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近年のアメリカの都市再生政策とその中心市への影 響 : 中心市は再生するのか

著者 式 王美子

雑誌名 同志社政策研究

号 3

ページ 68‑86

発行年 2009‑03‑15

権利 同志社大学政策学会

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000011683

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はじめに

 経済のグローバル化が進行する中で、企業活動の中枢機関の拠点として、そして サービス・商品の一大消費地として、都市は世界経済において重要な役割を果たし ている(Knox and Taylor 1995)。

 近年、「都市」の空間編成は著しく変化している。都市活動は、これまで「都市」

の核的な役割を果たしてきた中心市(City)から、その周辺の郊外(Suburbs)を 含む都市圏(Metropolis)へ、そして更に複数の都市圏を含む複合都市圏(Region)

へと拡大・多角化している(Scott 2001)。長年にわたる人と企業の郊外への流出の 結果、アメリカの都市の生産と消費活動の基盤は、中心市からその外延の都市空間、

郊外地域へと移行しているのだ。対照的に、中心市は多くの社会問題(失業・貧困・

犯罪等)を抱え込み、その求心力を失いつつある。2005年の夏、ニューオリンズ市 を襲ったハリケーン・カトリーナによる被害者の姿は、アメリカの中心市が抱える 人種と貧困の問題を全世界に知らしめることになった。

 アメリカの都市空間の構造変化が進む中で、経済的及び社会的な地位を失いつつ ある中心市の貧困をめぐる社会問題にいかに対処していくのか。また、都市全体の 経済力・競争力をいかに維持・向上させていくのか。ここに生じる政策的なジレン マの中で、自由な経済活動を阻害しないように都市の社会問題に対処していく、と いう新自由主義的な政策が展開される。しかし、この政策展開が中心市の再生に有 利に働いているとは言い難い。

 本稿では、まず、アメリカの都市の状況と中心市における貧困や社会問題を明ら かにする。それを踏まえて、近年のアメリカの都市政策の特徴である、「地方政府 の権限の拡大」、「民間セクターの活用」、「個人の自由な選択と責任の重視」という 政策方針の中で、アメリカの都市再生政策が、必ずしも衰退する中心市の再生に至 らない要因について考察を行う。

1.アメリカの都市の現状:中心市の衰退と都市圏の繁栄 1.1.アメリカの都市空間構造

 都市の状況の説明するために、前提となるアメリカの都市空間構造の説明を行う。

図1はアメリカの都市空間構造を簡略に示したものである。数字の1と2で表示さ れている灰色の楕円形の地域は、人口が一定規模以上の都市化した地域、つまり都 市圏地域(Metropolitan Area)1)であり、数字の3で表わされている地域は人口の

近年のアメリカの都市再生政策とその中心市への影響:

中心市は再生するのか

式 王美子

Kimiko Shiki

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69 少ない非都市圏地域(Non-Metropolitan Area)である。この都市圏地域には必ず

都市圏の核となる中心市(Central City)が存在している。中心市とは都市圏地域の 中に存在する多数の市の中でも、特に人口規模や密度の高い市のことを指す。中心 市の中心部には、その都市の政治、経済、文化活動の中枢としての役割を果たしてき 中心市街地がある(図1のaの部分であり、DowntownもしくはCentral Business District:CBDと呼ばれる)。アメリカの都市圏の統計では、都市圏地域内において、

中心市の外側の地域は郊外として定義される(図1における2の部分)。

 図2は、1950年と2000年のそれぞれの国勢調査において、人口が多かった1位か ら10位までの中心市の位置と人口を示している。図の中で、黒の丸は1950年から 2000年にかけて人口が増えた市を示しており、灰色の丸は同期間に人口が減少した 市を示している。製造業の衰退の加速により、1970年代以降、産業都市として栄え ていたアメリカの大都市の衰退が深刻化した。人口減少が著しいのは、シカゴ市、

デトロイト市、クリーブランド市など五大湖周辺と、フィラデルフィア市、ボルティ モア市、ボストン市など東海岸の、アメリカ伝統的な大都市である。現在、東部や 中西部の伝統的な大都市の中で、1950年と同じ人口レベルを維持しているのは、

ニューヨーク市のみで、残りの市は、50年の間に20%から60%の人口が減少した。

中でも、工業都市として栄えたデトロイ市の衰退は激しく、1950年に185万人だっ た人口は、その後、50年間減少の一途をたどり、2000年には約半分の95万人に落ち 込んだ。

 伝統的な大都市の衰退に変って、成長を遂げているのは、ロサンゼルス市を筆頭 とするアメリカ南西部の新興都市である。1950年の国勢調査の人口ランキングでは 第4位であったロサンゼルス市の人口は、1960年の調査ではフィラデルフィア市を、

1970年の調査ではシカゴ市を抜いた。現在、その人口は367万人であり、ニューヨー 図1 アメリカの都市空間構造

1,2:都市圏地域

  (Metropolitan Area)

1:中心市(Central City)

a:中心市街地

(Downtown or Central Business District:CBD)

2:郊外(Suburbs)

3:都市圏外地域

 (Non-Metropolitan Area)

郊外 中心市

3 2

1 a

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70

ク市に次ぐアメリカ第2位の人口規模の都市である。その他に2000年の上位10位に 入っている、ヒューストン市、フェニックス市、サンディエゴ市、ダラス市、サン アントニオ市などは、1950年の調査では、いずれも10位以内に入っていない。それ どころか、1950年の時点では、ヒューストン市の人口がかろうじて60万人弱あるの みで、その他の南西部の都市は人口50万人にも満たない中小都市であった。その後 50年の間に、これらの都市の人口は3倍近く増加し、フェニックス市の人口にいたっ ては、10倍以上に増加した2)

 これらの伝統的な都市の衰退は、アメリカの都市が危機的な状況に瀕していると の印象を与える。しかしながら、中心市の外に目を向けてみると、郊外を含む都市 圏の人口は増加傾向にある(図3)。例えば、1990年から2000年にかけてフィラデ

図2 アメリカ主要都市の人口の変化

出所:米国国勢調査のデータをもとに筆者作成

ランク 1950年国勢調査 2000年国勢調査

市  名 人 口 市  名 人 口

1 ニューヨーク 789万人 ニューヨーク 801万人

2 シカゴ 362万人 ロサンゼルス 369万人

3 フィラデルフィア 207万人 シカゴ 290万人

4 ロサンゼルス 197万人 ヒューストン 195万人

5 デトロイト 185万人 フィラデルフィア 152万人

6 ボルティモア 95万人 フェニックス 132万人

7 クリーブランド 91万人 サンディエゴ 122万人

8 セントルイス 86万人 ダラス 119万人

9 ワシントンDC 80万人 サンアントニオ 114万人

10 ボストン 80万人 デトロイト 95万人

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ルフィア市では人口が4%減少したが、市の外延人口を含むフィラデルフィアの都 71 市圏4)人口は5%増加しており、都市圏地域を含む都市全体としては、人口増加傾 向にある。20世紀半ばまで、中心市の付属地域として認識されていた郊外地域は、

1970年には人口において中心市を追い抜いた(図3)。さらに、企業の郊外への流 出も続いていることから、近年においては、生産活動においても中心市から独立し た地位を確立しつつある5)

1.2.中心市の社会問題

 郊外を中心にした都市の人気に取り残されるように、中心市では、失業人口の増 加に伴って、貧困、犯罪、麻薬中毒、高校中退などの社会問題が増大し、古い市街 地の一部に貧困家庭が集中する地域が形成されるようになった。1970年代から1990 年代にかけてこれらの貧困集中地域が大都市の中心市街地で拡大し、1980年代半ば から研究者の間で都市における中心市と郊外地域の社会格差がさかんに議論される ようになった6)。1992年に起きたロサンゼルスにおける都市暴動は、社会格差に苦 しむ中心市街地の住民の不満の爆発として象徴的な出来事となった。

 表1は中心市と郊外における貧困7)や様々な社会問題の状況について比較したも のである。この表から、郊外と比較すると中心市においては、貧困、失業、犯罪な ど様々な社会問題の発生率が高いことがわかる。

 図3でも示したように、都市圏内において郊外に居住する人口の割合は年々増加 している。2006年の統計によると、都市圏内の人口の62%が郊外に、残りの38%の 人口が中心市に居住している。しかし、貧困人口に限定すると、都市圏内の貧困人 口の52%が中心市に住んでおり、貧困人口は全体の人口と比較して中心市に居住す

図3 都市圏3)人口における中心市と郊外人口の割合の変化

0 50 100 150 200 250

1950 1960 1970 1980 1990 2000

郊外 中心市 62%

60% 60%

49% 54%

42%

40% 38%

46% 40%

58% 51%

(百万人)

85

113

140

169

193

226

出所:米国国勢調査のデータを元に、筆者作成

注:中心市及び都市圏の境界は国勢調査年ごとの定義を使用

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る傾向にあることがわかる。中心市と郊外の貧困率を比較すると、郊外の貧困率は 9%なのに対して、中心市の貧困率は17%と、郊外の約2倍の高さである。

 中心市では、黒人、アジア人、ヒスパニック系などの非白人人口、つまりマイノ リティ人口の割合が高いのも特徴である。貧困率は、中心市に集中するマイノリティ 人口、特に、黒人とヒスパニック系人口において高い。例えば、中心市の白人やア ジア人の貧困率が、それぞれ9%と12%なのに対して、中心市の黒人とヒスパニッ ク系人口では、28%と23%と、約4人に1人は貧困状態である。

 この中心市における貧困率の高さからも推察されるように、中心市では様々な社 会問題の発生率が高い。郊外の失業率は4.6%であるのに対して、中心市では7.5%

である。また、中心市では低学歴人口の割合が高く、高校を卒業していない人口の 割合は、郊外で16%であり、中心市では23%である。社会問題でも、特に、中心市 のイメージを悪くしているのは、高い犯罪発生件数である。2005年のFBI犯罪デー タによると、人口10万人あたりの殺人発生件数は、中心市では11.1件であり、郊外 の3.4件の3倍以上の高さである。また、人口10万人あたりの強盗件数は、中心市 では308.2件、郊外では84.6件であり、こちらも郊外の3倍以上の発生件数である。

表1 中心市における貧困と社会問題

a:2006 Current Population Survey, Annual Social and Economic Supplement b:2000 U.S. Census (Summary File 3)

c:2005 FBI Crime Data compiled in the HUD USER State of the Cities Data Systems 出所:上記のデータを元に筆者作成

全 米 都市圏 中心市 郊 外

人口の割合(%) - 100.0 38.2 61.8

人種/民族構成(各地域内%)

 白人 67.3 64.2 50.5 72.8

 黒人 12.8 13.5 19.8 9.6

 アジア人 4.5 5.2 7.2 4.0

 ヒスパニック系 15.4 17.0 22.6 13.5

貧困人口の割合(%) - 100.0 52.4 47.6

貧困率(%) 12.1 11.6 16.7 8.9

人種・民族別貧困率(%)

 白人 8.2 7.3 9.2 6.4

 黒人 24.3 23.6 27.9 18.1

 アジア人 10.3 10.1 12.1 8.0

 ヒスパニック系 20.6 20.2 23.0 17.3

失業率(%) 5.8 5.7 7.5 4.6

高校を卒業していない成人人口の割合(%) 19.6 18.7 22.7 16.3

殺人件数(10万人あたり) - 6.4 11.1 3.4

強盗件数(10万人あたり) - 170.1 308.2 84.6

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2.近年のアメリカの都市再生政策とその中心市への影響 2.1.都市再生政策の推移

 小さな政府、市場原理、個人の自由な選択を重視する立場から、ケインズの福祉 国家への批判として戦後台頭してきた新自由主義思想は、現在、アメリカの社会政 策の有力な思想基盤となっている8)。新自由主義的観点からみると、弱体化する中 心市への政府の資金投入は、民間経済活動への政府介入であり、また、非効率的な 公共投資であり、ひいては、都市の経済競争力を奪う要因でさえある。

 中心市に集中する貧困や社会問題の解決は、戦前や戦後を通して、アメリカ都市 政策の重要な政策課題であった。しかし、1970年代のニクソン政権以降、連邦政府 は、1950年、1960年代に施行されたアーバン・リニューアルやモデル・シティに代 表されるような、中心市衰退問題への介入政策を見直し始めた。連邦政府の政策に おいて、新自由主義的傾向が色濃く打ち出されたのは1980年代のレーガン政権にお いてであった。小さな政府を標榜する立場から連邦政府の社会福祉予算を大幅に削 減し、都市政策に関しては、深刻化する都市問題を見過ごす姿勢をとった9)。  1992年のロサンゼルス暴動は、中心市街地の荒廃によるアメリカの都市危機が、

これまでの通りの不介入政策では解決できない深刻な状態にあること、それと同時 に、中心市の社会問題の悪化が都市全体の経済活動の妨げになることを知らしめた。

クリントン政権は中心市再生事業に乗り出し、1993年に、職業訓練などの社会サー ビスへの資金補助と地域企業への税金優遇を軸にした経済開発プログラム「エンパ ワーメント・ゾーン(EZs:Empowerment Zones)」を策定した。第一回EZ指定 地区として7都市が選ばれた(図2)。

 EZ政策のような経済開発政策だけでなく、1980年代の後半から90年代の半ばにか けての社会福祉支出の増加に伴う財政圧迫を受けて、連邦政府は、住宅・社会福祉 政策プログラムの改革にも乗り出した。住宅政策では、中心市衰退地域に居住する 低所得者の郊外へ移住を促進する実験プログラム「機会への移住(MTO:Moving to Opportunities)」(1992)、社会福祉政策では、求職活動を生活支援条件に規定 し た 「 個 人 責 任 及 び 就 労 機 会 調 整 法 (Personal Responsibility and Work Opportunity Reconciliation Act of 1996)」 などが代表的な改革例である(各プ ログラムの説明は本論末の補足を参照)。

2.2.アメリカの都市再生政策における近年の特徴

 近年のアメリカの都市再生政策は、以前の不介入政策のように問題を野放しにす るのではなく、市場原理と個人の自由な選択を積極的に取り入れた政策をもって問 題解決にあたっている。政策推進にあたっては、それまで連邦政府所轄局が握って いた事業計画権限及び責任が、州(States)、郡(Counties)、市(Cities)などの 地方政府へと移行し、いわゆる地方分権化が促進された。このような政策方針のも と、都市全体の活発な生産・消費活動を損なわないように効率性を重視して推進さ れている都市再生政策ではあるが、これらの方針は必ずしも中心市の再生に対して

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効果的に作用しているとはいえない。以下の章では、地方分権の拡大、民間セクター の活用、個人の自由な選択の尊重という政策方針ごとに、その要因について考察を 行う。

2.2.1.地方政府の権限の拡大中心市の地位の低下

 地方政府への権限委譲は、それぞれの都市の市場状況と住民ニーズに対応するこ とを目的とし、都市再生に関係しているあらゆる政策分野(地域開発政策、住宅政 策、福祉政策)で推進されている。その代表的な例が、「包括交付金(Block Grant)」

制度の導入である。この包括交付金制度の導入によって、連邦政府からの交付金の 用途は大枠では決められているが(住宅や地域開発など)、その詳細な資金運用計 画の決定は、州、郡、市などの地方政府へと委ねられるようになった。

 都市再生政策への包括交付金の導入は、地域開発の分野における1974年の「コミュ ニティ開発包括交付金(CDBG:Community Development Block Grant)」に 始まった10)。その後住宅開発の分野では、1986年に施行された「低所得住宅税額控 除(LIHTC:Low Income Housing Tax Credit)」や1990年に施行された「住 宅投資パートナーシップ(HOME:Home Investment Partnership)」に包括交 付金制度が導入され、いずれも事業管理は州政府に委ねられた。社会福祉の分野で も、1996年の「個人責任及び就労機会調整法」により、包括交付金制度が導入され た。

 CBDGを例に住宅分野における包括交付金制度を説明する。市自治体の住宅局は、

各自治体内の住宅状況を調査して、将来3年間の低所得者の住宅ニーズを予測し、

「住宅補助計画(Housing Assistance Plan)」を策定する。この住宅補助計画を、

CBDG助成金の申請書として提出することで連邦政府から資金を得ることができ る。しかし、自治体内の住宅ニーズを満たすために、どのような住宅や地域政策プ ログラムを実施するかは、各自治体の住宅局の手腕に委ねられる。そうすることで、

地域の多様なニーズに適合した地域独自の住宅・地域政策実施を促進することがね らいである。

 この地方分権の推進によって、貧困問題を多く抱える中心市政府は、その問題解 決手腕を問われることになった。しかし同時に、地方分権により都市圏内に存在す る多数の自治体の発言力が強まり、それまで都市再生政策の名のもと、連邦政府の 公的資金を優先的に獲得していた中心市の都市圏における地位が相対的に低下する ことになった。特に、地方分権による地域住民の発言力の増進は、郊外地域におけ る低所得者向け住宅の建設促進により、貧困世帯の中心市から郊外地域への分散を ねらう中心市自治体には逆風となった。

 もともと、公営住宅などの低所得者向け住宅の建設に対しては、郊外地域の住民 の根強い反発があった。そのため、非白人居住者や貧困世帯が多く居住し、またコ ミュニティの政治的発言力が弱いなどの理由から、中心市の地域がその建設用地に 選ばれることが多かった11)。その結果として、公営住宅や公的資金補助により建設

(9)

75 される低所得者向けの賃貸住宅は、中心市に集中して建設されることになり、その

ような偏った低所得者向け住宅の集中が、中心市への貧困世帯の集中の要因の一つ とみなされている(Newman and Schnare 1997)。そのため、中心市への貧困の 集中を防ぐには、郊外地域への低家賃住宅の建設が課題となっている。しかし、こ れらの住宅建設を阻むのは、郊外地域の自治体によって施行されている集合住宅開 発を規制する排他的ゾーニング(Exclusionary Zoning)である。良好な住環境維 持を目的に、土地利用規制のゾーニングにより住宅や敷地の大きさ、戸数密度の規 制をすることで、結果として、低家賃の賃貸住宅開発、ひいては低所得者の転入を 阻む機能を果たしている(Downs 1991;Schill and Wachter 1995)。地方分権 が推進され、連邦政府から市自治体を中心とする地方政府へ住宅・地域開発プロジェ クトの権限が移ることで、地方政府は政治的基盤を支える地域住民のニーズをより 重視するようになり、必然的に、郊外地域の住民とその自治体による低所得者向け 住宅開発への反発、いわゆるNIMBY(Not In My Back Yard)傾向は強くなる。

 連邦政府が都市政策における権限を失うことで、上位権限組織が地方自治体と住 民の意見の調整をしたり、時にはトップダウン的に権力を行使することで地方政府 の権限を抑え、開発プロジェクトを推進したりすることできなくなった。このよう にして、連邦政府からの後ろ盾を失うことで、都市再生政策における中心市の発言 力は低下し、都市圏全体で中心市に集中する社会問題の共有化や共同解決は難しく なった。その結果、中心市はこれらの社会問題を抱えたまま、都市圏において政治 的に孤立化する傾向にある12)

2.2.2.民間セクターの活用リスクの高い中心市地域開発事業を敬遠

 事業権限委譲に伴い、地方政府は、いかに効率よく連邦資金を運用し問題解決を 行うことができるかという事業管理手腕が問われるようになった。民間セクターの ほうが効率的な事業運営ができるという市場重視の原則のもと、地方政府は積極的 に民間セクターとのパートナーシップを築き、事業を委託している。住宅・地域開 発の分野では、1970年代から、公営住宅に代表されるような政府による低所得者向 け賃貸住宅の直接供給・管理から、民間ディベロッパーへの建設資金補助による賃 貸住宅供給がさかんになった。加えて、非営利組織とのパートナーシップも推奨さ れている。例えば、1990年に施行されたHOME(Home Investment Partnership:

住宅投資パートナーシップ)では、一定割合の補助金を非営利住宅開発事業に割り当 てるように義務付けている。このような民間セクターへの直接的な資金補助だけで なく、税金優遇をインセンティブに、事業への投資者を幅広く集めることで民間事 業を補助する制度も盛んになっている。地域開発政策では、前述した1993年のエン パワーメント・ゾーンが税金優遇制度を取り入れている。住宅開発政策では、1986年 の「低所得者向け住宅投資減税(LIHTC:Low Income Housing Tax Credit)」13)

が同制度を取り入れている。

 この都市再生政策における民間セクター活用は、事業効率性の向上という面で利

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76

点はあるが、中心市の再生という観点からはいくつかの問題点がある。それらの問 題の根源には、民間セクターは必然的に資金回収が難しいリスクの高い事業を避け るという問題がある。これらのリスクの高い事業には、低所得者向けの住宅開発や 低所得地域における地域開発が含まれる。

 前述したように、低所得者向けの住宅開発プロジェクトに対して、地域住民の反 対が強く、建設予定地選定や住民との交渉の長期化により事業費用が割高になる場 合が多い。そのため、政府資金を利用した住宅開発プロジェクトを行う場合には、

民間ディベロッパーは、高齢者向けの住宅開発を好む傾向が強い。なぜならば、若 い低所得世帯が多い一般的な低所得者向けの住宅開発に比べて、高齢の低所得者向 けの住宅開発のほうが、地域住民の理解・同意を得られる傾向にあるからだ14)。また、

民間ディベロッパーによる開発は、地域経済の状態が悪い中心市地域の開発を敬遠 することから、結局のところ、中心市地域に集中する非白人の低所得世帯よりも、

郊外地域の白人高齢者の低所得世帯向けの住宅開発になることが多い15)。さらに、

現在、建設戸数の多いLIHTCプログラムによって補助を受けている民間の住宅開発 においても、低所得者の中でも比較的金銭的に余裕のある世帯を入居者としてター ゲットにする傾向が強い(McClure 2000)。このようなことから、民間主導の住宅 開発では、低所得の非白人世帯に対する低家賃住宅の供給がなかなか進まないのが 現状である。

 また、利潤追求を旨とする民間企業との政府の地域開発プログラムにおけるパー トナーシップも、必ずしも期待通りに進むとは限らない。市場への政府介入に対する 民間セクターの根強い反発が一因である。例えば、ロサンゼルス市のエンパワーメン ト・ゾーン政策の政府資金によって創設されたロサンゼルス地域開発銀(LACDB:

Los Angeles Community Development Bank)の場合には、パートナーシップ 創出のために民間銀行の利益保護を重視したことから、民間企業に相手にされな かったハイリスク企業のみを顧客に抱え、経営破たんに追い込まれる結果となった

(Rubin and Stankiewicz 2001;式 2007)。

2.2.3.個人の自由な選択と責任を重視:場所重視政策から人重視政策への移行  市場重視とともに、近年の都市再生政策で強調されているのは個人の自由な選択 と自己責任である。個人を重視する立場によって、中心市街地という「場所」に援 助をするのではなく、そこに住む低所得の居住者自身、「人」に援助をするべきだ という意見が活発になってきている16)。地域経済及び住宅開発のような場所への投 資の代わりに、家賃補助、賃金補助や職業訓練といった人への投資を行い、居住地 や職業の選択の幅を広げることで、衰退地区居住者の自立を援助するという政策で ある。自立能力を高めた個人は衰退地域住み続けるか否かを選択することが可能で ある。また、個人の自由な選択の尊重と同時に、個人の自立への責任も強調される ようになった。1996年の福祉改革では、生活保護者に対して求職もしくは職業訓練 活動を義務付け、また、援助受給期間も5年に限定した。これにより、低所得者に

(11)

77 対して生活自立に向けた自己責任も問われるようになった。

 この場所重視政策から人重視政策への転換を代表するのは、1970年代から始まっ た公営住宅や民間ディベロッパーによる低家賃住宅供給政策から低所得者に対する 家賃補助政策への政策転換である17)。低所得者向けの住宅政策として、HOMEや

LIHTCのような住宅開発を通した場所に対する政府資金補助は未だにあるもの

の、その政策的な人気は年々低下傾向にある。代わって主流になっているのは、住 宅供給は民間住宅市場に任せて、政府は低所得者の家賃の補助のみを行う住宅バウ チャー政策(The Housing Choice Voucher program)である18)。低所得者向 けの住宅開発に補助金を支出するよりも、既存の中古市場を活用して低所得者に家 賃補助券を発行したほうが事業効率がよいというのが、この政策転換の最大の理由 である(Weicher 1990)。しかしながら政策コスト面だけでなく、住宅バウチャー 制度は、公営住宅や民間ディベロッパーによる低家賃住宅供給に比べて、低所得者 の住宅や居住地、ひいては職業や子供の教育環境の選択の機会を広げるという利点 が注目を集めている(Tuner 1998;Sard 2001)。1990年代には、住宅探しの専門的 なカウンセリング・サービスを施すことで、積極的に低所得者を比較的良好な住宅 地に移住させ、それにより職業上や子供の教育上の効果を実証研究する実験プログ ラム「機会への移住実験プログラム(MTO:Moving to Opportunities for Fair Housing Demonstration Program)」が施行された。

 このような人への力点のシフトによって、都市再生政策において、地域や中心市 といった場所による縛りが緩くなりつつある。この政策転換は、経済的な優位性を 失いつつある中心市という場所に無駄な資金投資をせずに、ほかの世帯と同じよう に低所得者も成長する郊外地域に移住させようとする、いわば、中心市の再生に見 切りをつける政策ともいえよう。例えば、先に挙げたエンパワーメント・ゾーン政 策では、中心市に集中する経済衰退地区への民間企業の誘致を図ることにより地域 活性化を目指しているが、高い地代と交通費を避けて郊外に移動する企業立地の傾 向を覆すのはなかなか難しい19)。また、長年の中心市街地からの人口と企業流出に より、郊外における消費や生産活動も人々の間で定着してきており、中心市再生政 策推進していくために必要な人々の意識における中心市への愛着心も低下している と予想される。それならば、都市活動を地域開発や住宅開発によって一定地域に集 中させる場所重視政策よりも、現在の人々の郊外志向を援助する人重視政策のほう が政策的に効率がよく、かつ世相を反映した現実的な政策といえよう。しかしなが ら、人への政策焦点への転換は、場所である中心市の存在を相対的に低下させると いう側面を持つ。

3.まとめ

 長年の世帯と企業の郊外化と都市圏の拡大により、これまで都市の政治、経済、

文化、消費活動の核として機能してきた中心市の地位が低下してきている。このよ うな中心市の衰退が話題になって久しいが、その一方では中心市復活もよく話題に

(12)

78

なる。典型的な例が、若年の中高所得世帯の中心市の衰退地区への移住と、それに よる再開発事業の活発化である。この都心回帰の話題が上る度に中心市復活への期 待は高まるが、近年の研究では、郊外地域や南西部都市へ世帯・企業の流出はある にせよ、アメリカの中心市は「死にかけているわけではないが、だからといって復 活もしていない」と結論づけられている(Storper and Manville 2006:1269)。

 実際のところ、1990年代後半には、シリコンバレーを中心とするIT産業の好景気 を受けて、サンフランシスコ市での高所得世帯の都心居住が注目を集めるなど

(Shiki 2006)、教育水準の高い労働者が集中する一部の伝統的な都市の中心市(ボ ストン、シカゴ、ニューヨークなど)において人口増加が見られた。しかしながら、

その他の東部や中西部の伝統的な中心市においては人口の減少が続いている

(Glaeser and Shapiro 2003)。人口が増加した一部の中心市でも、それが50年 前の人口や人口密度レベルに戻るほど中心市が再生するとは考えにくい。また、ア メリカ人の間で自動車が利用できる郊外居住への志向も相変わらず根強い。そのた め、技術性や専門性の高い労働者を必要とする産業を抱えた一部の中心市について は、その求心力が未だ残っているものの、多くのアメリカの伝統的な中心市は「死 にかけて」はいないものの衰退傾向にあり、世帯と企業の郊外地域への流出は続く というのが一般的な見方である。

 このような状況を覆し、アメリカの中心市の再生を図るには、地域経済政策及び 住宅政策によるダウンタウンを核とする中心市への大規模な公共投資が必要とされ るだろう。しかしながら、新自由主義傾向の強い近年のアメリカの都市再生政策に おいては、都市の経済活動と住民の自由な選択を尊重し、また政策運営には地域住 民の意見がよりよく反映される地方政府に委ねられている。今やその大部分が郊外 地域で生産・消費活動を行う都市の企業と住民が、いまさら、中心市地域に事業や 生活の場として魅力を見出すとは考え難い。都市の地域住民の支持がなかれば、地 方政府が率先してダウンタウンの活性化や中心市の再生に対して大規模な公共投資 を行うのは難しい。

 中心市の再生の鍵となる貧困問題の解決については、中心市の地域経済開発や低 所得者向け住宅開発といった場所に対する投資政策は行き詰まりを見せた。代わっ て登場したのは、個人の選択を尊重し、家賃補助によって中心市から低所得世帯を 郊外地域へ移住させるという人への投資政策である。事実、一般世帯には遅れるも のの、貧困世帯の郊外居住も進んできており、2005年にはアメリカの都市で初めて 郊外に居住する貧困世帯の数が中心市の数を超えた(Berube and Kneebone 2006)。こうして、中心市から郊外地域への低所得者の分散は少しずつではあるが 進んでいる。しかしながら、この場所から人への政策転換は、必然的に中心市の再 生という場所への投資の重要性が相対的に低下することを意味する。一般世帯に続 いて貧困世帯も中心市から郊外地域へ移住し、さらに空洞化した中心市という場所 をいかに再生していくかについて、効果的な都市再生政策は打ち出されずにいる。

また、将来的には、郊外化と分散政策によって都市全体に広がった貧困世帯と社会

(13)

79 問題にどのように対策していくのかが、アメリカの都市再生政策の新たな課題とな

る。

補足:1990年代の都市再生関連プログラム

 以下に、これまでに触れた代表的な都市再生関連プログラムについて簡略に説明 する。

住宅投資パートナーシップ(HOME:Home Investment Partnership)20)

 1990年に施行された、低所得者用アフォーダブル住宅の供給を目的とした地方政 府への包括交付金である。居住者のための家賃補助及び持ち家購入資金補助と、住 宅建設及び改修を行う開発業者のための住宅開発費補助を目的としている。近年、

家賃補助や税金控除制度を利用した住宅開発補助が主流になってきているアメリカ の住宅政策において、民間のアフォーダブル住宅開発への直接的な資金補助を行う 希少なプログラムである。アフォーダブル住宅の供給における民間とのパートナー シップを重視している。特に、非営利組織とのパートナーシップの構築を奨励して おり、補助金の15%が非営利住宅開発事業に割り当てられるように義務付けられて いる。

機会への移住実験プログラム(MTO:Moving to Opportunities for Fair Housing Demonstration Program)21)

 1992年にアメリカ住宅都市開発局が始めた、低所得者の移住実験プログラムであ る。衰退地域に住む公営住宅居住者が、郊外の比較的裕福な地域に移住した場合の、

成人の就業機会や子供の教育機会への影響に関する調査をすることを目的としてい

る。MTOプログラムは、家賃補助政策によって向上する住居選択によって生み出さ

れる効果についての実証研究である。公営住宅に住む子持ちの参加希望者の中から 無作為に選ばれた被験者は、住宅探しに関する専門的なアドバイスを受け、移住先 では賃貸助成を受けることができる。引越し先の地域は、地域貧困率が10%以下で はならないと決められている。ボルティモア、ボストン、シカゴ、ロサンゼルス、

ニューヨークの5都市の住宅局によって実験が行われた。2003年に発表された研究 成果では、移住した世帯の間で、安全面や住宅の質などの向上が見られたものの、

就業率や子供の成績向上などの統計的な効果は発見できなかったと報告されている

(Orr 2003)。

エンパワーメント・ゾーン(EZ:Empowerment Zone Initiative)22)

 1993年に制定された。社会サービス包括交付金と地域企業への税金優遇を軸にし た経済開発プログラムから成る、都市及び過疎地域向けの地域再生プログラムであ る。政策方針として連邦政府が特に強調しているのは、指定地域における「公共・

民間・地域組織の連携」と、経済開発だけに終始しない「包括的」で「持続可能な」

(14)

80

地域開発、それに向けた「長期的で戦略的な計画策定能力」の有無である。市から の応募を受けた審査の結果、1994年の第1回の都市地区指定では、アトランタ市、

ボルティモア市、シカゴ市、クリーブランド市、デトロイト市、ロサンゼルス市、

ニューヨーク市、フィラデルフィア市における7地域がEZに選ばれた。EZのほか に、補助の少ないEnterprise Communities(EC)やRenewal Communities(RC)

という指定もある。アトランタは2002年にRC指定に移行し、ロサンゼルスとクリー ブランドは1997年に追加的指定(SEZs:Supplemental Empowerment Zones)

からEZへ昇格した。

個人責任及び就労機会調整法(Personal Responsibility and Work Opportunity Reconciliation Act)23)

 1996年に始まった、地方政府への社会福祉包括交付金制度である。以前の生活保 護制度(AFDC:Aid to Families with Dependent Children)の条件を大幅に 変更して、貧困家庭の自立支援策に自己責任性を強調した新しい生活保護制度

(TANF:Temporary Assistance for Needy Families)をスタートさせた。

一定収入以下の貧困家庭が長期的に生活保護が受けられたそれまでの制度と違い、

生活保護の条件として、勤労可能な生活保護受給者に対して求職活動もしくは職業 訓練を義務付けた。この求職活動を通して、受給者は2年以内に就職せねばならず、

支援期間は一生涯で5年以内と定められている。この新しい社会福祉法は生活保護 者の就業による自立に力をいれているため、各地方政府は就職情報サービスや技術 訓練などの生活保護者の求職活動を支援する独自のプログラムを実施している。ま た、就業機会のさらなる向上のため、交通政策や保育所サービス(Welfare to Work Program)との連携も施行された。

1)こ の 都 市 圏 地 域 は 、 米 国 行 政 管 理 予 算 局 (Office of Management and Budget)によって定義されている統計上の空間単位であり、都市圏地域を構 成する最小空間単位は郡(County)である。都市圏地域の最低人口基準は10万 人(ニューイングランド地方では7万5千人)である(U.S. Census Bureau 2002:A-16-17)。都市圏が単独で存在しているか、複数の都市圏集合地域の 一つなのかで、名称が異なる。前者の場合は、都市圏統計地域(Metropolitan Statistical Areas:MSAs)、後者の場合は、主要都市圏統計地域(Primary Metropolitan Statistical Areas:PMSAs)と呼ばれる。

2)1950年から2000年の人口増加率は、フィニックス市で12.4倍、サンディエゴ市 で3.7倍、ヒューストン市で3.3倍、サンアントニオ市で3.8倍、ダラス市で2.7 倍、ロサンゼルス市で1.9倍である。これらの市の中には、50年間の間に市の 面積が拡大したものもある。

(15)

81 3)Metropolitan Statistical Areas.

4)主要都市圏(PMSA:Primary Metropolitan Statistical Area)。

5)都市経済における郊外地域と中心市の関係についての議論の詳細はIhlanfeldt

(1995)and Leichenko(2001)。

6)アメリカ大都市におけるいわゆる「貧困集中(Concentrated Poverty)」問題 の詳細はWilson(1987)やJargowsky(1997)。

7)この論文、特に表1のデータでは、米国連邦政府によって公式に採用されてい る国勢調査データにおける貧困家族の定義を使用している。この貧困の定義で は、ある個人の貧困レベルは、その人の家族の大きさと構成にみあった家族収 入基準と対照することで決定される(U.S. Census Bureau 2002)。

8)新自由主義の理論的背景やアメリカ公共政策への影響についての詳細は Hackworth(2004)。

9)アーバン・リニューアル(Urban Renewal)は1949年に開始されたスラム・ク リアランス事業。モデル・シティ(Model Cities)は1967年に開始された衰退 地区活性化事業。アメリカにおける衰退地域活性化のため連邦政策の歴史の詳 細はO’Connor(1999)やKeating(1999)。

10)CBDG導入の背景についての詳細はHays(1985)。

11)公営住宅建設に対する地域住民の反対に関しての詳細はHays(1985)やSugrue

(1996)。

12)都市圏の自治体を統合する組織として、都市圏計画組織が存在するが、集中す る都市問題の都市圏内自治体での共有化・共同解決を目指す中心市と権限の中 央集権化を拒む周辺自治体との間で摩擦が生じ、広域レベルでの問題解決には 至っていない(Fulton 1997、式 2007)。

13)詳細はMcClure(2000)。

14)詳細はHays(1985)。

15)例えば、1998年の統計によると、公営住宅に居住する世帯の非白人率は69%で あ る の に 対 し て 、 政 府 資 金 補 助 (The Section 8 New Construction program)を受けて民間ディベロッパーにより建設された賃貸住宅に居住する 非白人率は38%である(HUD 2000)。この非白人率の違いは、民間による住宅 開発が白人居住者の多い郊外や都市圏外地域に集中するために生じると考えら れる。

16)衰退地区活性化をめぐる場所政策及び人政策に関する議論の詳細はIhlanfeldt

(1999)。

(16)

82

17)家賃補助政策は、1971年に実験的な家賃補助政策(tExperimental Housing Allowance Program:EHAP)が行われた後、1974年のHousing and Com-Com- munity Development Actにより正式に導入された(Hay 1985)。その後何度 も、プログラムの改良を重ね現在は、現在のプログラムは1999年に施行された the Housing Choice Voucher program(HUD 2001)により運営されている。

18)簡単に家賃補助制度の仕組みを説明すると、各市自治体の住宅課が連邦政府の 住宅局に資金申請を行い、規定に基づいて低所得居住者に家賃補助券を発行す るというものである。家賃補助受給世帯は月収の30%と実際の家賃の差額を補 助券によって賄うことができる。賃貸住宅の家主は受け取った補助券の換金を 市の住宅課に申請する。

19)1994年に始まったEZ政策は実施期間が浅いので、その効果についての研究はま だ充分ではない。しかしがなら、1980年代に実施されたカリフォルニア州政府 による税金優遇事業所誘致政策のエンタープライズ・ゾーン政策についての研 究は多く(Dowall, 1996;Boarnet and Bogart, 1996)、政策効果の低さと 衰退地域での経済開発の難しさを指摘している。

20)詳細はUrban Institute(1998)。

21)詳細はIrrほか(2003)。

22)詳細はHebertほか(2001)。

23)詳細はDeVerteuilほか(2003)。

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