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博 士 ( 理 学 ) 日 下 部 り え

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 日 下 部 り え

     学 位 論 文 題 名

Structure , Expresslon , andTranSCriptionalRegulation OftheActinGeneFamilyinMedaka 〇 イ y2 え 硲 彪 あ シ ¢ s      ( メ ダ カ ア ク チ ン 遺 伝 子 フ ァ ミ リ ー の 構 造 と      発 現 お よ び 発 現 制 御 機 構 に 関 す る 研 究 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  細胞骨格や筋繊維を構成する主要なタンパク質であるアクチンは細胞骨格アクチンと筋肉 ア クチ ンの2種 類に大 別され、それぞれ別の遺伝子にコードされている。脊索をもたない無 脊椎動物では両アイソフオームのアミノ酸配列は区別できないほどよく似ている。一方脊索 動物の筋肉アクチンは、細胞骨格アクチンとは大きく違っており、両者を特定のアミノ酸位 置において区別することが可能である。哺乳類では筋肉アクチンがさらにニつの横紋筋(ば 骨 格筋 、 心筋 )ア クチンとニつの平滑筋( およぴァ)アクチンの計4つに分かれて進化 し、よく似たタンパク質をコードしているにも関わらず、それぞれ異なる筋肉組織に特異的 に発現し、独立な転写調節を受けている。このように筋肉アクチン遺伝子が重複し、異なる 発現調節機構下に置かれるとぃう現象|ま、脊椎動物の複雑な体制の進化と大きく関わってい る と考 えら れる 。こ のよ うな 顕著 な組 織特 異的発 現を示す筋肉アクチン遺伝子フんミリー は、組織特異的遺伝子発現制御機構の格好の研究系のーつである。脊椎動物における筋肉ア ク チ ン 遺 伝 子 の 発 現 調 節機構 につ いて は1980年 代の 初め から 多く の研 究が なさ れてき た にも関わらず、主に研究に用いられてきた哺乳類や鳥類では個体レベルでの転写調節機構の 詳 細な 解析 が困 難で あっ たた め、 培養 細胞 を用い た一面的・部分的な解析にとどまってい た。本研究では発生過程における遺伝子発現制御機構の解析が個体レベルで可能な実験系と してメダカOlyzias latipe.sに注目し、アクチン遺伝子フんミリーの単離と構造解析を行い、

さ ら に メ ダ カ 胚 へ の 外 来 遺 伝 子 導 入 技 術 を 駆 使 し て 発 現 調 節 機 構 の 解 析 を 行 っ た 。   メダ カ稚 魚cDNAラ イブ ラリ ーお よび ゲノ ムDNAライ ブラ リー から 二種 類のア クチンcDNA お よび 二種 類の アク チン遺伝子をコードするゲノムDNA断片を得、全塩基配列を明らかにし た 。cDNAの ー っ は 、 細 胞骨格 アク チン(OICA1) をコ ード して おり 、も う一 方のcDNAお よ び ゲノ ムDNA断 片のー っは 、筋 肉ア クチ ン(OIMAI)を コー ドし てい た。 もうー つのゲノム DNA断 片はOIMA1とは 異な る筋 肉ア クチ ン遺 伝子を 含ん でお り、OIMA2と 名付け られた。分 子 系統 学的 解析 の結 果、OICA1は哺 乳類 のp細胞骨 格ア クチ ンに 最も よく 似て おり、OIMA1 とOIMA2は 哺乳 類のロ 横紋筋アクチンに最もよく似ていることが示された。また脊椎動物に 複数存在する筋肉アクチン遺伝子は、脊椎動物が他の脊索動物から分岐した後で、単一の祖 先 型 筋 肉 ア ク チ ン 遺 伝 子 が 重 複 を 繰 り 返 し て で き た こ と が 推 察 さ れ た 。   次に初期発生における遺伝子発現パターンをホールマウント伽situハイブリダイゼーショ

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ン法および 発生段階 特異的RT・PCR法により明らかにした。OIMA1は体節に由来する骨格筋お よび 頭 部の 骨 格 筋で の み発 現 す る骨 格 筋ア ク チ ン遺 伝 子 であること が示され た。一方 、 OIMA2は骨格筋お よび心筋 で特異的 に発現す ることが 明らかにされた。両者ともに体節の形 成に先んじ てわずか ながら発 現してお り、筋肉 の分化に ともなって 急激に発 現量が上 昇し た。このよ うな発現 パターン は哺乳類 ・両生類 でみられ るものに類似している。OICA1は発 生過程を通じて胚全体で発現がみられた。

  発現パター ンの異な るニつの 筋肉アク チン遺伝 予OIM.Aj、のA仏2の発現制御機構の比較 解析を目的 として、 両者の転 写開始点を決定したうえで、転写調節領域の配列を比較した。

のM.AヱとのM.A2では第…一イントロンや転写開始点の位置は似通っているものの、配列その ものはあま り似てい ないこと がわかった。両遺伝子共に転写開始点の上流には、他の脊椎動 物で 筋 肉特 異 的 転写 に 重要 なEbox、CArGboxなどの 転写因子 結合モチ ーフが多数 存在する が、その配 置は両者 間でも、 他の脊椎動物のアクチン遺伝子のものとも保存されていなかっ た。

  両遺伝子の 筋特異的 転写に必 要なシス調節領域を明らかにするため、筋肉アクチン遺伝子 上流領域と 緑色螢光 夕ンパク 質(GFP)遺 伝子の融 合遺伝子 をメダカ受精卵に顕微注入し、

螢光 顕 微鏡 を 用 いて 発 現を 観 察した。 転写開始 点の上流1430bp(のM.Ai)ま たは4096bp

(のA仏2)をGFP遺伝子につないだ融合遺伝子を顕微注入した胚では、筋肉特異的なレポータ ー遺伝子の 発現が初 期発生を 通じてみ られた。 また、5 非翻訳領域に含まれる第一イント ロンは組織 特異的転 写を活性 化する機能をもっことが分かった。次に上流領域のさまざまな 部分を欠失 させる、 あるいは 塩基置換 を導入す ることに より、転写 調節に重 要な領域 を調 べ、以下のような結果を得た。

  〇mMJの 骨 格 筋特 異 的な 発 現には 転写開始 点の上流 約1kbpが必要 十分である 。MAleと名 付けた―949か ら−662まで の領域とP1と名付け た−421から −201までの 領域がエン ハンサ ーとして働 き、この ニつのエ ンハンサ ーの協調 的な働き が骨格筋特 異的な発 現に必要 であ る 。 ま た 、MAleに 存 在 す る3つ のEboxのう ち 上流 の2つ のEboxと他 の 未解 明 の 配列 の 相 互作用がこ のエンハ ンサーの 強い活性に必要であると考えられた。また、Plの塩基配列はフ グ骨格筋アクチン遺伝子ロ・Sたjの上流のほぼ同じ位置に保存されており、魚類に共通な転写 調節機構の存在が示唆された。

  のMA2の 心 筋 お よ び 骨 格 筋 特 異 的な 発 現に は 転 写開 始 点 の上 流520bpが 必要 十 分で あ る。―520から ー174までの 領域は強 い発現に 必須なエ ンハンサ ーであり、  MA2eと名付け た。 ま た−140に 位置 す るCArGboxも 筋 特異 的 発現 に 必 須で ある。MA2eに 唯―一含ま れる Eboxに変異をく わえると 、心筋・骨格筋両方で転写活性が大幅に下がった。他の脊椎動物で の研究では 、Eboxに結合 するbHLH型の 転写因子 の存在が 心筋では 明らかにさ れておら ず、

心筋におけ るEboxの必要 性は現在 議論の的 となって いる。本 研究により 、Eboxが心筋 での 筋 肉 ア ク チ ン 遺 伝 子 の 発 現 に 必 要 で あ る こ と が 生 き た 胚 内 で 示 さ れ た 。   骨格筋アク チン遺伝 子のエン ハンサーと心筋アクチン遺伝子のエンハンサーを交換して他 方の遺伝子 のプロモ ーターに 結合すると、エンハンサーが由来する遺伝子の発現パターンに 合致する転 写活性の 上昇がみ られた。このことから、これらのエンハンサーは、別の筋肉ア クチン遺伝 子のプロ モーター にも作用して骨格筋、あるいは心筋での転写を活性化すること がわかった。

  以上の研究により、1)アクチン遺伝子フんミリーの構成が魚類と哺乳類や鳥類との間で非 常によく保 存されて いること 、2)骨格筋およぴ心筋におけるアクチン遺伝子の発現には、E

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box、CArG boxなど既知の転写調節配列に加え、これまで哺乳類や鳥類で明らかにされていな い転写調節配列も重要であり、これらの複雑な組み合わせにより遺伝子発現制御が行われて いること、3)個体レベルで遺伝子発現制御機構を解析する系として、メダカが非常に有用で あること、が示された。本研究の成果は、脊椎動物における筋肉特異的遺伝子発現制御機構 お よ び そ の 多 様 性 を 解 明 す る 上 で 重 要 な 知 見 を 提 供 す る も の で あ る 。

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学位論文審査の要旨

     学位論文題名

Structure ,Expresslon ,andTranSCriptionalRegulation oftheActinGeneFamily ゛ inMedaka 〇だソz 轟硲励あシぞs      ( メ ダ カ ア ク チ ン 遺 伝 子 フ ァ ミ リ ー の 構 造 と      発 現 お よ び 発 現 制 御 機 構 に 関 す る 研 究 )

  近年、胚発生過程における遺伝子の発現調節機構に関する研究が盛んに行われて いる。細胞骨格や筋繊維を構成する主要なタンパク質であるアクチンは細胞骨格ア クチ ンと 筋肉 アク チン の2種 類に大別され、それぞれ別の遺伝子にコ―ドされてい る。脊索をもたない無脊椎動物では両アイソフォームのアミノ酸配列は区別できな いほどよく似ている。一方、脊索動物の筋肉アクチンは、細胞骨格アクチンとは大 きく違っており、両者を特定のアミノ酸位置において区別することが可能である。

哺乳類では筋肉アクチンがさらにニつの横紋筋アクチンとニつの平滑筋アクチンの 計4つに 分かれ て進 化し 、よ く似たタンパク質をコードしているにも関わらず、そ れぞれ異なる筋肉組織に特異的に発現し、独立な転写調節を受けている。このよう に筋肉アクチン遺伝子が重複し異なる発現調節機構下に置かれるという現象は、脊 椎動物の複雑な体制の進化と大きく関わっていると考えられる。本学位論文は、こ のような顕著な組織特異的発現を示す筋肉アクチン遺伝子ファミリーを組織特異的 遺伝子発現制御機構の格好の研究系と考え、発生過程における遺伝子発現制御機構 の解析が個体レペルで可能な実験系としてメダカ〇りizias latipesを用いて、アクチ ン遺伝子ファミリーの単離と構造解析およびメダカ胚への外来遺伝子導入技術を駆 使して発現調節機構の解析を行い、1)アクチン遺伝子ファミリーの構成が魚類と哺 乳類や鳥類との間で非常によく保存されていること、2)骨格筋および心筋における アク チン 遺伝 子の 発現 には 、E box、CArG boxなど既知の転写調節配列に加え、こ れまで哺乳類や鳥類で明らかにされていない転写調節配列も重要であり、これらの 複雑な組み合わせにより遺伝子発現制御が行われていることが明らかにし、さらに 31個体レペルで遺伝子発現制御機構を解析する系として、メダカが非常に有用であ ることを示したもので、北海道大学博士(理学)の学位を授与される資格あるもの と認める。

男 行

範 孝

木 橋

鈴 高

授 授

教 教

査 査

主 副

参照

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