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近年,発達障がい児・者の兄弟姉妹(以下,

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(1)

− 111 −

自閉症スペクトラム障がい児・者を同胞にもっきょうだいにみられやすい特徴 過剰適応と向社会的行動に着目して

人間教育専攻

臨床心理士養成コース 香 取 み ず ほ

1.問題と目的

近年,発達障がい児・者の兄弟姉妹(以下,

きょうだし、と記述する)に対する研究が増えて きており,支援の必要性が指摘されている。柳 津

(2012)

は,自閉症スペクトラム障害児・者 の家族が抱える問題としていくつか挙げている。

しかし,これまで、自閉症スペクトラム障がし、の ある者を同胞にもっきょうだし、に焦点を当てた 研究は少ない。そこで本研究では,発達障がい の中でも,自閉症スペクトラム障がい児・者の きょうだいに焦点を当てる。本研究の目的は,

自閉症スペクトラム障がい児・者を同胞にもっ きょうだし、自身が捉えている自分の対人関係と 将来について検討することである。対人関係に ついては,過剰適応と向社会的行動に着目する。

過剰適応的な行動は,それが適度であれば,向 社会的行動ととらえることができる側面もある。

そのため,相手に考慮した行動をとる際に,き ょうだい本人は何を感じているのかを明らかに する。また,同胞の障がし、をどのように受け入 れているかということとの関連も検言寸する。そ のうえで,自分の将来明隼路決定に至るプロセ スも検討する。なお,インタビューをする研究 と同時に,グループ。活動の事例を通した研究も 行う。さらに,対象を児童期のきょうだし、と成 人期のきょうだいにすることで,異なる発達段 階の中で起こりうるきょうだいの心理的プロセ スを明らかにする。

指 導 教 員 小 倉 正 義

2. 

[研究

1]

事例を通したきょうだい研究 (1)方法

気持ちのマネジメントに関するプログラムに 参加した A さんを対象に,児童期のきょうだい が対人関係の中でどのような行動を示すのかを 明らかにするために,プログラムでの様子を観 察し,普通ました。

( 2 )

結果

グノいーフ。活動の中の A さんの様子から,困っ たことを自分から他の人に言うことに苦手さを 持っていることがわかった。また, 協力が必要 なゲームでは,自分の意見を強調する相手に対 して,自分の意見を抑えてしまっているようだ った。周りの子どもの様子をうかがい,それに 合わせている A さんの姿が見られた。

事前に行った保護者対象のアンケートからは,

自分の嫌なことや無理なことも我慢して引き受 けてしまうことがあることがわかった。向社会 性が高く,人の気持ちを気づかったり,落ち込 んでいる人に対して助けたりすることができる ことが示されていた。

(3)

考察

A さんが,自分の困っていることをなかなか

人に伝えられない理由として,

Iわからないとい

けなしリとしづ責任感の強さが考えられる。ま

た,迷惑をかけないようにと,自分の意見は抑

えて他の人に合わせてしまったのかもしれなし L

これらのことから, A さんには過乗

l

随応な面が

(2)

− 112 − あるといえるだろう。参加者全員で楽しむ時間 では,自分よりも他の人が楽しむことを考えて いるようだった。他の人への気づかし、ができて いる一方で,自分のことよりも他の人のことを 優先していた。また,プログラムの中で,

A

んが色々な大人に自分の考えを話せた時があり,

それは

A

さんにとって良い機会になったので、は ないか。

3.断 究2]インタビュー調査を通したきょうだ し噺究

(1)方法

自閉症スペクトラム障がい者を同胞にもつ成 人期のきょうだし叫名

( B

さん,

C

さん)を対 象に,きょうだし骨身が捉えている自分の対人 関係と将来について明らかにするために,イン タビュー調査を行った。インタビュー後は,現 象学的方法を用いて分析を行った。

(2) 結果

状況とそれに付随する感情表現を一つの体験 として,きょうだいの言葉を用いて記述したも のを「体験の記述」とした。以下に,

B

さんと Cさんの体験の言目主を示した。

B

さんは,周りの人たちと自分で,障がし、の ある人に対しての見方キ哩鳴平に明らかな違いが あると感じた時期があったが,もし自分も同胞 (弟)がいなければ,閉じように角封もないよう な感じになっていたかもしれないと思うと,同 胞(弟)に対して感謝の気持ちが生まれた。ま た,中学生の頃から人に意見を合わせることが 多くなった。学年が上がるにつれて,場をまと める人に対して,自分の意見は言わずにその人 の意見に合わせることが増えた。

C さんは,同胞(弟)が小学生の頃,学校で トラブノレが多く,それに対して嫌だなと感じる 時期もあった。小学校,中学校生活は同胞(弟)

の近くで一緒に過ご、してきたため,嫌だなと感 じる時もありつつ, しっかりしなくてはという 責任感も感じていた。また,対人関係において 先入観を持って人を見ないようにしている。

(3) 考察

B

さんには,自分の意見は抑えて相手に合わ せるところがあり,相手の考えや動きに気を配 って行動するところは,向社会的行動と過乗出直 応な側面の両方があると捉えられる。

C

さんの 場合,対人関係において相手のことを考える姿 勢は向社会的行動といえるが,中学生の頃感じ ていた責任感に関しては,過剰適応な側面と捉 えられる。

二人とも現在の職業につながったきっかけの 第一は,同胞(弟)だ、と語った。弟と一緒に過 ごして感じたことから,現在の職業を目指した のではなし怖もまた,どちらも母親との会話が 今の職業を目指すきっかけになっていることも 注目すべきである。

4 .

総合考察

本研究では,きょうだいの思いを聞くだけで なく,対人関係での行動を観察することで,よ

り深くきょうだいについて考察できた。

どちらの研究においても,対象者には相手の 考えを尊重する姿勢があることがわかった。ま た,異年齢のきょうだいを女橡に研究を行った ことで,成人期の

B

さんと

C

さんは児童期の

A

さんと違って,同胞からの影響を意識化してい ることが明らかになっ

t : . "

きょうだいにとって必ずしもきょうだい支援 が必要なわけで、はなしL しかし,本研究でも明 らかになったように,きょうだいは何かしら抱 えている。きょうだい支援を行う際には,きょ うだいの立場に立って何をすべきなのか考える ことが大切である。

参照

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