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○ 上杉 雄大 論 文 審 査 の 要 旨

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Academic year: 2021

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(1)

別紙1

論 文 審 査 の 要 旨

報告番号 ○

甲 ・乙 2962

上杉 雄大

論文審査担当者

主査 教授 弘中 祥司 副査 教授 中村 雅典

副査 教授 井上 富雄

(論文審査の要旨)

学位申請論文「Effects of several sole-ground contact conditions on the swallow-related muscles activities and sole-ground contact pressures during swallowing various food

materials」について、上記の主査1名、副査2名が個別に審査を行った。

本研究は、33名の健常成人を被検者にして、足底を接地しない条件、膝関節角度90度と135度の 3種類の条件にしたときの、舌骨上筋群と胸鎖乳突筋の活動を解析し、足底の接地条件が嚥下運動に与 える影響を調べたものである。各試料(唾液、水5ml、水10ml、ヨーグルト5ml4種類)を嚥下し た際の筋活動の各パラメーターは足底の接地条件を変えても差はみられなかった。一方、嚥下試料の 違いによる筋活動のパラメーターの差は足底の接地条件が変わることで変化することがわかった。以 上の結果から、足底の接地条件が嚥下機能に影響を与える可能性が示唆された。

本論文の審査において、副査の中村委員および井上委員から多くの質問があり、その一部とそれらに対す る回答を以下に示す。

中村委員の質問とそれらに対する回答:

1.足底接地の有無が舌骨上筋群のどの筋と最も関連するのか。

(今回の結果から、足底接地条件の相違は舌骨上筋群及び胸鎖乳突筋の筋活動への影響が少ないことが示さ れた。舌骨上筋群は顎舌骨筋、顎二腹筋、茎突舌骨筋、オトガイ舌骨筋から構成され、顎舌骨筋、顎二腹筋、

茎突舌骨筋は舌骨の上方運動、オトガイ舌骨筋は舌骨の前方運動に関与する。姿勢と舌骨上筋群との関連と して、リクライニング姿勢をとることにより、背側に重力がかかることによって、舌骨の前方運動に負荷が かかり、オトガイ舌骨筋の筋活動に影響を与えると報告されている。)

2.KB90°と KB135°での食塊による相違は何に起因するのか。

(姿勢制御をするためには体幹の筋力が重要である。不安定な姿勢を安定な状態に制御するために、腹 筋群である腹直筋、腹斜筋腹横筋が活動し、腹腔内圧を上昇させるといわれている。正常な嚥下の場 合、食道内圧は咽頭期嚥下の声門閉鎖期に一致して一時的に低下することになる。そのため食道内圧 の上昇は圧勾配により、通常の嚥下圧では食塊輸送が困難となり、より随意的な嚥下関連筋の収縮が 必要となることが考えられる。筋電図による嚥下機能の解析を行った過去の研究では食塊の粘度が筋活動 に関与していると報告されており、食塊の質量は筋活動に影響を及ぼしていない事が報告されている。本研 究において KB90°と KB135°の筋活動において有意差を認めたものは唾液 vs.ヨーグルト、水(5,10ml)

vs.ヨーグルトであり食塊の粘度の相違によるものであると考えられる。)

(2)

井上委員の質問とそれらに対する回答:

1.筋活動量について、電圧値を正規化等を行わずにそのまま用いているが、それで良いのか。

(ヒトを対象とし、嚥下関連筋における表面筋電図の解析を実施した研究では、電極の貼付部位を規定し、

各計測値については正規化を実施しているもの、正規化を行っていないものの両方が報告されている。今回 論文を投稿した Dysphagia でも、同様に表面筋電図の計測値について正規化を実施していない論文を認め る。本研究も先行研究を踏襲し、電極の貼付部位を規定、安静時筋活動について各計測間に差を認めない事 を確認した後、最大筋活動(電圧値)、筋活動量(積分値)について、正規化を行わずに統計解析を実施し た。)

2.筋活動量や筋活動時間が足底接地条件の違いによって変化することは、それぞれ何を意味するのか (本実験の結果より、各足底接地条件ともに水 5ml 嚥下時と比較し、ヨーグルト 5ml 嚥下時の筋活動量は有 意に増加した。また Off では水 5ml 嚥下時とヨーグルト 5ml 嚥下時の筋活動時間に有意な差を認めず、足底 を接地した 2 つの足底接地条件(KB90°、KB135°)ではヨーグルト 5ml 嚥下時の筋活動時間が有意に延長 した。このことから、KB90°と KB135°は Off と比較し、粘度の高い食塊試料を嚥下した際に、筋肉への負 荷は同様に増加し、咽頭通過時間が有意に延長したものと考えられる。)

両副査は、上記を含めた質問に対する回答が、いずれも満足のいくものであることを確認した。

主査 弘中委員の質問とそれらに対する回答:

1.頭位との関連性はないのか。

(本研究では胸鎖乳突筋の筋活動を計測することにより、頭位の変化を観測した。足底接地条件の相違によ って胸鎖乳突筋の筋活動は影響を受けておらず、今回の足底接地条件は頭位に影響を与えないことが示唆さ れた。顎位に関しては荷重中心位との関連が報告されている。顎位が側方に偏移することによって、荷重中 心位も顎位の偏移方向に対応して偏移するとされる。今回の研究では KB90°の荷重中心位と比較し、KB135°

の荷重中心位も前方に位置したことから、顎位も対応して偏移したことが予想される。しかし、本研究では 顎位の測定は行っておらず、今後の研究課題である。)

2.足底の荷重値の大小と嚥下機能との間に関連があるのか。

(同一足底接地条件内で足底荷重値の大小を比較検討するために、まず各被験者の足底荷重値が体重 の何%であるかを算出した後にSpearman の順位相関係数にて解析を実施した。筋活動の各計測値 ともに足底荷重値との相関は認められなかった。KB90°、KB135°全てのデータについても同様に 解析を実施したが、筋活動の各計測値と足底荷重値に相関は認められなかった。)

主査の弘中委員は、両副査の質問に対する回答の妥当性を確認するとともに、本論文の主張をさらに確認 するために上記の質問をしたところ、明確かつ適切な回答が得られた。

以上の審査結果から、本論文を博士(歯学)の学位授与に値するものと判断した。

(主査が記載)

参照

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