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広告と規模の経済 阿 部 文 雄 I

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Academic year: 2021

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(1)OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ. 広告と規模の経済 阿 部 文 雄 I . はじめに 先に我々は,寡占企業の最適広告政策?と闘し,. ドープマン&スタイナ一一ナ. ーラプ&アローーグー Jレドの展開に沿って,若干の拡張と考察を行なった。そこ で得た主要な結果は,①各寡占企業にとって最適な〈定常的な)グッドワイノレ. ( g ∞dwill) 水準がユニークに存在し,. かつ最適広告政策の特徴として,. 計画. (ゲーム〉期間の大部分をこの最適グッドタイノレ水準の近傍府に止まるという, いわゆるーターンパイクミ性が示されること,②比較動学分析等により,グッ ドクィノレ水準を最適水準に上昇させながら調整する局面では,当該企業のグッ ドクイノレの産業内における νz アが高い程(このことはある範囲内では売上高 志/ェアが高いことを意味する),広告支出は低いこと,即ち,広告文出と売上高. νエアで見た競争との正の関係が存在すること,である。 しかしながら,以よの結果のうち,②については従来の研究が予想するもの とは逆のものである。このような結果が生じた大きな要因として,広告に関す る規模の経済性を考慮していないことが考えられる。そ ζ で本稿では,グッド ワイノレに関して規模の経済が見られるような状況を想定し, この場合に前記結 論がどのように修正される可能性があるかを検討す町ることにしよう。. I I . 主要な仮定とモデノレ (i) 分析を非価格競争の側面に限定するため,及び,分析上の便宜のため (1) 拙稿「寡占企業の最適広告政策につい‑CJ(香川大学経済論議第 53巻第 2号昭和 55 年)参照。なお,小論は上記拙稿におい℃展開された分析の延長線上にあり,モデル の基本部分に関して再述を避けている。参考文献につい でも拙稿を参照。 l.

(2) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑396 ー. 第5 3巻. 1 0 7 6. 第 3号. に,価格水準は各企業に共通なある一定水準に固定されているとする。更に費 用関数は産出量に関して線型であるとする。. ( i i ) 需要関数民 的. ( t )口 約. c p,A包(t), a i(t)),i=1.2, … ,N. で与えられるとする。. ラ ー ・. > ‑. ヲ喝. '‑ L‑ 1 . . ,. (1). A i ( t )は第 t企業の t時点におけるグッドタイ. a iくのは第 t 企業の t 時点におけるグッドワ i ( t )=Aパ t)/~Aiくのである。 更にと イルの産業内乙/ェアを表わす。既ち, a. ル水準(割引された累積広告費),. こ 、 で ,. 1ι│. ー > 0 8A I a i も. 2 8 的 │ ど. 主 主 3互71瓦. A. U. (2). i f. A i三 菱A i. であるとする(第 1図参照〉。既ち,. ,X!. A i くA iの領域では, グッドクィノレの 市場拡大効果は規模の経済を示し,逆 規模の不経済. に ,. A i くA i では規模の不経済が作用. ilt:関しては, すると仮定される。又 .a. そり ,f 為豆 0 , . も o υ . .. (3). U. A. B. ︑ ・ 1. ︐ ︐ G ︐ .. と仮定する。 グッドクィノレに関する動学方 > A団. 第 <. 程式が次のように与えられる。. A i ( t )= I i C t ) ‑ o A i ( t ),δ>0 A i (0)=AtO孟 O. ご A i. (4). ここで. oはグッドワイノレの減耗率である。又 ,I t( t ) は第 t企業の t時点にお けるグッドクィノレ資本に対する組投資であり,更にこの粗投資. I t ( t )を実現さ. せるには, W( I t ) だけの広告支出が必要であるとする(グールドの「非線型費. )。ここで, 用関数J W'( I i)>O,W"( I i )>0 W(0)=0,W'(0)孟 O. f o ra l l h>O. (5).

(3) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 1 0 7 7. ‑397 ー. 広告と規模の経済. とする。. ( i v ) 利潤関数 πi ( t )=ρ ' x i ( t )ーC i . X i ( t ) ‑ ‑ W ( I i ),i=1,2,… ,N. (6). ( v ) 第 i企業の当面する問題は,次のように整理される。 M拡 M =J~niσ片付. dt. (7). s u b j e c tt o 引 くt )=ρ ' xi( t)‑Ci'xi ( t ). ̲ ‑W( I i ). (6). A i ( t )=l;(t)‑oAi( t ) , o>0. (4). O Ai(0)=Ai 孟O. ( v i ) ことで検討する解概念は, N ash均衡解である。. I l I . 規模の経済の効果 すでに述べたように,グッドクイ Jレのもつ市場規模拡大効果がある領域で逓 増的効果をもっと仮定し,とのことが広告に関する規模の経済を表わしている とされたが,以下これが最適解の特性にどのよラな影響を及ぼすかを検討す る 。. (i) λ =0曲線について まず上述した問題に対する必要条件から,補助変数(影の価格)に関する徴 分方程式として次式が得られる。 ~. ̲~ O X i( t ). =( ρ+o)^,ii'‑'( ρ‑ C i )百 五疋万. , ^i i ( t ). (8). そこで,入 =0 曲線が次の様に与えられる。. I ;. ρ‑Ci 仇 ̲P‑Cij仇 │ ー 仇 旬 、 一一一一一一一一一一一(一一一│ 十一一一一一一) (9) 入 ==0 p+o OAi ρ+o¥OAi Ia i ' ( J a i θAi I. 従!って,. a 入叫│. 羽~Iλ“ =0. 2 2 ρ‑Cir O X iI 一 ,o x o a i¥2 ,O X i( J2 a1 1 0 ) 2 2¥ 予平aL'ßAi玄 I a i ' ; ‑o a i . O A iJ. ; ‑ 蕊 ‑ :OAi J . ( も. (. 乞. となる。それゆえ, ( 1 0 )式から明らかなように,規模の経済が存在しない場合 には,常に,.

(4) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑398ー. 1 0 7 8. 第53 巻 第 3号. θ入μI.. / .f¥. OAi I^ i i =0 、. ( 1 1 ). v. 従ってゐる =0 曲線の形状は右下がりであるけれども,. 0 図 2 0 須 ﹀. ( 1 2 ) ︑ A4. ︒. 照 参. ・λ あ. 一 一日 る. 可今 るで なこ とそ. M 軸' h一. 局面では,. 規模の経済が作用する. 8入ぃ ‑引・. 言 語 O く二二二)A 昌 Ai oAる I^ i i =0:>‑. ( 1 3 ) としよろ。(但し , Ai>Aiとする〉。こ のとき,もし,. ^ i iI•. l i m. Ai‑O. IAii=. >W'(0). 0. ( 1 4 ). 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一A L一 一 ー 一 一 一 長 Ai i. ならば,第 3図の如く,定常点は 1つ. く第 2図 >. しか存在しない。又もし, 入i i. l i m^ i i I. く W'(0) Ai → λ臼 =0 ( 1 5 ) ならば,第 4図の如く. 2つの. 定常点が存在する可能性が志 る 。. ( i i i ) 定常点 Ezの特性につ. W'(Q). いて. Ez点での評価を示すために, **印を用いると,. B 入 │ 百 五 三 lJPは > 0. Ai <第 3図〉. ( 1 6 ).

(5) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑399ー. 広告と規模の経済. 1 0 7 9 I ¥i i. , El 戸-~ J//;. i. / / F. 剛一一一一一一時一一一一一斗一一~Ai. A(. A i " 申. く第 4関 >. 。 } . , ii I /'L , ̲ i )2 X i I 一 一 一位一 C i )ー ォ τl 8Ai I判 。A♂ │. 2 (82 x i I .8 xi/8 a i¥ 2 .8x 色 。2ad =ー (ρ -Ci)t羽:~ I ム十百万(百五十五五百EjJK く 8A 8u • /8I¥i 1 一 一* 一 一8入 一 =1/一 ‑=一 一一 一 >0 B 入日 1 *‑ 8l ( I i ) i W" も. 包. o. ( 1 7 ). ( 1 8 ). ム /. 日A iI. ー'~'. I =‑0く O. ( 1 9 ). 8Ai I 料. であるから, E2点の近傍において成立する線型近似の微分方程式体系の固有 方程式は,. (p+o)‑8 K =82‑p8‑0(p十0 ) O 1 ‑8‑81HLIt ノ W"(I i ). 一一空ー. ( 2 0 ). となる。この固有根(のに関する 2次方程式の根は,. 。 =+I[( すr o 4. 、. T?. 十 (川)十歩,. と表わされる。ここで,. ̲ Y . i. J. ( 2 1 ). 規模の経済の仮定により, Kく O なので, 8は実数根. にならない可能性がある。今,規模の経済が強く作用して固有根が複素数にな ると想定しよう。. このとき共役な 2つの複索根の実部は正 (ρ/2>0) で通うる. から,この定常点 E2はいわゆる不安定渦状点と呼ばれるものである(即ち,.

(6) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 第5 3 巻 第 3号. ‑‑400 ー. 1 0 8 0. E2点の近傍における解の運動は,渦のようにぐるぐる回わりながら発散してい く 〉 。. 2が不安定渦状点の特性をもっ かくして規模の経済が強く作用し,定常点 E 場合の典型的な位相図を描くと,第 5図の如くなる。この図は勿論唯一絶対的 λi i. W'(O). ぐ第 5図 >. なものとはいえないけれども,いくつかの興味深い示唆を与えてくれる。即ち, 初期点が A t * *近くに与えられるとき,しばらくの間広告支出をしたりやめた りという行動を繰り返しながら,やがて 別の定常点 Elへ向かうとか,又別の i. 2が ん = 0軸l't近い場合,最適僅路が Ai=0 軸にぶつかっ 可能性として , E てしまうこともあり,その場合には,広告活動から全く身を引くととになる。 8 I i ( i v ) 否両?の符号について Xi. 上記前稿でも示したように,生産物 のマーケット乙/"ア. (X ) とグッドク i. イJ レi/ェア ( a i ) との関係は,. l. 第 6図. の如く正の関係が, X怠のある領域内で i と L との 成立する。そこで次に,a. 関係は, X i a j. く第 6図 >.

(7) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑401ー. 広告と規模の経済. 1 0 8 1. 。 I 包. a l iaA I 色. a a t. A/ も. /. 一一一一一一,‑‑ a a i一θAia a i‑ aAi. l :Aj I i l‑ai Ai θXi. l :Aj (pH)W'(I i )一( ρ‑ C i )aAi W"( I i )(h‑oAi) l‑ai であるから,第 7図から明らか I i> O, A! く 0), な様に,領域 1( I I I( I i く. o,Ai>0, ). υUi. 、 八日. V( I i >0,. Aiく 0)では, 内l i ォナく. ( 2 2 ). o. ( 2 3 ). li>O Ai>O. I I. であり,領域I I (Ii>0,At>0),. IV( I i く 0,A iく 0)では, a l i 高?〉 O. Ii<O N Ai<O. 〈 2 4 ). となる。かくして第 8図M … 線 部 分では,ぬが高い程広告支 出は増 i. Ai <第 7図 >. 大することが分る。 以上の分析から明らかなように, λi i 広告に関する規模の経済の影響は,'j¥ それがある程度以上強く作用する. I̲. 場合,次のように要約注れよう。 ①均衡点(定常点〉を複数個生じ させる可能性がある。②そのうち のある均衡点は,不安定渦状点と なる可能性がある。③そして広告 と競争との聞に,最も興味ある局 面において,負の関係を生じさせ る可能性がある。. Ai <第 8図 >.

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