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この二つの特徴によって 従来のリニアックでは困難であった再照射にも対応が可能となってきている 本稿では 当施設で再照射を行った症例を呈示 検討しつつ 再照射における の有用性と問題点を検討する 2. 方法当施設では 2010 年 10 月より を導入し 2014 年 3 月までに約 1000 例の照

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Academic year: 2021

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1.はじめに

悪性腫瘍の治療成績が改善するとともに、放射線治療後に 別の腫瘍に罹患し、放射線治療を複数回受けることも珍しく なくなっている。この場合、以前の照射部位と近接した部位 に、新たな別の種類の腫瘍が発生し、再び同じ部位に放射線 治療が必要となることがある。また、放射線治療後に腫瘍の 再増大が生じたとき、あるいはもとの腫瘍に近接した場所に 新たに転移がおこったときは、再度の放射線治療が必要とな ることもある。 これまでは、正常臓器の有害事象を危惧し、再照射は避け られる傾向にあった。しかし、近年、放射線治療機器の開発 が進み、高精度の放射線治療が可能となったため、再照射を より安全に施行できるようになってきた。また、現在までの知 見の蓄積により、再照射が行われた場合、正常臓器の耐容線 量は従来提唱されているよりも高い、あるいは初回照射と再 照射の間隔が開いていれば再照射も許容される、という報告 も多くなってきた1)

TomoTherapy※1は画像誘導放射線治療(Image Guided

Radiation Therapy:IGRT)と強度変調放射線治療(Inten-sity Modulated Radiation Therapy:IMRT)を組み合わせ た放射線治療である。TomoTherapyはIMRT専用機であり、 回転式ガントリーを用いて360度から照射することができる ため、標的に近接した重要臓器の線量を減らしつつ、標的に は十分な線量を配分することが可能である。TomoTherapy のIGRTとしては、治療直前に治療寝台の上でMVCTを撮像 し、治療計画CT画像に融合させることで、正確な位置合わ せが可能となっている。

TomoTherapyによる再照射

Reirradiation with TomoTherapy

論 文

Key Words: TomoTherapy, Reirradiation

悪性腫瘍の治療成績が改善するとともに、以前照射した部位、あるいは近接した部位に新たに腫瘍が生じ、再度同じ部位に放 射線治療を行う機会が増えている。周辺の重要臓器の有害事象を避けるため、再照射には精密な線量分布と治療精度が要求され る。従って、IMRTおよびIGRT機能を併せ持つTomoTherapy※1の特徴を生かすことができる分野と考えられる。当施設におい

てTomoTherapyを用いて再照射を行った症例を呈示し、その有用性と問題点を検討する。

As the treatment outcome of malignant disease are improved, new or recurrent tumors may develop inside or close to the regions previously irradiated. The cases are increasing who have radiation therapy again to the same regions. The reirradiation requires high-precision radiation dose distribution and positioning accuracy in order to avoid adverse effect to normal surrounding tissue.

TomoTherapy※1 is considered to be useful for reirradiation since this system provide high quality IMRT and IGRT. We

present the cases of the reirradiation with TomoTherapy at our institution and discuss the usefulness and limitation of this system.

1)湘南鎌倉総合病院 放射線腫瘍科 2)湘南藤沢徳州会病院 放射線科 3)横浜市立大学附属病院 放射線科 4)横浜市立大学附属 市民総合医療センター 放射線科

大村 素子1) Motoko Omura 本郷 秀幸1) Hideyuki Hongo 高野 祥子1) Shoko Takano

田山由美子1) Yumiko Tayama 松井 謙吾1) Kengo Matsui 荻野 美穂1) Miho Ogino

斎藤かおり1) Kaori Saitou 永田 弘典1) Hironori Nagata 山下部 亘1) Wataru Yamakabe

吉田 美保1) Miho Yoshida 橋本 晴満2) Harumitsu Hashimoto 向井 佑希3) Yuki Mukai

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この二つの特徴によって、従来のリニアックでは困難で あった再照射にも対応が可能となってきている。本稿では、 当施設で再照射を行った症例を呈示、検討しつつ、再照射に おけるTomoTherapyの有用性と問題点を検討する。

2.方法

当施設では2010年10月よりTomoTherapyを導入し、2014 年3月までに約1000例の照射を行ってきた。このうち、二回目 以降の放射線治療部位が一回目の放射線治療部位と重複あ るいは近接していた症例は26例であった。なお頭蓋内病変の 再照射については今回の検討から除外した。また一連の放射 線治療の線量が20Gy程度である血液系腫瘍は、線量の蓄積 が危険臓器の耐容線量以内である場合が多く、今回の検討か ら除外した。症例の内訳、特徴は表1の通りである。 治療目的は緩和治療と根治治療に分類した。緩和治療は強 初回照射 の原発巣 初回治療 照射間隔 (月) 再照射 照射野 の位置 問題となる危険臓器 症状改善の有無 経過観察期間(日)最終観察時の状況 線量(Gy) 分割回数 部位 照射方法 線量(Gy)# 分割回数 部位 緩和照射 1 食道 59.4 33 縦隔リンパ節食道、 Therapy Tomo 15.3 30* 10 鎖骨上リンパ節、 頚椎 重複 腕神経叢脊髄、 なし 30 PD 2 乳腺 30 10 胸椎 Therapy Tomo 20.1 30 10 胸腰椎 近接 脊髄 脊髄麻痺の回避、疼痛緩和 28 SD 3 肺 60 30 肺 Therapy Tomo 9.0 30** 10 胸椎 重複 脊髄 脊髄麻痺の 回避 46 DOD 4 腹部 50 25 鎖骨上リンパ節 3DCRT 38.8 40*** 20 鎖骨上リンパ節 重複 脊髄、 腕神経叢 上肢麻痺の回避、疼痛緩和 149 DOD 5 肺 60 30 鎖骨上リンパ節肺、 Therapy Tomo 10.3 30** 10 鎖骨上、 肺尖部 重複 腕神経叢脊髄、 上肢浮腫、疼痛緩和 6 不明 6 上顎洞 68 30 上顎洞 3DCRT 13.9 30**** 10 全脳、 上部頚椎 重複 脊髄、視神経、視交叉 疼痛緩和 21 不明

7 食道 59.4 33 縦隔リンパ節食道、 Therapy Tomo 14.2 40 16 縦隔リンパ節 近接 脊髄、縦隔 なし 85 DOD

8 前立腺 64.8 36 骨盤 3DCRT 34.5 45 25 骨盤 重複 腸管 疼痛緩和 56 SD

9 前立腺 60 30 全骨盤 Therapy Tomo 10.3 27 9 腰仙椎、仙骨 重複 腸管 疼痛緩和 61 DOD

10 直腸 50.4 28 詳細不明 詳細不明 187.5 30 10 寛骨、大腿骨 詳細不明 腸管 疼痛緩和 318 SD 11 後腹膜 50.4 28 後腹膜 3DCRT 13.2 40 16 後腹膜 重複 腸管 なし 13 DOD 12 肺 37.5 15 側頭骨 3DCRT 7.8 37.5 15 側頭骨 重複 網膜、視神経 疼痛緩和 8 SD 13 乳腺 59 30 左乳房 3DCRT 56.4 46 23 鎖骨上リンパ節左腋窩、 重複 皮膚 上肢浮腫改善 3 不明 根治照射 14 子宮 50 25 全骨盤 3DCRT 44.4 56 28 傍大動脈リンパ節 近接 腸管 229 SD

15 子宮 50.4 28 全骨盤 Therapy Tomo 12.1 54 27 傍大動脈リンパ節 近接 腸管 24 NED

16 子宮 50.4 28 全骨盤 Therapy Tomo 0.1 50.4 28 傍大動脈リンパ節 近接 腸管 56 PD 17 子宮 50 25 全骨盤 Therapy Tomo 0.5 48 24 傍大動脈リンパ節 近接 腸管 871 SD 18 子宮 50 25 全骨盤 Therapy Tomo 6.4 50 25 傍大動脈リンパ節 近接 腸管 357 SD 19 頭頸部 60 30 頭頸部 2D? 167.4 45 30 縦隔リンパ節肺、 近接 脊髄 251 PD 20 前立腺 60 30 骨盤リンパ節 Therapy Tomo 9.2 50 25 傍大動脈リンパ節 重複 腸管、脊髄 疼痛緩和 127 PD 21 子宮 48.6 27 全骨盤 3DCRT 38.0 60 30 骨盤リンパ節 重複 腸管 疼痛緩和 261 PD 22 腹部 52 26 腹部 3DCRT 33.0 54 30 傍大動脈リンパ節 重複 腸管、脊髄 289 DOD 23 縦隔 60 30 縦隔 3DCRT 66.9 52 26 縦隔 重複 脊髄 282 NED 24 肺 48 4 肺 SRT 23.4 52 26 肺 重複 脊髄 無気肺の回避 358 PD 25 肺 60 30 縦隔リンパ節 3DCRT 40.8 60 30 縦隔リンパ節 重複 脊髄 699 PD 26 乳腺 50 25 右乳房 2D 278.9 50 25 左乳房 近接 皮膚 627 NED 照射間隔:初回放射線治療最終日から再照射放射線治療開始日までの期間(月)、照射野の位置:二つの照射野の位置関係、経過観察期間:再照射終了時から最終観察日までの期間(日) 3DCRT:Three-dimensional conformal radiation therapy、SRT:stereotactic radiotherapy

#再照射の線量は治療計画上の予定線量。下記の通り変更があった。

* 疼痛緩和得られず21Gyで中止。** 経過良好で27Gyで終了、***経過良好で37.5Gyで終了、****全脳は24Gyで終了、脳転移巣にboost NED:no evidence of disease、DOD:death of disease、 SD:stable disease、 PD:progressive disease

(3)

い疼痛や、切迫する脊髄圧迫症状などの強い症状があり、こ れを回避することを第一目的とした。根治治療では照射野内 の病変を制御するために、可能な限りの線量を照射するよう 試みた。いずれの場合も重篤な有害事象を引き起こす可能性 のある脊髄および腸管への線量は極力減らすように治療計 画を行った。 初回照射と再照射の放射線治療の間隔は、初回の放射線治 療最終日から再照射の放射線治療開始日までとした。観察期 間は再照射終了時から最終観察日までの期間とした。 照射野の重なりについては、初回照射と再照射のPTVが重 なっている場合は照射野重複、二つのPTVが近接あるいは僅 かな部分のみ重複している場合を照射野近接と表現した。 患者の固定は、一般的な照射と同様に適切な固定器具を用 いて行った。つまり、頭頸部では頭頸部用シェルを、胸腹部 ではVac-LoK、 blue BAGを用いて固定を行った。胸部照射 の場合はBody Fixを用いて呼吸抑制を行う場合もあった。

治療計画CTはGE LightSpeed※2 8列を用い、スライス厚

は2.5mmとした。標的および正常臓器の輪郭作成はPinna-cle3 version 9.0を用いた。標的体積(GTV gross target

vol-umeおよびCTV clinical target volume)の取り方は症例に よって異なるが、原則的にCTVを5mm拡大した体積をPTV (planning target volume)とした。治療計画はTomoTher-apy Panning Stationを用いた。治療計画に用いるパラメー タは主としてModulation Factor:2.0~3.0、Field Width: 1.0~2.5cm、Pitch:TomoDirect 0.25、TomoHelical 0.287 ~0.437であった。放射線治療はHi-Art※3 version 4.2.1を用 いた。処方線量、分割は症例によって異なるが、通常、一回 線量は2~3Gyとした。標的体積の線量は原則として、D95 つまりPTVの容積の95%を包含する線量(Gy)が処方線量の 95%以上となるように治療計画を行った。また最高線量は処 方線量の110%を超えないように規定した。初回および二回目 以降の放射線治療がいずれもTomoTherapyで行われた場 合、線量分布の合算はMIM Maestro ver.6.0を使用し、最新 の治療計画CT画像に以前の線量分布を合成する方法をとっ た。初回の放射線治療がTomoTherapy以外の機器であった 場合は、初回の照射野や線量分布をPinnacle3上で輪郭として 描き、治療計画では、これらの構造物を危険臓器として線量 制限を行った。各臓器の耐容線量は初回照射と再照射の間隔 が開いていけば、一期的に照射したときよりも下がるというこ とが言われている1)。しかしながら、照射間隔と耐容線量につ いて、現時点では明確な基準がないため、一期的な照射にお ける各臓器の耐容線量を参考にしつつ治療計画を行った2)

3.結果

26例の初回照射と再照射の間隔は、3日~279 ヶ月(中央 値:17.7 ヶ月)であった。再照射終了時からの観察期間は3~ 871日(中央値:106日)と十分な観察期間とは言えなかった。 再照射の対象については、症例7は初回照射の上顎洞癌とは 別の悪性腫瘍の脳転移、脊椎転移であった。症例19は頭頸部 癌に対する放射線治療後、寛解となり、再照射は新たな肺原 発の悪性腫瘍に対する照射であった。この2例以外は、初回 照射と再照射の病巣は同じ悪性腫瘍に由来するものであっ た。また初回照射が他院で行われ、再照射のために当施設に 紹介された症例は11例であり、その他は初回照射、再照射と もに当施設のTomoTherapyで行われていた。 3.1 症例の概要 (1)緩和治療 緩和治療は13例であった。再照射終了時からの経過観察 期間は3~318日(中間値:30日)であった。再照射の線量は 主に30Gy/10回あるいは40Gy/16回であった。多くの症例で 初回放射線治療は根治目的であったが、症例2、4、12の3例 は初回、再照射の放射線治療がともに緩和目的であった。ほ とんどの症例で疼痛、浮腫の改善、脊髄麻痺の回避などの治 療目的にそった治療効果が得られたが、症例1、7、11では全 く治療効果が得られなかった。 (2)根治治療 根治治療は13例であった。再照射終了時からの観察期間 は、24~871日(中間値:282日)、初回照射および再照射の線 量はそれぞれ48Gy以上、45Gy以上であった。根治照射の中 で、最も症例が多かったのは、子宮頸癌全骨盤照射後の傍大 動脈リンパ節照射の5例であった。観察期間中、初回照射、再 照射の照射野内病変ともに再増大がない症例が13例中7例 であった。しかしながら、これらの多くは照射野が近接ある いはごく一部重複している症例であった。症例21、25の二例 は、初回照射のGTVおよびCTVとほぼ同部位から再発した 病変に再照射を行ったが、ともに再照射終了後一年以内に腫 瘍が再増大あるいはごく近傍から再発した。また全身の病勢 としてSD以上が得られているのは、両側乳癌一例、子宮頸癌 全骨盤照射後の傍大動脈リンパ節転移四例、縦隔腫瘍の一例 であった。 観察期間中、重篤な有害事象は緩和治療、根治治療ともに 認められなかった。 3.2 症例呈示 (1)脊髄線量の抑制 脊髄線量を抑制した例として、症例5を示す(図1)。初回照 射は肺腫瘍根治照射として、肺尖部の原発巣、鎖骨上リンパ 節領域に対して、60Gy/30回の治療を行った(図1a)。10 ヶ月 後、局所再発、鎖骨上リンパ節再発を来し、腫瘍による神経 根および腕神経叢の圧迫によって上肢のしびれ、浮腫、運動 障害を来した。再照射のPTVは、画像で確認できる腫瘍+ 5mmとした。処方線量は30Gy/10frとし、重複する脊髄部分 を危険臓器として線量制限を行った。360度全方向から照射 できるTomoHelicalを用いることで、効果的に脊髄線量を抑 えることが可能であった(図1b)。初回照射と再照射の線量分 布の合算では、脊髄最高線量は46.2Gyであった(図1c)。治療 中から症状の改善が認められた。 今回の検討の中で、初回照射と再照射の積算において、脊 髄最高線量が最も高かった症例のBiological equivalent dose:BED2は98.9Gy(α/β=2、2Gy/回換算で49.5Gy)で あった。

(4)

症例7では、食道腫瘍、リンパ節再発に対して、再照射を 行った。初回照射、再照射のPTVは脊髄を含み、頭尾方向で 接していた。このような場合は1cm幅のビームを用いて頭尾 方向の照射線量の広がりを抑制することができた。 食道腫瘍や肺腫瘍において、初回治療がTomoTherapyで 行われている場合は、PTVに十分な処方線量を照射しながら も、脊髄の線量を45Gy以下にすることは比較的容易である。 当施設では将来の再照射の可能性も考慮し、初回照射の脊髄 線量を可能な限り40Gy以下にとどめるようにしている(症例 1、3、5、7)。このような場合、初回照射野内に椎体転移や鎖 骨上リンパ節転移などが再発しても、脊髄線量の合計をNie-derらの提唱するBED2=120~135Gy以下にすることは比 較的容易であった3)4)。またTomoTherapyを用いることで、 椎体転移再照射に際して、脊髄線量を十分に抑制しつつ、椎 体にも必要な線量を照射できるという報告もあった5) (2)腸管線量の抑制 根治照射で最も多かった全骨盤照射後の傍大動脈リンパ節 領域照射の典型例を示す(図2)。全骨盤照射の照射野の上縁 はL4/L5接合部であった(図2a)。再照射時にはこの接合部に 線量の過不足がないように傍大動脈リンパ節領域のPTVの下 縁を設定した(図2b)。再照射のPTVは転移リンパ節からは最 低0.5-1cmを取るようにしたため、症例によってはPTVが初 回のPTVと重複するものもあった。初回放射線治療後の体型 の変化、日々の腸管の動きを考慮し、近接あるいは重複する PTVの腹側部分の腸管を危険臓器として線量制約を行った。 初回照射と再照射の線量分布の合算を示す(図2c)。 今回の検討の中で、初回照射と再照射の積算において、ほと んどの症例で腸管最高線量を70Gy以下にすることができた。 しかし、腫瘍が腸管ときわめて近い場合はごく僅かな部分 (5cc>)が90Gyを越える症例もあった。腸管の再照射に関す る報告は少ないが、Mohiuddinらの直腸腫瘍の再照射の報告 a:初回照射の線量分布 60Gy=100%として表示。 b:再照射の線量分布 30Gy=100%として表示。脊髄 線量を抑制するように治療計画。 c:初回照射と再照射の線量合算 90Gy=100%として 表示。脊髄最高線量は耐容線量以下であった。 図 1:症例 5 c:初回照射と再照射の線量合算 65Gy =100%として表示。PTV接合部の 腸管線量の抑制が可能であった。 b:再照射(傍大動脈リンパ節+転移 リンパ節 へ のboost) 54Gy= 100%として表示。 a:初回照射(全骨盤照射)50.4Gy =100%として表示。 全骨盤照射 傍大動脈リンパ節領域+boost 線量合算 転移リンパ節 図 2:症例 15

(5)

によれば、腸管を含む照射野でも、初回と再照射の間隔が十分 であれば比較的安全に再照射が可能であるとされている6) (3)その他の症例 視神経、網膜の線量を抑制した例として症例12を図3に示 す。側頭骨転移の照射後、再増大による疼痛のため再照射を 行った。初回照射と再照射の照射野は完全に重複していた。 初回照射は側方一門で行われていたため、処方線量の95~ 100%の線量が視神経、網膜に照射されていた。再照射では これらを避けるように治療計画を行った。TomoTherapyは 標的と危険臓器の形状に合わせて線量を配分することが可能 である。この結果、視神経、網膜の積算最高線量はBED2(α /β=2)、2Gy/回換算で52Gy、48Gy、と耐容線量を僅かに超 える程度に抑えることが可能であった。この症例では再照射 によって疼痛の改善が認められた。しかし一方で、疼痛のあ る骨転移の再照射の場合、40%の症例で疼痛緩和が得られな いという報告があった7) 初回照射が他院で行われ、再照射のために当施設に紹介さ れた症例で、DICOM-RTデータが入手できない場合は、 DRR画像、リニアックグラフィー、印刷された線量分布図を 参考にし、初回照射の照射野や線量分布をPinnacle3上で輪 郭として描いた。治療計画では、これらの構造物を危険臓器 として線量制限を行った。縦隔腫瘍の症例23を図4に示す。 脊髄、肺、心臓など危険臓器の線量については、初回照射と 再照射の線量との合算が各臓器の耐容線量を超えないように することが可能であった。その他の骨、筋肉、縦隔の軟部組 織に関しては、明確な基準がないため、初回照射で12Gy、 36Gy、48Gy、60Gy(20%、60%、80%、100%)が照射された 部分を描出し、それぞれの部分で初回照射と再照射の積算線 量が100Gyを超えないように線量制限を行った。 12Gy 12Gy 36Gy 36Gy 48Gy 48Gy 60Gy PTV PTV 12Gy 36Gy 60Gy PTV 48Gy 図 3:症例 12 再照射の線量分布 100%=37.5Gyとして表示。(橙色100%、黄色 90%、黄緑80%、緑 70%、水色 50%、青40%) 危険臓器の最高線量は右網膜:11.63Gy、右視神経:13.67Gy、右レンズ:2.63Gy、視交叉:13.67Gyであった。初回照射は他院 で施行され右側方一門照射、37.5Gy/15 回であった。TomoTherapyによる再照射では病変や危険臓器の形に合わせた線量配分が可 能であった。 図 4:症例 23 再照射の線量分布 52Gy=100%として表示。初回照射において12Gy、36Gy、48Gy、60Gy(20%、60%、80%、100%)が照 射された部分を描出し治療計画において線量制限を行った。

(6)

4.結語

当施設において再照射を行った26例を検討した。観察期間 は十分ではないが、重篤な有害事象は認められていない。と くに緩和照射においては多くの症例で症状の改善が認められ た。TomoTherapyでは、標的と危険臓器への線量配分の自 由度が高いため、危険臓器の耐容線量を守りつつ、標的には 十分な線量を配分することが可能であった。今回呈示した症 例では、重複して照射される部位を極力減らすため、CTV+ 5mmという小さなマージンを用いている。これはTomoTher-apyが毎回の治療直前に撮像されたMVCTをもとに、照射位 置を確定するという、確実なIGRT機能を備えていることが 前提となっている。再照射にTomoTherapyを用いることで 従来は断らざるを得なかった患者の治療に貢献することが可 能となった。緩和照射よりも多くの線量を必要とする根治的 再照射に関してはまだ課題が多く、今後の検討を要する。 ※1 TomoTherapy、※3 Hi-ArtはAccuray Incorporatedの日本および

その他の国における登録商標です。

※2 LightSpeedはゼネラル・エレクトリック・カンパニイの日本およびそ の他の国における登録商標です。

参考文献

1) Edward C. Halperin, et al. : Perez & Brady’s Princi-ples and Practice of Radiation Oncology, sixth edition. Section 1 Chapter2: p68, Lippincott Williams & Wilkins, 2013.

2) 放射線治療計画ガイドライン 2012年版 日本放射線腫瘍 学会

3) Nieder C, et al. : Proposal of human spinal cord reir-radiation dose based on collection of data from 40 patients. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 61(3) : 851-5, 2005.

4) Nieder C, et al. : Update of human spinal cord reirra-diation tolerance based on additional data from 38 patients. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 66(5) : 1446-9, 2006.

5) Sterzing F, et al. : Spinal cord sparing reirradiation with helical TomoTherapy. Cancer. 116(16) : 3961-8, 2010.

6) Mohiuddin M, et al. : Long-term results of reirradia-tion for patients with recurrent rectal carcinoma. Cancer 95(5) : 1144-50, 2002.

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