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畑田智子 学位論文審査要旨

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Academic year: 2021

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平成23年12月

畑田智子 学位論文審査要旨

主 査 清 水 英 治 副主査 難 波 栄 二 同 池 口 正 英

主論文

Inhibition of nuclear factor-κB activity by small interfering RNA in esophageal squamous cell carcinoma cell lines

(食道扁平上皮癌培養細胞におけるsiRNAを用いたNF‐κBの抑制)

(著者:畑田智子、檜垣克美、難波栄二、建部茂、池口正英)

平成23年 Oncology Reports 26巻 659頁~664頁

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学 位 論 文 要 旨

Inhibition of nuclear factor-κB activity by small interfering RNA in esophageal squamous cell carcinoma cell lines

(食道扁平上皮癌培養細胞におけるsiRNAを用いたNF‐κBの抑制)

Nuclear factor-κB(NF‐κB)は転写因子であり、腫瘍の発生、増殖への関与が報告され ている。このNF‐κB発現を抑制するsmall interfering RNA(siRNA)を抗癌剤とともに投与 した場合の、食道扁平上皮癌への影響を検討した。

方 法

実験には扁平上皮癌の培養細胞である(TE4、TE8)を用いた。はじめに培養細胞における NF‐κBの発現を確認した。この培養細胞に抗癌剤(5-FU)とともにNF‐κB siRNAを投与 した場合の細胞増殖をBrdU assayにて評価した。また細胞のアポトーシスとNF‐κBの活性 化の測定をそれぞれcaspase活性測定ならびにLuciferase assayにて評価した。次にこの培 養細胞に、サイトカインであるTNFαを暴露することでNF‐κBを活性化した状態で同様の 実験を行った。

結 果

TE4、TE8でNF‐κBが主に細胞質内に発現していることを確認した。この培養細胞にNF‐

κB siRNAを投与することで、NF‐κBの発現は抑制された。また、抗癌剤とNF-κB siRNA の併用投与を行うと、抗癌剤の抗腫瘍効果を有意に増強するとともに、癌細胞にアポトー シスを誘導した。培養細胞にTNFαを投与することでNF‐κBは細胞質から核内へ移り活性 化した状態となり、細胞(TE4、TE8)の増殖活性は増強した。この状態でも培養細胞に5-FU とNF‐κB siRNAを併用することにより高い細胞増殖抑制効果が得られた。

考 察

食道癌は手術療法、化学療法、放射線療法の進歩にも関わらず、いまだ予後不良の疾患 であり、化学療法への耐性もみられる。この化学療法においては5-FUが一般的な治療薬で ある。様々な癌の増殖過程においてNF‐κBの関与が報告されている。鳥取大学医学部附属

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病院での食道癌患者においても転写因子であるNF‐κBの陽性例と陰性例で予後を比較す ると、陽性例でより予後が不良であることが判明した。以上より、NF‐κBが予後や薬剤の 耐性に関与することが推測された。NF‐κBはIκBと結合した状態で細胞質に非活性化の状 態で存在する。そこにTNFαなどの外部刺激が加わるとNF‐κBは核内へ移り活性化した状 態で、アポトーシスの抑制や化学療法耐性などに関与する。本実験では、5-FUとNF-κB siRNAの同時投与により、癌細胞のNF‐κBの活性化が抑制され、食道癌細胞増殖も著明に 抑制された。

切除標本においては、NF‐κBは核内に発現がみられた、一方培養細胞では、NF‐κBの 発現は細胞質に認められた。培養細胞にTNFαを投与すると、NF‐κBが核内へ移動するの で、本実験がより臨床状態に近いと考えることできる。

本研究では、NF‐κB siRNAが5-FUの抗腫瘍効果を増強し、難治性癌である食道癌治療に 有効である可能性が示唆された。

結 論

siRNAを用いることでNF‐κBの活性を抑え、食道扁平上皮癌培養細胞の細胞増殖を抑制 した。5-FUの効果はTNFαによって減弱されたが、NF-κB siRNAを併用することで5-FUの効 果を増強できた。5-FUとNF-κB siRNAの併用療法は食道扁平上皮癌治療の選択肢の一つと なると期待される。

参照

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