障害児を同胞にもつきょうだいへの心理援助について−グループ活動による主役となる体験を目指した援助の検討− [ PDF
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(2) は、同胞のみを表現しているもの、同胞と自分の好きな. きょうだいはプログラム開始時に、言語的・非言語的. ものをそれぞれ表しているもの、同胞と一緒に出かけ. な自己表現を躊躇する様子があった。しかし、体を動か. た楽しい思い出を表しているもの等様々であった。作. すようなプログラムを取り入れるなかで、徐々に非言. 品紹介では、無理に同胞のことを表現しなくてもいい. 語的な表現も見られるようになった。. という安心感を体験してもらうため、同胞に対する思. またきょうだいは同胞に障害があるために特別扱い. い等の話し合いはしなかった。しかし、発表できずに固. をされるというような警戒をしている様子であった。. まっているメンバーもおり、表現することの難しさが. しかし、様々な活動を行うことによって、徐々に積極的. 感じられた。. にプログラムに参加する様子が見られた。また、Th はで. 2 日目の#9 動作法では、メンバーから「面白くない」. きるだけ1セッション中1回は 1 人ずつメンバーから. と嫌がる声があった。メンバーは同胞がしていること. 注目されるような働きかけを行った。従って、プログラ. をする抵抗感があり、療育者を期待されるとプレッシ. ムには同胞とのことを扱うものだけでなく、皆で楽し. ャーを感じたようでもあった。そのため、#4 動作法の時. める活動や 1 人ひとりが注目を浴びる活動も多く取り. と教示を変え、お互いの体がより気持ちよくなったり、. 入れる必要があると思われた。. 楽になる体験で、役割交代の側面を強調した。雰囲気が. (3)同胞を体験的に感じる機会. #4 とは異なり、非常にリラックスしていた。さらにペア. きょうだいによっては、直接的に同胞のことを表現. で声をかけ合いながら真剣に取り組み、「気持ちいい」. することは難しかったり、はっきりと同胞との関係に. という感想や、動かしてもらって嬉しそうな笑顔も見. おける悩みを意識していなかったり、悩みと思ってい. られた。#11 シェアリングでは感想を言いやすいように、. ない場合も考えられる。そのため、コラージュのような. メンバーに目を閉じるように伝え、Th が#1 から#10 を. 投影的手法を用いて間接的に同胞について考えること. 振り返ってイメージし、感想を発表した。「動作法をし. によって、普段表現したくても表現できない気持ちも. たことがなかったため、知ることが出来てよかった」、. 含め、様々な思いを表現しやすかったのではないかと. 「ゲームが楽しかった」という感想が聞かれた。それま. 思われる。また、表現したことが周囲から肯定的に受け. で、あまり発言をしなかったメンバーも、自分なりにし. 入れられる体験をすることで、同胞のことを表現する. っかりと感想を表現していた。. ことの安心感を得ると思われる。しかし、きょうだいは. 4)結果と考察. 同胞に対して否定的感情を表出することへの罪悪感を. (1)キャンプ前後のきょうだいの自己評価と他者評価. もちやすい(益満ら、2002)。そのため、表現することで. きょうだいと保護者に行った各質問項目について分. 辛い体験にならないよう配慮する必要がある。従って、. 散分析を行った。きょうだいに行った質問の結果より、. Th が導入の際に否定的感情を出し過ぎないといった枠. 「怒ってしまうことが多い(逆転項目【以下*】)」(F(2,8). 組みを作る等、関りの工夫が必要であると思われた。. =5.44,p<.05)の1項目においてのみ有意であり、下位. 動作法では、メンバーは遊びの活動で、同胞がしてい. 検定の結果、プログラム前後で怒ることが減り(p<.05)、. ることをすることに、戸惑いがあったように思われた。. 1ヵ月後ではプログラム実施後よりも、怒ることが増え. そのため#9 では<肩こりに効いたり、体が楽になる>と. る傾向があった(p<.10)。その他の項目では有意差は見. いう教示をし、メンバー自身の体に注意を向けた。また. られなかった。また、保護者に行った質問の結果より、. 1 組ずつ回りながら、肯定的なフィードバックをしたり、. 「いつも元気いっぱいだ」(F(1,4)=16.00,p<.05)、「皆. お互いの感じを尋ねた。そうすることできょうだいに. の前で、自分の考えを言うことが、難しい時がある(*)」. とって気持ちの良い体験になったと思われた。. (F(1,4)=10.00,p<.05)等の項目の得点がプログラム実. (4)きょうだい同士の交流. 施前よりも1ヵ月後に有意差があり、肯定的に変化した。 その他の項目は有意差は見られなかった。. 学童期のきょうだいは、日常生活の中で他のきょう だいとの交流や同胞について話す機会はあまりないと. 両者の結果より、保護者の方がきょうだいの状態が. 考えられる。今回は意見を交換することはなかったが、. 肯定的に変化していると意識している様子がうかがえ. 現時点では意識していなくても、今後同胞や家族の悩. た。従って、原・西村(1998)が述べているように、保護者. みを話せる場や人がいる安心感につながるきっかけに. はきょうだいを本人が思っているより過小評価してい. なると思われる。. る可能性が考えられる。. 5)今後の課題. (2)主役となる体験. まず、1)質問紙の評価の結果はプログラムの効果を.
(3) 適切に評価をするには不十分な点もあったと思われる。. の印象評定を各セッションごとに行った。. グループの経過の中で、きょうだいに直接自己内省的. T able2 プ ロ グ ラ ム の 内 容. に聞くことは難しいと思われた。従って、保護者からの. 1日 目 プ ロ グ ラム. ね らい. 日常的な様子やその後の関り、Th の印象等も合わせて. # 1 . ①自己紹介. 調査し、より多面的に評価することが考えられる。. 保護者. ③人間知恵の輪. メン バ ー 同 士 の 交 流. き ょうだ い. ④ ボ デ ィワ ー ク. 主 役 :役 割 交 代. #2 . ①作品作り. 保 護 者 と2人 き りで 過 ご す. 次に、2)きょうだいの主役体験を家族内でも促すこ とを考えると保護者との関りが考えられる。学童期の きょうだいへの保護者の働きかけとして、2人だけにな れる時間を与えることを特に、重要な配慮、対処とされ. ② 肩 叩 きゲ ー ム. 保護者 き ょうだ い 合 同 プ ロ グ ラム. ① プー ル. #3. ① ジ ャン ケ ン 列 車. ている(西村、2004)。そのため、きょうだいと保護者が 一緒に活動を楽しむという体験もきょうだいの主役体. メン バ ー 同 士 の 交 流. メン バ ー 同 士 の 交 流. ②背中合わせ立ち. メン バ ー 同 士 の 交 流. ③ シ ゙ェ ス チ ャ ー 伝 言 ゲ ー ム. 主 役 :自 己 表 現. 2日 目 ① リラ ックス 体 操. 主 役 :役 割 交 代. 験と言う意味で意義があることだと考えられる。今後. ② コラ ー ジ ュ. 同 胞 の ことを 体 験 的 に. 「わ た しとき ょうだ い 」. 感 じる 機 会. は、プログラムにきょうだいと保護者の活動を行うこ. ③感想. メン バ ー 同 士 の 交 流. とが考えられる。 そして、3)同胞の障害に触れることについては、慎重 な配慮が必要であると考え、直接触れないプログラム. # 4 . 合 同 プ ロ グ ラム. ①公園. #5. ① シ ェア リン グ. 主 役 :自 己 表 現. ② ア ンケ ー ト. 3)グループの経過. を実施した。しかし、障害を喚起させた活動では、拒否. 1 日目は、保護者もきょうだいも緊張した様子はなく. 的な意見が出ていた。小学生にグループ活動を行う際. 和やかに始まった。#1 人間知恵の輪では、解く役で待っ. には、さらなる慎重な配慮が重要であると思われた。. ている間の親子は、話をしたり、おんぶをしたりと 2 人 きりの時間を楽しんでいた。ボディーワークでは、保護. 3.. 第 2 研究「療育キャンプに参加する自閉症児のき. 者が優しく体を動かしている時に、きょうだいはどの. ょうだいへの集団心理支援について」. ようなポーズになるか期待し、体を動かされる面白さ. 1)目的. 第 1 研究の課題より、保護者も参加するセッシ. からくすくす笑いながら参加していた。また、きょうだ. ョンや同胞の障害に触れることについて慎重に配慮し、. いも保護者を優しく丁寧に動かすように Th が伝えると、. きょうだいが同胞の療育者になることを期待されるイ. 乱暴に扱うことなく、保護者を動かすことも面白いよ. メージを起こさないようなプログラムを設定する。こ. うで、笑いをこらえながら動かしていた。#2 工作での取. れらの点を踏まえ、本研究では、第 1 研究の目的と共に、. り組み方は、きょうだいがイメージを決め、保護者が一. きょうだいのみと保護者も一緒に参加するセッション. 緒に取り組んだり、保護者がある程度の枠を決め、きょ. を含めたプログラムを行い、きょうだいや保護者の体. うだいと一緒に作ったり、きょうだいが 1 人で進めたり. 験や Th の援助について検討する。. と様々であった。Th はできるだけ親子 2 人きりの時間を. 2)方法. 過ごしてもらうため、必要な時以外は関与しないよう. (1)対象. きょうだい 4 名(小 2∼小 5)と保護者 4 名。. (2)手続き. 2004 年 7 月に B 県での 1 泊 2 日の療育キャ. に見守っていた。#3 からきょうだいのみとなったが、積 極的に参加していた。しかし、少しグループからひい. ンプにおいて、Th3 名とボランティア(以下 V)4 名により、. て参加していたメンバーもいたが、Th がリーダー的な. きょだいと保護者を対象にグループ活動を行った. 役割を促すと徐々に活動に積極的になっていった。. (Table2)。 (3)評価方法. 2 日目の#4 リラックス体操では自分がしてもらいた いことを相手に伝えるように促した。メンバーはそれ. 第 1 研究と同じアンケートを実施した。アンケートは. が相手に伝わり、してもらえることがとても嬉しいよ. きょうだいには、#1 の直前、#5、キャンプ 1 ヵ月後の 3 回. うであった。次の「わたしときょうだい」をテーマにし. 実施し、保護者にきょうだいの様子について同じ内容. たコラージュでは、初めてのようだったが、躊躇なく. をキャンプ前と 1 ヵ月後の 2 回実施した。また、保護者. 楽しみながら取り組んでいた。作品紹介は、緊張しない. に対し、日常生活においてのきょうだいとの関りや、. ように、作品を床において全員で眺めながら行った。す. きょうだいの日常の様子を聞くアンケートをキャンプ. ると和やかな雰囲気で、お互いの作品を興味深そうに. 前、1 ヵ月後に 2 回実施した。そして、担当 V の評価とし. 見ながら発表していた。Th や V だけでなく、メンバーか. て、自信、不安、表現、対人関係(対メンバー、対 V). らも質問が出ており、表現したことでのやりとりが見.
(4) られた。#5 シェアリングでは、Th が 2 日間のプログラ. ことも特に重要としている。従って、プログラムで、き. ムの紙を示し、メンバーがイメージしやすいようにし. ょうだいが活躍したことや発表したこと等に対し、Th. た。それでも発表ができず、固まったメンバーもいたが、. が積極的に肯定的なフィードバックを行うことで、保. Th がそのメンバーの活躍した場面をフィードバックし、. 護者がきょうだいへの関りを見直すきっかけにもなる. 発表が辛い体験にならないようにした。. と思われる。そして、今後何らかの問題を抱えた時に家. 4) 結果と考察. 族外からの援助を求め易くなると考えられる。. (1)プログラム参加前後の評価について きょうだいと保護者の各質問項目と V の印象評定の 各項目について分散分析を行った。きょうだいに行っ た質問の結果より、「何かしようとするとき、上手にで. きるか心配になる(*)」(F(1,3)=5.842,p<.05)の 1 項目. Table3 参加前の保護者のプログラムについてのアンケート結果 ○参加する前にどのように話したか? スケジュールを知らせる. お話をする. 個別的な配慮. 好きな遊びにつき合う. メンバーとの交流を促進. においてのみ有意であった。下位検定の結果、プログラ. ○意見・感想. ム前後で上手にできるかが心配でなくなる傾向があり. グループへの期待. (p<.10)、プログラム 1 ヵ月後ではプログラム実施前よ. 保護者の関わりの不安. りも、上手に出来るかが心配でなくなっていた(p<.05)。. 話していない. ○担当への希望. きょうだい児の現状. Table4 参加後の保護者のプログラムについてのアンケート結果 ○参加後どのような話をしたか?. その他の項目では有意差は見られなかった。保護者に. 参加メンバーへの肯定的な配慮. 行った質問の結果より、「工作や折り紙等一緒に何か作. 子どもの活動についての肯定的な報告Moから子どもへの肯定的感想. る」(F(1,3)=6.00,p<.10)の項目の得点が有意傾向で. ○キャンプに参加しての感想 きょうだい児と一緒に過ごすことの重要性の気づき Moときょうだい児が一緒に参加したよい体験. あり、プログラム前より1ヵ月後に、一緒に何かを作る. 日常生活への振り返り. ことが増えていた。その他の項目では有意差は見られ. ○意見・感想. なかった。V によるきょうだいの印象評定の結果、有意 差は見られなかったため、今後の課題として残された。 また、プログラム前に実施した各項目について、大 学院生 3 名により、KJ 法にて分類を行った(Table3、4)。. Moの活動についての質問. 今後の積極的な関わり. きょうだい児と一緒に過ごすことの重要性の気づき Moときょうだい児が一緒に参加したよい体験. 日常生活への振り返り. 今後の積極的な関わり. 今後のきょうだい児支援の期待. キャンプにおけるきょうだい児支援について. 4.. 総合考察. (1)主役となる体験. プログラム前と 1 ヵ月後の「意見・感想」を比較す. プログラムでは、皆で楽しめる活動やペアで行う活. ると、プログラム前では、きょうだいとの関りやきょう. 動や 1 人ひとりが注目を浴びる活動を取り入れること. だいに関する不安があり、プログラムに対して期待し. で、主体的な参加を促せるように思われた。日常ではき. ているように思われる。そして、1 ヵ月後では、きょうだ. ょうだいが保護者と 2 人きりで過ごせる時間が短くて. いと一緒に活動する時間を体験したことにより、日常. も、グループに参加することで、保護者から関心を向け. 生活を振り返ったり、きょうだいと過ごすことの重要. られているという安心感につながると考えられた。. さに気付き、今後積極的に関ろうとポジティブな気持. (2)Th の援助について. ちをもっている様子が推察された。さらに、きょうだい. きょうだいがプログラムで安心感を抱き、楽しい体. へのキャンプにおける支援やキャンプに限らない支援. 験となるためには、安心した場の雰囲気作りと、肯定. を専門家に期待していることが伺われた。. 的なフィードバックを丁寧に行っていく必要があると. (2)主役となる体験. 思われた。. 第 2 研究では、家族内の主役体験として保護者との活. (3)今後の課題. 動を取り入れた。大澤・西田(1997)は、母親ときょうだ. きょうだいのプログラムについての体験をより詳細. いの関りは、実際の物理的時間の短さというよりは、母. に捉えていく尺度を再度検討することが必要であると. 親がきょうだいに関心を向ける余裕がないこと等を問. 思われる。また、保護者との協力の上、定期的なきょう. 題としている。従って、きょうだいがプログラムで保護. だいのプログラムを実施できる環境作りが必要である. 者と一緒に活動することで、日常生活では物理的には. と思われた。. 時間がなくても、自分のことをしっかり見てくれてい. 5.. る実感が得られたのではないかと思われた。また西村. 1、西村辨作(2004)発達障害児・者のきょうだいの心理. (2004)は、保護者のきょうだいへの働きかけとして、1). 社会的な問題,児童青年精神医学とその近接領域,. 努力や達成を褒める、2)家族外からの援助を利用する. 45(4),344−35.. 主要引用文献.
(5)
関連したドキュメント
いての情報収集をし,母親の心理状態の理解に努めた。
概要
介助の義務を負うこと 6,7) ,親から過剰に期待され努力 を求められること 8) ,通常の同胞関係を経験できない こと 5)
工夫が見られまたメンバー同士の活発な意見交換
森根庄子他 (2006)
授業としては学生のためにある一方で、継続した活動と
母親が考える責任については,きょうだいと同様,自
きょうだいにとって必ずしもきょうだい支援 が必要なわけで、はなし L しかし,本研究でも明