三次元血管内イメージング流体解析による 急性冠症候群発症機序解明
日本大学大学院医学研究科博士課程 内科系循環器内科学専攻
飯田維人
修了年 2017 年
指導教員 廣 高史
三次元血管内イメージング流体解析による 急性冠症候群発症機序解明
日本大学大学院医学研究科博士課程 内科系循環器内科学専攻
飯田維人
修了年 2017 年
指導教員 廣 高史
目次
① 概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
② 諸言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
③ 目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
④ 対象と方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
⑤ 結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24
⑥ 考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32
⑦ 結語・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41
⑧ 謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41
⑨ 表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 42
⑩ 図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 46
⑪ 図説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63
⑫ 引用文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 71
⑬ 研究業績・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 79
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概要
目的: 急性冠症候群(ACS)の主因は冠動脈プラークの破綻とされ るが、プラークが破綻しても必ずしもACSを発症するとは限らない。
そこで本研究では、ACS を発症した冠動脈プラーク破綻と発症しな かったプラーク破綻において、血管内エコー法(IVUS)から得られた プラーク破綻の三次元構造データから粒子法と呼ばれる流体力学的 シミュレーション解析を行い、プラーク破綻部周辺の血流プロフィ ールが 2 群間で流体力学的な違いがあるかを明らかにすることにあ る。
対象と方法:虚血性心疾患の診断にて心臓カテーテル検査が施行 され、IVUSにてプラークの破綻像の存在を認めた症例を対象と し、そのプラーク破綻が原因でACSを発症した群 ( ACS群:24症 例 ) とACSを発症していない群 ( none ACS群:21症例 ) とを 比較検討した。IVUSから得られたデータからプラーク破綻の三次 元画像を構築し、流体力学ソフト(Partickleworks™)を用いて仮 想粒子を流し、2群間においてどのように血流の違いがあるかを検 討した。
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結果:初期進入流速を1.00cm/secとしたとき、解析区間内の粒子 数はACS群で、non-ACS 群と比較し有意に少なかった (5.59×103
±4.52×103個 vs. 9.36×103±4.94×103個, p=0.00310 )。粒子の 平均速度はACS群で有意に高値を示した (14.3±6.88cm/sec vs.
10.3±6.27, p=0.0476 )。粒子速度を1.00cm/sec 区間ごとにわけ、
それぞれの速度範囲に存在する粒子の数の全粒子数に対する割合の 分布をみたが、2群間でその分布が有意に異なっていた
(p=0.00429 )。z 軸成分速度に関しても2群間でその分布が有意に
異なっていた (p= 0.00873 ) 。粒子速度を0.00cm/sec 以上
5.00cm/sec未満、5.00cm/sec 以上10.0cm/sec未満、10.0cm/sec以
上20.0cm/sec未満の 3種類に分け、その速度を持つ粒子がz軸上
でどのように分布しているかを解析すると、0.00cm/sec以上
5.00cm/sec未満、10.0cm/sec 以上20.0cm/sec未満の速度を持つ粒
子はACS群とnon-ACS群ではその分布に違いがみられ
( 0.00cm/sec以上5.00cm/sec 未満:p=0.0347, 10.0cm/sec以上 20.0cm/sec未満:p=0.0184 ) 、プラーク破綻部周辺で、ACS群で は遅い血流領域が、non-ACS群では速い血流領域が認められた 。 0.00cm/sec以上 5.00cm/sec未満の速度の粒子はプラーク破綻部に
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一致していた。
結論:ACSを発症したプラーク破綻では、発症しなかった破綻に比 べて、全体の平均流速は速いものの破綻部回りで局所的に流速が低 下している領域が認められることが示された。このことにより、破 綻部周囲の血流プロフィールの違いがACS発症機序に関与してい ることが示唆された。
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緒言
近年本邦において動脈硬化性疾患の罹患率は増加傾向であり、特 に心血管疾患による死亡率は増加の一途である。その理由として高 エネルギー・高脂肪食に伴う食生活の欧米化により、高血圧、糖尿病 や高脂血症といった生活習慣病を有する患者総数が、年々増加傾向 であることがあげられる。生活習慣病は全身の動脈硬化進展を促し、
心疾患の発症に起因している。厚生労働省発表の平成26 年人口動態 統計によると、心疾患の年間患者数は、172 万9千人にのぼり、死因 としては「がん」についで心疾患が死因第 2 位であり、心疾患によ る年間死亡者数も19 万6千人にものぼるとされている[1]。
虚血性心疾患に対する治療法は近年目覚ましく進歩しており、そ の死亡率は著しい改善を認めた。しかしながら未だ虚血性心疾患に よる死亡総数は、日本全体において年間6万人を超えている[1]。虚 血性心疾患患者の予後改善は、国民全体の健康維持に不可欠であ り、さらに医療経済を効率化するためにも、極めて意義深い事柄で ある。そのためには一次予防となる生活習慣の改善に加えて、正確 に疾病を診断し患者に適切な治療を施し、さらに疾患再発を防ぐた めの二次予防が重要であると考えられる。
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急性冠症候群の病態とその課題
Herrickらは1983年に心筋梗塞患者の病理所見より、心筋梗塞
は血栓によって冠動脈が閉塞することによって発症していることを 報告した[2]。1990年代に入ると冠動脈造影検査が広く施行される ようになり、不安定狭心症や心筋梗塞は、それまでは冠動脈壁が内 腔に向かって徐々に肥厚し最終的に冠動脈が高度に狭窄したり閉塞 した結果発症すると考えられていたがそうではなく、冠動脈内のア テローム性プラークの破裂とそれに伴う血栓形成が主因であること が示された[3]。図 1にプラークの破裂とそれに伴う血栓閉塞の病理 所見を示す[4]。また Falkらによって急性心筋梗塞の 68%が狭窄度 50%以下の病変から突然発症することが報告された[5]。現在、不安 定狭心症、心筋梗塞ならびに虚血性心臓突然死は、急性冠症候群
(Acute Coronary Syndrome: ACS)とまとめて総称されているの は、これらの病態にはいずれも冠動脈に内在するアテローム性プラ ークの破綻とそれに続発する局所での血栓形成が共通の病態として 存在していると認識されているからである。
冠動脈壁は内・中・外膜の3層構造を呈していて、外膜は疎な結 合組織、中膜は平滑筋層からなるが、動脈硬化病変形成の主座は内
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膜内にある。内膜の局所肥厚をプラークと呼んでいるが、脂質コア を有しそれを膠原線維に富んだ線維性被膜に覆われて2層構造を呈 したものをアテローム性プラーク(アテローマ、粥腫)と呼んでい る。この粥腫形成の初期段階として、血管内皮細胞がシェアスレ ス、高血圧、高血糖、脂質異常、喫煙などによる酸化ストレスや感 染や炎症性疾患による種々の炎症性サイトカインにより傷害を受け ると、LDL-コレステロールが内膜内に取り込まれ、そこで酸化さ れて酸化LDLが形成されることから始まる。併せて血管内皮に 種々の接着因子が発現し、血液中の単球やTリンパ球はその接着因 子を介して 血管内皮に接着し、内皮下に遊走し,種々の炎症性サ イトカインを放出する。その後単球は,障害された内皮細胞やTリ ンパ球から放出されるマクロファージ分化・増殖因子によりマクロ ファージに成熟分化する。一部中膜の平滑筋細胞は表現型を変え て、内膜内に遊走し、マクロファージに分化する。次の単球由来や 平滑筋細胞由来のマクロファージは酸化LDLを貪食する。酸化脂 質を取り込んだマクロファージは、種々の炎症性サイトカインを放 出して,さらなる リンパ球や単球の侵入を惹起するとともに,中 膜に存在する血管平滑筋細胞を脱分化・増殖促進させ内膜に誘導す
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る。酸化LDLを多量に貪食したマクロファージは泡沫化し、泡沫 細胞となって動脈内膜内に集積する。この泡沫細胞はさらにはアポ トーシスや壊死を起こし、脂質性コアないし壊死性コアを内膜内に 作り、それを線維性組織で覆うといった2層構造からなる粥腫を形 成するようになる。一連の炎症反応が繰り返され動脈硬化プラーク が成長していく。さらに活性化されたマクロファージ、および平滑 筋細胞は、matrix metalloproteinaseなどの細胞外基質分解酵素を 産生してプラークの線維性被膜を脆弱化させていく[6-10]。(図2)
粥腫内のコラーゲンは健常動脈とは異なり血小板活性の強いⅠ 型、Ⅲ型からなり[11]、外因系凝固反応の引き金となる組織因子が 大量に発現している[12,13]。組織因子は全身の組織に存在してお り、健常血管では通常外膜に大量に存在し、止血機能を担っている るとされる[14]。一方、プラーク内では組織因子はマクロファージ や平滑筋細胞から産生され、動脈硬化の進行につれてその発現量が 増大し、凝固活性も亢進する。さらに抗血栓作用分子であるトロン ボモジュリンやプラスミノーゲンアクチベターの発現が減少し、全 体として向血栓性の性質を強く帯びるようになる [15]。これらの理 由からプラークが破綻すると、そこでは血小板と凝固系の両者が急
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激に活性され血栓形成が促進されると想定されている。
これらのプラークになんらかの物理的な作用、たとえばプラーク 内ストレスやシェアストレスの不均一分布や集中が局所に加わるこ とによって、ある日突然最も脆弱な冠動脈のプラークが破綻すると 考えられている。
プラークの中には破綻しやすいプラークとそうではないプラー クがあることが明らかとなってきており、病理学なプラークの易破 綻性の規定因子として、プラークの線維性被膜の菲薄化、脂質コアの 増大、プラーク内出血、マクロファージなどの炎症細胞浸潤、結節性 石灰化などがあげられている[7]。これらの性質を顕著にもったプラ ークのことを不安定プラーク(易破綻性プラーク、vulnerable plaque)
と呼んでいる。そのなかで特に脂質コアが発達していて線維性被膜 が菲薄化した粥腫を Thin-cap fibroatheroma(TCFA)と呼んでいる。
昨今、生体の冠動脈内に直径1mm程度のカテーテルを挿入し、
その先端から光や超音波を発して冠動脈壁の情報を得ることができ る血管内イメージングと呼ばれる手法が次々と開発され、多くの心 臓カテーテル検査で施行されるようになった。保険適用となってい て日常に使用される血管内イメージングとして、後述するように血
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管内エコー法(IVUS:intravascular ultrasound),光干渉断層像法 (OCT : optical coherence tomography)や冠動脈血管内視鏡などが あるが、これらによりプラーク内の組織性状や破綻したプラーク自 体を生体で直接観察できるようになり、さらには破綻しやすいプラ ーク(不安定プラーク)がある程度同定可能となってきた[16-24]。
しかしながら、プラーク破綻が必ずACSを発症すると限らず、臨 床的に無症候性のプラーク破綻が決して稀な現象ではないこと明ら かとなってきた[25-27]。つまり破綻しやすい粥腫を同定しても、そ れがACSを発症しやすい粥腫とは限らないのである。というのもプ ラーク破綻後の心血管イベントの発症には、血栓が内腔を閉塞する 大きさまでに十分増大・成長することが必要となるが、それが不十分 なため無症候性に終わるプラーク破綻もあるのである。
血栓の形成は古来より①血管壁の性状変化、②血液成分の変化、③ 血流の変化の3つの要因(Virchow’s triad)とされており、現在でもこ の概念は受け入れられている[28]。血栓形成における、血管壁性状の 特徴、分子機構、凝固線溶系の変化、血小板粘着凝集能の亢進、プラ ーク破綻の形や程度、血流量の変化の影響、などそれぞれに関して 様々な研報告があるが、これまでにプラーク破綻部における血流の
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特徴に着目し、ACSの発症との関係を詳細に検討した報告はない。
血管内超音波検査 ( IVUS ) について
IVUSは高周波超音波探触子(20-60MHz)を先端に擁した直
径約1mm(3 French size)のカテーテルを生体の血管内腔に挿入し
血管壁の短軸断層像を抽出する方法である。1988年に世界で初め て臨床応用され[29]、現在では経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention :PCI)を施行する約6割以上の施設におい て、PCIのガイド目的にこのIVUSが用いられているのが現状であ る。
通常のIVUSにより得られる情報は白黒で得られ grey-scaleと呼 ばれる画像で構成される。IVUSカテーテルから2.5 波長程度のパ ルス波が発せられ、その波が組織の中を進んでいく。組織の中を進 んで行く過程で音響インピーダンスが異なる二つの物質の境界面に おいて一部の波は反射され、一部は反射されずにその境界面を通過 し、さらに奥へ進達する。最終的にさまざまな組織境界面で反射さ れた結果として、超音波信号が一連の信号(時系列信号)となりプロ
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ーブに戻ってくる。この時系列信号を信号強度に応じて256段階の グレースケール画像として表す。このイメージングカテーテルを1
分間に1500-1800 回回転させ、1周360度回転するごとに機種に
よって256から 512方向からこの信号を検出し、360度パノラマ平 面に構成して血管の短軸断面を表示したものがIVUSグレースケー ル画像である。後述する今回使用したIVUSは1周 360°回転する ごとに256方向(1.4 度毎)から信号を検出する機種である。プロ ーブからどれくらいの距離の反射点で反射したかについては、超音 波を発してから反射して返ってくるまでの時間を2で割り、あらか じめ仮定した生体内での超音波速度(1540-1580m/sec)を乗じ て、プローブまでの距離を算出する[30]。IVUSにおける超音波の 深部到達度は4~8mm で、それによりプラークの全貌を描出するこ とができる。図3にその1例を示す。前述したように冠動脈は内 膜、中膜、外膜の3層構造からなり、外膜は粗な結合組織、中膜は 輪状の平滑筋層が主体となっている。内膜は正常では一層の内皮細 胞に裏打ちされた薄い層であるが、動脈硬化が進行すると肥厚し、
初期プラークを形成する。グレースケール画像で示されるIVUSに おいて中層膜は低輝度に描出され、外膜と内膜は比較的高輝度に描
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出されるために、IVUSにおいても血管壁は3層構造を呈する。動 脈硬化が進むと、平滑筋層の線維化が進むために、中膜はそれほど 低輝度にならず、内膜と中膜の境界が不明瞭となる。しかし、内 腔・内膜境界、中膜・外膜境界は通常境界が明瞭である。そこで、
これら境界を利用して、IVUSでは、内腔・内膜境界線内の面積を 内腔面談面積、中膜・外膜境界線内の面積を血管総断面積、そして この両者の差をプラーク断面積と呼ぶことになっている。すなわ ち、プラーク断面積は内膜断面積ではなく、内膜+中膜複合体面積 で表されている。IVUSカテーテルは一定速度で引き抜きながら一 定時間間隔で短軸断面像が撮像できるので、それを積分すること で、一定区間内のプラーク、内腔、血管の総体積をそれぞれ計算す ることもできる。このようにIVUSで得られた解剖学的情報は、治 療方針の決定や治療デバイスの選択、治療エンドポイントの決定の ために重要な情報であり、治療後のフォローアップにも用いられ る。また、手技も容易で安全性が高いことから、現在最も広く普及 している血管内イメージング法といえる。
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医療における流体力学の応用
近年コンピュータ技術の発達により複雑な形状をした血管内腔で の血流の振る舞いに、すなわち、流線や流速、圧力などの種々の流 体力学的パラメータ、さらには血流が血管壁に与える応力の分布や 血栓形成に及ぼす影響について、高速シミュレーションを用いて検 討することができうるようになってきた。以前よりCTや MRIな どの医用画像から得られる患者個別の血管形状から流体力学的数値 シミュレーションが大きな進展を遂げている。特に脳血管疾患[31- 37]や大動脈疾患[38-42]の発生や進展のメカニズムの解明に広く応 用されるようになった。冠動脈疾患領域でもIVUS、OCT で得られ る二次元画像から血管内腔の三次元構築が可能となり、その内腔形 状データについて流体力学的解析が行えるようになった。これまで に、冠動脈の三次元データを用いて、冠動脈血管壁にかかるずり応 力とプラークとの関係について検討された報告がいくつかある [43,44]。たとえば血管壁にかかるずり応力が小さいほどプラークが 形成、進展しやすいことが示されている[43]。また、Fukumotoら は、IVUSから構築した冠動脈内腔の三次元データを利用し、ずり 応力の分布と冠動脈プラーク破綻との関係を検討し、ずり応力の局
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所的上昇部位とプラークの破裂部位が高率に一致していることを報 告している。[44] 。
粒子法について
流体シミュレーションの手法として従来から利用されてきた手法 として代表的なものに、有限要素法、有限差分法、有限体積法、境 界要素法といった格子法があり、医療における流体シミュレーショ ンの多くがこれらの手法を使用してきた[31-42]。これらの手法は、
メッシュ(計算格子)で解析区間を区切り、メッシュの節点(有限 要素)に種々の物理量を割り当て格納する。次にその系に流れ込む 流れの性質をも仮定したのち、その流れをその系に流し込んだとき に発生する各メッシュ間の相互作用について流体力学的な関係方程 式を仮定し、それを大量のメッシュ間で連立方程式をたてて次々と 計算することで、各部分部分における流速やメッシュ間応力などを 計算していくという方法である。
メッシュを用いる手法の問題点としては、適切な解析結果を得る ための最適なメッシュを生成する作業に極めて長い時間がかかり、
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強い変形を伴う解析では計算上メッシュが潰れ、計算が不可能とな る場合がある。また、解析結果からたとえば液体と液体ではないも の(空気など)の境界面のような自由表面の振る舞いを計算するこ とが難しいなどの欠点が挙げられる。こういった問題を解決するた め、様々な手法が提案されており、その中で粒子法は、メッシュの 代わりに計算点=粒子を用いる、比較的新しい技術である[45] (図 4)。煩雑な格子生成作業が必要なく、解析モデルを空間形状データ に等間隔に配置した粒子として簡単に作成することができる、粒子 同士の位置関係は固定されないため大きな変形に対応できる、自由 表面は粒子の位置によって簡単に取り出すことができる、といった 特徴をもち、自由表面の追跡が課題となる流体解析や、大変形を伴 う超弾性体解析、破断の起きる構造体の解析などに適している。粒 子法を医療の分野で応用した報告はまだ少なく、冠動脈内の血流、
特に破綻したプラーク周辺の血流をシュミレーションした例はまだ 報告ない。
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目的
前述のようにプラーク破綻が必ずしもACSを発症すると限ら ず、ACS発症にはプラーク破綻後に血栓が形成され冠動脈の内腔を 閉塞するほどまでに十分増大・成長することが必要である。血栓形 成を規定する因子として血流速度があることは古くから知られてい るが、ACSを発症した患者においては、破綻したプラーク周辺の血 流の振る舞いになんらかの特徴があることが推察される。そこで本 研究の目的は、ACSを発症した冠動脈プラーク破綻と ACSを発症 しなかったプラーク破綻について、 IVUSを施行して得られた実際 のプラーク破綻の三次元構造データから流体力学的シミュレーショ ン解析である粒子法を行い、2群間の血流に流体力学的な違いがあ るかを明らかにすることにある。
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対象と方法
対象患者
2010年4月から2014年 12月までに日本大学医学部附属板橋病 院においてACSを含めた虚血性心疾患の診断にて心臓カテーテル 検査が施行され、冠動脈造影、ならびに血管内超音波検査 ( IVUS ) を施行した患者で、IVUSにおいてプラークの破綻像の存在を認め た症例を対象とした。ただし、石灰化や血栓、ガイドワイヤー後方 アーチファクトの影響で内腔のトレースが困難な症例、高度石灰 化、高度蛇行といった理由でIVUSを奥まで挿入できず解析に不適 当である症例は除外した。また、IVUSが病変を通過しないため に、IVUS観察前に病変部に対しバルーン拡張が行われた症例も除 外した。
この研究の対象となった症例で観察されたプラーク破綻が原因で ACSを発症した群 ( ACS群:24症例 ) と ACS以外の虚血性心疾 患でIVUSを施行したところ既報[25-27]でしられているような無症 候性の破綻プラークが検出された群 ( non-ACS群:21 症例 ) とに
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わけて解析を行った。なおこの研究は臨床上保険適応に基づいて施 行したIVUSのデータを retrospectiveに抽出して比較検討したも のであるが、日本大学医学部附属板橋病院臨床研究倫理審査委員会 の審査 ( 整理番号 RK-161108-3 ) を受け施行している。
心臓カテーテル検査とIVUSの施行
心臓カテーテル検査において冠動脈造影を施行したのち、冠動脈 枝の末梢までガイドワイヤーを挿入し、そのガイドワイヤーを経て 以下のIVUSによる観察を行った。この検査の直前に 1.5mgの硝 酸イソソルビドを冠動脈注入した。観察範囲はIVUSを可能な限り 末梢まで挿入し同部位を開始点とし、入口部を終了点にし、引き抜 きながら観察した。ACS群で血栓が豊富であった症例では血栓吸引 カテーテルにて血栓を吸引してからIVUSの観察を行っている。
IVUSはOptiCross™Imaging Catheter(iLab™ System、Boston
Scientific社製)を用いた。引き抜き速度は0.5mm/秒であり、撮像
レートは30 フレーム/秒である。
心臓カテーテル検査、IVUSは患者の病態に基づき通常の保険診
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療の範囲内で施行しており、これらの検査の施行は、診断、病態把 握、治療戦略のために必要な情報を正確に把握するために必要不可 欠であることを事前に説明し同意を得たうえで行った。
プラーク破綻の三次元輪郭抽出画像構築
プラーク破綻の三次元画像は三次元画像構築ソフトAVIZO™
(ver 6.2.1、マックスネット社 )を使用した。IVUSで得られた短軸
画像からプラーク破綻像を中心にその中枢側から遠位側にかけて、
0.2mm(12フレーム)おきに抽出し、それぞれの画像において外
膜・中膜境界、内膜・内腔境界をトレース、プラーク破綻部は破綻 した組織と血管内腔との境界をトレースした。ガイドワイヤーの後 方アーチファクト部分はその左右と連続しているものとし外挿して トレースした(図5 a,b)。トレースしたそれぞれの画像をつなぎ合わ せることで三次元輪郭抽出画像を作成した (図 6 a-c)。
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流体力学的検討
AVIZO™ にて構築した冠動脈の三次元画像データをSTL
( Standard Triangulated Language ) 形式に変換し、粒子法による 流体力学シミュレーションソフト Partickleworks™ ( ver 5.1.0 、 株式会社プロメテック・ソフトウェア ) を使用した。冠動脈そのも のは本来弾性体であり、血流に応じて若干の変形を伴うが、本研究 では後述のように解析区間が非常に小さいために血流に伴う変形を 無視できるものとし、剛体として扱う。後述する解析区間から
10.0mm中枢側に離れた箇所に(図 7)、実際の入口部の形状に
fittingした楕円形の形状の入口部を作成し、そこから仮定した血流
が初期進入するものとしてシミュレーションを行った。粒子の流入 条件は定常層流、粒子は直径0.1mm、初期粒子間距離 0.1mmと設 定し、重力の影響は受けないものとし、入口部より流入する初期粒 子速度は10.0cm/sec、1.00cm/sec と2通りを設定した。流出口は 圧抵抗なし、血管壁にスリップなしとした。
なお初期血流速度については、ドプラガイドワイヤーを用いた測 定でdiastolic peak velocity が 33.5±11.7cm/sec, Average systolic velocityが11.2±4.8cm/sec であるという報告[46]に基づき、本研究
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のシミュレーションモデルでは、これら二つの経験的基準値を参考 にして、プラーク破綻部位の流速が30-40cm/sec前後ならびに 5-
15cm/sec前後になる冠動脈入口部の初期粒子速度を調べると、そ
れぞれ10.0cm/sec 前後 と1.00cm/sec 前後になることが判明した ため、初期粒子速度をこの二つの場合を想定してシミュレーション を行った。なお、この初期条件としての流入速度を速めれば速める ほど、計算が極めて複雑になり解析中にエラーが起こる場合があ り、また流入速度を遅くしても、血管モデルが十分に粒子で満たさ れるまでに膨大なシミュレーション時間を設定しなければならない という制約がある。しかしながら、今回設定した初期流入速度の 10.0cm/sec、1.00cm/secではそのような問題は起こらなかったた め、この2つの数値に設定した。
また、血液は過去の冠動脈内の血流シミュレーションの際にしば しば用いられているように[47]、非圧縮性で均一とし密度1,050kg
/m3 ,粘性度 0.003Pas のニュートン物性と仮定した。以上の仮定
のもと粒子を仮想的に流し、血管の三次元画像が十分に粒子で満た されている時点での解析区間内の全粒子データを抽出した。
血管の長軸をz軸とし、プラーク破綻を認めた部位の潰瘍部の最
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近位側をz軸の原点とし、そこから8mmの区間を解析区間とした (図7)。図 8にPartickleworks™ での血管三次元画像とそこに粒子 を流した一例を示した。
プラーク破綻周辺血流の流体力学的パラメータの計測
まず、解析区間内の粒子数、速度絶対値平均値、逆流粒子数(粒子 の流入方向と逆行している粒子数)とその全粒子に対する割合、z軸 成分の速度の平均値、z軸成分速度絶対値の平均値、順行粒子の z 軸成分速度(粒子の流入方向と一致している粒子のz軸成分速の速 度)絶対値の平均値、逆流粒子z軸成分速度絶対値の平均値、x 軸成 分速度の絶対値の平均値、y軸成分速度の絶対値の平均値、xy面成 分速度絶対値の平均値をそれぞれ測定した。領域内の粒子数は、全 粒子のz軸座標を抽出し、z軸座標が解析区間内にある粒子の数と した。粒子の速度絶対値はx,y,z 各成分速度の 2乗の和の平方根で あり、xy平面成分速度絶対値はx,y各成分速度の 2乗の和の平方根 になる。
順行粒子は流入方向と一致しているz軸成分速度を持つ粒子で z
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軸成分速度は正とし、逆行粒子はz軸成分速度は負とした(図 9)。
続いて、粒子速度の分布、粒子の速度ごとのz軸上での分布を解 析した。粒子速度の分布だが、粒子速度絶対値を0.00cm/sec以上 から、1.00cm/secごとにわけ、それぞれの速度範囲に存在する粒子 の数の全粒子数に対する割合を計算した。z軸成分速度に関しては
-60.0cm/secから、1.00cm/sec ごとにわけ、それぞれの速度範囲 に存在する粒子の数の全粒子数に対する割合を計算した。
粒子の速度ごとの z軸上での分布は、粒子速度絶対値が
0.00cm/sec 以上5.00cm/sec未満、5.00cm/sec以上10.0cm/sec 未 満、10.0cm/sec 以上20.0cm/sec未満の速度を持つ粒子が z軸上で どのように分布しているかを解析した。解析区間の近位側を原点 とし、遠位側に向かって0.5mmごとに区切り、それぞれの領域に 上記速度を持つ粒子数の全粒子数に対する割合をみた。
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統計方法について
2群間の比較は、カテゴリー変数はX2検定を、連続変数はt検定 を行った。連続変数が正規分布をきたしていない場合はマン・ホイ ットニ検定を行った。また二群間で、ある項目を比較するときにそ の項目の分布の違いの検定においてマン・ホイットニ検定を使用し た。ACS、non-ACSを目的変数とした多変量解析は二項ロジステ ィック回帰分析を使用した。統計解析は統計ソフトJMP 9
(Version 9. 0. 0、SAS Intitute Inc社製)を用いて検定し、算出 されたp値が、0.05未満を統計学的有意と判定した。
結果
患者背景 (表 1)
対象症例は ACS群が24例で、平均年齢 66.9±10.5歳(47歳~
78歳)、男性 17例(71%)、身長160.6cm±7.5cm、体重 63.2±
11.6kg、BMI 24.3±4.6、喫煙者 15例 (62.5%)、高血圧合併症例 18例 (75%)、2型糖尿病合併症例 6例 (25%)、脂質異常症合併症
25
例 11例 (45.8%)、抗血小板薬内服症例 6 例 (25%)、抗凝固薬内 服症例 0例 (0%)、観察対象血管が右冠動脈 9例、左冠動脈前下 行枝12例、左冠動脈回旋枝 3例であった。疾患は急性心筋梗塞が 17例、亜急性心筋梗塞が 1例、不安定狭心症が 6例であった。
non-ACS群が21 例で、平均年齢 67.8±7.9 歳(50歳~85 歳)、男 性19例(90%)、身長 163cm±7.3cm、体重 65.4±15.8kg、BMI 24.5±4.6、喫煙者 14例 (66.7%)、高血圧合併症例 19例
(90.5%)、2型糖尿病合併症例 8例 (38.1%)、脂質異常症合併症例 11例 (52.4%)、抗血小板薬内服症例 6例 (28.6%)、抗凝固薬内服 症例 2例 (9.5%)、観察対象血管が右冠動脈 9 例、左冠動脈前下 行枝9例、左冠動脈回旋枝 3例であった。
いずれの項目においても2群間に有意差は認めなかった。
また対象症例が有した冠動脈疾患は、ACS群の内訳では急性心筋 梗塞が17例、亜急性心筋梗塞が 1例、不安定狭心症が6例で、
non-ACS群では安定狭心症が16 例、無症候性心筋虚血が5例であ
った。ただし、non-ACS群で認めた安定狭心症の症例において は、その責任病変は観察したプラーク破綻の部位とは異なってい た。
26
三次元輪郭抽出画像について
またプラーク破裂でできた潰瘍のz軸上での長さは全症例の平均 値が3.37±1.50mmで、ACS群と non-ACS群で有意差はなかった ( 3.58±1.76mm vs. 3.12±1.13mm, p=0.625 ) 。またACS群の方が
non-ACS群と比較し解析区間における血管内腔面積が小さかった
( 79.3±55.0mm3 vs. 133.0±57.9mm3, p=0.00310 )。(表 2)。
粒子法によるプラーク破綻部周辺の血流分布について
(1)粒子初期流入速度10.0cm/secでの検討
解析区間内の粒子数はnon-ACS群の方が ACS群と比較し、粒子 数が多かった (1.47×104±10.3×103個 vs. 2.55×104±1.25×103個,
p=0.00213 )。粒子の速度絶対値平均値は ACS群での方が高い傾向
があったが、2群間で有意差はなかった ( 37.1±14.2cm/sec vs.
32.1±12.5, p=0.212 )。粒子の流入方向と逆行している粒子数は non-ACS群で有意に多かった ( 1.75×103±1.87×103個 vs. 3.86
×103±2.78×103個, p=0.00565 ) が、解析範囲内全粒子に対する
27
逆流粒子数の割合に有意差はなかった ( 10.3±6.60% vs. 14.1±
7.85%, p=0.0848 ) 。z軸成分の速度の平均値は ACS群で優位に高 かった ( 29.9±13.4cm/sec vs. 22.1±10.8cm/sec, p=0.0390 ) が、z 軸成分速度の絶対値の平均値 ( 31.7±13.0cm/sec vs. 25.2±
10.5cm/sec, p=0.0560 ) 、順行粒子のz 軸成分速度絶対値の平均値 ( 34.0±13.4cm/sec vs. 27.3±10.9cm/sec, p=0.0727 ) 、逆流粒子 z 軸成分速度絶対値の平均値 ( 8.12±4.01cm/sec vs. 9.04±
6.00cm/sec, p=0.964 ) に有意差はなかった。x軸成分速度の絶対値 の平均値 ( 9.24±4.38cm/sec vs. 9.62±5.23cm/sec, p=0.798 ) 、y 軸成分速度の絶対値の平均値 ( 9.24±4.20cm/sec vs. 9.69±
5.22cm/sec, p=0.749 ) 、xy面成分速度絶対値の平均値 ( 13.1±
6.20ce/sec vs. 13.6±7.30cm/sec, p=0.798 )においてもそれぞれ有意 差は認められなかった(表3)。
患者背景各項目、プラーク破綻潰瘍長径、血管内腔体積、各流体 力学的パラメータのなかで、ACS群とnon-ACS群の2群間の比較
でp値が 0.100以下であった因子を抽出し、2項ロジスティック回
帰分析によって、2群間の差の指標となる因子を調べたが、有意な 因子はなかった(表4)。
28
速度を0.00cm/sec以上 200cm/sec未満の間で 1.00 cm/secご とにわけたヒストグラムにより、それぞれの速度範囲に存在する粒 子の数の全粒子数に対する割合の分布をみたが、速度絶対値に関し ては、ACS群と non-ACS 群とを比較した結果、その分布に統計的 な有意差は認められなかった( p=0.0842 )(図 10)。z軸成分速度に 関しては、-60.0cm/sec以上 200cm/sec未満の間で 1.00 cm/secご とにわけたヒストグラムによりその分布をみると、有意に異なって いた ( p=0.0256 )(図11)。全体としてACS群ではnon-ACS群に 比べ、分布曲線の幅が広く、より様々な速度の粒子が混在している ことが示唆された。
0.00cm/sec 以上5.00cm/sec未満、5.00cm/sec以上10.0cm/sec 未満、10.0cm/sec 以上20.0cm/sec未満の速度絶対値)を持つ粒子 の z軸上の解析区間内の各位置ごとの分布を図12-14に示す。ど の速度範囲でもすべて ACS群と non-ACS群でその分布に有意差 はなかった( 0.00cm/sec以上 5.00cm/sec未満:p=0.580、
5.00cm/sec 以上10.0cm/sec 未満:p=0.623、10.0cm/sec以上 20.0cm/sec 未満:p=0.885 ) (図12-14)。
29
(2)粒子初期流入速度1.00cm/secでの検討
解析区間内の粒子数はnon-ACS群の方が ACS群と比較し、粒子 数が多かった ( 5.59×103±4.52×103個 vs. 9.36×103±4.94×103 個, p=0.00310 )。粒子の速度絶対値平均値はACS群で高値を示し た (14.3±6.88cm/sec vs. 10.3±6.27, p=0.0476 )。粒子の流入方向 に逆行している粒子数はnon-ACS群で有意に多かった ( 1.08×103
±1.27×103個 vs. 1.83×103±1.30×103個, p=0.0478) が、解析区 間内全粒子に対する逆流粒子数の割合に有意差はなかった ( 15.4±
10.2% vs. 17.7±8.43%, p=0.427 ) 。z軸成分速度の平均値 (10.9±
6.70cm/sec vs. 6.70±4.91cm/sec, p=0.0149 ) 、z軸成分速度絶対値 の平均値 (11.7±6.25cm/sec vs. 7.79±5.10cm/sec, p=0.0253 ) 、順 行粒子のz軸成分速度絶対値の平均値(12.9±6.30cm/sec vs. 8.64±
5.27m/sec, p=0.0184 )は ACS群で有意に高く、逆流粒子 z軸成分 速度絶対値の平均値 ( 3.06±1.56cm/sec vs. 2.91±2.10cm/sec,
p=0.426 ) に有意差はなかった。x軸成分速度の絶対値の平均値
( 4.08±1.64cm/sec vs. 3.41±2.17cm/sec, p=0.243 ) 、y軸成分速 度の絶対値の平均値(4.13±1.79cm/sec vs. 3.45±2.08cm/sec,
p=0.253 ) 、xy面成分の平均速度絶対値( 5.78±2.31ce/sec vs. 4.83
30
±3.06cm/sec, p=0.253 ) 、それぞれ有意差は認められなかった。
( 表 5 )
患者背景各項目、プラーク破綻潰瘍長径、血管内腔体積、各流体 力学的パラメータのなかで、ACS群とnon-ACS群の2群間の比較
でp値が 0.100以下であった因子を抽出し、2項ロジスティック回
帰分析によって、2群間の差の指標となる因子を調べたが、有意な 因子はなかった (表 6)。
速度を0.00cm/sec 以上100cm/sec未満の間で 1.00 cm/secごと にわけたヒストグラムにより、それぞれの速度範囲に存在する粒子 の数の全粒子数に対する割合の分布をみたが、ACS群とnon-ACS 群とでその分布有意に異なっていた。( p=0.0043 ) (図15)。z軸成 分速度に関しても-60.0cm/sec以上100cm/sec未満の間で 1.00
cm/secごとにわけたヒストグラムによりその分布をみると、有意に
異なっていた ( p=0.00873 ) (図 16)。これらの結果から、初期流入 速度が1.0cm/secとより遅い条件下では、ACS群の方がnon-ACS 群に比べて、z軸方向に限らず、全方向にわたって、分布曲線の幅 が広く、より様々な速度の粒子が混在していることが示された。
0.00cm/sec 以上5.00cm/sec 未満、5.00cm/sec 以上10.0cm/sec未
31
満、10.0cm/sec 以上 20.0cm/sec 未満の速度絶対値を持つ粒子の z 軸上での分布は、0.00cm/sec 以上 5.00cm/sec未満、10.0cm/sec以 上 20.0cm/sec 未満の速度絶対値を持つ粒子は ACS 群と non-ACS 群ではその分布に違いがみられた ( 0.00cm/sec 以上 5.00cm/sec 未 満:p=0.0347、10.0cm/sec 以上 20.0cm/sec 未満:p=0.0184 ) 。 0.00cm/sec以上5.00cm/sec未満の遅い速度の粒子はACS群では特 に 解 析 区 間 の 近 位 部 周 辺 に 多 く 、 一 方 non ACS 群 で は 逆 に 10.0cm/sec 以上 20.0cm/sec 未満という早い速度の粒子がプラーク 解析区間の近位部周辺に多く見られた。プラーク破綻によってでき た潰瘍の長径の平均の長さは2群併せて3.37±1.50mmであり、こ れはACS群において、粒子の流入速度が1.00 cm/secの場合の 0.00 cm/sec 以上 5.00cm/sec 未満の速度を持つ粒子が z 軸上で集中して いる箇所、ならびに、non-ACS群で10.0cm/sec 以上20.0cm/sec 未 満の速度を持つ粒子が集中している箇所とほぼ一致していた。一方 で、5.00cm/sec 以上 10.0cm/sec 未満の速度絶対値を持つ粒子では ACS 群 と non-ACS 群 で そ の 分 布 に 有 意 に 有 意 差 は な か っ た (p=0.375 ) ( 図 17-19 ) 。
32
考察
本研究では、粒子法と呼ばれる新しい流体力学的シミュレーショ ンプログラムを使って、ACSを発症したプラーク破綻と、無症候性 に終わったプラークの破綻の周辺で、血流の振る舞いがどう異なる かを比較検討した。その結果、ACSを発症したプラークの破綻の周 りでは、そうではないプラーク破綻周辺に比べて、平均流速は速か ったものの、よりバリエーションに富んだ流速の血流が混在し、と くにプラーク破綻部位周辺ではより遅い速度の血流領域が認められ た。中等度の流速を示す血流の領域は両群間で差異はなかったが、
速い流速を示す血流領域がACSを発症しなかったプラーク破綻部 位周辺で特に認められた。以上のような血流分布の違いが、ACS発 症の有無を規定している可能性があることが示唆された。
血流速とACS発症との関係について
本研究では、解析区間内にある粒子数はACS群の方が有意に少 なかった。解析は三次元血管モデル内が十分に粒子で満たされた時
33
点で行っているため、粒子数は解析範囲内の血管内腔体積に比例し ていると考えられ、実際IVUSの測定でも ACS群では血管内腔体 積は有意に少なかったことより、血管内腔体積がACS群で小さか ったためであると考えられる。病理学的検討でも血栓により冠動脈 が閉塞する確率は冠動脈の狭窄率と比例すると報告されている
[48]。OCT、IVUSによる報告でも、ACS を発症したプラーク破綻
と無症候性のプラーク破綻では、前者の方がプラーク破綻部分の血 管内腔面積が小さいことが示されている [49-51]。
また、解析区間内の粒子の種々の方向の平均速度がACS 群での 方が有意に高かったのは、血管内腔体積が小さく、あるいは狭窄率 が高かったためであると考えられる。これは、管のなかをものが流 れる際に狭い内腔箇所を通過する際にはその速度が増加するとい う、流体における質量保存の法則である連続の方程式(equation of continuity)によって説明されうる。すなわち連続の式では、連続 する管腔内のどの断面においても流体の密度ρ、断面積A、流速V の間にはρAVは常に一定であることが示されていていて、Aが小 さければVは大きくなる。
34
しかしながら、これまでの報告[28,52]では血流の低下が血栓形 成、増大に関与していることが明らかとなっている。
血栓の形成の主因の一つに血流低下があることはVirchowの3 徴の一つとして古くから有名である[28]。家兎大腿動脈を用いて報 告では、大腿動脈をバルーンで傷害することによって血栓を作成 し、障害直後に傷害直後に末梢大腿動脈を狭窄することによりそれ より末梢側の血流量を減少させると、血流量の低下とともに血栓が 成長し、血管が閉塞したと報告されている[52]。
本研究ではACS群での方がnon-ACS群に比較して解析区間内の 粒子の平均速度が有意に速かったことは、これらの報告と一見矛盾 しているようにも見える。しかしながら、多変量解析にては、粒子 の平均速度や血管内腔体積はACS発症の有意な規定因子としては 認められなかった。これに対し、初速1.00cm/seでの条件下では、
速度が0.00 cm/sec以上 5.00cm/sec未満の範囲にある粒子の z軸上 での分布を見るとACS群での方がz軸上のある一か所に集中し(図 17)、これはおおよそプラーク破綻の位置と一致していた。その一 方で速度が10.0 cm/sec以上 20.0cm/sec未満の範囲にある粒子は z 軸上での分布においてnon-ACS群の方がプラーク破綻部位に近い
35
中枢側に有意に分布していた。つまり、ACS群では遅い速度を持っ た粒子がプラーク破綻部に集中しており、狭窄度や全体の粒子速度 平均値ではなく、局所の遅い血流領域の存在がACS発症の有意な 規定因子となっていると考えられた。
一方で、速い流速の血流領域がプラーク破綻部周りに局所的に存 在することが、ACS発症を抑制していることが示唆された。ただ初
速が10.0cm/secでの解析ではこの傾向が見られなかったことか
ら、プラーク破綻部に向けて進入する血流自体の流速がもともと低 下することは、ますますACSを発症しやすくする要因であること が考えられた。
その他の血流パラメータの影響について
血管に狭窄があるとそこを起点に乱流が発生することが知られて いる。超音波のカラードプラを用いて狭窄血管を観察するとその狭 窄部から遠位側にかけて乱流がモザイクパターンとして観察される [53]。狭窄部にて乱流が発生し、様々な速度をもつ血流成分がこの モザイクパターンとして観察されるためである。頸動脈の超音波診
36
断においても狭窄率が上がるほどモザイクパターンの検出率、信号 強度が上がることが示されている[54]。
本研究では初速が1.00cm/sec の場合、粒子の速度、z軸成分速度 の分布がACS群で有意に広く、ACS群ではプラーク破綻部位での 粒子が様々な速度を持ち、血流の乱れ、つまり乱流が起きていたと 考えられた。前述のようにACS群の方が内腔体積が少なかったこ とからもACS群でより強い乱流が発生した可能性がある。しかし ながら、今回解析した上記の解析結果は必ずしも正確な乱流度を反 映しているとは言い切れず、ACS発症に乱流がどの程度関与するか についてはさらなる検討が必要である。またnon-ACS群において は有意に逆流する粒子数の絶対数が多かったが、全体の血流の平均 速度がむしろACS群より遅かったnon-ACS群において、まとまっ た粒子数として血流が逆流することにより、血栓形成が抑制されて いた可能性がある。ただ、全体の粒子数の中での逆流粒子数には2 群間に有意差がなかったことより、この機序はより局所的なものと して考える必要があると思われる。
冠動脈内での易血栓形成性は、もちろん血流速だけで決まるわけ ではなく、血管内皮の抗血栓性の低下や、組織因子の形成、あるい
37
は血液細胞凝固因子の輸送メカニズムの異常や血管壁への物理的作 用とその応答システムの異常など実に多くの因子が関わっており [11-15,28,43,44,48,49]、プラークの破綻が ACS発症に結びつく機 序を明らかにするためには、血栓形成の全過程について検討する必 要がある。個別の因子に関する研究は多々あるものの、統合的に ACSの発症機序としてまとめられるには至ってはおらず、今後さら なるACS発症機序の解明が必要である。
本研究結果の臨床的意義について
近年血管内イメージングの進歩に伴い破綻しやすい不安定プラー クはある程度同定できるようになってきた。そのため、そのプラー クが将来破綻しやすいプラークなのかどうかは推測が可能になって きた。しかしながら、そのプラークが破綻して実際にACSが発症 するのかどうかまでは予測はできないのが現状である。ACS発症の ためには、相当量の血栓が育たなければならないが、その多寡まで をあらかじめ予測できないからである。血管イメージングによって 得られたプラーク破綻の三次元形状から、粒子法という新しい流体
38
力学的シミュレーション法を用いて、破綻したプラーク周辺での血 流の特徴に着目してACS発症機序を検討した報告はこれまでにな く、本研究の手法はまったく新しいものである。この研究成果を利 用して、そのような血流プロフィールを作りうるプラーク破綻を起 こしやすいプラーク、すなわち、ACSを本当に発症しやすい真の不 安定プラークというべきものをあらかじめ同定できるようになれ ば、リスクの高い患者のスクリーニングの精度が一層高まり、ある いはより積極的な治療介入の必要性を検討することができるように なり、患者の予後の改善や治療戦略の決定において極めて臨床的意 義の高いものとなるであろう。以上のように本研究結果は、「単に 破綻しやすいプラーク」ではなく、「ACSを実際に発症しやすいプ ラーク」というものを同定する一助になると考えられ、大きな臨床 的意義があるものと思われる。
39
本研究の限界について
本研究の限界として、まず症例数が45 例と少数の症例であるこ とがあげられる。急性期に破綻したプラーク自体を見つけることは 比較的容易ではあるが、その内腔形状を抽出できるほどIVUS短軸 画像を容易にトレースできる症例は限られている。その理由として は石灰化や十分に除去できなかった血栓の影響があげられる。また 待機的心臓カテーテル検査では、すべての症例のすべての血管 ( 右 冠動脈、左冠動脈前下行枝、左冠動脈回旋枝 ) を観察しているわ けではなく、無症候性のプラーク破綻を発見できた症例数も限られ ている。なお今回の検討では、画像上では明らかな血栓のない、あ るいは十分に血栓を吸引した後のプラークの破綻を撮像したため、
その周りの血流はプラーク破綻の直後でかつ血栓が形成される前の 血流を反映しているものとみなしたが、実際完全に血栓がすべて除 去されているとは限らず、その仮定には一定の限界がある。
また、実際の血管は彎曲しており、プラークの位置によって は、例えば彎曲部で大弯側か小弯側かで、血流の影響は変わってく ると考えられる。IVUSから血管の三次元画像を構築する際に、血 管の彎曲を再現することは不可能で、その長軸は直線的となってし
40
まい、血管の彎曲の影響を考慮した血流の検討はできていない。こ のようなIVUSの限界に対し、たとえば冠動脈 CT検査は血管の彎 曲を含めての冠動脈全体の抽出が可能である。従って冠動脈の彎曲 の情報を冠動脈CTから取得し、冠動脈内腔のデータは IVUSから 取得し、それぞれの情報を合わせれば、理論的には血管の彎曲を考 慮した今回の検討が可能であると考える。そのためには、異種画像 合成技術や、空間形状を補間させたり位置情報をマッチングさせる プログラムの開発が望まれる。その具体的な方法の確立は本研究の 分野での今後の課題であると言えよう。
さらに、無症候性のプラーク破綻は待機的に心臓カテーテルを施 行した際に偶然 IVUS にて発見されたものであるため、プラーク破 綻からどのくらい時間が経過しているか不明である。そのためプラ ーク破綻後その形状が変化している可能性があり[55]、本研究の限 界の一つである。
41
結語
冠動脈のプラーク破綻にはACSを発症する場合とACSを発症 しない場合とで血流に流体力学的な違いがみられることが示され た。また、これらの違いは血流速度がより遅いときにより顕著に表 れた。
謝辞
稿を終えるに臨み、研究に際しご指導、ご校閲を受け賜りました 平山篤志教授に深く謝意を表すとともに、本研究遂行に際し直接ご 指導いただきました廣高史診療教授、高山忠輝准教授、その他教室 の諸兄に心からの感謝の意を表します。
42
表
表1 患者背景
ACS群 non-ACS 群 p値
n=24 n=21
年齢 66.3±10.5 67.8±7.85 0.602
性別 (男/女) 17/7 19/2 0.100
身長 (cm) 161±7.52 163±7.29 0.337
体重 (kg) 63.2±11.6 65.4±15.8 0.589
BMI 24.3±2.76 24.5±4.60 0.870
喫煙 n (%) 15 (62.5%) 14 (66.7%) 0.771 高血圧症 n (%) 18 (75%) 19 (90.5%) 0.176 2 型糖尿病 n (%) 6 (25%) 8 (38.1%) 0.344 脂質異常症 n (%) 11 (45.8%) 11 (52.4%) 0.661 対象血管 (RCA/LAD/LCX) n 9/12/3 9/9/3 0.891 抗血小板薬内服の有無 n (%) 6 (25.0%) 6 (28.6%) 0.787 抗凝固薬の内服 n (%) 0 (0.00%) 2 (9.52%) 0.122
疾患:n 急性心筋梗塞:17 安定狭心症:16 亜急性心筋梗塞:1 無症候性心筋虚血:5
不安定狭心症:6
数値は平均±標準偏差で表示。( )内は%をあらわす。
p値はACS群 vs. non-ACS群を示す。
ACS : Acute coronary syndrome RCA : Right coronary artery
LAD : Left anterior descending coronary artery LCX : Left circumflex coronary artery
43
表2 三次元輪郭抽出画像について
ACS群 non-ACS 群 p値
n=24 n=21
プラーク破綻潰瘍長径 (mm) 3.58±1.75 3.12±1.13 0.625 血管内腔体積 (mm3) 79.3±55.0 133.0±57.9 0.0031
数値は平均±標準誤差→偏差で表示。
44
表3 流入初速度10.0cm/secでの粒子プロファイル
ACS non-ACS p値
n=24 n=21
総粒子数 (個) 1.47×104±10.3×103 . 2.55×104±1.25×103 0.00213 速度絶対値平均値 (cm/sec) 37.1±14.2 32.1±12.5 0.212 逆流粒子数 (個) 1.75×103±1.87×103 3.86×103±2.78×103 0.00950 逆流粒子数/総粒子数 (%) 10.3±6.60 14.1±7.85 0.0848 z軸成分速度平均値 (cm/sec) 29.9±13.4 22.1±10.8 0.039 z軸成分速度絶対値平均値 (cm/sec) 31.7±13.0 25.2±10.5 0.0560 順流粒子z軸成分速度絶対値平均値 (cm/sec) 34.0±13.4 27.3±10.9 0.0727 逆流粒子z軸成分速度絶対値平均値 (cm/sec) 8.12±4.01 9.04±6.00 0.964 x軸成分速度絶対値平均値 (cm/sec) 9.24±4.38 9.62±5.23 0.798 y軸成分速度絶対値平均値 (cm/sec) 9.24±42.0 9.69±5.22 0.749 xy面成分速度平均値 (cm/sec) 13.1±6.20 13.6±7.30 0.798
数値は平均±標準偏差で表示。
表4 流入初速度10.0cm/secでの ACS、nonACSを目的変数とした 多変量ロジスティック回帰分析
p値 オッズ比 オッズ比 の 95% 信頼区間
下限 上限
血管内腔体積 0.911 0.993 0.886 1.11
総粒子数 0.944 1.00 0.999 1.001
逆流粒子数 0.718 1.00 0.998 1.001
逆流粒子数/総粒子数 0.677 1.11 0.682 1.80 z 軸成分速度平均値 0.440 3.90×1010 4.85×10-17 3.14×10-37 z 軸成分速度絶対値平均値 0.876 0.00215 7.31×10-37 6.31×10-30 順流粒子 z 軸成分速度絶対値平均値 0.749 4.02×10-8 2.15×10-53 7.51×10-37
数値は平均±標準偏差で表示。
45
表5 流入初速度 1.00cm/secでの粒子プロファイル
ACS non-ACS p値
n=24 n=21
総粒子数 (個) 5.59×103±4.52×103 9.36×103±4.94×103 0.0031 速度絶対値平均値 (cm/sec) 14.3±6.88 10.3±6.27 0.0476 逆流粒子数 (個) 1.08×103±1.27×103 1.83×103±1.30×103 0.04780 逆流粒子数/総粒子数 (%) 15.4±10.2 17.7±8.43 0.427 z軸成分速度平均値 (cm/sec) 10.9±6.70 6.70±4.91 0.0149 z軸成分速度絶対値平均値 (cm/sec) 11.7±6.25 7.79±5.10 0.0253 順流粒子z軸成分速度絶対値平均値 (cm/sec) 12.9±6.30 8.64±5.27 0.0184 逆流粒子z軸成分速度絶対値平均値 (cm/sec) 3.06±1.56 2.91±2.10 0.426 x軸成分速度絶対値平均値 (cm/sec) 4.08±1.64 3.41±2.17 0.243 y軸成分速度絶対値平均値 (cm/sec) 4.13±1.79 3.45±2.08 0.253617 xy面成分速度平均値 (cm/sec) 5.78±2.31 4.83±3.06 0.253
数値は平均±標準偏差で表示。
表6 流入初速度1.00cm/secでの ACS、nonACSを目的変数とした 多変量ロジスティック回帰分析
p値 オッズ比 オッズ比 の 95% 信頼区間
下限 上限
血管内腔体積 0.0728 0.976 0.950 1.002
総粒子数 0.161 1.00 0.999 1.0002
速度絶対値平均値 0.158 4.00×1053 1.39×10-21 1.15×10128
逆流粒子数 0.0558 1.002 0.999 1.005
z 軸成分速度絶対値 0.0746 1.04×10111 9.70×10-12 1.12×10233 z 軸成分速度絶対値平均値 0.0919 4.51×10-171 0.000 5.82×1027 順流粒子 z 軸成分速度絶対値平均値 0.895 3.34×104 4.34×10-63 2.57×1071
数値は平均±標準偏差で表示。
46
図
図1
NC:necroci core Thr:thrombus
H&E:hematoxylin and eosin satin 参考文献[4]より引用
47
図2
文献[10]より改変引用
a
b
48
図3
49
図4
a:格子法の解析
b:粒子法による解析
50
図5 a.
b.
外膜・中膜境界境界
ガイドワイヤーによるアーチファクト
IVUS カテーテル 破綻したプラーク
血管内腔
トレースが完了した図。
51
図6 a
b
c
トレースした短軸像をつなぎ合わせて できた三次元輪郭抽出画像
IVUS短軸画像
血管内腔
プラーク破綻によってできた潰瘍 血管内腔
プラーク破綻によってできた潰瘍 できた潰瘍
血管内腔 血管壁
血管内腔 血管壁
52
図7
53
図8 a
b
プラーク破綻によって できた潰瘍
血管内腔
54
図9
55
図10
初速10.0 cm/secの場合の各粒子速度範囲にある粒子の割合
0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00
0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0 110.0 120.0 130.0 140.0 150.0 160.0 170.0 180.0 190.0 200.0
ACS non-ACS
p=0.0842 (%)
粒子速度絶対値(cm/sec)
56
図11
初速10.0 cm/secの場合の各z軸成分速度速度範囲にある粒子の割合
0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00
-60.0 -30.0 0.00 30.0 60.0 90.0 120 150 180
ACS non-ACS (%)
p=0.0256
-60.0 -30.0 0.00 30.0 60.0 90.0 120 150 180
z軸成分速度(cm/sec)