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寛政改革後の よしの冊子 一七八 よしの冊子 の原本は 前述の通り水野為長(一七五一 一八二四)が記した これは依然として所在が分かっていない 為長は 定信が幼少の頃 田安家で過ごしていた時代から自身が没するまで側近く使えていた小姓で 定信が最も信頼する家臣の一人である 原本は 一六九 二〇〇冊ほど

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Academic year: 2021

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寛政改革後の「よしの冊子」 一七七   は   じ   め   に 一   「よしの冊子」の伝本 二   慶応本の特徴   お   わ   り   に           「 よ し の 冊 子 」 は 松 平 定 信 ( 一 七 五 八 〜 一 八 二 九 ) が 幕 府 老 中 を 拝 命 す る 天 明 七 年 ( 一 七 八 七 ) 頃 か ら そ の 職 を 退 く 寛 政 五 年 頃 ま で、 家 臣・ 水 野 為 長 (一七五一〜一八二四) に収集させていた風聞記事をまとめたものである。本 稿 で は、 そ の 写 本 の 一 つ で あ る「 雑 記 」 ( 慶 応 義 塾 図 書 館 所 蔵、 以 下 慶 応 本 と 称する) に書かれている、定信の老中 ・ 将軍補佐役退任後に収集された「よ しの冊子」の風聞を紹介する。 これまで「よしの冊子」の風聞の収集年月日は、定信が老中になる少し 前 の 天 明 七 年 ( 一 七 八 七 ) 初 期 頃 か ら、 老 中・ 将 軍 補 佐 役 を 退 任 し た 寛 政 五 年 ( 一 七 九 三 ) 七 月 二 三 日 ま で で あ る と さ れ て き た。 七 月 二 三 日 は 定 信 が 老 中および将軍補佐役を退いた日である。職を辞すと同時に風聞の収集も終 了したと考えられていた。これは「よしの冊子」の最も有名な写本である 鶯 宿 雑 記 中 の「 よ し の 冊 子 」 ( 国 立 国 会 図 書 館 所 蔵、 以 下、 国 会 本 と 称 す る ) が、 その期間の風聞記事を掲載している事を根拠としている。 しかし「よしの冊子」には国会本の続き、すなわち寛政五年七月二三日 以降の風聞が存在する。その部分は慶応本にしか掲載されておらず、内容 をあまり認識されないままである。そこで本稿では、慶応本にのみ掲載さ れている風聞を翻刻し、 「よしの冊子」全体像を明らかにしたいと思う。       「よしの冊子」の伝本 「 よ し の 冊 子 」 の 伝 本 と 慶 応 本 と の 関 係 に つ い て 簡 単 に 述 べ て お こ う。 な お 詳 細 は『 近 世 日 本 の 国 際 関 係 と 言 説   荒 野 泰 典 退 任 記 念 論 集( 仮 )』 ( 溪 水社) で報告する予定なので、そちらを参照してほしい。 ( 1) ( 2) 〔史料紹介〕

寛政改革後の「よしの冊子」

 

 

 

未刊行資料「雑記」の紹介

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寛政改革後の「よしの冊子」 一七八 「 よ し の 冊 子 」 の 原 本 は、 前 述 の 通 り 水 野 為 長 ( 一 七 五 一 〜 一 八 二 四 ) が 記 し た。 こ れ は 依 然 と し て 所 在 が 分 か っ て い な い。 為 長 は、 定 信 が 幼 少 の 頃、田安家で過ごしていた時代から自身が没するまで側近く使えていた小 姓で、定信が最も信頼する家臣の一人である。原本は、一六九〜二〇〇冊 ほど存在していたという事が、写本や久松松平家第一六代当主・松平定光 の記録から推測できる 。 原 本 の 抄 本 を 作 成 し た の が、 白 河 藩 江 戸 詰 小 姓・ 田 内 親 輔 ( 生 没 年 不 詳 ) である。親輔の抄本 (以下、田内本と称する) も現存しないため、詳細は不 明である。ただし、この親輔の抄本を写した国会本の目録が、一九項目に 分けられている事から、一九冊は存在したであろうと考えられる。また国 会本には、親輔が書き添えた序文も書き写されている。序文は文政一三年 (一八三〇) 閏三月に記されたもので、 田内本の表紙部分に書かれていた 。 そ の内容は、為長の略歴と人柄に関する事、定信の逝去後に為長筆の冊子 ・ 二〇〇冊ほどを見つけた事、それには「細やかに書置しものを空しく火に いるゝもほいなし、かたく封じて納めをけ」という定信筆の書置きが残さ れていた事、そこで後世の人が定信の老中としての偉業を知る手がかりと するために抄本を作成した事、虚説であるものはその由を記した事などで あ る 。 ま た こ れ が 〝 抄 本 〟 で あ る と す る 根 拠 は 、 親 輔 の 序 文 に「 其 中 ( 為 長の筆記二〇〇冊計) より書ぬきて」とあることに依っている。 田内本の写本は、二点現存している。 一つ目は、前述の駒井乗邨筆の国会本である。乗邨は博学で数々の書籍 を筆写していたが、 その作業の中で、 田内本を手に取った。 「よしの冊子」 と名付けたのは乗邨で、一段落ごとに「〜のよし」とあったからである。 また、後年に分からなくなってしまうであろう事柄や真偽など補足すべき ( 3) ( 4) ( 5) 事は、 乗邨が朱で付け足した 。 乗邨の補足事項は文章の行間にびっしりと、 とても小さな文字で書き込まれており、読み込むのはなかなか難しい。前 述 の よ う に 天 明 初 期 頃 か ら 寛 政 五 年 七 月 二 三 日 ま で の 風 聞 を 掲 載 し て い る。 こ の 国 会 本 は 森 銑 三 ( 一 八 九 五 〜 一 九 八 五 ) が 鶯 宿 雑 記 を 整 理 す る 中 で 発 見 し 、 昭 和 七 年 ( 一 九 三 二 ) に 雑 誌 『 本 道 楽 』 に 一 部 紹 介 し た 。 そ の 後、 同 三二年 (一九五七) 、 同人によって 『 随筆百花苑 』 第八〜九巻 に翻刻された。 これによって研究者に限らず一般の人でも「よしの冊子」を読むことがで きるようになった。また一方で、国会本が「よしの冊子」の全貌として認 識される切欠にもなったと言える。 二つ目の写本は、白河藩校立教館教授・秋山白賁堂 (一七九八〜一八七四) が 写 し た も の で あ る ( 以 下、 桑 名 本 と 称 す る ) 。 桑 名 本 は 二 〇 冊 存 在 す る が、 寛 政 四 年 九 月 一 九 日 分 ま で で 記 述 が 終 わ っ て い る。 こ れ は 昭 和 三 四 年 ( 一 九 五 九 ) の 伊 勢 湾 台 風 で 被 災 し 大 き な ダ メ ー ジ を 受 け た。 当 時 の 館 員 の 努力で修復されたものの、後半部は流されてしまった、あるいは読む事が 困難な程に水損し処分された可能性がある 。書かれている文章は、漢字の 表記の異同はあるものの国会本とほぼ同様である。乗邨の朱書きだけが記 されていない事から、白賁堂は田内本を借りて写したと考えて差し支えな いだろう。       慶応本の特徴 さて、本稿で紹介する慶応本についてであるが、これは田内本とは別系 統で作成されたものである。別系統と位置付ける大きな理由を二点挙げて ( 6) ( 7) ( 8) ( 9)

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寛政改革後の「よしの冊子」 一七九 おこう。 一点目は、風聞の掲載順序である。田内本は、あるトピックスに関する 風聞がある程度まとめて書き連ねられている。例えば、何処かで火事が起 こった時は、その火事に関連する風聞が数件分続けてまとめて書き連ねら れている傾向がある。しかし慶応本はそういったまとまりは特に無い。か と言って年代を無視して羅列されているかと言えばそうでもなく、大まか に年月日順に並んでいる。 二 点 目 は 寛 政 五 年 ( 一 七 九 三 ) 七 月 二 三 日 以 降 の 風 聞 が 記 さ れ て い る 点 で ある。国会本は同年七月二三日でぴたりと終わっているが、慶応本は同六 年初頭まで続いている 。桑名本の本来の終了年月日が分からないのが問題 で は あ る が、 少 な く と も 為 長 の 原 本 が 同 六 年 ま で は 継 続 し て い た こ と が、 慶応本から判明した。定信は同年七月一六日に一端桑名へ帰国し、藩政や 文化事業に邁進した。幕政から距離を置いたこの頃に、風聞の収集も終了 したのではないだろうか。           本 稿 に は 慶 応 本 の 内、 寛 政 五 年 ( 一 七 九 三 ) 七 月 二 四 日 か ら 同 六 年 初 頭 の 風聞を掲載した。定信の退任直後の状況を記した貴重な資料である。 例えば、定信の退任した直後の七月二四日には早速、このような風聞が 見 ら れ る。 「 廿 四 日 ニ 森 山 源 五 郎 き の ふ 越 中 殿 の 御 退 役 に つ い て ハ、 目 の 二 ツ あ る 人 間 ニ 歎 息 せ ぬ も の ハ な い ニ 、 中 の 間 ニ 壱 人 ま づ 是 で せ い せ い と し て よ い と い つ た 馬 鹿 も の が 有 と 申 候 付、 夫 ハ 誰 だ と わ き よ り 尋 候 へ バ、 名 ハ い わ れ ぬ と 申 候 ニ 付、 夕 べ の 新 番 頭 の 泊 り を き け、 と き か せ 候 へ ば 松 ( 10) 平 小 十 郎 の 由 の さ た 」。 森 山 源 五 郎 ( 孝 盛、 目 付、 一 七 三 八 〜 一 八 一 五 ) は「 人 間 で あ れ ば ( 定 信 の 退 任 が ) 残 念 で な い 人 は い な い 」 と 言 う 程 の 落 胆 ぶ り で あった。しかし一方で「せいせいした」と言った者もいたという。質問者 は話の輪の中に入り、発言者が誰なのか問い質そうとした。しかし直接は 教えてもらえず、昨晩の新番頭の宿直にいた人に聞くように言われた。質 問者は新番頭にわざわざ聞きに行ったのだろう。結局発言したのは松平小 十郎 (定胤、小納戸、寛政七年四月より新番頭) である事が分かった、という話 である。事実かどうかは精査を要するが、定信の退任に対する様々な反応 を伝えている。 *本稿は科学研究費助成事業 (学術研究助成金・若手研究 B )「松平定信の情報収集 活動─ 「よしの冊子」 を中心に 」(平成二六〜二八年度) の研究成果の一部である。 ( 11) ( 1)   「 雑 記 」 上・ 下 巻( 慶 応 義 塾 図 書 館・ 三 田 メ デ ィ ア セ ン タ ー 所 蔵、 請 求 記 号 二一五/一三一七/一・二) 。 ( 2)   鶯 宿 雑 記 は 駒 井 乗 邨( 一 七 六 六 〜 一 八 四 六 )が 長 年 に 亘 り 書 き 留 め た 叢 書 で、 全 六 〇 〇 巻 に も 及 ぶ。 明 治 三 六 年( 一 九 〇 三 )に 駒 井 家 よ り 帝 国 図 書 館( 現 国 会 図 書 館 )に 寄 贈 さ れ た。 乗 邨 は、 号 鴬 宿。 白 河 藩 家 臣 田 中 家 に 生 ま れ、 同 家 臣 の 駒 井 家 を 継 い だ。 大 目 付 な ど を 歴 任 し、 江 戸 詰 家 老 も 兼 務 し た。 藩 内 で も 博 識 ぶ り が 知 ら れ て い て、 特 に 歴 史 や 和 歌、 俳 諧 を 好 ん だ。 な お 彼 の 曽 孫 に あ た る 駒 井 重 格( 一 八 五 三 〜 一 九 〇 一 )は 専 修 学 校( 現 専 修 大 学 )の 創 始 者 の 一 人 と し て 知 ら れ る。 田 口 栄 一「 『 鶯 宿 雑 記 』 内 容 紹 介 と 索 引 」(『 参 考 書 誌 研 究 』 第 三 六 号、 一 九 八 九、 国 立 国 会 図 書 館 )。 瀬 戸 口 龍 一「 駒 井 重 格 の 軌 跡 ─「 駒 井 重 格 先 生 小 伝」再考」 (『専修大学史紀要』第二号、二〇一〇年、専修大学史資料課) 。 ( 3)   田 内 親 輔「 〔 よ し の 冊 子 序 〕」 、 森 銑 三 編『 随 筆 百 花 苑 』 第 八 巻( 一 九 八 〇 年、

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寛政改革後の「よしの冊子」 一八〇 中央公論社) 、一六頁。宇下人言 ( 4)   一八四八年頃に職を辞す。 ( 5)   田 内 親 輔「 〔 よ し の 冊 子 序 〕」 、 前 掲『 随 筆 百 花 苑 』 第 八 巻、 一 六 頁。 親 輔 は 松平定信所蔵本の整理・処分、謄写に当った人物で、定信の命により『楽翁公著 書 目 録 』 等 を 記 し た( 和 田 綱 紀『 楽 翁 公 と 教 育 』〈 一 九 〇 八 年、 九 華 堂 〉、 三 七 一 頁。 楽 翁 公 遺 徳 顕 彰 会 編『 楽 翁 公 余 影 』〈 楽 翁 公 遺 徳 顕 彰 会、 一 九 二 九 年 〉三 三 頁) 。 ( 6)   前掲「 〔よしの冊子序〕 」、一六頁。 ( 7)   茂 林 脩 竹 山 房 編 「 本 道 楽 」 一 三 巻 五 ・ 六 号 、 一 四 巻 一 ・ 二 号( 一 九 三 二 年 、 茂 林 脩 竹 山 房、 復 刻 版 は 書 誌 書 目 シ リ ー ズ 一 〇 四『 本 道 楽 』 第 七、 八 巻〈 二 〇 一 三 年、ゆまに書房〉 に収録) 。前掲「 『鶯宿雑記』内容紹介と索引」 、三四頁。 ( 8)   前掲『随筆百花苑』第八巻、第九巻 (一九八一年) 。 ( 9)   平岡潤「解説」 、『伊勢湾台風被災秋山文庫図書目録』 (一九六四年、桑名市教 育 委 員 会 )。 桑 名 市 教 育 委 員 会 事 務 局 生 涯 学 習 課 中 央 図 書 館「 桑 名 市 立 中 央 図 書 館開館一〇周年記念   地域コレクション」 (二〇一五年) 。 ( 10)   前掲「雑記」下巻。 ( 11)   前掲「雑記」下巻 (三〇丁裏) 。

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寛政改革後の「よしの冊子」 一八一        一、底本は「雑記」上 ・ 下巻 (慶応義塾図書館 ・ 三田メディアセンター所蔵、請 求 記 号 二 一 五 / 一 三 一 七 / 一・ 二 ) よ り、 寛 政 五 年 ( 一 七 九 三 ) 六 月 二 四 日 以 降 の 部 分 以 降 ( 下 巻、 三 〇 丁 裏 か ら 五 七 丁 裏 ま で ) を 用 い た。 本 資 料 は 幸田成友 (一八七三〜一九五四) 収集資料の一つで、上巻表紙の見返しに は押紙があり、以下のように記されている。 本 書 ハ 楽 翁 公 ノ 臣 水 野 左 内 為 長 ガ 世 上 ノ 風 評 ヲ 書 集 メ テ 公 ニ 呈 セ ル モ ノ、 モ ト 二 百 余 巻 ア リ シ ト 云 フ、 公 薨 後、 田 内 月 堂 抄 本 ヲ 作 リ、題シテよしの草子といふ、桑名藩士駒井乗邨手写メ、鶯宿雑記 五百三十五巻ノ内ニ収メタルモノ今帝国図書館ニ有ト云フ、本書ト 異同アリヤ、未詳   昭和十六、九、 (角印) 幸田成友 一、 「よしの冊子」は以下の書籍に翻刻されている。 ( 1)   森 銑 三「 よ し の 草 子 鈔( 一 )〜 ( 四 )」 ( 茂 林 脩 竹 山 房 編『 本 道 楽 』 一 三 巻 五・ 六 号、 一 四 巻 一 ・ 二 号、 一 九 三 二 年、 茂 林 脩 竹 山 房 ) 。 国 立 国 会 図 書 館所蔵「鶯宿雑記」を底本とし、その中から著者が抄出したもの。な お、 「 本 道 楽 」 は 復 刻 版 が 出 版 さ れ て お り ( 書 誌 書 目 シ リ ー ズ 一 〇 四『 本 道楽』第一〜一四巻、ゆまに書房) 、このうち第七、八巻 (二〇一三年) に 収録されている。 ( 2)   森 銑 三 編『 随 筆 百 花 苑 』 第 八 巻 ( 一 九 八 〇 年、 中 央 公 論 社 ) ・ 第 九 巻 ( 一 九 八 一 年 ) 。 本 書 は「 鶯 宿 雑 記 」 の「 よ し の 冊 子 」 を 底 本 と し て お り、天明初期頃〜寛政五年六月二三日分までが収録されている。 一、翻刻にあたって、底本の構成等をできるだけ尊重した。しかし文章を 明確にし、読みやすくするため、次のように若干の修正を加えた。 ( 1)   旧 字 は 新 字 体 に、 異 体 字 は 現 在 通 行 の 字 体 に 訂 正 し た。 た だ し、 合字の「ゟ」 、慣用助詞の「江」 「而」 、ひらがなの「ゐ」 「ゑ」は原文 表記のままとした。また、合字の「 と 」は「事」に統一した。仮名の 清濁と踊り字、欠字、平出は原文表記のままとした。 ( 3)   文中に句読点を補った。 ( 4)   年月日は記載内容から推測し【   】で補った。 ( 5)   見せ消ちは[   ]で補った。 ( 6)   虫損は□で示した。 ( 7)   底本 (「雑記」下巻) の掲載丁数を〈   〉で示した。 * 翻 刻 に あ た り、 高 田 綾 子 氏( 徳 川 林 政 史 非 常 勤 研 究 生 )、 塚 田 沙 也 加 氏 (同) にご協力いただきました。記して謝意を表します。

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寛政改革後の「よしの冊子」 一八二 【寛政五年六月二四日〜】 〈三〇丁〉 一、 廿 四 日 ニ 森 山 源 五 郎 き の ふ 越 中 殿 の 御 退 役 に つ い て ハ、 目 の 二 ツ あ る 人 間 ニ 歎 息 せ ぬ も の ハ な い ニ 、 中 の 間 ニ 壱 人 ま づ 是 で せ い せ い と し て よ い と い つ た 馬 鹿 も の が 有 と 申 候 ニ 付、 夫 ハ 誰 だ と わ き よ り 尋 候 へ バ、 名 ハ い わ れ ぬ と 申 候 ニ 付、 夕 べ の 新 番 頭 の 泊 り を き け と き か せ 候 へ バ 松 平 小十郎の由のさた 一、 廿 三 日 以 後[ 以 後 ] 殿 中 何 と か 物 淋 し く 〆 り 無 之 様 ニ て 扨 々 心 細 き 事 とさた仕候よし 一、廿四日抔ハ下馬も甚だひつそりと致候由、あれ是でハすむまいと申候 よし、尤かるき町人中間てい抔ハばくちも出来るあきないもあらふと悦 び候類も余程御座候よし 一、 紀 州 の 御 連 枝 松 平 唯 之 進 殿 ヲ 下 総 殿 の 養 子 ニ 御 世 話 な さ れ 候 て、 是 ヲ 跡役 ニ 御出しなさるつもりそふなとさた仕候よし 一、 小普請の内、 武芸学問抔出情御番入等心懸候もの、 大 ニ のぞミヲ失ひ、 又まいないが始まらふ、さて〳〵こまつたものじやと何れもあきれ候も の多く御座候よし 一、是ハ全ク越中殿の御斗り事で、一反をれがのいて上ハ 公方様、なかハ御役人、下モハ世上迄の様子ヲ見よふ、をれがいる内ば か り 能 く て も、 じ き ニ 替 る や う で ハ や く ニ た ゝ ぬ と 思 召 は か り 事 だ ろ ふ とさた仕候よし 一、まづあゝしておのき被成て、程なく若君様の御大老□なさるであらふ と も 色 々 思 ひ 〳〵 ニ 取 さ た 仕、 い や そ う で ハ あ る ま い か、 あ ゝ し て お 出 被成て[無]拠なき事ハ糸ヲ御引なさるであらふ、伊豆公抔ゟも内々御 問 合 が あ る で あ ら ふ、 せ め て そ う な ら ま だ よ い が、 実 ニ お に げ き り で ハ 又 世 ハ や ミ ニ な ら ふ、 当 時 の 御 役 人 も 追 々 見 き つ て 引 込 人 も 多 か ら ふ と さた仕候よし 〈三一丁〉 一、 廿 四 日 抔 ニ も、 い や 戸 田 釆 女 殿 抔 ハ 堀 田 さ か ミ 守 殿 へ 何 分 御 頼 申 ス と よわいねヲいだされ候よし、何れ西下で御出なさらねば一向ばつとなる 事じやとさた仕候よし 一、 弾 正 殿 先 達 而 御 用 部 屋 内 御 不 和 の 事 有 之、 其 以 後 ハ 一 寸 ト 御 用 部 屋 へ 出 ら れ じ き ニ 奥 御 用 掛 の 部 屋 へ 詰 お ら れ、 且 ハ 御 前 へ も 出 ら れ 御 は む き ヲ被申おり候由、何れ越中様をもなげたであらふもしれぬとさた仕候よ し 一、 越中様御のき被成候跡ハ伊豆殿宜候得共、 何れ小量 ニ 候へハ、 殊 ニ 寄、 是 も に げ て し ま わ れ 様 も し れ ぬ、 和 泉 殿 ハ う け あ わ れ ぬ と 一 統 ニ さ た 仕 候由、釆女殿ハおぼこの由、太田も引こんで仕廻ふもしれぬとさた仕候 よし

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寛政改革後の「よしの冊子」 一八三 一、 何 れ 溜 詰 で 御 出 被 成 而 も 是 非   公 儀 の 事 ハ 御 口 出 し ヲ な さ ら ね バ な ら ぬ、一向御のき切でハすむまいとさた仕候よし 一、 外 ハ 格 別   公 方 様 御 行 跡 并 奥 女 中 の 事 遠 国 の 事 ハ 西 下 で な け れ バ 決 し て ゆ か ぬ 事 じ や が、 扨 々 こ ま つ た も の じ や と 深 ク 心 痛、 夜 分 も 寝 兼 候 人 々 御 ざ 候 由、 何 れ 御 代 々 御 恩 徳 ヲ 蒙 り 候 世 臣 の 類 格 別 ニ 忠 ( マ マ ) 念 深 ク 御 ざ 候ハ   上の御為 ニ ハ宣しき事とさた仕候よし 一、久田ぬいの助も余程あきれ候由、顔色おかしく御ざ候よし 一、 内蔵頭殿橘宗仙院へ被申候ハ、 自分も妻ヲ 殺 (ママ) し力ヲ落シ候処、 此度川々 御 手 伝 被 仰 付 候、 是 ハ 家 来 共 が よ い よ ふ ニ い た さ ふ が、 西 下 で 退 役 い た されたハどふしたものだ、何ゟ力おとしだ、扨々こまつたものだと咄被 申候よし 一、此節殿中初め世上惣たい淋しく候由、きめうな事とさた仕候由 一、 野 村 と 申 御 年 寄、 至 て 正 直 ニ て 才 略 ハ 無 御 座 候 由、 先 達 而 色 々 六 ヶ 敷 事 有 之 御 奉 公 つ と ま り 不 申 候 由 ニ 付、 に な 川 ゟ 異 見 ヲ 加 へ、 西 下 ヲ 御 目 あ て ニ い た し 相 勤 候 や う ニ 申 聞 候 へ バ 悦 び 候 て 近 来 ハ 相 勤 候 由、 右 野 村 の つ ぼ ね よ り 廿 三 日 ニ に な 川 奥 迄 文 ヲ 遣 し、 西 下 様 ハ 結 構 の 御 首 尾 ニ 被 為 入 恐 悦 の 御 儀 ニ 御 ざ 候 へ 共、 此 御 方 は と て も 御 奉 公 ハ 御 つ と ま り 被 成 間敷候間、左様可被思召と申越候由、是 ニ ハ相州もこまり候由のさた 〈三二丁〉 一、 是 よ り ハ 本 多 公 始 め 其 以 下 ニ 至 り 候 迄 追 々 賄 賂 も 行 わ れ、 且 又 御 出 頭 ニ て 御 加 増 抔 取 候 人 も 追 々 出 来、 惣 た い の 御 役 替 等 も 諸 々 の ゑ こ ひ い き ニ て 出 来 候 や う ニ 相 成 可 申、 さ て 〳〵 な げ か わ 敷 事 な ま じ ひ 先   御 代 の 風 で 一 反 あ ら た ま ら ん に ハ お と り で あ ら ふ 抔 と 世 上 し き り ニ そ ふ 〳〵 敷 取さた仕候由 一、 奥 勤 仕 候 も の ハ 何 れ も 内 心 ハ 戦 々 兢 々、 相 応 ニ 高 ヲ 持 た も の ハ 奥 御 奉 公ハせぬがよいとなげきおり候よしのさた 一、酒井因幡守もふおれハつとまらぬ、引こんで仕廻ふと申候由 一、 越 中 守 兼 々 内 願 ニ 付 御 役 御 免、 溜 詰 少 将 ニ 被 任 候、 右 の 趣 於 芙 蓉 之 間 釆 女 正 被 申 渡 候 段、 表 御 役 人 江 廻 状 相 廻 り 候 由、 是 ハ 芙 や う の 間 ニ て 諸 役 人 江 采 女 正 殿 よ り 御 申 通 □ □ 御 座 候 ヲ、 廻 状 の 事 殊 ニ 於 芙 蓉 の 間 ニ 抔 と書方不宣候□□人々心得違、右之布衣以上之御役人でさへ   御前て被   仰 付 候 ニ 、 ふ や う の 間 で 釆 女 正 殿 が 越 中 殿 へ 仰 渡 さ る ゝ か ら ハ、 越 中 殿 能 な い と ミ へ た と さ た い た し、 又 奥 向 へ の 廻 状 ニ ハ 時 斗 間 ニ て 釆 女 殿 被 仰 渡 候 旨 認 め 相 廻 り 候 ニ 付、 是 又 同 様 心 得 違 致 シ 越 中 殿 ハ 能 な い と 見 へたとさた仕候よし 一、諸役人是迄目論見候事も先当時見合セおり、此後の振合ヲ相考へおり 候 由、 今 迄 と 違 つ て め つ た ニ 存 寄 も 書 て 出 さ れ ぬ、 出 し た 上 で し く ぢ つ て ハ な ら ぬ、 な ん で も 風 並 ヲ 見 て い る が よ い と 人 々 其 気 取 ニ 相 成 候 間、

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寛政改革後の「よしの冊子」 一八四 自 然 と ふ や う の 間 間 (ママ) ヲ 始 め 小 役 人 迄 お か し く 扣 目 ニ 相 成、 一 向 取 〆 り な く ど ふ し た ら 是 で き ま ら ふ か と う つ か り う ろ 〳〵 万 事 手 ニ つ き 不 申、 の ぴよんといたし候由、是でもつまらぬもの、どふかたがつくかと世上の 風ヲ見合セ帆ヲあげ兼候よし 〈三三丁〉 一、 御 勘 定 の 枠 共、 比 間 若 年 寄 衆 吟 味 御 座 候 ニ 付、 追 斗 御 番 入 ヲ す る だ ろ ふとさた致候由、是等もゑこひいきがあるであらふとさた仕候よし 一、越中様の御家中斗り安堵して、によつき〳〵と悦こばふが世上のもの ハねつから面白くないとさた致シ、西下でもちつとハ御了簡か有そふな ものとさた致シ候由 一、 天 下 の 法 度 ハ 三 日 法 度 と 申 来 り 候 処、 越 中 様 御 役 中 ハ 誠 ニ 津 々 浦 々 山々迄相守り申候処、是からハばくちもはじまらふし、女郎かいもふへ やうし、盗賊も出来よふとさたいたし候よし 一、 田 沼 し く じ り の 時 ハ、 あ の 人 ハ と ふ ニ あ ゝ な り そ ふ な も の と、 一 も 二 も い ら ず 申 候 由、 其 外 の 御 老 中 古 代 ハ 差 置、 近 来 の 右 近 将 監、 右 京 大 夫、 周 防 守、 備 後、 出 羽 守 し か も 一 両 月 跡 の □ □ 公 迄 御 老 中 御 免 で も 御 免 か 勤 め て い ら る ゝ か 出 □ □ 引 込 か も し ら ず ニ 世 上 ニ 而 ハ く ら し 候 処、 此節西下御退役ハ人々大さわぎ、御名ごりヲおしミ候ハいかなる事かと 不審致し候由 一、 遠 国 奉 行 追 々 聞 申 候 ハ ヽ、 お ど ろ き 仰 天 致 す べ き よ し、 な か ニ も 飯 塚 抔 ハ 歎 息 此 上 も な か る べ き 由、 且 又 高 尾 い が の 守 ハ 廿 三 日 ニ 出 立、 大 方 戸 塚 か 藤 沢 で き い て あ ら ふ が、 嘸 き も を つ ぶ し 長 崎 へ 行 気 も あ る ま い、 途中で煩ひ出さねバよいがとさた仕候よし 一、 御 政 事 ニ ハ 一 向 御 抱 ハ リ 被 成 ぬ 事 と 申 候 て も 一 向 人 々 承 知 不 仕、 ど ふ して夫ですむものか、表向ハそふでも御内証ハ御聞合御問合があるであ らふと一向請合不申候よし 一、 廿 三 日 ニ ハ 一 橋 よ り 飯 田 能 登 守、 番 頭 久 田 ぬ い の 助、 徒 歩 ニ て 登   城 致シ候由、暫ク過候て中納言様 ニ も御登   城御さ候よしのさた 一、 越 中 殿、 天 下 の 事 ヲ な か ら 半 じ や く ニ 被 成 お に げ 被 成 候 而 ハ 以 前 の 御 時節 ニ おとつた事と腹立候もの御座候よし 〈三四丁〉 一、 い づ れ 是 で ハ 相 済 不 申 候 ニ 付、 御 再 勤 ヲ 御 役 人 こ ぞ つ て 相 願 ひ 可 申 哉 とさた致シ候由、何れ世上迄ひつそりと致シ候ハふしぎ千万、是迄有難 がり候ハ尤な事ながら是程でハ有まいと思つた ニ と人々申候よし 一、 上 ニ い た り て ハ   公 方 様 の 御 身 上 ヲ 御 あ ん じ 申 上、 中 ニ 至 り て ハ 殿 中 向 御 取 締 ヲ あ ん じ、 下 ニ 至 り て ハ 自 〳〵 の 立 身 是 迄 の や う ニ け つ 白 ニ ハ ゆくまいとあんじおり候よし

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寛政改革後の「よしの冊子」 一八五 一、酒井いなばの守ハ心そこ西下へ服し奉り候由、廿三日より一両日ハ食 事もたべ不申、寝も不仕、なきあかし候よし 一、 廿 四 日 ニ 壷 内 式 部 あ い さ び の 惟 子 ニ も つ き 絽 の 片 衣 精 好 平 の 襠 ヲ 着 シ、 酒 井 因 幡 方 へ 参 候 ニ 付、 因 幡 是 ハ つ い ぞ な い り つ は な 御 出 た ち だ と 申 候 ニ 付、 式 部、 も う 是 で も よ か ろ ふ と 存 シ て と 申 候 ニ 付、 因 幡 以 の 外 立 腹 大 ニ き め つ け 大 り く つ 申 候 ニ 付、 式 部 も 面 目 ヲ 失 ひ 赤 面 致 シ 候 由、 余 り い な ば き め つ け 候 ニ 付、 用 人 気 の 毒 ニ 存 シ、 あ れ ハ 誠 ニ 表 向 ニ 被 仰 候事と存候旨申候へバ、いなば猶々腹ヲたて、表向ならバ弥々の事、此 節 ハ 一 入 慎 可 被 申 処、 以 の 外 の 事 と 大 ニ き め ニ き め ぬ き 候 間、 式 部 言 句 も出不申拍子ぬけしてすご〳〵帰り候由、是等ハ雑説中の珎実説也とさ た仕候よし 一、宮本三次郎、二三日眼病気と申事故見舞に参候もの御ざ候処、西下の 御事ヲ思ひ出しかたり出し始終酸鼻致し候よし、 然は実 ニ 眼病 ニ ハ無之、 余り泣候故ならんと推察いたし候よし 一、 此 節 松 平 小 十 郎 の 外 ニ セ ひ 〳〵 と し た と い ふ も の ハ、 浅 草 の 蔵 宿、 売 女やばくちうち斗りならんとさた仕候よし 一、伊達殿ハよつぽとの人故随分出精して勤られるであらふが、わきで見 物のしてがしてだから、さぞ気ぼねが折レ様、気骨ヲおつても折甲斐が あれバよいがうさんなものだとさた仕候よし 〈三五丁〉 一、御先手中山下野も是ハどうふしたものだ、こころ細い、頼少ない世の 中 ニ ハなつたと歎息いたし候よし 一、此後ハ只今迄よりハ至て厳敷も可相成哉とも申、又ハ自ゼんとゆるミ 可 申 共 申、 一 向 取 〆 り 不 申 風 聞 の 由、 何 れ〔 何 れ 〕 是 迄 ハ 善 悪 ニ 付 け つ 白 ニ 相 分 り 候 間、 た と へ い か 様 の 事 御 座 候 而 も、 西 下 へ 持 出 シ 候 へ バ、 黒 白 相 分 り 可 申 と 存 居 り 候 処、 此 後 ハ 万 事 不 分 明 ニ 可 有 之 と 人 々 あ や ぶ ミ、軽きものハ猶々黒白分り兼可申哉とあんじおり候よし 一、 廿 三 日 西 下 へ 上 候 積 り の 書 付 諸 役 人 持 参 致 候 処、 御 退 役 ニ 付 此 ま ゝ で ハ出されまい、又一勘弁セずハ出されまいと皆々持帰候由、都て御役人 大 ニ 符帳違候よし 一、 豆 ふ 壱 丁 ニ 付 四 文、 半 丁 ニ 付 弐 文 高 直 ニ 相 成 候 ニ 付、 そ り や 越 中 様 が 御引被成たから、もふ豆ふの直があがつたとさたいたし候由 一、 田 安 小 十 人 部 屋 ニ て、 越 中 様 ハ 結 構 ニ 被   仰 付 た、 余 り 是 ま で 御 せ わ が 過 た か ら と 申 候 も の 壱 人 御 さ 候 ニ 付、 相 番 の 内 一 人、 何 ン だ 結 構 ニ 被 仰付たハわかつたが、余り是迄御せわが過たとハなんの事だと申候より 互大口論 ニ 相成、漸さい人這入しづまり候よし 一、 西 下 兼 々 御 願 の 事 ハ 本 多 と 加 納 斗 り 存 ジ ニ て、 外 御 老 中 并 若 年 寄 抔 当 朝 迄 も 存 不 申 候 由、 と か く 本 多 と 加 納 両 人 ニ て 申 上 ル 時 あ や が あ つ た 事

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寛政改革後の「よしの冊子」 一八六 だろふとさた仕候よし 一、 大 奥 向 御 入 用 の 事   心 観 院 様 御 時 代 御 同 様 ニ 復 し 候 由 専 取 さ た 仕 候 由、 右 ニ 付 曽 賀 伊 が の 守、 柳 生 主 膳 正 抔 大 歎 息 い た し、 も ふ こ う な つ て ハ叶ハぬとなげき候よしのさた 一、 御 老 中 方 本 多 公 と ハ 惣 た い 御 中 悪 敷 候 由、 一 説 ニ 本 多 殿 ハ 是 迄 西 下 の 御願で斗り勤てござつたが西下が御引だからもふ勤まるまいとさた仕候 よし 〈三六丁〉 一、 此 節 和 泉 殿 御 出 勤 ニ て 御 出 被 成 候 ハ ゞ、 中 〳〵 承 知 有 之 間 敷 由、 な ん と い つ て も 引 つ は る も の ハ い づ ミ 殿 斗 り だ ニ 、 折 節 引 込 故 力 ら が 届 か ぬ と ミ へ た、 越 中 様 の 御 引 込 で い づ ミ 殿 も 大 ふ さ ぎ、 夫 故 大 病 ニ な ら れ た、おしい事ヲしたとさた仕候よし 一、大奥向かるき女中迄も力を落し気ぬけいたし候よし 一、 堀 田 兵 助 申 候 ハ、 飯 塚 伊 兵 衛 も た ゞ 西 下 様 斗 り ヲ 目 当 ニ い た し 相 勤 候 処、 此 度 御 退 役 の 事 佐 州 ニ て 承 り 候 ハ ヽ、 目 を 廻 シ 可 申、 ど ふ ぞ 来 年 首 尾能かへれバよふござりますが、佐渡で死なねバよふござりますがと大 ニ 案じ居り候由、きハめて目をば廻しまセりと申候よしのさた 一、 大 屋 遠 州 病 死 ニ 付、 遠 州 ハ よ い 時 死 ン だ、 こ ん な う い め ヲ き か ず ニ 死 んだ、仕合な男だとさたいたし候由 一、林肥後、岩本内膳正抔、おらが同役こゝ迄おいでなどゝにな川さがミ の守へ申候由、此間も一橋で御噂があつた抔と岩本申候由、岩本ハ此節 余 り 歎 息 も 無 之 由、 畢 竟 一 橋 と 申 候 尻 持 御 ざ 候 故 な ら ん と さ た 仕 候 よ し、元ゟ岩本底意不宜候ものゝよし 一、 曲 淵 甲 州 ハ つ け 込 上 手 故、 此 節 も こ ま り 不 申、 早 束 つ け こ ミ 可 申 処、 存 の 外 大 歎 息 い た し、 こ ん な 時 ニ ハ 早 ク 仕 廻 つ て 内 へ か へ ろ ふ と 申 て 早 仕まい ニ 仕廻候よし 一、 水 馬   上 覧 御 座 候 ニ 付、 先 日 掛 り 御 小 納 戸 頭 取 見 分 致 シ 候 由、 水 馬、 平 水 二 ツ な が ら 相 勤 候 も の   上 覧 ニ 出 候 事 の 由、 未 熟 な る も の ハ 馬 を た よ り ニ 水 ヲ お よ ぎ 申 候 ニ 付、 水 馬 ハ 致 シ 候 而 も 平 水 ハ 御 断 申 上 候 ニ 付、 右 の ご と く 平 水 断 の も の ハ   上 覧 ニ 書 上 無 之 事 の 由、 此 度 も 右 の ご と く 書 上 候 処、 新 御 番 平 尾 藤 兵 衛、 大 御 番 か 須 田 善 兵 衛 と 申 も の 平 水 断 ニ 御 ざ 候 処、 右 両 人   上 覧 ニ 出 し 候 様 ニ と 上 よ り 下 り 参 候 由、 依 之   上 覧 ニ 書 上 候 内、 右 両 人 の 替 り ニ は ぶ か れ 候 も の 有 之、 書 上 無 之 未 熟 の 両 人 水 馬   上 覧 被 仰 付 候 由、 平 尾 藤 兵 衛 ハ し か も 可 被 仰 付 前 日 迄 引 込 お り 候 処、 内 意 ニ 而 も 御 座 候 哉、 其 前 日 出 勤 仕 候 由、 右 ニ 付 水 馬 人 三 十 六 人 の 内 一 統 相 あ き れ、 是 迄 無 之 事、 偏 ニ 西 下 御 引 故、 も ふ ゑ こ ひ い き 出 候 事 と 大 ニ 立 腹、 相 服 し 不 申、 大 方 右 両 人 も 本 多 殿 抔 へ ま い な い で も 遣 つ た ろふとさた仕候よし

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寛政改革後の「よしの冊子」 一八七 〈三七丁〉 一、 長 田 阿 波 守 大 歎 息 致 し、 此 様 ニ よ い 年 を し て セ わ し な い 御 役 ヲ 勤 る も 畢 竟 西 下 の 御 引 立 斗 り で 勤 め る ニ 、 西 下 が 御 引 で ハ も ふ を れ ハ 勤 ま ら ぬ、引こんで仕廻ふとなげき候よし 一、 西 下 へ 御 悦 ニ 出 候 へ バ 取 次 が ミ ん な 色 ヲ 青 く し て い る と、 わ る 口 ヲ 申 候ものも御座候よし 一、 殿 中 何 と な く 淋 敷、 皆 々 張 合 ぬ け ひ そ 〳〵 と す べ て 世 上 い つ ぱ ん ニ 御 と な へ 申 候 ニ 付、 西 下 の 御 噂 ヲ 申 候 わ ぬ 様 ニ と 上 よ り 通 ジ 御 座 候 ニ 付、 此間ハ少々申やミ候よしのさた 一、 大 名 の 家 中 ニ 而 ハ、 越 中 様 最 初 御 役 被 蒙   仰 候 節 ハ、 七 ヶ 年 の 間 相 勤 可申と御請合被成候へ共、其後度々御免ヲ御願被成候事、我等旦那抔も 其 節 〳〵 存 被 申 候 事 ニ 候、 右 の ご と く 度 々 御 願 ニ は 候 得 共、 御 免 無 之、 此 節 御 約 束 通 り 七 ヶ 年 め ニ て 御 役 御 免 被 仰 付 候 と 申 候 も の も、 彼 是 御 ざ 候よしのさた 一、 越 中 守 様 武 家 執 役 と 申 ニ 御 な り 被 成 由、 是 ハ 御 老 中 も 手 ヲ つ き 候 御 役 のよしさた仕候よし 一、 西 下 御 引 込 故 世 上 目 当 ヲ 失 ひ 候 故、 天 照 皇 太 神 の 天 の 盤 戸 ニ か く れ さ セ給ふがごとくじやとさた仕候由 一、 紀 州 唯 之 進 殿、 お れ が 御 老 中 ニ な ら ぬ で ハ 外 ニ 成 も の ハ な い と 被 申 候 よしのさた 【寛政五年八月頃〜】 一、 八 朔 ニ 越 中 守 様 御 座 之 間 へ 召 出 シ 御 目 見 有 之、 又 候 御 白 書 院 ニ て   御 目 見[ 其 後 大 広 間 へ 出 座 被 致、 其 上 ニ て ] 有 之、 直 ニ 御 退 出 被 成 候 由、 溜 詰 ハ 御 白 書 院 ニ 而   御 目 見、 其 後 大 広 間 へ 出 座 被 致、 其 上 ニ て 退 出 の 由、 然 る 処 西 下 ニ て ハ 右 之 通 り ニ て 御 三 家 方 御 同 様 ニ 御 座 候 間、 間 宮 諸 左衛門不審いたし、あの御様子ヲミてハ西下でハ始終二ノ丸へ御出被成 るであらふと申候よし 一、 柳 生、 内 心 大 よ わ り、 是 迄 何 事 も 西 下 へ 伺 候 処、 大 ニ 目 当 ち が い 候 故 勤まり申間敷とさた仕候由、併ながら一たいあの男故そのよわりを少シ も顔へ出し不申候、暮る迄ハまづつとめているが中〳〵始終ハつとまる まいとさた仕候よし 〈三八丁〉 一、杉浦庄兵衛西下の御引込ハ□きもをつぶしましたが、私一己の出世栄 辱 ハ い さ ゝ か と ん じ や く 不 仕 候 と 申 候 由、 然 る 処 二 三 日 過 吐 血 仕 候 由、 痰血ならんと申候得共、実ハ歎息のあまり□とさた仕候よし 一、 小 田 八 十 郎、 を れ ハ 越 中 様 と 同 し 事 だ、 越 中 様 ハ 余 り 御 出 情 被 成 た か ら 人 ニ お そ ね ま れ 被 成 て 御 引 込 被 成 た、 夫 で も 少 将 溜 詰 ニ 御 な り 被 成 た、をれもてふど其通り余り情勤したから人ハそねむが、掛りハ一段席

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寛政改革後の「よしの冊子」 一八八 が能なつて御膳番ニ成[さ]タ、奥の番ハ御免でもよい、てふどをれハ 越中様だと申候 ニ 付、成程愚物じやとさた仕候よし 一、 西 下 溜 詰 ニ 御 成 被 成、 御 役 付 の 御 鞍 覆 御 か ご 脇 も 両 人 ふ へ、 御 先 キ も 両 人 御 人 相 廻 し 候 ニ 付、 殊 の 外 御 立 派 ニ 御 ざ 候 由、 右 ニ 付 宮 室 を い や し うして美ヲふつべん ニ 致すとハ西下の事じやと御ほめ申候よしのさた 一、 越中様御退役ハとう〳〵京都の事 ニ 可有之、 京都ゟ御難題被仰越 ニ 付、 まづ一反越中様御引被成候方可然と 公 方 様 と 御 申 合 セ ニ て、 一 ト ま づ 御 引 被 成 候 由、 左 候 へ バ 別 し て 君 臣 和 合 ニ 御 座 候 間、 夫 な ら バ 至 極 よ い と 宗 仙 院 抔 申 候 由、 世 上 ニ 而 も 夫 な ら バ至極よいが御自分から御見切でハ力がおちたと宗仙院も申候よし 一、狂歌 市がいに小石川より水いでゝ 本尊ながし本多どふセう 口きゝし補佐もけふよりだまり詰 わけハしら川何か少将 一、 当 六 月 十 五 日、 氷 川 祭 礼 三 四 年 以 前 被 仰 出 候 町 法 之 通 り 相 守 り、 だ し 斗 り 出 候 処、 西 下 御 退 役 被 成 候 ニ 付、 手 の 裏 を 返 し 候 ご と く、 此 八 月 十五日、市ヶ谷八幡祭礼至て美ヲ尽し大まんど五本迄出し候由、神田祭 礼 も 以 前 ゟ ハ り つ は に 致 候 様 ニ と 之 事 ニ て、 此 節 諸 々 へ あ つ ら へ 結 構 ニ 出 来 可 申 由、 市 が や ニ 而 ハ 付 祭 り 抔 も 出 可 申 由、 扨 右 被 仰 出 候   天 下 の 被仰出 ニ て越中様の被仰出 ニ ハ無之候処、 越中様此節御引込被成候とて、 右 の ご と く 御 法 相 破 れ 申 候 ハ、 誠 ニ 天 下 の 御 威 勢 ヲ 損 じ、 追 従 の 閣 老 た ち、 夫 ニ 随 ふ 町 奉 行 の 大 馬 鹿 言 語 ニ 絶 し 候 事、 是 が ど ふ し て 画 一 と 可 申 哉、たとへ西下御引込以前右の御沙汰有之候共、当年ハ是非以前ノ通り な ら で ハ 相 成 間 敷 処、 右 の 通 り ニ く づ れ 候 ハ 誠 ニ な げ か わ 敷、 に く む べ きの至り也と専らさた仕候由 〈三九丁〉 一、橘宗仙院、とふかんがへてミても心細いものじや、当時の閣老方ハ吉 田公ヲ初めをれがだませばだまされる、白川公でハおだまし申ス事ハ出 来ぬ、夫だけ心細いと歎息いたし候由 一、 越 中 様 ハ 弾 正 様 ニ だ ま し ぬ か れ さ し つ た、 弾 正 様 が 御 加 増 で ほ ん の 御 老中 ニ ならしつてハたまるまいとしきりに町のもの共さた仕候よし 一、 西 下 溜 詰 ニ 御 な り 被 成 候 而 も、 御 門 々 ニ て ハ 惣 下 座 ヲ 致 シ、 か へ つ て 御 威 勢 重 く と 御 見 へ 被 成 候 由、 越 中 様 ニ ハ 御 老 中 の う ち ハ 道 の ま ん 中 ヲ 御通り被成候が、此節ハ少々御片寄被成候て御通り被成候由、成程こま かな所迄御気のつかれる事じやと御門々 ニ て感心仕候よしのさた 一、 唯 之 進 殿、 西 下 の 御 見 出 し ニ て 御 老 中 ニ 御 成 な さ れ、 追 而 西 下 武 家 執 役 ニ 御 な り 被 成、 上 ニ ち や ん と 御 扣 被 成 候 よ し、 左 様 相 成 候 へ バ 天 下 泰 平万じやクのごとく也とさた仕候由

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寛政改革後の「よしの冊子」 一八九 一、彦介、おらもわらじをはいてにげれバにげるのだが、西下で御引込だ と て 今 に げ て ハ お か し い か ら、 も ふ ち つ と 見 合 而 、 を れ ハ 元 浪 人 だ か ら たとへ此上しくぢつても、首をきられる程の事もあるまい、天にまかセ ているがよいと申おり候よし 〈四〇丁〉 一、酒井因幡守、小普請より両番へ御番入、夫ゟ御使番、日光奉行、小普 請 支 配、 御 小 性 組 番 頭、 御 書 院 番 頭、 御 留 守 居 と 十 九 年 の 間 ニ 七 度 立 身 仕 候 由、 誠 ニ 仕 合 の 人 也 と さ た 仕 候 由、 此 度 御 留 守 居 ニ 相 成 候 ニ 付 て ハ、 本家左衛門尉殿ゟ金百両被差越候由、翌日国主抔ゟ目録百三両到来、三 日 め ニ 七 十 六 両 到 来 致 候 由、 此 度 御 足 高 千 石 ハ 年 〳〵 丸 で の び 候 由、 其 上養子も本家ゟ取組千石持参の由、重々仕合冨が吹つけたとさた仕候よ し 一、 吉 野 辺 ニ 而 ハ 別 而 西 下 ヲ 御 ほ め 申 候 由、 此 度 御 退 職 ニ 付 甚 だ 御 お し ミ 申、以前の通り ニ 可相成となげき居り候由のさた 一、 西 下 御 引 込 の 事、 紀 州 様 ニ ハ 何 れ ニ も 御 立 腹 と さ た 仕 候 由、 尾 水 是 又 至て御残念 ニ 思召候よしのさた 一、 安 対 侯 閣 老 被 仰 付 候 ニ 付、 御 役 人 ハ 大 ニ 望 を 失 ひ、 越 中 殿 が 御 引 被 成 ともふ此やうな事じやと歎息仕候由のさた 一、本弾公家来四五人、深川高橋近所   公儀の請負ヲ致候町人の宅へ振舞 ニ 参 候 由、 大 造 な る 振 舞 の 由、 全 ク 田 沼 の 家 来 の 通 り ニ 相 違 な く 候 由、 何 れ 西 下 で 御 引 被 成 て ハ 御 政 事 ハ 大 ゆ る ミ、 ま づ 第 一 賄 賂 が さ か ん ニ な らふとさた仕候よし 一、御右筆ハ、何れ西下ハ御仕落があつて御しくじり被成た、こわいもの だ、あなたでさへ御しくじり被成たと舌ヲ振つておそれ居り候よしのさ た 一、 四 谷 辺 ニ て ば く ゑ き ヲ 致 候 も の 召 捕 れ 候 処、 越 中 様 御 引 被 成 候 故、 も 早 ば く ち ハ 打 候 而 も 宜 敷 と 存 候 て 打 申 候、 左 様 な ら ま だ わ る ふ ご ざ り ま すかと何ンの心付不申候 ニ 付ゆるされ候由のさた 〈四一丁〉 一、 越 中 様 ハ 厳 敷 内 ニ 御 仁 術 御 座 候 得 て、 下 情 ヲ 能 御 わ き ま へ 被 成 候 間、 ち と 御 遊 興 も 出 申 候 へ 共、 是 か ら ハ 無 理 や り ニ 万 事 き び し く 相 成、 手 ヲ つめ可申よしのさた 一、 吉 田 公 段 々 御 用 多 御 当 惑 被 成、 始 終 ハ 御 勤 ま り 被 成 兼 候 御 様 子 の 由、 大 垣 公 ハ 一 向 埒 明 キ 不 申、 殊 ニ 家 相 僻 ニ て 普 請 後 御 役 仰 付 候 ニ 付、 甚 だ 家 相 坊 主 ヲ 御 信 仰 の 由、 堀 摂 公 ニ ハ こ と の 外 顔 色 し や う す い 被 致 候 由、 是 ハ 賢 虚 の 由、 西 下 ニ 而 御 老 中 ハ 手 揃 也 と な ん ぞ ニ 付 て ハ 御 申 被 成 候 へ 共、安藤が御老中になつてなんの手揃の事があらふ、不手揃千万じやと さた仕候よし

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寛政改革後の「よしの冊子」 一九〇 一、 此 節 都 而 何 事 も 御 用 向 埒 明 キ 不 申、 進 達 有 之 候 の ミ ニ て め つ た ニ ハ 御 下知無之由、夫故御勘定奉行、御目付抔も成たけずるけ候由、西下の御 勤役中とハきついちがい、手揃ハ格別なものだと嘆笑仕候よし 一、 いづ公小普請支配の面々ヲ呼被申、 小普請の面々相対 ニ も能出情相勤、 且 又 武 芸 等 并 学 問 抔 よ く 出 情 致 候 □ 御 ほ め 詞 御 座 候 由、 右 ニ 付 小 普 請 目 ヲさまし悦ひ候由のさた 一、 小 普 請 の 面 々 抔、 此 節 も 随 分 武 芸 出 情 致 し 頃 頭 よ り も ゆ だ ん な く 申 候 付 御 座 候 而 、 以 前 と て も 何 も 相 替 候 事 ハ 無 之 候 へ 共、 一 た い 心 気 面 白 か ら ず、 上 手 ニ し て も 下 手 ニ し て も 見 て が な い、 引 立 て が な い と 申、 張 あ い ぬ け 候 ニ 付、 お の づ か ら 不 は げ ミ ニ 相 成、 頭 も 組 申 付 候 て も 自 分 か ら し て 実 ハ き ど り 間 違 お り 候 ニ 付、 た ゞ 口 で 斗 り 情 ヲ 出 せ 〳〵 と 申 候 て も、自然と双方感通致シ、ぐわいおかしく御座候と申スさた、成程西下 もきめうな御方じやとさた仕候よし 一、 本 弾 公 家 中 へ 白 川 公 御 退 役 ニ て 嘸 御 屋 敷 ニ 而 も 御 力 落 シ ニ 可 有 之 と 申 候 へ バ、 大 ニ い き や く 致 シ、 夫 ハ 御 間 違 の 事、 私 方 ニ 而 ハ 越 中 様 御 退 役 ハ 大 幸 ひ ニ 御 ざ 候、 此 以 後 ハ 勢 ひ も 只 今 迄 ゟ ハ 付 候 而 、 主 人 も 永 ク 勤 可 申と高声 ニ のゝしり候由、実説の由 〈四二丁〉 一、 松 浦 壱 岐 守 殿、 壱 年 詰 ヲ 願 わ れ 候 処、 分 知 松 浦 熊 之 介 中奥 御番 本 弾 公 の 次 男且又本弾公へも松浦ハ縁家かた〳〵熊之助取扱ひ拵へ、当年ゟ一年詰 被 仰 付 候 由、 右 の 事 ニ 付 松 浦 よ り 本 弾 公 へ 千 両 賄 賂 差 出 シ 候 由、 勿 論 熊 之介も色々貰候由、右の事、大村の類ひ相聞、夫でハ此方もたゞもをら れ ま い と 若 年 寄 京 極 抔 へ 内 々 手 を 入 聞 合 候 処、 一 年 詰 ヲ 願 不 申 候 ニ ハ 何 も 手 ヲ 入 候 ニ ハ 及 申 間 敷 由、 京 極 ゟ 挨 拶 御 ざ 候 由、 右 松 浦 ゟ 本 弾 公 へ 千 両 贈 候 義 ハ 閣 老 方 ハ 一 向 御 存 ジ ハ 有 之 間 敷 候 得 共、 参 政 方 ハ 一 統 ニ 御 存 シ 相 違 な い、 何 れ 本 弾 公 ハ は む き 上 手 ま い な い ヲ 取 ず き、 下 タ 腹 ニ 毛 の ない人じや越中様も丸でおだまされ被成たと、此節の本弾公評判甚宜し からず候由のさた 一、 此 節 ハ 御 用 部 屋 内 并   御 殿 内 ニ て ハ 本 弾 公 勢 ひ 甚 強 く、 い づ 公 ハ 何 も か も 本 弾 公 へ も た れ て 相 談 被 成 候 由、 何 れ 御 直 さ ば き と 申 事 ニ て、 加 納 本 多 姦 曲 相 つ の り 候 ハ ヽ、 い づ 公 も 段 々 へ こ た れ ら れ 可 申 由、 何 れ ニ も 心細い事じやと御役人ひそかに眉ヲひそめ居り候よしのさた 一、諸向の事もはや余程ゆるまり候由、西下でハ中〳〵ゆるまぬと思召ふ が 一 二 ヶ 月 で 夫 程 目 ニ 見 へ る や う で ハ な ら ぬ が 一 二 年 の 内 ニ ハ と ん だ 事 が出来よふと歎息仕候よしのさた 一、 安 対 公 御 老 中 ニ 被 仰 付 候 以 後 御 役 人 別 し て 無 機 嫌 の 由 の さ た、 先 達 而 病 気 の 節、 療 法 治 ヲ 請 ら れ 候 医 師 へ 月 代 願 ハ 幾 日 頃 で 出 し て よ か ろ ふ、 退 役 願 ハ 幾 日 頃 で よ か ろ ふ 抔 と 相 談 い た さ れ 候 由、 参 政 ニ て そ れ し き の 事 さ へ 自 身 ニ ハ さ バ け 不 申 候 事 故、 あ の 人 が 御 老 中 で ハ 諸 人 承 知 不 仕 候 由のさた

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寛政改革後の「よしの冊子」 一九一 一、 本 多 の 家 中 へ 西 下 が 御 引 で 格 別 弾 正 様 ニ も 御 骨 が 折 ま セ ふ、 御 用 も 多 かろふ抔申候もの御座候へバ、家中御用ハ多く候得共、中〳〵旦那めげ ハ 不 被 仕、 越 中 様 が 御 勤 で ハ 私 共 の 旦 那 や 加 納 様 抔 ハ 越 中 様 ニ あ た ま ヲ おさへられて口がきかれまセぬ、御引被成ておふ〳〵といたしましたと 申候よしのさた 〈四三丁〉 一、伊豆公へ久世ヲ御呼被成候て、其元ハ近年至て麁服いたされ、その上 竹 の 子 が さ ニ 、 わ ら 草 り 余 り と 申 セ ば い か ゞ し、 其 上 先 達 而 御 加 増 も 被 下 候 事 ニ 候 へ バ 相 応 ニ ハ 着 服 等 も 致 さ れ 候 が 宜 候、 余 り 如 何 敷 と 大 ニ 叱 られ候よしのさた 一、 若 君 様 被   仰 出 ニ 付、 御 側 御 小 性 等 出 来 候 由、 西 下 御 引 後 差 た る 御 事 もまづ無之候へ共、此度の御小性の内、平岡ハ至て不宜ものゝ由、美濃 守も全たい持あましたるものゝ由、仲間の向きも宜しからず、何れ勤ま り 兼 可 申 人 物 の 由、 尤 わ る き も の 故 は き 出 さ れ 候 哉 難 斗 候 へ 共、 と か く 西 へ ハ よ き も の ハ 已 前 遣 わ さ れ ず 候 ニ 付、 又 々 此 節 以 前 の 風 ニ 相 成 候 や、西下御勤中ならこの様な事ハ有まいとさた致し候よし 一、 中 奥 御 番 所 前 ニ て 溜 詰 ハ 一 通 り ざ つ と 弁 義 斗 り 致 さ れ 候 得 共、 西 下 ニ 而 ハ 左 様 ニ 無 之、 御 丁 ね い ニ 御 弁 義 も 有 之、 且 又 時 候 の 事 抔 被 仰 候 ニ 付 御番衆何れも有難 狩 (ママ) 候由、都て殿中西下の御評判けしからず宜しきと申 候さたの由 一、 武 芸 け い こ 所 抔、 諸 々 共 ニ 出 候 も の 大 ニ げ ん じ 候 由、 い く ら 出 情 し て も是からハ張合がない、情ヲ出すハむだと申候もの多ク御座候由、武芸 の師匠抔大 ニ 力ヲ落シ候由のさた、尤諸方一統のよし、実説なり 一、 米 直 段 追 々 下 直 ニ 相 成 候 由、 然 る 所 諸 色 直 段 引 上、 綿、 木 綿、 油、 大 小豆、 味噌、 酒、 セうゆ等、 日々上り候由、 其内、 油、 酒、 セうゆハ日々 少 々 ヅ ヽ 直 段 引 上 ケ 候 由、 武 家 大 ニ こ ん き う 可 仕 由、 畢 竟 上 ニ 而 も 御 セ わ行届不申故の事、西下で御出被成ぬでハどふでこんな事がはじまろふ とおもつた、どふしていづ殿抔が細かに心付ものだ、本多ハ手前勝手斗 り、 其 下 ニ 付 候 町 奉 行、 御 勘 定 奉 行 も か ん じ ん の 上 か う ご か ぬ か ら 精 ヲ も ん で も し か た が な い、 か ん じ ん の 御 切 米 時 分 ニ 是 で ハ つ ま ら ぬ と 小 言 ヲ申候よし 〈四四丁〉 一、 御 切 米 御 張 紙、 西 下 御 勤 中 ニ 候 ハ ヽ、 四 十 八 九 両 ニ も 出 可 申 候 へ 共、 此 節 で ハ 余 り セ わ や き て が な い 故、 四 十 二 三 両 ニ も 可 有 之 候 由、 西 下 御 引込で何も有難い事ハない、せめて御はり紙でもよくでるが有難いが合 点ゆかぬとさた仕候よし 一、 福 嶋 左 兵 衛、 近 々 京 都 へ 出 立 候 由、 諸 事 京 都 ニ て、 御 取 〆 り 向 水 原 近 江 守 同 様 ニ と 被 仰 渡 候 由、 水 原 ハ 惣 た い 取 扱 不 宜 候 処、 右 同 様 ニ と ハ 如 何 の こ と、 御 右 筆 抔 へ 承 合 候 而 も、 ろ く 〳〵 お し へ も 不 仕、 且 又 御 老 中 方へ伺候て宜哉、其所も斗り難ク、中〳〵恐れ居り候由、西下御勤の節 ハ、 遠 国 奉 行 出 立 の 砌 ハ 御 屋 敷 へ 召 候 て 御 逢 被 成、 御 念 頃 ニ 勤 方 御 お し

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寛政改革後の「よしの冊子」 一九二 へ も 有 之 候 ニ 付 勢 ひ 宜 候 処、 是 か ら ハ 中 〳〵 左 様 の 事 も 有 間 敷、 張 合 ぬ け、 何 ヲ め あ て ニ 勤 た ら よ か ろ ふ、 只 同 役 相 談 の 外 ハ 有 ま い と 福 嶋 も こ まりおり候よしのさた 一、御張紙四十一両、そふであらふとおもつた、とても有難いめハ出まい とおもつたと力ヲおとし候よし 一、 先 日 中 御 役 替 御 番 入 等 御 ざ 候 処、 何 れ も 評 判 宜 敷 由、 右 ニ 付 西 下 で 御 退役でもまだ御政事ハ難いとさた仕候よし 一、 根 岸 此 間 西 下 へ 罷 出、 な ん で も 十 分 ニ 存 寄 可 申 出 と 存 込 罷 出 候 処、 大 ニ 相 違 致 シ、 中 〳〵 い け ぬ 〳〵、 格 別 ち が つ た も の、 を れ ら が 歯 ハ た ゝ ぬ、よつほど違つた御方じや、恐入たものだと賞歎仕候よしのさた 一、西下白川へ御出でハならぬ、御政事ヲ被成ぬでも江戸にさへ御出なさ るれバよい、来年御暇御差留でもあれバ世間のひゞきによいとさた仕候 よし 一、 根 岸、 佐 渡 奉 行 ニ 相 成 候 節 ハ 権 門 流 行 の 時 分 の 由、 併 根 岸 ハ 利 口 も の、 外 々 江 も 能 立 入 候 ニ 付、 漸 二 百 両 位 ニ て 権 門 相 済 候 由、 御 勘 定 奉 行 ニ 相 成 候 ハ 七 月 の 由、 夫 で も 定 式 と て 十 両 程 懸 り 候 由、 其 後 ハ 定 式 も 何 も無之、壱銭も懸り不申候よしのさた 〈四五丁〉 一、 蜷 川 相 模 守 御 小 性 頭 取 ゟ 新 番 頭 ニ 相 成 候 節 ハ、 少 シ 退 出 さ れ 候 気 味 ニ て、 い さ ゝ か 遣 ひ も の ニ も 不 及 候 処、 夫 で も 水 野 田 沼 ニ て 五 十 両 程 入 候 よしのさた 一、御政事向なんのかのと申候ても、少ヅヽハくづれ申候由、来年白川へ でも御出なさつたら是非くづれ可申由、是迄ゆび折の御役人たちどの顔 ヲ見候 而 も不機げん心底がおもしろくないとミへたとさた仕候よし 一、戸田采女公御勝手掛りニて本多公御勝手掛り御免被蒙 仰 候 ニ 付、 大 ニ 世 上 相 悦 び、 是 で ち と 心 持 ヲ 直 し 候 と 一 統 ニ 相 ふ く し 候 よし 一、 中 川 勘 三 郎 抔 も 一 向 お も し ろ か ら ず 候 ニ 付、 も ふ 引 こ も ふ か と 存 候 へ 共、夫でハ西下御引故勤まらぬとさた御座候も残念故、こらへ〳〵てお り 候 処、 安 藤 御 老 中 ニ な ら れ 候 ニ 付、 是 で ハ 中 川 も 又 勢 ひ が つ く で あ ら ふ と 安藤ハ中川のし りとなれハなり 評 判 致 シ 候 処 で ひ よ い と 引 込 ふ か す れ バ 安 藤 が 御 老 中 ニ なつたのもをれが引込□め□ハよいと中川申おり候由のさた 一、 橘 隆 庵、 筑 州 よ り 九 日 ニ 罷 帰 候 由、 あ の 方 ニ 而 の 手 当 馳 走 □ 出 立 以 前 ゟ 俄 ニ 宜 相 成 候 由、 扨 隆 庵、 当 春 江 戸 ヲ 出 立 致 候 節、 黒 田 よ り 金 百 両 到 来 致 シ、 此 度 筑 州 ヲ 罷 立 候 節、 城 内 呼 被 申、 隆 庵 定 紋 付 の 小 袖 羽 二 重 ニ て三ツ、白むく三ツ、八丈のは織三ツ相贈被申、扨極内々とて金三百両 贈 ら れ 候 由、 江 戸 へ 着 候 日、 為 祝 儀 銀 百 枚 ニ 鮮 鯛 一 折 宗 仙 院 へ 銀 二 十 枚 ニ 鮮 た い 一 折 黒 田 ニ 被 居 候 女 隠 居 と や ら ゟ 隆 庵 へ 千 疋 ニ 干 鯛 相 贈 被 申 候

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寛政改革後の「よしの冊子」 一九三 由、 家 来 へ も 国 許 ニ て 銀 子 十 枚、 或 ハ 五 七 枚 宛 呉 ら れ 候 由、   公 儀 よ り も金弐枚時ふく拝領致候由、けしからぬ事、大名と云ものハ余り埒もな い 事 ヲ す る も の だ と さ た 仕 候 由、 但 右 三 百 両 ハ 弁 儀 致 候 得 共、 達 而 と 申 事 故、 先 受 納 ハ 致 候 へ 共   公 儀 へ 伺 候 て 其 御 差 図 次 第 ニ 致 候 と 申 居 り 候 由、橘ハきめう ニ 金ヲ吹付るとさた仕候よし 〈四六丁〉 一、 下 総 辺 水 鷹 の 場 所 百 性 の 女 子 供 江 戸 へ 袖 乞 ニ 罷 出 候 由、 其 う た ニ な ぜ に□かい衆髪ゆわうやらぬ、越中様の御触でわらたバねと□□候よしの さた 一、 此 間 立 花 出 雲 殿 初 対 客 ハ 安 対 公 よ り 多 ク 出 候 由、 殊 の 外 丁 ね い ニ て、 未ミめいの内ハ供廻り等中ノ口へ廻シ、夫々の名ヲ家中の足軽等罷出呼 つ ぎ 候 由、 以 下 の も の 抔 御 対 客 ニ ハ 表 御 門 ゟ 罷 出、 御 逢 日 ニ ハ 裏 門 ゟ 罷 出 候 振 合 ニ 候 へ 共、 如 何 可 仕 哉 と 用 人 へ 承 合 候 処、 何 れ 共 是 迄 の 通 り 御 勝 手 次 第 ニ 被 成 候 様 ニ と 挨 拶 致 し 候 由、 京 極 師 匠 番 の 由 ニ 候 へ 共、 何 か けしからずていねい ニ 候よし 一、 先 達 而 中 御 番 入 致 候 も の、 初 泊 の 晩 ラ ケ ン ト 唱 へ 候 て イ ン キ ヤ ウ を 出 さセ、ろうそく抔ヲとぼし候て、衆人見なぶり候処、西下御勤役以来ハ 相恐れやめおり候処、此間御番入仕候もの御ざ候節、もはや越中殿が御 引 被 成 た か ら 始 て も よ か ろ ふ と 申 候 て 始 め 候 由、 右 ニ 付 去 年 御 番 入 致 ラ ケ ン を ま ぬ か れ 候 も の も つ い で ニ ラ ケ ン ヲ 請 て 大 ニ め い わ く 致 し 候 由 の さた、二番組抔ハろうそくヲ両方ゟともしきつとラケン請候由のさた 一、 先 達 而 越 中 様 御 退 役 後 間 も な き 内 加 納 遠 江 殿 が 平 岡 ミ の 殿 の 宅 へ 振 ま い ニ 被 参、 酒 宴 の 後 大 げ ん 気 ニ て、 給 仕 ニ 出 候 女 の 手 抔 ヲ ね じ ら れ、 大 さ わ き ニ て、 仕 ま い ニ ハ 女 共 恐 れ 給 仕 ニ 出 兼 候 由、 其 節 西 下 御 退 役 間 も なき ニ つまらぬ事とさた仕候よし、是も実説のよしのさた 一、 駒 場 御 成 の 節、 壷 内 式 部 組 大 沢 主 馬 ヲ 西 下 ニ て 御 呼 出 し 御 逢 被 成 候 由、 誠 ニ 存 ジ が け も な き 事 と 忝 な が り 悦 び 候 由、 組 ニ て ハ 彼 是 そ し り 候 よしのさた 一、 一 橋 ニ て 神 田 橋 御 屋 敷 御 拝 領 の 節、 曽 丹 公 家 中 住 居 向 建 具 其 外 等 残 ら ず 大 方 引 払 あ[ け ]ぎ ら ず ど ろ ニ 致 シ 引 払 候 由、 一 橋 ニ て 是 ハ 余 り な る 事 と申候へバ、鳥居の方 ニ て 越 中 様 の 御 差 図 被 挨 拶 致 候 ニ 付、 一 橋 ニ 而 も し か た な く 差 置 れ 候 よ し の さた 〈四七丁〉 一、 此 度 大 火、 松 平 出 雲 殿 火 元 ニ 付、 大 ニ 恐 れ 入 被 申 候 由、 当 日 并 翌 朝 迄 父子共食事不被致候由、 右 ニ 付家老罷出、 何とぞ御膳召上り候様申候処、 中〳〵飯抔たべ候存寄無之候、此度の出火武家町家ヲ焼候のミならず   御成の日出火致し候事、誠ニ以恐入、中〳〵飯ヲくい候処へ及び不申と 戦々兢々と致し被申候よしのさた 一、 此 度 出 火 の 節、 甚 盗 賊 多 ク 逃 候 人 の お ひ つ ゞ ら を う し ろ よ り う ば い

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寛政改革後の「よしの冊子」 一九四 取、 或 ハ 其 か つ ぎ 候 人 ヲ う ち た ゝ き 横 道 ニ う ば ひ 取 候 た ぐ ひ、 又 ハ 河 岸 抔 へ 出 し 置 候 道 具 ヲ う ば い 候 抔、 其 後 も 小 屋 懸 へ と う ぞ く 入、 以 て の 外 そ う 〴〵 敷 盗 賊 充 満 致 候 由、 且 又 材 木 初 め 職 人 の 手 間 等 大 ニ 高 直 ニ 相 成、 平 常 の 品 々 迄 も 格 別 ニ 直 段 引 上 候 由、 松 板 一 枚 ニ 付 壱 匁 の 処、 壱 匁 七 八 分 ニ 引 上 候 由、 越 中 様 御 勤 役 ニ 候 ハ ヽ 御 せ わ も 可 有 之 候 へ 共、 町 奉 行も折捨置候よしのさた 一、 中 村 勘 三 郎 方 顔 見 世 狂 言 出 来 不 申 候 由、 金 元 ヲ 二 三 人 打 こ ろ し 候 由、 右 ニ 付 勘 三 郎 大 ニ 町 奉 行 ニ 而 叱 ら れ 下 死 人 も 差 出 シ 候 上、 勘 三 郎 な だ い けづられ改名仕候よしのさた 一、神田橋御屋形、弐間四方の御火の見出来、右の上ゟ日々中納言様下タ 町 ヲ 御 見 お ろ し 被 成 候 由、 且 又 御 隣 家 榊 原 ハ 御 目 の 下 タ ニ 見 へ 候 ニ 付、 榊 原 ニ 而 ハ 上 ミ 向 初 め 藩 中 大 ニ め い わ く 致 シ、 扨 々 御 三 卿 様 の と な り ニ ハこまりきつたと申おり候由のさた 一、 岡 田 清 助、 先 日 西 下 へ 罷 出 候 帰 ニ 彦 助 方 へ 立 寄、 成 程 御 役 ハ 勤 ぬ も の だ、 西 下 も さ び し い、 御 役 中 と ハ 格 別 ち が つ た と 咄 候 由、 右 ニ 付 清 助 ハ 腐儒俗儒、馬鹿な男だと人々わらいそしり候よしのさた 一、 松 平 お き の 守 様 被 為 召 候 由、 右 ニ 付 大 方 越 中 様 の 御 跡 の 御 老 中 な ら ん か、 あ な た が 御 老 中 ニ な ら し つ た ら 変 な 事、 天 地 が ひ つ く り か へ る で あ らふ、ばからしいとさた仕候よし 一、 此 節 諸 色 高 直 ニ 相 成 候 処、 大 火 後 ま す 〳〵 直 段 引 上 ケ 申 候 由、 尤 大 火 後町触も早束相廻り、材木等且又職人手間等引上不申様、厳敷御書付抔 出 候 由 ニ 候 へ 共、 一 向 取 用 ひ 不 申 候 由、 い く ら き び 敷 御 触 出 候 而 も、 成 程 任 ハ 其 人 ニ 寄 候 事 ニ て 用 ひ 用 ひ ざ る 事 有 之 候 由、 夫 ニ 付 而 も 西 下 の 御 事したい奉り候由のさた 〈四八丁〉 一、 火 事 の 節 下 タ 町 ニ て 車 ニ 荷 ヲ 付 引 あ る き 候 由、 右 ニ 付 人 も 難 義 致 し、 別 而 騒 動 こ ミ あ い 候 ニ 付、 車 引 も 車 ヲ 捨 て に げ 候 由、 道 具 も 残 ら ず 紛 失 仕 候 由、 筋 違 外 抔 ニ 而 も 車 長 持 抔 引 出 し 候 由、 下 タ 町 ニ 而 ハ 諸 々 大 八 車 ヲ引候由のさた 一、 此 度 回 向 院 ニ て 角 力 御 座 候 由、 右 角 力 ノ 名 面 書 キ 候 上 ニ 、 或 ハ 雲 州、 或ハ奥州、或ハ江戸抔と相しるし候が、瀧ノ尾荒汐と申候角力取のうへ ニ 泉 と 出 所 ヲ し る し 御 座 候 由、 い づ ミ ハ 本 多 殿 の 領 分 な る 由、 本 多 殿 ニ も か ゝ へ の 角 力 御 座 候 事 兼 々 外 ニ て も 評 判 御 座 候 が、 此 節 泉 と 顕 然 ニ 認 候 ハ 余 り 如 何 敷 事、 先 年 九 紋 龍 ハ 周 防 守 殿 抱 ニ 御 座 候 処、 角 力 骨 板 ニ 周 防 殿 領 知 の 名 ハ 決 し て 出 し く れ 候 ハ ぬ 様 ニ と 申 参、 他 国 の 名 ヲ 書 □、 以 前 の 御 時 節 ニ て さ へ 右 の 通 り ニ 御 座 候 処、 此 節 泉 と 差 出 し 候 ヲ し ら ぬ ふ りハ余りな事、是もとんだ弾正どのだとさた仕候よしのさた 一、 西 下 ハ 御 家 中 一 統 ニ 相 和 し 居 り 候 様 子 ニ て、 先 達 而 中 対 客 御 登   城 ま へ ニ 出 候 御 は た 本 抔 寄 々 の 咄 合 ニ も 御 門 番 の 足 軽 よ り し て 御 取 次 并 公 用 人 迄 い つ た い の き ま り 同 じ や う ニ 相 見 へ、 惣 た い 口 上 向 挨 拶 丁 ね い の

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寛政改革後の「よしの冊子」 一九五 所、 都て上下共一統 ニ 相ミへ申候由、 其外の権家ハ参候て見くらべ候 ニ 、 ど こ 〳〵 も 人 々 む き 々 (ママ) ニ て 不 都 合 の 由、 越 中 様 の 自 然 と 御 徳 じ や と 其 セ つさた仕候よし 一、 此 間 下 タ 町 火 事 の 節、 御 老 中 方 火 事 場 へ 御 出 ニ 付、 途 中 大 騒 動、 大 ニ 邪 魔 ニ 相 成 候 由、 以 来 ハ ど う ぞ 御 老 中 方 抔 御 出 ハ な き や う ニ し た い も の だとさた仕候よし 一、 橘 隆 庵、 正 金 四 百 両 ニ 銀 百 枚 黒 田 ゟ 貰 御 ほ う び 金 弐 枚 頂 戴 致 候 へ 共、 道中入用斗りが三百七十両相懸り罷帰候て諸々へのミやげ家来へのほう び等一向引足不申、少々ハ足前も入候位の由、けしかららぬ事とさた仕 候由、法印の取候銀弐拾枚がのこれバよい、めづらしい所ヲ見た斗りが 徳 ニ なつたと申居り候よし 〈四九丁〉 一、 殿 中 向 差 た る こ と ハ 無 之 候 へ 共、 御 広 敷 向 ハ 段 々 以 前 ニ 替 り 威 勢 つ き 候 方 の 由、 ま だ 安 藤 長 左 衛 門 斗 り、 其 外 ハ 約 ニ 立 不 申 由、 表 使 抔 追 々 り きミ出し候由のさた 一、 神 田 橋 へ 先 日   御 成 の セ つ 大 火 有 之 候 処、   還 御 お そ く 諸 人 大 ニ こ ん き う 仕 候 ニ 付、 御 三 家 方 ゟ 御 老 中 江 尻 参 火 事 と 申 さ バ、 早 束   還 御 も 可 被 成 処、 御 老 中 方 御 不 取 斗 ひ と 大 ニ 御 き め 被 成 候 ニ 付、 御 老 中 方 大 め い わくこまりおられ候よしのさた 一、 榊 原 中 屋 敷 類 焼 ニ 候 へ 共、 上 屋 敷 の 御 隣 へ   御 成 ニ 付、 壱 人 □ 門 外 へ 人 差 出 □ □ 相 成 不 申、 殊 の 外 難 渋 仕 候 由、 役 人 抔 大 ニ う ろ た へ 内 証 ニ て さ ハ ぎ お り 候 由、 何 れ も 火 事 と 申 候 ハ ヽ、 神 田 橋 御 門 ハ 往 来 相 成 候 様 ニ 差 略 可 有 之 候 処、 其 儀 無 之、 榊 原 ニ 限 り 不 申、 諸 人 大 ニ こ ま り 候 由、 御 目付抔不取斗ひじやとさた仕候よし 一、 此 節 御 小 納 戸 三 人 被 仰 付 候 内、 亀 井 す る が の 守 倅 ハ 一 向 何 の 御 役 ニ も 立申間敷由、 畢竟亀井御はぶり宜しき ニ 付ついしやうなりとさた仕候由、 御 小 納 戸 ニ 出 た き も の ハ 出 し て や ろ ふ と 本 多 公 御 申 被 成 候 ニ 付、 め つ た ニ 本 多 へ わ い ろ 行 ひ 候 も の 御 ざ 候 由、 大 ニ 本 多 公 此 節 取 こ ま れ 候 よ し の さた 一、 先 月 の 大 火 ニ 付、 下 谷 御 成 道 辺 武 士 屋 敷 町 屋 敷 共 ニ 火 除 地 ニ 相 成 候 趣 し き り ニ 取 さ た 仕 候 由、 右 ハ 筋 違 外 河 岸 ニ 材 木 ヲ 多 ク 立 置 候 故、 火 勢 高 く材木のうらへつき柳原内へ飛火仕義ハ、先年より火事巧者のものしい て 申 居 候 処、 材 木 の 御 沙 汰 ハ 無 之、 武 士 共 ニ 地 面 追 立 ニ 相 成 候 ハ、 大 な る 間 ち が い の 事、 何 れ 西 下 で ざ い ヲ 御 取 不 被 成 候 事 故、 ヶ 様 な 事 ニ も 趣 意の間違が多ク、末〳〵のもの迷惑致候事多く御ざ候よしのさた 〈五〇丁〉 一、 諸 向 目 立 候 程 ニ ゆ る ま り 候 事 も 無 之 候 へ 共、 何 れ 座 元 の な き 芝 居 ヲ 見 候 様 な る 事 ニ 而 大 き ま り の 処 ぬ け も 有 之、 且 又 人 の 心 持 も め あ て た ち 不 申 候 気 味 御 ざ 候 ニ 付、 こ ま つ た も の と ひ そ か に 顔 ヲ し か め た も の 多 く 御 座候よしのさた

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寛政改革後の「よしの冊子」 一九六 一、 石 川 将 監 ヲ ロ シ ヤ 人 江 こ く は く の 取 扱 致 し、 ヲ ロ シ ヤ 人 甚 だ 日 本 ヲ 恨 ミ 候 由、 交 易 ニ 参 候 医 者 右 の 趣 申 候 由、 併 是 ハ 間 違 ニ 而 左 様 ニ ハ 無 之 候 へ 共、 将 監 情 こ わ ニ て、 支 配 向 抔 の 申 候 事 ハ か ミ つ け 取 用 ひ 不 申 候 由、 蝦夷へ来り候ヲロシヤ人、南風ヲ待候て久敷逗留致し居り候得共、東北 の 風 の ミ ニ 而 出 帆 い た し 兼 候 由、 然 る 所 少 々 南 風 吹 候 ヲ 幸 ひ ニ 出 帆 致 候 様 申 候 得 共、 ヲ ロ シ ヤ □ □ □ □ 東 北 ニ な り 可 申 と 請 合 不 申 処、 南 風 シ キ リ ニ 吹 候 ヲ 幸 ひ ニ む り ニ 追 立 や り 候 由、 船 中 大 風 ニ □ 大 ニ こ ま り 候 由、 右 ニ 付 全 た い 日 本 人 ハ な さ け な い、 将 監 の と が ニ ハ な ら ね ど 夫 で ハ 一 た い 日本の義がたゝぬ、将監ハ大ていヲのミこまぬ男だと評判不宜、日本の 国賊也とさた仕候由、其上南部の船頭の子、ゑぞへ先年吹ながされ、此 節 松 ま へ 江 参、 又 々 ゑ ぞ へ 帰 候 ニ 付、 何 ぞ 日 本 の 産 ヲ ゑ ぞ へ 持 参 度 と 申 候処、漸ク板〆のちりめんヲ四尺遣し候由、あまりなる致方と取さた仕 候 由、 大 学 ハ 埒 明 キ 不 申、 只 石 川 の ミ 大 ニ わ る き い た し 方 と さ た 仕 候 よ し 一、 先 月 下 タ 町 辺 大 火 の 節、 日 本 橋 辺 小 田 原 町 辺 ニ て 一 二 ヶ 所 西 下 の 御 手 勢相働き消口取候処御さ候由、小田原町の名主の倅、西下の御火消と承 り、 自 身 出 情 致 シ、 水 抔 く ミ 殊 の 外 相 働 き 候 由、 右 ヲ 池 田 筑 後 守 見 候 て、右倅ヲ賞美致シほめ候由のさた、中〳〵名主の倅抔水くミ候事ハ無 之処、西下の火消はたらき候故右のごとく也さた仕候よし 〈五一丁〉 一、 聖 堂 学 問 の 御 き ん ミ 抔 別 而 張 合 ぬ け の し た 事 で、 さ て 〳〵 力 の な い 事 じやとさた仕候よし 一、 御 番 入 学 問 の 御 吟 味 ニ 、 清 助 彦 助 抔 出 席 抔 致 シ 学 問 の 善 悪 ヲ 老 職 方 申 上 候 事 ハ、 西 下 御 勤 中 ニ も 相 替 り 候 事 ハ 無 之 候 得 共、 何 と や ら 申 上 候 て も 基 本 な き 様 ニ て 表 向 申 上 候 の ミ の 事、 一 通 り 勤 向 の 様 ニ て 甚 た お か し く張合ぬけ候由、ハヽハヽ〳〵と声なく笑ひ候由、どふした事か、諸向 共 ニ 一 向 き ま り 無 之、 む り ニ き ま り 候 も 誠 ニ 画 一 と 申 斗 り、 さ て 〳〵 お かしい事じやとさた仕候よし 一、 西 下 御 評 判 ハ ま す 〳〵 宜 き 由、 此 間 浜 御 成 の 節 裏 門 へ 御 詰 被 成 候 処、 還御のセつ被為   召候て   上意ヲ被蒙候由専らさた仕候よし 一、 此 間 中 山 の 手 辺 の 内 牛 込 ゑ の 木 町 赤 城 近 辺 其 外 四 谷 辺 こ と の 外 物 そ う、□□□付少々ヅヽのぼやく御ざ候由、はセ川の組つきまといめつた ニ 召 捕 候 へ 共、 ほ ん の も の ハ 取 不 申 候 由、 如 此 物 騒、 殊 ニ 当 冬 度 々 火 事 御 ざ 候 ハ、 全 ク 世 上 ゆ る ま り 候 由、 全 た い 恐 れ 申 候 も の 無 御 ざ 候 ニ 付、 自然とゆるまり候由のさた 一、御目付間宮諸左衛門惣たい評判宜ク御座候よし 一、 中 川 勘 三 郎、 近 頃 め つ た ニ 小 言 ヲ 申 候、 石 川 将 監、 を れ が ゑ ぞ へ い つ て き た 内 ニ 、 貴 様 ハ 大 分 小 言 い ゝ ニ な つ た と 笑 ひ 候 よ し、 西 下 御 引 故 ニ 中 川 諸 事 面 白 ク 無 之、 む し や う ニ 小 言 ヲ 申 ち ら か し と て も し く ぢ る か ら 存知のまゝ小言でもいふがよいと少々じれ申候気味御座候よし

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