、 逆に異符号ならば、 全直応力の絶対値は減少する。 』

( 3 )船の長さ方向の反りによる直応力

ガンネル部〈点7)、片胴船底部(点27)、湾曲部〈点43)および中心線縦桁中央 部〈点49)の4点のおける反りによる直応力の値の船の長さ方向の分布をFìg.6-31 に示す。 これらの図より最大曲げモーメントが生じている部分並びに前後の水中翼

- 213・

(7)

が取り付けられている部分のガンネル部、 片胴船底部、 および湾曲部で反りによる 直応力の値が他の所より大きく生じている。

ここで波浪中の反りによる直応力について推定する。 静水中を航走しているとき に生ずる最大直応力の値は0.213t on/cが(2. 13Kgf /即死量)で、 この点、での反りによる

直応力の値は0.022 t 0 n / c m2 であり、 縦曲げによる直応力の値の約12 %に達している。

直応力および反りによる直応力の絶対値が、 硬質アルミA鵬3POの降伏応力〈

0.2 yo耐力、 以下降伏応力と記す) 1.3 t on/cmflに比べて小さいのは、 ここで計算さ

れた船の荷重状態が静水中航走状態であるからである。 ところで、 数値計算モデル と同型船ではないが、 荷重配分が揚力80覧、 浮力ID%タイプの船体4(5)の前後に2翼 づっ組になって配置されている、 東大型双胴水中翼船HC笈削について行われた日本 造船研究協会RR744の研究灯〉によれば、 「最前部の水中翼に働く荷重は、 波高5m 、 波長と船長の比が0.9と1.6 のあたりで翼露出が生じ、 翼荷重が急激に増大し、 その 最大値は静水中の荷重の4倍以上にもなる。 」と報告されている。 また、 同文献中 に示されているグラフより、 「上述した街撃荷重のピーク値より下がった腰掛部の 圧力で考えれば、 水中翼に働く荷重は静水中荷重の1. 5倍から2倍程度の大きさで継 続時聞が約5秒で周期的に繰り返されていること」が示されている。 一方、50%破 壊確率のS-N線図から推定された繰り返し数106固における疲労強度48)σP( 106) の許容応力に対する比ηは、 許容応力を降伏応力ぴy (規格値〉の印%とすれば、i欠 のようになる。

σP.Pe (lOG) 軟 鋼 ηMS -

σy.p"xO.5 σP. AI (10(5) 日愛質アルミ ηAI 二

σy・AxO.5

2.02 t on/cm2.

一一 1.2t on/cm2. = 1.682

0.53 t on/cm2 = 0.815 0.65 t on/cmZ

互主土= O.特4 ηMS

すなわち、 硬質アルミニウムのηAIの値は軟鋼のηMSの値の約1 /2 となっている。

したがって、 本章で検討しているような水中翼付双胴型高速船が波浪中を航走する 場合には、 静水中で働く荷重の1.5"--2.0倍の大きさの荷重を受けることが予想される ことと、 硬質アルミニウムの疲労に関する比強度が軟鋼の疲労に関する比強度の約

半分であることを考慮すれば、 縦強度の検討において反りによる応力成分を無視す

214・

ることはできない。

以上より、 反りによる直応力の特徴をまとめて説明すれば、 一つの断面において は、 反りによる直応力はその断面の反り関数によって特徴づけられ、 その値は、 上 甲板、 船!高部において極値を示している。 このため反りによる直応力の値は、 上甲 板ガンネル部、 船底部および湾曲部において大きくなる。 船の長さ方向においては、

反りによる直応力は、 上述したような関数Z�(x) 、 すなわち、 明断力の変化率によ って特徴づけられ、 特に、 前方の水中翼取り付け部近傍の断面において、 縦曲げに よる直応力は小さいにもかからわず反りによる直応力が大きく生じていることは、

注目すべきことである。 これらの反りによる直応力の分布上の特徴は、 従来の単純 梁理論では説明できず、 これらの特徴を把握するには、 少なくとも、 本解析法を用 いる必要がある。 特に水中翼付双胴型高速船が波浪中を航走する場合、 反りによる

直応力の影響を考慮する必要 がある。

6. 4. 3 反りによる努断流

反りによる明断流�q z (x,1>)は第2章で述べたように、 船体梁の微小部分に生じ ているx方向の反りによる応力成分の釣合を考えることによって求められ、 式(6. 4) として再記すれば、

E d2Zi(X)

( 1)

1:. q Z i (X, 1>) = � q Z i (X, 1> j ) 一一一1ーν2 dx2

I

I RZí(1)) t ei (1))d1> (6.4)

.1 1> j

となる。 式(6.4)から明らかなように、 反りによる明断流は一つの断面ではRZi(1)) の積分曲線に比例した分布を示し、 梁の長さ方向では関数Z';(x)の値に比例する。

関数Z';(x)の値の分布をFig.6-32に示す。 前後の水中翼取付け部付近において、 関 数z.;(X)の値は大きく、 明断力の変化率が大きい所と一致する。

( 1 ) 断面における反りによる明断流の分布

x/L = 0.218、 x/L=0.738およびx/L=0.771の断面における全開断涜( q Zi

- 215・

(8)

+ àqZi)の{直の分布を、それぞれFig.6・33、Fig.6-34およびFig.6・35に示す。 これ らの3つの断面は、前後の水中翼取付部近くにあるため明断力が大きい。 特徴とし て横断面の中立軸近傍を境に、上部の部材では反りによる明断、流が縦曲げによる明 断流を減らすように生じ、 その中立軸近傍より下部にある部材では縦曲げによる明 断涜を加算する方向に生じている。 特に、上甲板、船底部斜板および中心線縦桁に

おいて、反りによる明断流は大きく生じ、これらの3つの断面については船首方向 に進むほど、船底部斜板の反りによる明断涜が大きくなっている。 これは、Fig.6・

32のZ� (x)の値、すなわち、 荷重の変化率が3つの断面の中ではx/L=O.771の断 面が最も大きいことによる。

ここで明断流を明断応力に換算すれば、最も大きな値が生じている中心線縦桁で、

縦曲げによる明断応力の値は0.224t 0 n / c m2 であり、反りによる明断応力の値は

-0.σ7St on/cm2 となっている。 縦曲げによる明断応力の値に対する反りによる明

断応力の値の割合は絶対値ベースで約53%であり、縦曲げによる明断応力を減らす ように反りによる明断応力は生じている。 以上のことは静水中の明断応力に関する ものである。 しかし、 先の直応力の所で説明したように、水中翼付双胴型高速船が 波浪中を航走する場合には、静水中を航走する場合に受ける荷重よりかなり大きい 荷重を水中翼が受けることが予想されること、 また、明断降伏応力はミーゼスの条

件よりヲ|張応力の

/3 与えられること、さらに、硬質アルミニ ウムの疲労に関す

る比強度が軟鋼の半分程度であることを考慮すれば、 横断面の反りに基づく明断応 力の存在を設計時に無視することはできない。

( 2 )船の長さ方向の反りによる明断流の分布

船側外板の上部(点5)、 中央部〈点、10)の2点、と、外側および内側の船底部斜板

〈点20、 点33)の中央部の2点における全明断涜(qZi+ÂqZi)の値の船の長さ方向 の分布をFig.6-36に示し、 湾曲部中央(点43)および中心線縦桁中央部(点49)に おける全明断流の値の船の長さ方向の分布をFig.6-37に示す。 まず、船側外板の上 部、湾曲部中央部および中心線縦桁中央部の全明断流の値の分布図より、横断面の

216 ・

中立軸より上部の部材に生じる反りによる明断流は、前翼あるいは後翼取付部に近 いほど、 縦曲げによる明断涜を減少させるように生じる。 また、 片胴船体の外側お よび内側の船底斜板〈点20、 点33)の全開断流の分布図より、横断面の中立軸近傍 より下部の部材に生じる反りによる明断涜は、 前翼あるいは後翼取付部に近づくほ ど、全開断流の{直に占める割合が増え、縦曲げによる明断流を増加させるように生 じている。 このことは、船体の全重量を前後の水中翼で支えるために、 これらの翼 に近づくほど関数Z'� (x)の値、すなわち荷重の変化率が大きくなっていることによ る。

以上より、反りによる明断流の分布の特徴は、 一つの断面においては、 横断面の 中立軸近傍から下部の部材では縦曲げによる明断流を加算するように生じ、 一方、

中立軸近傍から上部の部材では、縦曲げによる明断流を減ずるように生じている。

この現象を船の長さ方向から見ると、 荷重の変化率が大きい前後の水中翼取付部に 近いほど顕著である。

6. 5 結言

本章では、 第2章で説明した変断面梁に拡張された本解析法を用いて、 静水中に おいて船体総重量を水中翼の揚力で支持する水中翼付双胴型高速船の横断面の反り に基づく応力成分の特徴を検討することにより、 次のような結論を得た。

( 1 ) 反りは、 一つの断面においては、 その断面の反り関数の分布形状によって特

徴づけられ、 関口部の船の幅方向の両側、 ガンネル部、 片胴船底部および中心 線縦桁下の湾曲部で極値を示している。 一方、船の長さ方向においては、反り の分布は関数zI( X)の値によって特徴づけられる。 よって、反りは反り関数 の値が大きくかっ明断力の値が大きい所で大きく生じる。

- 217 ・

(9)

双胴船の特徴は、 単胴船や二重船殻船には存在しない、 中心線縦桁下の湾曲 部における反り関数の値が大きいことである。 ガンネル部、 ビルジ部、 片舷上 甲板中央部などの他の箇所では他の船と同様に反り関数が大きい。

( 2 ) 反りによる直応力は、 一つの断面において、 その断面の反り関数の分布形状

によって特徴づけられる。 反り関数の値は、 上甲板、 船底部、 湾曲部において 極値を示している。 このため反りによる直応力の値は、 上甲板、 ガンネル部、

船底部および湾曲部において大きくなる。 一方、 船の長さ方向においては、 反 りによる直応力は、 関数z

:

(x) の値、 すなわち明断力の変化率によって特徴

づけられ、 特に、 明断力の変化率の大きい前翼近傍では反りによる直応力が他 の所に比べて大きくなる。 このことは単胴船や二重船殻船と著しく異なる。

( 3 ) 船体の横断面内において、 任意の物体点のz座標と明断力の変化率と反り関

数のそれぞれの積の符号が、 曲げモーメントの符号が負のときは負、 曲げモー メントの符号が正のときは正ならば、 反りによる直応力は縦曲げによる直応力 の絶対値を増加させるように生じる。

(4)反りによる明断流は、 一つの断面において、 横断面の中立軸近傍から下部の 部材では縦曲げによる明断涜の{直を加算するように生じ、 一方、 中立軸近傍か ら上部の部材では縦曲げによる明断流の値を減ずるように生じている。 この特 徴は単胴船や二重船殻船と異なる。 この現象を船の長さ方向から見ると、 荷重 の変化率が大きい前後の水中翼取付部に近いほど顕著である。

( 1 )から(4 )で示された反りによる応力成分の大きさならびに分布の特徴は、

従来の 単純梁理論による応力分布の計算結果と比べて無視できない事がわかった。

また、 波浪中を航走するときの衝撃現象を考慮すれば水中翼に働く力が大きくなる

- 218 -

ので、 この傾向 が顕著になるものと予想される。 従って、 応力成分の大きさならび に分布の特徴を正しく把握するためには、 少なくとも本解析法を用いた計算を行う ことが必要である。

- 219・

(10)

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Open

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(13)

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226

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(14)

S E C.

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S E C.

一一一一一一

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-一一一CLOSED OPEN S E C.

SEC S E C

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-一一一 CLOSED OPEN

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Spαnwise distribution 01 wαr p i n ÇJ Au� αppe αT ing in pαrticulαT P 0 i n t s 01 t h T e e mo d e l s

FiQ. 6-14

S E C.

S E C . S E C.

一一一一一一

VARIABLE

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S E C.

S E C.

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( X / L )

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Fig. 6-15

(15)

S E C . S E C . S E C .

一一一一一一

CLOSED VARIABLE

OPEN S E C.

S E C.

S E C.

一一一一一-

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POINT NO.20

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Spαnwise distribution 01 totαt αcting on pαァticulαr points 01

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6 - 16 F i g.

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( X I L )

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POINT NO.51 1. 0

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normαl total

Spαnwise distribution 01

αc t i ng on pαTt iculαT points 01 6

-

17

F i g.

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