• 検索結果がありません。

日本人小児のやせ群と肥満群における 血清脂質への影響について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "日本人小児のやせ群と肥満群における 血清脂質への影響について"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

日本人小児のやせ群と肥満群における     血清脂質への影響について

杉浦 令子1),岡田 知雄2),山内 邦昭3),村田 光範4)

〔論文要旨〕

 目 的:近年の日本人小児における血清脂質への体格(やせと肥満)の影響を明らかにすることを目的とした。

 対象と方法:2006〜2011年度の小児生活習慣病予防健診受診者9〜16歳の男女409,944名(男子193349名,女子 216,595名)を対象とした。総コレステロール(以下,TC),HDLコレステロール(以下, HDLC)は測定値を用い,

non−HDLコレステロール(以下, non−HDLC),動脈硬化指数(以下, AI)は計算式により求めた。対象者は肥 満度により体格をやせ群正常群,肥満群に分類し,さらに肥満群は肥満の程度別に高度肥満群,中等度肥満群 軽度肥満群に分類した。各項目の中央値を性別,年齢別,体格別に比較検討した。

 結 果:正常群に比べてやせ群では,TC, non−HDLC, AIはやや低く, HDLCは高い傾向がみられた。一方,

正常群に比べて肥満群では,TC, non−HDLC, AIは高く, HDLCはすべての年齢で有意に低かった。肥満度が小 さくなるほどHDLCは高く,non−HDLCとAIは低かった。 TCは3群の男女ともに年齢経過による数値の変動が 大きく,また性差がみられた。

 考 察:やせ群でnon−HDLC, AIは正常群より低く,HDLCは高い値を示したことは,やせ体型が将来の動脈 硬化の進展といかなる関係にあるかは今後の検討を要する。また,TCは生理的な脂質代謝の年齢経過の影響を受 け大きく変動していたが,13歳以降は高度肥満群や中等度肥満群では肥満による影響を強く受けていた。

 結 語:近年の日本人小児において,血清脂質の各値へやせや肥満の体格が影響していることが明らかとなった。

本研究で得られた結果は,やせや肥満の小児における血清脂質値の経年変化を評価するために活用できると考える。

Key words:血清脂質,小児,やせ,肥満, non−HDLコレステロール

1.目

 小児期からの内臓脂肪型肥満および動脈硬化性疾患 と脂質代謝異常の関係は注目されており,早期に脂質 代謝異常の兆しを発見することは,将来の動脈硬化性 疾患発症の予防に有用である。また,生活習慣病危険 因子の観点から,体格(やせと肥満)が小児の血清脂 質の各値へ与える影響を明らかにすることは重要であ

ると考え,やせ群と肥満群について正常群と比較しな がら総コレステロール(以下,TC),HDLコレステロー ル(以下,HDLC), non−HDLコレステロール(以下,

non−HDLC),動脈硬化指数(以下, AI)の年齢経過 に伴う変動と体格(やせと肥満)が与える影響につい て検討した。

The Influence of Underweight or Obesity to Lipid Profiles in Japanese Children Reiko SuGiuRA, Tornoo OKADA, Kuniaki YAMAucHi, Mitsunori MuRATA l)和洋女子大学生活科学系(研究職)

2)神奈川工科大学応用バイオ科学部栄養生命科学科(研究職)

3)予防医学事業中央会(研究職)

4)和洋女子大学保健室(研究職)

別刷請求先:杉浦令子 和洋女子大学生活科学系 〒272−8533千葉県市川市国府台2−3−l       Tel/Fax:047−371−1329

   〔2715〕

受付15 3,4

採用15728

(2)

II.対象と方法

 公益財団法人予防医学事業中央会が全国で展開し ている小児生活習慣病予防健診(以下,健診)Pを 2006〜2011年度に13都県で受診し,インフォームドコ

ンセントの得られた9〜16歳の男子411,831名,女子 389,863名のデータを,2011年度を基準に年度別,性別,

年齢別にt検定(有意水準5%)を行い有意差が認め られた年度および各項目で明らかに異常と思われる 低値または高値を除いた男女409,944名(男子193349 名,女子216,595名)のデータを本研究の対象とした。

なお,対象者の選別方法は,日本人小児の血清脂質基 準値2)を算出する際に用いられた対象者抽出方法と同 じ方法である。表に正常群やせ群肥満群における 性別年齢別対象数を示した。

 TC, HDLCは測定値を用い, non−HDLCはnon−

HDLC=TC−HDLCの式, AIはAI=(TC−HDLC)

/HDLCの式により求めた。対象者は,肥満度により やせ群(≦−20%),正常群(〉−20%,〈20%),

肥満群(≧20%)に分類し,さらに,肥満群は高度肥 満群(≧50%),中等度肥満群(≧30%,<50%),軽 度肥満群(≧20%,<30%)に分けて検討した3)。

 なお,データ解析はIBM SPSS Statistics Version21 により行い,比較検討には各項目の中央値を用いて,

t検定(有意水準5%)により有意差検討を行った。

皿.結

1.TC

i.正常群とやせ群の比較検討(図1)

 男子では10歳以降年齢が進むにつれて値が小さくな り,やせ群の方が正常群より9〜11歳では有意に低い 値を,12歳では有意に高い値を示した。女子では正常 群は9〜12歳やせ群では11歳までは値が徐々に小さ

くなり,15歳にかけて値が大きくなった。16歳を除い て,正常群とやせ群の間に有意差はなかった。また,

正常群,やせ群において12〜13歳以降のパターンは男 女で大きな差がみられた。

ii.正常群と肥満群の比較検討(図2)

 男子は9〜13歳にかけて肥満群の方が正常群より有 意に高い値を示したが,両群ともに10〜13歳にかけて 値が小さくなる傾向を示した。13歳以降は,正常群は 引き続き年齢が進むにつれて値が小さくなったが,肥 満群は15歳にかけて値が大きくなった。この傾向は肥 満度が大きいほど顕著であったが,16歳ではこの傾向 が弱くなり,特に軽度肥満群では15歳よりも低い値を 示した。女子では正常群と肥満群とでは有意差はみら れるものの,全体の動きとしては正常群によく似た傾 向を示した。

表 正常群,やせ群,肥満群における性別年齢別対象数

(名)

9歳 10歳 ll歳 12歳 13歳 14歳 15歳 16歳 正常群 21,296 43,924 10,727 30,314 35,162 9,745 8,387 2,406

やせ群 555 1,301 404 975 843 230 233 60

男子

軽度

肥満群 1,442 3,679 953 2,137 2,178 657 534 212

中等度

肥満群 1217 3228 1,214 1,899 1,988 769 477 199

高度

肥満群 370 963 406 644 860 396 235 130 正常群 41,998 31,628 8311 50,393 33,509 14,741 2,390 2,348

やせ群 1,051 962 375 2,517 2,082 812 83 63

女子

軽度

肥満群 2,676 2,187 620 3,296 1,946 902 137 163

中等度

肥満群 1,960 1,645 537 2403 1,363 714 94 139

高度

肥満群 417 414 175 738 441 277 27 61

(3)

(mg/dL)

185

180

175

170

165

160

155

150

  男子

→_正常群+やせ群

9歳10歳t1歳12歳13歳14歳15歳16歳

麗/dL)

180

175

170

165

160

155

150

  女子

→_正常群+やせ群

オ  \   ︑  民

9歳10歳11歳12歳13歳14歳15歳16歳

★p<O.05(vs.同性・同年齢の正常群)

図1 正常群とやせ群における性別年齢別TC(中央値)

  の比較

(mg/dL)

75

70

65

60

55

50

45

男子

→_正常群+やせ群

 ● ● ︑ペ 一★● ハ︷

7

9歳10歳11歳12歳13歳14歳15歳16歳

﹁1+

m9

5 0︵7  7

65

60

55

0D54

女子

→_正常群+やせ群灸 ︑ ︵ ン  ふ ・● ★●

■﹀

9歳10歳11歳12歳13歳14歳f5歳16歳

p<0,05(vs,同性・同年齢の正常群)

図3 正常群とやせ群における性別年齢別HDLC(中 央値)の比較

(mg/dL)

185

180

175

170

165

160

155

150

  男子

_←高度肥満群  ・・e・中等度肥満群

→..軽度肥満群  +正常群

 ★★  一◆

ノノ★ノρ

、、 、   !〆

ぷ\ン  .倉 ‥?,  、       ,・

、1氏     

㌃ざ・・イー

\_・ダへ、★      .   \

                      l       l       L       

9歳10歳11歳12歳13歳14歳15歳16歳

     女子

  _←高度肥満群  ..◆.中等度肥満群

(mg/dL)

  →一一軽度肥満群  +正常群 185

180

175

170

165

160

155

150

  9歳10歳11歳12歳13歳14歳15歳16歳   ★p<0.05(vs.同性・同年齢の正常群)

図2 正常群と肥満群における性別年齢別TC(中央値)

  の比較

     男子

中高度肥満群.・.中等闘巴満群

,L・・軽度肥満群 +正常群

(mgfdL)

75

70

65

60

55

50

45

 9歳10歳1i歳12歳13歳14歳15歳16歳

★      肯

ペー

    \

 、

含       、

   ★

阜・、c\Lメ、・L.・. 亀       占   右   ±

へ★ 、

、、

トー:二: ≡・・ひ…ぺi

★   青 、◆一ず  ★  ★       噺

1 I      r            I      I      1      ⑯

    女子

 一←高度肥満群 ・◆・中等度肥満群  _,L..軽度肥満群 _■_正常群

(mg/dL)

75

70

65

60

55

50

45

 9歳10歳11歳12歳13歳14歳15歳16歳  tp〈0.05(vs,同性・同年齢の正常群)

  ■

 !㌔う ・  也〆

 占

 ..十τ    ㌔ ★ .

  、

コ・ 吉一嘘理ゴヤ

?・㍉・.!

r +㌔・亨・・己P

呼一一r  亡一ゲペ.オー↑

1      1             I      I      I      L

図4 正常群と肥満群における性別年齢別HDLC(中   央値)の比較

2.HDLC

i.正常群とやせ群の比較検討(図3)

 男子では年齢が進むにつれて徐々に値が小さくな り,10 一 15歳ではやせ群の方が正常群より有意に高い 値を示した。女子では9〜13歳にかけて少しずつ値が 大きくなり,9 一一14歳まではやせ群の方が正常群より

も有意に高値を示した。また,正常群やせ群ともに 年齢変化による変動は男女で大きな差がみられた。

ii .正常群と肥満群の比較検討(図4)

 全ての年齢において,正常群に比べ肥満群の方が有 意に低値を示し,肥満度が大きいほど値は低かった。

男子では高度肥満群の16歳を除いて年齢が進むにつれ て値が小さくなったが,女子では高度肥満群以外は年 齢が進むにつれて値が大きくなる傾向を示した。

3.non−HDLC

i、正常群とやせ群の比較検討(図5)

 男子では,正常群は11〜14歳にかけて年齢が進むに つれて値は小さくなった。9〜15歳で正常群に比べや せ群の方が有意に値が低かった。女子では,正常群は 9〜12歳やせ群は11歳にかけて値が小さくなり,そ れ以降は値が上昇傾向を示し,やせ群では16歳で再び 値が小さくなった。9〜13歳および16歳では正常群 に比べやせ群の方が有意に低値を示した。正常群,や せ群ともに年齢変化による変動はやせ群女子16歳を除

き男女で似たパターンを示した。

ii.正常群と肥満群の比較検討(図6)

 男子は9〜13歳にかけて正常群に比べ肥満群の方が 有意に高値を示したが,年齢が進むにつれて両群とも 同じように値が小さくなる傾向を示した。14歳以降は

(4)

{mg/dL)

135 130 125 120 115 110 105 100 95 90 85

  男子

→_正常群+やせ群

9歳10歳11歳12歳13歳14歳15歳16歳

∪寸ll﹁ll寸﹁ 一 一 一 一 ﹁ 一  

d

9。

  女子

→_正常群→一やせ群

一▲﹄︑.白

9歳10歳11歳12歳13歳14歳15歳16歳

tp<O.05(vs.同性・同年齢の正常群)

図5 正常群とやせ群における性別年齢別non−HDLC   (中央値)の比較

008622004222000821

0 6 1

∩︶042

  男子

→_正常群→.やせ群

! !  ㎡  ︑ ▲・  

︐弁

1

9歳 10歳11歳12歳13歳t4歳15歳16歳

008622004222

0 0 2

00008642

  女子

→_正常群+やせ群

\一 _﹄魯ζ一一

9歳10歳11歳12歳13歳14歳t5歳16歳 p<O.05(vs.同性・同年齢の正常群)

図7 正常群とやせ群における性別年齢別AI(中央値)

  の比較

     男子

 →_高度肥満群 ..e.中等度肥満群  噛..軽度肥満群 +正常群

(mg/dL)

135 130 125 120 115 110 105 100 95 90 85

 9歳10歳1]歳12歳13歳14歳15歳16歳

★      ★

一→

台 !〈、L ★ノ

〆 声.. \ ./ /  ㍉℃   、ヴ

●  禽

 、

  〉禽      吉  ㌧

.己r・・▲  ㌔舎  A

、●・・.}・

㌦1★

ム㍉ .  ,ぬ・・−w』

■         w 、★

べ二 ・ 一

1      1      1      1 1−一一一』⌒「一一一一「「一一一一「

    女子

一・一高度肥満群 ・◆・中等度肥満群

→..軽度肥満群 +正常群

(mg/dL)

135       , 130

125 120 115 110 105 100 95 90 85

 9歳10歳11歳12歳13歳14歳15歳16歳  +p<005(VS,同性・同年齢の正常群)

へ、  吟

★  禽、

●・… ●、

〆  、・  、

へ★    ・ 、

、、、ヒー◆費  、、、  ★

い、  、…づ \

,. 脅

、▲・一倉 ★ ★   ▲ ★

図6 正常群と肥満群における性別年齢別non−HDLC   (中央値)の比較

     男子

 →_高度肥満群 ..◆ 中等度肥満群  ≒..軽度肥満群 +正常群

::::::1:i::lll:

12。L____一__

  9歳10歳11歳12歳13歳14歳15歳16歳  ★./一一:

  古 ★

ノー{一←一γ

  ★

. ★!●・、・

 《、  台

 金      .

る︑ ●φひ゜

、一・.〆合       曹

トY・f 〉・、

008622OnU422200082司1

60 1

0042

   女子

→一高度肥満群 ・◆・中等度肥満群

→..軽度肥満群 +正常群

!◆

      

 ・ sL一ン÷…◆㍉ 會 ゜.●      右

←.

s★    声・㌔由

、…を/ ℃㌔・二

P・・本. ★  「」〉  ★ 、・・『、   ,▲   古  ★、  〆★

      、〆

一L _ ★

        1

9歳10歳11歳12歳13歳14歳15歳16歳

p<O.05(vs.同性・同年齢の正常群)

図8 正常群と肥満群における性別年齢別AI(中央値)

  の比較

正常群はほぼ大きな変化がみられないのに対し,肥満 群は15歳にかけて値が大きくなった。肥満度が大きい ほどこの傾向は顕著であったが,16歳ではほぼ変化が みられず,また軽度肥満群では9歳以降の値を見ると 最も低値を示した。また,すべての年齢で正常群に比 べ肥満群は有意に高値を示した。女子では,正常群は

9〜12歳にかけて値はやや小さくなり,その後16歳に かけて少しずつ上昇傾向を示した。それに対し,肥満 群は9〜12歳にかけて値が小さくなり,中等度肥満群 および高度肥満群では14歳にかけて値は大きくなった が,その後高度肥満群では16歳にかけて増減を繰り返

し,中等度肥満群では徐々に小さくなる傾向を示した。

また,16歳を除き,男女で似たパターンを示した。

4.Al

i,正常群とやせ群の比較検討(図7)

 男子では12,13歳にかけて値が小さくなる傾向を示 し,それ以降は正常群では上昇傾向を,やせ群では増 減はあるものの16歳で正常群と同値まで大きくなっ た。9〜15歳までは正常群に比べやせ群の方が有意に 低値を示した。女子では,両群とも9〜12歳にかけて 徐々に値が小さくなり,その後増減を繰り返したが,

全ての年齢で正常群に比べやせ群の方が有意に低値

だった。

ii.正常群と肥満群の比較検討(図8)

 男子では,正常群では9〜13歳にかけてやや減少傾 向を示し,その後上昇傾向を示した。全ての年齢で正 常群に比べ肥満群の方が有意に高値だった。多少の増 減はあるものの,中等度肥満群および高度肥満群では

(5)

年齢が進むにつれて値が大きくなったのに対し,軽度 肥満群では11歳以降は徐々に値が小さくなる傾向を示 した。女子で,正常群,軽度肥満群はほぼ同様の傾向 を示し,9〜15歳にかけて年齢が進むにつれて減少傾 向を示し,16歳で再び上昇傾向を示した。一方,中等 度肥満群では9〜13歳にかけて値が小さくなり,その 後14歳で大きくなるが,16歳にかけて再び減少傾向を 示した。高度肥満群では,9〜12歳にかけて顕著に減 少傾向を示し,その後は16歳にかけて値が大きくなっ た。また,全ての年齢において正常群に比べ肥満群の 方が有意に高値を示した。肥満群において年齢変化に

よる変動は男女で異なるパターンを示した。

1V.考

 現在,わが国の小児血清脂質基準値2)は,TC,

HDLC,トリグリセリド(以下, TG),LDLコレステロー ルの各項目について示されており,血清脂質代謝の評 価に使用されている。さらに,小児期メタボリックシ ンドローム診断基準4}には成人と同様に脂質代謝異常 判定の項目が含まれており,小児期からの内臓脂肪型 肥満および動脈硬化性疾患と脂質代謝異常の関係は注 目されている。そして,血管病変は通常ゆるやかに進 行するため,早期に脂質代謝異常の兆しを発見するこ

とは,将来の動脈硬化性疾患発症の予防に有用である。

したがって,生活習慣病危険因子の観点から,体格(や せと肥満)が小児の血清脂質の各値へ与える影響を明 らかにすることは重要である。また,小児期において TCなどの血清脂質値は年齢経過に伴い生理的に変動 することが以前より指摘されていた5)。しかし,これ

らのことを体格別で詳細に検討した先行研究はない。

そこで,TC, HDLC, non−HDLC, AIについて体格 群別に比較検討し,日本人小児の体格が血清脂質へ与 える影響について検討した。

 まず,やせ群においては,血清脂質値の年齢経過に よる変動パターンは正常群とほぼ同様であったが,肥 満群の程度別に比較すると肥満度が小さくなるほど HDLCは高く,一方, non−HDLCとAIと男子のTC は低くなることがわかった。女子のTCが16歳で有意 に低いこと,男女ともに16歳のHDLCが他の年齢よ

りも顕著に低くなっていること,16歳男子の正常群と やせ群のnon−HDLCの値が同じであったことは,こ の年齢の対象者数が少ないことが影響していると思わ

れる。そして,HDLCで正常群に比べやせ群の方が 有意に高値を示したことの意義は,今後の研究課題で ある。すなわち,やせ群においてHDLCが高い場合に,

今回は検討ができなかったTGが低値を示すのかどう か,また他のリポタンパクの状態について,やせ体型 が将来の動脈硬化の進展といかなる関係にあるかは今 後さらに追跡調査しなければならない問題である。

 次に,肥満群については,TCはHDLC, non−

HDLC, AIといった他の脂質値に比べて生理的な脂質 の年齢経過の影響を受け,正常群と同様に生理的な要 因が働いて大きく変動していることがわかった。さら に,年齢経過の影響は肥満の程度が高度になるにつれ て,男子の方が女子よりも大きかった。TCは男子で は10〜13歳にかけて,女子では9〜12歳にかけて,肥 満群においても年齢が進むにつれて徐々に低くなっ た。この結果から,この年齢層では正常体格と同じよ

うに肥満の有無とはかかわりなくTCは低値を示すこ とがわかった。しかし,12,13歳以降は高度肥満群で は著しい上昇傾向を示し,また中等度肥満群において も増加傾向を示したことは,11歳頃までは生理的変化 が優先しているが,それ以降の年齢では肥満による影 響を強く受けていることが考えられる。したがって,

肥満群の脂質代謝の評価にはTCよりも, HDLC,

non−HDLCおよびAIを組み合わせて行うことが望ま しいと考えられた。なお,小児肥満と心血管病危険因 子に関する先行研究6〜1°・)においても,肥満度とHDLC やAIで高い相関が認められており,本研究と同様の 結果が得られている。

V.結

 本研究結果より,近年の日本人小児における血清脂 質の各値は,やせや肥満の体格が影響していることが 示唆された。本研究で得られた結果は,やせや肥満の 小児における血清脂質値の経年変化を正しく評価する ための基礎データとして活用できると考える。

 本研究内容の一部は,第61回日本小児保健協会学術集 会(福島県),第46回日本動脈硬化学会総会・学術集会(東 京都),第36回日本臨床栄養学会総会・第35回日本臨床栄 養協会総会第12回大連合大会(東京都)にて発表した。

 利益相反に関する開示事項はありません。

(6)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10)

       文   献

公益財団法人東京都予防医学協会.2006年度から 2011年度までの東京都予防医学協会年報.http://

www.yobouigaku−tokyo.or.jp/nenpo/

Okada T, Murata M, Yamauchi K, et al. New criteria of normal serum lipid levels in Japanese chil−

dren二The nationwide study. Pediatr. Int 2002;

44:596−601.

文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課監修.

児童生徒の健康診断マニュアル(改訂版).第4版.

東京:日本学校保健会,2006.

大関武彦.日本小児のメタボリックシンドローム診 断基準.五十嵐隆編.小児メタボリックシンドローム.

初版.東京:中山書店,2009:20−21.

村田光範治療目標値について一小児期の場合一.

動脈硬化 樋浦 誠

ける肥満,

肥満研究 有阪 治,

謝とその異常.

HLlrt L,

and screening for obesity−related

children and teens receiving Medicaid−Maryland,

2005−2010.MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2014;

ll :305−308.

Kit BKI, Carroll MD, Lacher DA, et al. Trends in serurn lipids arnong US youths aged 6 to l9 years,1988−2010. JAMA 2012;8:591−600.

Yoon JM. Dyslipidemia in children and adoles−

cents:when and how to diagnose and treat?. Pedi−

atr Gastroenterol Hepatol Nutr 2014;17:85−92.

 1996,23.631−636.

長崎啓祐菊池 透,イ也健常小児にお 血圧,血清脂質と高感度CRPとの関連.

 2004;10 :190−194.

菅野普子,沼田道生,他.小児の脂質代

    肥満研究 2005;11二255−266,

Pinto CD, Watson J, et a1. Diagnosis       conditions among

〔Summary〕

 Aim:The aim of the present study was to clarify the influence of underweight or obesity to lipid profiles in re−

cent Japanese children.

  Subjects&method:The subjects were 409,944 school−

children(193,349 boys,216,595 girls)aged 9〜16 who participated in screening and care program for life−style related diseases from 2006 to 2011. Serurn total choles−

terol(TC),high−density lipoproteirユcholesterol(HDLC)

levels were measured, and non−HDLC levels and ath−

erogenic Index(AI)were calculated. Trend of serum lipid levels were analyzed by age and sex, furthermore,

the serum lipid profiles of obese or underweight children were compared to those of normal weight children.

  Results:In comparison with serum lipids trend of normal weight children by each age, HDLC levels was significantly lower, but non−HDLC levels or AI were significantly higher than those of underweight children.

TC levels in both normal weight and underweight girls were higher than those of boys from 12 years to 15yeras old. On the other hand, compared to rユormal weight children, obese children, in both sexes, showed that trends of TC, non−HDLC levels and AI were significant−

ly higher, but that of HDLC levels were significantly lower. Sever obese children showed more atherogenic lipid profile than mild and moderate obese children.

  Conclusion:In the present study, it was clearly shown that the trends of serum lipids levels were influ−

enced by underweight or obesity in both sexes in recent Japanese children. The findings of this study provide a useful guide in clinical settings to evaluate the longitu−

dinal changes in serum lipid profiles in underweight or obese children.

〔Key words〕

serum lipids, children, underweight, obesity,

non−HDLC

参照

関連したドキュメント

 肥満と血清脂質との関係については,徳永と石川(1981)

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 % 3∼9 歳代 10∼14 歳代 15∼19 歳代 20 歳以上 盗食高群 盗食低群 ころ,20 歳以上ではみられず,10 代で 21.0%,3 歳以上

53% となり、有意に低下した。その後、時間の経過 と共に上昇したが、投 与 72時間後でも C 群の約 60% までしか回復しなかった(Fig.6)。GST 活性 は、基質 CDNB

女児 2.97%と痩身傾向児が男児 0.39%、女児 0.42%であった。平成 24 年度は、肥満傾向児 が男児 2.41%、女児 2.36%と痩身傾向児が男 児

 しかし,わが国では「肥満症」の概念が既に 2000 年に確立され,成人領域では,10 年を経過し たことから,2011

 様々な肥満指標とレプチンの関係が研究されている

① 長期飼育試験) 4 週目の OGTT では、 CT 群に比べて HFS 群の血糖応答が上昇した。 HFS+RMD 群と

肥満度で十 20% から十 40% 未満,十 40% か ら + 60% 未満, +60% 以上のものの 3 群に分けて,高脂